次に、発明の実施の形態を説明する。図1において、トラクタの全体構成から説明する。本機の前後に前輪1及び後輪2を支承し、前部のボンネット6内部にはエンジン5を配置し、該ボンネット6の後方にはステアリングハンドル10を設けており、上記ステアリングハンドル10の後方にはシート11を配設している。また、シート11の側部には主変速レバー3が突設される。
また、エンジン5の後部にクラッチハウジング7が配置され、該クラッチハウジング7の後部にミッションケース9を配設し、エンジン5からの動力を後輪2に伝達して駆動し、さらにミッションケース9より伝動装置を介して前輪1にも同時に駆動力を伝達することを可能としている。
また、エンジン5の駆動力はミッションケース9後端から突出したPTO軸15に伝達されて、該PTO軸15からユニバーサルジョイント等を介して機体後端に配置した作業機装着装置を介して装着した作業機を駆動するように構成している。また、ミッションケース9上部には油圧ケース73が載置され、該油圧ケース73内にシリンダを収納して作業機装着装置のリフトアーム74を回動可能として作業機を昇降可能としている。該油圧ケース73には制御バルブが付設されて、作業機の昇降制御を可能とし、更に、水平制御装置を付設して作業機の水平制御も可能としている。また、ミッションケース9には外部取出用の油圧バルブを仕様に合わせて取り付けられるようにし、フロント作業機やミッドマウント作業機を駆動したり昇降したりできるようにしている。そして、前記シート11前下方のステップ上には仕様に応じてクラッチペダル16を配置できるようにし、さらに図示しないブレーキペダルが配設されている。
そして、本発明のトランスミッションは、共通のクラッチハウジング7とミッションケース9に異なる種類の伝動ユニットを装着したセンタプレート12(または131・141)を挟むように取り付けている。この伝動ユニットとしては歯車式主変速装置35またはHST式変速装置130、前後進切換装置(以下リバーサ)50、副変速装置30、前輪駆動装置75、PTO変速装置80等があり、これらを仕様に合わせてセンタプレート12に取り付けてクラッチハウジング7及びミッションケース9に取り付け、更に、仕様に合わせたPTOクラッチ装置18やPTO減速装置110やミッドPTO装置111等を取り付けるようにして、コスト低減化を図っている。
これら伝動ユニットは仕様により取り付けたり、外したり、部品を交換したりするが、その配置位置は、図2に示すように、クラッチハウジング7において、エンジン5の後部には主クラッチ21またはダンパー22が配置され、センタプレート12(または131・141)の前面にはHST式変速装置130または前後進切換装置(リバーサ)50が配置される。
ミッションケース9は左右方向に設ける壁部9aと後壁部9bによって前後に第一の部屋R1と第二の部屋R2と第三の部屋R3に仕切られる。該第一の部屋R1内に主変速装置35、副変速装置30、前輪駆動装置75、PTO変速装置80、ミッドPTO装置111が配置される。第二の部屋R2内にはPTOクラッチ装置18、デフ装置64が配置され、第三の部屋R3内にPTO減速装置110または後PTO変速装置127が配置される。
具体的仕様としては、図3に示すように、前後進切換装置付き歯車式主変速装置仕様(a)、前後進切換装置無し歯車式主変速装置仕様(b)、HST式変速装置仕様(c)、HST式草刈機仕様(d)がある。前後進切換装置付き歯車式主変速装置仕様(a)の場合、図3、図4に示すように、クラッチハウジング7内に主クラッチ21と前後進切換装置50を配置し、ミッションケース9内に歯車式主変速装置35と副変速装置30と前輪駆動装置75とPTO変速装置80とPTO減速装置110とデフ装置64を収納する。この場合、歯車式主変速装置35は前進4段、副変速装置30は2段、PTO変速装置80は逆転付き3段、PTO減速装置110は1段である。前輪駆動装置75は前輪駆動クラッチ72と前輪増速クラッチ71より構成される。
前後進切換装置無し歯車式主変速装置仕様(b)の場合、図3、図18に示すように、クラッチハウジング7内に主クラッチ21を配置し、ミッションケース9内に歯車式主変速装置35’と副変速装置30’と前輪駆動クラッチ72とPTO変速装置80’とPTO減速装置110とデフ装置64を収納する。この場合、歯車式主変速装置4’は前進3段と後進1段、副変速装置30’は3段、PTO変速装置80’は逆転なしの3段、PTO減速装置110は1段である。
HST式変速装置仕様(c)の場合、図3、図14に示すように、クラッチハウジング7内に主クラッチ21と、HST式変速装置130を配置し、ミッションケース9内に副変速装置30’と前輪駆動クラッチ72と前輪増速クラッチ71とPTO変速装置80とPTO減速装置110とデフ装置64を収納する。この場合、副変速装置30’は3段、PTO変速装置80は逆転付き3段、PTO減速装置110は1段である。
