JP5880880B2 - 窒化物発光素子 - Google Patents

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本発明は窒化物発光素子に関する。
Al、Ga、InなどのIII族元素の窒化物による窒化物半導体素子は、n型半導体よりなる電子供給層と、p型半導体よりなる正孔供給層の間に、発光層を介在することで発光素子として利用される。より具体的には、n型半導体層とp型半導体層の間に電圧を印加して、発光層に電流を流すことで当該領域を発光させる。
ここで、n型半導体層、発光層、及びp型半導体層の積層体(以下、ここでは「LED層」と呼ぶ。)と、例えばn型半導体層の上層に積層される電極(以下、「n側電極」と呼ぶ。)の間の抵抗値が高いと、発光に必要な電流を流すために必要な電圧が高くなってしまい、効率が低下する。このため、低い動作電圧で高い光量の光を取り出すためには、LED層とn側電極の間の抵抗値をなるべく低下させることが重要となる。
このような課題を受け、下記特許文献1には、n型半導体層を、Siなどのn型不純物が高い濃度でドープされた高濃度層と、この高濃度層よりも低い濃度でn型不純物がドープされた低濃度層を順次積層させて形成したLED素子が開示されている。
特開2007−258529号公報
S.Fritze, et al., "High Si and Ge n-type doping of GaN doping - Limits and impact on stress", Applied Physics Letters 100, 122104, (2012)
なるべく低い動作電圧で、発光層に対して必要な電流を流すためには、素子抵抗をできるだけ小さくすることが好ましい。このためには、n型半導体層へのドープ量をできるだけ多くして、n層とn側電極の間のオーミック接続を実現させる方法が考えられる。
ここで、窒化物発光素子として青色LEDを実現する場合には、一般的にn型半導体層としてGaNが用いられる。しかし、このGaN層に対して注入するドーパントの濃度を1×1019/cm以上にすると、原子結合の状態が悪化するなどの原因により、膜荒れが発生してしまうという現象が知られている(例えば、上記非特許文献1参照)。このような現象が生じてしまうと、低抵抗のn層が形成されず、結果的に発光効率が低下してしまう。
上記特許文献1では、この課題を克服すべく、高濃度のn層と低濃度のn層を交互に順次積層させる構成としている。同文献によれば、このような構成により高濃度層に形成された表面の荒れが低濃度層によって埋められるため、良質なn層が形成されるとされている。
しかし、特許文献1に記載の方法を採用した場合、n層として高濃度層と低濃度層を順次交互に複数組積層させる必要があるため、プロセスが複雑化してしまうという別の問題が発生する。
本発明は上記の課題に鑑み、低い動作電圧でも、高い光の取り出し効率が実現され、且つ簡易なプロセスにて製造することが可能な窒化物発光素子を実現することを目的とする。
本発明の窒化物発光素子は、支持基板上に、n層と、p層と、前記n層と前記p層に挟まれた位置に形成された発光層を有する窒化物発光素子であって、
前記n層は、ドープされているSi濃度が7×1019/cm以上のAlGa1−xN(0<x≦1)で構成されていることを特徴とする。
本発明者の鋭意研究により、n層をGaNではなくAlGa1−xN(0<x≦1)で構成したときには、ドープするSi濃度を7×1019/cm以上にしても膜荒れの問題が生じないことが確認できた。この結果、n層の抵抗値を低下させることが可能となるため、低い動作電圧によっても発光に必要な電流量を発光層に流すことができ、発光効率を向上させることが可能である。
更に、上記構成を実現するに際しては、n層として単にSi濃度が7×1019/cm以上のAlGa1−xN(0<x≦1)を形成するだけでよく、低濃度層と高濃度層を複数組交互に積層させる必要がない。よって、複雑な製造プロセスを必要とせず、簡易なプロセスにて窒化物発光素子を製造することが可能である。
特に、本発明者の鋭意研究により、n層をAlGa1−xN(0<x≦1)で構成し、ドープするSi濃度を7×1019/cm以上とした場合、n層の比抵抗を1×10−3Ω・cm以下に実現できることが確認された。これにより、n層を従来よりも1桁程度薄い膜厚(例えば0.1μm〜0.5μm程度)としても、低い動作電圧によって十分な電流量を発光層に流すことが可能となる。
また、n層を上記のように低い比抵抗の値で実現できるため、このn層の上面に、仕事関数が4.1eV以下を示す、比較的仕事関数の小さい金属材料(例えばTiなど)は無論、仕事関数が5.0eV以上を示す、比較的仕事関数の大きな金属材料(例えばNiなど)で構成される電極を形成しても、ノンアニールによってオーミック接続が実現できる。
従来のように、n層としてGaNで構成する場合には、膜荒れの問題が生じるため、1×1019/cm以上のドーパントを注入することができなかった。このため、アニール処理を行うことなく仕事関数の高い金属材料をn側電極としてn層の上層に形成した場合、界面に生じるショットキー障壁に由来して、n層とn側電極とのコンタクト抵抗が上昇してしまう。そこで、アニール処理を行ってコンタクト抵抗を低くすることが必要であった。
しかし、基板の表裏面に電圧を印加して発光層に電流を供給する、いわゆる縦型構造のLED素子を実現する場合においては、プロセス時においてAu−Sn合金等のハンダを介して基板の接合処理が行われる。アニール処理は通常500℃以上の高温化で行う必要があるが、この温度はハンダの融点を上回ってしまう。このため、縦型構造のLED素子においては、アニール処理を行うことができない。従って、n側電極として利用できる材料としては、アニール処理を行うことなくオーミック接続の実現が可能な材料に限定されていた。
