JP5880633B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、支持基板上に、n型半導体層、p型半導体層、及びこれらの間に形成された発光層を有する半導体発光素子に関する。
従来、窒化物半導体を用いた発光素子においては、主としてGaNが利用されている。この場合、格子整合の観点からサファイア基板上にエピタキシャル成長させて欠陥の少ないGaN膜を形成することで、窒化物半導体からなる発光素子を形成していた。ここで、サファイア基板は絶縁材であることから、GaN系の発光素子への給電には、p型半導体層の一部を削ってn型半導体層を露出させ、p型半導体層及びn型半導体層の各半導体層に給電用の電極を形成していた。このように、給電用の電極が同じ向きに配置されている構造の発光素子を「横型構造」と呼び、例えば下記特許文献1にこのような技術が開示されている。
一方で、発光素子の発光効率の改善や光取り出し効率の向上を目的として、p型半導体層とn型半導体層を表裏面に配置し給電する、いわゆる「縦型構造」の発光素子の開発が進められている。この縦型構造の発光素子を製造する際には、サファイア基板上に下から順にn型半導体層、発光層(「活性層」とも呼ばれる。)、p型半導体層を配置し、当該p型半導体層側にSiやCuWからなる支持基板を接合した後、サファイア基板が除去される。この場合、素子表面はn型半導体層となり、このn型半導体側に電極(n側電極)を設け、このn側電極に給電線であるワイヤを繋ぐことで電圧供給を行っている。
縦型の構造においては、p型半導体層側の電極(以下、「p側電極」と呼ぶ。)とn側電極の間に電圧が印加されると、p側電極から発光層を介してn側電極に電流が流れる。発光層内を電流が流れることで、発光層が発光する。
p側電極とn側電極は鉛直方向に対向する位置関係に配置される。このため、両電極間に電圧が印加された場合、p側電極からn側電極に向かってほぼ最短距離で向かう鉛直方向の電流経路が形成される。このとき、n側電極の直下に位置する発光層内を大部分の電流が流れ、他の発光層内にはあまり電流が流れず、発光領域が限定的となり発光効率が低くなるという問題がある。
上記の課題を受け、下記特許文献2には、電流を支持基板の基板面に対して平行な方向に拡げることを目的としてn側電極の直下の位置に絶縁層を設ける構成が開示されている。
特許第2976951号明細書 特許第4207781号明細書
図9は、特許文献2に開示された半導体発光素子の断面図を模式的に示したものである。従来の半導体発光素子90は、支持基板91上に導電層92、反射膜93、絶縁層94、反射電極95、半導体層99、及びn側電極100を備えて構成される。半導体層99は、p型半導体層96、発光層97、及びn型半導体層98が下からこの順に積層されて構成される。反射電極95は前述の「p側電極」に対応する電極である。
絶縁層94は、n側電極100が形成されている位置の直下の位置を含む領域に形成される。絶縁層94の下層には金属材料からなる反射膜93が形成されているが、この反射膜93はオーミック性を有さず電極としての機能を奏さない。一方、反射電極95は金属材料からなり、p型半導体層96の間でオーミック接触が実現されることで電極(p側電極)として機能している。
支持基板91とn側電極100の間に電圧が印加されると、n側電極100の直下の位置には絶縁層94が設けられているため、n側電極100の直下の位置において発光層97内を鉛直方向に大部分の電流が流れることが防止される。すなわち、電流は反射電極95を通過した後、支持基板91の基板面に対して平行な方向(水平方向)に拡がりながらn側電極100に向かって流れる。これにより、発光層97内を流れる電流を水平方向に拡げる効果が得られ、発光層97内の発光領域が水平方向に拡げられる。
反射電極95は、発光層97で発光した光のうち、支持基板91に向かう方向(図面下向き)に放射された光を反射させてn側半導体層98側(図面上向き)に取り出すことで、光の取り出し効率を高める目的を兼ねている。反射膜93も同様の目的で形成されており、反射電極95が形成されていない箇所を通過して下向きに進行した光を反射させてn側半導体層98側に進行方向を変えることで、光の取り出し効率が高められる。
しかし、発光層97から下向きに放射された光が反射膜93によって反射されて上向きに取り出されるに際し、この光は、反射膜93で反射される前と反射した後の2回にわたって、絶縁膜94内を通過することになる。特許文献2には、絶縁膜94の材料として、SiO、Al、ZrO、TiOなどの材料が挙げられている。これらの材料によって絶縁膜94を形成した場合、絶縁膜94は透明膜として構成されるものの、この絶縁膜94内を光が通過する際に数%の光が絶縁膜94によって吸収されてしまう。より詳細には、発光層97から絶縁膜94を通過して反射膜93に達するまでに3−4%程度の光が吸収され、更に反射膜93で反射された光が絶縁膜94を通過してn型半導体層98側の外部に取り出されるまでに更に3−4%の光が吸収される。
つまり、従来の構成では、発光層97から放射された光のうち、下向きに放射された光を反射させて取り出し効率を高めてはいるものの、一部の光が絶縁膜94内に吸収されてしまっているため、取り出し効率を十分に高められているとはいえない。
本発明は、上記の課題に鑑み、発光層を流れる電流の水平方向への拡がりを確保しながら、光の取り出し効率を更に向上させた半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明は、支持基板上に、n型半導体層と、p型半導体層と、前記n型半導体層及び前記p型半導体層の間に形成された発光層とを有する半導体発光素子であって、
底面を前記n型半導体層の上面に接触して形成されたn側電極と、
上面を前記p型半導体層の底面に接触し、前記n側電極の形成箇所の直下の位置を含む領域に形成された反射電極と、
前記n側電極の形成箇所の直下の位置において、上面を前記反射電極の底面に接触して形成された絶縁層とを備え、
