JP5881755B2 - 細胞培養における低温および低pHの使用 - Google Patents

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Description

本願は、2007年4月23日に出願された米国仮特許出願第60/913,382号
の利益を主張する。米国仮特許出願第60/913,382号は、その全体が本明細書中
に参考として援用される。
本発明は、培養された細胞、特に哺乳動物細胞によるタンパク質産生を改善する方法を
提供する。特に、本発明は、タンパク質産物(単数または複数)、例えば糖タンパク質産
物(単数または複数)、の製造方法であって、細胞培養環境を操作することによって当該
タンパク質産物の特性を制御する方法に関する。本発明はさらに、例えば細胞培養物の温
度および/またはpHを下げることによりタンパク質のグリコシル化を操作してタンパク
質の凝集およびミスフォールディングを低減することによって、哺乳動物細胞で産生され
るタンパク質産物(単数または複数)、例えば糖タンパク質産物(単数または複数)、の
治療効果および/または免疫原性を改善する方法に関する。
市販または開発中に関わらず、バイオテクノロジー製品の大部分は、タンパク質治療薬
である。動物細胞培養物におけるタンパク質の産生、並びにそのような産生に関する改善
された方法に対する需要は大きく、また増加している。多くの形態のタンパク質治療薬、
例えば、翻訳後修飾タンパク質、特にグリコシル化タンパク質など、を製造するためには
、一般的に、動物細胞の細胞機構が必要とされるため、上記のような改善された方法が必
要とされている。
大規模な治療用タンパク質の製造において生じる共通の問題は、タンパク質産物の大部
分が、ミスフォールドした形態または凝集した形態、すなわち、高分子量凝集体(「HM
WA:high molecular weight aggregate」)の形態に
おいて産生されるということである。例えば、細胞におけるポリペプチドの組み換え型過
剰発現は、小胞体(ER:endoplasmic reticulum)機構に過負荷
をかける場合があり、それによって、分解経路を逃れERを出て行くミスフォールドした
タンパク質および/または凝集したタンパク質の数が増加し得る。したがって、現在のタ
ンパク質製造方法では、産物の大部分が凝集して機能せず、そのため、製造物として使用
できない。ミスフォールドしたタンパク質および/または凝集したタンパク質は、投与に
おける有害事象、例えば、これに限定されるものではないが、投与における免疫原性の可
能性(例えば補体活性化または過敏症)など、の原因となり得るため、そのようなタンパ
ク質の存在は望ましくない。したがって、過剰な治療用タンパク質のミスフォールディン
グおよび/または凝集は、例えば臨床試験における失敗の原因となり得る。そのため、タ
ンパク質のミスフォールディングおよび/または凝集を抑制または低減する新規の方法が
当技術分野において必要とされている。
タンパク質のグリコシル化は、一般的な翻訳後修飾法であり、これにより、ERにおい
て専用の酵素−グリコトランスフェラーゼおよびグリコシダーゼ−の一連の作用を通じて
複合糖部分がタンパク質に追加される。この方法は、正しくフォールドされたポリペプチ
ドだけがERを出て、ミスフォールドしたタンパク質は分解されるように、新たに合成さ
れたポリペプチドの正しいフォールディングを制御することができる。タンパク質グリコ
シル化のパターンは、タンパク質の標的化、構造、熱力学的安定性、および酵素活性に影
響を及ぼす(例えば、非特許文献1;非特許文献2を参照のこと)。例えば、N−グリカ
ンシアリル化は、糖タンパク質の寿命の延長に関連している。というのは、そのような糖
タンパク質は、シアリル化されていないタンパク質を分解の標的とするアシアロ糖蛋白受
容体によって認識されないためである(例えば、非特許文献3を参照のこと)。したがっ
て、タンパク質グリコシル化を変えることは、産物の品質と有効性に影響を及ぼし得る。
その上、異常なタンパク質グリコシル化は、最終的な治療用タンパク質製品の免疫原性
の原因となり得る。非天然型の非最適条件下で産生されたタンパク質は、天然ではヒトタ
ンパク質には見られない糖および糖パターンを獲得し得て、その結果、対象者において免
疫原性反応を生じさせ得る(非特許文献4)。このような非天然型グリコシル化は、タン
パク質治療薬、例えば、抗体治療薬または可溶性受容体Fc融合タンパク質治療などのF
c融合タンパク質治療薬、において特に一般的である。
これらの理由から、FDAは、治療用タンパク質のグリコ型プロフィールが厳しい制限
内に維持されることを要求する。したがって、タンパク質グリコシル化のレベルの制御を
可能にする、細胞培養物において治療用タンパク質を製造する方法が、製薬業において必
要とされている。
Sola et al.(2007) Cell.Mol.Lif e Sci.64:2133−52 Sola and Griebenow(2006) FEBS Lett.580:1685−90 Bork et al.(2007) FEBS Letters 581:4195−98 Jefferis(2006) Biotechnol.Prog .21:11−16
したがって、本発明は、ミスフォールドしたタンパク質および/または凝集したタンパ
ク質の産生が減少するように、(a)細胞培養物において低温で細胞を増殖させること、
並びに(b)細胞培養物において低pHで細胞を増殖させること、の少なくとも1つを含
む、細胞培養物においてタンパク質を製造する方法である。実施形態では、細胞を、細胞
培養物において低温および低pHで増殖させる。
好ましい実施形態において、本発明は、哺乳動物細胞培養物、特にチャイニーズハムス
ター卵巣(「CHO(Chinese Hamster Ovary)」)細胞培養物に
おける、ミスフォールドしたタンパク質および/または凝集したタンパク質の産生を低減
するために、pHパラメータおよび温度パラメータを変更することを対象としている。好
ましい実施形態において、当該細胞培養物は、可溶性レセプターであるタンパク質、例え
ば、これに限定されるものではないが、TNFR−Fcタンパク質またはsIL−13R
タンパク質など、を産生する(「産生されたタンパク質」)。これらの好ましい実施形態
において、低温は、27.0℃〜30.0℃未満の範囲であり得る。さらに他の好ましい
実施形態において、低pHは、6.80〜7.00未満あり得る。前述の範囲におけるp
Hおよび温度の組み合わせも使用することができる。
別の態様において、本発明は、細胞培養物においてタンパク質を製造する方法であって
、細胞培養物の温度および/またはpHを変更することによって産生されたタンパク質の
タンパク質グリコシル化のレベルを制御する方法である。したがって、グリコシル化、例
えば、これに限定されるものではないが、N−グリカンシアリル化など、のレベルは、温
度および/またはpHを上げるより増加し得、あるいは温度および/またはpHを下げる
ことによって減少し得る。
別の態様において、本発明は、上記のパラメータを制御して、治療用タンパク質を製造
する方法である。さらに別の態様において、本発明は、そのような方法によって製造され
た治療用タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物である。
TNFR−FcでトランスフェクトしたCHO細胞をそれぞれ27.0℃ [◆]、28.0℃[▲]、29.0℃[■]、または30.0℃[○]で増殖させた時の、時間(X軸;培養日数[日])に対する、平均収穫日IVCに正規化した統合生存細胞数(Y軸;IVC[正規化e細胞日/L])を示す。 同じ細胞の、時間(X軸;培養時間[日]に対する細胞生存率(Y軸)を示す。 TNFR−FcでトランスフェクトしたCHO細胞をそれぞれ27.0℃[◆]、28.0℃[▲]、29.0℃[■]、または30.0℃[○]で増殖させた細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する残存グルコースプロフィール(Y軸;グルコース[g/L])を示す。 同じ細胞の、時間(X軸;培養時間[日])に対するグルタミンプロフィール(Y軸;グルタミン[mM])を示す。 TNFR−FcでトランスフェクトしたCHO細胞をそれぞれ27.0℃[◆]、28.0℃[▲]、29.0℃[■]、または30.0℃[○]で培養させた細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する培地のラクテート濃度(Y軸;ラクテート[g/L])を示す。 同じ細胞の、時間(X軸;培養時間[日])に対するアンモニウムプロフィール(Y軸;NH [mM])を示す。 TNFR−FcでトランスフェクトしたCHO細胞をそれぞれ27.0℃[◆]、28.0℃[▲]、29.0℃[■]、または30.0℃[○]で増殖させた細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する、平均収穫日累加平均Qpに正規化した累加平均Qp(X軸;累加平均Qp[正規化mg/e細胞/日])によって表された細胞特異的生産性を示す。 同じ細胞の、時間(X軸;培養時間[日])に対する、平均収穫日力価に正規化したTNFR−Fc力価(X軸;産物力価[正規化mg/L])を示す。 ミスフォールドおよび/または凝集したTNFR−Fcの産生(Y軸;%ミスフォールド/凝集した産物)に対する、TNFR−FcでトランスフェクトしたCHO細胞の細胞培養物中における産生温度(X軸;[℃])を変える効果を示す。 HMWAの産生に対する温度の効果(Y軸;%高分子量種)を示す。 TNFR−Fcの全シアリル化(N−およびO−結合シアリル化)の割合(Y軸;参照試料の総シアリル化の割合)に対する、TNFR−FcでトランスフェクトされたCHO細胞の細胞培養物における産生温度(X軸;温度[℃])を変更する効果を示す。使用した参照試料は、アッセイの結果を比較するための好ましいクリコシル化パターンを有する公知のTNFR−Fcにおける特定のアリコートであった。 同じ細胞の、シアリル化(□)または非シアリル化(●)の総N−結合グリカンの割合(Y軸;総N−結合グリカンの割合)に対する、細胞培養物における産生温度(X軸;温度[℃])を変更する効果を示す。 異なる温度(27.0℃[◆]、28.0℃[▲]、29.0℃[■]、30.0℃[○])で細胞を増殖させた時の、CHO細胞培養物中のpH(Y軸)に対する効果を、時間(X軸;培養時間[日])に対して示す。 TNFR−FcでトランスフェクトされたCHO細胞をそれぞれ7.20[◇]、7.10[■]、7.00[◆]、6.90[●]、または6.80[▲]のpH設定値で増殖させた時の、時間(X軸;培養時間[日])に対する、平均収穫日IVCに正規化した統合生存細胞数(Y軸;IVC[正規化e細胞日/L])を示す。 同じ細胞の、時間(X軸;培養時間[日])に対する細胞生存率(Y軸)を示す。 TNFR−FcでトランスフェクトされたCHO細胞をそれぞれ7.20[◇]、7.10[■]、7.00[◆]、6.90[●]、または6.80[▲]のpH設定値で増殖させた細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対するグルコースプロフィール(Y軸;グルコース[g/L])を示す。 同じ細胞の、時間(X軸;培養時間[日])に対するグルタミンプロフィール(Y軸;グルタミン[mM])を示す。 TNFR−FcでトランスフェクトしたCHO細胞をそれぞれ7.20[◇]、7.10[■]、7.00[◆]、6.90[●]、または6.80[▲]のpH設定値で増殖させた細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する、培地中のラクテート濃度(Y軸;ラクテート[g/L])を示す。 同じ細胞の、時間(X軸;培養時間[日])に対するアンモニアプロフィール(Y軸;NH [mM])を示す。 時間(X軸;培養時間[日])に対する、TNFR−FcでトランスフェクトされたCHO細胞をそれぞれ7.20[◇]、7.10[■]、7.00[◆]、6.90[●]、または6.80[▲]のpH設定値で増殖させた細胞培養物のpHの、pH設定値からのずれ(X軸;培養物pH)を示す。 