本構成によれば、n層として高いドープ濃度が実現できるため、縦型のLED素子として実現する場合であっても、仕事関数の比較的高い金属材料についてもn側電極として利用することができる。このため、n側電極として選択できる材料の幅が広がり、素子設計の自由度を高めることができる。
本発明の窒化物発光素子によれば、n層の抵抗値を低下させることが可能となるため、簡易なプロセスによって低い動作電圧によっても発光に必要な電流量を発光層に流すことができ、発光効率を向上させることが可能となる。
窒化物発光素子の一実施形態の概略断面図である。 Si濃度を7×1019/cmとしたときのAlGa1−xN(0<x≦1)の層表面の写真である。 Si濃度を1.5×1019/cmとしたときのGaNの層表面の写真である。 室温下でのAlGa1−xNのSi濃度と比抵抗の関係をプロットしたグラフである。 I−V特性検証のための検証用素子の構成図である。 I−V特性検証のための検証用素子の構成図である。 n層へのSiドープ濃度を異ならせた各検証用素子に対して電圧を印加したときのI−V特性を示すグラフである。 n層の厚みを異ならせた各検証用素子に対して電圧を印加したときのI−V特性を示すグラフである。 n層をGaNで構成した検証用素子に直接給電端子を形成したときのn層と給電端子間のI−V特性を示すグラフである。 n層へのSiドープ濃度を異ならせた各検証用素子に直接給電端子を形成したときのn層と給電端子間のI−V特性を示すグラフである。 n層へのSiドープ濃度を異ならせた各検証用素子に直接給電端子を形成したときのn層と給電端子間のI−V特性を示すグラフである。 給電端子を構成する金属材料を異ならせた各検証用素子に直接給電端子を形成したときのn層と給電端子間のI−V特性を示すグラフである。 窒化物発光素子の別の一実施形態の概略断面図である。
本発明の窒化物発光素子につき、図面を参照して説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。
[構造]
本発明の窒化物発光素子の構造の一例につき、図1を参照して説明する。図1は窒化物発光素子の一実施形態の概略断面図である。
窒化物発光素子1は、支持基板11、導電層20、絶縁層21、LED層30及び給電端子42を含んで構成される。LED層30は、p層31、発光層33、及びn層35が下からこの順に積層されて形成されている。
(支持基板11)
支持基板11は、例えばCuW、W、Moなどの導電性基板、又はSiなどの半導体基板で構成される。
(導電層20)
支持基板11の上層には、多層構造からなる導電層20が形成されている。この導電層20は、本実施形態では、ハンダ層15、保護層17及び反射電極19を含む。
ハンダ層15は、例えばAu−Sn、Au−In、Au−Cu−Sn、Cu−Sn、Pd−Sn、Snなどで構成される。ハンダ層15は、製造方法の項で後述されるように、サファイア基板と支持基板11を接合する際に利用される(ステップS5参照)。
保護層17は、例えばPt系の金属(TiとPtの合金)、W、Mo、Niなどで構成される。後述するように、プロセス時においてハンダ層を介した2基板の貼り合わせを行う際、ハンダを構成する材料が後述する反射電極19側に拡散し、反射率が落ちることによる発光効率の低下を防止する機能を果たしている。
反射電極19は、例えばAg系の金属(NiとAgの合金)、Al、Rhなどで構成される。窒化物発光素子1は、LED層30の発光層33から放射された光を、図1の上方向(n層35側)に取り出すことを想定しており、反射電極19は、発光層33から下向きに放射された光を上向きに反射させることで発光効率を高める機能を果たしている。
なお、導電層20は、一部においてLED層30、より詳細にはp層31と接触しており、支持基板11と給電端子42の間に電圧が印加されると、支持基板11、導電層20、LED層30を介して給電端子42へと流れる電流経路が形成される。
(絶縁層21)
絶縁層21は、例えばSiO2、SiN、Zr、AlN、Alなどで構成される。この絶縁層21は、上面がp層31の底面と接触している。なお、この絶縁層21は、後述するように素子分離時におけるエッチングストッパー層としての機能を有すると共に、支持基板11の基板面に平行な方向に電流を拡げる機能も有する。
(LED層30)
上述したように、LED層30は、p層31、発光層33、及びn層35が下からこの順に積層されて形成される。
p層31は、例えばAlGa1−yN(0<y≦1)で構成される層(正孔供給層)とGaNで構成される層(保護層)を含む多層構造で構成される。いずれの層も、Mg、Be、Zn、Cなどのp型不純物がドープされている。
発光層33は、例えばInGaNからなる井戸層とAlGaNからなる障壁層が繰り返されてなる多重量子井戸構造を有する半導体層で形成される。これらの層はアンドープでもp型又はn型にドープされていても構わない。
n層35は、発光層33に接触する領域にGaNで構成される層(保護層)を含み、その上層にAlGa1−xN(0<x≦1)で構成される層(電子供給層)を含む多層構造である。少なくとも保護層には、Si、Ge、S、Se、Sn、Teなどのn型不純物がドープされており、特にSiがドープされているのが好ましい。なお、n層35をAlGa1−xN(0<x≦1)で構成される電子供給層のみで構成しても構わない。
また、AlGa1−xN(0<x≦1)で構成されるn層35は、ドープされているSi濃度が7×1019/cm以上となるように不純物がドープされている。なお、実験によって得られた写真に基づいて後述されるように、本構成においては、n層35の不純物濃度を1×1019/cmより大きい値(例えば7×1019/cm以上)としても、膜荒れは生じない。
