JP5876155B2 - 磁気記録膜用スパッタリングターゲット及びその製造に用いる炭素原料 - Google Patents

磁気記録膜用スパッタリングターゲット及びその製造に用いる炭素原料 Download PDF

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Description

本発明は、熱アシスト磁気記録メディアにおける磁性薄膜の製造に用いられるスパッタリングターゲット及びその製造に用いる炭素原料に関する。
ハードディスクドライブに代表される磁気記録の分野では、磁気記録媒体中の磁性薄膜の材料として、強磁性金属であるCo、FeあるいはNiをベースとした材料が用いられている。例えば、面内磁気記録方式を採用するハードディスクの磁性薄膜では、Coを主成分とするCo−Cr系やCo−Cr−Pt系の強磁性合金が用いられてきた。
また、近年実用化された垂直磁気記録方式を採用するハードディスクの磁性薄膜には、Coを主成分とするCo−Cr−Pt系の強磁性合金と非磁性の無機物粒子からなる複合材料が多く用いられている。そして上記の磁性薄膜は生産性の高さから、上記材料を成分とするスパッタリングターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置でスパッタして作製されることが多い。
ハードディスクの記録密度は年々急速に増大しており、現状の600Gbit/inの面密度から、将来は1Tbit/inに達すると考えられている。1Tbit/inに記録密度が達すると記録bitのサイズが10nmを下回るようになり、その場合、熱揺らぎによる超常磁性化が問題となってくると予想され、現在使用されている磁気記録媒体の材料、例えばCo−Cr基合金にPtを添加して結晶磁気異方性を高めた材料では十分ではないことが予想される。10nm以下のサイズで安定的に強磁性として振る舞う磁性粒子は、より高い結晶磁気異方性を持っている必要があるからである。
上記の理由から、L1構造を持つFePt相が超高密度記録媒体用材料として注目されている。FePt相は高い結晶磁気異方性とともに、耐食性、耐酸化性に優れているため、磁気記録媒体としての応用に適した材料と期待されているものである。そして、FePt相を超高密度記録媒体用材料として使用する場合は、規則化したFePt磁性粒子を磁気的に孤立させた状態で出来るだけ高密度に方位をそろえて分散させるという技術の開発が求められている。
このようなことから、L1構造を有するFePt磁性粒子を酸化物や炭素といった非磁性材料で孤立させたグラニュラー構造磁性薄膜が、熱アシスト磁気記録方式を採用した次世代ハードディスクの磁気記録媒体用として、提案されている。このグラニュラー構造磁性薄膜は、磁性粒子同士が非磁性物質の介在により磁気的に絶縁される構造となっている。一般的に、Fe−Pt相を有するグラニュラー構造磁性薄膜はFe−Pt系の焼結体スパッタリングターゲットを用いて成膜される。
Fe−Pt系の磁性材焼結体スパッタリングターゲットについて、本発明者は以前、Fe−Pt合金などの磁性相と、それを分離している非磁性相から構成されており、非磁性相の材料の一つとして金属酸化物を利用した強磁性材スパッタリングターゲットに関する技術を開示した(特許文献1)。
また、公知文献として、特許文献2や3には、磁気記録媒体膜形成用スパッタリングターゲットにおいて、金属マトリックス中にCが介在した組織を有することが記載されている。そして、Cの原料粉末として用いるグラファイト粉またはカーボンブラック粉を予め真空中で熱処理することで脱ガスすることが記載されている。
スパッタ装置で合金に非磁性材料の含まれるスパッタリングターゲットをスパッタしようとすると、スパッタ時に非磁性材料を起点として異常放電が生じパーティクル(基板上に付着したゴミ)が発生するという問題がある。また、通常合金に非磁性材料が含まれるスパッタリングターゲットは、粉末焼結法により作製されるが、Fe−PtにCが含まれる場合、Cは難焼結材料であるため、スパッタ時にCの不用意な脱落が生じることがあった。
国際公開第WO2012/086335号 特開2012−252768号公報 特開2012−178211号公報
本発明は、高価な同時スパッタ装置を用いることなく、熱アシスト磁気記録メディアの磁性薄膜の作製を可能にする、C粒子が分散したFe−Pt系スパッタリングターゲット及びその製造に用いる炭素原料を提供することであり、さらには、スパッタリング時に発生するパーティクル量を低減したスパッタリングターゲットを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために本発明者は鋭意研究を行った結果、粒子径の小さな炭素材料は表面エネルギーが高いために凝集体を形成しやすく、また、炭素材料は焼結性が悪いことから、凝集体中の粒子同士が結合することもない。そして、このような炭素の凝集体を含むスパッタリングターゲットを使用すると、スパッタリング中に凝集体部分で異常放電が生じ、パーティクルが発生する原因となることを見出した。
このような知見に基づき、本発明は、
1)Ptが5〜60mol%、残余がFeからなる組成の合金と、その合金中に分散する非磁性材料からなる焼結体スパッタリングターゲットであって、非磁性材料として少なくともCを5〜60mol%含み、ターゲットのスパッタ面に対する垂直断面におけるC粒子の平均粒子面積が50μm以上であることを特徴とする記載のスパッタリングターゲット、
