JP5875390B2 - 高温での水中不分離性に優れた可塑性セメント系混練物 - Google Patents

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本発明は、高温の水中環境下で優れた材料分離抵抗性(水中不分離性)と可塑性を呈するセメント系混練物に関する。
水中環境下において高い材料分離抵抗性を有する「水中不分離性コンクリート」は、水質汚濁が防止できる(水が濁らない)、水中でも安定した強度を発揮できる、流動性と充填性に優れる、といった特長を有し、既に実用化されている。従来の水中不分離性コンクリートの技術は、水に溶解して適度の粘性を発揮する増粘剤(水中不分離性剤)を添加することにより材料同士の粘結性を高めて材料分離を防止するものである。その増粘剤としてはセルロース系、アクリル系などが知られており、主として前者が多用されている。この種の水中不分離性コンクリートは一般的に優れた流動性(自己充填性)を呈するように配合設計されており、水中環境への打設に際してバイブレーターによる締め固めが不要である(特許文献1、2)。
一方、土木分野においては自己充填性とは反対に「可塑性」を有する水中不分離性のセメント系混練物も使用されている。代表的には空洞の充填やシールド工事の裏込め等に適用する可塑性グラウト材が挙げられる。ここでいう可塑性とは、先流れすることなく打設あるいは注入することができる混練物の性質である。可塑性を付与したグラウト材としては、珪酸ソーダとベントナイトを用いたもの(特許文献3)、高吸収性樹脂を添加したもの(特許文献4)、ポリマーを用いたもの(特許文献5)などがある。また近年では水中不分離性コンクリートに用いられるセルロース系増粘剤を添加した可塑性セメント系材料も提案されている。
特開平9−183644号公報 特開平6−127999号公報 特開2002−212559号公報 特開平10−237446号公報 特開2005−225722号公報
従来、水中不分離性コンクリートの適用箇所の大部分は、流れの少ない海水、河川、湖沼の中である。その水温は総じて5〜25℃程度、コンクリート打込み時の材料温度も5〜35℃程度がほとんどである。しかし、セルロース系増粘剤に代表される従来の水中不分離性混和剤は温度に対する粘性の変化が大きい。暑中期において打込み時の温度が例えば30℃以上と高くなる場合は粘性が低下し材料分離抵抗性の低下が問題となりやすい。さらに、例えば45℃以上となる高温水中環境においてセルロース系増粘剤を用いて水中不分離性を安定して確保することは困難である。
他方、可塑性のセメント系混練物については、セルロース系の増粘剤を用いる水中不分離性コンクリートと比べ、粘性の温度依存性は小さいといわれている。しかし、従来、可塑性材料を作るためには例えば粘土、固化材、ベントナイト、急硬剤、ポリマー、水ガラスなど様々な材料を組み合わせる配合設計が必要であること、注入前にショット(主に2液混合)させるための専用の混合機材を注入箇所に設置する必要があることなど、レディーミクスト工場で製造し運搬できる水中不分離性コンクリートよりも材料コストが増大しやすく、施工面での制約も大きい。
本発明は、上記のような多様な材料の組み合わせを必要とすることなく、一般的なモルタル・コンクリート用材料を使用してレディーミクスト工場で製造した混練物をベースとして容易に調製することが可能であり、かつ例えば45℃以上という高温水中環境で優れた水中不分離性を呈する可塑性セメント系混練物を提供しようというものである。
発明者らは種々研究の結果、ウェランガム、ダイユータンガムのいずれか一方または双方をセメント系混練物に多量に添加したとき、45℃以上の高温水中環境で極めて良好な材料分離抵抗を示す可塑性の混練物が得られることを発見した。ウェランガムはコンクリート分野において高流動コンクリートを製造する際の増粘剤(品質安定剤)として用いられることがある。ただしその添加量はコンクリート中の単位水量に対し0.05〜0.1質量%程度とするのが従来の常識である。その程度の添加量では高温での水中不分離性と可塑性を付与することはできない。本発明ではウェランガム、ダイユータンガムを単位水量に対し合計1.5〜10.0質量%と、極めて多量に含有させる。
すなわち上記目的は、水、セメント、骨材および混和材料を練混ぜた可塑性セメント系混練物であって、混和材料としてウェランガムおよびダイユータンガムの1種または2種を水100質量部に対し合計1.5〜10.0質量部含有する高温での水中不分離性に優れた可塑性セメント系混練物によって達成される。