(給電端子42)
給電端子42はn層35の上層に形成され、例えばCr−Auで構成される。この給電端子42は、例えばAu、Cuなどで構成されるワイヤが連絡されており(不図示)、このワイヤの他方は、窒化物発光素子1が配置されている基板の給電パターンなどに接続される(不図示)。
実験データを参照して後述されるように、本構成においては、n層35と給電端子42においてオーミック接続が形成されており、この両者間の低抵抗化が実現されている。
なお、図示していないが、LED層30の側面及び上面に保護膜としての絶縁層を形成しても構わない。なお、この保護膜としての絶縁層は、透光性を有する材料(例えばSiOなど)で構成するのが好ましい。
上述の実施形態では、p層31を構成する一材料をAlGa1−yN(0<y≦1)と記載し、n層35を構成する一材料をAlGa1−xN(0<x≦1)と記載したが、これらは同一の材料であっても構わない。
[膜荒れの有無の検証]
次に、窒化物発光素子1のように、n層35をAlGa1−xN(0<x≦1)で構成することで、ドープされるSi濃度を1×1019/cmより大きくしても膜荒れが発生しないことにつき、図2A及び図2Bの実験データを参照して説明する。なお、以下では、AlGa1−xN(0<x≦1)をAlGa1−xNと略記する。
図2Aは、Si濃度を7×1019/cmとしたときのAlGa1−xNの層表面の写真である。また、図2Bは、Si濃度を1.5×1019/cmとしたときのGaNの層表面の写真である。なお、図2Aは、AFM(Atomic Force Microscopy:原子間力顕微鏡)で撮影されたものであり、図2Bは、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)で撮影されたものである。
図2Bに示すように、n層をGaNで構成した場合、Si濃度を1.5×1019/cmとすると、表面に荒れが生じていることが分かる。なお、不純物濃度を1.3×1019/cm、2.0×1019/cmとしても同様に表面の荒れが確認できた。これより、GaNにおいては、非特許文献1に記載のように、1×1019/cmより大きくすると層表面に荒れが生じてしまうことが分かる。
これに対し、図2Aによれば、n層をAlGa1−xNで構成すると、Si濃度を7×1019/cmとしてもステップ状の表面(原子ステップ)が確認されており、層表面に荒れが生じていないことが分かる。なお、Si濃度を2×1020/cmとしても、図2Aと同様の写真が得られた。また、構成材料として、AlとGaの成分比率を変化させても(AlGa1−xN)、同様に層表面に荒れが生じないことが確認された。
一方、n層をGaNで構成し、Si濃度を0.5×1019/cm、つまりSi濃度を1×1019/cm以下とした場合でも、図2Aと同様の写真が得られた。
以上によれば、n層をAlGa1−xNで構成することで、Si濃度を7×1019/cm以上にしても、膜荒れの問題が生じないことが分かる。この点は、後述する比抵抗に関するデータでも明らかとなる。
[比抵抗の検証]
図3は、室温下でAlGa1−xNのSi濃度を変化させたときの、AlGa1−xNのSi濃度と比抵抗の関係をプロットしたグラフである。比抵抗は、一般的に利用されるホール測定装置を用いて測定した。
図3によれば、AlGa1−xNにドープするSi濃度を高めるほど、比抵抗が低下していることが分かる。膜荒れが生じている場合には、この荒れに起因して抵抗値が上昇するため、膜荒れが生じたSiドープ濃度値を境に、比抵抗が増大することが想定される。つまり、この結果によれば、Si濃度を2×1020/cmまで高めても、AlGa1−xNに膜荒れが生じていないことが示唆される。
なお、GaNに対し、Siドープ濃度を膜荒れが生じない上限値である1×1019/cmのほぼ近傍の9×1018/cmとした場合、その比抵抗は5×10−3Ω・cmであった。つまり、n層としてGaNを用いた場合、比抵抗をこの値より大きく低下させることはできない。
図3によれば、n層35としてAlGa1−xNを用いることで、Siドープ濃度を7×1019/cmとした場合に比抵抗を1×10−3Ω・cmとすることができ、従来のGaNの比抵抗の下限値を大きく下回ることができる。なお、n層35としてAlGa1−xNを用い、Siドープ濃度を2×1020/cmとした場合には、比抵抗を4.5×10−4Ω・cmとすることができ、従来構成の下限値よりも大幅に低い比抵抗の値が実現できている。
[I−V特性の検証]
次に、n層35としてAlGa1−xNを用い、Siドープ濃度を7×1019/cm以上とすることで、従来よりも低い動作電圧で発光に必要な電流を素子に流すことができる点につき、実施例を参照して説明する。
図4A及び図4Bは、I−V特性検証のために形成した素子の例である。なお、あくまで図4Aに示す素子2A、及び図4Bに示す素子2Bは、n層35に電圧Vを印加した場合に、当該n層35内に流れる電流Iと電圧Vの関係を検証するための素子である。このため、窒化物発光素子1とは異なり、検証に必要な範囲で素子を構成した。
図4Aに示す検証用素子2Aは、サファイア基板61の上層にアンドープ層36を介してn層35を形成し、その上層に給電端子42を2箇所形成している。n層35は、AlGa1−xNで構成されており、ドープするSi濃度を変化させたものとして、実施例1、実施例2、比較例1を作製した。
また、図4Bに示す検証用素子2Bは、サファイア基板61の上層にアンドープ層36を介してn層95を形成し、その上層に給電端子42を2箇所形成している。n層95を、実施例1、実施例2、及び比較例1よりも厚い膜厚のGaNで構成し、ドープするSi濃度を膜荒れが生じない上限値の近傍の値である9×1018/cmとして従来例を作製した。