2)ターゲットのスパッタ面に対する垂直断面におけるC粒子の周囲長さの平均値が35μm以上であることを特徴とする上記1)記載のスパッタリングターゲット、
3)非磁性材料への添加成分として、B、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zr、Nb、Ta、Mn、Ag、Cu、Zn、W、Zr、Yから選択した1種以上の元素の酸化物もしくは窒化物を20mol%以下含むことを特徴とする上記1)又は2)に記載のスパッタリングターゲット、
4)合金への添加成分として、Au、Ag、Cu、B、Mn、Rh、Ir、Taから選択した1種以上の金属元素を0.1〜20mol%含むことを特徴とする上記1)〜3)に記載のスパッタリングターゲット、
5)上記1)〜4)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲットの製造に用いるC原料粉末において、粒子径が5μm以下のC粉末の含有率が1%以下であることを特徴とするC原料粉末、
6)粒子径が10μm以下のC粉末の含有率が10%以下であることを特徴とする上記5)記載のC原料粉末、を提供する。
本発明のC粒子が分散したFe−Pt系スパッタリングターゲットは、高価な同時スパッタ装置を用いることなく、熱アシスト磁気記録メディアの磁性薄膜の作製を可能にし、そして、スパッタ時の異常放電を抑制することができるので、パーティクルの発生を抑制することができるという優れた効果を有する。
実施例1のスパッタリングターゲットのスパッタ面に対して垂直断面の組織画像である。 実施例1のスパッタリングターゲットのスパッタ面に対して水平断面の組織画像である。 実施例2のスパッタリングターゲットのスパッタ面に対して垂直断面の組織画像である。 実施例2のスパッタリングターゲットのスパッタ面に対して水平断面の組織画像である。 比較例1のスパッタリングターゲットのスパッタ面に対して垂直断面の組織画像である。 比較例1のスパッタリングターゲットのスパッタ面に対して水平断面の組織画像である。
本発明は、Ptが5〜60mol%、残余がFeからなる組成の合金と、その合金中に分散する非磁性材料からなる焼結体スパッタリングターゲットであって、非磁性材料として少なくともCを5〜60mol%含み、前記スパッタリングターゲットのスパッタ面に対する垂直断面におけるC(炭素)粒子の平均粒子面積が50μm以上であることを特徴とするものである。
本発明では、Cの含有量は、スパッタリングターゲット組成中、好ましくは5mol%以上60mol%以下である。C粒子のターゲット組成中における含有量が、5mol%未満であると、良好な磁気特性が得られない場合があり、60mol%を超えると、C粒子を焼結体中に分散させることが難しくなりC粒子同士が凝集して、パーティクルの発生が多くなる場合がある。
また、本発明では、Ptの含有量は、Fe−Pt合金組成中、好ましくは5mol%以上60mol%以下である。Fe−Pt合金中におけるPtの含有量が、5mol%未満であると、良好な磁気特性が得られない場合があり、60mol%を超えても、同様に良好な磁気特性が得られない場合がある。
本発明は、スパッタリングターゲットのスパッタ面に対する垂直断面において、炭素(C)粒子の平均粒子面積が50μm以上であることが重要な要件である。この要件を満たさない炭素粒子、すなわち炭素粒子の凝集体は、スパッタ時に異常放電を引き起こして、パーティクルの発生量を増加させる。また、炭素(C)粒子の平均粒子面積は200μm以下が好ましい。これは、大きすぎる炭素粒子は焼結体中の電子の移動を妨げる効果があるため、異常放電の原因となり得るからである。
なお、ターゲットのスパッタ面に対する水平断面における炭素粒子(C)の平均粒子面積については、220μm以下であることが好ましい。
また望ましくは、ターゲットのスパッタ面に対する垂直断面における炭素粒子の周囲長さの平均値が35μm以上である。このように、炭素粒子の凝集体を含むスパッタリングターゲットは、スパッタリング性能を著しく低下させ、膜の品質や生産性を悪化させるため、好ましくない。また、炭素粒子の周囲長さの平均値は100μm以下が好ましい。これは、大きすぎる炭素粒子は焼結体中の電子の移動を妨げる効果があるため、異常放電の原因となり得るからである。
なお、ターゲットのスパッタ面に対する水平断面における炭素粒子の周囲長の平均値が55μm以下であることが好ましい。
本発明において平均粒子面積は、スパッタリングターゲットを切り出した端材の研磨面(スパッタ面に対して垂直断面、スパッタ面に対して水平断面)の任意の3個所を観察し、その観察されたC粒子の面積をその個数で割り返した値の平均値として導出する。また、本発明において平均周囲長さは、同研磨面を任意の3個所を観察し、その観察されたC粒子の周囲長さその個数で割り返した値の平均値として導出する。
組織の観察にはレーザー顕微鏡(VK−9710、キーエンス社製)を使用し、撮影した組織写真のC粒子とその他の相の区別をするために、VK Analyzer(画像解析アプリケーション)を用いて二値化処理を施した。二値化の閾値は、VK Analyzerの自動モードで設定される値をそのまま用い、1ピクセル以下の孤立点はノイズとして除去した。さらに、二値化された画像をVK Analyzerの粒子解析機能で解析し、上記の平均粒子面積や平均周囲長さを導出した。なお、組織の観察にはレーザー顕微鏡以外の装置を用いることができ、そのような場合も、本発明に包含されることは当然理解されるべきである。
