以下に、本発明の実施形態に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
(電子部品の構成)
まず、第1の実施形態に係る電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、第1の実施形態に係る電子部品10aの外観斜視図及び部分拡大図である。図2は、図1の電子部品10aの積層体12の分解斜視図である。以下では、積層体12の積層方向をz軸方向と定義する。積層体12をz軸方向から平面視したときに積層体12の主面の長辺が延在している長辺方向をx軸方向と定義する。積層体12をz軸方向から平面視したときに積層体12の短辺が延在している短辺方向をy軸方向と定義する。
電子部品10aは、チップコンデンサであり、図1及び図2に示すように、積層体12、外部電極14(14a,14b)及びコンデンサC(図1には図示せず)を備えている。チップコンデンサは、約600μm(x軸方向)×約300μm(y軸方向)×約150μm(z軸方向)の外形寸法を有する直方体状をなしている。なお、チップコンデンサのz軸方向の高さは、50μm以上330μm以下であることが好ましい。更に、チップコンデンサのz軸方向の高さは、低背化の観点より,50μm以上150μm以下であることがより好ましい。
積層体12は、直方体状をなしている。以下では、積層体12において、z軸方向の正方向側の面を主面S1とし、z軸方向の負方向側の面を主面S2とする。すなわち、主面S1,S2は、z軸方向の両端に位置している。また、x軸方向の負方向側の面を端面S3とし、x軸方向の正方向側の面を端面S4とする。すなわち、端面S3,S4は、x軸方向の両端に位置している。また、y軸方向の負方向側の面を側面S5とし、y軸方向の正方向側の面を側面S6とする。すなわち、側面S5,S6は、y軸方向の両端に位置している。
積層体12は、図2に示すように、複数の絶縁体層20が積層されることにより構成されている。本実施形態では、絶縁体層20は、30層積層されている。絶縁体層20は、長方形状をなしており、誘電体セラミックにより作製されている。誘電体セラミックの例としては、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3又はCaZrO3が挙げられる。また、これらの材料が主成分とされ、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物又はNi化合物が副成分とされていてもよい。以下では、絶縁体層20のz軸方向の正方向側の主面を表面と称し、絶縁体層20のz軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
また、端面S3,S4間の距離をLとし、側面S5,S6間の距離をWとし、主面S1と主面S2との間の距離をTとした場合に、L>W>Tの関係が成立していることが望ましい。特に、T≦0.25mmであり、0.2・W≦T≦1.5・Wであることが望ましい。
以上のように、積層体12の主面S1は、z軸方向の最も正方向側に設けられている絶縁体層20の表面により構成されている。積層体12の主面S2は、z軸方向の最も負方向側に設けられている絶縁体層20の裏面により構成されている。また、端面S3は、複数の絶縁体層20のx軸方向の負方向側の短辺が連なることによって構成されている。端面S4は、複数の絶縁体層20のx軸方向の正方向側の短辺が連なることによって構成されている。側面S5は、複数の絶縁体層20のy軸方向の負方向側の長辺が連なることによって構成されている。側面S6は、複数の絶縁体層20のy軸方向の正方向側の長辺が連なることによって構成されている。
また、積層体12の主面S1において、x軸方向の負方向側であって、かつ、y軸方向の負方向側に位置する角を角C1とする。積層体12の主面S1において、x軸方向の正方向側であって、かつ、y軸方向の正方向側に位置する角を角C2とする。積層体12の主面S1において、x軸方向の負方向側であって、かつ、y軸方向の正方向側に位置する角を角C3とする。積層体12の主面S1において、x軸方向の正方向側であって、かつ、y軸方向の負方向側に位置する角を角C4とする。
また、積層体12の主面S2において、x軸方向の負方向側であって、かつ、y軸方向の負方向側に位置する角を角C5とする。積層体12の主面S2において、x軸方向の正方向側であって、かつ、y軸方向の正方向側に位置する角を角C6とする。積層体12の主面S2において、x軸方向の負方向側であって、かつ、y軸方向の正方向側に位置する角を角C7とする。積層体12の主面S2において、x軸方向の正方向側であって、かつ、y軸方向の負方向側に位置する角を角C8とする。