上記可塑性セメント系混練物がコンクリート混練物である場合、45℃におけるスランプ値が8.0cm以上25.0cm未満となるように配合調整されているものが好適な対象となる。また、モルタル混練物の場合は、45℃におけるモルタルフロー値が10.0cm以上25.0cm未満となるように配合調整されているものが好適な対象となる。
特に、45〜80℃の温度範囲内に、コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)JSCE−D 104−2007に準じて当該混練物の試料を水中落下させた場合の濁度が50ppm未満となり、かつスランプ値が8.0cm以上25.0cm未満またはモルタルフロー値が10.0cm以上25.0cm未満となるとなる温度T(℃)を有するものが一層好適な対象となる。
混和材料として、さらに高性能減水剤をセメント100質量部に対し0.3〜3.0質量部含有することにより遅延性を付与することができる。高性能減水剤として高性能AE減水剤を使用してもよい。
本発明によれば、粘土、固化材、ベントナイト、急硬剤、ポリマー、水ガラス等の特殊な材料を使用することなく、一般的なモルタル・コンクリート用材料で構成される混練物をベースとして、45℃以上の高温水中で優れた水中不分離性を有する可塑性セメント系混練物を提供することが可能となった。ベースとなる混練物はレディーミクスト工場で製造したのち容易に運搬することができる。このため本発明の可塑性セメント系混練物は従来の可塑性グラウトに比べ材料コストが低減し、施工上の制約も軽減される。この可塑性セメント系混練物は特に地熱発電開発、温泉開発、大深度掘削工事など高温水環境に適用する可塑性材料として好適である。
本明細書でいう「打設」には、混練物をグラウト剤として充填箇所に「注入」する場合が含まれる。
〔ウェランガム、ダイユータンガム〕
ウェランガム、ダイユータンガムは増粘剤として知られているが、発明者らの研究によれば、これらの一方または双方をセメント系混練物(すなわちコンクリートまたはモルタル混練物)に多量添加したとき、高温での水中不分離性に優れた可塑性セメント系混練物が得られる。
具体的には、セメント系混練物中におけるウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量を水100質量部に対し1.5質量部以上とすることによって、少なくとも45℃において良好な水中不分離性が得られる。また、そのようなセメント系混練物において良好な可塑性を得ることができる。ウェランガム、ダイユータンガムの含有量が多くなるほど、より高温まで良好な水中不分離性および可塑性を維持するうえで有利となる。ウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量は水100質量部に対し2.0質量部以上とすることがより好ましく、3.0質量部以上とすることが一層好ましい。ただし、その含有量が多すぎると流動性が低下して施工性を阻害する。種々検討の結果、ウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量は水100質量部に対し10.0質量部以下の範囲とすることが望まれる。
〔スランプ値、モルタルフロー値および可塑性〕
対象がコンクリート混練物である場合、施工性の面から打設箇所の想定温度T℃におけるスランプ値が8.0cm以上に調整されていることが望ましい。15.0cm以上であることがより好ましい。一方、T℃におけるスランプ値が25.0cm以上になると、可塑性が不十分となるので好ましくない。ただし、スランプ値が25.0cm未満であっても配合によっては可塑性が不十分となる場合もある。したがって、打設箇所の想定温度T℃においてスランプ値が8.0cm以上25.0cm未満、好ましくは15.0cm以上25.0cm未満となり、かつ用途に応じて十分な可塑性を呈するように配合調整することが望まれる。
対象がモルタルである場合は、上記スランプ値に代えてモルタルフロー値が採用される。施工性の面から打設箇所の想定温度T℃におけるモルタルフロー値が10.0cm以上に調整されていることが望ましく、15.0cm以上であることがより好ましい。一方、T℃におけるモルタルフロー値が25.0cm以上になると、可塑性が不十分となるので好ましくない。ただし、モルタルフロー値が25.0cm未満であっても配合によっては可塑性が不十分となる場合もある。したがって、打設箇所の想定温度T℃においてモルタルフロー値が10.0cm以上25.0cm未満、好ましくは15.0cm以上25.0cm未満となり、かつ用途に応じて十分な可塑性を呈するように配合調整することが望まれる。
