JP2019002060A - 製鋼スラグからの燐の分離回収方法 - Google Patents

製鋼スラグからの燐の分離回収方法 Download PDF

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崇之 岩間
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Abstract

【課題】CaO等を主成分とする製鋼スラグであっても、高い燐の分離性で燐化合物を容易に抽出・分離回収することができる、製鋼スラグからの燐の分離回収方法を提供する。また、P2O5等の燐化合物除去後のスラグを再び精錬に利用するとともに、抽出・分離回収された燐化合物を肥料用の燐酸源として利用する。【解決手段】製鋼スラグのFe2O3濃度(質量%)と、FeOおよびFe2O3の合計濃度(質量%)との比[Fe2O3/(FeO+Fe2O3)]を0.95以上とし、かつ、製鋼スラグの非結晶相の相分率を30%以下とする。その後、製鋼スラグを、pHが2.5〜3.5に調整された無機酸水溶液に浸漬させることにより、製鋼スラグ中の燐化合物を無機酸水溶液に浸出させ、その後、無機酸水溶液のpHを6.5〜7.5に制御することにより、無機酸水溶液に浸出した燐化合物を析出させて回収する。【選択図】図4

Description

本発明は、製鋼スラグからの燐の分離回収方法に関する。
高炉溶銑には燐が0.12質量%程度含まれているため、製鋼プロセスではこれを除去する必要がある。一般には、転炉で脱炭精錬を行うときに同時にスラグへ燐を移行させるが、我が国では、脱炭精錬に先立って酸化脱燐精錬を行う溶銑予備処理法も広く用いられている。また、電気炉では、スクラップを溶解して溶鋼とする場合には脱燐の必要はないが、スクラップとともに銑鉄を溶解する場合には転炉と同じように脱燐精錬を行う。その結果、これらの工程で発生するスラグには燐が含まれる。
ところで、このようなスラグは、溶鋼1トン当たり約50kg程度発生し、主に、路盤材や土木工事原料として用いられている。しかし、その膨大な発生量に対して需要量は充分ではなく、また建設廃材などの競合材料も多いため、使用されずに製鉄所内に堆積される量が増加すると予想されている。スラグの主要な構成酸化物は、CaO、SiO、FeO、MgO、Pであり、その中で、Pの含有量を低下することが出来れば、スラグを再び脱燐精錬に利用することができる。そのため、スラグからPを除去する方法や、肥料原料である燐酸を製鋼スラグから分離回収する試みが多数提案されている。
製鋼スラグ中の燐は、ダイカルシウム・シリケート(2CaO・SiO)とトリカルシウム・フォスフェイト(3CaO・P)との固溶体として存在している比率が高いため、この固溶体を、その他の部分と分離する方法が各種考えられている。例えば、固溶体とその他の部分との密度が異なることを利用して、スラグを5℃/分以下の除冷又は温度保定することで上下2層に分離させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、固溶体とその他の部分との磁着力の差を利用して、粉砕後に磁力により選別する方法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
一方、スラグの水溶性を利用した方法も提案されており、例えば、Na等のアルカリ金属を主成分とするスラグを水に溶解させ、残渣を除去した後に、水溶液中に含有される燐化合物を燐酸カルシウムのようなアルカリ土類金属化合物として沈殿させる方法が開示されている(例えば特許文献3参照)。
その他にも、固溶体と他の相(マトリックス相)との水溶性の差を用いて、固溶体のみを水溶液へ溶解させる方法(浸出法)として、マトリックス相の溶解を抑制するため、製鋼スラグを酸化して当該スラグに含まれるFeO濃度を1質量%以下とした上で、pHを制御した水中に浸漬させる方法が開示されている(例えば特許文献4参照)。
特開昭53−54196号公報 特開2006−130482号公報 特開昭52−122577号公報 特開2012−233650号公報
