JP2014070649A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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敏正 三堀
Seiji Hamaoka
誠二 濱岡
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Abstract

【課題】変速機を軸方向に拡大することなくカム式トルクダンパのダンパ軸を配置し、同ダンパ軸を有効に利用して支軸を減らして動力伝達系をコンパクト化し、パワーユニットの小型化を図る車両用動力伝達装置を供する。
【解決手段】変速駆動軸(61)に動力を伝達する前記カム式トルクダンパ(52)を支持するダンパ軸(51)が、変速駆動軸(61)および前記変速従動軸(71)に平行に軸方向同じ位置に回転自在に軸支され、変速駆動軸(61)上の駆動歯車(68)と変速従動軸(61)上の従動歯車(75)との間に介装されて駆動輪(2,3)へ駆動力を伝達可能とするアイドル歯車(57a,57b)が、前記ダンパ軸(51)にカム式トルクダンパ(52)と軸方向に隣り合って回転自在に軸支される車両用動力伝達装置。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関に変速機を一体に構成したパワーユニットにおける車両用動力伝達装置に関し、特に変速機にカム式トルクダンパを備えたものに関する。
変速機のカム式トルクダンパは、回転軸どうしの間に介装されるもので、傾斜したカム面を有するカムとカムフォロワが軸方向に対向して互いにばねにより付勢されて噛み合うことによりオーバートルクを吸収しながら動力を伝達する(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
特開2003−193854号公報 特開昭60−166528号公報
特許文献1に開示された車両用動力伝達装置は、変速駆動軸と変速従動軸の間で変速歯車の噛み合いによって変速する変速機の側方に変速駆動軸と同軸に突出したクラッチ出力軸に、カム式トルクダンパが設けられ、カム式トルクダンパを介してクラッチ出力軸の動力を変速駆動軸に伝達する。
そして、変速従動軸と歯車の噛み合いを介して動力が伝達される出力軸が、変速機の側方に突出して設けられている。
特許文献2に開示された車両用動力伝達装置は、変速駆動軸と変速従動軸の間で変速歯車の噛み合いによって変速する変速機の側方に変速従動軸と同軸に突出したダンパ軸に、カム式トルクダンパが設けられ、カム式トルクダンパを介して変速従動軸の動力をダンパ軸に伝達し、ダンパ軸の回転を歯車の噛み合いを介して出力軸に伝達する。
特許文献1では、変速機の側方にカム式トルクダンパの付勢するコイルばねを巻装したクラッチ出力軸が突出していて動力伝達装置が軸方向に拡大するとともに、クラッチ出力軸を他に有効に利用することもなく、徒にパワーユニットが大型化する。
同様に、特許文献1でも、変速機の側方にカム式トルクダンパの付勢するコイルばねを巻装したダンパ軸が突出していて動力伝達装置が軸方向に拡大するとともに、ダンパ軸を他に有効に利用することもなく、徒にパワーユニットが大型化する。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、変速機を軸方向に拡大することなくカム式トルクダンパのダンパ軸を配置し、同ダンパ軸を有効に利用して支軸を減らして動力伝達系をコンパクト化し、パワーユニットの小型化を図ることができる車両用動力伝達装置を供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
互いに平行に回転自在に軸支された変速駆動軸(61)と変速従動軸(71)の間で変速歯車(62,65),(72,75)の噛み合いによって変速して動力を伝達する変速機(Ts)にカム式トルクダンパ(52)が備えられ、内燃機関(E)の動力が前記変速機(Ts)を介して駆動輪(2,3)へ伝達されるパワーユニット(P)における車両用動力伝達装置において、
前記変速駆動軸(61)に動力を伝達する前記カム式トルクダンパ(52)を支持するダンパ軸(51)が、前記変速駆動軸(61)および前記変速従動軸(71)に平行に軸方向同じ位置に回転自在に軸支され、
前記変速駆動軸(61)上の駆動歯車(68)と前記変速従動軸(61)上の従動歯車(75)との間に介装されて駆動輪(2,3)へ駆動力を伝達可能とするアイドル歯車(57a,57b)が、前記ダンパ軸(51)に前記カム式トルクダンパ(52)と軸方向に隣り合って回転自在に軸支されることを特徴とする車両用動力伝達装置とした。
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の車両用動力伝達装置において、
前記カム式トルクダンパ(52)は、