本発明のスパッタリングターゲットは、非磁性材料への添加成分としてB、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zr、Nb、Ta、Mn、Ag、Cu、Zn、W、Zr、Yから選択した1種以上の元素の酸化物もしくは窒化物を20mol%以下含有させることができる。これは、酸化物もしくは窒化物がCとともに磁性粒子同士の磁気的な相互作用を絶縁する構造をとり、磁性薄膜において良好な磁気特性が得られるからである。また、スパッタリング時のパーティクル発生を抑制するという観点から、酸化物もCと同様に、合金中に微細分散していることが望ましい。
添加量の下限値は0.1mol%とするのが良い。この下限値未満であると、添加の効果を得にくいからである。
また、本発明のスパッタリングターゲットは、合金への添加成分としてAu、Ag、Cu、B、Mn、Rh、Ir、Taから選択した1種以上の金属元素を0.1〜20mol%含有させることができる。これにより、磁性薄膜において良好な磁気特性が得られるからである。添加量の下限値は0.1mol%とするのが良い。この下限値未満であると、添加の効果を得にくいからである。一方、添加量の上限値は、20mol%とするのが良い。この上限値を超えると、良好な磁気特性が得られないからである。
また、本発明では、スパッタリングターゲットの製造に用いる炭素原料粉末として、粒子径が5μm以下の微細な粉末の含有率が1%以下のものを使用することが好ましい。さらに好ましくは、粒子径が10μm以下の粉末の含有率が10%以下のものを使用することが好ましい。粒子径の小さな炭素粉末は、表面エネルギーが高いため凝集体を形成しやすく、一方で焼結性が悪いために凝集体中の粒子同士も結合し難い。そのためこのような凝集体がスパッタリングターゲット中に存在すると、そこを起点とした異常放電が発生し、磁性薄膜にパーティクルは多数付着するという問題がある。したがって粒子径の小さな炭素粉末を原料の段階で除去しておくことで、凝集体の形成を抑制し、スパッタリング異常を防止することができる。
本発明のスパッタリングターゲットは、粉末焼結法によって作製する。作製にあたり、各原料粉末(Fe粉末、Pt粉末、C粉末、必要に応じて添加成分の粉末)を用意する。C粉末を除き、これらの粉末は、粒径が0.5μm以上50μm以下のものを用いることが望ましい。原料粉末の粒径が小さ過ぎると、原料粉末が凝集しやすいなどの問題があるため、0.5μm以上とすることが望ましい。一方、原料粉末の粒径が大きいと、C粒子が合金中に微細分散することが難しくなるため50μm以下のものを用いることが望ましい。
さらに原料粉末として、Fe−Pt系合金粉末を用いてもよい。特にPtをふくむ合金粉末は、その組成にもよるが、原料粉末の不純物ガス成分を少なくするために有効である。合金粉末を用いる場合も、粒径が0.5μm以上50μm以下のものを用いることが望ましい。
一方、C粉末は、粒径が5μm以下の微細な粉末の含有率が1%以下のものを使用することが好ましい。さらに好ましくは、粒径が10μm以下の粉末の含有率を10%以下とする。粒径の小さなC粉末は特に凝集体を形成しやすいため、このような小径のC粉末を原料粉末から予め分離除去しておくことによって、ターゲット組織内にC粒子による凝集体の形成を抑制することができる。これは本発明の重要な点である。
原料として用いるC粉末の粒度分布とターゲット中の炭素粒子の平均粒子面積とは相関関係があるので、本発明において、C粉末の粒径範囲にすることにより、スパッタリングターゲットのスパッタ面に対する垂直断面における炭素粒子の平均粒子面積が50μm以上、とすることができる。
一方、C粉末の粒径が大き過ぎると、C粉末自身の凹凸が異常放電の原因となり、パーティクルが増大するという問題が発生するため、200μm以下のものを用いることが望ましい。粒径の小さなC粉末を除去する方法としては、簡便かつ歩留まりの観点から、気流分級法を用いることが好ましい。但し、本発明は、凝集体を形成するような粒径の小さなC粉末を除去できればよいので、気流分級法以外の手段を用いる場合であっても本発明に包含されることは当然理解されるべきである。
次に、上記の粉末を所望の組成となるように秤量し、C粉末を除く原料粉末をボールミル等の公知の手法を用いて粉砕を兼ねて混合する。こうして得られた混合粉末に先に秤量したC粉末を添加した後、分級して粒径の小さい粉末を分離除去する。
次に混合粉末をホットプレスで成型、焼結する。ホットプレス以外にも、プラズマ放電焼結法、熱間静水圧焼結法を使用することもできる。焼結時の温度は、スパッタリングターゲットの組成にもよるが、多くの場合、800〜1400℃の温度範囲とする。
次に、ホットプレスから取り出した焼結体に等方熱間加圧加工を施す。等方熱間加圧加工は焼結体の密度向上に有効である。等方熱間加圧加工時の保持温度は焼結体の組成にもよるが、多くの場合、800〜1400℃の温度範囲である。また、加圧力は100MPa以上に設定する。このようにして得られた焼結体を旋盤で所望の形状に加工することにより、発明のスパッタリングターゲットは作製できる。