しかし、特許文献1の技術では、燐の分離性が低く、下層においてもPが1%以上含まれており、分離性が低いという課題があった。また、特許文献2の技術には、分離の可能性が示されているのみで、実際の分離性が示されておらず、原理的に直径が10μm程度の固溶体相とその他の相とを粉砕で分離することは不可能であるという課題があった。また、特許文献3の技術では、Na等のアルカリ金属を主成分とするスラグが対象であり、一般的に用いられているCaO等を主成分とするスラグには用いることができないという課題があった。さらに、特許文献4の技術では、浸出液のpHが高いため、ヒドロキシアパタイトの溶解度を超えないようにするための多量の水溶液と酸が必要になり、実施が困難であるという課題があった。
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、CaO等を主成分とする製鋼スラグであっても、高い燐の分離性で燐化合物を容易に抽出・分離回収することができる、製鋼スラグからの燐の分離回収方法を提供することを目的とする。これにより、P等の燐化合物除去後のスラグを再び精錬に利用するとともに、抽出・分離回収された燐化合物を肥料用の燐酸源として利用することができる。
本発明に係る製鋼スラグからの燐の分離回収方法は、製鋼スラグからの燐の分離回収方法であって、前記製鋼スラグのFe濃度(質量%)と、FeOおよびFeの合計濃度(質量%)との比[Fe/(FeO+Fe)]を0.95以上とし、かつ、前記製鋼スラグの非結晶相の相分率を30%以下とする第1工程と、前記第1工程後に前記製鋼スラグを、pHが2.5〜3.5に調整された無機酸水溶液に浸漬させることにより、前記製鋼スラグ中の燐化合物を前記無機酸水溶液に浸出させる第2工程と、前記第2工程後に前記無機酸水溶液のpHを6.5〜7.5に制御することにより、前記無機酸水溶液に浸出した前記燐化合物を析出させて回収する第3工程とを備えていることを特徴とする。
ここで、製鋼スラグとは、燐酸(P)を1〜5質量%含む、転炉、溶銑予備処理、電気炉で生成されるスラグである。
本発明により、CaO等を主成分とする製鋼スラグであっても、高い燐の分離性で燐化合物を容易に抽出・分離回収することができる、製鋼スラグからの燐の分離回収方法を提供することができる。これにより、P等の燐化合物除去後のスラグを再び脱燐精錬に利用することが可能になるとともに、抽出・分離回収された燐化合物を肥料用の燐酸源として利用することが可能になる。
本発明の実施の形態の製鋼スラグからの燐の分離回収方法による、疑似製鋼スラグのFe/(FeO+Fe)と溶出率との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の製鋼スラグからの燐の分離回収方法による、スラグの非結晶(ガラス)相分率と浸出液中のFe/Pとの関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の製鋼スラグからの燐の分離回収方法により、疑似製鋼スラグを様々なpHに制御した硝酸水溶液に浸出させたときの、P、Mnの溶出率を示すグラフである。 本発明の実施の形態の製鋼スラグからの燐の分離回収方法により、浸出液にNaOHを添加して様々なpHに上昇させて沈殿物を生成させたときの、P、Siの析出率を示すグラフである。
以下、実験等に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、製鋼スラグ中において、燐が主に含まれる、ダイカルシウム・シリケート(2CaO・SiO;以下、「C2S」と称する)とトリカルシウム・フォスフェイト(3CaO・P;以下、「C3P」と称する)との固溶体相と、その他の相とで水に対する溶解度が大きく異なる条件を見出したことに基づくものである。ここで、その他の相は、MgO−FeO−Fe系の結晶相、CaO−FeO−Fe系の結晶相、および、その他の非結晶相に分けられる。