同じ細胞をそれぞれ7.20[◇]、7.10[■]、7.00[◆]、6.90[●]、または6.80[▲]のpH設定値で増殖させた時の、時間(X軸;培養時間[日])に対するオスモル濃度(X軸;オスモル濃度[mOsm/kg])を示す。 TNFR−FcでトランスフェクトされたCHO細胞をそれぞれ7.20[◇]、7.10[■]、7.00[◆]、6.90[●]、または6.80[▲]のpH設定値で増殖させた細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する、平均収穫日累加平均Qpに正規化した累加平均Qp(X軸;累加平均Qp[正規化mg/e細胞/日])で表される、細胞特異的産生能を示す。 時間(培養時間[日])に対する、同じ細胞の平均収穫日の力価に正規化したTNFR−Fc力価(X軸;産生物の力価[正規化mg/L])を示す。 ミスフォールド/凝集したTNFR−Fcの産生(Y軸;%ミスフォールド/凝集した産生)に対する、TNFR−FcでトランスフェクトされたCHO細胞の培養のpH設定値(X軸;pH)を変える効果を示す。 HMWAの産生(Y軸;%高分子量種)に対する、細胞培養物のpH設定値(X軸;pH)を変える効果を示す。 TNFR−Fcの総シアリル化の割合(Y軸;参照試料の総シアリル化の割合)に対する、TNFR−FcでトランスフェクトされたCHO細胞の培養におけるpH設定値(X軸;pH)を変える効果を示す。 シアリル化(□)又は非シアリル化(●)総N−結合グリカンの割合(Y軸;総N−結合グリカンの割合)に対する、同じ細胞の細胞培養物の細胞培養物pH設定値(X軸;pH)を変える効果を示す。 ヒドラジン放出2−アミノベンズアミド−(2−AB)−標識タンパク質グリコ型を順相クロマトグラフィにかけた場合に観察される、N−結合グリカンシアリル化を表す典型的な蛍光(Y軸;蛍光、mVで測定)対滞留時間(X軸;分)プロフィールを表す。 ヒドラジン放出2−アミノベンズアミド−(2−AB)−標識タンパク質グリコ型を順相クロマトグラフィにかけた場合に観察される、培養のpH設定値を変えた場合の、TNFR−FcでトランスフェクトされたCHO細胞の細胞培養物におけるN−結合グリカンシアリル化を表す蛍光(Y軸;mV)の、滞留時間(X軸;分)に対するプロフィールを表す。 sIL−13R過剰発現細胞を37.0℃[◆]、33.0℃[■]、32.0℃[●]、31.0℃[◇]、29.0℃[△]、または室温[□]で増殖させた細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する生存細胞密度(Y軸;細胞/mL)を示す。 sIL−13R過剰発現細胞を37.0℃[◆]、33.0℃[■]、32.0℃[●]、31.0℃[◇]、29.0℃[△]、または室温[□]で増殖させた細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する、生存細胞と非生存細胞の両方を含む全細胞密度(Y軸;細胞/mL)を示す。 sIL−13R過剰発現細胞を37.0℃[◆]、33.0℃[■]、32.0℃[●]、31.0℃[◇]、29.0℃[△]、または室温[□]で増殖させた細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する細胞生存率(Y軸)を示す。 sIL−13R過剰発現細胞を37.0℃[◆]、33.0℃[■]、32.0℃[●]、31.0℃[◇]、29.0℃[△]、または室温[□]で増殖させた細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する統合生存細胞数(IVC)(Y軸;e9細胞日/L)を示す。 37.0℃[◆]、33.0℃[■]、32.0℃[●]、31.0℃[◇]、29.0℃[△]、または室温[□]で増殖させた時の、sIL−13Rを過剰発現する細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する二量体およびHMWAの両方のsIL−13R力価(Y軸;sIL−13R[mg/L])を示す。 37.0℃、33.0℃、32.0℃、31.0℃、29.0℃、または室温で増殖させた時の、sIL−13Rを過剰発現する細胞培養物における、様々な時間間隔(X軸)での1日の特異的sIL−13R産生率(Y軸;Qp[ug/e9細胞/日])を示す。 37.0℃、33.0℃、32.0℃、31.0℃、29.0℃、または室温で増殖させた時の、sIL−13Rを過剰発現する細胞培養物における、時間(X軸;培養時間[日])に対する累加平均細胞特異的産生能(Y軸;累加平均Qp[mg/e9細胞/日])を示す。 37.0℃、33.0℃、32.0℃、31.0℃、29.0℃、または室温で増殖させた時の、sIL−13Rを過剰発現する細胞培養物における、様々な時間間隔(X軸)での1日の特異的グルコース消費率(Y軸;Qglc[g/e細胞/日])を示す。 37.0℃、33.0℃、32.0℃、31.0℃、29.0℃、または室温で増殖させた時の、sIL−13Rを過剰発現する細胞培養物における、様々な時間間隔(X軸)での1日の特異的グルタミン消費率(Y軸;Qgln[mmol/e9細胞/日])を示す。 37.0℃[◆]、33.0℃[■]、32.0℃[●]、31.0℃[◇]、29.0℃[△]、または室温[□]で増殖させた時の、sIL−13Rを過剰発現する細胞の細胞培養培地における、時間(X軸;培養時間[日])に対するラクテート濃度(Y軸;ラクテート[g/L])を示す。 37.0℃[◆]、33.0℃[■]、32.0℃[●]、31.0℃[◇]、29.0℃[△]、または室温[□]で増殖させた時の、sIL−13Rを過剰発現する細胞の細胞培養培地における、時間(X軸;培養時間[日])に対するアンモニウム濃度(Y軸;アンモニア[mM])を示す。 sIL−13Rを過剰発現する細胞の培養9日目における、HMWAの産生(Y軸;%高分子量種)に対する細胞培養物温度(X軸;産生時の温度[℃])の効果を表す。 sIL−13Rを過剰発現する細胞の培養18日目における、HMWAの産生(Y軸;%高分子量種)に対する細胞培養物温度(X軸;産生時の温度[℃])の効果を示す。 それぞれ37.0℃[◆]、33.0℃[■]、32.0℃[●]、31.0℃[◇]、29.0℃[△]、または室温[□]で増殖させた時の、時間(X軸;培養時間[日])に対する、sIL−13R過剰発現細胞の馴化培地で産生された総sIL−13Rタンパク質から回収されるsIL−13R二量体の割合(Y軸;%sIL−13R二量体)を示す。 sIL−13R過剰発現細胞の馴化培地における、時間(X軸;培養時間[日])に対する全sIL−13RにおけるHMWAの割合(Y軸;%高分子量種)を示す。 細胞をそれぞれ37.0℃[◆]、33.0℃[■]、32.0℃[●]、31.0℃[◇]、29.0℃[△]、または室温[□]で増殖させた時の、時間(X軸;培養時間[日])に対する馴化培地中のsIL−13R二量体力価(Y軸;sIL−13R二量体のみ[mg/L])を示す。
哺乳類の細胞培養物において治療用タンパク質を製造するためには、一般的に、産生期
中の温度は少なくとも30.0℃、かつpHは少なくとも7.00でなければならないと
考えられている。しかしながら、産生期中に30.0℃を超える温度および7.00より
高いpHで細胞培養物中において細胞を増殖させた場合、タンパク質の凝集(本明細書に
おいては、高分子量凝集体形成またはHMWA形成とも呼ぶ)及びタンパク質のミスフォ
ールディングの増加を引き起こす場合があり、したがって、より低い量の機能性で使用可
能なタンパク質が産生され得る。
本発明は、細胞培養物においてタンパク質を製造の新規の方法であってタンパク質のミ
スフォールディングおよび/またはタンパク質の凝集を低減する方法を提供する。他の態
様においては、本発明は、タンパク質のグリコシル化のレベルを制御する方法を提供する
本発明の方法によって製造されたタンパク質
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」または「ポリペプチド産物」なる語句は
、それぞれ、「タンパク質」および「タンパク質産生」なる用語と同義であり、一般的に
、当技術分野において、連続したペプチド結合を介して結合したアミノ酸の少なくとも1
つの鎖を意味する。ある特定の実施形態において、「対象となるタンパク質」または「対
象となるポリペプチド」などは、宿主細胞にトランスフェクトまたはトランスフォームさ
れた、例えば宿主細胞に一過性的にまたは安定的にトランスフェクトまたはトランスフォ
ームされた、外因性核酸分子によってコード化されるタンパク質である。ある特定の実施
形態において、宿主細胞にトランスフェクトまたはトランスフォームされた外因性DNA
が「対象となるタンパク質」をコードする場合、当該外因性DNAの核酸配列がアミノ酸
の配列を決定する。この配列は、自然に生じる配列であっても、あるいは人為的に設計さ
れた配列であってもよい。ある特定の実施形態において、「対象となるタンパク質」は、
宿主細胞の内因性核酸分子によってコード化されるタンパク質である。そのような対象と
なる内因性タンパク質の発現は、例えば、1つ以上の調節配列を含み得る外因性核酸分子
および/または対象となるタンパク質の発現を高めるタンパク質をコード化し得る外因性
核酸分子を、宿主細胞にトランスフェクトすることによって変えることができる。本発明
の実施形態において、対象となるポリペプチドは、細胞培養物において産生され、例えば
、その後に精製される。
「糖タンパク質」および「グリコシル化タンパク質」などの用語は、タンパク質のアス
パラギン側鎖(N−グリコシル化)あるいはセリン側鎖および/またはトレオニン側鎖(
O−グリコシル化)のいずれかに結合した糖残基、例えばオリゴ糖部分、を有するタンパ
ク質を意味する。例えば、一般的な種類のタンパク質N−グリコシル化としては、タンパ
ク質シアリル化(N−グリカンシアリル化としても知られている)が挙げられる。分泌タ
ンパク質および膜タンパク質(例えば、膜レセプター)の大部分は、ERおよび/または
ゴルジ体においてグリコシル化される。グリコシル化が、ERにおけるタンパク質のフォ
ールディングと放出を制御することは、当技術分野において公知である。その上、グリコ
シル化/脱グリコシル化のいくつもの段階がゴルジ体において生じる。ERおよびゴルジ
体の両方におけるタンパク質のグリコシル化過程について現在わかっていることは、He
lenius et al.(2001) Science 291:2364−69、
Parodi(2000) Biochem.J.348:1−13、およびParod
i(2000) Annu.Rev.Biochem.69:69−93に概説されてい
る。したがって、本発明のある特定の実施形態において、対象となるポリペプチドは、対
象となる糖タンパク質であり、当該対象となる糖タンパク質は、細胞培養物において産生
され、例えば、その後精製される。本発明のある実施形態において、対象となる糖タンパ
ク質は、レセプターであり、可溶性レセプターであってもよい。
本発明の方法および組成物は、これに限定されるものではないが、医薬用特性、診断用
特性、農業用特性、並びに/あるいは商業用途、実験用途、および/または他の用途にお
いて有用な様々な他の特性のいずれかを有するタンパク質などの、任意の対象となるタン
パク質を製造するために使用することができる。加えて、対象となるタンパク質は、タン
パク質治療薬であってもよい。すなわち、タンパク質治療薬(または治療用タンパク質)
は、体のある領域に対して生物学的効果を有するタンパク質であり、その領域において機
能するか、あるいはその領域から離れて中間体を介して機能する。ある特定の実施形態に
おいて、本発明の方法および/または組成物を用いて製造されたタンパク質は、治療用タ
ンパク質として対象者に投与される前に、処理および/または修飾してもよい。
本発明は、例えば、製薬的又は商業的に関連する酵素、レセプター、レセプター融合物
、可溶性レセプター、可溶性レセプター融合物、抗体(例えば、モノクローナル抗体およ
び/またはポリクローナル抗体)、抗体の抗原結合性断片、Fc融合タンパク質、SMI
P、サイトカイン、ホルモン、調節因子、成長因子、凝固因子/凝固因子、または抗原結
合性薬剤など、任意の治療用タンパク質の有利な製造のための細胞を培養するために使用
することができる。上に列挙したタンパク質は、単なる例示であり、限定するためのもの
ではない。当業者であれば、本発明に従って製造することができる他のタンパク質を知っ