ここで、T℃におけるスランプ値は、T℃の温水中に湯煎した混練物試料を用いてスランプ試験を実施した場合のスランプ値をいう。同様にT℃におけるモルタルフロー値は、T℃の温水中に湯煎した混練物試料を用いてモルタルフロー試験を実施した場合のモルタルフロー値をいう。湯煎時間は、湯煎浴の水温をT℃に維持した状態で60分以上とすればよい。スランプ値、モルタルフロー値は主として水セメント比およびウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量によって調整することができる。水セメント比は40〜80%の範囲で設定すればよい。ウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量は上述の範囲とする。高温での可塑性は主としてウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量を調整することによって改善できる。
〔濁度〕
打設箇所の想定温度T℃における水中不分離性については、コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)JSCE−D 104−2007に準じて混練物試料をT℃の水中に落下させた場合の濁度を評価指標とすることができる。発明者らは、この濁度と、目視による濁りの評価を総合的に種々検討したところ、当該濁度が50ppm未満となれば可塑性グラウトの用途において実用的な水中不分離性を有すると評価できることがわかった。濁度が20ppm未満となれば特に優れた水中不分離性を有すると評価できる。
JSCE−D 104−2007の規格は水温20℃で試験を実施するものであるが、本明細書でいうT℃での濁度は、この水温20℃に代えて水温T℃で試験を実施することによって定まる。ただし水温以外の試験条件は当該JSCE−D 104−2007の規格に従う。T℃における濁度(水中不分離性)はウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量を前述の規定範囲内で調整することによってコントロールすることができる。
〔高性能減水剤〕
可塑性セメント系材料の用途を考慮すると、硬化までの時間を十分に確保したい場合が想定される。その場合には混和材料として高性能減水剤を含有させることが有効である。高性能減水剤はモルタル・コンクリート用の混和剤として市販されているものを適用することができる。高性能AE減水剤を適用してもよい。種々検討の結果、高性能減水剤の含有量はセメント100質量部に対し0.3〜3.0質量部とすることが効果的である。
〔セメント系混練物〕
本発明で対象とするセメント系混練物は、従来の可塑性グラウトのように粘土、固化材、ベントナイト、急硬剤、ポリマー、水ガラス等を組み合わせた複雑な配合設計に従う必要はなく、混和材料としてウェランガムおよびダイユータンガムの1種または2種を必須とする以外は基本的に一般的なコンクリートまたはモルタル用材料で構成することができる。具体的には水、セメント、骨材および混和材料からなる配合とする。その混和材料としてはウェランガム、ダイユータンガムを含有する他は、必要に応じて高性能(AE)減水剤を含有することができ、さらに必要に応じてコンクリートやモルタルに一般的に使用されている混和材料を含有してもよい。セメントの一部を石灰石微粉末、フライアッシュ等の粉体成分で置換する配合も可能である。
配合を決定するに際し、上述の打設箇所の想定温度T℃としては、45℃以上の温度を当てはめることが効果的である。ウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量を前述の規定範囲としたセメント系混練物において、少なくとも45℃で上記のスランプ値またはモルタルフロー値を呈するように配合調整されているものは、温泉開発その他の多くの用途に適用可能である。打設箇所の想定温度T℃を60℃とした場合に上述のスランプ値またはモルタルフロー値を有し、かつ上述の濁度となる可塑性セメント系混練物がより好ましい。T℃を80℃とした場合に上述のスランプ値またはモルタルフロー値を有し、かつ上述の濁度となる可塑性セメント系混練物が一層好ましい。
本発明に従うセメント系混練物を製造する方法としては例えば以下の手法が挙げられる。