前記絶縁層はその直上に位置する前記n側電極よりも幅広に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、反射電極はn側電極の直下の位置にまで形成されているものの、その箇所においては底面に絶縁層が形成されているため、n側電極の直下の位置において反射電極の底面より下方に電流が流れることがない。電流経路は絶縁層が形成されていない領域に形成されることから、上記構成によれば、反射電極とn側電極が鉛直方向に対向する位置関係であっても、反射電極とn側電極に挟まれた領域における発光層内にのみ大部分の電流が流れるということはない。つまり、上記構成においても、発光層内を流れる電流を支持基板の基板面に平行な方向(水平方向)に拡げる効果が得られる。
特に、本発明の構成では、絶縁層が、その直上に位置するn側電極よりも幅広に形成されている。そのため、反射電極とn側電極に挟まれた領域だけでなく、n側電極よりも幅広に形成されている絶縁層とn側電極に挟まれた領域にも大部分の電流が流れることを抑制することができる。その結果、発光層内を流れる電流を拡げる効果が、顕著に得られる。
図9を参照して説明した従来の構成であれば、反射膜93の上層に形成されていた絶縁層94によって、発光層97内を流れる電流を水平方向に拡げる効果を実現していた。そして、この反射膜93の上層に絶縁層94が設けられていることで、発光層97から放射された光が反射膜93で反射されて取り出されるまでの間に、絶縁層94内を2回通過することを余儀なくされ、この絶縁層94内で数%の光が吸収されてしまっていた。
これに対し、上記の構成であれば、反射電極の下層に設けられた絶縁層によって発光層内を流れる電流を水平方向に拡げる効果が実現される。このため、反射電極の上層には必ずしも絶縁層を設ける必要がない。この結果、発光層から支持基板側に放射された光が反射電極で反射されてn型半導体層側の外部に取り出されるまでに、絶縁層によって吸収されることがなく、従来よりも取り出し効率が高められる。
なお、図9に示す従来の半導体発光素子90においても、絶縁層94は反射電極95の底面の一部に接触するように形成されており、反射電極95の上面にはp型窒化物層96が形成されている。このため、発光層97から下向き(支持基板91側)に放射された光のうち、反射電極95で反射される光については、絶縁層94で吸収されるということはない。しかし、図9の構成では、n側電極100の直下の位置には反射電極95が形成されておらず、絶縁層94が形成されている。このため、発光層97から放射された光のうち、n側電極100の直下に位置する領域内を下向きに通過する光については、反射電極95によって反射させることができないため、絶縁層94の底面に反射膜93を設ける構成としている。ただし、この反射膜93で反射された光が外部に取り出されるまでに絶縁層94において一部が吸収されてしまう点は上述した通りである。
図9に示す半導体発光素子90において、n側電極100の直下の位置に反射電極95を形成しない構成としているのは、n側電極100と反射電極95を鉛直方向に対向させると、この間に位置する発光層97の領域にのみ重点的に電流が流れてしまい、発光層97内の発光領域が限定的になることを想定したものであると考えられる。しかし、「発明を説明するための形態」の項で後述されるように、本発明者の鋭意研究によって、n側電極の直下の位置に反射電極を形成しても、n側電極の直下の位置において反射電極の底面に絶縁層(絶縁層)を形成しておくことで、発光層に流れる電流を水平方向に拡げる効果が実現できることを見出した。特に、絶縁層を、その直上に位置するn側電極よりも幅広に形成しておくことで、発光層内を流れる電流を拡げる効果が、顕著に得られることを見出した。本発明は、この事実に基づいてなされたものである。
上記の構成において、前記絶縁層は、前記n側電極の形成箇所の直下に位置する第1絶縁層と、前記n側電極の非形成箇所の直下に位置する第2絶縁層とが連続した構成を有しており、
前記n側電極の幅に対する前記第2絶縁層の幅の割合が35%以上300%以下であることが好ましい。
n側電極の幅に対する第2絶縁層の幅の割合が35%以上であると、発光層内を流れる電流を拡げる効果が、より顕著に得られる。また、光取り出し面での高い発光分布均一度が得られる。一方、n側電極の幅に対する第2絶縁層の幅の割合が300%以下であると、電流密度を必要以上に高くすることなく、発光層内を流れる電流を広げる効果が得られる。
上記の構成においては、前記第1絶縁層の両側に前記第2絶縁層が形成されていてもよい。
第1絶縁層の両側に第2絶縁層が形成されていると、反射電極とn側電極に挟まれた領域の両側において大部分の電流が流れることを抑制することができる。従って、特に、反射電極とn側電極とが素子の外周以外の箇所に形成されている場合に、発光層内を流れる電流を拡げる効果が、さらに顕著に得られる。
本発明の半導体発光素子によれば、発光層を流れる電流の水平方向への拡がりを確保しながら、従来構成よりも光の取り出し効率を更に向上させることができる。
本実施形態に係る半導体発光素子の構成を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係る半導体発光素子の構成を模式的に示す平面図である。 本実施形態に係る半導体発光素子工程断面図の一部である。 本実施形態に係る半導体発光素子工程断面図の一部である。 本実施形態に係る半導体発光素子工程断面図の一部である。 本実施形態に係る半導体発光素子工程断面図の一部である。 本実施形態に係る半導体発光素子工程断面図の一部である。 本実施形態に係る半導体発光素子工程断面図の一部である。 本実施形態に係る半導体発光素子工程断面図の一部である。 本実施形態に係る半導体発光素子工程断面図の一部である。 本実施形態に係る半導体発光素子工程断面図の一部である。 本実施形態に係る半導体発光素子工程断面図の一部である。 実施例1に係る半導体発光素子を光取り出し方向から見たときの写真である。 実施例1〜4、比較例1に係る半導体素子を光取り出し方向から見たときの様子を説明するための模式図である。 比較例2として形成した半導体発光素子の構造を模式的に示す断面図である。 実施例1〜4、及び、比較例1〜2の各素子に対して電圧を印加したときの、流れる電流値と電圧値の関係(I−V特性)を示すグラフである。 実施例1〜4、及び、比較例1〜2の各素子に対して電流を供給したときに得られる発光出力と電流値の関係を示すグラフである。 実施例1〜4、及び、比較例1の各素子の発光強度分布を示すグラフである。 光取り出し面での発光分布均一度と絶縁層はみ出し幅との関係を示すグラフである。 半導体発光素子の別実施形態の構成を模式的に示す断面図である。 従来の半導体発光素子の構成を模式的に示す断面図である。