ているであろうし、そのようなタンパク質を製造するために本明細書に開示された方法を
用いることができるであろう。
「抗体」なる用語は、少なくとも1つの、通常は2つのVHドメインもしくはその一部
、および/または、少なくとも1つの、通常は2つのVLドメインもしくはその一部、を
有する蛋白を含む。ある特定の実施形態において、抗体は、2本の免疫グロブリン重鎖お
よび2本の免疫グロブリン軽鎖からなる四量体であり、この場合、免疫グロブリンの重鎖
と軽鎖とが、例えばジスルフィド結合によって、相互接続している。抗体またはその一部
は、これに限定されるものではないが、げっ歯類、霊長類(例えば、ヒトおよび非ヒトの
霊長類)、ラクダ科、サメをはじめとするいずれかの由来から得ることができ、同様に、
組み換えによる例えばキメラ化した製造、ヒト化、および/またはインビトロにおいて、
例えば当業者に周知の方法によって発生させることもできる。
さらに、本発明は、「抗体の抗原結合断片」を包含し、その例としては、(i)Fab
断片、すなわち、VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、およびCH1ドメインか
らなる一価の断片;(ii)F(ab’)2断片、すなわち、ヒンジ領域においてジスル
フィド結合によって連結されている2つのFab断片を含む二価の断片;(iii)VH
ドメインおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLドメ
インおよびVHドメインからなるFv断片;(v)dAb断片、これは、VHドメインか
らなる;(vi)ラクダまたはラクダ化の可変ドメイン、例えば、VHHドメイン;(v
ii)単鎖Fv(scFv);(viii)二重特異性抗体;ならびに(ix)Fc領域
に融合した、免疫グロブリンの1つ以上の抗原結合性断片、が挙げられる。さらに、Fv
断片の2つのドメインであるVLおよびVHは、別々の遺伝子によってコードされるが、
それらは、組換えの方法を用いて、それらをVL領域およびVH領域の対が一価の分子(
単鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al.(1988
) Science 242:423−26;Huston et al.(1988)
Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A.85:5879−83を参照
のこと)を形成している単一のタンパク質鎖として作製することができる合成リンカーに
よってつなぎ合わせることができる。そのような単鎖の抗体も、抗体の「抗原結合断片」
なる用語の範囲内に包含されることが意図される。これらの抗体断片は、当業者に公知の
従来の技術を用いて得ることができ、当該断片は、完全な状態の抗体の場合と同様にして
機能を評価される。
さらに、本発明は、単一ドメイン抗体を包含する。単一ドメイン抗体は、単一ドメイン
ポリペプチドの一部である相補性決定領域を有する抗体を含み得る。例としては、重鎖抗
体、天然に軽鎖が欠けている抗体、従来型四本鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、改変
抗体、および抗体に由来するもの以外の単一ドメインスカフォールドなどが挙げられるが
、これに限定されるものではない。単一ドメイン抗体は、当分野のいずれかの単一ドメイ
ン抗体、又は任意の将来の単一ドメイン抗体であってもよい。単一ドメイン抗体は、マウ
ス、ヒト、ラクダ、ラマ、ヤギ、ウサギ、ウシ、およびサメを含む任意の種に由来し得る
が、これらに限定されるものではない。本発明の1つの態様によると、本明細書において
使用される場合、単一ドメイン抗体は、軽鎖が欠けている重鎖抗体として公知の、自然発
生的な単一ドメイン抗体である。そのような単一ドメイン抗体は、例えば、国際公開第9
404678号において開示されている。明確にするために、本明細書では、四本鎖免疫
グロブリンの従来型VHと区別して、この天然に軽鎖が欠けている重鎖抗体由来の可変ド
メインをVHHまたはナノボディと呼ぶ。そのようなVHH分子は、ラクダ科種、例えば
、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルカパ、およびグアナコにおいて産生された抗体に
由来してもよい。ラクダ科以外の他の種が、天然で軽鎖が欠けている重鎖抗体を生成する
場合もあり、そのようなVHHは、本発明の範囲内に含まれる。さらに、単一ドメイン抗
体は、サメIgNARを含む(例えば、Dooley et al.,Proc.Nat
l.Acad.Sci. U.S.A.,103:1846−1851(2006)を参
照のこと)。
「二重特異性」抗体または「二機能性」抗体を除き、抗体は、その各結合部位が全く同
一であると理解される。「二重特異性」または「二機能性抗体」は、2つの異なる重鎖/
軽鎖の対および2つの異なる結合部位を有する人為的なハイブリッド抗体である。二重特
異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結をはじめとする、様々な方
法によって生成することができる。例えば、Songsivilai & Lachma
nn, Clin.Exp.Immunol.79:315−321(1990);Ko
stelny et al.,J.Immunol.148,1547−1553(19
92)を参照のこと。
実施形態において、タンパク質が抗体またはそれらの断片の場合、それらは、少なくと
も1つ、もしくは2つの全長重鎖、および少なくとも1つ、もしくは2つの軽鎖を含み得
る。あるいは、抗体またはそれらの断片は、抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab
’)2、Fv、又は一本鎖Fv断片など)のみを含み得る。当該抗体またはそれらの断片
は、モノクローナル抗体または単一特異性抗体であってもよい。抗体またはそれらの断片
は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、CDRグラフト化抗体、又はインビトロ発生抗
体であってもよい。さらに他の実施形態において、当該抗体は、例えばIgG1、IgG
2、IgG3、またはIgG4から選択される重鎖定常領域を有する。別の実施形態にお
いて、当該抗体は、例えばκ又はλから選択される軽鎖を有する。一実施形態において、
抗体の特性を改変するために(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン
残基の数、エフェクター細胞機能、または補体機能の1つ以上を増加又は減少させるため
に)、当該定常領域を変化、例えば変異させる。通常は、抗体またはそれらの断片は、同
定済みの抗原、例えば神経変性疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、および
/または悪性疾患などの疾患に関連する抗原、に特異的に結合する。
本明細書に記載のタンパク質はさらに、必要に応じて、例えば、安定性、エフェクター
細胞機能、または補体結合の1種以上を増強する部分を含んでいてもよい。例えば、抗体
または抗原結合タンパク質はさらに、ペグ化部分、アルブミン、あるいは重鎖および/ま
たは軽鎖の定常領域を含んでいてもよい。
抗体は、一般的に、例えば、従来のハイブリドーマ技術(Kohler et al.
,Nature 256:495 499(1975))、組換えDNA法(米国特許第
4,816,567号)、または抗体ライブラリーを使用するファージディスプレー技術
(Clackson et al.,Nature 352:624 628(1991
);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581 597(19
91))によって作製される。他の様々な抗体生成技術については、Antibodie
s:A Laboratory Manual,eds.Harlow et al.,
Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと
さらに、検出可能な標識または機能性標識によって抗体をタグ付けすることもできる。
これらの標識としては、放射性標識(例えば、131Iまたは99Tc)、酵素標識(例
えば、ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)、および他の化学的部分
(例えば、ビオチン)が挙げられる。
「低分子免疫薬学的」または(SMIP(商標))薬物(Trubion Pharm
aceuticals社、Seattle、WA)は、抗原またはカウンターレセプター
などの同族構造に対する結合ドメイン、1つのシステイン残基を有するかもしくは有さな
いヒンジ領域ポリペプチド、並びに免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインから構成
される一本鎖ポリペプチドである(www.trubion.comも参照のこと)。S
MIPならびにそれらの使用および用途については、例えば、米国特許出願第2007/
002159号、同第2003/0118592号、同第2003/0133939号、
同第2004/0058445号、同第2005/0136049号、同第2005/0
175614号、同第2005/0180970号、同第2005/0186216号、
同第2005/0202012号、同第2005/0202023号、同第2005/0
202028号、同第2005/0202534号、および同第2005/023864
6号、ならびにそれらの関連特許ファミリーパテントにおいて開示されている。なお、こ
れらすべては、参照によりその全体が本明細書に援用されるものとする。
本発明の一実施形態において、対象となるタンパク質は、可溶性レセプター、例えば可
溶性レセプター融合タンパク質である。膜タンパク質、例えばレセプター、は、通常、グ
リコシル化タンパク質である。したがって、本発明の方法は、凝集しておらず適正にフォ
ールドされたグリコシル化可溶性レセプター融合タンパク質の製造において特に有益であ
る。
可溶性タンパク質、例えば可溶性レセプター、は、当技術分野において周知の方法によ
って製造することができる。本発明の一実施形態において、可溶性レセプターは、レセプ
ターの細胞外領域、またはレセプターの細胞外領域の断片を含む。本発明の別の実施形態
において、可溶性レセプターは、2つのポリペプチドを含む。第一のポリペプチドは、全
長レセプターを含むか、あるいは、第一のポリペプチドは、レセプターの全長より短い部
分、例えばレセプターの細胞外部分、を含む。本発明の一実施形態において、第一のポリ
ペプチドは、全長サイトカインレセプターを含むか、あるいは、第一のポリペプチドは、
サイトカインレセプターの全長より短い部分、例えばサイトカインレセプターの細胞外部
分、を含む。さらに、そのような可溶性レセプターは、さらなるポリペプチド、例えば、
GST、Lex−A、MBPポリペプチド配列、あるいは、Fc断片や、IgG1、Ig
G2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEなどの
様々なイソタイプの重鎖定常領域などをはじめとする免疫グロブリン鎖、なども含んでい
てもよい。
本発明の一実施形態において、第二のポリペプチドは、好ましくは可溶性である。いく
つかの実施形態において、第二のポリペプチドは、結合しているポリペプチドの半減期、
(例えば、血漿半減期または循環半減期)を延長する。好ましい実施形態において、第二
のポリペプチドは、少なくとも免疫グロブリンポリペプチドの領域を含む。免疫グロブリ
ン融合ポリペプチドは、当技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,516
,964号;同第5,225,538号;同第5,428,130号;同第5,514,
582号;同第5,714,147号;および同第5,455,165号に記載されてい
る。可溶性融合タンパク質は、産生中に凝集の影響を受けやすいことが知られており、し
たがって、本発明による方法は、この種のタンパク質を産生する細胞培養物に関して、特
に有益である。
いくつかの実施形態において、第二のポリペプチドは全長免疫グロブリンポリペプチド
を含む。あるいは、第二のポリペプチドは、全長より短い免疫グロブリンポリペプチド、
