本発明における第1の実施例を、図1〜図11を用いて説明する。
A:自動取引装置の構成
図1は、自動取引装置(以下、ATMとする)の外観斜視図である。
ATM1の下方内部には、紙幣を処理する紙幣処理装置2を備えている。この紙幣処理装置2は、利用者が紙幣の投入・取り出しを行う紙幣入出金部がシャッタ2aに連通しており、紙幣の入金取引及び出金取引を処理する。また、ATM1の下方左部内部には、硬貨を処理する硬貨処理装置3を備えている。この硬貨処理装置3は、硬貨入出金部がシャッタ3aに連通しており、硬貨の入金取引及び出金取引を処理する。なお、ATM1は、硬貨処理装置3を備えない構成としても良い。
ATM1の上方左部内部には、通帳スロット4aと連通し、利用者の通帳を処理し、取引明細を印字して放出する通帳処理装置4を備えている。また、ATM1の上方右部内部には、カードスロット5aと連通し、利用者のカードを処理するカード処理装置5と、明細票スロット6aと連通し、取引明細票を印字して放出する明細票処理装置6と、を備えている。また、ATM1の正面には、取引の内容を表示及び入力する利用者操作部7を備えている。
ATM1の下方前面には、紙幣処理装置2の紙幣入出金部に投入された、紙幣以外の異物(硬貨、クリップ等)を利用者に返却するための異物返却口2bを設けている。なお、異物返却機構については、後に詳細な説明をする。
図2は、ATM1の制御関係を示す制御ブロック図である。
ATM1には、紙幣処理装置2、硬貨処理装置3、通帳処理装置4、カード処理装置5、明細票処理装置6、利用者操作部7及び本体制御部8とを備えている。これらの紙幣処理装置2、硬貨処理装置3、通帳処理装置4、カード処理装置5、明細票処理装置6及び利用者操作部7は、本体制御部8の制御の下に必要な動作を行う。
図3は紙幣処理装置2の内部構成を示す側面図である。紙幣処理装置2には、紙幣入出金部11、一時保管庫12、紙幣収納庫13、回収庫14、紙幣判別部15及び搬送路16を備えている。
紙幣処理装置2の上部には、その前面側(利用者に面する側:図3の上部左側)には、紙幣入出金部11が配置される。また、中央部には、入金された紙幣もしくは出金される紙幣の判別を行う紙幣判別部15が配置され、背面側(前面側の反対側:図3の上部右側)の上側には入金された紙幣を取引成立までの間、一時的に収納する一時保管庫12が配置される。一時保管庫12の下側には、利用者の抜き取り忘れた紙幣を収納するための回収庫14が配置される。これらの各機構は、搬送路16により接続されている。搬送路16は、紙幣を双方向に搬送する双方向搬送路16a〜16e(実線で示す)と、紙幣を一方向に搬送する一方向搬送路16f及び16g(点線で示す)とから構成されている。
ここで、紙幣判別部15は前方から後方へ搬送する紙幣、及び後方から前方へ搬送する紙幣のどちらであっても金種判別及び真偽判別を行うことができる。つまり、紙幣判別部15は、双方向に搬送される紙幣を金種判別及び真偽判別できる。
紙幣処理装置2の下部には、紙幣を収納する紙幣収納庫13a〜13eが配置される。紙幣収納庫13は、内部に一金種のみ収納する単一の収納部を有する紙幣収納庫、又は内部に二つの収納部を備えた紙幣収納庫である。紙幣収納庫13a〜13eは、入金された紙幣を保管し、当該紙幣を出金用の紙幣に供するためのリサイクル庫と、紙幣判別部15における判別の結果、出金用の紙幣として扱う基準を満たさない紙幣を収納するためのリジェクト庫、等が含まれる。なお、回収庫14にリジェクト庫としての機能を追加しても良い。
図4は、紙幣処理装置2の制御関係を示す制御ブロック図である。紙幣処理制御部17は、ATM1の本体制御部8と接続され、本体制御部8からの指令及び紙幣処理装置2の状態検出に応じて紙幣処理装置2の制御を行う。また、紙幣処理制御部17は、紙幣処理装置2の状態を必要に応じて本体制御部8に送る。
この紙幣処理装置2は、各ユニット(紙幣入出金部11、一時保管庫12、紙幣収納庫13、回収庫14、紙幣判別部15及び搬送路16)を駆動させるためのモータ、ソレノイド、センサ等を有しており、センサで装置の状態を監視しながら、モータ及びソレノイド等を駆動制御する。特に、内部に二つの収納部を備えた紙幣収納庫13の場合、紙幣の搬送や収納・繰出等の駆動源となるモータ及び収納機構を動作させるステッピングモータを有しており、二つの収納部はそれぞれ独立して動作することができる。
図5は、紙幣処理装置2の紙幣入出金部11の構成図である。紙幣入出金部11には、シャッタ2a、異物返却口2b、紙幣収納部21、紙幣検知センサ22a〜c、手挿入検知センサ23、異物返却機構24を備えている。