本発明に係る半導体発光素子の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、各図において図面の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致しない。また、本明細書において、「第1の層が第2の層の直下に位置する」とは、支持基板の基板面に垂直な方向に関して、第の層の下方に第の層が位置することを意味する。
〈構造〉
図1Aは、本実施形態に係る半導体発光素子の構成を模式的に示す断面図である。半導体発光素子1は、支持基板11、導電層20、絶縁層21、半導体層30及びn側電極(42,43)を含んで構成される。半導体層30は、p型半導体層(32,31)、発光層33、及びn型半導体層35が下からこの順に積層されて形成されている。なお、図1Bは、半導体発光素子1を上面から見たときの模式的な平面図であり、図1Aは、図1BにおけるA−A線断面図に対応している。
(支持基板11)
支持基板11は、例えばCuW、W、Moなどの導電性基板、又はSiなどの半導体基板で構成される。
(導電層20)
支持基板11の上層には、多層構造からなる導電層20が形成されている。この導電層20は、本実施形態では、ハンダ層13、ハンダ層15、保護層17及び反射電極19を含む。
ハンダ層13及びハンダ層15は、例えばAu−Sn、Au−In、Au−Cu−Sn、Cu−Sn、Pd−Sn、Snなどで構成される。後述するように、これらのハンダ層13とハンダ層15は、支持基板11上に形成されたハンダ層13と、別の基板(後述するサファイア基板61)上に形成されたハンダ層15を対向させた後に、両者を貼り合わせることで形成されたものである。
保護層17は、例えばPt系の金属(TiとPtの合金)、W、Mo、Niなどで構成される。後述するように、ハンダ層を介した貼り合わせの際、ハンダを構成する材料が後述する反射電極19側に拡散し、反射率が落ちることによる発光効率の低下を防止する機能を果たしている。
反射電極19は、例えばAg系の金属(NiとAgの合金)、Al、Rhなどで構成される。半導体発光素子1は、発光層33から放射された光を、図1Aの上方向(n型半導体層35側)に取り出すことを想定しており、反射電極19は、発光層33から下向きに放射された光を上向きに反射させることで発光効率を高める機能を果たしている。なお、図1A内における上向きの矢印は、光の取り出し方向を表している。
反射電極19は、n側電極(42,43)の直下の位置を含むp型半導体層(31,32)の下層に形成されている。特に、図1Aに示すように、本実施形態では反射電極19の上面は全てp型半導体層32と接触するように形成されている。そして、支持基板11とn側電極(42,43)の間に電圧が印加されると、支持基板11、ハンダ層(13,15)、保護層17、反射電極19、半導体層30を介してn側電極(42,43)へと流れる電流経路が形成される。
(絶縁層21)
絶縁層21は、例えばSiO2、SiN、Zr、AlN、Alなどで構成される。この絶縁層21は、本発明の「絶縁層」に対応する。
絶縁層21は、n側電極(42,43)の直下を含むように形成されており、絶縁層21の上面は反射電極19の底面に接触している。この絶縁層21は、発光層33を流れる電流を支持基板11の基板面に平行な方向(水平方向)に拡げる役割を果たしている。
絶縁層21は、その直上に位置するn側電極(42,43)よりも幅広に形成されている。この点について以下、詳述する。
絶縁層21は、平面視で半導体発光素子1の中央を横断するように形成されたライン状の絶縁層21Xと、半導体発光素子1の外周を取り囲むように形成されたライン状の絶縁層21Yとから構成される(図1A参照)。
絶縁層21Xは、n側電極42の形成箇所の直下に位置する第1絶縁層21aと、n側電極42の非形成箇所の直下に位置する第2絶縁層21bとが連続した構成を有している。絶縁層21Xでは、第1絶縁層21aの両側に第2絶縁層21bが形成されている。従って、発光層33内を流れる電流を拡げる効果が、さらに顕著に得られる。
絶縁層21Yは、n側電極42の形成箇所の直下に位置する第1絶縁層21aと、n側電極42の非形成箇所の直下に位置する第2絶縁層21bとが連続した構成を有している。絶縁層21Yでは、第1絶縁層21aの片側、具体的には、第1絶縁層21aよりも素子の中央側に、第2絶縁層21bが形成されている。
なお、絶縁層21Yは半導体層30の外側の位置に第3絶縁層21cを有しており、プロセスの項で後述するように、素子分離時におけるエッチングストッパー層としても機能する。
本実施形態では、n側電極がライン状に延伸された形状である場合について説明する。ただし、本発明においてn側電極の形状は特に限定されない。なお、n側電極がライン状に延伸された形状ではない場合、本発明におけるn側電極の幅とは、n側電極の大部分を占める部分の幅をいう。例えば、ライン状のn側電極の一部分に他の大部分に比較して幅の太い部分が存在する場合、当該部分はn側電極の幅と言わず、当該部分以外の大部分を占める部分の幅をいう。また、絶縁層の幅とは、「n側電極の幅」に相当する部分の直下部分にある絶縁層の幅をいう。