いずれのpHでも、固溶体相は他の相よりも水への溶解性は大きいが、pHが高いと、Pと同時に溶解するCaが水溶液中でヒドロキシアパタイト[HAP:Ca10−x(HPO(PO6−x(OH)2−x]やその前駆体を析出させるので、燐の溶解が進まなくなる。一方、このような析出物を生じないクエン酸のような有機酸を用いると、Pの溶解は促進されるが、有機酸は弱酸のために多量に必要となり、浸出液からPを回収するときに多量のクエン酸カルシウムが発生する結果、沈殿物中のP濃度が上げられない。これらを解決するには、低いpHで強酸を用いる必要があるが、その場合には、固溶体と同時に、他の相の一部も溶解するという別の問題が生じる。
本発明者らは、詳細な実験により、強酸でpHを下げた時に、他の相の中で溶解するのは、特定の組成を持つ非結晶相であることを明らかにした。非結晶相とは、スラグ断面の鉱物相をX線プローブマイクロアナライザー(EPMA)で分析した際に、CaO−SiO−Pを主成分とする固溶体相、MgO−FeO−Feを主成分とする結晶相、および、CaO−FeO−Feを主成分とする結晶相の他に観察される相の総和であり、凝固時にガラス化したCaO−SiO−FeO−Feを主成分とする相が主体で構成される。
実験として、まず、各相と同じ組成になるように試薬を混合し焼成したものを、粒径57μm以下に粉砕した試料を作成した。非結晶相については溶融状態から急冷してガラス化させ、他の相は徐冷した。次に、硝酸でpHを3.0に制御した常温の水0.4Lに対して、各粉砕試料1gをビーカーに添加し、撹拌羽根で混合しつつ水中へ溶出させた後、各イオン濃度を測定した。120分浸漬後の結果を表1に示す。ここで、溶解率とは、実験後の水溶液中の各元素のイオン濃度から計算した、実験前後の質量比である。
表1より明らかに、この条件で溶解しないのは、固溶体相を除いた結晶相であり、非結晶相や固溶体相は容易に溶解する。つまり、強酸を用いた低pH水溶液で固溶体相を選択的に浸出させるには、非結晶相の存在割合を小さくすることが重要である事を見出した。
スラグ試料の断面をEPMAで分析すると、様々な相が観察される。この中から、Ca、Si、Pが共存する相を固溶体相、MgとFeとが共存する相をMgO−FeO−Fe系の結晶相、CaとFeとが共存する相をCaO−FeO−Fe系の結晶相と定義し、EPMAで分析した各相の組成と、製鋼スラグ全体の組成とから、各元素のマスバランスを計算すれば各相の相分率を求めることができ、その合計を1から差し引くことで、その他の相の相分率を計算することができる。その他の相は、主に非結晶相からなり、一部にEPMAでは分析できない微細な結晶も共存する場合もあるが、ここでは「その他の相」を非結晶相と定義する。前記のように強酸を用いた低pH水溶液で固溶体相を選択的に浸出させるには、この非結晶相の存在割合を小さくすることが重要である。
そこで、疑似製鋼スラグを試薬で合成し(29mass%CaO−17mass%SiO−30mass%Fe−2.5mass%P−5.5mass%MnO−13mass%MgO−3mass%Al)、それを、1550℃で溶解させた後に大気雰囲気化で徐冷し、試験用のスラグを合成した。また、このとき、FeOとFeとの混合比を変えたスラグを合成した。合成した各スラグを粒径57μm以下に粉砕し、硝酸でpHを3.0に制御した常温の水溶液に浸出させた。
その結果、図1に示すように、Fe濃度(質量%)に対するFeOとFeとの合計濃度(質量%)の比[Fe/(FeO+Fe)]が0.9以下になると、Mnの溶出率が増加した。MnOは、MgO−(FeO、Fe)系の結晶相に約10質量%含まれている一方、他の相にはほとんど含まれていないため、Mnの溶出はMgO−(FeO、Fe)系の結晶相の溶解と見なせる。結晶相からFeが溶解した場合、後記するような浸出液から回収されるリン酸中のFeO濃度が高くなるだけでなく、Fe濃度が高くなると、浸出時のPの溶出率も低下する。これは、浸出液中でFePO・2HOのような化合物が析出するためである。
一方、表1より、スラグ中の各相の相分率を変化させた場合の溶出挙動が計算できる。例えば、Total・Feが25質量%で、酸化鉄のFeとして含有されており、Feが非結晶相とMgO−Fe相から溶出すると考えると、物質収支から浸出液中のPとFeの濃度が計算できる。その結果、図2に示すように、非結晶相(ガラス相)の相分率が30%以下であれば、Fe/Pを0.3以下にできることが分かる。Feがこれ以上溶解した場合、後記するような浸出液から回収される燐酸中のFeO濃度が高くなってしまう。
