JP2011126362A - 作業車両 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PTOブレーキ80は、PTOクラッチ70が遮断状態となると、クラッチピストン75が付勢手段(スプリング76)により第一シリンダ側摩擦部材74とケース側摩擦部材82とが圧接するように付勢されるとともに、ブレーキ用係止片82aがボルト83と係止可能に構成される。
【選択図】図7
Description
また、作業車両に作業機を装着する際には、当該PTO軸を周方向へ向けて回転させて位置合わせ可能であり、作業性の向上を図ることができる。
また、ミッションケース及び作業車両における他の部材とボルトとの干渉を防ぐことができる。
後輪6・6は、機体フレーム2の後部(ミッションケース4)左右にそれぞれ具備される。
前輪5・5及び後輪6・6は、ミッションケース4により変速された動力により回転駆動される。
ハンドル7aは、作業車両1を操向操作するものである。ハンドル7aは、キャビン7内の前部に具備される。座席7bは、オペレータが着座するものである。座席7bは、ハンドル7aの後方に具備される。
先ず、クラッチケース10の構成について、図2及び図3を用いて説明する。
クラッチケース10の内部には、エンジン3の出力軸(クランク軸)に固定されるフライホイール11と、摩擦式の主クラッチ12と、が収納される。
また、前記クラッチペダルの操作によって主クラッチ12が「断」とされると、エンジン3の出力軸(クランク軸)の回転、即ちエンジン3から出力される動力は、原動軸13へと伝達されない。その結果、原動軸13が回転せず、エンジン3からの動力が伝達されない。
ミッションケース4の後端部は、リアカバー4aにより閉塞される。
ミッションケース4の前端部は、前記クラッチケース10の後端部に固定されて、ミッションケース4とクラッチケース10との内部が連通される。ミッションケース4には、その前方から前記原動軸13の後端側が後方へ向けて挿入される。原動軸13は、エンジン3から出力される動力をミッションケース4に収納される動力伝達機構15へと伝達するものである。原動軸13は、ミッションケース4の内部を、当該ミッションケース4の前後方向中途に至るまで後方へ向けて延出される。
図2に示すように、動力伝達機構15としては、エンジン3から出力される動力を、前輪5・5及び後輪6・6へと伝達する走行系の動力伝達経路17と、PTO軸90へと伝達するPTO系の動力伝達経路16とが設けられる。
前記変速装置としては、走行系の動力伝達経路17において、前後進切替装置20と、主変速装置30と、副変速装置50とが設けられる。本実施形態において、前後進切替装置20は、油圧クラッチにより構成される。また、主変速装置30は、シンクロメッシュ式の変速装置により構成される。また、副変速装置50は、歯車噛合式の変速装置により構成される。
先ず、前後進切替装置20の構成について、図2及び図3を用いて説明する。
前後進切替装置20は、ミッションケース4の内部の前部に配置される。
また、切替従動軸21上に、前後進切替第三歯車24と、前後進切替第四歯車25とが、前後方向に適宜の間隔をあけて配置され、当該切替従動軸21に相対回転不能に固定される。
本実施形態において、後進用油圧クラッチ26R及び前進用油圧クラッチ26Fは、摩擦多板式のクラッチが用いられている。後進用油圧クラッチ26R及び前進用油圧クラッチ26Fは、キャビン7内の運転操作部7cに設けられる前後進切替レバー(不図示)に連係されて、当該前後進切替レバーの操作によって、動力の伝達の「断」又は「接」を切り替え可能に構成される。
次に、主変速装置30の構成について、図2及び図4を用いて説明する。
主変速装置30は、ミッションケース4の前後方向中途から前部にかけて配置される。
走行軸32は、パイプ状に形成され、走行軸32は、その内部にPTO伝達軸14を内挿し、該PTO伝達軸14は前記原動軸13の後端に同一軸線上つまり延長上に相対回転不能に連結され、PTO伝達軸14の後部はミッションケース4に軸受を介して回転自在に支持され、走行軸32に対して回転自在とされる。