なお、後述する図7A〜図7Cを参照して説明するが、検証用素子2Aにおいては、n層35の上面に金属材料で構成される給電端子42を直接形成してもオーミック接続が形成される。他方、検証用素子2Bにおいては、n層95の上面に電極42を直接形成しただけではオーミック接続が形成されず、オーミック接続を形成させるにはアニール処理が必要となる。
後述する図5及び図6では、n層35及びn層95への印加電圧と電流の関係を測定するのが目的である。このため、両グラフとも、給電端子42とn層35の間、及び給電端子42とn層95の間は、いずれもオーミック接続を形成した状態で測定している。具体的には、図5及び図6のグラフは、n層35の上層に直接給電端子42を形成した検証用素子2A、及びn層95にアニール処理を施した後に給電端子42を形成した検証用素子2Bを用いて測定されたものである。
(実施例1)
Siドープ濃度を7×1019/cmとし、膜厚を500nmとしたAlGa1−xNによってn層35を構成した検証用素子2Aを実施例1とした。なお、このときの比抵抗は1×10−3Ω・cmであった。
(実施例2)
Siドープ濃度を2×1020/cmとし、膜厚を500nmとしたAlGa1−xNによってn層35を構成した検証用素子2Aを実施例2とした。なお、このときの比抵抗は5×10−4Ω・cmであった。
(比較例1)
Siドープ濃度を1.5×1019/cmとし、膜厚を500nmとしたAlGa1−xNによってn層35を構成した検証用素子2Aを比較例1とした。なお、このときの比抵抗は5×10−3Ω・cmであった。
(従来例)
Siドープ濃度を9×1018/cmとし、膜厚3μm、すなわち実施例1、実施例2及び比較例1よりも厚膜のGaNによってn層95を構成した検証用素子2Bを従来例とした。なお、このときの比抵抗は5×10−3Ω・cmであった。
図5は、上記実施例1、実施例2、比較例1、及び従来例の各検証用素子に対し、給電端子42に電圧Vを印加したときに流れる電流Iの関係を示すグラフである。
図5によれば、AlGa1−xNによってn層35を構成した場合においても、比抵抗が従来例と同等の値を示す、Siドープ濃度を1.5×1019/cmとした比較例1においては、従来例よりも動作電圧が高くなっていることが分かる。この結果は、n層35の膜厚を500nmとしており、従来例のn層95の3μmよりも薄い膜厚で形成したため、n層35の抵抗値が上昇したことに起因すると考えられる。
一方、AlGa1−xNによってn層35を構成し、Siドープ濃度を7×1019/cmとした実施例1及びSiドープ濃度を2×1020/cmとした実施例2によれば、従来例のn層95よりも1桁程度薄い膜厚の500nmでn層35を実現したにも関わらず、動作電圧が従来例よりも低下していることが分かる。
上述したように、実施例1の検証用素子2Aの比抵抗は1×10−3Ω・cmであり、実施例2の検証用素子2Aの比抵抗は5×10−4Ω・cmであった。つまり、AlGa1−xNによってn層35を構成し、比抵抗が1×10−3Ω・cm以下となるように、Siドープ濃度を設定することで、n層35を500nm程度の薄い膜厚で実現しても、従来例のn層95と同等かそれよりも低い動作電圧によって必要な電流を流すことができることが分かる。
次に、上述した検証用素子2Aにおいて、n層35を構成するAlGa1−xNの濃度を実施例2と同様にして、膜厚を変化させることで、実施例3、実施例4、比較例2の素子を作製した。
(実施例3)
Siドープ濃度を実施例2と同じ2×1020/cmとし、膜厚を300nmとしたAlGa1−xNによってn層35を構成した検証用素子2Aを実施例3とした。なお、この素子は、Siドープ濃度が実施例2と同じであるため、比抵抗も実施例2と同じ5×10−4Ω・cmであった。
(実施例4)
Siドープ濃度を実施例2と同じ2×1020/cmとし、膜厚を100nmとしたAlGa1−xNによってn層35を構成した検証用素子2Aを実施例4とした。なお、この素子は、Siドープ濃度が実施例2と同じであるため、比抵抗も実施例2と同じ5×10−4Ω・cmであった。
(比較例2)
Siドープ濃度を実施例2と同じ2×1020/cmとし、膜厚を10nmとしたAlGa1−xNによってn層35を構成した検証用素子2Aを比較例2とした。なお、この素子は、Siドープ濃度が実施例2と同じであるため、比抵抗も実施例2と同じ5×10−4Ω・cmであった。
図6は、上記実施例2、実施例3、実施例4、及び比較例2の各検証用素子に対し、給電端子42に電圧Vを印加したときに流れる電流Iの関係を示すグラフである。
図6によれば、n層35の膜厚を10nmと極めて薄く構成した比較例2においては、n層35としてSiドープ濃度を2×1020/cmと高くしたAlGa1−xNで構成しても、動作電圧がかなり高くなっている。これに対し、n層35の膜厚を100nmとした実施例4、300nmとした実施例3、及び500nmとした実施例2では、いずれも同等程度に低い動作電圧が実現できている。これにより、n層35の膜厚は100nm以上とするのが好ましいことが分かる。
なお、図6のグラフにより、n層35の膜厚が300nmの実施例3、及びn層35の膜厚が500nmの実施例2を参照すれば、n層35の膜厚を厚くするほど、動作電圧を更に低下させられることが分かる。実施例2においても、従来例のn層95よりもn層35を1桁程度薄い膜厚で実現できており、これによって、窒化物発光素子1の生産性を向上させる効果が期待できる。