コンデンサCは、図2に示すように、積層体12に内蔵されているコンデンサ導体22(22a,22b)により構成されている。コンデンサ導体22は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等の導電性材料により作製されている。
コンデンサ導体22aは、図2に示すように、絶縁体層20の表面上に設けられており、長方形状をなしている。コンデンサ導体22aは、絶縁体層20のy軸方向の負方向側の長辺に引き出されている。コンデンサ導体22bは、図2に示すように,絶縁体層20の表面上に設けられており、長方形状をなしている。コンデンサ導体22bは、絶縁体層20のy軸方向の正方向側の長辺に引き出されている。コンデンサ導体22a,22bは、絶縁体層20を介して対向しており,容量を発生している。これにより、コンデンサ導体22a,22bは、積層体12内においてコンデンサCを構成している。
以上のように構成されたコンデンサ導体22a,22bは、z軸方向に交互に並ぶように複数の絶縁体層20上に設けられている。そして、コンデンサ導体22が設けられている複数の絶縁体層20が積層されている領域を、内層領域と称す。また、内層領域のz軸方向の正方向側には、コンデンサ導体22が設けられていない複数の絶縁体層20が積層されている。同様に、内層領域のz軸方向の負方向側には、コンデンサ導体22が設けられていない複数の絶縁体層20が積層されている。以下では、これら2つの領域を外層領域と称す。
外部電極14aは、図1に示すように、側面電極16a及び主面電極18a,19aを含んでいる。側面電極16aは、側面S5の全体を覆うように設けられており、コンデンサ導体22aと接続されている。側面電極16aは、Niからなる下地電極上にCuめっきが施されることにより作製されている。また、側面電極16aは、下地電極をディッピングにより形成するので、図1の拡大図に示すように、側面S5に隣接する主面S1,S2及び端面S3,S4に折り返されて形成されている。そして、側面電極16aの折り返し幅を幅Dとする。幅Dは、5μm以上20μmであることが好ましい。
主面電極18aは、Niからなる下地電極上にCuめっきが施されることにより作製されている。主面電極18aは、側面電極16aと接続され、かつ、z軸方向の最も正方向側に設けられている絶縁体層20の表面に設けられている。より詳細には、主面電極18aは、主面S1の角C1に接するように主面S1上に設けられている長方形状の導体層である。主面電極18aは、y軸方向の負方向側の辺において側面電極16aと接している。ただし、主面電極18aのy軸方向の負方向側の辺は、主面S1のy軸方向の負方向側の長辺の一部にのみ接している。主面電極18aのy軸方向の正方向側の辺と主面S1のy軸方向の正方向側の長辺との間には隙間が存在する。これにより、主面電極18aと外部電極14bとは絶縁されている。ただし、主面電極18aのy軸方向の正方向側の辺は、主面S1の対角線の交点P1よりもy軸方向の正方向側に位置している。また、主面電極18aのx軸方向の負方向側の辺は、主面S1のx軸方向の負方向側の短辺と一致している。また、主面電極18aのx軸方向の正方向側の辺は、交点P1よりもx軸方向の負方向側においてy軸方向に延在している。
主面電極19aは、Niからなる下地電極上にCuめっきが施されることにより作製されている。主面電極19aは、側面電極16aと接続され、かつ、z軸方向の最も負方向側に設けられている絶縁体層20の裏面に設けられている。より詳細には、主面電極19aは、主面S2の角C5に接するように主面S2上に設けられている長方形状の導体層である。主面電極19aは、y軸方向の負方向側の辺において側面電極16aと接している。ただし、主面電極19aのy軸方向の負方向側の辺は、主面S2のy軸方向の負方向側の長辺の一部にのみ接している。主面電極19aのy軸方向の正方向側の辺と主面S2のy軸方向の正方向側の長辺との間には隙間が存在する。これにより、主面電極19aと外部電極14bとは絶縁されている。ただし、主面電極19aのy軸方向の正方向側の辺は、主面S2の対角線の交点P2よりもy軸方向の正方向側に位置している。また、主面電極19aのx軸方向の負方向側の辺は、主面S2のx軸方向の負方向側の短辺と一致している。また、主面電極19aのx軸方向の正方向側の辺は、交点P2よりもx軸方向の負方向側においてy軸方向に延在している。