紙幣収納部21は、利用者から投入された紙幣、及び一時保管庫12又は紙幣収納庫13から繰出された紙幣の収納部である。紙幣収納部21の上部には、装置の前面方向(矢印A方向)及び装置の後面方向(矢印B方向)にスライドするするシャッタ2aを備えている。また、紙幣収納部21の上側から下側にかけて、紙幣が紙幣収納部21に収納されていることを検知する紙幣検知センサ22a〜22cを備えている。
また、紙幣収納部21の上部には、紙幣収納部21への利用者のアクセス(紙幣を投入し、又は紙幣を抜き取るために、紙幣収納部21内に手が挿入されること)を検知するための手挿入検知センサ23を備えている。手挿入検知センサ23は、紙幣収納部21の開口部、シャッタ2aの動作面あるいはシャッタ2aの直下に配置される。
紙幣収納部21に紙幣を投入されるとき、紙幣処理制御部17aは、シャッタ2aを矢印A方向に動作させるように制御し、紙幣収納部21に紙幣を投入可能な状態にする。紙幣収納部21に紙幣が投入されたことを紙幣検知センサ22a〜22cで検知した場合、紙幣処理制御部17は、手挿入検知センサ23が物体を検知していないこと(すなわち、利用者の手が紙幣入出金口21に挿入されていないこと)を確認し、物体を検知していない場合は、シャッタ2aを矢印B方向23bに示す方向に動作させるように制御する。紙幣の投入待ち時間が経過しても紙幣収納部21に紙幣が投入されない場合や、利用者が利用者操作部7を操作することにより、紙幣の投入完了を本体制御部8が判断した場合も同様に、紙幣処理制御部17は、手挿入検知センサ23が物体を検知していないことを確認し、物体を検知していない場合は、シャッタ2aを矢印B方向に動作させるように制御する。
なお、図5では、紙幣検知センサ22a〜22cを複数備えた構成を示しているが、紙幣収納部21に収納された紙幣を検知可能な構成であれば、紙幣検知センサを1つとしても良い。同様に、図5では、手挿入検知センサ23を1つ備えた構成を示しているが、紙幣収納部21内に挿入された手を検知可能な構成であれば、手挿入検知センサを複数としても良い。
紙幣収納部21の底面は、紙幣収納部21に投入された異物Xを落下させるための穴を設けている。紙幣収納部21の底面を通過した異物Xは、紙幣収納部の下側に備えた異物返却機構24の搬送ベルト24a上に落下する。搬送ベルト24aが動作することにより、異物Xは矢印C方向に移動し、自動取引装置1の前面に設けた異物返却口2bに返却される。
図6は、紙幣入出金部11の制御関係を示す制御ブロック図である。入出金制御部30は、紙幣処理装置2の紙幣処理制御部17と接続され、紙幣処理制御部17からの指令及び紙幣入出金部11の状態検出に応じて紙幣入出金部11の制御を行う。また、入出金制御部30は、紙幣入出金部11の状態を必要に応じて紙幣処理制御部17に送る。
紙幣入出金部11は、シャッタ2aを開閉するシャッタ制御部31と、異物返却機構24を動作させる異物返却機構制御部32と、手挿入検知センサ23を監視し、利用者の操作状況を判断する手挿入検知部33と、紙幣検知センサ22a〜22cを監視し、紙幣の投入・抜取状態を監視する紙幣検知部34と、図示しない分離機構を制御し、紙幣収納部21に投入された紙幣を搬送路16へと繰り出す分離制御部35と、図示しない集積機構を制御し、搬送路16から紙幣収納部21へと搬送されてきた紙幣を集積する集積制御部36と、を備えている。
以上のように構成された紙幣処理装置2により、紙幣の入金取引及び出金取引等を実行することが可能になる。
B1:紙幣入金時の異物返却動作
以下、図7、図8を用いて、第1の実施例における紙幣入金時の異物返却動作について説明する。利用者が紙幣入出金部11に紙幣が投入する際に、手挿入検知センサ23で物体が検知されることにより、投入操作の開始及び終了を判断する。利用者が紙幣の投入操作をしていないと判断された場合に、入出金制御部30は、異物返却機構24を動作させる。
図7は、第1の実施例における紙幣入出金部の動作を示すフローチャートである。また、図8は、第1の実施例における手挿入検知センサ23、シャッタ2a、及び異物返却機構24の動作の切替えを示すタイミングチャートである。以下、各ステップについて説明する。
・S101:入出金制御部30は、シャッタ2aを図5の矢印A方向に動作させるように制御する。これにより、利用者が紙幣を紙幣収納部21に投入可能な状態となる。
・S102:入出金制御部30は、手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知した(手挿入検知センサ23がダーク状態である:以下、同様とする)場合(YES)、利用者が紙幣を紙幣収納部21に投入していると判断し、S103の処理を行う。一方、手挿入検知センサ23で物体を検知しなかった(手挿入検知センサ23がライト状態である:以下、同様とする)場合(NO)、紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認し(S111)、シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(S111:NO)、再度S102の処理を行う。