つまり、図5及び図6によれば、n層35としてSiドープ濃度を7×1019/cm以上のAlGa1−xNで構成することで、1×10−3Ω・cm以下の比抵抗が実現できる。つまり、GaNで構成される従来のn層よりも極めて低い比抵抗の値が実現される。また、この結果、膜厚を100nm以上500nm以下といった、従来のGaNでは動作電圧が極めて高くなるような範囲の膜厚値でn層35を実現しても、低い動作電圧で必要な電流を流すことが可能となる。
なお、n層35の膜厚は厚くするほど動作電圧は低くなるため、窒化物発光素子1としては、n層35の膜厚を100nm以上のAlGa1−xNで構成することができる。
[オーミック特性の検証]
図7A〜図7Cは、上述した従来例、実施例1、及び実施例2の各検証用素子に対し、n層(35/95)に対してアニール処理を行わずに、その上層に直接給電端子42を形成した場合において、給電端子42に電圧を印加したときにn層(35/95)を流れる電流と電圧の関係を測定したグラフである。
なお、図7A〜図7Cの各グラフは、従来例、実施例1及び実施例2のいずれの検証用素子においても、給電端子42として膜厚30nmのTiと膜厚30nmのPtを積層した金属材料を用いた。
図7Aは、従来例のI−V特性を示している。図7Bは、印加電圧を−0.3V以上0.3V以下の範囲内としたときの、従来例、実施例1、及び実施例2のI−V特性を示している。図7Cは、印加電圧を−0.001V以上0.001V以下の範囲内としたときの、実施例1及び実施例2のI−V特性を示している。印加電圧のスケールの違いに鑑み、見やすさを考慮して図7A〜図7Cの3図に分けて図示している。
図7Aによれば、印加電圧と電流が比例関係になく、従来例の検証用素子ではオーミック接続が形成されていないことが分かる。これに対し、図7B及び図7Cによれば、実施例1及び実施例2の検証用素子では、印加電圧がほぼ0V近傍の値において、電流値が急峻に立ち上がっており、オーミック接続が形成されていることが分かる。
つまり、n層35をAlGa1−xNで構成することで、7×1019/cm以上の高濃度でSiのドープが行える結果、このn層35の上面にTi/Ptで構成される給電端子42を直接形成しても、オーミック接続が形成されることが分かる。
これに対し、従来のようにn層95をGaNで構成した場合、膜荒れの問題が生じない範囲内のSiドープ濃度とするためには、1×1019/cmの近傍値(ここでは9×1018/cmの値を採用している。)が上限である。そして、図7A〜図7Cによれば、この9×1018/cmのSiドープ濃度では、n層95の上面にTi/Ptで構成される給電端子42を直接形成しただけではオーミック接続が形成されないことが分かる。このため、従来構成では、給電端子42をTi/Ptで構成する場合には、オーミック接続を形成するためのアニール処理が不可欠となる。
ところで、図1に示すようないわゆる縦型構造のLED素子として窒化物発光素子1を形成する場合には、プロセス時においてAu−Sn合金等のハンダを介して基板の接合処理が行われる(後述のステップS5参照)。アニール処理は通常500℃以上の高温化で行う必要があるが、この温度はハンダの融点を上回ってしまう。このため、縦型構造のLED素子においては、アニール処理を行うことができない。
つまり、この点に鑑みれば、n層95をGaNで構成して縦型構造のLED素子を実現しようとした場合には、給電端子42としてTi/Ptを用いることができない。つまり、従来構成であれば、給電端子42としては、アニール処理を行うことなくオーミック接続の実現が可能な材料に限定されていた。
これに対し、窒化物発光素子1は、AlGa1−xNで構成したn層35を備えることで、n層35を7×1019/cm以上の高濃度でSiのドープが行える。この結果、従来ではn層との間でオーミック接続を形成するためにアニール処理が必要であった金属材料についても、アニール処理を行うことなく給電端子42の材料として利用することができる。よって、給電端子42として利用できる材料の選択の幅が広がり、またアニール処理が不要となるためプロセスの簡素化も図られる。
図8は、給電端子を構成する金属材料を異ならせた各検証用素子に、直接給電端子42を形成したときのn層35と給電端子42間のI−V特性を示すグラフである。ここでは、検証用素子として、Siドープ濃度を2.0×1020/cmとし、膜厚を500nmとしたAlGa1−xNによってn層35を構成した検証用素子2Aを用いた。
(実施例5)
給電端子42として、膜厚30nmのTiと膜厚30nmのPtを積層した金属材料を用いた。なお、Tiの仕事関数は4.1eVである。
(実施例6)
給電端子42として、膜厚100nmのAgを用いた。なお、Agの仕事関数は4.3eVである。
(実施例7)
給電端子42として、膜厚10nmのCrと膜厚100nmのAuを積層した金属材料を用いた。なお、Crの仕事関数は4.5eVである。
(実施例8)
給電端子42として、膜厚10nmのNiと膜厚10nmのAuを積層した金属材料を用いた。なお、Niの仕事関数は5.3eVである。
図8によれば、全ての実施例5〜8において、いずれも給電端子42とn層35の間のオーミック接続が形成されていることが分かる。特に、実施例8では、給電端子42として仕事関数の比較的高いNiなどの材料を用いた場合においても、n層35の上面に直接給電端子42を形成しただけでオーミック接続が得られている。これは、n層35をAlGa1−xNで実現した結果、Siドープ濃度を7×1019/cm以上の高濃度にすることができるため、トンネル効果を利用してオーミック接続が実現できたものと推察される。
[製造方法]
次に、窒化物発光素子1の製造方法の一例につき説明する。なお、下記製造方法で説明する製造条件や膜厚などの寸法は、あくまで一例であって、これらの数値に限定されるものではない。