図1(B)に示す第2絶縁層21bの幅W2(以下、幅W2を「はみ出し幅」と称することもある)は、n側電極42の幅W1に対して35%以上300%以下であることが好ましく、37%以上100%以下であることがより好ましい。幅W2の幅W1に対する割合が35%以上であると、発光層33内を流れる電流を拡げる効果が、より顕著に得られる。また、後述する実施例からわかるように、光取り出し面での高い発光分布均一度が得られる。一方、幅W2の幅W1に対する割合が300%以下であると、電流密度を必要以上に高くすることなく、発光層内を流れる電流を広げる効果が得られる。
なお、本発明においては、幅W2が、幅W1に対して35%より小さければ、直ちに発光層内を流れる電流を拡げる効果が得られなくなるわけではなく、少なくとも、0%より大きければ効果がえられ得る。35%以上が好ましいとしたのは、通常、半導体発光素子とした場合に採用される各層の厚さや電極幅等の範囲内において、特に好適となる範囲であることを本発明者らが突き止めたことによる。
(半導体層30)
上述したように、半導体層30は、p型半導体層32、p型半導体層31、発光層33、及びn型半導体層35が下からこの順に積層されて形成される。
p型半導体層32は、例えばGaNで構成される。また、p型半導体層31は、例えばAlGa1−mN(0≦m<1)で構成される。いずれの層も、Mg、Be、Zn、又はCなどのp型不純物がドープされている。なお、p型半導体層32は、p型半導体層31よりも不純物濃度が高濃度であり、コンタクト層を形成している。
発光層33は、例えばInGaNからなる井戸層とAlGaNからなる障壁層が繰り返されてなる多重量子井戸構造を有する半導体層で形成される。これらの層はアンドープでもp型又はn型にドープされていても構わない。
n型半導体層35は、例えばAlGa1−nN(0≦n<1)で構成される層(電子供給層)とGaNで構成される層(保護層)を含む多層構造で構成される。少なくとも保護層には、Si、Ge、S、Se、Sn、又はTeなどのn型不純物がドープされている。
(n側電極42,n側電極43)
n側電極(42,43)はn型半導体層35の上層であって、図1Aに示す断面図においてn型半導体層35の端部近傍領域と中央近傍領域に形成され、例えばCr−Auで構成される。端部近傍領域に形成されたものがn側電極43、中央近傍領域に形成されたものがn側電極42に対応する。また、n側電極43には、例えば領域43a及び43bにおいて、Au、Cuなどで構成されるワイヤ45が連絡されており、このワイヤ45の他方は、半導体発光素子1が配置されている基板(支持基板11)の給電パターンなどに接続される(不図示)。つまり、n側電極43は、半導体発光素子1の給電端子として機能している。なお、図1A及び図1Bでは、n側電極42が平面視で半導体発光素子1の中央を横断するライン状であり、1箇所のみに形成される構成としているが、このn側電極42を複数箇所に形成することで、格子状に配置するものとしても構わない。更に、n側電極42同士を交差させて網目状に配置しても構わない。
また、図1Bにも示すように、n側電極42とn側電極43は半導体層30の上面において連結されており、半導体層30の平面上に電流経路を拡げる役目を果たしている。つまり、n型半導体層35の上面のうち、給電端子を構成するn側電極43とは異なる箇所においてn型半導体層35の上面と接触することで、通電時において水平方向に関してn型半導体層35の広い範囲に電流を流し、これによって発光層33内の広い範囲に電流を流すことを目的として形成されている。
なお、図示していないが、半導体層30の側面に保護膜としての絶縁層を形成しても構わない。なお、この保護膜としての絶縁層は、透光性を有する材料(例えばSiOなど)で構成するのが好ましい。また、上述の実施形態では、p型半導体層31を構成する一材料をAlGa1−mN(0≦m<1)と記載し、n型半導体層35を構成する一材料をAlGa1−nN(0≦n<1)と記載したが、これらは同一の材料であっても構わない。
また、光取り出し効率を更に高める目的で、n型半導体層35の上面に微小の凹凸(メサ構造)を形成しても構わない。
図1Aに示す構成によれば、反射電極19はn側電極(42,43)の直下の位置を含む領域に形成されているものの、n側電極(42,43)の直下の位置においては反射電極19の底面に絶縁層21が形成されているため、n側電極(42,43)の直下の位置において反射電極19の底面より下方に電流が流れることがない。電流経路は絶縁層21が形成されていない領域に形成されることから、上記構成によれば、反射電極19とn側電極(42,43)が鉛直方向に対向する位置関係であっても、反射電極19とn側電極(42,43)に挟まれた領域における発光層33内にのみ大部分の電流が流れるということはない。つまり、図1Aに示す半導体発光素子1によれば、反射電極19の上層に絶縁層を設けなくても、発光層33内を流れる電流を支持基板11の基板面に平行な方向(水平方向)に拡げる効果が得られる。
特に、半導体発光素子1では、絶縁層21(絶縁層21X、及び、絶縁層21Y)が、その直上に位置するn側電極(42、43)よりも幅広に形成されている。そのため、反射電極19とn側電極(42、43)に挟まれた領域だけでなく、n側電極19よりも幅広に形成されている絶縁層21(絶縁層21X(21b)、及び、絶縁層21Y(21b))とn側電極19とに挟まれた領域にも大部分の電流が流れることを抑制することができる。その結果、発光層33内を流れる電流を拡げる効果が、顕著に得られる。
この結果、発光層33から支持基板11側に放射された光が反射電極19で反射されてn型半導体層35側に取り出されるまでに、絶縁層によって吸収されることがなく、従来よりも取り出し効率が高められる。
本実施形態の半導体発光素子1によれば、従来構成と同等の低電圧駆動を実現しながら、従来構成よりも光の取り出し効率が高められていることに関しては、実施例及び比較例の素子による結果を参照して示される。