・S103:入出金制御部30は、手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知しなくなった場合(YES)、利用者による紙幣の投入が完了したと判断し、S104の処理を行う。一方、手挿入検知センサ23で物体を検知した状態を維持している場合(NO)、紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認し(S112)、シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(S112:NO)、再度S103の処理を行う。
・S104(図8の(a)):異物返却機構24を起動する。搬送ベルト24aを図5の矢印C方向に搬送し、紙幣収納部21の底面から搬送ベルト24a上に落下した異物Xを異物返却口2bに返却する動作を行う。
・S105:入出金制御部30は、手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知した場合(YES)、利用者が紙幣を紙幣収納部21に投入していると判断し、S106の処理を行う。一方、手挿入検知センサ23で物体を検知しなかった場合(NO)、紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認し(S113)、シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(S113:NO)、再度S105の処理を行う。
・S106(図8の(b)):異物返却機構24を一時停止する。搬送ベルト24aの動作中に利用者の手が接触することを防止するためである。S106の終了後、S103の処理に戻り、利用者による紙幣収納部21への追加投入完了の待機状態となる。手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知しなくなった場合(YES)、S104において(図8の(c))、異物返却機構24を再起動する。
利用者による紙幣収納部21への投入が完了した場合、紙幣の投入待ち時間が経過しても紙幣収納部21に紙幣が投入されない場合、利用者が利用者操作部7を操作することにより、紙幣の投入完了を本体制御部8が判断した場合あるいは、本体制御部8は紙幣処理装置2に対し、シャッタ2aを閉じる指示を行う。
・S111:紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認する。シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(NO)、再度S102の処理を行う。一方、シャッタを閉じる指示を受けている場合は(YES)、S121のシャッタ閉処理を行う。
・S112:紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認する。シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(NO)、再度S103の処理を行う。一方、利用者が利用者操作部7を操作することにより、シャッタ2aを閉じる指示を受けている場合は(S112:YES)、シャッタ2aを閉じる指示を無効とし(S114)、再度S103の処理を行う。
・S113:紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認する。シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(NO)、再度S105の処理を行う。一方、シャッタを閉じる指示を受けている場合は(YES)、S121のシャッタ閉処理を行う。
・S114:利用者が紙幣収納部21に紙幣を投入している状態にもかかわらず、利用者が利用者操作部7を操作することにより、シャッタ2aを閉じる指示を受けている場合、シャッタ2aを閉じると危険である。そのため、シャッタ2aを閉じる指示を無効とする。なお、利用者操作部7に、利用者の操作中であるため、シャッタ2aを閉じることができない旨の表示をしても良い。
本体制御部8は紙幣処理装置2に対してシャッタ2aを閉じる指示を行い、当該指示が無効となっていない場合は、シャッタ2aを閉じる処理を行う。
・S121:入出金制御部30は、シャッタ2aを図5の矢印B方向に動作させるように制御する。これにより、紙幣収納部21に収納された紙幣の入金計数動作が可能となる。また、シャッタ2aを閉じた後も、搬送ベルト24a上に落下した異物Xを異物返却口2bに返却する動作を継続する。