(ステップS1)
サファイア基板上にLEDエピ層を形成する。この工程は、例えば以下の手順により行われる。
〈サファイア基板の準備〉
まず、c面サファイア基板のクリーニングを行う。このクリーニングは、より具体的には、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相蒸着)装置の処理炉内にc面サファイア基板を配置し、処理炉内に流量が10slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を例えば1150℃に昇温することにより行われる。
〈アンドープ層の形成〉
次に、c面サファイア基板の表面に、GaNよりなる低温バッファ層を形成し、更にその上層にGaNよりなる下地層を形成する。これら低温バッファ層及び下地層がアンドープ層に対応する。
アンドープ層のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、МОCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を480℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ5slmの窒素ガス及び水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が50μmol/minのトリメチルガリウム及び流量が250000μmol/minのアンモニアを処理炉内に68秒間供給する。これにより、c面サファイア基板の表面に、厚みが20nmのGaNよりなる低温バッファ層を形成する。
次に、MOCVD装置の炉内温度を1150℃に昇温する。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が20slmの窒素ガス及び流量が15slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が100μmol/minのトリメチルガリウム及び流量が250000μmol/minのアンモニアを処理炉内に30分間供給する。これにより、低温バッファ層の表面に、厚みが1.7μmのGaNよりなる下地層を形成する。
〈n層35の形成〉
次に、アンドープ層の上層にAlGa1−xN(0<x≦1)の組成からなるn層35を形成する。なお、必要に応じてその上層にn型GaNよりなる保護層を形成しても構わない。
n層35のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、MOCVD装置の炉内圧力を30kPaとする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が20slmの窒素ガス及び流量が15slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が94μmol/minのトリメチルガリウム、流量が6μmol/minのトリメチルアルミニウム、流量が250000μmol/minのアンモニア及び流量が0.08μmol/minのテトラエチルシランを処理炉内に30分間供給する。これにより、Al0.06Ga0.94Nの組成を有し、ドープされるSi濃度が7×1019/cmで厚みが500nmの高濃度電子供給層をアンドープ層の上層に形成する。
GaNよりなる保護層を形成する場合には、その後、トリメチルアルミニウムの供給を停止すると共に、それ以外の原料ガスを6秒間供給することにより、電子供給層の上層に厚みが5nmのn型GaNよりなる保護層を形成する。
〈発光層33の形成〉
次に、n層35の上層にInGaNで構成される井戸層及びAlGaNで構成される障壁層が周期的に繰り返される多重量子井戸構造を有する発光層33を形成する。
発光層33のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、MOCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を830℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が1slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が10μmol/minのトリメチルガリウム、流量が12μmol/minのトリメチルインジウム及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に48秒間供給するステップを行う。その後、流量が10μmol/minのトリメチルガリウム、流量が1.6μmol/minのトリメチルアルミニウム、0.002μmol/minのテトラエチルシラン及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に120秒間供給するステップを行う。以下、これらの2つのステップを繰り返すことにより、厚みが2nmのInGaNよりなる井戸層及び厚みが7nmのAlGaNよりなる障壁層による15周期の多重量子井戸構造を有する発光層33が、n層35の表面に形成される。
〈p層31の形成〉
次に、発光層33の上層に、AlGa1−yN(0<y≦1)で構成される層(正孔供給層)を形成し、更にその上層にGaNで構成される層(保護層)を形成する。これら正孔供給層及び保護層がp層31に対応する。