以上により、ターゲットのスパッタ面に対する垂直断面における炭素粒子の平均粒子面積が50μm以上であり、かつ、スパッタ面に対する水平断面における炭素粒子の平均粒子面積が220μm以下であるFe−Pt系スパッタリングターゲットを作製することができる。そして、このようにして作製した本発明のスパッタリングターゲットは、熱アシスト磁気記録メディアの磁性薄膜の成膜に有用である。
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
(実施例1)
原料粉末として、平均粒径100μmのFe−Pt合金粉末と気流分級法により小径の粒子を分離した表1の粒度分布を備えるC粉末(薄片化黒鉛)を用意した。なお表1に示されるメジアン径、粒度分布等は、粒度分布計(型番:LA−920 HORIBA社製)によって測定した。そして、これらの粉末を以下の組成で、合計重量が2600gとなるように秤量した。
組成式:60(50Fe−50Pt)−40C(mol%)
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5リットルのボールミルポットに封入し、4時間回転させて粉砕した。そして、ボールミルポットから取り出したFe−Pt合金粉末に上記で秤量したC粉末を混合した。その後、150μm目の篩を5回通して混合した。
次に、この混合粉末をカーボン製の型に充填し、ホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度1200℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工(HIP)を施した。熱間等方加熱加工の条件は、昇温速度300℃/時間、保持温度1350℃、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1350℃保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、得られた焼結体の端部を切り出し、断面を研磨して、その組織をレーザー顕微鏡で観察した。そしてターゲットのスパッタ面に対する垂直断面及び水平断面上の任意に選んだ3箇所で、550μm×700μmの視野サイズで組織画像を撮影した。その結果を図1(垂直断面)及び図2(水平断面)に示す。そして、撮影した画像を画像処理ソフトで2値化し、C粒子に相当する部分(組織画像の黒っぽいところ)の個数と面積及び周囲長を求めた。
表2に示すように、C粒子1個当たりの平均粒子面積は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ65.1μm、90.0μmであった。また、C粒子1個当たりの粒子の周囲長さの平均値は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ38.9μm、31.5μmであった。
次に、焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キャノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置(Surfscan6420、KLA−Tencor社製)で測定した結果、250個と後述する比較例1に比べて明らかに減少していた。
(実施例2)
原料粉末として、平均粒径100μmのFe−Pt合金粉末と気流分級法により小径の粒子を分離した表1の粒度分布を備えるC粉末(薄片化黒鉛)を用意した。なお表1に示されるメジアン径、粒度分布等は、実施例1と同様の方法を用いて測定した。そして、これらの粉末を以下の組成で、合計重量が2600gとなるように秤量した。
組成式:60(50Fe−50Pt)−40C(mol%)
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5リットルのボールミルポットに封入し、4時間回転させて粉砕した。そして、ボールミルポットから取り出したFe−Pt合金粉末に上記で秤量したC粉末を混合した。その後、150μm目の篩を5回通して混合した。
次に、この混合粉末をカーボン製の型に充填し、ホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度1200℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工(HIP)を施した。熱間等方加熱加工の条件は、昇温速度300℃/時間、保持温度1350℃、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1350℃保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、得られた焼結体の端部を切り出し、断面を研磨して、その組織をレーザー顕微鏡で観察した。そしてターゲットのスパッタ面に対する垂直断面及び水平断面上の任意に選んだ3箇所で、550μm×700μmの視野サイズで組織画像を撮影した。その結果を図3(垂直断面)及び図4(水平断面)に示す。そして、撮影した画像を画像処理ソフトで2値化し、C粒子に相当する部分(組織画像の黒っぽいところ)の個数と面積及び周囲長を求めた。