・S122(図8の(d)):異物返却機構24を停止する。異物返却機構24を停止するタイミングは、異物Xが異物返却口27に返却されてから所定時間経過後、異物Xが異物返却口27に返却されたことを、図示しない異物返却センサで検知したとき、又は後述する入金収納動作の完了後等がある。シャッタ2aを閉じた状態で異物返却機構24を動作させる場合は、手挿入検知センサ23による物体の検知は不要である。
以上の動作により、利用者が紙幣収納部21に操作している間は、異物返却機構24を停止して利用者の安全を確保するとともに、異物Xが投入された場合は、迅速に異物返却口2bに異物Xを返却することが可能となる。
B2:入金計数動作
以下、図9を用いて、第1の実施例における入金計数動作(紙幣入出金部11に収納された紙幣を判別する動作)について説明する。
紙幣入出金部11に収納された紙幣は、双方向搬送路16aを経由して紙幣判別部15に搬送され、判別が行われる。その結果、紙幣と判別された紙幣は、双方向搬送路16bを経由して一時保管庫12に搬送される(実線で示す)。一方、紙幣と判別されなかった紙幣は、一方向搬送路16gを経由して紙幣入出金部11に搬送される(点線で示す)。
B3:入金収納動作
以下、図10を用いて、第1の実施例における入金収納動作(一時保管庫12に収納された紙幣を収納庫に収納する動作)について説明する。
一時保管庫12に収納された紙幣は、双方向搬送路16bを経由して紙幣判別部15に搬送され、金種判別及び真偽判別が行われる。その結果、出金用の紙幣として扱う基準を満たす紙幣は、双方向搬送路16a、16cを経由して紙幣収納庫13a、13b、13c、13eのいずれかに搬送される(実線で示す)。これらの紙幣収納庫のうち、実際の紙幣の搬送先は、例えば金種によって異なる。一方、出金用の紙幣として扱う基準を満たさない紙幣は、双方向搬送路16a、16cを経由して紙幣収納庫13dに搬送される(点線で示す)。これは、紙幣収納庫13dをリジェクト庫として設定している場合であり、その他の紙幣収納庫をリジェクト庫として設定しても良い。
B4:出金動作
以下、図11を用いて、第1の実施例における入金収納動作(一時保管庫12に収納された紙幣を収納庫に収納する動作)について説明する。
紙幣収納庫13a、13b、13c、13eに収納された紙幣は、双方向搬送路16c、16aを経由して紙幣判別部15に搬送され、判別が行われる。その結果、出金可と判別された紙幣は、双方向搬送路16b及び一方向搬送路16gを経由して紙幣入出金部11に搬送される(実線で示す)。一方、紙幣と判別されなかった紙幣は、双方向搬送路16b、16d、16cを経由して紙幣収納庫13d(リジェクト庫)に搬送される(点線で示す)。
なお、紙幣収納部21に集積された紙幣を抜き取る場合にも、紙幣収納部21に異物が入る可能性がある。この場合においても、紙幣収納部21に紙幣を入金する場合と同様に、図7のフローチャートで示した異物返却処理を適用することが可能である。
以下、図12及び図13を用いて、第2の実施例について説明する。本実施例では、紙幣収納部21に異物Xのみが投入され、紙幣検知センサ22a〜c及び手挿入検知センサ23の間をすり抜けて検知できない場合に、特に返却にかかる処理時間の面で効果的な方法である。なお、本実施例では、異物Xのみが投入されても異物返却口2bに返却できるように、利用者が紙幣収納部21の操作を行う前に、異物返却機構24の動作を開始する。
なお、自動取引装置の構成、入金計数動作、入金収納動作は全ての実施例で共通するため、第2の実施例以降では、説明を省略する。
図12は、第2の実施例における紙幣入出金部の動作を示すフローチャートである。また、図13は、第2の実施例における手挿入検知センサ23、シャッタ2a、及び異物返却機構24の動作の切替えを示すタイミングチャートである。以下、各ステップについて説明する。
・S201:入出金制御部30は、シャッタ2aを図5の矢印A方向に動作させるように制御する。これにより、利用者が紙幣を紙幣収納部21に投入可能な状態となる。
・S202(図13の(a)):異物返却機構24を起動する。これにより、紙幣検知センサ22a〜c及び手挿入検知センサ23で異物Xを検知できなくても、異物Xを異物返却口2bに返却する動作が可能となる。なお、S201とステップS202の順序を入れ替えて、異物返却機構24の起動後に、シャッタ2aを図5の矢印A方向に動作させることも可能である。