また、主変速従動軸31上に、4つの歯車、即ち、主変速第五歯車37と、主変速第六歯車38と、主変速第七歯車39と、主変速第八歯車40とが、それぞれ前後方向に適宜の間隔をあけて配置され、当該主変速従動軸31に遊嵌される。
次に、副変速装置50の構成について、図2及び図5を用いて説明する。
副変速装置50は、ミッションケース4の前後方向中途から後部にかけて、主変速装置30の後方に配置される。
副変速出力軸52の下方には、副変速装置50の出力軸となる副変速従動軸51が設けられる。副変速従動軸51は、長手方向を前後方向として、副変速出力軸52と略平行となるように配置される。副変速従動軸51は、ミッションケース4に相対回転自在に軸支される。
また、副変速従動軸51上には、3つの歯車、即ち、副変速第四歯車56と、副変速第五歯車57と、副変速第六歯車58とが、それぞれ前後方向に適宜の間隔をあけて配置され、当該副変速従動軸51に遊嵌される。
先ず、第一PTO出力軸61と、第二PTO出力軸62と、PTO軸90の構成について、図2及び図6を用いて説明する。
第一PTO出力軸61及び第二PTO出力軸62は、それぞれ長手方向を前後方向として配置される。第一PTO出力軸61の後端部は、第二PTO出力軸62の前端部と相対回転不能に固定されて、第一PTO出力軸61及び第二PTO出力軸62が全体として一つの出力軸として回転するように構成される。
なお、PTOクラッチ70及びPTOブレーキ80についての詳細な説明は後述する。
PTO軸90の後端部は、ミッションケース4の開口された後端部を閉塞しているリアカバー4aから後方へ向けて突出される。PTO軸90は、その後端部に作業機(不図示)の入力軸または伝達軸と連結可能に構成される。
PTO軸90上に、PTO軸歯車92が設けられる。PTO軸歯車92は、PTO軸90に相対回転不能に固定される。PTO軸歯車92は、PTO出力歯車91と噛合される。但し、第二PTO出力軸62とPTO軸90との間にPTO変速装置を設ける構成とすることも可能である。
本実施形態においてPTOクラッチ70は、摩擦多板式のクラッチが用いられている。
PTOクラッチ70は、ボス部71と、ボス側摩擦部材72と、クラッチシリンダ73と、第一シリンダ側摩擦部材74と、クラッチピストン75と、スプリング76とを備える。
ボス部71は、その前部においてPTO伝達軸14の後部スプライン嵌合して、当該PTO伝達軸14に相対回転不能に固定される。ボス部71は、その後部において第一PTO出力軸61上を径方向外側へ向けて拡径(以下、「拡径部71a」と称する。)されて、当該第一PTO出力軸61の外周面との間に間隙が形成される。前記間隙(即ち、拡径部71aと第一PTO出力軸61との間)の前側にはベアリング77が介装されて、ボス部71(即ち、PTO伝達軸14)と当該第一PTO出力軸61とが相対回転可能とされる。
ボス側摩擦部材72は、ボス部71において拡径部71aの外周面に、板面側を前後方向へ向けて配置され、外側方へ向けて立設される。ボス側摩擦部材72は、ボス部71に前後方向へ向けて摺動可能、かつ、相対回転不能に固定される。
クラッチシリンダ73は、第一PTO出力軸61の前部上を外嵌して、当該第一PTO出力軸61に相対回転不能にスプライン嵌合して固定される。クラッチシリンダ73は、第一PTO出力軸61の外側方で、側面断面視で前方へ向けて開口された略コの字状に形成される。なお、以下の説明において、クラッチシリンダ73の部位のうち、外側に位置して前後方向(軸心方向)へ向けて延設される部位を「外側部73a」と、内側に位置して前後方向(軸心方向)へ向けて延設される部位を「内側部73b」と称する。
第一シリンダ側摩擦部材74は、クラッチシリンダ73において外側部73aの内周面に、板面側を前後方向へ向けて配置され、内側方へ向けて立設される。第一シリンダ側摩擦部材74は、クラッチシリンダ73に前後方向へ向けて摺動可能、かつ、相対回転不能に固定される。
複数配設される第一シリンダ側摩擦部材74は、複数配設される前記ボス側摩擦部材72とそれぞれ前後方向に交互に配置され、PTOクラッチ70が「断」とされた状態で、相互に接触しないように構成される。