表2に示すように、C粒子1個当たりの平均粒子面積は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ102.3μm、199.5μmであった。また、C粒子1個当たりの粒子の周囲長さの平均値は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ48.0μm、50.7μmであった。
次に、焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キャノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置(Surfscan6420、KLA−Tencor社製)で測定した結果、200個と後述する比較例1に比べて明らかに減少していた。
(比較例1)
原料粉末として、平均粒径100μmのFe−Pt合金粉末と表1の粒度分布を備えるC粉末(薄片化黒鉛)を用意した。なお、比較例1では、分級を行わなかった。そして、これらの粉末を以下の組成で、合計重量が2600gとなるように秤量した。
組成式:60(50Fe−50Pt)−40C(mol%)
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5リットルのボールミルポットに封入し、4時間回転させて粉砕した。そして、ボールミルポットから取り出したFe−Pt合金粉末に上記で秤量したC粉末を混合した。その後、150μm目の篩を5回通して混合した。
次に、この混合粉末をカーボン製の型に充填し、ホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度1200℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工(HIP)を施した。熱間等方加熱加工の条件は、昇温速度300℃/時間、保持温度1350℃、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1350℃保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、得られた焼結体の端部を切り出し、断面を研磨して、その組織をレーザー顕微鏡で観察した。そしてターゲットのスパッタ面に対する垂直断面及び水平断面上の任意に選んだ3箇所で、550μm×700μmの視野サイズで組織画像を撮影した。その結果を図5(垂直断面)及び図6(水平断面)に示す。そして、撮影した画像を画像処理ソフトで2値化し、C粒子に相当する部分(組織画像の黒っぽいところ)の個数と面積及び周囲長を求めた。
表2に示すように、C粒子1個当たりの平均粒子面積は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ46.3μm、232.8μmであった。また、C粒子1個当たりの粒子の周囲長さの平均値は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ31.3μm、58.6μmであった。
次に、焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置(キャノンアネルバ製C−3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置(Surfscan6420、KLA−Tencor社製)で測定した結果、450個であった。
(実施例3)
原料粉末として、平均粒径100μmのFe−Pt合金粉末と実施例2で使用したのと同様のC粉末(薄片化黒鉛)と平均粒径5μmのAg粉末を用意した。そして、これらの粉末を以下の組成で合計重量が2600gとなるように秤量した。
組成式:60(45Fe−45Pt−10Ag)−40C(mol%)
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5リットルのボールミルポットに封入し、4時間回転させて粉砕した。そして、ボールミルポットから取り出したFe−Pt合金粉末に上記で秤量したC粉末とAg粉末を混合した。その後、150μm目の篩を5回通して混合した。
次に、この混合粉末をカーボン製の型に充填し、ホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度950℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工(HIP)を施した。熱間等方加熱加工の条件は、昇温速度300℃/時間、保持温度950℃、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950℃保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、得られた焼結体の端部を切り出し、断面を研磨して、その組織をレーザー顕微鏡で観察した。そしてターゲットのスパッタ面に対する垂直断面及び水平断面上の任意に選んだ3箇所で、550μm×700μmの視野サイズで組織画像を撮影した。そして、撮影した画像を画像処理ソフトで2値化し、C粒子に相当する部分(組織画像の黒っぽいところ)の個数と面積及び周囲長を求めた。
表2に示すように、C粒子1個当たりの平均粒子面積は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ94.6μm、189.3μmであった。また、C粒子1個当たりの粒子の周囲長さの平均値は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ46.5μm、50.4μmであった。