例えば、重鎖、軽鎖、Fab、Fab、Fv、またはFcなど、を含む。第二のポリペ
プチドは、免疫グロブリンポリペプチドの重鎖を含み得る。第二のポリペプチドは、免疫
グロブリンポリペプチドのFc領域を含み得る。
本発明の一実施形態において、可溶性レセプター融合タンパク質は、腫瘍壊死因子イン
ヒビターを含む。ある特定の実施形態において、腫瘍壊死因子インヒビターは、腫瘍壊死
因子αおよびβレセプター(TNFR−1:1991年3月20日に公開された欧州特許
第417,563号;およびTNFR−2:1991年3月20日に公開された欧州特許
第417,014号、これらはいずれも、参照によりその全体が本明細書に援用されるも
のとする)の形態において、本発明の系および方法により発現する(概説に関しては、N
aismith and Sprang,J.Inflamm.47(1−2):1−7
,1995−96を参照のこと。なお、この文献は、参照によりその全体が本明細書に援
用されるものとする)。いくつかの実施形態により、腫瘍壊死因子インヒビターは、可溶
性TNF(tumor necrosis factor)レセプターを含む。ある特定
の実施形態において、本発明のTNFインヒビターは、TNFRIおよびTNFRIIの
可溶性形態である。ある特定の実施形態において、本発明のTNFインヒビターは、可溶
性TNF結合タンパク質である。ある特定の実施形態において、本発明のTNFインヒビ
ターは、TNFR融合タンパク質、例えば、TNFR−IgまたはTNFR−Fcなど、
である。本明細書で使用する場合、「エタネルセプト」は、TNFR−Fcを意味し、こ
れは、p75TNF−αレセプターの細胞外部分の2つの分子の二量体であり、この各分
子は、ヒトIgG1の235アミノ酸Fc部分から成る。本発明により、TNFR−Fc
を発現する細胞は、TNFR−Fcの産生中におけるミスフォールドされたタンパク質お
よび/または高分子量凝集体の量を減らすため、低温および/または低pHで細胞培養物
において培養される。ある特定の実施形態において、TNFR−Fcを発現する細胞は、
TNFR−Fcの産生中のグリコシル化を調整するため、低温および/または低pHで細
胞培養物において培養される。
本発明の他の実施形態において、当該可溶性レセプター融合タンパク質は、sIL−1
3Rである。本明細書で使用される場合、可溶性IL−13レセプター(sIL−13R
:soluble IL−13 receptor)は、ヒトインターロイキン(IL:
interleukin)−13−α2レセプターの細胞外ドメイン(ECD:extr
acellular domain)とヒトIgG1重鎖のFc領域を含む組み換え融合
タンパク質を意味する。sIL−13Rは、2つの同一のポリペプチド鎖で構成され(す
なわち、2つのポリペプチド鎖の二量体)、これは、分子間ジスルフィド結合によって結
合しているようである。sIL−13R可溶性レセプター融合タンパク質およびその使用
については、米国特許第5,710,023号において開示されている。なお、ここの文
献は、参照によりその全体が本明細書に援用されるものとする。
いくつかの実施形態において、第二のポリペプチドは、野生型免疫グロブリン重鎖のF
c領域のエフェクター機能より少ないエフェクター機能を有する。Fcエフェクター機能
としては、例えば、Fcレセプター結合性、補体結合、およびT細胞枯渇活性などが挙げ
られる(例えば、米国特許第6,136,310号を参照のこと)。T細胞枯渇活性、F
cエフェクター機能、および抗体安定性を分析評価する方法は、当技術分野において公知
である。一実施形態において、第二のポリペプチドは、Fcレセプターに対して親和性が
低いかもしくは親和性を有しない。別の実施形態において、第二のポリペプチドは、補体
タンパク質C1qに対して親和性が低いかもしくは親和性を有しない。
融合タンパク質、例えば可溶性レセプター融合タンパク質、は、可溶性レセプターまた
はその断片を第二の部分に接続するリンカー配列をさらに含んでいてもよい。例えば、融
合たんぱく質は、ペプチドリンカー、例えば、約2〜20、より好ましくは約5〜10、
の長さのアミノ酸のペプチドリンカー、を含んでいてもよい。
他の実施形態において、発現、検出、および/または単離もしくは精製を容易にするた
めに、さらなるアミノ酸配列を融合タンパク質のN−末端またはC−末端に付加させるこ
とができる。例えば、可溶性レセプター融合タンパク質を、1つ以上のさらなる部分、例
えば、GST、His6タグ、FLAGタグなど、に結合させてもよい。例えば、融合タ
ンパク質を、さらに、融合タンパク質配列がGST(すなわち、グルタチオンS−トラン
スフェラーゼ)配列のC−末端に融合しているGST融合タンパク質に結合させてもよい
。そのような融合タンパク質は、可溶性を促進することができ、すなわち、正確なフォー
ルディングを増加させ、したがって、融合タンパク質の精製を向上させ得る。
細胞培養物におけるタンパク質製造方法
「培養物」および「細胞培養物」なる用語は、本明細書で使用される場合、細胞集団の
生存および/または増殖に好適な条件下において細胞培養培地に接触している細胞集団を
意味する。本明細書で使用される場合、これらの用語は、細胞集団(例えば、動物細胞培
養物)および当該細胞集団が接触している培地を含む組み合わせを意味する。
本発明において使用される細胞は、組換え型宿主細胞、例えば、真核生物宿主細胞、す
なわち、対象となるポリペプチドをコード化する核酸を含む発現コンストラクトでトラン
スフェクトされた細胞、であってもよく、例えば、動物細胞が挙げられる。「動物細胞」
なる語句は、無脊椎動物、非哺乳類脊椎動物(例えば、鳥類、爬虫類、および両生類)、
並びに哺乳動物の細胞を包含する。無脊椎動物細胞の非限定的な例としては、以下の昆虫
:Spodoptera frugiperda(毛虫)、Aedes aegypti
(蚊)、Aedes albopictus(蚊)、Drosophila melan
ogaster(みばえ)、およびBombyx mori(カイコ/絹ガ)の細胞を含
む。好ましい実施形態において、細胞培養物は、哺乳動物細胞培養物である。
多くの哺乳動物細胞株が、対象となるポリペプチドの組み換え発現に好適な宿主細胞で
ある。哺乳動物宿主細胞株としては、例えば、COS、PER.C6、TM4、VERO
076、MDCK、BRL−3A、W138、Hep G2、MMT、MRC5、FS4
、CHO、293T、A431、3T3、CV−1、C3H10T1/2、Colo20
5、293、HeLa、L細胞、BHK、HL−60、FRhL2、U937、HaK、
Jurkat細胞、Rat2、BaF3、32D、FDCP−1、PC12、M1x、マ
ウスミエローマ(例えば、SP2/0およびNS0)、並びにC2C12細胞、同様に、
トランスフェクトされた霊長類細胞株、ハイブリドーマ、正常二倍体細胞、並びに第1次
組織および初代移植体のインビトロ培養物に由来する細胞株が挙げられる。対象となるポ
リペプチドを発現することのできる任意の真核細胞が、開示された方法において使用する
ことができる。多くの細胞株が商業的な供給元、例えば、アメリカン・タイプ・カルチャ
ー・コレクション(ATCC:American Type Culture Coll
ection)など、から入手可能である。本発明の一実施形態において、細胞培養物、
例えば大規模細胞培養物など、にCHO細胞を用いる。
ある特定の実施形態において、当該細胞培養物は、哺乳動物細胞を含むが、当業者であ
れば、酵母などの下等真核生物において、あるいはバクテリアなどの原始核細胞において
、対象となるポリペプチドを、組み換えにより製造することが可能であることを理解する
であろう。当業者であれば、酵母およびバクテリアの細胞培養物のための培養条件は、動
物細胞の培養条件と異なっているであろうことを知っているであろうし、これらの条件を
、細胞増殖および/またはタンパク質産生を最適化するために、どのように調整しなけれ
ばならないかを理解するであろう。
好適な菌株には、Escherichia coli、Bacillus subti
lis、Salmonella typhimurium、または対象となるポリペプチ
ドを発現することのできる任意の菌株が含まれる。バクテリアにおける発現は、その結果
として当該組み換えタンパク質を組み込む封入体の形成を生じ得る。したがって、組み換
えタンパク質のリフォールディングは、活性物質もしくはより活性な物質を産生するため
に必要であり得る。正しくにフォールドされた異種タンパク質をバクテリアの封入体から
得るためのいくつかの方法が、当技術分野において公知である。これらの方法は、一般的
に、封入体から当該タンパク質を可溶化する工程、次いでカオトロピック試薬を使用して
当該タンパク質を完全に変性させる工程を含む。システイン残基が当該タンパク質の一次
アミノ酸配列中に存在する場合、ジスルフィド結合の正しい形成を可能にする環境(レド
ックス系)において当該リフォールディングを達成することが、しばしば必要である。リ
フォールディングの一般的な方法は、当技術分野において公知であり、例えば、Kohn
o(1990) Meth.Enzymol.185:187−95、欧州特許第043
3225号、及び米国特許第5,399,677号において開示されている。
ポリペプチド産生のために好適な酵母株には、Saccharomyces cere
visiae、Schizosaccharomyces pombe、Pichia
pastoris、Kluyveromyces属株、Candida、または対象とな
るポリペプチドを発現することのできる任意の酵母株が含まれる。
「バイオリアクター」なる用語は、本明細書で使用される場合、真核性細胞培養物、例
えば、動物細胞培養物(例えば、哺乳動物細胞培養物)の増殖に使用される任意の容器を
意味する。バイオリアクターは、細胞、例えば哺乳動物細胞、の培養に有用である限り、
任意のサイズであってよい。通常、バイオリアクターは、少なくとも30mlであるが、
少なくとも1、10、100、250、500、1000、2500、5000、800
0、10,000、12,000リットル以上、あるいは任意の中間的容量であってもよ
い。バイオリアクターの内部条件、例えば、これに限定されるものではないが、pHおよ
び温度などは、通常、培養期間中において制御される。「製造用バイオリアクター」なる
用語は、本明細書で使用される場合、対象となるポリペプチドおよびタンパク質の製造に
おいて使用される最終的なバイオリアクターを意味する。大規模な細胞培養物の製造用バ
イオリアクターの容量は、一般的に約100mlより大きく、通常は、少なくとも約10
リットルであり、500、1000、2500、5000、8000、10,000、1
2,000リットル以上、あるいは任意の中間的容量であってもよい。好適なバイオリア
クターまたは製造用バイオリアクターは、本発明の培養条件下において培地中に懸濁して
いる細胞培養物を保持するのに好適であり、かつ細胞の増殖および生存の助けとなる任意
の材料、例えば、ガラス、プラスチック、または金属など、から構成され(すなわち、構
築され)ていてもよく、すなわち、当該材料(単数または複数)は、製造された産物、例
えば治療用タンパク質産物、の発現または安定性を妨げてはならない。当業者であれば、
本発明の実施における使用に好適なバイオリアクターについて知っているであろうし、選
択することができるであろう。
「培地」、「細胞培養培地」、および「培養培地」なる用語は、本明細書で使用される
場合、増殖する動物細胞、例えば哺乳動物細胞、に栄養分を与える栄養物を含有する溶液
を意味し、さらに細胞との組み合わせにおける培地も意味し得る。「接種培地」なる用語
は、細胞培養物を形成するために使用される培地を意味する。接種培地は、細胞増殖期の
他の期間に使用される培地と組成が異なっていても、または異なっていなくてもよい。通
常、培地溶液は、これに限定されるものではないが、少なくとも最小限の増殖および/ま
たは生存のために細胞によって必要とされる、必須および非必須アミノ酸、ビタミン、エ
ネルギー源、脂質、および微量元素を提供する。さらに、当該溶液は、ホルモンおよび成
長因子などの、最小限の速度を超えて成長および/または生存を高める成分を含有してい
てもよい。当該溶液は、好ましくは、細胞の生存および増殖のために最適なpHおよび塩
濃度に処方される。少なくとも一実施形態において、当該培地は、規定培地である。規定