以上のように、固溶体相の選択浸出を実現するには、スラグを酸化させて[Fe/(FeO+Fe)]を高く制御し、MgO−(FeO、Fe)系の結晶相の溶解を抑制するとともに、非結晶相の存在比率(相分率)を低く抑制する必要がある。具体的には、スラグ中の酸化鉄は、溶融状態で精錬中はFeOであるため、これを酸化するには、例えばスラグに空気を吹き込むような既存の酸化技術を用いたり、大気雰囲気化で徐冷したりすれば良い。尚、[Fe/(FeO+Fe)]は、1に近いほど好ましいが、0.95以上であれば、MgO−(FeO、Fe)系の結晶相の溶解を十分に抑制することができる。また、非結晶相の相分率を低く(30%以下に)抑制するには、急冷プロセスを用いないようにすればよい。
次に、疑似製鋼スラグを試薬で合成し(29mass%CaO−17mass%SiO−30mass%Fe−2.5mass%P−5.5mass%MnO−13mass%MgO−3mass%Al)、1550℃で溶解後、そのまま炉冷することで非結晶相が存在しないスラグを合成し、それを、硝酸を用いて様々なpHに制御した水溶液に浸出させた。このときのP、Mnの溶出率を測定した結果を図3に示す。図3に示すように、pHを低くすることで、ヒドロキシアパタイトの溶解積が大きくなるため、Caによる弊害はなくなり、無機酸で強酸である硝酸でも十分に溶解できる。それに適したpHは2.5〜3.5である。pHが2.5よりも低いと、Mnの濃度が上昇することから、MgO−(FeO、Fe)系の結晶相の溶解が起こりはじめ、一方、pHが3.5よりも高いと、固溶体相の溶解が十分には起こらない。
続いて、上記のPが溶出した水溶液をろ過して得た浸出液にNaOHを添加してpHを上昇させ、10分間放置した後に上澄み液を分離し、水分を多く含む下層を遠心分離機で脱水後、さらに100℃で水分を蒸発させ、その後、600℃で2時間加熱した。このとき、pHを上昇させる前後の液の組成から計算したP、Siの析出率を図4に示す。図4に示すように、pHを上げすぎると、ゲル状のSiOが沈殿し、pHが低すぎると、ヒドロキシアパタイトやその前駆体の析出が不十分で、燐の回収率が低下しており、燐化合物の分離回収に適したpHが6.5〜7.5であることが分かる。
尚、本発明を効果的に行うには、スラグの85%以上を粒径600μm以下に粉砕することが好ましい。スラグ粒径は小さい方が有利ではあるが、表面に存在する固溶体を水溶液に溶解させた後に生成されるポアに、水溶液が染み込むことができれば反応は進み続けるため、スラグ全量を例えば粒径57μm以下に粉砕する必要はない。また、固溶体相とマトリックス相との間のPの分配比(固溶体中のP濃度/マトリックス相中のP濃度)を高めることが望ましい。具体的には、分配比の支配要因の研究結果に基づき、CaO/SiOが1.5〜3.0、Feが10〜30質量%で、MnO、MgO、Alがそれぞれ10質量%以下である組成が好ましい。精錬後のスラグ組成が、この組成に含まれない場合には、製鋼スラグを酸化処理するにあたって、この組成になるように生石灰、焼結鉱、鉄鉱石を添加することが望ましい。また、無機酸としては硝酸、塩酸、硫酸のいずれかを用いることが望ましい。
また、一般に製鋼スラグには未滓化石灰(free−CaO)と呼ばれる、スラグに未溶解の生石灰粒や、析出したCaO相が存在する。この相は非常に水溶性が高く、スラグを水溶液に添加すると、pHが急激に上昇する原因となる。そこで、前記した浸出工程に先立って、水道水のような中性水でスラグを洗浄することにより、free−CaOを溶解させて除去することが望ましい。
試薬を29mass%CaO−17mass%SiO−30mass%Fe−2.5mass%P−5.5mass%MnO−13mass%MgO−3mass%Alの組成に混合し、1873Kで溶解させた後に、1673Kで10分間保持してから3℃/分の速度で徐冷した。EPMA観察により、固溶体相、MgO−Feを主成分とする結晶相が観察されたが、非結晶相は観察できなかった。その後、粒径57μm以下に粉砕した試料4gを、pH3.0の水(0.4L)に60分間浸漬した。水溶液にはpHメーターを浸漬させ、pHが一定になるように1規定の硝酸水溶液を添加し制御した。溶液と残渣とをろ過で分離し、浸出後の液組成と溶出率とを調べた結果を、表2に示す。
