JP5871551B2 - 渦流探傷センサ - Google Patents

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本発明は、渦流探傷センサに関する。
渦流探傷センサは、金属材料の表面に検出コイルを利用して渦電流を流し、表面亀裂やクラック等の欠陥による渦電流の変化を検出することによって、金属材料の欠陥を検出するものである。尚、本件に関連する技術としては、下記特許文献1に記載のものがある。
特開2001−349875公報
渦流探傷センサを用いる場合、検出を正確に行うには、プローブに設けた検出コイルを金属材料の検査面に沿って正確に走査することが必要である。しかし、例えばガスタービンロータの動翼を取り付ける嵌合溝に形成した冷却孔など狭小箇所では、プローブに設けた検出コイルを、孔の形状に沿って走査する作業は困難性を極め、作業性が著しく悪かった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、検出コイルを、孔に沿って走査する作業の効率化を図ることを目的とする。
本発明は、一方向に長い溝の内部に設けられた孔の欠陥を検査する渦流探傷センサであって、一方向に長い形状をなし、第一軸部と第二軸部を前記一方向の前後に形成したプローブ本体と、前記プローブ本体の前記第一軸部に設けられ内部に検出コイルを有する検出部と、前記プローブ本体の前記第二軸部の外側に装着され、かつ前記溝内へ挿通可能な筒型をなす外筒部とを備え、前記外筒部は前記プローブ本体の前記第二軸部に対して、前記一方向と回転方向の方向に相対変位可能に装着され、前記外筒部に、前記孔の形状と相似形状のガイド孔が形成され、前記プローブ本体に、前記ガイド孔に沿って周回移動することより、前記検出部を前記孔の形状に沿って周回移動させるガイドピンが設けられているところに特徴を有する。この発明では、ガイド孔とガイドピンの案内作用により孔に沿って検出コイルを移動させることができる。そのため、検出コイルを孔に沿って簡単に走査できる。
この発明の実施態様として以下のようにすることが好ましい。
・溝への挿入時に外筒部を回り止めするストッパを設ける。このようにすれば、外筒部が回転しないので、孔に対してガイド孔の位置が回転方向にてずれ難い。そのため、孔に沿って検出コイルを正確に走査できる。
本発明によれば、検出コイルを孔に沿って簡単に走査できる。そのため、作業性がよい。
実施形態1における、ガスタービンロータの斜視図 タービンディスクの一部を拡大した斜視図 動翼の一部を拡大した斜視図 タービンディスクに動翼を取り付けた状態を示す斜視図 その正面図(図4を正面側から見た図) 渦流探傷センサの斜視図 センサヘッドの平面図 センサヘッドの側面図 センサヘッドをタービンディスクの嵌合溝に挿入した状態を示す斜視図 その断面図(嵌合溝を上下方向に切断した断面図) 同じくその断面図(嵌合溝を垂直方向に切断した断面図) ガイド孔とガイドピンによる案内作用を示す図 実施形態2における、センサヘッドの断面図
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図12によって説明する。
図1は、ガスタービンロータの斜視図である。ガスタービンロータ10はロータ軸11に、円盤状をした金属製のタービンディスク20を介して、動翼30を固定したものである。タービンディスク20に対する動翼30の取り付け構造は、図2〜図5に示す通りであり、タービンディスク20に形成された嵌合溝23に対して動翼30の底部に形成した嵌合部33を嵌合させる構造となっている。
具体的に説明すると、タービンディスク20の嵌合溝23はロータ軸11の軸線L方向に延びており、タービンディスク20を前後に貫通している。一方、動翼30側の嵌合部33は、嵌合溝23に対して隙間なく嵌合する形状となっている。そのため、動翼30の嵌合部33を、前後のいずれかの方向から、嵌合溝23の奥方に差し込むことで、動翼30をタービンディスク20に固定できるようになっている(図4)。
タービンディスク20の嵌合溝23の底部23Aは断面形状が概ね円弧型をなすと共に、内周面側には冷却孔25が形成されている(図2参照)。冷却孔25は、嵌合溝23の底部23Aを横切る横長形状をしていて、タービンディスク20を上下に貫通している。この冷却孔25は動翼30の内部に形成された冷却通路35と連通しており、ロータ軸11から冷却孔25を通じて動翼30の冷却通路35へ冷却風を流すことにより動翼30を冷却する構造となっている(図5参照)。