培地は、その中の全ての成分が既知の化学構造を有する培地である。本発明の他の実施形
態において、当該培地は、任意の供給源もしくは当技術分野において公知の方法に由来す
るアミノ酸(単数または複数)を含有していてもよく、その例としては、これに限定され
るものではないが、単一アミノ酸付加物(単数または複数)またはペプトンもしくはタン
パク質加水分解付加物(単数または複数)(動物性供給源または植物性供給源を含む)の
いずれかに由来するアミノ酸(単数または複数)が挙げられる。本発明のさらに別の実施
形態において、細胞増殖期に使用される培地は、濃縮培地、すなわち、培養に通常必要と
され、かつ通常供給される濃度より高い濃度の栄養物を含有する培地、を含有してもよい
。当業者であれば、どのような細胞媒質、接種媒質等が、特定の細胞、例えば動物細胞(
例えば、CHO細胞)を培養するために適切であるか、並びにグルコースおよび他の栄養
物(例えば、グルタミン、鉄分、微量D元素)の量、あるいは培地が含有すべき、他の培
養変数(例えば、発泡量、オスモル濃度)を制御するように設計された薬剤の量について
認識するであろう(例えば、Mather,J.P.,et al.(1999) ”C
ulture media,animal cells,large scale pr
oduction,” Encyclopedia of Bioprocess Te
chnology:Fermentation,Biocatalysis,and B
ioseparation,Vol.2:777−85、米国特許出願公開第2006/
0121568号を参照のこと。なお、これにより、この両文献は、参照によりその全体
が本明細書に援用されるものとする)。さらに、本発明は、そのような既知の媒質の変形
、例えば、そのような媒質の栄養物リッチな変形なども想到する。本明細書で使用される
場合、「細胞密度」なる用語は、培地の所定量中に存在する細胞の数を意味する。本明細
書で使用される場合、「生存細胞密度」なる用語は、所定の一連の実験条件下において、
培地の所定量中に存在する生きた細胞の数を意味する。
本明細書で使用される場合、「細胞生存率」なる用語は、所定の一連の培養条件下また
は実験変量下において生存するための培養物における細胞の能力を意味する。さらに、本
明細書で使用される場合、当該用語は、特定の時期に培養物中において生存している細胞
及び死んでいる細胞の総数に対する、その時期に生存している細胞の割合も意味する。
本明細書で使用される場合、「統合生存細胞密度」、「統合生存細胞数」、または「I
VC(integrated viable cell)」なる用語は、培養期間中の生
存細胞の平均密度に、培養を行った期間を乗じたものを意味する。産生されるタンパク質
の量が、培養期間中に存在する生存細胞の数に比例する場合、統合生存細胞密度は、培養
期間中に産生されるタンパク質の量を見積もるための有用なツールである。
本発明の方法は、バッチ培養、流加培養、潅流培養、修正流加培養(米国特許仮出願第
60/954,922号を参照のこと)、バッチ再供給培養、またはそれらの任意の組み
合わせにおいて増殖される細胞に適切である。
本明細書で使用される場合、「バッチ培養」なる用語は、細胞の培養において最終的に
使用されるであろう、培地および細胞自体も含む全ての成分を培養工程の最初に供給する
、細胞の培養方法を意味する。バッチ培養は、通常は、ある時点で停止して、培地中の細
胞および/または成分を収穫し、必要に応じて精製する。
本明細書で使用される場合、「流加培養」なる用語は、追加的な成分を、培養工程開始
後のある時点で培養物に供給する、細胞の培養方法を意味する。供給される成分は、通常
、培養工程中に消費されてしまった細胞のための栄養補給剤を含む。流加培養は、通常は
、ある時点で停止して、培地中の細胞および/または成分を収穫し、必要に応じて精製す
る。
本明細書で使用される場合、「潅流培養」なる用語は、培養物に対して(培養工程開始
後に)、ある期間にわたって連続的に、又はある期間に断続的に、追加的な新鮮な培地を
供給し、同時に消費された培地を除去する、細胞の培養方法を意味する。当該新鮮な培地
は、通常、培養工程中に消費されてしまった細胞のための栄養補給剤を提供する。消費さ
れた培地中に存在し得るポリペプチド産物は、必要に応じて精製してもよい。さらに、潅
流によって、バイオリアクター中で増殖する細胞培養物からの細胞の老廃物の除去(フラ
ッシング)も可能になる。
本明細書で使用される場合、「修正流加培養」なる用語は、流加培養法と潅流培養法の
両方を組み合わせた、細胞の培養方法を意味する。修正流加培養法は、米国特許仮出願第
60/954,922号に記載されている。なお、当該文献は、参照によりその全体が本
明細書に援用されるものとする。
さらに、本発明は、バッチ再供給法で実施することもできる。低pHは、この種の細胞
培養物において、タンパク質のミスフォールディングおよび/または凝集、並びにグリコ
シル化の修正に対して良好な制御方法を提供すると考えられる。
本発明の一実施形態において、当該方法は、最初に細胞培養物の増殖期中に接種培地に
よって細胞培養物を接種する工程、それに続いて細胞を産生期に切り替える工程を含み、
この場合、細胞培養物の温度及び/又はpHは、低温及び/又は低pHに調節される。本
明細書で使用される場合、増殖期は、細胞が増殖してタンパク質産生に最適な細胞密度を
達成する、細胞培養物における段階を意味する。
別の実施形態では、増殖期に続いて、細胞を産生期へと切り替えてもよく、これは、増
殖期とは異なる温度および/または異なるpH、例えば、低温及び/又は低pHで生じ得
る。実施形態において、細胞培養物は、接種後1日で増殖期から産生期へと切り替えるこ
とができる。他の実施形態では、細胞培養物は、接種後5日で増殖期から産生期へと切り
替えることができる。細胞培養物を増殖期から産生期へと切り替える場合、その移行は比
較的ゆるやかであってもよい。あるいは、急激に移行してもよい。緩やかにシフトする場
合、温度および/またはpHを着実に調節することができる、例えば低下させることがで
きる。あるいは、温度及び/又はpHを不連続な間隔で調整することもできる。
細胞培養物の産生期は、細胞が、対象となるポリペプチド、例えば治療用タンパク質、
を産生するのに最適な条件下で当該細胞を増殖させる、細胞培養物における段階である。
産生期において、細胞培養物の低温及び/又は低pHは、細胞培養物が生存し続ける温度
および/またはpH、高濃度のタンパク質が産生される温度および/またはpH、代謝老
廃物、例えば乳酸およびアンモニア、の産生及び蓄積が最小となる温度および/またはp
H、タンパク質の産生品質が適切に制御される温度および/またはpH、および/または
これらの要因もしくは実施者が重要であると考える他の要因の任意の組み合わせに基づい
て選択することができる。
本発明の別の実施形態において、本発明の方法は、産生期の初期において温度またはp
Hのシフトが必要ないような、低温および/または低pHで細胞培養物を接種する工程を
含む。熟練者であれば、温度およびpHが、設定された温度およびpHの設定値から逸脱
することのないように、細胞培養物の温度およびpHを監視するであろう。例えば、熟練
者であれば、塩基、例えば炭酸ナトリウム塩基、を使用して、培養物が下記の設定pHか
ら逸脱するのを防ぐであろう。
本明細書の下記の実施例において、細胞培養培地は、目標のpH設定値より高いpHで
開始しており、pH設定値への細かな調節は行っていない。ただし、当業者によって理解
されるように、細胞培養の経過中のpH調節の使用を含んでもよい。同様に、調節を行わ
ずに培養を低温で開始することも可能である。例えば、本方法は、産生期のみを含んでも
よい。
本明細書で使用される場合、「低温」は、その種類の細胞の細胞増殖のための従来の温
度(細胞が典型的に増殖する温度)より低い温度を意味する。例えば、本発明の実施形態
において、細胞が哺乳動物細胞の場合、産生期の細胞培養物は、好ましくは24.0℃〜
30.0℃未満の範囲であり、より好ましくは27.0℃〜30.0℃未満の範囲である
。例えば、細胞培養物の低温は、24.0℃、24.5℃、25.0℃、25.5℃、2
6.0℃、26.5℃.27.0℃、27.5℃、28.0℃、28.5℃、29.0℃
、29.5℃、29.6℃、29.7℃、29.8℃、および29.9℃である。本明細
書に記載されている本発明の最も好ましい実施形態において、細胞培養物の低温は、約2
9.5℃である。哺乳動物以外の細胞に対する低温は、当業者により個別に決定され得る
本明細書で使用される場合、「低pH」は、特定の細胞種の細胞増殖のための従来のp
H(細胞が典型的に増殖するpH)より低いpH設定値を意味する。本発明の実施形態に
おいて、細胞が哺乳動物細胞の場合、産生期の細胞培養物の低pHは、7.00未満であ
る。本発明の実施形態において、細胞培養物の低pHは、6.50〜7.00未満の範囲
、好ましくは6.80〜7.00未満の範囲である。例えば、細胞培養物の低pHは、6
.80、6.85、6.90、6.95、6.96、6.97、6.98、および6.9
9である。本発明の最も好ましい実施形態において、細胞培養物の低pHは、約6.95
である。哺乳動物以外の細胞に対する低pHは、当業者により、個別に決定され得る。
当業者であれば、細胞培養物の細胞の種類に応じて、従来温度および従来pH(低温お
よび低pHと区別して)が異なることは理解するであろう。例えば、ほとんどの哺乳動物
細胞、例えばCHO細胞、のための従来温度および従来pHは、それぞれ、30.0℃よ
り上(例えば、37.0℃)、および7.00より上(例えば、7.20)である。さら
に、当業者であれば、他の細胞種、例えば昆虫の細胞、のための従来温度および従来pH
は、哺乳動物細胞の従来の温度と異なっているため、本発明の方法は、そのような細胞に
対しては、異なる低温および異なる低pHが用いられることは理解されるであろう。
本発明のある特定の実施形態において、実施者は、増殖する細胞培養物の特定の状態を
定期的に監視することが有益または必要であることを見出し得る。非限定的な実施例の場
合、例えば、温度、pH、溶存酸素、細胞密度、細胞生存率、統合生存細胞密度、ラクテ
ート濃度、アンモニア濃度、グルコース濃度、グルタミン濃度、オスモル濃度、発現した
ポリペプチドの力価などを監視することは有益であり得、または必要であり得る。そのよ
うな状態/基準を測定するための多くの技術が、当業者に公知である。例えば、細胞密度
は、血球計、自動化された細胞計数装置(例えば、Coulterカウンター、Beck
man Coulter Inc.社、Fullerton, CA)、または細胞密度
検査(例えば、CEDEX(登録商標)、Innovatis社, Malvern,P
A)を用いて測定することができる。生存細胞密度は、培養物試料をトリパンブルーで染
色することによって決定することができる。ラクテート濃度、アンモニア濃度、グルコー
ス濃度、およびグルタミン濃度、並びに溶存酸素およびpHは、例えば、細胞培養培地中
の重要な栄養素、代謝物質、および気体の測定値を計測するBioProfile 40
0 Chemistry Analyzer(Nova Biomedical社、Wa
ltham、MA)によって測定することができる。さらに、溶存酸素およびpHは、例
えば、血液ガス分析装置(例えば、Bayer Rapidlab 248 pH/血液
ガス分析装置(Bayer HealthCare LLC社、East Walpol
e、MA))を用いて測定することができる。さらに、温度、pH、および溶存酸素は、
例えば、様々な種類のインサイチュプローブによっても測定することができる。細胞培養
物のオスモル濃度は、例えば、凝固点オスモメーターによって測定することができる。H
PLCを使用して、例えば、ラクテート、アンモニア、又は発現したポリペプチドもしく
はタンパク質のレベルを決定することができる。本発明の一実施形態において、発現した
ポリペプチドのレベルは、例えば、タンパク質A HPLCを使用して決定することがで
きる。あるいは、発現したポリペプチドもしくはタンパク質のレベルは、標準的な技術、
例えば、SDS−PAGEゲルのクマシー染色、ウエスタンブロット法、ブラッドフォー
ドアッセイ、ローリーアッセイ、ビウレットアッセイ、及びUV吸光度など、によって決
定することができる。発現したポリペプチドもしくはタンパク質の翻訳後修飾、例えばグ