外部電極14bは、図1に示すように、側面電極16b及び主面電極18b,19bを含んでいる。側面電極16bは、側面S6の全体を覆うように設けられており、コンデンサ導体22bと接続されている。側面電極16bは、Niからなる下地電極上にCuめっきが施されることにより作製されている。また、側面電極16bは、下地電極をディッピングにより形成するので、側面電極16aと同様に、側面S6に隣接する主面S1,S2及び端面S3,S4に折り返されて形成されている。そして、側面電極16bの折り返し幅を幅Dとする。幅Dは、5μm以上20μmであることが好ましい。
主面電極18bは、Niからなる下地電極上にCuめっきが施されることにより作製されている。主面電極18bは、側面電極16bと接続され、かつ、z軸方向の最も正方向側に設けられている絶縁体層20の表面に設けられている。より詳細には、主面電極18bは、角C1の対角に位置する主面S1の角C2に接するように主面S1に設けられている長方形状の導体層である。主面電極18bは、y軸方向の正方向側の辺において側面電極16bと接している。ただし、主面電極18bのy軸方向の正方向側の辺は、主面S1のy軸方向の正方向側の長辺の一部にのみ接している。主面電極18bのy軸方向の負方向側の辺と主面S1のy軸方向の負方向側の長辺との間には隙間が存在する。これにより、主面電極18bと外部電極14aとは絶縁されている。ただし、主面電極18bのy軸方向の負方向側の辺は、主面S1の対角線の交点P1よりもy軸方向の負方向側に位置している。また、主面電極18bのx軸方向の正方向側の辺は、主面S1のx軸方向の正方向側の短辺と一致している。また、主面電極18bのx軸方向の負方向側の辺は、交点P1よりもx軸方向の正方向側においてy軸方向に延在している。これにより、主面電極18aのx軸方向の正方向側の辺と主面電極18bのx軸方向の負方向側の辺とは、互いに平行にy軸方向に延在し、x軸方向から平面視したときに、一部において重なっている。すなわち、主面電極18a,18bは、x軸方向において、隙間を介して互いに対向している。
主面電極19bは、Niからなる下地電極上にCuめっきが施されることにより作製されている。主面電極19bは、側面電極16bと接続され、かつ、z軸方向の最も負方向側に設けられている絶縁体層20の裏面に設けられている。より詳細には、主面電極19bは、角C5の対角に位置する主面S2の角C6に接するように主面S2に設けられている長方形状の導体層である。主面電極19bは、y軸方向の正方向側の辺において側面電極16bと接している。ただし、主面電極19bのy軸方向の正方向側の辺は、主面S2のy軸方向の正方向側の長辺の一部にのみ接している。主面電極19bのy軸方向の負方向側の辺と主面S2のy軸方向の負方向側の長辺との間には隙間が存在する。これにより、主面電極19bと外部電極14aとは絶縁されている。ただし、主面電極19bのy軸方向の負方向側の辺は、主面S2の対角線の交点P2よりもy軸方向の負方向側に位置している。また、主面電極19bのx軸方向の正方向側の辺は、主面S2のx軸方向の正方向側の短辺と一致している。また、主面電極19bのx軸方向の負方向側の辺は、交点P2よりもx軸方向の正方向側においてy軸方向に延在している。これにより、主面電極19aのx軸方向の正方向側の辺と主面電極19bのx軸方向の負方向側の辺とは、互いに平行にy軸方向に延在し、x軸方向から平面視したときに、一部において重なっている。すなわち、主面電極19a,19bは、x軸方向において、隙間を介して互いに対向している。
以上のように構成された外部電極14a,14bに形成されるCuめっきの厚みは、2μm以上20μm以下であることが望ましく、さらに後述するように耐レーザー性および低背化を考慮すると、5μm以上20μm以下であることがより望ましい。また、外部電極14a,14bの表面粗さ(Ra)は、1.55μm以下であることが望ましい。表面粗さ(Ra)とは、JISB0601−1994において規定されている算術平均粗さRaである。
(電子部品の製造方法)
次に、電子部品10aの製造方法について説明する。図3は、電子部品10aのマザー積層体112の分解斜視図である。
まず、主成分であるBaTiO3、CaTiO3、SrTiO3又はCaZrO3と、副成分であるMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物又はNi化合物とを所定の比率で秤量してボールミルに投入し、湿式調合を行う。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、得られた粉末を仮焼する。得られた仮焼粉末をボールミルにて湿式粉砕した後、乾燥してから解砕して、誘電体セラミック粉末を得る。