〈製造方法〉
次に、半導体発光素子1の製造方法の一例につき、図2A〜図2Jに示す工程断面図を参照して説明する。なお、以下で説明する製造条件や膜厚などの寸法は、あくまで一例であって、これらの数値に限定されるものではない。
(ステップS1)
図2Aに示すように、サファイア基板61上にエピ層40を形成する。このステップS1は例えば以下の手順により行われる。
(サファイア基板61の準備)
まず、c面サファイア基板61のクリーニングを行う。このクリーニングは、より具体的には、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相蒸着)装置の処理炉内にc面サファイア基板61を配置し、処理炉内に流量が10slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を例えば1150℃に昇温することにより行われる。
(アンドープ層36の形成)
次に、c面サファイア基板61の表面に、GaNよりなる低温バッファ層を形成し、更にその上層にGaNよりなる下地層を形成する。これらの低温バッファ層及び下地層がアンドープ層36に対応する。
アンドープ層36のより具体的な形成方法は例えば以下の通りである。まず、МОCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を480℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量がそれぞれ5slmの窒素ガス及び水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が50μmol/minのトリメチルガリウム(TMG)及び流量が250000μmol/minのアンモニアを処理炉内に68秒間供給する。これにより、c面サファイア基板61の表面に、厚みが20nmのGaNよりなる低温バッファ層を形成する。
次に、MOCVD装置の炉内温度を1150℃に昇温する。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が20slmの窒素ガス及び流量が15slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が100μmol/minのTMG及び流量が250000μmol/minのアンモニアを処理炉内に30分間供給する。これにより、低温バッファ層の表面に、厚みが1.7μmのGaNよりなる下地層を形成する。
〈n型半導体層35の形成〉
次に、アンドープ層36の上層にAlGa1−nN(0≦n≦1)の組成からなるn型半導体層35を形成する。
n型半導体層35のより具体的な形成方法は、例えば以下の通りである。まず、引き続き炉内温度を1150℃とした状態で、MOCVD装置の炉内圧力を30kPaとする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が20slmの窒素ガス及び流量が15slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が94μmol/minのTMG、流量が6μmol/minのトリメチルアルミニウム(TMA)、流量が250000μmol/minのアンモニア及び流量が0.025μmol/minのテトラエチルシランを処理炉内に60分間供給する。これにより、例えばAl0.06Ga0.94Nの組成を有し、Si濃度が3×1019/cmで、厚みが2μmのn型半導体層35がアンドープ層36の上層に形成される。
なお、この後、TMAの供給を停止すると共に、それ以外の原料ガスを6秒間供給することにより、n−AlGaN層の上層に厚みが5nmのn型GaNよりなる保護層を有するn型半導体層35を実現してもよい。
上記の説明では、n型半導体層35に含まれるn型不純物をSiとする場合について説明したが、n型不純物としては、Si以外にGe、S、Se、Sn又はTe等を用いることができる。
〈発光層33の形成〉
次に、n型半導体層35の上層にInGaNで構成される井戸層及びn型AlGaNで構成される障壁層が周期的に繰り返される多重量子井戸構造を有する発光層33を形成する。
具体的には、まずMOCVD装置の炉内圧力を100kPa、炉内温度を830℃とする。そして、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が1slmの水素ガスを流しながら、原料ガスとして、流量が10μmol/minのTMG、流量が12μmol/minのトリメチルインジウム(TMI)及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に48秒間供給するステップを行う。その後、流量が10μmol/minのTMG、流量が1.6μmol/minのTMA、0.002μmol/minのテトラエチルシラン及び流量が300000μmol/minのアンモニアを処理炉内に120秒間供給するステップを行う。以下、これらの2つのステップを繰り返すことにより、厚みが2nmのInGaNよりなる井戸層及び厚みが7nmのn型AlGaNよりなる障壁層による15周期の多重量子井戸構造を有する発光層33が、n型半導体層35の上層に形成される。
〈p型半導体層31の形成〉
次に、発光層33の上層に、AlGa1−mN(0≦m≦1)で構成されるp型半導体層31を形成する。