スプリング76の前端部は、クラッチシリンダ73の内側部73b上に設けられたクラッチ用係止片75bによって係止される。スプリング76の後端部は、クラッチピストン75の軸心側の前部に当接される。スプリング76は、クラッチピストン75が、クラッチシリンダ73の内側部73b上を後方へ向けて摺動移動するように付勢している。
なお、PTOブレーキ80は、前記PTOクラッチ70に設けられるものであるので、前述において既に説明をした部材に関しては、同一の符号を付することでその説明を省略するものとする。
第二シリンダ側摩擦部材81は、クラッチシリンダ73において外側部73aの外周面に外嵌されて、板面側を前後方向へ向けて配置される。第二シリンダ側摩擦部材81は、クラッチシリンダ73に相対回転不能、かつ、前後方向へ向けて摺動自在に外嵌される。
ケース側摩擦部材82は、クラッチシリンダ73(さらに詳しくは、クラッチシリンダ73の外側部73a)に外嵌され、当該クラッチシリンダ73に相対回転自在、即ち当該クラッチシリンダ73の外側部73aの外周面を周方向へ向けて回転自在、かつ、前後方向へ向けて摺動自在とされる。
ブレーキ用係止片82aは、ケース側摩擦部材82の外周部から一体的に半径方向外側に突出して形成されて、即ち、ブレーキ用係止片82aは、ケース側摩擦部材82の外周部から、外側方へ向けて突設される。ブレーキ用係止片82aの外周端部は、第二シリンダ側摩擦部材81の外周部よりも外側方に位置するように設定される。
なお、本実施形態においてブレーキ用係止片82aは、一つが設けられているが、この数に限定するものでない。
ボルト83は、ミッションケース4に固定された状態で、当該ボルト83の先端部が当該ミッションケース4の壁部から内側へ貫通して突出される。ボルト83の先端部は、第二シリンダ側摩擦部材81及びケース側摩擦部材82の外周部に近接される。
具体的には、ボルト83の先端部は、ケース側摩擦部材82の外周部の外側方、換言すれば、ケース側摩擦部材82の軸心方向に対して垂直方向となる位置に配置される。また、ボルト83の先端部は、(ブレーキ用係止片82aを除く)ケース側摩擦部材82の外周部よりも外側方であって、且つブレーキ用係止片82aの外周端部よりも、内側方となる位置に配置される。
このような構成により、ケース側摩擦部材82がクラッチシリンダ73の外側部73aの外周面を周方向へ向けて回転しようとすると、当該ケース側摩擦部材82のブレーキ用係止片82aが、ボルト83の先端部と当接されて係止することとなる。
なお、ボルト83は、突設部材の一例であり、これに限定するものではない。即ち、ミッションケース4の内周面から内側へ向けて突設する部材であればよい。
本実施形態においては、突設部材がボルト83にて構成されることによって、PTOブレーキ80の組立作業を容易とすることができる。また、突設部材の取り替え作業が容易となるので、メンテナンス性の向上を図ることができるとともに、ケース側摩擦部材82が突設部材の先端部と当接させるための調整を容易とすることができる。
このような構成により、ボルト83がミッションケース4の外周面から外側方へ向けて突出しない(ボルト83の頭部がミッションケース4に埋め込まれる)ため、ミッションケース4及び作業車両1における他の部材とボルト83との干渉を防ぐことができる。
ブレーキ用押圧部75cは、クラッチピストン75が後方へ向けて摺動移動した状態で、前記第二シリンダ側摩擦部材81及び前記ケース側摩擦部材82を後方へ向けて押圧して、これらの摩擦部材81・82が相互に圧接されるように構成される。
ケース側摩擦部材82が周方向へ向けて回転すると、当該ケース側摩擦部材82のブレーキ用係止片82aが、ボルト83の先端部と当接されて係止する。すなわち、ブレーキ用係止片82aを介してケース側摩擦部材82の周方向へ向けての回転が規制され、第二シリンダ側摩擦部材81、クラッチシリンダ73を介して第一PTO出力軸61の回転が規制される。その結果、第一PTO出力軸61は制動されて、連れ回りによる回転を防止することができる。