この誘電体セラミック粉末に対して、結合剤、可塑剤、湿潤剤及び分散剤を加えてボールミルで混合を行い、その後、減圧により脱泡を行う。得られたセラミックスラリーをドクターブレード法により、キャリアシート上にシート状に形成して乾燥させ、図3に示すセラミックグリーンシート120を作製する。
次に、セラミックグリーンシート120上に、導電性材料からなるペーストをスクリーン印刷法などの方法で塗布することにより、コンデンサ導体22a,22bを形成し、コンデンサ導体22a,22bが形成されたセラミックグリーンシートを準備する。導電性材料からなるペーストは、例えば、Niに、ワニス及び溶剤が加えられたものである。
また、セラミックグリーンシート120上に、導電性材料からなるペーストをスクリーン印刷法などの方法で塗布することにより、主面電極18a,18bまたは主面電極19a,19bを形成し、主面電極18a,18bまたは主面電極19a,19bが形成されたセラミックグリーンシートをそれぞれ準備する。導電性材料からなるペーストは、例えば、Niに、ワニス及び溶剤が加えられたものである。
次に、セラミックグリーンシート120を一枚ずつ積層及び仮圧着して未焼成のマザー積層体112を得る。セラミックグリーンシート120を積層するに際し、内層領域には、コンデンサ導体22a,22bが形成されたセラミックグリーンシート120を積層し、外層領域には、コンデンサ導体22が設けられていない複数のセラミックグリーンシート120を積層する。さらに、積層体の最も外側には主面電極18a,18bまたは主面電極19a,19bが形成されたセラミックグリーンシート120を、主面電極が外側に配置されるように積層しマザー積層体112を得る。
この後、未焼成のマザー積層体112に対して、静水圧プレスにて本圧着を施す。
次に、未焼成のマザー積層体112を所定寸法(例えば、0.6mm×0.3mm×0.3mm)にカットして、複数の未焼成の積層体12を得る。
次に、未焼成の積層体12の側面S5,S6にディッピングにより側面電極16となるべきNi電極を形成する。この際、ペースト状のNiが表面張力により、側面S5,S6に隣接する主面S1,S2及び端面S3,S4にもわずかに塗布される(図1の拡大図参照)。
この後、未焼成の積層体12を焼成する。焼成温度は、例えば、900℃以上1300℃以下であることが好ましい。以上の工程により、コンデンサ導体22を内蔵している焼成された積層体12の準備が完了する。
次に、側面電極16及び主面電極18,19となるべきNi電極に対して、めっき工法によりCuめっきを施して側面電極16及び主面電極18,19を形成する。また、Cuめっき上に更に、Cuめっきの酸化防止のためにNiめっき及びSnめっきが施されてもよい。これにより外部電極14が形成される。以上の工程を経て、電子部品10aが完成する。
(効果)
以上の電子部品10aによれば、低ESL化を図ることができる。図4(a)は、従来の電子部品210の外観斜視図である。図5は、電子部品10a及び電子部品210の周波数とインピーダンスとの関係を示したグラフである。図5は、コンピュータシミュレーションによる解析結果である。
図4(a)の電子部品210は、外部電極214a,214bを備えている。外部電極214a,214bはそれぞれ、端面電極216a,216b及び主面電極218a,218b,219a,219bを含んでいる。端面電極216a,216bはそれぞれ、端面S3,S4に設けられている。主面電極218a,218b,219a,219bはそれぞれ、主面S1,S2に設けられている。よって、電子部品210では、信号経路は、端面電極216a,216b間である。すなわち、主面S1の長辺方向(x軸方向)に信号が伝送される。
一方、電子部品10aでは、側面電極16a,16bはそれぞれ、側面S5,S6に設けられている。よって,外部電極14aでは、信号経路は、側面電極16a,16b間である。すなわち,主面S1の短辺方向(y軸方向)に信号が伝送される。そのため,電子部品10aでは電子部品210よりも、信号経路が短くなり、更に、信号経路が広くなる。その結果、電子部品10aの方が、電子部品210よりも、低ESL化を図ることができる。