水、セメント、骨材、さらに必要に応じて高性能減水剤を混練してベース混練物を製造する工程、
打設箇所の想定温度をT℃とするとき、コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)JSCE−D 104−2007に準じて混練物の試料をT℃の水中に落下させた場合の濁度が50ppm未満となり、かつT℃でのスランプ値が8.0cm以上25.0cm未満またはモルタルフロー値が10.0cm以上25.0cm未満となるように、前記ベース混練物にウェランガムおよびダイユータンガムの1種または2種を単位水量(kg/m3)に対し1.5〜10.0質量%の含有量範囲で混合する工程、
を有する高温での水中不分離性に優れた可塑性セメント系混練物の製造方法。
ここで、上記T℃は45〜100℃の間に設定することが特に効果的である。上記ベース混練物はレディーミクストコンクリートまたはモルタル工場で調製することができる。
表1に示す配合のセメント系混練物を作製した。セメントは油井セメントを使用した。混和材料は増粘剤と高性能減水剤であり、以下のものを使用した。
〔増粘剤〕
・セルロース系;三井化学産資(株)製、ハイドロクリートUWB
・ウェランガム;三晶(株)製、ウェランガムKIA96
・ダイユータンガム;三晶(株)製、ケルコクリートDG
〔高性能減水剤〕
・高性能AE減水剤;(株)フローリック製、フローリックSF500S
〔施工性評価〕
各混練物のサンプルを20℃、45℃、60℃、80℃の各温度で60分間湯煎したのち、ただちにスランプ試験またはモルタルフロー試験を行った。
コンクリート混練物においては、スランプ値が8.0cm未満のものは固練りに部類に入り、グラウト用途では流動性が不足して施工性に劣る場合がある。スランプ値が8.0cm以上であれば種々の可塑性セメント系材料用途において良好な施工性を有すると評価できる。スランプ値が15.0cm以上のものは特に施工性が良好である。ただし、スランプ値が25.0cm以上となるとグラウト注入箇所で先流れが生じやすく安定した充填性が得られない。また、配合によってはスランプ値が25.0cm未満であっても温度が高くなると良好な可塑性を有しない場合がある。したがって、コンクリートの施工性は以下の基準で評価し、○評価以上をその温度における施工性が合格である判定した。
(コンクリートの流動性評価基準)
◎:スランプ値15.0cm以上25.0cm未満かつ可塑性高いと判断される場合
○:スランプ値8.0cm以上15.0cm未満かつ可塑性高いと判断される場合、およびスランプ値8.0cm以上25.0cm未満かつ可塑性やや低いと判断される場合
△:スランプ値8.0cm未満または25.0cm以上の場合(ただし下記×評価を除く)、およびスランプ値8.0cm以上25.0cm未満かつ可塑性低いと判断される場合
×:可塑性なし(材料分離を含む)の場合
モルタル混練物においては、モルタルフロー値が10.0cm未満のものはグラウト用途では流動性が不足して施工性に劣る場合がある。モルタルフロー値が10.0cm以上であれば種々の可塑性セメント系材料用途において良好な施工性を有すると評価できる。モルタルフロー値が15.0cm以上のものは特に施工性が良好である。ただし、モルタルフロー値が25.0cm以上となるとグラウト注入箇所で先流れが生じやすく安定した充填性が得られない。また、配合によってはモルタルフロー値が25.0cm未満であっても温度が高くなると良好な可塑性を有しない場合がある。したがって、モルタルの施工性は以下の基準で評価し、○評価および◎評価をその温度における施工性が合格である判定した。
(モルタルの流動性評価基準)
◎:モルタルフロー値15.0cm以上25.0cm未満かつ可塑性高いと判断される場合
○:モルタルフロー値10.0cm以上15.0cm未満かつ可塑性高いと判断される場合、およびモルタルフロー値10.0cm以上25.0cm未満かつ可塑性やや低いと判断される場合
△:モルタルフロー値10.0cm未満または25.0cm以上の場合(ただし下記×評価を除く)、および10.0cm以上25.0cm未満かつ可塑性低いと判断される場合
×:可塑性なし(材料分離を含む)の場合
なお、上記コンクリートまたはモルタルの評価において、「可塑性高い」とは一般的なグラウト注入現場において先流れが生じないと判断される場合を意味し、「可塑性やや低い」とは一般的なグラウト注入現場において先流れが生じることも考えられるが実用上問題ないレベルであると判断される場合を意味し、「可塑性低い」とは一般的なグラウト注入現場において先流れが生じることが想定され未充填箇所の手当が必要となりうると判断される場合を意味する。