次に、焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリング条件は実施例1と同様として、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置で測定した。その結果、30個と後述する比較例2に比べて明らかに減少していた。
(比較例2)
原料粉末として、平均粒径100μmのFe−Pt合金粉末と比較例1で使用したのと同様のC粉末(薄片化黒鉛)と平均粒径5μmのAg粉末を用意した。そして、これらの粉末を以下の組成で合計重量が2600gとなるように秤量した。
組成式:60(45Fe−45Pt−10Ag)−40C(mol%)
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5リットルのボールミルポットに封入し、4時間回転させて粉砕した。そして、ボールミルポットから取り出したFe−Pt合金粉末に上記で秤量したC粉末とAg粉末を混合した。その後、150μm目の篩を5回通して混合した。
次に、この混合粉末をカーボン製の型に充填し、ホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度950℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工(HIP)を施した。熱間等方加熱加工の条件は、昇温速度300℃/時間、保持温度950℃、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950℃保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、得られた焼結体の端部を切り出し、断面を研磨して、その組織をレーザー顕微鏡で観察した。そしてターゲットのスパッタ面に対する垂直断面及び水平断面上の任意に選んだ3箇所で、550μm×700μmの視野サイズで組織画像を撮影した。そして、撮影した画像を画像処理ソフトで2値化し、C粒子に相当する部分(組織画像の黒っぽいところ)の個数と面積及び周囲長を求めた。
表2に示すように、C粒子1個当たりの平均粒子面積は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ43.8μm、244.3μmであった。また、C粒子1個当たりの粒子の周囲長さの平均値は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ30.4μm、60.7μmであった。
次に、焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリング条件は、実施例1と同様として、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置で測定した結果、120個であった。
(実施例4)
原料粉末として、平均粒径100μmのFe−Pt合金粉末と実施例2で使用したのと同様のC粉末(薄片化黒鉛)と平均粒径5μmのCu粉末と平均粒径1μmのSiO粉末を用意した。そして、これらの粉末を以下の組成で合計重量が2600gとなるように秤量した。
組成式:65(45Fe−45Pt−10Cu)−30C−5SiO(mol%)
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5リットルのボールミルポットに封入し、4時間回転させて粉砕した。そして、ボールミルポットから取り出したFe−Pt合金粉末に上記で秤量したC粉末とCu粉末とSiO粉末を混合した。その後、150μm目の篩を5回通して混合した。
次に、この混合粉末をカーボン製の型に充填し、ホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度1000℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工(HIP)を施した。熱間等方加熱加工の条件は、昇温速度300℃/時間、保持温度950℃、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950℃保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、得られた焼結体の端部を切り出し、断面を研磨して、その組織をレーザー顕微鏡で観察した。そしてターゲットのスパッタ面に対する垂直断面及び水平断面上の任意に選んだ3箇所で、550μm×700μmの視野サイズで組織画像を撮影した。そして、撮影した画像を画像処理ソフトで2値化し、C粒子に相当する部分(組織画像の黒っぽいところ)の個数と面積及び周囲長を求めた。
表2に示すように、C粒子1個当たりの平均粒子面積は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ103.9μm、195.7μmであった。また、C粒子1個当たりの粒子の周囲長さの平均値は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ47.9μm、50.6μmであった。