HST式草刈機仕様の場合、図3、図15に示すように、クラッチハウジング7内に主クラッチ21またはダンパー22と、HST式変速装置130を配置し、ミッションケース9内に副変速装置30’と前輪駆動クラッチ72と前輪増速クラッチ71とPTOクラッチ装置18と後PTO変速装置127とミッドPTO装置111とデフ装置64を収納する。この場合、副変速装置30’は3段、後PTO変速装置127は高低2段である。
但し、上記仕様は一例であって限定するものではなく、更に、前後進切換装置無し歯車式主変速装置仕様でPTOクラッチ装置を取り付けたり、後PTO変速装置127を取り付けたり等の伝動ユニットを取り付けたり外したりして仕様の変更は容易にできるようにしている。そして、前記仕様に共通の部材としては、クラッチハウジング7及びミッションケース9に加えて、後カバー8、油圧ケース73、リアアクスルケース177も共用される。
次に、本発明のトランスミッションの具体的構成について説明する。まず、前後進切換装置付き歯車選択式主変速装置35を取り付けたトランスミッションの構成から説明する。図4において、前記クラッチハウジング7の前部内には摩擦式の主クラッチ21が収納され、前記クラッチペダル16に連係されて、クラッチペダル16の操作によって主クラッチ21を断接することができる。クラッチハウジング7の後部内には後述する前後進切換装置50が収納され、仕様によっては、前後進切換装置50無しとしたり、前後進切換装置50の代わりにHST式変速装置130が収納される。
前記クラッチハウジング7の後端にはセンタプレート12を介してミッションケース9の前端が固設される。該ミッションケース9の構成は筒状に構成されて、前後中央と後部に左右垂直面の壁部9aと後壁部9bを形成して、ミッションケース9内を前より第一の部屋R1と第二の部屋R2と第三の部屋R3に仕切られている。該第一の部屋R1内には主変速装置35と副変速装置30とPTO変速装置80と前輪駆動装置75が収納され、第二の部屋R2内には後輪デフ装置64が収納され、第三の部屋R3内にはPTO減速装置110が収納される。
そして、前記エンジン5の出力軸(クランク軸)の回転がフライホイル20を介して主クラッチ21に入力され、該主クラッチ21の出力軸23は機体後方に延出され、その後端の同一軸心延長上にPTO変速軸13の前端が相対回転自在に嵌合されている。また、前記壁部9aとセンタプレート12の間にPTO変速軸13、伝動軸24、主変速軸25、副変速軸26が軸受を介して回転自在に横架され、前輪伝達軸14がセンタプレート12と図示しないミッションケース9の支持部との間に軸受を介して回転自在に支持されている。
つまり、センタプレート12に、PTO変速装置80を装着したPTO変速軸13、前後進切換装置50や従動歯車を装着した伝動軸24、主変速装置35を装着した主変速軸25、副変速装置30を装着した副変速軸26、前輪駆動装置75を装着した前輪伝達軸14をそれぞれ組み付けて、これを前後進切換装置付き歯車選択式主変速装置仕様ユニットとして、クラッチハウジング7とミッションケース9に取り付けられるようにしているのである。
次に、主変速装置35について図5より説明する。前記出力軸23の後端にはギア23aが形設され、該ギア23aはパイプ軸17上に固設した伝達四速歯車34と噛合しており、該パイプ軸17は伝動軸24上に遊嵌されている。該パイプ軸17上には更に伝達一速歯車31、伝達二速歯車32、伝達三速歯車33が固設されている。該伝達一速歯車31、伝達二速歯車32、伝達三速歯車33、伝達四速歯車34は主変速軸25上に遊嵌された主変速一速歯車41、主変速二速歯車42、主変速三速歯車43、主変速四速歯車44にそれぞれ噛合して動力が伝達されるようにしている。
そして、前記主変速二速歯車42と主変速四速歯車44の間の主変速軸25上にはスプラインカラー45が固設され、主変速一速歯車41と主変速三速歯車43の間の主変速軸25上にはスプラインカラー46が固設され、該スプラインカラー45上にはスライダ47が外嵌され、スプラインカラー46上にはスライダ48が外嵌されている。該スライダ47・48はシフトフォークやシフター等を介して主変速レバー3と連結され、該主変速レバー3の操作によって、1速の時はスライダ48を摺動して主変速一速歯車41の小歯車41aとスプラインカラー46に跨がって噛合させて一速の回転を主変速軸25に伝え、同様に、2速の時はスライダ47を主変速二速歯車42の小歯車42aとスプラインカラー45上に位置させる。3速の時はスライダ48を主変速三速歯車43の小歯車43aとスプラインカラー46上に位置させる。4速の時はスライダ47を主変速四速歯車44の小歯車44aとスプラインカラー45上に位置させる。こうして出力軸23からパイプ軸17上の歯車を介して主変速軸25に動力を伝えることができるのである。このようにして歯車選択式(歯車摺動式)の主変速装置35が構成される。
