JP5869459B2 - ドラム式変速機のシフトドラム構造 - Google Patents
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Description
円筒状をしたドラム本体(91)の両側にそれぞれドラム端壁(92w,93w)からドラム支軸(92,93)を両外側に突出させて構成されたシフトドラム(90)の回動により前記ドラム本体(91)の外周面に周方向に形成された案内溝(91f,91r)に案内されてシフトフォーク軸(81)上を軸方向に移動するシフトフォーク(82,83)が、変速歯車(62,65,68)を軸支する動力伝達回転軸(61)上のシフタ部材(63,66)を摺動させて変速を行うドラム式変速機(Ts)のシフトドラム構造において、
前記シフトドラム(90)は、前記ドラム本体(91)の外周面に前記案内溝(91f,91r)と直交する軸方向に指向して作業溝(91s)が一方の端面から他方の端面または他方の端面の近傍の前記案内溝(91f,91r)まで形成され、
少なくとも一方の前記ドラム端壁(92w,93w)は、前記作業溝(91s)の一方の端面の開口を閉塞しないことを特徴とするドラム式変速機のシフトドラム構造とした。
請求項1記載のドラム式変速機のシフトドラム構造において、
前記ドラム式変速機(Ts)は、軸方向に半割りに構成された一対の変速機ケース(41,42)に覆われ、
前記動力伝達回転軸(61)の両端部が、一対の前記変速機ケース(41,42)の所定の各軸受部(44fh,44rh)にそれぞれ軸支され、
前記シフトフォーク軸(81)の両端部が、一対の前記変速機ケース(41,42)の所定の軸穴(46fh,46rh)にそれぞれ軸支され、
前記シフトドラム(90)の両端のドラム支軸(92,93)が、一対の前記変速機ケース(41,42)の所定の各軸受部(47fh,47rh)にそれぞれ軸支されることを特徴とする。
請求項2記載のドラム式変速機のシフトドラム構造において、
前記シフトフォーク軸(81)には、前記シフトフォーク(82,83)が複数軸方向に移動自在に軸支され、各シフトフォーク(82,83)がばね(84)により軸方向に付勢されることを特徴とする。
本実施の形態に係るパワーユニットPは、4輪駆動可能なルーフ付きの5人乗り不整地走行用車両1に搭載されるものである。
図1を参照して、不整地走行用車両1は、不整地用の低圧のバルーンタイヤが装着される前輪2,2と後輪3,3がそれぞれ左右一対車体フレーム5の前後に懸架されている。
なお、前ファイナルリダクションギヤユニット7には前輪への動力伝達を断接して2輪駆動と4輪駆動の切換えを行うクラッチが組み込まれている。
前シート11の中央の席が運転席であり、若干左右の席より前方に出ている。
この運転席の前方にステアリングコラム14から突出して操舵ハンドル15が設けられている。
前シート11と後シート12の上方はルーフ16が覆っている。
そして、パワーユニットPは、内燃機関Eのクランク軸21を車体前後方向に指向させた所謂縦置きの姿勢で、車体フレーム5に搭載されている。
この主変速機Tmは、内燃機関Eのクランク軸21の右方に位置し、主変速機Tmの前方に略重なって副変速機Tsが突設されている。
内燃機関Eのシリンダブロック23には、2本のシリンダが前後直列に並んで形成され、各シリンダボア内を往復摺動するピストン26とクランク軸21とをコンロッド27が連結して、ピストン26の往復動をクランク軸21の回転に変換して出力する。
前後方向に指向するクランク軸21の前端部にプライマリ駆動歯車28が嵌着されている。
メイン軸31には6個の駆動変速ギヤ31gが設けられ、カウンタ軸32には駆動変速歯車31gに対応して、これらと常時噛み合う6個の被動変速ギヤ32gが設けられている。
奇数変速段の駆動変速歯車31gはメイン軸内筒31aに、偶数変速段の駆動変速歯車31gはメイン軸外筒31bに設けてある。
中央のプライマリ従動歯車29がクランク軸21に設けられたプライマリ駆動歯車28に噛合する。
クラッチアウタ30ao(30bo)側の一緒に回転する駆動摩擦板とクラッチインナ30ai(30bi)側の一緒に回転する被動摩擦板とを交互に配列した摩擦板群30af(30bf)を加圧プレート30ap(30bp)が加圧可能である。
加圧プレート30apが駆動されて摩擦板群30afが加圧されると、第1クラッチ30aが接続し、プライマリ従動ギヤ29に入力された動力がメイン軸内筒31aに伝達され、奇数変速段の駆動変速歯車31gが回転する。