p層31のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、MOCVD装置の炉内圧力を100kPaに維持し、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が25slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を1050℃に昇温する。その後、原料ガスとして、流量が35μmol/minのトリメチルガリウム、流量が20μmol/minのトリメチルアルミニウム、流量が250000μmol/minのアンモニア及び流量が0.1μmol/minのビスシクロペンタジエニルを処理炉内に60秒間供給する。これにより、発光層33の表面に、厚みが20nmのAl0.3Ga0.7Nの組成を有する正孔供給層を形成する。その後、トリメチルアルミニウムの流量を9μmol/minに変更して原料ガスを360秒間供給することにより、厚みが120nmのAl0.13Ga0.87Nの組成を有する正孔供給層を形成する。
更にその後、トリメチルアルミニウムの供給を停止すると共に、ビスシクロペンタジエニルの流量を0.2μmol/minに変更して原料ガスを20秒間供給することにより、厚みが5nmのp型GaNよりなるコンタクト層を形成する。
なお、p型不純物としては、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、亜鉛(Zn)、カーボン(C)などを用いることができる。
このようにしてサファイア基板上に、アンドープ層、n層35、発光層33及びp層31からなるLEDエピ層が形成される。
(ステップS2)
次に、ステップS1で得られたウェハに対して活性化処理を行う。より具体的には、RTA(Rapid Thermal Anneal:急速加熱)装置を用いて、窒素雰囲気下中650℃で15分間の活性化処理を行う。
(ステップS3)
次に、p層31の上層の所定箇所に絶縁層21を形成する。より具体的には、後の工程で給電端子42を形成する領域の下方に位置する箇所に絶縁層21を形成するのが好ましい。絶縁層21としては、例えばSiOを膜厚200nm程度成膜する。なお成膜する材料は絶縁性材料であればよく、例えばSiN、Alでも良い。
(ステップS4)
p層31及び絶縁層21の上面を覆うように、導電層20を形成する。ここでは、反射電極19、保護層17、及びハンダ層15を含む多層構造の導電層20を形成する。
導電層20のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、スパッタ装置にてp層31及び絶縁層21の上面を覆うように、膜厚0.7nmのNi及び膜厚120nmのAgを全面に成膜して、反射電極19を形成する。次に、RTA装置を用いてドライエアー雰囲気中で400℃、2分間のコンタクトアニールを行う。
次に、電子線蒸着装置(EB装置)にて反射電極19の上面(Ag表面)に、膜厚100nmのTiと膜厚200nmのPtを3周期成膜することで、保護層17を形成する。更にその後、保護層17の上面(Pt表面)に、膜厚10nmのTiを蒸着させた後、Au80%Sn20%で構成されるAu−Snハンダを膜厚3μm蒸着させることで、ハンダ層15を形成する。
なお、このハンダ層15の形成ステップにおいて、サファイア基板とは別に準備された支持基板11の上面にもハンダ層を形成するものとして構わない。このハンダ層は、ハンダ層15と同一の材料で構成されるものとしてよい。なお、この支持基板11としては、構造の項で前述したように、例えばCuWが用いられる。
(ステップS5)
次に、サファイア基板と支持基板11とを貼り合せる。より具体的には、280℃の温度、0.2MPaの圧力下で、ハンダ層15と支持基板11を貼り合わせる。
(ステップS6)
次に、サファイア基板を剥離する。より具体的には、サファイア基板を上に、支持基板11を下に向けた状態で、サファイア基板側からKrFエキシマレーザを照射して、サファイア基板とLEDエピ層の界面を分解させることでサファイア基板の剥離を行う。サファイアはレーザが通過する一方、その下層のGaN(アンドープ層)はレーザを吸収するため、この界面が高温化してGaNが分解される。これによってサファイア基板が剥離される。
その後、ウェハ上に残存しているGaN(アンドープ層)を、塩酸などを用いたウェットエッチング、ICP装置を用いたドライエッチングによって除去し、n層35を露出させる。
(ステップS7)
次に、隣接する素子同士を分離する。具体的には、隣接素子との境界領域に対し、ICP装置を用いて絶縁層21の上面が露出するまでLED層30をエッチングする。これにより、隣接領域のLED層30同士が分離される。なお、このとき絶縁層21はエッチングストッパー層として機能する。
なお、このエッチング工程では、素子側面を垂直でなく、10°以上のテーパ角を有する傾斜面とするのが好ましい。このようにすることで、後の工程で絶縁層を形成する際、LED層30の側面に絶縁層が付着しやすくなり、電流リークを防ぐことができる。
また、ステップS7の後、LED層30の上面にKOH等のアルカリ溶液で凹凸面を形成するものとしても構わない。これにより、光取り出し面積が増大し、光取り出し効率を向上させることができる。
(ステップS8)
次に、n型35の上面に給電端子42を形成する。より具体的には、膜厚10nmのNiと膜厚10nmのAuからなる給電端子42を形成する。上述したように、この工程の後、アニール処理を行わなくても、オーミック接続が形成される。
その後の工程としては、露出されている素子側面、及び給電端子42以外の素子上面を絶縁層で覆う。より具体的には、EB装置にてSiO膜を形成する。なおSiN膜を形成しても構わない。そして、各素子同士を例えばレーザダイシング装置によって分離し、支持基板11の裏面を例えばAgペーストにてパッケージと接合して給電端子42に対してワイヤボンディングを行う。