具体的には、MOCVD装置の炉内圧力を100kPaに維持し、処理炉内にキャリアガスとして流量が15slmの窒素ガス及び流量が25slmの水素ガスを流しながら、炉内温度を1025℃に昇温する。その後、原料ガスとして、流量が35μmol/minのTMG、流量が20μmol/minのTMA、流量が250000μmol/minのアンモニア及びp型不純物をドープするための流量が0.1μmol/minのビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を処理炉内に60秒間供給する。これにより、発光層33の表面に、厚みが20nmのAl0.3Ga0.7Nの組成を有する正孔供給層を形成する。その後、TMAの流量を4μmol/minに変更して原料ガスを360秒間供給することにより、厚みが120nmのAl0.13Ga0.87Nの組成を有する正孔供給層を形成する。これらの正孔供給層によりp型半導体層31が形成される。このp型半導体層31のp型不純物濃度は、例えば3×1019/cm程度である。
〈p型半導体層32の形成〉
更にその後、TMAの供給を停止すると共に、CPMgの流量を0.2μmol/minに変更して原料ガスを20秒間供給することにより、厚みが5nm程度で、p型不純物濃度が1×1020/cm程度のpGaNよりなるp型半導体層32を形成する。
このようにしてサファイア基板61上に、アンドープ層36、n型半導体層35、発光層33、p型半導体層31、及びp型半導体層32からなるエピ層40が形成される。
(ステップS2)
次に、ステップS1で得られたウェハに対して活性化処理を行う。より具体的には、RTA(Rapid Thermal Anneal:急速加熱)装置を用いて、窒素雰囲気下中650℃で15分間の活性化処理を行う。
(ステップS3)
次に、図2Bに示すように、p型半導体層32の上面の所定箇所に反射電極19を形成する。ここでは、後の工程の素子分離時におけるp型半導体層32の形成領域よりも内側において、p型半導体層32のほぼ全域に反射電極19を形成する場合を示している。より具体的には、後の工程で給電端子としてのn側電極42を形成する領域の直下に位置する箇所を含むように反射電極19を形成する。
反射電極19は、一例として、スパッタ装置にてp型半導体層32の上面に膜厚0.7nmのNi及び膜厚150nmのAgを成膜した後、RTA装置を用いてドライエア雰囲気中で400℃、2分間のコンタクトアニールを行うことで形成される。なお、ここでは、反射電極19の材料としてNiとAgの合金を採用しているが、AlやRhによって反射電極19を形成することもできる。
(ステップS4)
次に、図2Cに示すように、反射電極19の上層の所定箇所に絶縁層21を形成する。特に、後の工程でn側電極(42,43)を形成する領域の下方に位置する箇所に絶縁層21を形成する。このとき、図2Cに示すように、絶縁層21の一部が反射電極19の側面を覆うように形成することができる。
より具体的には、絶縁層21の非形成領域に係る反射電極19の上層をマスクしておき、例えばSiOをスパッタリング法によって膜厚200nm程度成膜する。なお成膜する材料は絶縁性材料であればよく、例えばSiN、Alでも良い。
(ステップS5)
図2Dに示すように、金属電極19及び絶縁層21の上面を覆うように保護層17及びハンダ層15を形成する。
より詳細には、電子線蒸着装置(EB装置)にて金属電極19及び絶縁層21の上面を覆うように、膜厚100nmのTiと膜厚200nmのPtを3周期成膜することで、保護層17を形成する。更にその後、保護層17の上面(Pt表面)に、膜厚10nmのTiを蒸着させた後、Au80%Sn20%で構成されるAu−Snハンダを膜厚3μm蒸着させることで、ハンダ層15を形成する。
なお、このハンダ層15の形成ステップにおいて、サファイア基板61とは別に準備された支持基板11の上面にもハンダ層13を形成するものとして構わない(図2E参照)。このハンダ層13は、ハンダ層15と同一の材料で構成されるものとしてよく、次のステップにおいてハンダ層13と接合されることで、サファイア基板61と支持基板11が貼り合わせられる。この支持基板11としては、構造の項で前述したように、例えばCuWが用いられる。
更に、この図2Eにおいて、支持基板11上にハンダ層13の材料の拡散を防止するための保護層を保護層17と同様の材料で形成し、この保護層の上層にハンダ層13を形成するものとしても構わない。
(ステップS6)
次に、図2Fに示すように、サファイア基板61と支持基板11とを貼り合わせる。より具体的には、280℃の温度、0.2MPaの圧力下で、ハンダ層15と支持基板11の上層に形成されたハンダ層13とを貼り合わせる。
(ステップS7)
次に、図2Gに示すように、サファイア基板61を剥離する。より具体的には、サファイア基板61を上に、支持基板11を下に向けた状態で、サファイア基板61側からKrFエキシマレーザを照射して、サファイア基板61とエピ層40の界面を分解させることでサファイア基板61の剥離を行う。サファイア61はレーザが通過する一方、その下層のGaN(アンドープ層36)はレーザを吸収するため、この界面が高温化してGaNが分解される。これによってサファイア基板61が剥離される。
その後、図2Hに示すように、ウェハ上に残存しているGaN(アンドープ層36)を、塩酸等を用いたウェットエッチング、又はICP装置を用いたドライエッチングによって除去し、n型半導体層35を露出させる。なお、本ステップS7においてアンドープ層36が除去されて、p型半導体層32、p型半導体層31、発光層33、及びn型半導体層35が下からこの順に積層されてなる半導体層30が残存する。
(ステップS8)
次に、図2Iに示すように、隣接する素子同士を分離する。具体的には、隣接素子との境界領域に対し、ICP装置を用いて絶縁層21の上面が露出するまで半導体層30をエッチングする。上述したように、このとき絶縁層21はエッチング時のストッパーとしても機能する。
(ステップS9)
次に、図2Jに示すように、n型半導体層35の上面のうち、絶縁層21が形成されている箇所の直上の位置にn側電極(42,43)を形成する。具体的には、膜厚100nmのCrと膜厚3μmのAuからなる電極を形成した後、窒素雰囲気中で250℃、1分間のシンタリングを行う。