前記ダンパ軸(51)に相対回転が規制され軸方向に摺動可能に軸支される傾斜したカム凸部を有するカム部材(53)と、
前記ダンパ軸(51)に軸方向の移動が規制され相対回転可能に軸支され前記変速駆動軸(61)に動力伝達するカムフォロワ歯車部材(54)と、
前記カム部材(53)を軸方向に付勢して前記カムフォロワ歯車部材(54)に前記カム凸部の傾斜したカム面を接して噛み合わせるコイルスプリング(55)とからなり、
前記ダンパ軸(51)における両側の軸受(43f,43r)の間に、軸方向に前記カムフォロワ歯車部材(54),前記カム部材(53),前記コイルスプリング(55),前記アイドル歯車(57a,57b)が、順に配列されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、
請求項2記載の車両用動力伝達装置において、
前記変速駆動軸(61)には、回転自在に高速駆動歯車(62)と低速駆動歯車(65)と前記駆動歯車(68)としてのリバース用駆動歯車(68)が軸支されるとともに、相対回転が規制されて軸方向に摺動して前記低速駆動歯車(65)と前記高速駆動歯車(62)のいずれかと選択的に係合する高低速切換シフタ部材(63)および相対回転が規制されて軸方向に摺動して前記リバース用駆動歯車(68)と係脱する前後進切換シフタ部材(66)が軸支され、
前記変速従動軸(71)には、前記高速駆動歯車(62)と前記低速駆動歯車(65)とそれぞれ噛み合う高速従動歯車(72)と低速従動歯車(75)が嵌着され、
前記高速従動歯車(72)と前記低速従動歯車(75)のいずれか一方が前記従動歯車(75)としてのリバース用従動歯車(75)として前記アイドル歯車(57a,57b)と噛み合うことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、
請求項3記載の車両用動力伝達装置において、
前記変速機(Ts)の前記ダンパ軸(51)と前記変速駆動軸(61)が互いに上下に配置され、
前記変速駆動軸(61)の前記内燃機関(E)の前記クランク軸(21)側に前記高低速切換シフタ部材(63)および前記前後進切換シフタ部材(66)を駆動する変速駆動機構(80)が配置され、
上下に配置された前記ダンパ軸(51)と前記変速駆動軸(61)の前記クランク軸(21)と反対側に前記変速従動軸(71)がパワーユニット(P)の出力軸として配置されることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、
請求項4記載の車両用動力伝達装置において、
前記パワーユニット(P)は、前記内燃機関(E)のクランク軸(21)を前後方向に指向させて車両に搭載され、
前記パワーユニット(P)は、変速段を多段に切り換える主変速機(Tm)と前記変速機を副変速機(Ts)として互いに前後に略重なるように備え、
前記主変速機(Tm)から前記副変速機(Ts)の前記ダンパ軸(51)に動力が伝達されることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、
請求項4または請求項5記載の車両用動力伝達装置において、
前記変速駆動軸(61)に回転自在に軸支された前記リバース用駆動歯車(68)と一体にパーキンング用歯車(69)が設けられ、
前記変速駆動機構(80)の駆動により作動する係止部材(116)が前記パーキンング用歯車(69)に係止して前記リバース用駆動歯車(68)および前記アイドル歯車(57a,57b)を介して前記変速従動軸(71)の回転を規制するパーキング機構(110)が設けられることを特徴とする。
請求項1記載の車両用動力伝達装置によれば、変速駆動軸(61)に動力を伝達するカム式トルクダンパ(52)を支持するダンパ軸(51)が、変速駆動軸(61)および変速従動軸(71)に平行に軸方向同じ位置に回転自在に軸支されるので、ダンパ軸(51)およびダンパ軸(51)に支持されるカム式トルクダンパ(52)を、変速駆動軸(61)および変速従動軸(61)の軸幅内に収めて変速機(Ts)の軸方向に拡大するのを回避することができる。
その上、変速駆動軸(61)上のリバース用駆動歯車(68)と変速従動軸(71)上の従動歯車(75)との間に介装されて駆動輪(2,3)へ駆動力を伝達可能とするアイドル歯車(57a,57b)が、前記ダンパ軸(51)にカム式トルクダンパ(52)と軸方向に隣り合って回転自在に軸支されるので、ダンパ軸(51)をアイドル歯車(57a,57b)の軸支に利用することで、支軸を減らして動力伝達系をコンパクト化してパワーユニットの小型化を図ることができる。
請求項2記載の車両用動力伝達装置によれば、ダンパ軸(51)における両側の軸受(43f,43r)の間に、軸方向にカム式トルクダンパ(52)のカムフォロワ歯車部材(54),カム部材(53),コイルスプリング(55)およびアイドル歯車(57a,57b)が、順に配列されるので、ダンパ軸(51)を有効に利用して動力伝達系をコンパクト化することができる。