〔水中不分離性評価〕
各混練物について、コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)JSCE−D 104−2007に準じて当該混練物の試料を20℃、45℃、60℃、80℃の各温度の水中に落下させた場合の濁度を求めた。前述のように、この濁度が50ppm未満であれば可塑性セメント系材料の用途で実用的な水中不分離性を有すると評価でき、20ppm未満であれば特に優れた水中不分離性を有すると言える。ここでは水中不分離性について以下の4段階に評価を分類し、○評価および◎評価を合格と判定した。
◎; 濁度:20ppm未満
○; 濁度:20ppm以上50ppm未満
△; 濁度:50ppm以上150ppm未満
×; 濁度:150ppm以上
これらの結果を表2に示す。
なお、表1中、増粘剤の数値は水100質量部に対する質量部を表示してあり、高性能減水剤の数値はセメント100質量部に対する質量部を表示してある。
Figure 0005875390
Figure 0005875390
表1、表2からわかるように、増粘剤としてウェランガム、ダイユータンガムを水100質量部に対し合計1.5〜10.0質量部含有する本発明例の可塑性セメント系混練物はは、少なくとも45℃において良好な施工性および水中不分離性を呈する。これらのうちウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量が比較的少ないNo.5〜10は80℃の施工性が△評価となったが、これは可塑性が低下したことによる。ただし、いずれも60℃までの施工性は良好であった。水中不分離性についてはウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量が多くなるほど改善される傾向が見られる。打設箇所の想定温度が60℃以上と高い場合にはウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量を水100質量部に対し2.0質量部以上とすることが効果的である。また、打設箇所の温度が80℃以上となる場合にはウェランガム、ダイユータンガムの合計含有量を水100質量部に対し3.0質量部以上とすることが望まれる。
一方、比較例であるNo.1、3、4はウェランガム、ダイユータンガムの含有量が少ないために高温での可塑性が低く、このうちNo.1は60℃で材料分離を生じ、No.3、4は60℃以上で可塑性が得られなかった。これらは高温での水中不分離性も改善されていない。No.16〜18はウェランガム、ダイユータンガムの含有量が過剰であるため流動性が低下した。No.19はベントナイトを配合するものであるが、ウェランガム、ダイユータンガムを配合していないため45℃において材料分離を生じた。No.21はセルロース系増粘剤を含有する従来一般的な水中不分離性コンクリートであるため可塑性はなく、高温では材料不分離性が著しく低下する。No.22はセルロース系増粘剤、No.23はウェランガムをそれぞれ少量配合する高流動コンクリートであり、これらはいずれも可塑性がなく、水中不分離性も有していない。

Claims (2)

  1. 水、セメント、骨材および混和材料を練混ぜたセメント系混練物であって、混和材料としてウェランガムおよびダイユータンガムの1種または2種を水100質量部に対し合計1.5〜10.0質量部含有し、45℃におけるスランプ値が8.0cm以上25.0cm未満または45℃におけるモルタルフロー値が10.0cm以上25.0cm未満となるように配合調整されており、かつ45〜80℃の温度範囲内に、コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格(案)JSCE−D 104−2007に準じて当該混練物の試料を水中落下させた場合の濁度が50ppm未満となり、かつスランプ値が8.0cm以上25.0cm未満またはモルタルフロー値が10.0cm以上25.0cm未満となるとなる温度T(℃)を有するセメント系混練物。
  2. 混和材料として、高性能減水剤をセメント100質量部に対し0.3〜3.0質量部含有することにより遅延性を付与した請求項1に記載のセメント系混練物。
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