リコシル化、を監視することは必要であり得る。さらに、タンパク質の他の翻訳後修飾、
例えばリン酸化等、を監視することも有益であり得る。ある特定の細胞培養条件を監視す
るために、分析用に培養物から少量のアリコートを採取することが必要であり得る。当業
者であれば、そのような採取は、汚染物を細胞培養物に導入する可能性のあることを理解
するであろうし、そのような汚染物のリスクを最小にするための適切な配慮を行うことが
できるであろう。
本発明の一実施形態において、実施者は、低細胞培養物温度および/または低細胞培養
物pHでの統合生存細胞数を監視するであろう。好ましくは、低温および/または低pH
での細胞の増殖は、統合生存細胞密度を20%まで、より好ましくは20%未満(例えば
、15%)まで減少させる。本発明の別の実施形態において、実施者は、低細胞培養物温
度および/または低細胞培養物pHでの細胞生存率を監視するであろう。好ましくは、低
温および/または低pHでの細胞の増殖は、細胞生存率を15%未満まで、より好ましく
は5%未満まで減少させる。
グルコースは、細胞培養物にとって主要なエネルギー源である。細胞培養物におけるグ
ルコース消費量の著しい逸脱は、細胞培養物の健康に対する細胞培養条件の負の効果を示
している場合がある。したがって、本発明の好ましい実施形態において、低温および/ま
たは低pHで細胞を増殖させることにより、結果として細胞培養物のグルコース消費にお
ける変化、例えば減少、が最小となる。
グルタミンは、細胞培養物のための代替エネルギー源であり、かつ細胞培養物における
様々な分子、例えばアミン酸、の重要な窒素源である。したがって、本発明の好ましい実
施形態において、低温および/または低pHで細胞を増殖させることにより、結果として
細胞培養物のグルタミン消費における変化、例えば減少、が最小となる。
本発明の別の実施形態において、実施者は、細胞培養物における老廃物の産生、例えば
、ラクテートおよびアンモニアの産生、を監視するであろう。したがって、本発明の好ま
しい実施形態において、低温および/または低pHで細胞を増殖させることにより、結果
としてラクテートおよびアンモニアの産生における変化、例えば増加、が最小となる。本
発明のいくつかの実施形態において、低温および/または低pHで細胞を増殖させること
により、ラクテートおよびアンモニアの産生を最小にすることができる。
さらに、本発明の好ましい実施形態において、低温および/または低pHで細胞を増殖
させることにより、結果として累加平均産生能及び産物力価における減少が最小となる。
本明細書で使用される場合、「力価」なる用語は、細胞培養物(例えば、動物細胞培養物
)によって産生される、対象となるポリペプチド、例えば対象となる糖タンパク質、の総
量を、所定の量の培地容積で除したものを意味する。すなわち、「力価」は濃度を意味す
る。力価は、通常、培地1リットル当たりのポリペプチドのミリグラム単位で表現される
。好ましくは、細胞培養物において生じる細胞産生能および産物力価の減少は、凝集タン
パク質産物またはミスフォールドタンパク質産物の産生の減少、例えばHMWAの産生の
減少、によって相殺される。
本明細書で使用される場合、「凝集したタンパク質」なる用語は、非機能性の、又は最
適でない、あるいは望ましくないタンパク質産物を産生するタンパク質集団、すなわち、
高分子量凝集体を意味する。「ミスフォールドしたタンパク質」なる用語は、不適切に折
り重ねられたタンパク質を意味し、しばしば、もはや正常な生物活性、例えば、正常な酵
素活性、を示し得ないタンパク質を意味する。当業者であれば、タンパク質凝集体が、正
しくフォールドされたタンパク質および/またはミスフォールドされたタンパク質のいず
れか、またはその両方を含み得ることを知っているだろう。凝集またはミスフォールドし
たタンパク質は、一般的に、過剰発現細胞培養物、例えば、糖タンパク質などの対象とな
るタンパク質を過剰発現する細胞培養物、において形成される。例えば、凝集体は、フォ
ールドされていないポリペプチド鎖の非特異的な疎水性相互作用によって、あるいはフォ
ールドしている中間体の相互作用によって生じ得る。本発明の一実施形態において、低温
および/または低pHで細胞を増殖させることにより、結果としてタンパク質のミスフォ
ールディング/凝集が少なくとも50%、好ましくは約60%減少する。当業者であれば
、タンパク質の凝集/ミスフォールディングを監視するために必要な技術、例えば、疎水
性相互作用HPLC(HIC−HPLC)など、を知っているであろう。
「高分子量凝集体」(HMWA)なる用語は、少なくとも2つのタンパク質間の会合か
ら生じる、タンパク質産物の望ましくない副産物を意味する。「高分子量凝集体」は、少
なくとも2つの同一のタンパク質間の会合および/または対象となるタンパク質と細胞培
養物中に存在する他のタンパク質、例えば宿主細胞タンパク質、との間の会合であり得る
。当該会合は、例えば、これに限定されるものではないが、共有結合性架橋、非共有結合
性架橋、二硫化架橋、および/または、非還元性架橋などの任意の方法によって生じ得る
。当業者であれば、タンパク質が多量体の形態(例えば、二量体の形態)において活性で
ある場合、すなわち、2つ以上のポリペプチド鎖がタンパク質活性に必要な場合、「高分
子量凝集体」なる用語は、2つ以上のそのような多量体形態の間の会合を意味する。本発
明の一実施形態において、多量体形態で活性なタンパク質は、レセプター、例えばサイト
カインレセプター(例えば、sIL−13R))、である。一実施形態において、低温お
よび/または低pHで細胞を増殖させることにより、結果として高分子凝集体が、少なく
とも約10%の減少し、好ましくは約40%の減少し、より好ましくは約50%の減少し
、さらにより好ましくは約80%以上減少し、あるいは任意の中間値となる。当業者であ
れば、高分子量凝集体の産生を監視するために必要な技術、例えば立体排除高速液体クロ
マトグラフィ(SEC−HPLC)、を知っているであろう。
本発明の別の態様において、細胞培養物の温度及び/又はpHは、タンパク質グリコシ
ル化、例えばタンパク質シアリル化、を所定のレベルに変えるために使用される。例えば
、細胞培養物のpHおよび/または温度を低下させることにより、N−結合グリコシル化
およびO−結合グリコシル化の両方が減少し得、例えばN−グリカンシアリル化が減少し
得る。タンパク質グリコシル化(例えば、シアリル化)における変化は、治療用タンパク
質の安定性、酵素活性、循環寿命、および免疫原性に影響を及ぼし得る。当業者であれば
、温度および/またはpHを変化させることで、タンパク質グリコシル化の所望の種類お
よびレベルが達成されることを確認するため、グリコシル化(例えば、シアリル化)の程
度を監視し得る。タンパク質産物のタンパク質グリコシル化を監視するために、クロマト
グラフィ技術、例えば、順相クロマトグラフィ(NPC:Normal Phase C
hromatography)、を使用することができる。
産生期の終了時に、細胞を収穫し、対象となるポリペプチドを収集して精製する。好ま
しくは、産生期の終了時に、対象となるポリペプチドは、ミスフォールディングおよび/
または凝集の減少を示すと同時に、許容可能なグリコシル化パターンを維持している。本
発明の一実施形態において、対象となるポリペプチドは、産生期の終了時において、可溶
性の形態である(例えば、対象となるポリペプチドは、可溶性レセプター、例えば、可溶
性サイトカインレセプターである)。ポリペプチドのそのような可溶性の形態は、馴化培
地から精製することができる。
ポリペプチドの膜結合性形態は、発現細胞から総膜分画を調製し、TRITON(登録
商標)X−100(EMD Biosciences社、San Diego、CA)な
どの非イオン性洗浄剤で膜を抽出することにより精製することができる。サイトゾルタン
パク質または核タンパク質は、(機械的力、パールボンブ、超音波処理、洗浄剤により)
宿主細胞を溶解させ、遠心分離で細胞膜分画を除去し、上澄みを残すことによって調製す
ることができる。
当該ポリペプチドは、当業者に既知の他の方法を用いて精製することもできる。例えば
、開示された方法によって製造されたポリペプチドは、市販のタンパク質濃縮フィルター
、例えばAMICON(登録商標)またはPELLICON(登録商標)限外濾過ユニッ
ト(Millipore社、Billerica、MA)、を用いて濃縮することができ
る。濃縮工程後、当該濃縮物を、ゲル濾過媒体などの精製マトリックスに適用することが
できる。あるいは、アニオン交換樹脂(例えば、MonoQカラム、Amersham
Biosciences社、Piscataway、NJ)を用いてもよく、そのような
樹脂は、ペンダント型ジエチルアミノエチル(DEAE:diethylaminoet
hyl)基またはポリエチレンイミン(PEI:polyethylenimine)基
を有するマトリックスまたは基質を含有している。精製に用いられるマトリックスは、ア
クリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロース、またはタンパク質精製において
通常用いられる他の種類のものであってもよい。あるいは、タンパク質の精製に、カチオ
ン交換工程を用いてもよい。好適なカチオン交換体としては、スルホプロピル基またはカ
ルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックス(例えば、S−SEPHAROSE(
登録商標)カラム、Sigma−Aldrich社、St.Louis、MO)が挙げら
れる。
さらに、培養上清からのポリペプチドの精製は、親和性樹脂による1つ以上のカラム工
程、例えば、コンカナバリンA−アガロース、AF−HEPARIN650、ヘパリン−
TOYOPEARL(登録商標)、またはシバクロンブルー3GA SEPHAROSE
(登録商標)(Tosoh Biosciences社、San Francisco、
CA);フェニルエーテル、ブチルエーテル、もしくはプロピルエーテルなどの樹脂を使
用する疎水相互作用クロマトグラフィカラム;または標識タンパク質に対する抗体を使用
するイムノアフィニティーカラムなどを含み得る。最終的に、タンパク質をさらに精製す
るために、疎水性HPLC媒体、例えばペンダント型メチル基又は他の脂肪族基を有する
シリカゲル(例えば、Ni−NTAカラム)など、を用いた1つ以上のHPLC工程を用
いてもよい。あるいは、ポリペプチドを、組み換えにより、精製を容易にする形態におい
て発現させてもよい。例えば、当該ポリペプチドは、タンパク質との融合体、例えば、マ
ルトース結合タンパク質(MBP:maltose−binding protein)
、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、またはチオレドキシン(TRX:
thioredoxin)など、として発現させてもよく、このような融合タンパク質の
発現および精製のためのキットは、それぞれNew England BioLabs社
(Beverly、MA)、Pharmacia社(Piscataway、NJ)、お
よびInvitrogen社(Carlsbad、CA)から市販されている。さらに、
小さいエピトープ(例えば、His、myc、もしくはFlagタグ)でタンパク質にタ
グ付けし、続いて選択したエピトープに対する特異的な抗体を用いて同定および精製する
こともできる。共通エピトープに対する抗体は、様々な商業的供給元から入手可能である
。本発明の方法によって製造された対象となるポリペプチド、例えば治療用タンパク質、
を精製するために、上記のいつくかの精製工程、または全ての精製工程の様々な組み合わ
せ、または他の公知の方法との組み合わせを用いることができる。
薬学的組成物
本発明のある特定の実施形態において、本発明の1つ以上の方法に従って製造されたタ
ンパク質は、製薬剤の製造において有用であり得る。本発明の1つ以上の方法に従って製
造されたタンパク質は、対象者に投与してもよいし、あるいは、これに限定されるもので
はないが、非経口(例えば、静脈内)、皮内、皮下、経口、経鼻、気管支、眼、経皮(局
所)、経壁、直腸、および経膣などの経路を含む任意の利用可能な経路による送達のため
に最初に製剤化してもよい。発明の医薬組成物は、通常、薬学的に許容される担体との組