そして、各素子同士を例えばレーザダイシング装置によって分離し、支持基板11の裏面を例えばAgペーストにてパッケージと接合し、給電端子としてのn側電極43に対してワイヤボンディングを行う。例えば、50gの荷重でΦ100μmのボンディング領域にAuからなるワイヤ45を連結させることで、ワイヤボンディングを行う。これにより、図1Aに示す窒化物半導体発光素子1が形成される。
なお、ステップS8とステップS9の間に、KOH等のアルカリ溶液を浸すことでn型半導体層35の表面に凹凸(メサ構造)を形成しても構わない。また、n型半導体層35の上面にn側電極(42,43)を形成した後、半導体層30の側面を覆うように絶縁層を形成しても構わない。
[実施例]
図3Aは、実施例1に係る半導体発光素子を光取り出し方向から見たときの写真であり、図3Bは、実施例1〜4、比較例1に係る半導体素子を光取り出し方向から見たときの様子を説明するための模式図である。
図3Bに示すように、支持基板11の面に平行な2方向をX方向及びY方向とし、このうち、n側電極(42,43)が平行に離間する方向をY方向とする。なお、支持基板11の面に直交する方向をZ方向と規定すると、図1は、半導体発光素子1をXZ平面に平行な面で切断したときの断面図に対応する。なお、図3Bの模式図は、2つのn側電極42がX方向に沿って延伸して形成されている半導体発光素子1に対応する。
また、実施例1〜4、比較例1に係る半導体素子は、2つのn側電極42がX方向に沿って延伸して形成されている構成となっている以外は、図1に示した半導体発光素子1と同様の積層構成を有する。
このような半導体発光素子において、第2絶縁層21bの幅W2を7.5μmとしたものを実施例1とし、15μmとしたものを実施例2とし、30μmとしたものを実施例3とし、60μmとしたものを実施例4とした。また、幅W2を0μmとしたものを比較例1とした。なお、実施例1〜4及び比較例1において、n側電極(42、43)の幅W1は、すべて20μmとした。実施例1〜4、及び、比較例1の素子に関して、n電極の幅W1、第2絶縁層の幅W2(はみ出し幅W2)、及び、n側電極の幅に対する第2絶縁層の幅の割合を、表1に示した。また、図4に示す半導体発光素子50を比較例2に係る素子とした。これらの実施例、比較例に係る素子の電流電圧特性と発光特性を対比した。
Figure 0005880633
図4は、比較例2として形成した半導体発光素子の構造を模式的に示す断面図である。半導体発光素子1と比較して、反射電極19の底面に形成された絶縁層21に代えて、反射電極19の上面に設けられた絶縁層23を有している。この絶縁層23は、n側電極(42,43)の直下の位置に形成されることで、発光層33を流れる電流を水平方向に拡げる目的で形成されている。なお、比較例2に係る第2絶縁層の幅(はみ出し幅)は、実施例2に係る第2絶縁層の幅と同じとした。また、n側電極の幅は、20μmである。その他の層を構成する材料や寸法は共通としている。
図5は、実施例1〜4、及び、比較例1〜2の各素子に対して電圧を印加したときの、流れる電流値と電圧値の関係(I−V特性)を示すグラフである。図5によれば、実施例1〜4の各素子と比較例1〜2の各素子を対比すると、同一の電流値を流すのに必要な電圧値はほぼ同等であり、比較例の構成と同等の低電圧駆動が実現できていることが分かる。
図6は、実施例1〜4、及び、比較例1〜2の各素子に対して電流を供給したときに得られる発光出力と電流値の関係を示すグラフである。図6によれば、比較例1〜2の素子と比べて実施例1〜4の素子は、発光出力が向上していることが分かる。
この結果より、比較例2の構成では、反射電極19の上層に形成された絶縁層23によって一部の光が吸収されていたが、実施例1〜4の素子では、反射電極19の上層に絶縁層を設けない構成としたことで、この光の吸収がなくなったことで光の取り出し効率が向上していることが分かる。
また、比較例1の構成では、絶縁層が直上に位置するn側電極43と同じ幅であり、n側電極43よりも幅広には形成されていないため、実施例1〜4の素子に比較して、発光層内を流れる電流を拡げる効果が不充分となり、光の取り出し効率が向上していないことが分かる。
次に、実施例、及び、比較例の半導体発光素子について、素子表面における輝度分布について対比した。
図7Aは、実施例1〜4、及び、比較例1の各素子の発光強度分布を示すグラフであり、図7Bは、光取り出し面での発光分布均一度と絶縁層はみ出し幅との関係を示すグラフである。
光取り出し面の側で受光した光強度について、半導体発光素子1のY座標の中心位置を通り、X方向に平行なB−B線(図3B参照)上における光強度をX座標に応じてグラフ化したものが図7Aである。光強度の測定はビームプロファイラを用いて行われた。図7Aでは、発光ピーク値の強度を1として規格化して、グラフ化している。また、図7Bでは、発光ピーク値に対する最小発光強度の割合を輝度分布均一度として、はみ出し幅W2との関係を示している。また、図7Bにおいて、縦軸は発光分布均一度を表し、横軸ははみ出し幅W2を表している。
光強度の最も低下する箇所が、ピーク部分の0.75以上である場合を〇、0.75より小さい場合を×として評価した。結果を表2に示す。ピーク部分の0.75以上である場合を〇とした理由は、0.75以上であれば、比較例2(従来例)と同等以上の発光輝度分布を有しているとみることができるからである。なお、比較例2を基準としているため、比較例2は、〇×による評価をしていない。
Figure 0005880633
図7A、図7B、及び、表2によれば、はみ出し幅W2の割合が0%である比較例1の素子では、実施例の素子に比較してX方向中心付近での光強度の落ち込みが大きい。一方、はみ出し幅W2の割合が35%以上である実施例では、光強度の最も低下する箇所においてもピーク部分の0.75以上となっており、高い発光分布均一度が認められる。