次に、焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリング条件は実施例1と同様として、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置で測定した。その結果、12個と後述する比較例3に比べて明らかに減少していた。
(比較例3)
原料粉末として、平均粒径100μmのFe−Pt合金粉末と比較例1で使用したのと同様のC粉末(薄片化黒鉛)と平均粒径5μmのCu粉末と平均粒径1μmのSiO粉末を用意した。そして、これらの粉末を以下の組成で合計重量が2600gとなるように秤量した。
組成式:65(45Fe−45Pt−10Cu)−30C−5SiO(mol%)
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5リットルのボールミルポットに封入し、4時間回転させて粉砕した。そして、ボールミルポットから取り出したFe−Pt−Cu合金粉末に上記で秤量したC粉末とCu粉末とSiO粉末を混合した。その後、150μm目の篩を5回通して混合した。
次に、この混合粉末をカーボン製の型に充填し、ホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度1000℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工(HIP)を施した。熱間等方加熱加工の条件は、昇温速度300℃/時間、保持温度950℃、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950℃保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、得られた焼結体の端部を切り出し、断面を研磨して、その組織をレーザー顕微鏡で観察した。そしてターゲットのスパッタ面に対する垂直断面及び水平断面上の任意に選んだ3箇所で、550μm×700μmの視野サイズで組織画像を撮影した。そして、撮影した画像を画像処理ソフトで2値化し、C粒子に相当する部分(組織画像の黒っぽいところ)の個数と面積及び周囲長を求めた。
表2に示すように、C粒子1個当たりの平均粒子面積は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ44.8μm、235.7μmであった。また、C粒子1個当たりの粒子の周囲長さの平均値は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ30.8μm、59.6μmであった。
次に、焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリング条件は、実施例1と同様として、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置で測定した結果、65個であった。
(実施例5)
原料粉末として、平均粒径100μmのFe−Pt合金粉末と実施例2で使用したのと同様のC粉末(薄片化黒鉛)と平均粒径10μmのAu粉末と平均粒径1μmのTiO粉末を用意した。そして、これらの粉末を以下の組成で合計重量が2600gとなるように秤量した。
組成式:65(45Fe−45Pt−10Au)−30C−5TiO(mol%)
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5リットルのボールミルポットに封入し、4時間回転させて粉砕した。そして、ボールミルポットから取り出したFe−Pt合金粉末に上記で秤量したC粉末とAu粉末とTiO粉末を混合した。その後、150μm目の篩を5回通して混合した。
次に、この混合粉末をカーボン製の型に充填し、ホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度1000℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工(HIP)を施した。熱間等方加熱加工の条件は、昇温速度300℃/時間、保持温度950℃、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950℃保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、得られた焼結体の端部を切り出し、断面を研磨して、その組織をレーザー顕微鏡で観察した。そしてターゲットのスパッタ面に対する垂直断面及び水平断面上の任意に選んだ3箇所で、550μm×700μmの視野サイズで組織画像を撮影した。そして、撮影した画像を画像処理ソフトで2値化し、C粒子に相当する部分(組織画像の黒っぽいところ)の個数と面積及び周囲長を求めた。
表2に示すように、C粒子1個当たりの平均粒子面積は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ101.0μm、196.6μmであった。また、C粒子1個当たりの粒子の周囲長さの平均値は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ49.0μm、49.1μmであった。