み合わせにおいて、哺乳動物細胞株から発現した精製タンパク質、送達用薬剤(例えば、
上記で記載したようなカチオン性ポリマー、ペプチド分子トランスポーター、界面活性物
質など)を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」なる言葉は、
有効成分(単数または複数)、例えば、医薬品の投与に適合し得る溶媒、分散媒体、コー
ティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延化剤など、の生物学的活性
の有効性を妨げない無毒性物質を含む。当該担体の特徴は、投与経路に応じて変わる。さ
らに補足的活性化合物を、当該組成物に組み込むこともできる。
医薬組成物は、その意図された投与経路に適合するように製剤化される。本発明の1つ
以上の方法に従って製造された治療用タンパク質が経口形態で投与される場合、当該医薬
組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末、溶液、またはエリキシル剤の形態であろう。錠剤形
態で投与される場合、本発明の医薬組成物は、ゼラチンまたは補助剤などの固体担体を追
加的に含んでいてもよい。当該錠剤、カプセル剤、および粉末は、約5〜95%の結着剤
、好ましくは約25〜90%の結着剤を含む。液体形態で投与される場合、水、石油、動
物性油又は植物性油、例えば、ゴマ油、ピーナッツ油(人口におけるアレルギー反応の発
生頻度を考慮して)、鉱油、または大豆油、またはゴマ油など、あるいは合成油、などの
液体の担体を添加してもよい。液体形態の医薬組成物は、さらに、生理食塩水、デキスト
ロースもしくは他の糖類の溶液、またはグリコール、例えばエチレングリコール、プロピ
レングリコール、もしくはポリエチレングリコールなど、を含んでいてもよい。液体形態
で投与される場合、医薬組成物は、約0.5〜90重量%の結着剤、好ましくは約1〜5
0重量%の結着剤を含む。
本発明の1つ以上の方法に従って製造された治療用タンパク質が、静脈内注射、皮膚注
射、又は皮下注射によって投与される場合、当該治療用タンパク質は、発熱物質を含まな
い非経口的に許容される水溶液の形態であろう。pH、等張性、安定性などに対する相応
の注意を要する、そのような非経口的に許容されるタンパク質溶液の調製は、当業者の技
術範囲内である。静脈内注射、皮膚注射、もしくは皮下注射のための好ましい医薬組成物
は、治療用タンパク質に加えて、等張ビヒクル、例えば、塩化ナトリウム注射液、リンガ
ー注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、乳酸リ
ンガー注射液、あるいは当該技術分野において既知の他のビヒクルなど、を含有すべきで
ある。さらに、本発明の医薬組成物は、安定化剤、保存剤、緩衝液、酸化防止剤、または
当業者に既知の他の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の1つ以上の方法で製造された治療用タンパク質を含む医薬組成物を追加的に処
方することは、当業者に既知であろう。当業者であれば、本発明に従って製造されたタン
パク質に適した単位投与配合組成についても分かるであろう。
これにより、本明細書中において引用した全ての参照、特許、および特許出願の全内容
は、参照により本明細書に援用されるものとする。
本発明の理解を助けるために、下記実施例を詳細に説明するが、いかなる意味において
も、本発明の範囲を限定することを意図するものでなくかつ限定するものとして解釈すべ
きではない。実施例は、慣用法、例えばクローニング、トランスフェクション、および細
胞株においてタンパク質を過剰発現させるための方法の基本的側面に関する詳細な記述を
含んでいない。そのような方法は、当業者に周知である。
(実施例1)
TNFR−Fcタンパク質の製造
実施例1.1:組み換え型CHO細胞の細胞培養物性能およびTNFR−Fc融合タン
パク質の産生品質に対する低温の効果
実施例1.1.1:材料および方法
組み換え型糖タンパク質TNFR−Fcを過剰発現するチャイニーズハムスター卵巣(
CHO)細胞は、同一の濃度および条件で、4つの別々のベンチスケールのバイオリアク
ターに37.0℃で接種した。細胞は、流加培養において1日増殖させ、その後、30.
0℃、29.0℃、28.0℃、または27.0℃に温度シフトさせた。培養物の初期p
H設定値下限は、7.00であった。培養物から細胞試料を毎日採取し、細胞培養物の様
々な状態、例えば、統合生存細胞数、細胞生存率、残存グルコースプロフィール、残存グ
ルタミンプロフィール、ラクテートおよびアンモニアの濃度、累加平均細胞産生能(Qp
:Cumulative average cell productivity)、産
物力価、ミスフォールド/凝集した産物のレベル、高分子量凝集体のレベル、シアリル化
のレベル、およびpHなど、を測定した。
統合生存細胞数(IVC:Integrated viable cell)は、細胞
密度検査(例えば、CEDEX(登録商標)、Innovatis社、Malvern、
PA)を使用して細胞密度を測定することよって計算し、平均収穫日IVCに正規化した
。平均収穫日IVCは、試験した全ての実験条件に対して収穫日(例えば、10日)統合
生存細胞密度の算術平均を計算することによって決定した。次いで、全ての個々のIVC
値を、平均収穫IVCに合わせて調整し、正規化した値を得た。
細胞生存率は、トリパンブルーで染色し細胞密度試験(例えば、CEDEX(登録商標
)、Innovatis社、Malvern、PA)を用いて測定した。さらに、細胞培
養物における残存グルコースプロフィールおよび残存グルタミンプロフィールは、Bio
Profile Chemistry Analyzer(Nova Biomedic
al社、Waltham、MA)を使用して測定した。老廃物、ラクテート、およびアン
モニアの濃度は、BioProfile Chemistry Analyzer(No
va Biomedical社、Waltham、MA)を使用して測定した。
累加平均細胞産生能(Qp)および産物力価は、タンパク質A HPLCを使用して測
定し、平均収穫日累加平均Qpおよび平均収穫日力価に正規化した。平均収穫日力価は、
試験した全ての実験条件に対して収穫日(例えば、10日)力価の算術平均を計算するこ
とによって決定した。次いで、全ての個々の力価値を平均収穫日力価に合わせて調整し、
正規化した値を得た。平均収穫日累加平均Qpは、試験した全ての実験条件に対して収穫
日累加平均Qpの算術平均を計算することによって決定した。次いで、全ての個々の値を
平均収穫日力価に合わせて調整し、正規化した値を得た。
ミスフォールドした産物/凝集した産物のレベルは、HIC−HPLCを使用して測定
し、高分子量凝集体のレベルはSEC−HPLCを使用して測定した。総グリカンシアリ
ル化およびN−結合グリカンシアリル化のレベルは、2−アミノベンズアミド−(2−A
B)−標識タンパク質グリコ型を順相クロマトグラフィ(NPC:Normal Pha
se Chromatography)にかけることよって測定した。総シアリル化(N
−結合およびO−結合)の量は、参照試料、すなわち、既知の好ましいシアリル化パター
ンを有するTNFR−Fcアリコート、の総シアリル化の量に対する割合として定義した
。細胞培養物のpHは、血液ガス分析装置(Bayer Rapidlab 248 p
H/血液ガス分析装置(Bayer Healthcare LLC社、East Wa
lpole、MA))によるオフライン計測により決定した。
実施例1.1.2:結果
低温での細胞の増殖は、IVC数に対して最小の効果を有していた。特に、作業温度が
低いほどで、最終的なIVC数も少なかった。しかしながら、細胞培養温度を27℃まで
下げても影響は小さく、すなわち、IVC数において約20%の減少が観察されただけで
あった(図1A)。細胞生存率は、温度の低下にはあまり影響を受けず、すなわち、最も
低い温度条件(すなわち、27℃)で、収穫日生存率は5%の低下であった(図1B)。
その上、低作業温度では、残存グルコースプロフィールが高く、このことは、細胞培養
物のグルコース消費がより低いことを示している(図2A)。しかしながら、グルタミン
プロフィールは、低温でもあまり変わらなかった(図2B)。
場合によっては、細胞培養の晩期において、乳酸およびアンモニアも細胞培養によって
消費される場合がある。乳酸およびアンモニアの産生の中断あるいは乳酸およびアンモニ
アの消費は、細胞生存率、細胞産生能を高め、並びにポリペプチド産物力価を高める効果
を有する。低温での細胞の増殖は、流加培養の後半においてラクテートの純消費を変える
効果を有していた(図3A)。低温では、アンモニアの産生も高くなった(図3B)。低
温では、細胞特異的産生能が低く(下側のQp)(図4A)、並びに産物力価も低かった
(図4B)。産物力価が低いのは、細胞特異的産生能及び統合生存細胞数が低いためであ
る。しかしながら、産物力価及び細胞産生能が低いことは、ミスフォールドした産物およ
び凝集した産物の割合が著しく低いことで相殺された(図5A)。その上、細胞培養の温
度を下げることで、細胞培養物中の高分子量凝集体の割合が著しく減少した(図5B)。
したがって、温度を下げることによって、結果としてTNFR−Fcタンパク質産生が改
善された。
この温度における低下は、総産物シアリル化(N−結合シアリル化およびO−結合シア
リル化の両方)と相関していた(図6A)。実際のところ、細胞培養物温度を下げること
とシアリル化されたN−結合グリカンの割合の減少との間には直接の因果関係が存在し(
図6B)、産生温度を選択して、HMWAおよびタンパク質ミスフォールディングが減少
する有益効果と、グリコシル化が減少するという不利益効果とのバランスを取らなければ
ならないことを示している。例えば、29.5℃の低温で細胞を増殖させることにより、
ミスフォールドしたTNFR−Fcおよび凝集したTNFR−Fcの濃度が著しく減少す
るが、一方でTNFR−Fcグリコシル化に対しては最小の効果を有していた。
異なる温度で増殖させた細胞培養の間におけるラクテートの純消費の違いは、収穫の時
点での細胞培養のpHに違いを生じさせた(図7)。これは、ラクテート(乳酸)の純消
費が大きいほど、酸が環境から除去されるために、培養物pHも上昇するという事実によ
るものである。
実施例1.2:組み換え型CHO細胞の細胞培養性能およびTNFR−Fc融合タンパ
ク質の産物品質に関する低pHの効果
実施例1.2.1:材料および方法
組み換え型糖タンパク質TNFR−Fcを過剰発現するCHO細胞を、同じ濃度で37
.0℃にて、それぞれ7.20、7.10、7.00、6.90、または6.80のpH
設定値で接種した。炭酸ナトリウム塩基を加えることにより、培養物が設定値pHより下
に逸脱するのを防いだ。設定値pHより上に対しては、pH制御は行わなかった。バイオ
リアクターは、1日(接種後1日、すなわち、実験開始後1日)で30.0℃に温度シフ
トした。細胞培養の様々な条件は、実施例1.1.1で記載されているのと同様に測定し
た。
実施例1.2.2:結果
7.00から0.2pHずつ下げたpH設定値で細胞を増殖させることにより、IVC
がわずかに減少し、特にpH6.80での細胞増殖は、pH7.00での細胞増殖と比較
してIVCにおいて約15%減少していた(図8A)。さらに、pH7.20での細胞増
殖では、細胞生存率が低下した(図8B)。
さらに、作業pH設定値が低いほど、グルコースの消費も低かった(図9A)。グルタ
ミンプロフィールは、6.80〜7.10のpH設定値で細胞を増殖させてもあまり変化
はなかった。
当然のことながら、作業pH設定値が高いほど、ラクテートの産生も高かった(図10
A)。pH6.80の設定値では、流加培養の後半においてラクテートの純消費が生じな
かった。作業pH設定値が低いほど、アンモニアの産生も高かった(図10B)。
pHを維持するために酸を用いず塩基だけを添加したので、実験の後半におけるラクテ
ートの純消費の違いから、作業pH設定値からの培養物pHのずれが生じた(図11A)
。pH設定値、ラクテートプロフィール、および滴定剤添加における違いの結果として、
pH条件間でオスモル濃度も異なっていた(図11B)。
7.00から0.2pHずつ下げたpH設定値で培養物を増殖させることにより、細胞
特異的産生能(すなわち、Qp)はわずかに低下した(図12A)。6.80または7.