なお、本実施例では、n側電極43の下側部分での発光分布均一度、すなわち、第2絶縁層が第1絶縁層の片側にのみ形成されている場合の発光分布均一度について評価したが、上記にて示した実施例は、第2絶縁層が第1絶縁層の両側に形成されている場合(例えば、図1A及び図1Bに示したn側電極42の下側の絶縁層の場合)にも同様の結果が得られるものと推察される。この場合、図7Aに示した左側のピークについて、ピーク位置から右側と同じ形状がピーク位置の左側にも表れ、右側ピークについてピーク位置から左側と同じ形状がピーク位置の右側にも表れた発光強度分布となると推察される。この場合も、上記実施例と同様、高い発光分布均一度が認められることとなる。
[別実施形態]
上述の実施形態では、半導体発光素子1として、窒化物半導体からなる発光素子を採り上げて説明した。しかし、本発明の構成は、他の半導体からなる発光素子にも適用が可能である。
図8は、半導体発光素子の別実施形態の構成の一例を模式的に示す断面図である。この図8に示す半導体発光素子1bでは、発光層33がInGaPの井戸層とAlGaInPの障壁層とが繰り返されてなる多重量子井戸構造を有する半導体層で形成される。
図8に示す半導体発光素子1bは、上述した実施形態の構成と同様に、支持基板11上に、p型半導体層31、発光層33及びn側半導体層35がこの順に下から積層されて形成されている。そして、半導体発光素子1bは、底面をn型半導体層35の上面に接触して形成されたn側電極(42,43)と、上面をp型半導体層31の底面に接触し、n側電極(42,43)の形成箇所の直下の位置を含む領域に形成された反射電極19と、n側電極(42,43)の形成箇所の直下を含む位置において、上面を反射電極19の底面に接触して形成された絶縁層21を備えている。すなわち、絶縁層21は、その直上に位置するn側電極(42,43)よりも幅広に形成されている。
より詳細には、支持基板11上に、Ni/Auで構成された接合層14、TaN/TiW/TaNで構成された保護層17、及びAuSnで構成された反射電極19を含む導電層20が形成される。また、p型半導体層31は、p型不純物濃度が高濃度(例えば3×1018/cm程度)のGaPで構成された拡散層61、拡散層62よりもp型不純物濃度が低濃度(例えば1×1018/cm程度)のAlGaInPで構成された中間層62、及び中間層62よりもp型不純物濃度が低濃度(例えば3×1017/cm程度)のAlGaInPで構成されたp−クラッド層63を備える。
そして、n型半導体層35は、n型InGaPとn型AlInPが繰り返し積層されてなる多層構造で構成された緩和層64と、AlGaInPで構成されたn−クラッド層65を備える。
図8に示す半導体発光素子1bにおいても、n側電極(42,43)の直下の位置において、発光層33内を延長方向に大部分の電流が流れることのないよう、すなわち、電流を支持基板11の基板面に平行な方向(水平方向)に拡げる目的で、n側電極(42,43)の直下の位置に絶縁層21が形成されている。そして、この絶縁層21は、反射電極19とp型半導体層31の間ではなく、反射電極19と保護層17の間、すなわち上面が反射電極19の底面に接触するように形成されている。
このような構成において、上述した実施形態の構成と同様、発光層33から放射された光のうち、支持基板11に向かって進行する光は、反射電極19によって反射された後、進行方向を上向き(n型半導体層35側)へと変化して、外部に取り出される。このとき、前記の光は、反射電極19に到達するまで、及び到達後反射されて外部に取り出されるまでの間に、絶縁層21内を通過することがない。従って、上述した実施形態の素子と同様に、絶縁層21によって光が吸収されずに、従来よりも光取り出し効率が向上する効果が得られる。
1 : 本実施形態の半導体発光素子
1b : 別実施形態の半導体発光素子
11 : 支持基板
13 : ハンダ層
14 : 接合層
15 : ハンダ層
17 : 保護層
19 : 反射電極
20 : 導電層
21(21X、21Y) : 絶縁層
21a 第1絶縁層
21b 第2絶縁層
21c 第3絶縁層
23 : 絶縁層
30 : 半導体層
31 : p型半導体層
32 : p型半導体層
33 : 発光層
35 : n型半導体層
36 : アンドープ層
40 : エピ層
42 : n側電極
43 : n側電極(給電端子)
43a,43b : n側電極上のワイヤ連絡領域
45 : ワイヤ
61 : 拡散層
62 : 中間層
63 : p−クラッド層
64 : 緩和層
65 : n−クラッド層
90 : 従来の半導体発光素子
91 : 支持基板
92 : 導電層
93 : 反射膜
94 : 絶縁層
95 : 反射電極
96 : p型半導体層
97 : 発光層
98 : n型半導体層
99 : 半導体層
100 : n側電極

Claims (3)

  1. 支持基板上に、n型半導体層と、p型半導体層と、前記n型半導体層及び前記p型半導体層の間に形成された発光層とを有する半導体発光素子であって、
    底面を前記n型半導体層の上面に接触して形成されたn側電極と、
    上面を前記p型半導体層の底面に接触し、前記n側電極の形成箇所の直下の位置を含む領域に形成された反射電極と、
    前記n側電極の形成箇所の直下の位置において、上面を前記反射電極の底面に接触して形成された絶縁層とを備え、
    前記絶縁層はその直上に位置する前記n側電極よりも幅広に形成されていることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記絶縁層は、前記n側電極の形成箇所の直下に位置する第1絶縁層と、前記n側電極の非形成箇所の直下に位置する第2絶縁層とが連続した構成を有しており、
    前記n側電極の幅に対する前記第2絶縁層の幅の割合が35%以上300%以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記第1絶縁層の両側に前記第2絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体発光素子。
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