表2に示すように、燐の溶出率は91%に達し、マンガンの溶出率は非常に低く抑制された。次いで、浸出液に1規定のNaOH水溶液を添加してpH7.0に上昇させ、10分間放置した後に上澄み液を分離し、水分を多く含む下層を遠心分離機で脱水後、さらに100℃で水分を蒸発させ、その後、600℃で2時間加熱した。このとき得られた沈殿物の組成を、表3に示す。
表3に示すように、P濃度は約30%で良質燐鉱石と同等であり、燐鉱石の精製時に嫌われるMnOとFeOの濃度は合計で5%程度未満に抑制されていた。さらに、この生成物にはPに加えてCaOとSiOが含まれているため、熱処理等により水溶性のC2S−C3P固溶体を生成させれば、燐酸肥料としての効能も期待できる。本実施例では、スラグ中のリンのうち86mass%が浸出され、浸出液に含まれるリンの86mass%が沈殿物として回収された。
[比較例]
試薬を30mass%CaO−19mass%SiO−26mass%FeO−2.5mass%P−5.5mass%MnO−14mass%MgO−3mass%Alの組成に混合し、1873Kで溶解させた後に、1673Kで10分間保持してから3℃/分の速度で徐冷した。EPMA観察により、固溶体相、MgO−FeOを主成分とする結晶相が観察されたが、非結晶相は観察できなかった。その後、粒径57μm以下に粉砕した試料4gを、pH3.0の水(0.4L)に60分間浸漬した。水溶液にはpHメーターを浸漬させ、pHが一定になるように1規定の硝酸水溶液を添加し制御した。溶液と残渣とをろ過で分離し、浸出後の溶液組成と溶出率とを調べた結果を、表2に示す。
表2に示すように、燐の溶出率は70%で、マンガンの溶出率は15%であった。次いで、浸出液に1規定のNaOH水溶液を添加してpH7.0に上昇させ、10分間放置した後に上澄み液を分離し、水分を多く含む下層を遠心分離機で脱水後、さらに100℃で水分を蒸発させ、その後、600℃で2時間加熱した。このとき得られた沈殿物の組成を、表3に示す。表3に示すように、P濃度は約20%と低く、MnOとFeOの合計濃度は15%と高かった。本比較例では、スラグ中のリンのうち75mass%が浸出され、浸出液に含まれるリンの84mass%が沈殿物として回収された。
本発明に係る製鋼スラグからの燐の分離回収方法は、製鋼スラグから高い燐の分離性でもってPを抽出・分離回収できるので、P除去後のスラグを再び精錬に利用することが可能になるとともに、抽出・分離回収されたPを肥料用の燐酸源として利用することが可能になる。

Claims (1)

  1. 製鋼スラグからの燐の分離回収方法であって、
    前記製鋼スラグのFe濃度(質量%)と、FeOおよびFeの合計濃度(質量%)との比[Fe/(FeO+Fe)]を0.95以上とし、かつ、前記製鋼スラグの非結晶相の相分率を30%以下とする第1工程と、
    前記第1工程後に前記製鋼スラグを、pHが2.5〜3.5に調整された無機酸水溶液に浸漬させることにより、前記製鋼スラグ中の燐化合物を前記無機酸水溶液に浸出させる第2工程と、
    前記第2工程後に前記無機酸水溶液のpHを6.5〜7.5に制御することにより、前記無機酸水溶液に浸出した前記燐化合物を析出させて回収する第3工程とを
    備えていることを特徴とする製鋼スラグからの燐の分離回収方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116281911A (zh) * 2023-03-24 2023-06-23 东北大学 一种利用钢渣制备羟基磷灰石的方法
CN116426700A (zh) * 2023-04-07 2023-07-14 安徽工业大学 一种钢渣提磷方法及海草营养液用含磷复合肥的生产方法

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