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
〈1〉 図1では、窒化物発光素子1としていわゆる縦型構造のLED素子を想定して説明したが、図9に示すように、窒化物発光素子1を横型構造のLED素子として実現しても構わない。
図9に示す窒化物発光素子1は、サファイア基板61上に、アンドープ層13を有し、その上層に、n層35、発光層33、及びp層31を下からこの順に積層して構成されている。n層35の上面が一部露出されており、n層35のこの露出面の上層と、p層31の上面に給電端子42が形成されている。
この構成においても、n層35をドープされているSi濃度が7×1019/cm以上のAlGa1−xN(0<x≦1)で実現することで、素子抵抗の低減化が図られ、上述した縦型の窒化物発光素子1と同様の効果が実現される。
図9に示す窒化物発光素子1を形成するに際しては、上述したステップS1〜S2の後、p層31側からn層35の一部上面が露出するまでエッチングを行なう。その後、p層31の上面及びn層35の一部上面に、ステップS8と同様の処理を行なって給電端子42を形成する。
なお、図9の窒化物発光素子1において、サファイア基板61の裏面側に、反射電極19を形成しても構わない。また、給電端子42の上面を除くLED層30の上面及びLED層30の側面を覆う絶縁層を形成しても構わない。
〈2〉 図1に示した構造、並びに上述した製造方法は、好ましい実施形態の一例であって、これらの構成やプロセスの全てを備えなければならないというものではない。
例えばハンダ層15は、2つの基板の貼り合せを効率的に行うべく形成されたものであって、2基板の貼り合せが実現できるのであれば窒化物発光素子1の機能を実現する上で必ずしも必要なものではない。
反射電極19は、発光層33から放射される光の取り出し効率を更に向上させる意味においては備えるのが好適であるが、必ずしも備えなければならないというものではない。保護層17なども同様である。
また、絶縁層21は、ステップS7における素子分離時のエッチングストッパー層として機能させるために形成したが、必ずしも備えなければならないものではない。ただし、絶縁層21を、支持基板11の基板面に直交する方向において、給電端子42に対向する位置に形成することで、電流を支持基板11の基板面に平行な方向に拡げる効果が期待できる。
しかし、上記構成によれば、n層35をSi濃度が7×1019/cm以上のAlGa1−xN(0<x≦1)で実現することで、1×10−3Ω・cm以下の比抵抗が実現できるので、n層35を100nm以上500nm以下程度の薄い膜厚で形成できる。これにより、従来構成よりも、n層35に電流を支持基板11の基板面に平行な方向に拡げる機能を有するため、電流拡がりの効果を得るために必ずしも絶縁層21を設けなくても構わない。ただし、電流拡がりの効果を更に高める目的で絶縁層21を設けるものとしてもよい。
1 : 支持基板
2A : 検証用素子
2B : 検証用素子
13 : アンドープ層
15 : ハンダ層
17 : 保護層
19 : 反射電極
20 : 導電層
21 : 絶縁層
30 : LED層
31 : p層
33 : 発光層
35 : n層(AlGa1−xN)
36 : アンドープ層
42 : 給電端子
61 : サファイア基板
95 : n層(GaN)

Claims (5)

  1. 支持基板上に、n層と、p層と、前記n層と前記p層に挟まれた位置に形成された発光層を有する窒化物発光素子であって、
    前記n層は、ドープされているSi濃度が7×1019/cm以上のAlGa1−xN(0<x≦1)で構成され、当該n層全体の膜厚が100nm以上500nm以下で構成されており、
    前記p層の面のうち、前記発光層とは反対側の面に接触している箇所に反射電極を備えることを特徴とする窒化物発光素子。
  2. 前記n層の上面に接触して給電端子を備え、
    前記n層は、少なくとも前記給電端子と接触している箇所が、ドープされているSi濃度が7×1019/cm以上のAlGa1−xN(0<x≦1)で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の窒化物発光素子。
  3. 前記n層は、少なくとも前記給電端子と接触している箇所が、ドープされているSi濃度が1×1020/cm以上のAlGa1−xN(0<x≦1)で構成されていることを特徴とする請求項2に記載の窒化物発光素子。
  4. 前記給電端子は、少なくとも前記n層に接触する箇所において仕事関数が4.1eV以上5.3eV以下の金属材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化物発光素子。
  5. 窒化物発光素子の製造方法であって、
    成長基板上にSi濃度が7×1019/cm以上のAlGa1−xN(0<x≦1)で構成されたn層を膜厚が100nm以上500nm以下で成長させる工程(a)と、
    前記n層の上層に発光層を成長させる工程(b)と、
    前記発光層の上層にp層を成長させる工程(c)とを含み、
    前記工程(c)の後、前記p層の上層に反射電極及びハンダ層を成長させる工程(d)と、
    前記ハンダ層を介して支持基板を貼り合わせた後、前記成長基板を剥離する工程(e)と、
    前記n層の面のうち、前記発光層が接触している側とは反対側の面であってSi濃度が7×10 19 /cm 以上のAl Ga 1−x Nからなる層の上面に、アニール処理を行うことなく給電端子を形成する工程(f)とを含むことを特徴とする窒化物発光素子の製造方法。
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