JP3643502B2 - トラクターの変速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクターの変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラクターでフロントローダ作業などを行う場合、頻繁に前後進の切換を行う必要がある。そしてこの作業においては、作業性をよくするために、前進時と後進時の車速を略同速にするのが好ましい。このような仕様を満たすトラクターの変速装置として、例えば、特開平10−6792号公報に記載のシャトル変速装置を備えたものが公知である。
この従来のトラクタの変速装置は、エンジンからの動力を車輪に伝達する動力伝達装置において、車速を複数段に変速する主変速装置を備え、該主変速装置の入側または出側に前進と後進を切り換えるシャトル変速装置を設けて、前進時の車速と後進時の車速とを同速とするものであった。
【0003】
ところで、従来のトラクターには、前記シャトル変速装置を備えていないトラクターもある。
従って、シャトル変速装置を備えたものと備えないものとでは、仕様が異なるとして、別設計、別機種とされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のものでは、シャトル変速装置を備えたものと備えないものでは、別機種として取り扱われていたので、設計や製造及びメンテナンスにおいて、管理等が複雑になるものであった。
そこで、本発明は、シャトル変速装置を有するものも有しないものも、基本的には同じ仕様とし、シャトル変速装置を有しない仕様に対して、シャトル変速装置を単に追加するだけで、シャトル変速装置を有するトラクターとすることができるようにした、トラクターの変速装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は次の手段を講じた。即ち、本発明の特徴とするところは、エンジンからの動力を車輪に伝達する動力伝達経路において、車速を複数段に変速する主変速装置と、前進と後進が同数の変速段数となるシャトル変速装置とをミッションケース内に有し、且つ、前記エンジンからの動力が前記シャトル変速装置を介して前記主変速装置に伝達されるように構成されたトラクターの変速装置において、前記主変速装置は、互いに平行に配置された前進入力軸と後進入力軸とを有し、前記シャトル変速装置は、エンジン動力を前記前進入力軸に伝達し、または、バックギヤ列を介して前記後進入力軸に伝達する前後進切換クラッチを有し、前記主変速装置は、前記前進入力軸と同軸心に配置された変速出力軸と、前記後進入力軸に遊転自在に設けられた第1速ギヤと第2速ギヤと、前記後進入力軸に固定された第3速ギヤと第4速ギヤと、前記第1速ギヤと第2速ギヤとを前記後進入力軸に接続する第1,2速切換えクラッチと、前記第1,2速ギヤと常時噛合すべく前記変速出力軸に固定されたギヤと、前記第3速ギヤと常時噛合すべく前記変速出力軸に相対回転可能に外嵌されたギヤと、前記第4速ギヤと常時噛合すべく前記前進入力軸に形成されたギヤと、前記前進入力軸と前記第3速ギヤとを前記変速出力軸に接続する第3,4速切り換えクラッチとを有する点にある。
【0006】
前記構成を採用することにより、シャトル変速装置を有しないトラクターをシャトル変速装置を有するものにすることができる。
また、前記シャトル変速装置の前後進切換クラッチとバックギヤ列を、ギヤケース内に予め組み立て、該ギヤケースを、前記ミッションケースの隔壁に固定する構成を採用することにより、シャトル変速装置をサブアッセンブリーしたギヤケースをミッションケースに組み付けるだけで、シャトル変速装置を有しないトラクターをシャトル変速装置を有するものにすることができる。
なお、前記ギヤケースは、前後に分割されているのが好ましい。また、前記分割されたギヤケースは、前記シャトル変速装置を組み立てた後、一体化され、共通の取りつけボルトで、ミッションケースの隔壁に共締めされるのが望ましい。
【0007】
更に、前記ミッションケースは、前記エンジンからの動力を入り切りする主クラッチを収納するクラッチ室と前記主変速装置を収納するミッション室とを隔壁で区画してなり、前記ギヤケースは、前記クラッチ室に位置して前記隔壁に固定され、前記主クラッチとギヤケースとの間に主クラッチレリーズフォークが設けられ、該フォークは、主クラッチ側に向かって凸状となるよう湾曲成形されている。