なお、図5に示すように、コンピュータシミュレーションによっても、電子部品10aにおいて、電子部品210よりも低ESL化を図ることができていることがわかる。より詳細には、電子部品10aの方が電子部品210よりも共振周波数が高くなっている。これにより、主に200MHz以上の周波数帯域において、電子部品10aのインピーダンスが電子部品210のインピーダンスよりも小さくなっていることがわかる。すなわち、電子部品10aにおいて、電子部品210よりも低ESL化が図られていることがわかる。更に、共振点において、電子部品10aの方が電子部品210よりも小さなインピーダンスを有している。これにより、電子部品10aの抵抗値が電子部品210の抵抗値よりも小さくなっていることがわかる。すなわち、電子部品10aにおいて、電子部品210よりもESRについても、低下していることがわかる。
また、電子部品10aは、回路基板内に実装することが容易となる。図4(b)は、従来の電子部品310の外観斜視図である。図4(b)の電子部品310は、外部電極314a,314bを備えている。外部電極314a,314bはそれぞれ、側面電極316a,316b及び主面電極318a,318b,319a,319bを含んでいる。側面電極316a,316bはそれぞれ、側面S5,S6に設けられている。主面電極318a,319aはそれぞれ、主面S1,S2のy軸方向の負方向側の長辺に沿って設けられている。主面電極318b,319bはそれぞれ、主面S1,S2のy軸方向の正方向側の長辺に沿って設けられている。以上のような電子部品310が回路基板内に実装される場合には、図13に示すように、回路基板600の凹部602内に収容される。そして、主面電極318a,318bは、ビアホール導体606a,606bと接続される。
しかしながら、電子部品310では、主面電極318a,318bが主面S1の長辺の全体に沿って設けられているので、主面電極318a,318bのy軸方向の幅を、主面S1のy軸方向の幅の半分以上に大きくすることができない。そのため、電子部品310では、主面電極318a,318bに接続されるようにビアホール導体606a,606bを形成することが困難である。
一方、電子部品10aでは、主面電極18a,18bはそれぞれ、主面S1の角C1,C2に接するように主面S1に設けられている長方形状の導体層である。これにより、主面電極18a,18bは、x軸方向において、隙間を介して互いに対向している。すなわち、電子部品10aでは、主面電極18aのy軸方向の正方向側の辺は、主面電極18bのy軸方向の負方向側の辺よりも、y軸方向の正方向側に位置している。これにより、電子部品10aでは、主面電極18a,18bのy軸方向の幅を、主面S1のy軸方向の幅の半分以上に大きくすることができる。よって、電子部品10aでは、電子部品310に比べて、主面電極18a,18bに接続されるようにビアホール導体606a,606bを形成することが容易である。以上より、電子部品10aでは、低ESL化を図ることができるとともに、回路基板600内に容易に実装することができる。なお、本実施形態では、ビアホール導体606a,606bの径は、100μmである。
また、電子部品10aでは、回路基板600内への実装時に積層体12が破損することが抑制される。図6は、電子部品10aが回路基板600内に実装される際の工程断面図である。
電子部品10aは、回路基板600内へ実装される際には、積層体12の主面S1をノズル300により吸引した状態で、凹部602内に設けられている接着剤610a,610bと主面電極19a,19bとを位置合わせして、凹部602内に取り付ける。この際、積層体12は、主面S1の中央部分においてノズル300からz軸方向の負方向側に力を受け、主面電極19a,19bにおいて凹部602からz軸方向の正方向側に力を受ける。そのため、電子部品10aは、長辺がV字型に折れ曲がるように破損するおそれがある。特に、低背化された電子部品10aでは、破損する可能性が高くなる。
そこで、電子部品10aでは、側面S5,S6を覆うように側面電極16a,16bが設けられている。これにより、積層体12が補強されるようになる。その結果、電子部品10aが破損することが抑制される。
更に、電子部品10aでは、側面電極16a,16bは、側面S5,S6に隣接する主面S1,S2及び端面S3,S4にわずかに折り返されている。これにより、電子部品10aが破損することがより効果的に抑制される。
以上のように構成された外部電極14a,14bのCuめっきの厚みは、2μm以上20μm以下であることが好ましく、さらに耐レーザー性および低背化を考慮すると、5μm以上15μm以下であることが好ましい。より詳細には、外部電極14a,14bのCuめっきの厚みが5μmよりも小さい場合には、電子部品10aの実装時のレーザビーム照射時に、外部電極14a,14bが損傷するおそれがある。一方、外部電極14a,14bのCuめっきの厚みが15μmより大きい場合には、外部電極14a,14bの形成時のコストが高くなるとともに、低背化が阻害される。