20のpH設定値を用いた場合では、細胞特異的産生能と統合生存細胞数の両方が低下し
たために、産物力価が低下した(図12B)。
しかしながら、低い作業pH設定値では、産物のミスフォールディングおよび凝集が減
少した(図13A)。さらに、低いpH設定値において、高分子量凝集体の割合における
著しい減少が観察された(図13B)。
作業pH設定値を低くすることで、総シアリル化(N−およびO−結合グリカンの両方
)が低下し(図14A)、同様にN−結合グリカンシアリル化も低下した(図14B)。
総シアリル化(N−およびO−結合)の量は、参照試料の総シアリル化の量に対する割合
として定義されるため、100%を下回る値は、総シアリル化の減少を表し、100%を
超える値は、総シアリル化の増加を表している。グリコシル化のパターンは、糖タンパク
質のグリカンのプロフィールとして表すことができる(図15)。低pHで細胞を増殖さ
せることにより、グリコシル化プロフィール全体が著しく変わった(図16)。低pHで
は、新しいグリコ型は検出されないが、存在するグリコ型の比は著しく変わった。すなわ
ち、低pHで細胞を増殖させることにより、ジ−シアリル化グリコ型とモノ−シアリル化
グリコ型の複合物が減少した。タンパク質のグリコシル化に対する低pHの潜在的な好ま
しくない効果のために、タンパク質グリコシル化に対する有害な効果と、ミスフォールド
タンパク質および/または凝集タンパク質の減少に対する有益な効果とのバランスが取れ
るように、細胞培養のpHを選択しなければならない。例えば、低pH6.95で細胞を
増殖させることにより、ミスフォールドおよび凝集したTNFR−Fcタンパク質の割合
を著しく減少させると同時に、TNFR−Fcのグリコシル化に対する影響が最小になる
実施例1.3:議論
これらの研究は、27.0〜30.0℃の温度範囲内、または6.80〜7.20のp
H設定値範囲内において、細胞培養物の細胞増殖および特異的産生能はかなり影響される
ことを示している。ただし、温度をわずか1〜2℃およびpH設定値をわずか0.1〜0
.2変えても細胞増殖および特異的産生能にはあまり影響しなかったが、一方でタンパク
質のフォールディングおよびタンパク質の凝集においては著しい(好ましい)違いが観察
された。したがって、細胞の増殖、生存率、または産生能にはあまり影響を及ぼさない細
胞培養条件における小さな違いは、例えば、タンパク質のフォールディング及びタンパク
質の凝集を減少させたり、又はグリコシル化に影響を及ぼしたりするなど、産生品質を著
しく変化させ得る。
(実施例2)
sIL−13R産生に対する温度の効果および新規のsIL−13R産生細胞株の評価
実施例2.1:材料および方法
組み換え型糖タンパク質sIL−13Rを過剰発現する安定にトランスフェクトされた
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、Applikonバイオリアクターにお
いて、消泡剤(Dow Corning Corporation社、Midland、
MI)を用いて、3×10細胞/mLで接種培地に播種した。必要に応じて、さらなる
消泡剤を加えた。濃縮した栄養培地を、供給培地として使用した。pH設定値下限は6.
80であった。dO設定値は、7%CO/93%空気のスパージガスを用いて23%
であった。一方、アジテーションは200rpmであった。バイオリアクターは、5日目
で37.0℃に温度シフトした。産生期の温度は、37.0℃、33.0℃、32.0℃
、28.0℃、又は室温(RT(room temperature):約24.0℃)
のいずれかとした。実験条件のための供給計画をまとめて表1に示す。供給液量は、バイ
オリアクター中の培養液量の割合として一覧してある。細胞培養に対する温度シフトは、
約6×10細胞/mLで行った。

実施例2.2:結果
温度シフト後に達成された生存細胞密度は、室温(約6×10細胞/mL)および2
9.0℃(約7×10細胞/mL)の方が、より高い温度での生存細胞密度(約8×1
細胞/mL)よりもわずかに低くかった(図17A)。同様に、温度シフト後に達成
された総細胞密度は、室温(約6.5×10細胞/mL)および29.0℃(約7.5
×10細胞/mL)の方が、より高い温度での総細胞密度(約8〜9×10細胞/m
L)よりもわずかに低かった(図17B)。生存率は、温度が低いほど、流加培養全体を
通じてより良好に維持された(図17C)。生存率における衰退速度は、温度で変わった
。すなわち、室温及び29.0℃の生存率プロフィールは、培養物を31.0℃、32.
0℃、33.0℃、および37.0℃に維持した場合より著しく高かった(図17C)。
18日間の流加培養の終了時に、最も高い力価(sIL−13R二量体およびHMWA
の力価の組み合わせ)は、31.0℃での培養によって達成され、以下、32.0℃での
培養(188mg/L)、29.0℃での培養(178mg/L)、および33.0℃で
の培養(151mg/L)と続いた(図18)。室温での培養および37.0℃での培養
は、非常に低い力価であった。sIL−13R産生細胞株の細胞特異的産生能、または1
日の特異的sIL−13R産生率(Qp)は、室温および37.0℃において著しく減少
した(図19A)。さらに、累加平均特異的産生能、または累加平均Qpも、37.0℃
および室温において低かった(図19B)。興味深いことに、特異的産生能では、培養生
存率の著しい減少(データはしめしていない)に一致して、37.0℃、33.0℃、3
2.0℃、および31.0℃での培養において、終了に向かって著しい増加が見られた。
特異的グルコース消費(Qglc)は、温度の低下により減少した(図20)。特異的
グルタミン消費(Qgln)も、温度の低下により減少しているように見える(図21)
。しかしながら、特異的グルタミン消費に関するデータでは、温度を上げることでより大
きく生じるであろう培地におけるグルタミン分解を説明できないということは注目すべき
である。したがって、特異的グルタミン消費に対する温度の影響は歪められ得る。室温、
29.0℃、31.0℃、および32.0℃での培養に対するラクテート濃度プロフィー
ルは、ラクテート濃度が温度シフト日またはその付近でピークに達するまでは同じであり
、その後、18日までに0.7〜2.0g/L減少した(図22)。33.0℃および3
7.0℃の培養に対しては、ラクテートプロフィールは、増殖期では他の培養と同じであ
るが、産生期では著しく異なっている。33.0℃での培養に対しては、ラクテート濃度
は、温度シフトの後でも減少せず、基本的に一定のままであった。37.0℃での培養で
は、ラクテートが流加培養の期間全体を通して増加した。
アンモニア濃度は、産生期中において、温度に従って変化した(図23)。29.0℃
の培養では、アンモニア濃度は、温度シフト日またはその付近でピークに達し、流加培養
の中期において減少し、流加培養の後期において増加した。29.0℃より上の温度では
、流加培養の後期におけるアンモニア濃度の増加が、より早く、より大きく生じた。37
.0℃の培養では、アンモニア濃度は流加培養中一貫して増加した。室温の培養では、ア
ンモニア濃度は、温度シフト後、ほぼ一定のままであった。
これら実行中のバイオリアクターからの培養上清の試料は、バッチ結合性タンパク質A
の溶離液のサイズ排除クロマトグラフィ(SEC:size−exclusion ch
romatography)によって、高分子量凝集体(HMWA)を分析した。細胞株
の結果から明らかな傾向は、温度を上げると、培養上清中に存在するHMWAの割合が相
対的に増加するということであった(図24および図25)。したがって、低温で細胞を
増殖させることにより、結果としてsIL−13R産生凝集体が減少した。
sIL−13R二量体の割合における減少は、HMWAの割合の増加に相関していた(
図26Aおよび26B)。室温での培養では、他の培養より%HMWAが低く(図26B
)、同様に二量体形成の割合も高かった(図26A)。室温での培養および31.0℃で
の培養では、同様の二量体のみの力価が得られ、一方で、29.0℃での培養では、最も
高い二量体だけの力価が得られた(図27)。
SEC分析からの結論を実証するために、ウエスタンブロットを使用して馴化培地試料
を分析した。二量体に対して、HMWA種として存在するsIL−13Rの量における質
的な違いを調べた。ウエスタンブロットは、馴化培地中に存在するHMWA凝集体の量が
、存在する二量体の量と比較して、温度上昇により増加することを実証している(データ
は示していない)。
これらの実験は、sIL−13R二量体の容量産生能に関して、生存率および生存細胞
密度、特異的産生能、並びにHMWA形成の温度依存性変数間の相互作用の重要性を示す
。31.0℃での培養において、最も高い力価(HMWAおよび二量体を含む測定)を達
成したが、二量体だけに関して測定した場合、低温(例えば、29.0℃)での培養では
、それに匹敵するか、もしくはより向上した体積産生能が得られ得る。

Claims (10)

  1. 細胞培養物における改善されたタンパク質製造方法であって、
    (a)27.0℃〜30.0℃未満の範囲の温度で細胞を増殖させ、ここで該製造されるタンパク質のタンパク質グリコシル化のレベルを温度を27.0℃〜30.0℃未満の範囲で上昇させることにより所定のレベルに増大させることまたは温度を27.0℃〜30.0℃未満の範囲で低下させることにより所定のレベルに低下させること、
    および、
    (b)6.80〜7.00未満の範囲のpHで細胞を増殖させ、ここで該製造されるタンパク質のタンパク質グリコシル化のレベルをpHを6.80〜7.00未満の範囲で上昇させることにより所定のレベルに増大させることまたはpHを6.80〜7.00未満の範囲で低下させることにより所定のレベルに低下させること、
    を含み、ここで該製造されるタンパク質がTNFR−Fc又はsIL−13Rである、方法。
  2. 前記タンパク質グリコシル化がN−グリカンシアリル化である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞培養物が大規模細胞培養物である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記細胞培養物が流加培養細胞培養物である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記細胞培養物が哺乳動物細胞培養物である、請求項1に記載の方法。
  6. 前記細胞培養物がCHO細胞培養物である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記製造されるタンパク質が治療用タンパク質である、請求項1に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、前記細胞培養物から前記タンパク質を単離する工程をさらに含む、方法。
  9. 前記タンパク質がさらに、処方のために精製または処理される、請求項に記載の方法。
  10. 前記タンパク質が医薬組成物中に処方される、請求項に記載の方法。
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