このように構成することにより、主クラッチとギヤケース間の距離を短くでき、変速装置をコンパクト化できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図5,6に示すものは、本発明の実施の形態の一例とするトラクターの平面図と側面図である。トラクターは、前部にエンジン1を有し、該エンジン1の後部にミッションケース2が固定されて車体を構成している。前記車体は、前輪3と後輪4により支持され、エンジン1は、ボンネット5で被覆され、該ボンネット5の後部には計器パネル6と操行ハンドル装置7が設けられている。前記後輪4はフェンダー8で被覆され、左右のフェンダー8間に操縦席9が設けられている。車体の後端面には、PTO軸(動力取出軸)10が突出している。
【0009】
前記ミッションケース2内には、エンジン1の動力を後輪4や前輪3、及びPTO軸10に伝達する動力伝達装置が設けられ、該装置中に変速装置が設けられている。
前記計器パネル6の下方には、主クラッチの入り切り操作を行うクラッチペダル11が吊り下げ式に前後方向揺動自在に枢支されている。操行ハンドル装置7と操縦席9の間のミッションケース2の上面には、主変速操作レバー12が設けられ、操行ハンドル装置7には、シャトル変速操作レバー13が設けられ、操縦席9の側方には、副変速操作レバー14が設けられている。
【0010】
図1〜4に、前記ミッションケース2とその内部の動力伝達装置が示されている。ミッションケース2は、第1隔壁15を介して前部のクラッチ室16と後部のミッション室17とに区画されている。ミッション室17には、潤滑油兼作動油が所定レベルに貯留されている。更にミッション室17の後方には第2隔壁18が設けられている。
前記クラッチ室16には、主クラッチ19と、ギヤケース20が設けられ、このギヤケース20は、前記第1隔壁15に固定されている。このギヤケース20内にシャトル変速装置21が収納されている。ギヤケース20は、前部ケース22と後部ケース23に分割構成されている。
【0011】
前記ミッション室17には、4段変速の主変速装置24と、高速と低速とに切り換える副変速装置25と、超低速に切り換えるクリープ変速装置26と、及び、前輪駆動装置27とが収納されている。そして、ミッションケース2の後部には、図示省略の後輪駆動装置やPTO変速装置等が設けられている。
前記主クラッチ19は、エンジン1のクランク軸端部に固定されたフライホイール28と、該フライホイール28の端面にプレッシャープレート29により押圧されるクラッチディスク30と、前記プレッシャープレート29に押圧力を付与するダイヤフラムスプリング31と、該スプリング31の押圧解除を行うレリーズハブ32とを有する。
【0012】
前記レリーズハブ32は、前記前部ケース22の前面に突出形成されたボス部に、前後方向摺動自在に外嵌している。
前記フライホイール28の軸心部には、PTO駆動軸33が直結されて、該PTO駆動軸33は前記ギヤケース20を貫通して後方に延出し、変速装置(図示省略)を介して前記PTO軸10に結合されている。
前記主クラッチ19には、筒軸の従動軸34が後方に延出するように設けられており、該従動軸34は前記PTO駆動軸33に相対回転可能に同軸心で外嵌している。そして、この従動軸34に前記クラッチディスク30が固定されている。この従動軸34の前端は、フライホイール28にベアリングを介して相対回転自在に支持され、従動軸34の後部は、前記前部ケース22にベアリングを介して相対回転自在に支持されて、その後端は前記ギヤケース20内に位置している。
【0013】
前記クラッチ室16の側壁には、クラッチ操作軸35が、左右方向の軸心を有して回動自在に支持されている。このクラッチ操作軸35に主クラッチレリーズフォーク36が固定され、該ホーク36の二股部先端部が前記レリーズハブ32に係合している。このフォーク36は、主クラッチ19と前記ギヤケース20との間に配置され、主クラッチ19側に向かって凸状となるよう湾曲成形されている。そして、前記クラッチ操作軸35の一端部はクラッチ室16から外部に突出し、該突出部にクラッチレバー37とクラッチロッド38とを介して前記クラッチペダル11が連結されている(図6参照)。
【0014】
従来のレリーズフォーク36は、後方に向かって凸状に屈曲成形されていたが、前方に向かって凸状とすることにより、レリーズフォーク36がギヤケース20に干渉しなくなるので、主クラッチ19とギヤケース20間の距離を短縮することができ、その結果、伝動装置の前後方向の長さを短縮できる。