他方、加圧プレート30bpが駆動されて摩擦板群30bfが加圧されると、第2クラッチ30bが接続し、プライマリ従動ギヤ29に入力された動力がメイン軸外筒31bに伝達され、偶数変速段の駆動変速歯車31gが回転する。
カウンタ軸32上の2個のシフタ歯車を移動させるシフトフォーク33,33がシフトフォーク軸33aに軸支されて設けられる。
メイン軸31上の2個のシフタ歯車を移動させるシフトフォーク33,33およびシフトフォーク軸も、図示されていないが設けられている。
シフトドラム34は変速用モータ35により回動する。
変速用モータ35の駆動力は、減速歯車機構36を介してシフトスピンドル37の回動に伝達され、シフトスピンドル37の回動が間欠送り機構38を介してシフトドラム34の回動に伝達される。
主変速機Tmの出力軸は、カウンタ軸32であり、カウンタ軸32はクランクケース22の前側壁22fを前方に貫通して、その突出した前端に主変速機出力歯車39が嵌着されている。
副変速機Tsは、前後割りとされた前側副変速機ケース41と後側副変速機ケース42が合体されて、内部に構成される。
副変速機Tsは、カム式トルクダンパ52を備えている。
副変速機Tsの互いに変速歯車を噛み合わせる変速駆動軸61と変速従動軸71およびカム式トルクダンパ52を支持するダンパ軸51等の回転支軸がクランク軸21と平行で前後方向に指向して、前後端が前側副変速機ケース41と後側副変速機ケース42に軸支され架設される。
この副変速機入力歯車50が主変速機出力歯車39と噛合して主変速機Tmの出力が副変速機Tsの副変速機入力歯車50に入力される。
後側ダンパ軸51rには、カム部材53がスプライン嵌合されて、相対回転が規制され軸方向に摺動可能に軸支され、同カム部材53の後方に対向してカムフォロワ歯車部材54が軸方向の移動が規制され相対回転可能に軸支されて設けられている。
カムフォロワ歯車部材54は、カム部材53のカム凸部53aのカム面に接する凹部を有するとともに、外周部に歯車が形成されている。
そして、カム部材53とフランジ51cとの間に介装されたコイルスプリング55によりカム部材53が後方のカムフォロワ歯車部材54に向けて付勢されてカム部材53のカム凸部53aのカム面がカムフォロワ歯車部材54の凹部に接するようにしている。
中間円筒歯車部材57には、大径アイドル歯車57aと小径アイドル歯車57bが前後に一体に形成されている。
図5に示すように、変速駆動軸61は、前端が前側副変速機ケース41の軸受凹部44fhに嵌入されたベアリング44fにより軸支され、後端が後側副変速機ケース42の軸受孔44rhに嵌入されたベアリング44rにより軸支されて回転自在に架設される。
高低速切換シフタ部材63は、変速駆動軸61の軸方向所定位置にスプライン結合された円筒基部63aの外周に直動ベアリング63bを介して軸方向に移動自在に軸支され、前後両側に向けて形成されたクラッチ歯63t,63tの間にシフトフォーク溝63vが形成されている。
高低速切換シフタ部材63がクラッチ受部材64H,64Lの間の中央にいずれとも噛み合わずに位置すると、変速駆動軸61の回転は高速駆動歯車62および低速駆動歯車65のいずれにも伝達されない。
前後進切換シフタ部材66は、高低速切換シフタ部材63と同様に、変速駆動軸61の軸方向所定位置にスプライン結合された円筒基部66aの外周に直動ベアリング66bを介して軸方向に移動自在に軸支され、前後両側に向けて形成されたクラッチ歯66t,66tの間にシフトフォーク溝63vが形成されている。
前後進切換シフタ部材66の後側のクラッチ歯66tは噛み合う相手がない。
前後進切換シフタ部材66が前方に移動すると、前側クラッチ歯66tがリバース用駆動歯車68に嵌着されたクラッチ受部材67Rに噛み合い、変速駆動軸61とともにリバース用駆動歯車68を回転する。
また、変速駆動軸61の前端を軸支するベアリング44fの後方にリバース用駆動歯車68の前側に隣接してパーキング用歯車69が、リバース用駆動歯車68に嵌着されて設けられている。
図5に示すように、変速従動軸71は、前部が前側副変速機ケース41の軸受孔45fhに嵌入されたベアリング45fを貫通して軸支され、後部が後側副変速機ケース42の軸受孔45rhに嵌入されたベアリング45rを貫通して軸支され、前後端を前後に突出させて回転自在に架設される。
したがって、高速従動歯車72と低速従動歯車75は軸方向所定位置で変速従動軸71と一体に回転する。
また、低速従動歯車75は、前記ダンパ軸51に相対回転自在に軸支された中間円筒歯車部材57の小径アイドル歯車57bにも噛み合っている。