・S203:入出金制御部30は、手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知した場合(YES)、利用者が紙幣を紙幣収納部21に投入していると判断し、S204の処理を行う。一方、手挿入検知センサ23で物体を検知しなかった場合(NO)、紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認し(S211)、シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(S211:NO)、再度S203の処理を行う。
・S204(図13の(b)):異物返却機構24を一時停止する。搬送ベルト24aの動作中に利用者の手が接触することを防止するためである。S204の終了後、S205の処理を行う。
・S205:入出金制御部30は、手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知しなくなった場合(YES)、利用者による紙幣の投入が完了したと判断し、S206の処理を行う。一方、手挿入検知センサ23で物体を検知した状態を維持している場合(NO)、紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認し(S212)、シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(S212:NO)、再度S205の処理を行う。
・S206(図13の(c)):異物返却機構24を起動する。搬送ベルト24aを図5の矢印C方向に搬送し、紙幣収納部21の底面から搬送ベルト24a上に落下した異物Xを異物返却口2bに返却する動作を行う。
・S207:入出金制御部30は、手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知した場合(YES)、利用者が紙幣を紙幣収納部21に投入していると判断し、S208の処理を行う。一方、手挿入検知センサ23で物体を検知しなかった場合(NO)、紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認し(S213)、シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(S213:NO)、再度S207の処理を行う。
・S208(図13の(d)):異物返却機構24を一時停止する。搬送ベルト24aの動作中に利用者の手が接触することを防止するためである。S208の終了後、S205の処理に戻り、利用者による紙幣収納部21への追加投入完了の待機状態となる。手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知しなくなった場合(YES)、S206において(図13の(e))、異物返却機構24を再起動する。
利用者による紙幣収納部21への投入が完了した場合、紙幣の投入待ち時間が経過しても紙幣収納部21に紙幣が投入されない場合、利用者が利用者操作部7を操作することにより、紙幣の投入完了を本体制御部8が判断した場合あるいは、本体制御部8は紙幣処理装置2に対し、シャッタ2aを閉じる指示を行う。
・S211:紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認する。シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(NO)、再度S203の処理を行う。一方、シャッタを閉じる指示を受けている場合は(YES)、S221のシャッタ閉処理を行う。
・S212:紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認する。シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(NO)、再度S205の処理を行う。一方、利用者が利用者操作部7を操作することにより、シャッタ2aを閉じる指示を受けている場合は(S112:YES)、シャッタ2aを閉じる指示を無効とし(S114)、再度S205の処理を行う。
・S213:紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認する。シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(NO)、再度S207の処理を行う。一方、シャッタを閉じる指示を受けている場合は(YES)、S221のシャッタ閉処理を行う。
・S214:利用者が紙幣収納部21に紙幣を投入している状態にもかかわらず、利用者が利用者操作部7を操作することにより、シャッタ2aを閉じる指示を受けている場合、シャッタ2aを閉じると危険である。そのため、シャッタ2aを閉じる指示を無効とする。なお、利用者操作部7に、利用者の操作中であるため、シャッタ2aを閉じることができない旨の表示をしても良い。