前記主クラッチ19は、通常は、エンジン1の動力をクラッチディスク30を介して従動軸34に伝達している。この動力伝達を切るには、前記クラッチペダル11を踏み込む。このクラッチペダル11の踏み込み操作により、クラッチロッド38、クラッチレバー37を介して、クラッチ操作軸35が回動し、主クラッチレリーズフォーク36が揺動し、レリーズハブ32が前方に移動し、ダイヤフラムスプリング31を押動して、その押圧力を解除することにより、クラッチディスク30への動力伝達が切断され、従動軸34は自由状態になる。
【0015】
前部ケース22と後部ケース23とから分割構成されて成る前記ギヤケース20は、その内部にシャトル変速装置21をサブアッセンブリーした後、分割面を接着剤で接着することにより仮止めして一体化し、その後、共通のボルト39により、前記第1隔壁15に固定される。このような構成を採用することにより、組立の効率化が図られる。またギヤケース20を組み付けるだけで、シャトル変速装置なしのトラクターを、シャトル変速装置21を有するトラクターとすることができる。
【0016】
前記ギヤケース20内のシャトル変速装置21は、主クラッチ19の従動軸34の後端部に設けられた前後進切換クラッチ40を有する。このクラッチ40の前側の従動軸34に、バック駆動ギヤ41が遊転自在に設けられ、このバック駆動ギヤ41にバック中間ギヤ42が噛合し(図2参照)、そしてこの中間ギヤ42にバック入力ギヤ43が噛合している。このバック入力ギヤ43は、前方に突出するボス部を有し、該ボス部の外周が、前部ケース22にベアリングを介して回転自在に支持されている。このバック入力ギヤ43の軸心部には、スプライン孔が形成されている。このスプライン孔に、後進入力軸44が挿脱自在に挿入されて、スプライン結合されている。この後進入力軸44は、前記従動軸34と平行な軸心を有して配置されている。この後進入力軸44は、後部ケース23にベアリングを介して回転自在に支持されて後方に延出し、その後端部は、第2隔壁18にベアリングを介して支持されている。
【0017】
このように後進入力軸44をバック入力ギヤ43に差込自在としたので、ギヤケース20内へのシャトル変速装置21のサブアッセンブリー化が可能になった。
前記前後進切換クラッチ40の後側に、前進入力軸45が、前記従動軸34と同軸心上に配置され、該前進入力軸45は、後部ケース23にベアリングを介して回転自在に支持されている。この前進入力軸45は、筒軸に形成され、前記PTO駆動軸33に相対回転可能に外嵌している。
【0018】
前記前後進切換クラッチ40は、例えば、特公平8−1221号公報に例示されている同期咬合式クラッチとされており、従動軸34の後端部に該軸34と一体回転可能に設けられたハブ46と、該ハブ46に相対回転不能で軸方向移動自在に外嵌したシフター47と、前記ハブ46の前後方向両側に配置された同期リング(図示省略)とを有する。前記バック駆動ギヤ41には、前記同期リングを介して前記シフター47と咬み合う咬合部48が設けられ、また、前記前進入力軸45にも同期リングをを介してシフター47と咬み合う咬合部49が設けられている。
【0019】
前記シフター47には、シフトフォーク50が係合している。このシフトフォーク50は、ギヤケース20の前部ケース22と後部ケース23間に固定されたロッド51に、前後方向摺動自在に設けられている。
前部ケース22の下部には、前方に膨出する突出部52が設けられ、該突出部52とミッションケース2の上壁とに、シフトフォーク操作軸53が縦軸姿勢で回動自在に支持されている。この操作軸53は、前記主クラッチ19のレリーズフォーク36の後方でかつシャトル変速装置21のシフター47の前方に位置するよう設けられている。この操作軸53は、上部軸54と下部軸55とに上下二分割され、両者は、カップリング56を介して挿脱可能に結合されている。下部軸55には、前記突出部の内部においてヨーク57が固定され、該ヨーク57の先端が前記シフトフォーク50に係合している。上部軸54は、その上端がミッションケース2の上面より上方に突出し、該突出端に、前記シャトル変速操作レバー13がリンク(図示省略)を介して結合されている。操行ハンドル装置7に設けられたシャトル変速操作レバー13を前後方向に操作することにより、操作軸53が回動し、その下部に設けられたヨーク57が前後方向に揺動する。このヨーク57の揺動により、シフトホーク50が前後方向に移動し、シフター47を前後方向に移動させる。
【0020】