外部電極14a,14bの表面粗さ(Ra)は、1.55μm以下であることにより、電子部品10aの実装時のレーザビーム照射時に、外部電極14a,14bにおいてレーザビームが乱反射することが抑制される。
(第1の変形例)
以下に、第1の変形例に係る電子部品10bについて図面を参照しながら説明する。図7は、第1の変形例に係る電子部品10bの外観斜視図である。図8は、図7の電子部品10bの積層体12の分解斜視図である。
電子部品10aと電子部品10bとの相違点は、外部電極14の形状及びコンデンサ導体22の形状である。
コンデンサ導体22aは、図8に示すように、長方形状をなしており、絶縁体層20のx軸方向の負方向側の辺に引き出されている。コンデンサ導体22bは、長方形状をなしており、絶縁体層20のx軸方向の正方向側の辺に引き出されている。
外部電極14(14a,14b)は、図7に示すように、端面電極30(30a,30b)を更に含んでいる。端面電極30aは、積層体12の端面S3に設けられており、主面電極18a、主面電極19a及び側面電極16aに接続されていると共に、端面S3においてコンデンサ導体22aが露出している部分を覆っている。ただし、端面電極30aは、側面電極16bと接触しないように、端面S3のy軸方向の正方向側の短辺には接していない。
端面電極30bは、積層体12の端面S4に設けられており、主面電極18b、主面電極19b及び側面電極16bに接続されていると共に、端面S4においてコンデンサ導体22bが露出している部分を覆っている。ただし、端面電極30bは、側面電極16aと接触しないように、端面S4のy軸方向の負方向側の短辺には接していない。
以上のように構成された電子部品10bによれば、端面電極30a,30bが、端面S3,S4に更に設けられている。よって、外部電極14a,14bではそれぞれ、信号は、側面電極16a,16b及び端面電極30a,30bを介して伝送されるようになる。これにより、電子部品10bでは、電子部品10aよりも信号経路が広くなる。その結果、電子部品10bの方が、電子部品10aよりも、低ESL化が図られる。
(第2の変形例)
以下に、第2の変形例に係る電子部品10cについて図面を参照しながら説明する。図9は、第2の変形例に係る電子部品10cの外観斜視図である。図10は、図9の電子部品10cの積層体12の分解斜視図である。
電子部品10bと電子部品10cとの相違点は、外部電極14の形状及びコンデンサ導体22の形状である。
コンデンサ導体22aは、図10に示すように、絶縁体層20のx軸方向の負方向側の辺に引き出されていると共に、絶縁体層20のy軸方向の負方向側の長辺に沿って、絶縁体層20のx軸方向の正方向側の短辺に引き出されている。コンデンサ導体22bは、長方形状をなしており、絶縁体層20のx軸方向の正方向側の辺に引き出されていると共に、絶縁体層20のy軸方向の正方向側の長辺に沿って、絶縁体層20のx軸方向の負方向側の短辺に引き出されている。
外部電極14(14a,14b)は、図9に示すように、端面電極32(32a,32b)を更に含んでいる。端面電極32aは、積層体12の端面S4に設けられており、側面電極16aに接続されていると共に、端面S4においてコンデンサ導体22aが露出している部分を覆っている。ただし、端面電極32aは、端面電極30bとは接していない。
端面電極32bは、積層体12の端面S3に設けられており、側面電極16bに接続されていると共に、端面S3においてコンデンサ導体22bが露出している部分を覆っている。ただし、端面電極32bは、端面電極30aとは接していない。
以上のように構成された電子部品10cによれば、端面電極32a,32bが、端面S4,S3に更に設けられている。よって、外部電極14a,14bではそれぞれ、信号は、側面電極16a,16b及び端面電極30a,30b,32a,32bを介して伝送されるようになる。これにより、電子部品10cでは、電子部品10bよりも更に信号経路が広くなる。その結果、電子部品10cの方が、電子部品10bよりも、低ESL化が図られる。
(第2の実施形態)
(電子部品の構成)
次に、第2の実施形態に係る電子部品10dの構成について図面を参照しながら説明する。図11は、第2の実施形態に係る電子部品10dの外観斜視図である。図12は、図11の電子部品10dの積層体12の分解斜視図である。