本実施形態では、以下に説明する渦流探傷センサ50を用いて、嵌合溝23の底部23Aに形成された冷却孔25の欠陥を検査するものである。尚、渦流探傷センサ50の検出原理は、先の特許文献1に開示されている原理と同じであり、金属材料の表面(この例では、冷却孔25の孔縁)に検出コイル(この例では、検出コイル73A)を利用して渦電流を流し、表面亀裂やクラック等の欠陥による渦電流の変化を検出することによって、金属材料の欠陥を検出するものである。
図6に示すように、渦流探傷センサ50は、センサヘッド60と演算装置100とから構成されている。演算装置100はセンサヘッド60に対してケーブルを介して電気的に接続されていて、センサヘッド60にて検出される検出信号に基づいて、冷却孔25の欠陥を検出する機能を果たすものである。
センサヘッド60は、図7、図8に示すようにプローブ本体70と、外筒部80とを備える。プローブ本体70は合成樹脂製であり、径の異なる2つの軸部71、75を前後に形成した一方向(図7では左右方向)に長い形状をなす。以下、プローブ本体70のうち、基端側の軸部(小径側)を第一軸部71とし、先端側の軸部(大径側)を第二軸部75と呼ぶ。
第一軸部71の基端側(図7の左側)は取っ手74となる筒状部材が被せ付けられている。また、第一軸部71の外周面には検出部73が形成(具体的には、一体的に形成)されている。検出部73は、第二軸部75との境界に設けられた鍔部79の近傍にあって、第一軸部71の外周面から径方向外側に突出する突形状をしている。検出部73の内部には、検査対象物である冷却孔25の欠陥を検出するための検出コイル73Aが内蔵されている(図10参照)。
また、検出部73は、図10に示すように、嵌合溝23への挿入時、嵌合溝23の底部23Aの内面23Bに接触しない設定(一定のクリアランスを持たせる設定)となっている。このような設定(検出部73の先端を底部23Aの内面23Bから離す設定)としてあるのは、検出部73の先端を内面23Bに接触させると、走査時に微小な振動が発生し、検出部73を冷却孔25に沿って滑らかに走査できないからである。
第二軸部75には、中空円筒型の外筒部80が外挿されている。外筒部80は合成樹脂製であって、内径がプローブ本体70の第二軸部75の外形より少しだけ大きくなっていて、第二軸部75に対して最小限のクリアランスをもって嵌合している。以上のことから、プローブ本体70が外筒部80に対して自由に動くことが可能で、前記一方向にあたる軸方向(図7の左右方向)と回転方向の方向に相対移動できる構成となっている。

外筒部80の外径は、タービンディスク20の嵌合溝23の底部23Aの内径より少しだけ小さくなっていて、図9に示すように、外筒部80を含むセンサヘッド60の全体を、嵌合溝23の底部23Aの内側に挿入できる構成となっている。
また、外筒部80にはストッパプレート83が取り付けられている。具体的には、後述するガイド孔87に対して、向かい合う位置(すなわち、180°反転した位置)に取り付けられている。このストッパプレート83は、嵌合溝23にセンサヘッド60を挿入した際に、嵌合溝23の一部に当接する設定となっている(図11参照)。ストッパプレート83は、嵌合溝23への挿入時、嵌合溝23に対して外筒部80を回り止めすると共に、嵌合溝23の冷却孔25に対して、外筒部80のガイド孔87を位置決め(回転方向にて位置決め)する機能を果たす。
図7、図8に戻って説明を続けると、外筒部80にはガイド孔87が形成され、プローブ本体70の第二軸部75の外周側にはガイド孔87の相手となるガイドピン77がネジで固定されている。これらガイド孔87とガイドピン77は、冷却孔25に沿って検出コイル73Aが移動するように、検出部73をガイド(案内)する機能を果たすものである。
具体的に説明すると、ガイド孔87は、外筒部80の基端側(図7では左側)に形成されている。ガイド孔87の形状は、冷却孔25の孔形状と相似形状であり、冷却孔25の孔形状に対して一回り大きな形状となっている。図7や図8に示すように、ガイドピン77はガイド孔87に対して内側(径方向内側)から嵌合し、検出部73との関係では同一直線L1上に位置する位置関係に設定されている。