そして、図6に示すように、前記伝動軸24及び主変速軸25はセンタプレート12を貫通して前方に延長されて、この延長部分に前後進切換装置50が構成されている。該前後進切換装置50はカバー体27内に収納され、該カバー体27はセンタプレート12の前部に固設されて、クラッチハウジング7内に収納されている。そして、前記伝動軸24及び主変速軸25の前端が軸受を介してカバー体27に回転自在に支持されている。前後進切換装置50は伝動軸24の前部上に軸受を介して前進歯車51と後進歯車52が回転自在に遊嵌され、該前進歯車51は主変速軸25上に固設した歯車55と常時噛合され、後進歯車52は図示しないカウンター歯車を介して歯車56と常時噛合されて逆回転を伝えられるようにしている。
また、前記前進歯車51と後進歯車52の間の伝動軸24上にハブ53が固設されて、該前進歯車51と後進歯車52とハブ53の間にシンクロメッシュ機構が構成されて、シンクロナイザスリーブ54をシフトフォークやリンク等を介してリバーサレバーと連動連結して、該リバーサレバーを操作することによってシンクロナイザスリーブ54をを摺動させて、前進歯車51のまたは後進歯車52の小歯車と噛合させて前後進を切り換えられるようにしている。こうして、主変速軸25から前後進切換装置50を介して伝動軸24に動力を伝えられるようにしている。ただし、リバーサレバーがニュートラル位置の場合は、エンジン5からの回転は両歯車51・52のいずれにも伝達されない。
次に、副変速装置30の構成を説明する。図5に示すように、伝動軸24の後部には伝達歯車60・61が固設され、あるいは伝動軸24と歯車が一体的に構成されている。一方、前記副変速軸26上には高速歯車62が遊嵌されて前記伝達歯車61と常時噛合され、更に、副変速軸26上に摺動歯車63がスプライン嵌合されて、該摺動歯車63はシフター等を介して副変速レバーと連動連結されている。
該副変速レバーを操作して摺動歯車63を摺動して、該摺動歯車63の大径歯63aを前記伝達歯車60と噛合させることによって低速回転を副変速軸26に伝え、摺動歯車63の内歯63bを高速歯車62の小歯車62aと噛合させることにより、高速回転を副変速軸26に伝えることができる。このようにして副変速装置30が構成されている。
また、副変速装置30は高低2段の変速であるが、仕様によっては図17に示すように、3段の副変速装置30’とすることもできる。この実施例では主変速がHST式変速装置仕様で、HST式変速装置130のモータ軸となる出力軸136は後方へ突出されて伝動軸137の前端に連結され、該伝動軸137上に伝達歯車160・161・162が固設され、一方、副変速軸26上に高速歯車163と低速歯車164を回転自在に遊嵌し、それぞれ前記伝達歯車160と伝達歯車162と常時噛合させ、高速歯車163と低速歯車164の間の副変速軸26上には摺動歯車165をスプライン嵌合し、高速歯車163と低速歯車164の摺動歯車165側にはそれぞれ小歯車163a・164aが形成されて摺動歯車165と噛合可能としている。
こうして、摺動歯車165を摺動させて小歯車163aと噛合させることにより高速回転を副変速軸26に伝え、同様に、伝達歯車161と噛合させることにより中速回転を、小歯車164aと噛合させることにより低速回転を副変速軸26に伝えることができるのである。このようにして3段の副変速を可能としている。 そして更に、副変速軸26の後端にはピニオン26aを形成して後輪デフ装置64に動力を伝え、また、副変速軸26上に伝動歯車65と増速歯車66を設けて前記同様に前輪伝動系に動力を伝達可能としている。
また、伝動軸24と副変速軸26の後部間にはクリープ変速装置57を構成可能とされている。即ち、図5、図7、図21に示すように、クリープ変速装置57は支持体59にクリープ変速軸36とカウンター軸38が回転自在に横架支持されて、該カウンター軸38には伝達歯車37と歯車39が固設され、クリープ変速軸36上には二連の歯車40が遊嵌され、歯車39は歯車40と常時噛合している。
このクリープ変速装置57はミッションケース9の側面に開口した開口部9cより挿入して固定し、前記伝達歯車37は前記伝達歯車60と常時噛合させて、二連歯車40他方の歯車は前記摺動歯車63の摺動により大径歯63aと噛合可能とするのである。このような構成において、摺動歯車63を歯車40と噛合させることによってクリープ変速が可能となり、伝動軸24から伝達歯車60→伝達歯車37→カウンター軸38→歯車39→歯車40→摺動歯車63と伝えられて減速され、副変速軸26に動力を伝えられるようにしている。
前記ミッションケース9後部の第二の部屋R2内には後輪デフ装置64が配置され、前記副変速装置30で変速された後の動力が副変速軸26の後端に形成したピニオン26aよりデフ装置64のリングギヤ70に伝達される。該デフ装置64は、図20に示すように、デフケース171外周にリングギヤ70を固設し、該デフケース171内にデフピニオン171とデフサイドギヤ172を互いに噛合させて収納している。該デフサイドギヤ172・172はデフヨーク軸173・173の一端上に固設し、該デフヨーク軸173・173の他側には減速ギヤ174・174を固設し、ブレーキディスク175・175・・・を嵌合している。該デフヨーク軸173・173はミッションケース9と該ミッションケース9の側面に固設したリアアクスルケース177・177に軸受を介して回転自在に支持されている。