しかして、前記シフター47が前後方向中間位置にあるとき、中立位置であり、該中立位置からシフター47が前方に移動してバック駆動ギヤ41の咬合部48と咬み合うと、従動軸34の動力は、バック駆動ギヤ41、中間ギヤ42、バック入力ギヤ43を介して後進入力軸44に伝達される。逆に中立位置から後方に移動して前進入力軸45の咬合部49に咬み合うと、従動軸34の動力は、前進入力軸45に伝達される。
前記構成の如く、シフトフォーク操作軸53を縦軸姿勢に、その上端部とシャトル変速操作レバー13とを連結しているので、両者の連結が最短距離で行えるようになった。また、操作軸53を上下二分割としたので、下部軸55をギヤケース20に組み込むことができるので、シャトル変速装置21のサブアッセンブリー化が容易になる。
【0021】
前記ミッション室17内のPTO駆動軸33には、筒軸の変速出力軸58が相対回転可能に同一軸心で外嵌されている。この変速出力軸58の前端部は、前記前進入力軸45の内面にニードルベアリングを介して回転自在に支持され、その後端は、ミッションケース2の第2隔壁18にベアリングを介して回転自在に支持されている。
前記ミッション室17内の前進入力軸45、後進入力軸44及び変速出力軸58に、4段変速の前記主変速装置24が設けられている。
【0022】
即ち、前記後進入力軸44には、その後部から前部に至るに、第1速ギヤ60と第2速ギヤ61が遊転自在に設けられ、第3速ギヤ62と第4速ギヤ63が固定されている。第1速ギヤ60と第2速ギヤ61との間に、第1,2速切換クラッチ64が設けられている。このクラッチ64は、前記前後進切換クラッチ40と同じ構成の同期咬合式クラッチとして構成されている。
すなわち、第1,2速切換クラッチ64は、後進入力軸44に固定されたハブ65を有し、該ハブ65にシフター66が軸方向移動可能に外嵌し、前記ハブ65の前後両側に同期リング(図示省略)が設けられている。そして、第1,2速ギヤ60,61の夫々の内端部に前記シフター66と咬み合う咬合部67,68が設けられている。
【0023】
前記変速出力軸58には、前記第1,2速ギヤ60,61と常時噛合するギヤ69,70が固定され、また第3速ギヤ62と常時噛合するギヤ71が相対回転可能に外嵌されている。前記前進入力軸45の後部には、前記第4速ギヤ63と常時噛合するギヤ72が形成されている。そして、前進入力軸45の後端部と変速出力軸58上の第3速ギヤ71との間に、同期咬合式クラッチからなる第3,4速切換クラッチ73が設けられている。
【0024】
即ち、第3,4速切換クラッチ73は、変速出力軸58に固定されたハブ74を有し、該ハブ74にシフター75が軸方向移動可能に外嵌し、前記ハブ74の前後両側に同期リング(図示省略)が設けられている。そして、前進入力軸45後端と第3速ギヤ71の内端部に前記シフター75と咬み合う咬合部76,77が設けられている。
図7に、以上説明したシャトル変速装置21と主変速装置24のギヤ線図が示されている。
【0025】
図3に示すように、前記第1,2速切換用シフター66及び第3,4速切換シフター75には、第1,2速切換用シフトフォーク78及び第3,4速切換シフトフォーク79が各々係合し、各シフトフォーク78,79は、同一水平面上で互いに平行に前後方向移動自在に設けられた二本の第1,2速切換用シフトロッド80と第3,4速切換用シフトロッド81に夫々固定されている。各シフトロッド80,81はPTO駆動軸33と平行であり、各シフトロッド80,81の前後端部は、ミッションケース2の第1及び第2隔壁15,18に支持されている。そして、前記主変速操作レバー12の下端部が、前記一対のシフトホーク78,79の何れかに選択的に係合するよう構成され、該係合した側のシフトフォーク78または79が、該操作レバー12の操作で前後方向移動可能とされている。
【0026】
前記第1、2速切換シフター66の内径は、第1速ギヤ60の外径よりも大きいので、当該シフター66を第1速側にシフトしたとき、咬合部67を通り越して第1速ギヤ60側へ行きすぎる(オーバシフト)おそれがある。
そこで、図4に示すように、第1,2速切換用シフター66のオーバシフトを防止すべく、第1,2速切換用シフトロッド80の端部に切欠部82を設け、当該切欠部82の段部に係合するストッパーピン83を、ミッションケース2に設けた。このストッパーピン83は、二本のシフトロッド80,81間のインターロックボールを挿入するために開設されたボール挿入孔84に、ねじ込むことにより、ミッションケース2に取り付けられる。
【0027】