電子部品10dは、チップコンデンサであり、図11及び図12に示すように、積層体12、外部電極14(14a,14b)、引き出し導体23(23a,23b),24(24a,24b)(図11には図示せず)及びコンデンサC(図11には図示せず)を備えている。チップコンデンサは、約600μm(x軸方向)×約300μm(y軸方向)×約150μm(z軸方向)の寸法を有する直方体状をなしている。電子部品10dの積層体12の外観は、電子部品10aの積層体12の外観と同じであるので説明を省略する。
積層体12は、図12に示すように、複数の絶縁体層20が積層されることにより構成されている。電子部品10dの絶縁体層20は、電子部品10aの絶縁体層20と同じであるので説明を省略する。
コンデンサCは、図12に示すように、積層体12に内蔵されているコンデンサ導体22(22a,22b)により構成されている。電子部品10dのコンデンサCは、電子部品10aのコンデンサCと同じであるので説明を省略する。
引き出し導体23a,23bは、内層領域よりもz軸方向の正方向側に設けられている外層領域の絶縁体層20の表面に設けられている。引き出し導体24a,24bは、内層領域よりもz軸方向の負方向側に設けられている外層領域の絶縁体層20の表面に設けられている。
引き出し導体23aは、絶縁体層20のy軸方向の負方向側の長辺に接するように、x軸方向の負方向側の短辺から延びるように設けられている。引き出し導体23aが該長辺に接している部分は、z軸方向から平面視したときに、コンデンサ導体22aが該長辺に接している部分と重なっている。引き出し導体23bは、絶縁体層20のy軸方向の正方向側の長辺に接するように、x軸方向の正方向側の短辺から延びるように設けられている。引き出し導体23bが該長辺に接している部分は、z軸方向から平面視したときに、コンデンサ導体22bが該長辺に接している部分と重なっている。
引き出し導体24aは、絶縁体層20のy軸方向の負方向側の長辺に接するように、x軸方向の正方向側の短辺から延びるように設けられている。引き出し導体24aが該長辺に接している部分は、z軸方向から平面視したときに、コンデンサ導体22aが該長辺に接している部分と重なっている。引き出し導体24bは、絶縁体層20のy軸方向の正方向側の長辺に接するように、x軸方向の負方向側の短辺から延びるように設けられている。引き出し導体24bが該長辺に接している部分は、z軸方向から平面視したときに、コンデンサ導体22bが該長辺に接している部分と重なっている。
外部電極14aは、図11に示すように、側面電極16−1a,16−2a,16−3a及び主面電極18a,19aを含んでいる。側面電極16−1aは、側面S5の一部を覆うように設けられている長方形状の電極であり、コンデンサ導体22aと接続されている。側面電極16−1aは、コンデンサ導体22aが側面S5から露出している部分にCuめっきが施されることにより作製されている。
側面電極16−2aは、側面S5の一部を覆うように設けられている長方形状の電極であり、側面電極16−1aに接続されている。側面電極16−2aは、引き出し導体23aが側面S5から露出している部分にCuめっきが施されることにより作製されている。
側面電極16−3aは、側面S5の一部を覆うように設けられている長方形状の電極であり、側面電極16−1aに接続されている。側面電極16−2aは、引き出し導体24aが側面S5から露出している部分にCuめっきが施されることにより作製されている。
主面電極18aは、側面電極16−2aと接続され、かつ、z軸方向の最も正方向側に設けられている絶縁体層20の表面に設けられている。より詳細には、主面電極18aは、主面S1の角C1、及び,短辺を挟んで角C1と隣り合う角C3に接するように主面S1上に設けられている長方形状の導体層である。より詳細には、主面電極18aは、y軸方向の負方向側の辺において側面電極16−2aと接している。そして、主面電極18aの3辺は、主面S1のx軸方向の負方向側の短辺及び2つの長辺に接している。また、主面電極18aのx軸方向の正方向側の辺は、主面S1の対角線の交点P1よりもx軸方向の負方向側においてy軸方向に延在している。
主面電極19aは、側面電極16−3aと接続され、かつ、z軸方向の最も負方向側に設けられている絶縁体層20の裏面に設けられている。より詳細には、主面電極19aは、主面S2の角C6、及び,短辺を挟んで角C6と隣り合う角C8に接するように主面S2上に設けられている長方形状の導体層である。より詳細には、主面電極19aは、y軸方向の負方向側の辺において側面電極16−3aと接している。そして、主面電極19aの3辺は、主面S2のx軸方向の正方向側の短辺及び2つの長辺に接している。また、主面電極19aのx軸方向の負方向側の辺は、主面S2の対角線の交点P2よりもx軸方向の正方向側においてy軸方向に延在している。