前記ブレーキディスク175・175・・・はリアアクスルケース177に嵌合した摩擦板とが交互に配置されて、ブレーキペダルの操作で作動されるカムによりブレーキディスク175・175・・・と摩擦板が圧接されて制動できるようにしている。
また、前記リアアクスルケース177・177に後輪車軸179・179が回転自在にデフヨーク軸173・173と平行に横架され、該後輪車軸179・179の内側端に大径歯車176・176が固設されて、前記減速ギヤ174・174と噛合され、外側端に後輪2・2が固設されるのである。このようにして、デフ装置64に伝えられた動力はデフヨーク軸173・173、減速ギヤ174・174、大径歯車176・176、後輪車軸179・179へと伝えられて、後輪2・2を駆動できるようにしている。なお、前記リアアクスルケース177はクラッチハウジング7、ミッションケース9と共に後述する各仕様において共通としている。しかし、後輪車軸179・179は通常短い車軸179(L1)を装着しているが、後述するHST式草刈機仕様の場合において、図20上側に示す長い車軸179’(L2:L2>L1)が装着されて、幅広くして幅広のタイヤを装着して安定した走行を可能としている。
また、図8に示すように、前記副変速軸26の前部上には伝動歯車65と増速歯車66が固設され、ミッションケース9下部内の前輪伝動軸14上には前輪駆動装置75が配置されている。該前輪駆動装置75は図8の実施例では前輪増速クラッチ71と前輪駆動クラッチ72より構成しているが、仕様によっては前輪駆動クラッチ72のみにより構成される。
前記伝動歯車65と増速歯車66はそれぞれ前輪伝動軸14上に軸受を介して遊嵌した歯車67・68と常時噛合され、前輪伝動軸14上に設けたクラッチケース69と歯車67・68の間に油圧作動式の前輪増速クラッチ71と前輪駆動クラッチ72が構成されている。そして、前記前輪伝動軸14の前端はクラッチハウジング7より前方に突出され、ユニバーサルジョイントや伝動軸等を介してフロントアクスルケース内の前輪駆動手段に動力を伝達して前輪1を駆動できるようにしている。
該前輪駆動クラッチ72は運転部の2WD/4WD切換操作具の操作で電磁バルブを切り換えてON・OFFでき、作業時には4輪駆動とし、路上走行等では2輪駆動に切り換える等の操作ができる。また、前輪増速クラッチ71はステアリングハンドル10を設定角度以上回転するとONするように構成しており、ステアリングハンドル10には回動角を検知する手段を配置して電磁バルブと接続され、回行時等ステアリングハンドル10を設定角度以上回転すると前輪増速クラッチ71が作動して前輪1を速く回転させて圃場面を荒らさずに旋回できるようにしている。なお、増速歯車66と歯車68の歯数を変更することによって増速比を変更することができ、仕様によって前輪1の回転速度が変更される。
次に、PTO伝動系について説明する。図5に示すように、前記出力軸23の後部とPTO変速軸13の前部との間にPTO変速装置80が設けられ、該PTO変速軸13前部上にPTO1速歯車81とPTO2速歯車82が遊嵌され、該PTO1速歯車81は前記伝達二速歯車32と、PTO2速歯車82は伝達三速歯車33とそれぞれ常時噛合され、また、出力軸23の後端上には小歯車23bを形成し、PTO1速歯車81にも小歯車81aを形成している。一方、PTO変速軸13の前部上にはスプライン13cを形成してスライダ83をスプライン嵌合し、該スライダ83を摺動して小歯車23bと小歯車81aに噛合可能とし、また、PTO変速軸13上に固設したスプラインカラー84上にスライダ85をスプライン嵌合して、前記PTO2速歯車82に形成した小歯車82aと噛合可能としている。
更に、スプラインカラー84の後部には逆転PTO歯車86が遊嵌され、該逆転PTO歯車86には小歯車86aを形成して前記スライダ85を噛合可能に構成している。そして、該逆転PTO歯車86と前記伝達一速歯車31の側方のミッションケース9の側面には図示しない開口部が設けられ、図22に示すように、逆転軸89を支持体88の先端部に固定し、該逆転軸89上にカウンター歯車87を回転自在に支持し、該支持体88を前記開口部より挿入してミッションケース9側面に固定して開口部を閉じ、カウンター歯車87を逆転PTO歯車86と前記伝達一速歯車31に噛合させている。
このような構成において、図示しないPTO変速レバーを操作して、スライダ83を摺動して小歯車81aと噛合させることによって、PTO1速に変速することができ、出力軸23からギア23a→伝達四速歯車34→パイプ軸17→伝達二速歯車32→PTO1速歯車81→小歯車81a→スライダ83→PTO変速軸13と動力を伝達できるのである。同様に、スライダ85を小歯車82aと噛合させることによってPTO2速に変速できて、PTO変速軸13に動力を伝達できる。また、スライダ83を小歯車23bと噛合させることによってPTO3速に変速でき、出力軸23から直接PTO変速軸13に動力を伝達することができる。