また、従来の(ワンウェイ構造を採用していた)PTOブレーキ(図13参照)と比して、PTOブレーキ80の構造が簡単で、少ない部品点数でPTO軸90の連れ回りを防止することができる。よって、製造コストの低コスト化を図ることができる。
具体的には、図9(a)に示すように、例えば、本実施形態においてケース側摩擦部材82のブレーキ用係止片82aを一つ設け、当該ブレーキ用係止片82aの周方向の長さを調整して、ケース側摩擦部材82がボルト83の先端部と当接して係止するまで、回転角度θaを約336度となるように設定すれば、PTOブレーキ80の機能を得た状態で、PTO軸90を最大限に周方向へ向けて回転することができるので、他の設定と比して、作業車両1に作業機を装着する際の作業性が、より向上することができる。
このように、PTOブレーキ80の機能を得た状態で、作業機を装着する際のPTO軸90の回転角度を設定することができ、作業の汎用性の向上を図ることができる。
PTOバルブ200は、モジュレーションの機能を有する切替バルブ210と調圧弁220が相互に取り外し可能に積層して固定されて形成される。
このような構成により、切替バルブ210が切り替えられてPTOクラッチ70に圧油が送油された時の油圧を適宜なものとすることができる。その結果、PTOクラッチの「接」又は「断」の切り替え時のショックが緩和され、円滑に切り替えることができる。
従って、仕様によって調圧弁220が不要な場合には、切替バルブ210が直接ミッションケース4に取り付けられる構成としている。
なお、切替バルブ210は電磁弁で構成され、前記PTOクラッチレバーの操作を検知して切り替えられるように構成している。
このような構成のPTOバルブ200によって、例えば、ミッションケース4においてPTOクラッチの近傍に油圧源を設ける場合には、吐出圧が調整されているため、調圧弁をなくして(調圧弁220を取り付けないで)切替バルブ210のみを取り付ける構成とすることができる。その結果、設計の自由度が高くなり、汎用性の向上を図ることができる。
3 エンジン
4 ミッションケース
4b 螺挿面
13 原動軸
14 PTO伝達軸
15 動力伝達機構
16 PTO系の動力伝達経路
17 走行系の動力伝達経路
61 第一PTO出力軸
70 PTOクラッチ
75 クラッチピストン
76 スプリング
80 PTOブレーキ
81 第二シリンダ側摩擦部材
82 ケース側摩擦部材
82a ブレーキ用係止片
83 ボルト
90 PTO軸
Claims (3)
- ミッションケース内部に、
PTO軸と、
エンジンからの動力を前記PTO軸に伝達する動力伝達機構と、
前記動力伝達機構に介装されて、前記PTO軸に軸心方向へ摺動自在に貫装されるクラッチピストンと、前記エンジンからの動力が遮断状態となる方向へ向けて前記クラッチピストンを付勢する付勢手段と、を具備して、前記PTO軸への動力の伝達を継断する油圧多板式のPTOクラッチと、
前記PTO軸を制動するPTOブレーキと、
を収納する作業車両であって、
前記PTOブレーキは、
前記ミッションケースの内周面に内側へ向けて突設する突設部材と、
前記クラッチピストンの外周に外嵌される複数のシリンダ側摩擦部材と、
前記シリンダ側摩擦部材と前記シリンダ側摩擦部材との間に配設されるケース側摩擦部材と、
前記ケース側摩擦部材の外周端部に外側へ向けて突設される係止部と、
を具備し、
前記PTOクラッチが遮断状態となると、前記クラッチピストンが前記付勢手段により前記シリンダ側摩擦部材と前記ケース側摩擦部材とが圧接するように付勢されるとともに、前記係止部が前記突設部材と係止可能に構成される、
ことを特徴とする作業車両。 - 前記突設部材は、ボルトにて構成し、前記ミッションケースの外側から内側へ螺装され、ボルト頭部が当該ミッションケースに埋め込まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。 - 前記係止部は、前記突設部材と係止するまで、前記PTO軸の軸心回りに所定範囲で回転可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業車両。
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