外部電極14bは、図11に示すように、側面電極16−1b,16−2b,16−3b及び主面電極18b,19bを含んでいる。側面電極16−1bは、側面S6の一部を覆うように設けられている長方形状の電極であり、コンデンサ導体22bと接続されている。側面電極16−1bは、コンデンサ導体22bが側面S6から露出している部分にCuめっきが施されることにより作製されている。
側面電極16−2bは、側面S6の一部を覆うように設けられている長方形状の電極であり、側面電極16−1bに接続されている。側面電極16−2bは、引き出し導体23bが側面S6から露出している部分にCuめっきが施されることにより作製されている。
側面電極16−3bは、側面S6の一部を覆うように設けられている長方形状の電極であり、側面電極16−1bに接続されている。側面電極16−2bは、引き出し導体24bが側面S6から露出している部分にCuめっきが施されることにより作製されている。
主面電極18bは、側面電極16−2bと接続され、かつ、z軸方向の最も正方向側に設けられている絶縁体層20の表面に設けられている。より詳細には、主面電極18bは、主面S1の角C2、及び,短辺を挟んで角C2と隣り合う角C4に接するように主面S1上に設けられている長方形状の導体層である。より詳細には、主面電極18bは、y軸方向の正方向側の辺において側面電極16−2bと接している。そして、主面電極18bの3辺は、主面S1のx軸方向の正方向側の短辺及び2つの長辺に接している。また、主面電極18bのx軸方向の負方向側の辺は、主面S1の対角線の交点P1よりもx軸方向の正方向側においてy軸方向に延在している。これにより、主面電極18aのx軸方向の正方向側の辺と主面電極18bのx軸方向の負方向側の辺とは、互いに平行にy軸方向に延在し、x軸方向から平面視したときに重なっている。すなわち、主面電極18a,18bは、x軸方向において、隙間を介して互いに対向している。
主面電極19bは、側面電極16−3bと接続され、かつ、z軸方向の最も負方向側に設けられている絶縁体層20の裏面に設けられている。より詳細には、主面電極19bは、主面S2の角C5、及び,短辺を挟んで角C5と隣り合う角C7に接するように主面S2上に設けられている長方形状の導体層である。より詳細には、主面電極19bは、y軸方向の正方向側の辺において側面電極16−3bと接している。そして、主面電極19bの3辺は、主面S2のx軸方向の負方向側の短辺及び2つの長辺に接している。また、主面電極19bのx軸方向の正方向側の辺は、主面S2の対角線の交点P2よりもx軸方向の負方向側においてy軸方向に延在している。これにより、主面電極19aのx軸方向の負方向側の辺と主面電極19bのx軸方向の正方向側の辺とは、互いに平行にy軸方向に延在し、x軸方向から平面視したときに重なっている。すなわち、主面電極19a,19bは、x軸方向において、隙間を介して互いに対向している。
電子部品10dのように、側面電極16−1a〜16−3a,16−1b〜16−3bは、側面S5,S6の全面を覆っていなくてもよい。更に,側面電極16−1a〜16−3a,16−1b〜16−3bは、側面S5,S6上にめっきにより直接に形成されている。これにより、電子部品10dの製造方法において、下地電極を形成するためのディッピング工程が不要となるので、工程数を減らすことが可能となる。
また、電子部品10dでは、電子部品10aよりも、主面電極18a,18bのy軸方向の幅が広い。そのため、電子部品10dを回路基板600に実装することがより容易となる。更に、電子部品10dでは、電子部品10aと同様に、低ESL化を図ることができる。
なお、電子部品10a〜10dにおいて、外部電極14a,14bは、以下の工程によって形成されてもよい。具体的には、積層体12にCuに拡散し得る金属及びセラミック結合剤を含む導電ペーストにより、下地電極を形成し、下地電極上に第1のCuめっき膜を形成する。次に、下地電極及び第1のCuめっき膜を加熱して、第1のCuめっき膜に下地電極の金属を拡散させる。更に、第1のCuめっき膜上に第2のCuめっき膜を形成する。
以上のように作製された外部電極14a,14bでは、金属が拡散していない第2のCuめっき膜が外部電極14a,14bの表面を構成している。よって、外部電極14a,14bは、レーザビームに対して高い反射率を有する。よって、レーザビーム照射時に外部電極14a,14bに損傷が発生することが抑制される。ただし、第2のCuめっき膜は外部電極14a,14bに設けられていなくてもよい。