そして更に、スライダ85を小歯車86aと噛合させることによって、PTO逆転速とすることができ、出力軸23からギア23a→伝達四速歯車34→パイプ軸17→伝達一速歯車31→カウンター歯車87→逆転PTO歯車86→スライダ85→スプラインカラー84を介してPTO変速軸13に動力を伝達して、逆回転の動力を伝達できるのである。但し、逆転PTOを設けない仕様とすることもでき、この場合は、支持体88を外して蓋体で閉じる。なお、逆転PTOを後付けする構成とすることも可能である。
そして、前記PTO変速軸13は前軸13aと後軸13bからなり、同一軸心上に配設され、前軸13aは出力軸23後部と壁部9aに軸受を介して回転自在に支持され、後軸13bの前部は前軸13aの後部にジョイントを介して同一軸心上に配置されて、図9に示すように、後軸13bの後部は後壁部9bと後カバー8に軸受を介して回転自在に支持されている。第三の部屋R3内にはPTO減速装置110が収納され、図9の実施例では1段の減速として、後軸13bの後部上に小径歯車123を固設し、PTO軸15上に固設した大径歯車124と噛合させて、PTO軸15に減速して動力を伝達できるようにしている。
また、PTO軸15に動力を伝達する場合、前記主クラッチ21により動力を断接できる仕様と、PTO軸15は単独でON・OFFできる(独立している)仕様(後述する)とに変更することが可能であり、主クラッチ21により断接できる場合は図6に示す前述の実施例であり、出力軸23を一本のシャフトとしてその前端はフライホィール20に相対回転自在に連結し、主クラッチ21の作動でフライホィール20から出力軸23に動力が伝達され、後端はその延長上にPTO変速軸13の前端が相対回転自在に連結されている。
そして、単独でON・OFFできるようにする仕様の場合には、図10に示すように、PTO伝動上流側にPTOクラッチ装置18を設けている。つまり、PTO変速軸13(前軸13a)後端にボス体90を介してPTO伝動軸29を同一軸心上に連設して、該PTO伝動軸29上にPTOクラッチ装置18を設けて、動力の断接とPTO軸15の制動を可能としている。PTO伝動軸29の後部はPTO減速装置110または後PTO変速装置127に連動連結される。
該PTOクラッチ装置18はPTOクラッチ78とPTOブレーキ79よりなり、壁部9aの部分において前記ボス体90の前端が軸受に回転自在に支持され、該ボス体90の後部にPTO伝動軸29を軸受を介して回転自在に支持し、該PTO伝動軸29の前部上にはクラッチケース91が固定され、該クラッチケース91前部とボス体90後部との間に摩擦板92・93・・・が交互に介装されて、該摩擦板92・93・・・はクラッチケース91内に収納したピストン94がシート11(運転部)近傍に配置したPTOクラッチレバー77の操作で押されることによって圧接して動力を伝達できるようにしている。こうしてPTOクラッチ78が構成される。
また、該クラッチケース91の後部外周とミッションケース9の間にも摩擦板95・96・・・が介装され、PTOブレーキ79を構成している。また、ピストン94前端とクラッチケース91の間にはバネ97が介装されてPTOクラッチが断となるように付勢し、ピストン94とピストン94後部に摺動自在に外嵌した受体99との間にバネ98が介装されてPTOブレーキを制動できるようにしている。ただし、バネ97のバネ力はバネ98よりも大きくなるように設定されている。そして、受体99の後部にベアリングを介して当接体100がPTO伝動軸29上に回転自在に配置され、該当接体100は操作具となるPTOクラッチレバー77に連設されるアーム101に当接されている。
このように構成することで、PTOクラッチ78とPTOブレーキ79が一つのユニットとして構成され、これらの操作系が集約さて一つのPTOクラッチレバー77を操作するだけで、アーム101等を介してピストン94が移動されて、PTOクラッチの断接とPTOブレーキON/OFFを操作することができるようにしている。そして、PTOクラッチレバー77の操作部には、PTO「入」(PTOブレーキOFF)位置と、PTOクラッチ「切」かつPTOブレーキOFF、即ち、中立位置と、PTOブレーキON(PTOクラッチ「切」)位置、つまりブレーキ位置が設けられている。
また、このPTOクラッチ装置18は、図12、図15に示すように、第二の部屋R2内の前記デフ装置64の上方に配置されている。つまり、ミッションケース9内の第二の部屋R2の上方の空いた空間を有効に利用してPTOクラッチ装置18を配置し、該第二の部屋R2の上方には図1に示すように、PTOクラッチレバー77が配置されており、該PTOクラッチレバー77とPTOクラッチ装置18との距離はできるだけ短くすることができ、リンク等を短くできて、誤差も小さくすることができ、構成も簡単とすることができるのである。