したがって、変速駆動軸61上のリバース用駆動歯車68の回転は、ダンパ軸51上の中間円筒歯車部材57の大径アイドル歯車57aと小径アイドル歯車57bを介して回転方向を後進方向にして低速従動歯車75に伝達して変速従動軸71を後進方向に回転できる。
すなわち、変速従動軸(出力軸)71の前端は前ドライブシャフト6に連結され、変速従動軸71の後端は後ドライブシャフト8に連結されて、前輪2,2と後輪3,3に動力が伝達される。
前後のシフトフォーク83とシフトフォーク82との間にはコイルスプリング84が介装されてシフトフォーク82とシフトフォーク83を互いに離間する方向に付勢しており、シフトフォーク82,83により移動するシフタ部材63,66のクラッチ歯の噛み合いを円滑にしている。
シフトドラム90は、図8ないし図10に示すように、円筒状をしたドラム本体91の前後両端に中心軸上にドラム支軸92,93を前後に突出させて設けている。
前側のドラム支軸92は後端の拡径部であるドラム端壁92wをドラム本体91の前端開口に嵌入して取り付けられ、後側のドラム支軸93は前端のドラム端壁が外周に凹凸カム面をなす花形カム部93wを形成してドラム本体91の後端部にピン部材94により結合されている。
なお、ドラム端壁92wから長尺に延出するドラム支軸92にはシフトドラム入力歯車95が嵌着されている。
この作業溝91sは、後記するように、変速駆動機構80を組付けるときに利用される。
なお、ドラム支軸92のドラム端壁92wはドラム本体91の前端開口に嵌入していて、かつ作業溝91sの前端開口を塞ぐことなく開放している。
前側副変速機ケース41は軸孔47fhのさらに前方に凹部47dが形成されていて、同凹部47dにシフトポジションセンサ96が嵌合支持され、同シフトポジションセンサ96の駆動軸がドラム支軸92に同軸で連結され、シフトドラム90の回動角度を同シフトポジションセンサ96が検出する。
前側副変速機ケース41より前方に突出したシフトスピンドル101の前端に、手動によるシフト操作が作動してシフトスピンドル101が回動する。
パーキング作動アーム111の先端にはローラ112が回転自在に軸支されている。
パーキング係止レバー116は、レバー支軸115に巻回されたトーションスプリング117により前面視で時計回りに付勢され、前側副変速機ケース41から所定位置で突設されたストッパ118により先端が接して揺動が規制されている。
図6は、副変速機Tsが前進高速状態にあるときを示しており、パーキング係止レバー116は、トーションスプリング117により付勢されたパーキング係止レバー116はストッパ118に接してパーキング用歯車69から離れて停止している。
図7は、このパーキング用歯車69の回転を禁止したパーキング状態を示している。
なお、低速前進状態では前後進切換シフタ部材66は、クラッチ受部材67Rと噛合していない。
なお、高速前進状態でも前後進切換シフタ部材66は、クラッチ受部材67Rと噛合していない。
本副変速機Tsは、手動により以上のような変速操作が行われる。
なお、高速前進状態は2輪駆動で、低速前進状態および後進状態は4輪駆動で運転される。
後側副変速機ケース42には、その他、軸受孔44rhの左方にシフトドラム90を軸支する軸受凹部47rh、軸受孔44rhと軸受凹部47rhとの間にシフトフォーク軸81を軸支する軸穴46rh、軸穴46rhの下方にシフトスピンドル101を軸支する軸穴48rh、軸受孔44rhの下方にレバー支軸115を軸支する軸穴49rhが、それぞれ形成されている。
さらに、間にコイルスプリング84を挟んだ前後のシフトフォーク83とシフトフォーク82を軸支して組み込んだシフトフォーク軸81を、軸穴46rhに嵌入して軸支する。
その際、シフトフォーク82を高低速切換シフタ部材63のシフトフォーク溝63vに嵌合し、シフトフォーク83を前後進切換シフタ部材66のシフトフォーク溝66vに嵌合する。
前後のシフトフォーク83とシフトフォーク82はコイルスプリング84に付勢されて大きく離れており、互いに付勢されたシフトフォーク82,83の係合ピン部82p,83pをそれぞれシフトドラム90の案内溝91f,91rに係合させてシフトドラム90を後側副変速機ケース42の所定の軸受凹部47rhに軸支させることが容易でなかったわけであるが、本シフトドラム90では、案内溝91f,91rに直交する作業溝91sを用いて以下のように簡単にシフトドラム90を後側副変速機ケース42に組付けることができる。