次に、冷却孔25に沿って検出部73を走査する作業手順について説明する。走査作業を行うには、まず、ストッパプレート83を上に向けながら、センサヘッド60を検査対象となる嵌合溝23へ差し込み、その後、図9、図10に示すように、冷却孔25の孔縁に、検出部73が位置するように、センサヘッド60の位置(軸線L方向の前後の位置)を合わせる。図10の例では、ガイド孔87の奥側(図中左側)にガイドピン77を突き当てているので、冷却孔25の奥側(図中左側)の周縁に検出部73の位置を合わせることになる。
そして、検出部73の位置を合わせることができたら、動かないように外筒部80を手で押さえながら、プローブ本体70の取っ手74を掴んで、ガイド孔87に沿ってガイドピン77が一周(周回移動)するようにプローブ本体70を操作する。具体的には、外筒部80に対して回転方向(図12のa矢印)や軸線L方向(図12のb矢印)にプローブ本体70を移動させる。これにより、ガイド孔87とガイドピン77による案内作用により、検出部73が冷却孔25に沿って移動し、冷却孔25を一周する(図12参照)。
このように本実施形態では、ガイド孔87とガイドピン77によって検出部73の移動を案内するので、検出部73を冷却孔25に沿って走査することが可能であり、また走査作業自体も極めて簡単で作業性がよい。
また、この実施形態では、ストッパプレート83によって外筒部80を回転止めする構造となっている。そのため、走査する際に、外筒部80の位置が回転方向にずれないので、冷却孔25に沿って検出部73を正確に走査できるというメリットがある。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図13によって説明する。実施形態1では、プローブ本体70の第一軸部71に対して検出部73を一体的に形成した。そして、嵌合溝23との関係では、挿入時において、嵌合溝23の底部23Aの内面23Bと検出部73との間に一定のクリアランスを設ける設定とした(図10参照)。
実施形態2では、検出部93を別部品とし、プローブ本体70の第一軸部71に設けた取り付け孔91に対して、径方向に移動可能に装着する構造としている。そして、取り付け孔91に、ばね95を設けて、径方向外側に検出部93を付勢する構造としている。実施形態2の構成では、検出部93を径方向外側に付勢する構造としてあることから、冷却孔25に沿って走査する間、検出部93が嵌合溝23の底部23Aの内面23B(冷却孔25の周縁)に対して接触した状態となる。このものでは、嵌合溝23Aの形状が修理等の影響で当初設計形状から変更があったとしても、嵌合溝23の底部23Aに対して検出部93が常に接触した状態となることから、変更後の溝形状に沿って冷却孔25の欠陥を検査できるというメリットがある。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では、検査対象の一例に、タービンディスク20の嵌合溝23に形成した冷却孔25を例示したが、溝の内側に形成した孔の検査であれば、それ以外の用途にも使用できる。
20…タービンディスク
23…嵌合溝(本発明の「溝」に相当)
25…冷却孔(本発明の「孔」に相当)
50…渦流探傷センサ
70…プローブ本体
71…第一軸部
75…第二軸部
77…ガイドピン
80…外筒部
83…ストッパプレート(本発明の「ストッパ」に相当)
87…ガイド孔

Claims (2)

  1. 一方向に長い溝の内部に設けられた孔の欠陥を検査する渦流探傷センサであって、
    一方向に長い形状をなし、第一軸部と第二軸部を前記一方向の前後に形成したプローブ本体と、
    前記プローブ本体の前記第一軸部に設けられ内部に検出コイルを有する検出部と、
    前記プローブ本体の前記第二軸部の外側に装着され、かつ前記溝内へ挿通可能な筒型をなす外筒部とを備え、
    前記外筒部は前記プローブ本体の前記第二軸部に対して、前記一方向と回転方向の方向に相対変位可能に装着され、
    前記外筒部に、前記孔の形状と相似形状のガイド孔が形成され、
    前記プローブ本体に、前記ガイド孔に沿って周回移動することより、前記検出部を前記孔の形状に沿って周回移動させるガイドピンが設けられていることを特徴とする渦流探傷センサ。
  2. 前記溝への挿入時に、前記溝の一部に当接して前記外筒部を回り止めするストッパを、前記外筒部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の渦流探傷センサ。
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