このような構成において、PTOクラッチレバー77をPTOブレーキON位置、つまりPTO軸15を駆動しないブレーキ位置状態のときには、バネ97の付勢力により摩擦板92・93は離れて出力軸23の回転はPTO伝動軸29に伝えられず、一方、摩擦板95・96・・・は圧接されてPTO伝動軸29は制動されて回転止められ、作業機が意図せず駆動されないようにしている。
そして、PTO中立位置では、アーム101が回動されて、当接体100、受体99を介してピストン94が押され、摩擦板95・96・・・の圧接が解除されて、PTO伝動軸29がフリーとなり、PTO軸15も回転自在となり、PTO軸15と作業機の入力軸をジョイント等で連結するときには、PTO軸15が容易に回転できて、連結が容易にできるようにしている。また、PTOクラッチレバーをPTO「入」位置とすると、アーム101が回動されて、当接体100、受体99を介してピストン94が押され、摩擦板95・96・・・の圧接が解除されて、クラッチケース91は回転自在となり、摩擦板92・93は圧接されてボス体90とクラッチケース91が一体的に回転されるようになり出力軸23からPTO伝動軸29に動力が伝えられるようになるのである。
また、第三の部屋R3内のPTO減速装置110は、図11に示すように、仕様によって付け替えて、高低2段に切り換えられる後PTO変速装置127とすることができる。即ち、後PTO変速装置127はPTO後軸13bまたはPTO伝動軸29の後端に高速歯車104と低速歯車105が固設され、該高速歯車104と低速歯車105はそれぞれPTO軸15上に遊嵌した従動歯車106・107と噛合され、該従動歯車106・107にはそれぞれ小歯車106a・107aが設けられ、該小歯車107a・107bの間のPTO軸15上にはスプラインカラー108を介してスライダ109が設けられている。従って、該スライダ109を摺動させて、小歯車106a・107aのいずれかと噛合させることによって、高低変速ができるようにしている。
そして更に、ミッドPTO装置111を装着して駆動することもできる。即ち、図11、図12に示すように、PTO軸15下方の後壁部9bと後カバー8の間に軸受を介してカウンター軸112が回転自在に支持され、該カウンター軸112上にはカウンター歯車114が固設されて前記従動歯車107と常時噛合されている。該カウンター歯車114は更にミッドPTO伝動軸113後部に固設した歯車115と噛合されている。
該ミッドPTO伝動軸113の後端は軸受を介して後カバー8に回転自在に支持され、前端はミッドPTOケース116に軸受を介して回転自在に支持される。該ミッドPTOケース116は図13に示すように、平面図視略凸型として、入力軸支持部116aをミッションケース9内に挿入でき、他の部分をミッションケース9側面に固設してミッドPTO軸120を支持する構成としている。
つまり、図8に示すように、ミッションケース9内の前記前輪駆動装置75を収納した後部位置で、副変速装置30の斜め下方位置に、前記ミッドPTOケース116の入力軸支持部116aを挿入して配置できるように、ミッションケース9の側面には挿入孔9dが開口されている。つまり、ミッドPTOケース116はミッションケース9の側面から着脱可能とし、ミッドPTO装置111を設けない仕様の場合には挿入孔9dを蓋体等で閉じるのである。また、図12、図15に示すように、第二の部屋R2内においてミッドPTO伝動軸113はデフ装置64の下側部を通過して干渉しないように配置し、該ミッドPTO伝動軸113の前端は第一の部屋R1内に挿入して、前記入力軸支持部116aで軸受を介して回転自在に支持している。
前記ミッドPTOケース116には図7、図13に示すように、前後水平方向にミッドPTO伝動軸113、中間軸117、ミッドPTO軸120を支持し、ミッドPTO伝動軸113前端には歯車118を固設し、中間軸117上に遊嵌した中間歯車119と噛合し、該中間歯車119はミッドPTO軸120後部上に遊嵌した歯車121と噛合させている。そして、ミッドPTO軸120上にはスライダ122がスプライン嵌合され、該スライダ122を摺動させることによって、歯車121に形成した小歯車121aと噛合可能とし、PTO軸15からミッドPTO軸120に動力を伝達可能としている。
前記スライダ122はシフタフォーク125を介して操作軸126と連結され、該操作軸126はミッドPTOケース116より外部に突出されて、直接または運転部より遠隔操作できるようにしている。このようにしてミッドPTO装置111の動力伝達入り切り装置を構成している。そして、該ミッドPTO軸120の前端はミッドPTOケース116より前方に突出してユニバーサルジョイント等を介してミッドマウント作業機を駆動可能としている。
このように、ミッドPTO装置111のミッドPTO伝動軸113はミッションケース9内の前輪駆動装置75後部の副変速装置30の下方に延設され、動力伝達入り切り装置はミッションケース9の側面に配置されて、ミッドPTO軸120が前方に突出される。こうして、ミッドPTO軸120の動力の入り切りは、操作軸126の回動だけでなく、前記PTOクラッチ装置80でも断接可能となり、PTOクラッチレバー77の操作でミッドPTO軸120及びPTO軸15を同時に動力の入り切り操作ができるのである。