次に、焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリング条件は実施例1と同様として、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして、基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置で測定した。その結果、22個と後述する比較例3に比べて明らかに減少していた。
(比較例4)
原料粉末として、平均粒径100μmのFe−Pt合金粉末と比較例1で使用したのと同様のC粉末(薄片化黒鉛)と平均粒径10μmのAu粉末と平均粒径1μmのTiO粉末を用意した。そして、これらの粉末を以下の組成で合計重量が2600gとなるように秤量した。
組成式:65(45Fe−45Pt−10Au)−30C−5TiO(mol%)
次に、Fe−Pt合金粉末を粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量5リットルのボールミルポットに封入し、4時間回転させて粉砕した。そして、ボールミルポットから取り出したFe−Pt合金粉末に上記で秤量したC粉末とAu粉末とTiO粉末を混合した。その後、150μm目の篩を5回通して混合した。
次に、この混合粉末をカーボン製の型に充填し、ホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300℃/時間、保持温度1000℃、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工(HIP)を施した。熱間等方加熱加工の条件は、昇温速度300℃/時間、保持温度950℃、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、950℃保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、得られた焼結体の端部を切り出し、断面を研磨して、その組織をレーザー顕微鏡で観察した。そしてターゲットのスパッタ面に対する垂直断面及び水平断面上の任意に選んだ3箇所で、550μm×700μmの視野サイズで組織画像を撮影した。そして、撮影した画像を画像処理ソフトで2値化し、C粒子に相当する部分(組織画像の黒っぽいところ)の個数と面積及び周囲長を求めた。
表2に示すように、C粒子1個当たりの平均粒子面積は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ45.1μm、236.8μmであった。また、C粒子1個当たりの粒子の周囲長さの平均値は、スパッタ面に対する垂直断面及び水平断面において、それぞれ30.5μm、57.9μmであった。
次に、焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工した後、マグネトロンスパッタ装置に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリング条件は、実施例1と同様として、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数を表面異物検査装置で測定した結果、80個であった。
以上に示すように、気流分級法によって小径のC粉末を分離除去した場合には、ターゲットの組織内においてC粒子同士が凝集して大きな塊となることはなく、均一微細に分散していた。そして、このような組織を備えたターゲットを用いてスパッタリングを実施すると、パーティクルの発生量を低減することができることが分かった。
本発明は、高価な同時スパッタ装置を用いることなく、熱アシスト磁気記録メディアの磁性薄膜の成膜に可能にし、さらには、スパッタリング時に発生するパーティクル量を低減した、C粒子の凝集が少ないFe−Pt系スパッタリングターゲットを提供できる優れた効果を有する。したがって、熱アシスト磁気記録メディアの磁性薄膜の成膜用スパッタリングターゲットとして有用である。

Claims (4)

  1. Ptが5〜60mol%、残余がFeからなる組成の合金と、その合金中に分散する非磁性材料からなる焼結体スパッタリングターゲットであって、非磁性材料として少なくともCを5〜60mol%含み、ターゲットのスパッタ面に対する垂直断面におけるC粒子の平均粒子面積が50μm以上であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. ターゲットのスパッタ面に対する垂直断面における炭素粒子の周囲長さの平均値が35μm以上であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
  3. 非磁性材料への添加成分として、B、Mg、Al、Si、Ti、Cr、Zr、Nb、Ta、Mn、Ag、Cu、Zn、W、Zr、Yから選択した1種以上の元素の酸化物もしくは窒化物を20mol%以下含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 合金への添加成分として、Au、Ag、Cu、B、Mn、Rh、Ir、Taから選択した1種以上の金属元素を0.1〜20mol%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
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