前記変速出力軸58の後部には、後部から前部に向かって、低速ギヤ85と高速ギヤ86が、当該変速出力軸58と一体回転可能に列設されている。
前記ミッションケース2には、前記変速出力軸58と平行に、走行軸87が設けられている。この走行軸87の前端部は、前記ギヤケース20の後部ケース23にベアリングを介して回転自在に支持され、その中途部が第2隔壁18にベアリングを介して回転自在に支持され、その後端部が後輪駆動用デファレンシャル装置(図示省略)に入力している。
【0028】
前記走行軸87には、第2隔壁18より前方に至るに従い、超低速入力ギヤ88、低速ギヤ89、高速ギヤ90、超低速出力ギヤ91が相対回転自在に設けられ、更に、その前方に前輪駆動ギヤ92が固定されている。走行軸87上の低速ギヤ89と高速ギヤ90は、前記変速出力軸58の低速ギヤ85と高速ギヤ86とに常時噛合している。そして、走行軸87上の超低速入力ギヤ88と低速ギヤ89とは、二連ギヤとして構成されている。
さらに前記ミッションケース2には、前記走行軸87に平行な中間軸93が、ベアリングを介して回転自在に設けられ、該中間軸93に、前記超低速入力ギヤ88と超低速出力ギヤ91とに常時噛合するギヤ94,95が一体回転可能に設けられている。
【0029】
前記低速ギヤ89と高速ギヤ90間の走行軸87には、高低速切換クラッチ96が設けられている。この高低速切換クラッチ96は、咬合クラッチであり、走行軸87に固定されたハブ97と、該ハブ97に相対回転不能で軸方向移動可能に外嵌されたシフター98とを有し、前記低速ギヤ89と高速ギヤ90の内端部には、前記シフター98と咬み合う咬合部が設けられている。
前記超低速出力ギヤ91の前側の走行軸87には、超低速切換クラッチ99が設けられている。この超低速切換クラッチ99は、咬合クラッチであり、走行軸87に固定されたハブ100と、該ハブ100に相対回転不能で軸方向移動可能に外嵌されたシフター101とを有し、前記超低速出力ギヤ91の内端部には、前記シフター101と咬み合う咬合部が設けられている。
【0030】
図3に示すように、前記高低速切換用シフター98と超低速切換用シフター101に、夫々シフトフォーク102,103が係合している。そして、高低速切換シフトフォーク102は、シフトロッド102aに固定され、該シフトロッド102aの後端に契合するヨーク102b(図1参照)が、図5に示す副変速操作レバー14の操作により揺動し、前記シフトフォーク102が前後方向に移動する。また、超低速切換フォーク103もシフトロッド103aに固定され、該ロッド103aは図示省略の操作レバーの操作により、前後方向の移動が操作される。
【0031】
しかして、前記低速ギヤ85,89、高速ギヤ86,90、及び、高低速切換クラッチ96等により、前記副変速装置25が構成され、また、超低速ギヤ88,91,94,95や、超低速切換クラッチ99等で、前記クリープ変速装置26が構成されている。
また、前記前輪駆動ギヤ92は、中間ギヤ104を介して出力ギヤ105に噛合している。この出力ギヤ105は出力軸106に前輪駆動クラッチ107を介して入り切り自在に結合される。この出力軸106の前端は、図示省略の前輪駆動用デファレンシャル装置に入力している。
【0032】
しかして、前輪駆動ギヤ92や前輪駆動クラッチ107等により、前記前輪駆動装置27が構成されている。
前記ミッション室17内に貯留された潤滑油は、ギヤの回転で掻き上げられて、当該ミッション室17内の変速装置等の潤滑油に供されると共に、油圧ポンプで汲み上げられて各種アクチュエータの作動油として供される。
前記作動油の戻り油は、変速出力軸58の後部から、PTO駆動軸33と変速出力軸58との間の隙間に供給され、前方に流され、同期咬合式クラッチ等の潤滑に供される。そして、変速出力軸58の前端部より流出して、前後進切換クラッチ40の潤滑を行うと共にギヤケース20内に貯留される。
【0033】
前記ギヤケース20の後部ケース23には、図3に示す如く、油連通孔108が開設されている。この油連通孔108を通って、ギヤケース20内の油はミッション室17内に戻るように構成されている。しかし、この油連通孔108は、ミッション室17内の潤滑油の貯留レベルよりも高い位置に設けられ、常時、ギヤケース20内の潤滑油レベルの方がミッション室17内の潤滑油レベルよりも高くされている。
前記構成の実施の形態によれば、シャトル変速装置なしのトラクターに対し、同じミッションケースを用いて、該ミッションケースにギヤケース20を組み付けるだけで、シャトル変速装置ありのトラクターにすることができる。また、シャトル変速装置21において、従来のバック戻りギヤ列を不要としたので、その分、変速装置の前後方向の長さが短くなる。