本体制御部8は紙幣処理装置2に対してシャッタ2aを閉じる指示を行い、当該指示が無効となっていない場合は、シャッタ2aを閉じる処理を行う。
・S221:入出金制御部30は、シャッタ2aを図5の矢印B方向に動作させるように制御する。これにより、紙幣収納部21に収納された紙幣の入金計数動作が可能となる。また、シャッタ2aを閉じた後も、搬送ベルト24a上に落下した異物Xを異物返却口2bに返却する動作を継続する。
・S222(図13の(f)):異物返却機構24を停止する。異物返却機構24を停止するタイミングは、異物Xが異物返却口27に返却されてから所定時間経過後、異物Xが異物返却口27に返却されたことを、図示しない異物返却センサで検知したとき、又は後述する入金収納動作の完了後等がある。シャッタ2aを閉じた状態で異物返却機構24を動作させる場合は、手挿入検知センサ23による物体の検知は不要である。
以上の動作により、第1の実施例で説明したような、利用者の安全の確保・異物Xの迅速な返却の他に、異物Xのみが投入されても異物返却口2bに返却することが可能になる。
なお、出金動作において、紙幣収納部21に集積された紙幣を抜き取る場合にも、紙幣収納部21に異物が入る可能性がある。この場合においても、紙幣収納部21に紙幣を入金する場合と同様に、図12のフローチャートで示した異物返却処理を適用することが可能である。
以下、図14及び図15を用いて、第3の実施例について説明する。本実施例では、異物返却機構24の動作音による利用者の不快感の低減を目的として、シャッタ2aが開いている状態と、シャッタ2aが閉じている状態とで、異物返却機構24の動作を変更させる。シャッタ2aが開いている場合、異物返却機構24の動作音を遮るものが無く、大きく聞こえるため、シャッタ2aの状態に応じて、異物返却機構24の動作を変更させることにより、動作音を低減させ、利用者に対する不快感の低減を図る。
図14は、第3の実施例における紙幣入出金部の動作を示すフローチャートである。また、図15は、第3の実施例における手挿入検知センサ23、シャッタ2a、及び異物返却機構24の動作の切替えを示すタイミングチャートである。以下、各ステップについて説明する。
・S301(図15の(a)):入出金制御部30は、シャッタ2aを図5の矢印A方向に動作させるように制御する。これにより、利用者が紙幣を紙幣収納部21に投入可能な状態となる。
・S302:入出金制御部30は、手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知した場合(YES)、利用者が紙幣を紙幣収納部21に投入していると判断し、S303の処理を行う。一方、手挿入検知センサ23で物体を検知しなかった場合(NO)、紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認し(S311)、シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(S311:NO)、再度S302の処理を行う。
・S303:入出金制御部30は、手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知しなくなった場合(YES)、利用者による紙幣の投入が完了したと判断し、S304の処理を行う。一方、手挿入検知センサ23で物体を検知した状態を維持している場合(NO)、紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認し(S312)、シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(S312:NO)、再度S303の処理を行う。
・S304(図15の(b)):異物返却機構24を起動する。搬送ベルト24aを図5の矢印C方向に搬送し、紙幣収納部21の底面から搬送ベルト24a上に落下した異物Xを異物返却口2bに返却する動作を行う。このとき、シャッタ2aは開いた状態であるため、異物返却機構24を静音状態として動作する(動作モードA)。静音状態の動作は、例えば、搬送ベルト24の動作速度を減少させる等がある。
・S305:入出金制御部30は、手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知した場合(YES)、利用者が紙幣を紙幣収納部21に投入していると判断し、S306の処理を行う。一方、手挿入検知センサ23で物体を検知しなかった場合(NO)、紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認し(S313)、シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(S313:NO)、再度S305の処理を行う。