そして、ミッドPTO軸120はミッションケース9の側面に配置されるので、従来ミッションケース9の下面より前方へ突出した構成に比べて高い位置に配置することができて、最低地上高を挙げることができ、また、ミッドPTO軸120はミッションケース9の前面よりも後方に位置するためはに、ミッドマウント作業機に動力を伝達する伝動軸とミッドPTO軸120の折れ角も小さくすることができるのである。
次に、主変速装置35を歯車選択式に代えてHST式変速装置130とした場合について説明する。図14、図15に示すように、クラッチハウジング7前部内には主クラッチ21またはダンパー22が配置され、前記センタプレート131にHST式変速装置130を付設して前記クラッチハウジング7の後部内にHST式変速装置130が収納される。具体的には、主クラッチ21を装着した場合には図14に示すように、ポンプ軸135の延長上にPTO変速軸13を連設してPTO変速装置80を配置し、主クラッチ21を断とすることで変速して、その後にPTO減速装置110に動力を伝達する。
また、ダンパー22を設ける場合には、図15に示すように、出力軸23の後端にポンプ軸135が直結されて後方に延長され、PTOクラッチ装置18に入力される。そして、PTOクラッチ装置18の出力軸となるPTO伝動軸29から後PTO変速装置127に入力されて変速後にPTO軸15に動力が伝達される。つまり、主クラッチ21とした場合にはPTO変速装置80で変速し、ダンパー22とした場合にはPTOクラッチ装置18で動力を断接して後PTO変速装置127を変速できるようにしているのである。
前記HST式変速装置130は可変容積型の油圧ポンプを上側に、固定容積型の油圧モータを下側にそれぞれセンタプレート131の前面に取り付けてHSTケース132内に収納している。つまり、主変速装置をHST式変速装置130としたために前記センタプレート12の代わりに油路を形成したセンタプレート131に取り付ける。該センタプレート131は油路を形成しているのでセンタセクションと兼用されて、部品点数を削減してコスト低減化を図っているのである。
また、HST式変速装置130は図16に示すように、センタプレート131に傾斜して取り付けられる。つまり、クラッチハウジング7内においてHST式変速装置130のポンプ軸135と出力軸136を結ぶ線が、ポンプ軸135を略中心として鉛直方向に対して角度α左右方向(反変速軸側)に傾斜して収納されている。こうして、出力軸136がポンプ軸135の鉛直下方に配置した構成よりもHST式変速装置130の下端の高さが上がることになり、前輪伝動軸14等も上方に上げることができて最低地上高を上げることができるのである。
更に、前記油圧ポンプの可動斜板を傾倒させて変速するための変速軸133がHSTケース132より斜め下側方に突出し、該変速軸133上に変速アーム134を固設している。こうして、HST式変速装置130を傾斜配置することによって、HSTケース132とクラッチハウジング7内面との間の下方に形成される空間内に該変速軸133と変速アーム134を収納している。そして、該変速アーム134の下端に連結リンク129を連結して、該連結リンク129を前方へ延出して、クラッチハウジング7側面より外側に突出して変速操作具(主変速レバー3)に連結される。そして、図16は図14におけるX−X矢視断面図であり、図16における二点鎖線で示す断面は図14におけるY−Y矢視断面図であり、連結リンク129はクラッチハウジング7内に十分収納される位置に配置される。
このように変速軸133と変速アーム134をクラッチハウジング7内に収納することによって、HST式変速装置130の油圧ポンプのプランジャの往復動等によって発生する騒音が変速軸133に伝わるが、従来はクラッチハウジングより外側に変速軸を突出していたので、騒音が外側に直接漏れていた。しかし、本実施例では騒音の発生源となる部分をクラッチハウジング7内に閉じ込めることができたので、騒音の低減を図ることができたのである。そして、変速アーム134に連結される連結リンク129もクラッチハウジング7内に収納されるので、外部からの泥や塵埃等が付着することがなく、連結部における動作が不安定になることがなく、確実に回動力を伝えることができる。また、その連結部分において融通部分を構成する必要がなく、変速軸133の回動精度を高く保つことができて、変速も正確に行うことができる。
次に、主変速装置をHST式変速装置とし、PTO変速装置80を設けた仕様について説明する。図17において、PTO変速装置80は前述(図5)のPTO変速装置80と略同様に構成されて、正転3段、逆転1段の変速が可能としている。そして、HST式変速装置130及びセンタプレート131を貫通したポンプ軸135からPTO変速軸13に動力を伝達するために、ポンプ軸135とPTO変速軸13の間の同一軸心上に連結軸139を配置し、該連結軸139の後部に前記ギア23a、小歯車23bと同様に構成した小歯車139a・139bを形成している。そして、PTO変速軸13と平行に配置した伝動軸24’上に固設した伝達四速歯車34’を小歯車139aと噛合させて、スライダ83・85を摺動させて小歯車139b、PTO1速歯車81、PTO2速歯車82、逆転PTO歯車86の小歯車81a・82a・86aのいずれかと噛合させることによって、伝動軸24’上に固設した伝達一速歯車31’、伝達二速歯車32’、伝達三速歯車33’からPTO変速軸13に変速した動力を伝達できるようにしている。