【0034】
尚、本発明は、前記実施の形態に示すものに限定されるものではなく、例えば、主変速装置の下流側にシャトル変速装置を設けた形式のものにも適用できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、シャトル変速装置ありと、なしのトラクターにおいて、そのミッションケースを共用することができ、シャトル変速装置を追加する場合は、シャトル変速装置をサブアッセンブリーしたギヤケースを組み付けるだけでよいので、設計、製造、メンテナンスにおいて、簡単化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態を示す変速装置の断面図である。
【図2】図2は、図1のA−A断面図である。
【図3】図3は、図1のB−B断面図である。
【図4】図4は、ミッションケースの平面図である。
【図5】図5は、トラクターの平面図である。
【図6】図6は、図5に示すトラクタの側面図である。
【図7】図7は、図1に示す変速装置のギヤ線図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 ミッションケース
15 隔壁
16 クラッチ室
17 ミッション室
19 主クラッチ
20 ギヤケース
21 シャトル変速装置
22 前部ケース
23 後部ケース
24 主変速装置
36 レリーズフォーク
39 ボルト
Claims (4)
- エンジンからの動力を車輪に伝達する動力伝達経路において、車速を複数段に変速する主変速装置と、前進と後進が同数の変速段数となるシャトル変速装置とをミッションケース内に有し、且つ、前記エンジンからの動力が前記シャトル変速装置を介して前記主変速装置に伝達されるように構成されたトラクターの変速装置において、
前記主変速装置(24)は、互いに平行に配置された前進入力軸(45)と後進入力軸(44)とを有し、
前記シャトル変速装置(21)は、エンジン動力を前記前進入力軸(45)に伝達し、または、バックギヤ列(41,42,43)を介して前記後進入力軸(44)に伝達する前後進切換クラッチ(40)を有し、
前記主変速装置(24)は、前記前進入力軸(45)と同軸心に配置された変速出力軸(58)と、前記後進入力軸(44)に遊転自在に設けられた第1速ギヤ(60)と第2速ギヤ(61)と、前記後進入力軸(44)に固定された第3速ギヤ(62)と第4速ギヤ(63)と、前記第1速ギヤ(60)と第2速ギヤ(61)とを前記後進入力軸(44)に接続する第1,2速切換えクラッチ(64)と、前記第1,2速ギヤ(60,61)と常時噛合すべく前記変速出力軸(58)に固定されたギヤ(69,70)と、前記第3速ギヤ(62)と常時噛合すべく前記変速出力軸(58)に相対回転可能に外嵌されたギヤ(71)と、前記第4速ギヤ(63)と常時噛合すべく前記前進入力軸(45)に形成されたギヤ(72)と、前記前進入力軸(45)と前記第3速ギヤ(71)とを前記変速出力軸(58)に接続する第3,4速切り換えクラッチ(73)とを有することを特徴とするトラクターの変速装置。 - 前記シャトル変速装置(21)の前後進切換クラッチ(40)とバックギヤ列(41,42,43)は、ギヤケース(20)内に予め組み立てられており、該ギヤケース(20)が、前記ミッションケース(2)の隔壁(15)に固定され、
前記ギヤケースは、前後に分割されていることを特徴とする請求項1記載のトラクターの変速装置。 - 前記分割されたギヤケースは、前記シャトル変速装置を組み立てた後、一体化され、共通の取りつけボルトで、ミッションケースの隔壁に共締めされることを特徴とする請求項2記載のトラクターの変速装置。
- 前記ミッションケースは、前記エンジンからの動力を入り切りする主クラッチを収納するクラッチ室と前記主変速装置を収納するミッション室とを隔壁で区画してなり、前記ギヤケースは、前記クラッチ室に位置して前記隔壁に固定され、前記主クラッチとギヤケースとの間に主クラッチレリーズフォークが設けられ、該フォークは、主クラッチ側に向かって凸状となるよう湾曲成形されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のトラクターの変速装置。
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