・S306(図15の(c)):異物返却機構24を一時停止する。搬送ベルト24aの動作中に利用者の手が接触することを防止するためである。S306の終了後、S303の処理に戻り、利用者による紙幣収納部21への追加投入完了の待機状態となる。手挿入検知センサ23で物体(利用者の手)を検知する。手挿入検知センサ23で物体を検知しなくなった場合(YES)、S304において(図15の(d))、異物返却機構24を再起動する。
利用者による紙幣収納部21への投入が完了した場合、紙幣の投入待ち時間が経過しても紙幣収納部21に紙幣が投入されない場合、利用者が利用者操作部7を操作することにより、紙幣の投入完了を本体制御部8が判断した場合あるいは、本体制御部8は紙幣処理装置2に対し、シャッタ2aを閉じる指示を行う。
・S311:紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認する。シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(NO)、再度S302の処理を行う。一方、シャッタを閉じる指示を受けている場合は(YES)、S321のシャッタ閉処理を行う。
・S312:紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認する。シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(NO)、再度S303の処理を行う。一方、利用者が利用者操作部7を操作することにより、シャッタ2aを閉じる指示を受けている場合は(S312:YES)、シャッタ2aを閉じる指示を無効とし(S314)、再度S303の処理を行う。
・S313:紙幣処理制御部17は、本体制御部8がシャッタ2aを閉じる指示を受けていないか確認する。シャッタ2aを閉じる指示を受けていない場合は(NO)、再度S305の処理を行う。一方、シャッタを閉じる指示を受けている場合は(YES)、S321のシャッタ閉処理を行う。
・S314:利用者が紙幣収納部21に紙幣を投入している状態にもかかわらず、利用者が利用者操作部7を操作することにより、シャッタ2aを閉じる指示を受けている場合、シャッタ2aを閉じると危険である。そのため、シャッタ2aを閉じる指示を無効とする。なお、利用者操作部7に、利用者の操作中であるため、シャッタ2aを閉じることができない旨の表示をしても良い。
本体制御部8は紙幣処理装置2に対してシャッタ2aを閉じる指示を行い、当該指示が無効となっていない場合は、シャッタ2aを閉じる処理を行う。
・S321:入出金制御部30は、シャッタ2aを図5の矢印B方向に動作させるように制御する。これにより、紙幣収納部21に収納された紙幣の入金計数動作が可能となる。
・S322(図15の(e)):シャッタ2aが閉じた後、例えば搬送ベルト24の動作速度を増加させることにより、搬送ベルト24a上に落下した異物Xを、迅速に異物返却口2bに返却する動作を行う(動作モードB)。なお、手挿入検知センサ23で物体を検知する(紙幣収納部21への紙幣の投入操作を検知する)前に、S311においてシャッタ2aを閉じる指示を受けた場合、S322は省略しても良いが、S322を実行することで、手挿入検知センサ23では検知できなかった異物Xを確実に返却することが可能となる。
・S323(図15の(f)):異物返却機構24を停止する。異物返却機構24を停止するタイミングは、異物Xが異物返却口27に返却されてから所定時間経過後、異物Xが異物返却口27に返却されたことを、図示しない異物返却センサで検知したとき、又は後述する入金収納動作の完了後等がある。シャッタ2aを閉じた状態で異物返却機構24を動作させる場合は、手挿入検知センサ23による物体の検知は不要である。
以上の動作により、利用者が紙幣収納部21に操作している間は、異物返却機構24を停止して利用者の安全を確保するとともに、シャッタ2aの動作音が利用者に聞こえにくくなるため、利用者が紙幣収納部21に手を挿入することに対する不快感を低減できる。
なお、出金動作において、紙幣収納部21に集積された紙幣を抜き取る場合にも、紙幣収納部21に異物が入る可能性がある。この場合においても、紙幣収納部21に紙幣を入金する場合と同様に、図14のフローチャートで示した異物返却処理を適用することが可能である。
また、シャッタ2aが開いた状態でも、例えば搬送路16が動作している等、異物返却機構24より大きな動作音によって、異物返却機構24の動作音が利用者に聞こえにくい場合、異物返却機構24を静音状態の動作とせずに、通常の動作としても良い。