この位置からシフトドラム90を軸方向後方に移動してドラム支軸93を軸受凹部47rhに圧入されたベアリング47rのインナレースに圧入してシフトドラム90を所定位置に軸支することができる(図12の2点鎖線参照)。
以上のシフトドラム90を後側副変速機ケース42に軸支する組付け作業は、熟練作業者でなくとも容易にできる。
1…不整地走行用車両、2…前輪、3…後輪、4…、5…車体フレーム、6…前ドライブシャフト、7…前ファイナルリダクションギヤユニット、8…後ドライブシャフト、9…後ファイナルリダクションギヤユニット、
10…、11…前シート、12…後シート、14…ステアリングコラム、15…操舵ハンドル、16…ルーフ、
20…動力伝達装置、21…クランク軸、22…クランクケース、23…シリンダブロック、24…シリンダヘッド、25…シリンダヘッドカバー、26…ピストン、27…コンロッド、28…プライマリ駆動歯車、29…プライマリ従動歯車、
30…ツインクラッチ、30a…第1クラッチ、30b…第2クラッチ、31…メイン軸、32…カウンタ軸、33…シフトフォーク、34…シフトドラム、35…変速用モータ、36…減速歯車機構、37…シフトスピンドル、38…間欠送り機構、39…主変速機出力歯車、
41…前側副変速機ケース、42…後側副変速機ケース、
50…副変速機入力歯車、51…ダンパ軸、52…カム式トルクダンパ、53…カム部材、54…カムフォロワ歯車部材、55…コイルスプリング、57…中間円筒歯車部材、57a…大径アイドル歯車、57b…小径アイドル歯車、
60…駆動軸入力歯車、61…変速駆動軸、62…高速駆動歯車、63…高低速切換シフタ部材、64H,64L…クラッチ受部材、65…低速駆動歯車、66…前後進切換シフタ部材、67R…クラッチ受部材、68…リバース用駆動歯車、69…パーキング用歯車、
71…変速従動軸(出力軸)、72…高速従動歯車、74…カラー部材、75…低速従動歯車、
80…変速駆動機構、81…シフトフォーク軸、82,83…シフトフォーク、82p,83p…係合ピン部、84…コイルスプリング、
90…シフトドラム、91…ドラム本体、91f,91r…案内溝、91s…作業溝、92…ドラム支軸、93…ドラム支軸、94…ピン部材、95…シフトドラム入力歯車、96…シフトポジションセンサ、
101…シフトスピンドル、102…ギヤシフトアーム、110…パーキング機構、111…パーキング作動アーム、112…ローラ、113…トーションスプリング、114…、115…レバー支軸、116…パーキング係止レバー、117…トーションスプリング、118…ストッパ。
Claims (3)
- 円筒状をしたドラム本体(91)の両側にそれぞれドラム端壁(92w,93w)からドラム支軸(92,93)を両外側に突出させて構成されたシフトドラム(90)の回動により前記ドラム本体(91)の外周面に周方向に形成された案内溝(91f,91r)に案内されてシフトフォーク軸(81)上を軸方向に移動するシフトフォーク(82,83)が、変速歯車(62,65,68)を軸支する動力伝達回転軸(61)上のシフタ部材(63,66)を摺動させて変速を行うドラム式変速機(Ts)のシフトドラム構造において、
前記シフトドラム(90)は、前記ドラム本体(91)の外周面に前記案内溝(91f,91r)と直交する軸方向に指向して作業溝(91s)が一方の端面から他方の端面または他方の端面の近傍の前記案内溝(91f,91r)まで形成され、
少なくとも一方の前記ドラム端壁(92w,93w)は、前記作業溝(91s)の一方の端面の開口を閉塞しないことを特徴とするドラム式変速機のシフトドラム構造。 - 前記ドラム式変速機(Ts)は、軸方向に半割りに構成された一対の変速機ケース(41,42)に覆われ、
前記動力伝達回転軸(61)の両端部が、一対の前記変速機ケース(41,42)の所定の各軸受部(44fh,44rh)にそれぞれ軸支され、
前記シフトフォーク軸(81)の両端部が、一対の前記変速機ケース(41,42)の所定の軸穴(46fh,46rh)にそれぞれ軸支され、
前記シフトドラム(90)の両端のドラム支軸(92,93)が、一対の前記変速機ケース(41,42)の所定の各軸受部(47fh,47rh)にそれぞれ軸支されることを特徴とする請求項1記載のドラム式変速機のシフトドラム構造。 - 前記シフトフォーク軸(81)には、前記シフトフォーク(82,83)が複数軸方向に移動自在に軸支され、各シフトフォーク(82,83)がばね(84)により軸方向に付勢されることを特徴とする請求項2記載のドラム式変速機のシフトドラム構造。
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