また、クラッチハウジング7内に前後進切換装置50を設けずに、歯車摺動式の主変速装置35’で前後進を切り換える構成とすることもできる。即ち、図18、図19に示すように、主クラッチ21に出力軸23が連設され、該出力軸23の後端はセンタプレート141に軸受を介して回転自在に支持されている。なお、本実施例では出力軸23を前後に分割している。該入力軸23の後端にギア23aが形成され、該ギア23aは伝動軸142上に固設した伝動歯車143と噛合している。該伝動軸142は前述(図5)のパイプ軸17と伝動軸24を一つの軸としたものであり、該伝動軸142上に伝達一速歯車151、伝達二速歯車152、伝達三速歯車153、伝達後進速歯車144が回転自在に遊嵌され、各歯車151・152・153はそれぞれ主変速軸145上に遊嵌した主変速一速歯車154、主変速二速歯車155、主変速三速歯車156と噛合され、伝達後進速歯車144は図示しないカウンター歯車を介して主変速軸145上に遊嵌した主変速後進歯車146と噛合されている。
そして、主変速一速歯車154と主変速二速歯車155の間のスプラインカラー上にスライダ157がスプライン嵌合されて、該スライダ157を摺動させることにより、主変速一速歯車154と主変速二速歯車155に形成した小歯車154a・155aに噛合可能として前進1速または2速に変速でき、また、主変速三速歯車156と主変速後進歯車146の間のスプラインカラー上にスライダ158がスプライン嵌合されて、該スライダ158を摺動させることにより、主変速三速歯車156と主変速後進歯車146に形成した小歯車156a・146aに噛合可能として前進3速または後進速にそれぞれ変速できて、主変速装置を構成している。
図19における仕様の副変速装置30’と前輪駆動装置75の伝達構成は前述の図17で示す仕様と同じ構成としている。PTO変速装置80’は正転3段変速としており、PTO変速軸13上にPTO1速歯車171、PTO2速歯車172、PTO3速歯車173を遊嵌し、PTO1速歯車171は前記伝達一速歯車151と噛合し、PTO2速歯車172は伝達二速歯車152と噛合し、PTO3速歯車173は伝達三速歯車153とそれぞれ噛合して、PTO1速歯車171とPTO2速歯車172の間のスプラインカラー上にはスライダ174をスプライン嵌合し、PTO3速歯車173と出力軸23後端との間のスプラインカラー上にはスライダ175をスプライン嵌合している。こうして、スライダ174を摺動してPTO1速歯車171の小歯車171aまたは、PTO2速歯車172の小歯車172aと噛合させることによりPTO1速またはPTO2速に変速することができる。また、スライダ175をPTO3速歯車173の小歯車173aと噛合させることによりPTO3速に変速することができる。
また、図23に示すように、前後進切換装置50及びPTOクラッチ18付き歯車選択式主変速仕様とすることもできる。この場合、エンジン5からは二重の出力軸によりミッションケース9に動力が伝えられる。即ち、出力軸23’の前端はフライホイル20と直結され、出力軸23’の後部は壁部9aまで延長されて、ボス体90を介してPTOクラッチ装置18に入力され、該PTOクラッチ装置18の出力軸となるPTO伝動軸29の後部は後PTO変速装置127に入力される。このように構成することによって、エンジン5からPTO軸15への駆動力は主クラッチ21に関係なくPTOクラッチ装置18によって入り切りでき、後PTO変速装置127により変速できる。
また、前記出力軸23’の前部上にはパイプ軸102が回転自在に外嵌されて、該パイプ軸102の前端は主クラッチ21に係合され、該パイプ軸102の後端にはギヤ102aが形成されて、前記同様に主変速装置35を構成する伝達四速歯車34と噛合され、前記図5、図6に示す主変速装置35、前後進切換装置50、副変速装置30と略同様に構成されている。このようにして、エンジン5からの動力は主変速装置21によって断接でき、パイプ軸102からギヤ102a、伝達四速歯車34を介して図5、図6と同様に動力が伝達される。
以上のように、センタプレート12に仕様に合わせた主変速装置35やHST式変速装置130や前輪駆動装置75やPTO変速装置80やPTOクラッチ装置18や前後進切換装置50等の伝動ユニットを取り付けて、共通のクラッチハウジング7、ミッションケース9に挿入して組み付け、更に、仕様に合わせた主クラッチ21またはダンパー22やPTOクラッチ装置18やミッドPTO装置111やPTO減速装置110または後PTO変速装置127等を取り付けるようにしているのである。