請求項3記載の車両用動力伝達装置によれば、変速駆動軸(61)には、回転自在に高速駆動歯車(62)と低速駆動歯車(65)と駆動歯車(68)としてのリバース用駆動歯車(68)が軸支されるとともに、相対回転が規制されて軸方向に摺動して低速駆動歯車(65)と高速駆動歯車(62)のいずれかと選択的に係合する高低速切換シフタ部材(63)および相対回転が規制されて軸方向に摺動してリバース用駆動歯車(68)と係脱する前後進切換シフタ部材(66)が軸支され、変速従動軸(71)には、高速駆動歯車(62)と低速駆動歯車(65)とそれぞれ噛み合う高速従動歯車(72)と低速従動歯車(75)が嵌着され、そして、高速従動歯車(72)と低速従動歯車(75)のいずれか一方が前記従動歯車(75)としてのリバース用従動歯車(75)として前記アイドル歯車(57a,57b)と噛み合うので、変速従動軸(71)上の従動歯車数を減らすことができ、動力伝達系のコンパクト化を図ることができる。
請求項4記載の車両用動力伝達装置によれば、変速機(Ts)のダンパ軸(51)と変速駆動軸(61)が互いに上下に配置され、変速駆動軸(61)の内燃機関(E)のクランク軸(21)側に変速駆動機構(80)が、上下に配置されたダンパ軸(51)と変速駆動軸(61)のクランク軸(21)と反対側に変速従動軸(71)が配置されるので、動力伝達系と変速駆動機構(80)が集約的にコンパクトに纏められ、パワーユニット(P)の小型化を図ることができる。
また、上下に配置されたダンパ軸(51)と変速駆動軸(61)のクランク軸(21)と反対側に配置される変速従動軸(71)はパワーユニット(P)の外側方位置にパワーユニット(P)の出力軸として配置されることになり、出力軸の動力を駆動輪(2,3)に伝達し易い。
請求項5記載の車両用動力伝達装置によれば、パワーユニット(P)は、内燃機関(E)のクランク軸(21)を前後方向に指向させて車両に搭載され、パワーユニット(P)は、変速段を多段に切り換える主変速機(Tm)と前記変速機を副変速機(Ts)として互いに前後に略重なるように備え、主変速機(Tm)から副変速機(Ts)の前記ダンパ軸(51)に動力が伝達されるので、パワーユニット(P)の変速従動軸(71)である出力軸(71)がパワーユニット(P)の外側方位置に配置されるため、出力軸(71)が主変速機(Tm)の外側を前後方向に延出して、主変速機(Tm)との干渉を防止しつつ出力軸(71)の動力を前後の駆動輪(2,3)に伝達し易い。
請求項6記載の車両用動力伝達装置によれば、変速駆動軸(61)に回転自在に軸支された前記リバース用駆動歯車(68)と一体にパーキンング用歯車(69)が設けられ、変速駆動機構(80)の駆動により作動する係止部材(116)がパーキンング用歯車(69)に係止してリバース用駆動歯車(68)およびアイドル歯車(57a,57b)を介して前記変速従動軸(71)の回転を規制するパーキング機構(110)が設けられるので、変速駆動機構(80)にパーキング機構(110)をコンパクトに組み込んで変速機の小型化を図ることができる。
本実施の形態に係るパワーユニットを搭載した不整地走行用車両の側面図である。 本パワーユニットの全体斜視図である。 同パワーユニットの前面図である。 同パワーユニットの動力伝達系の全体を示す動力伝達装置の断面図である。 副変速機の断面図(図3,図6のV−V線断面図)である。 副変速機の前側副変速機ケースを外した高速状態の前面図である。 副変速機の前側副変速機ケースを外したパーキング状態の前面図である。 シフトドラムの断面図である。 同シフトドラムの前面図である。 変速駆動機構およびパーキング機構の一部を示す斜視図である。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図10に基づいて説明する。
本実施の形態に係るパワーユニットPは、4輪駆動可能なルーフ付きの5人乗り不整地走行用車両1に搭載されるものである。
図1を参照して、不整地走行用車両1は、不整地用の低圧のバルーンタイヤが装着される前輪2,2と後輪3,3がそれぞれ左右一対車体フレーム5の前後に懸架されている。
車体フレーム5の前後中央位置に、パワーユニットPが内燃機関Eのクランク軸21を前後方向に指向させて搭載されており、パワーユニットPの出力軸71が前後に突出しており、同出力軸71の回転動力は、出力軸71の前端から前ドライブシャフト6および前ファイナルリダクションギヤユニット7を介して左右の前輪2,2に伝達され、後端から後ドライブシャフト8および後ファイナルリダクションギヤユニット9を介して左右の後輪3,3に伝達される。
なお、前ファイナルリダクションギヤユニット7には前輪への動力伝達を断接して2輪駆動と4輪駆動の切換えを行うクラッチが組み込まれている。
パワーユニットPの上方を前シート11が左右に3席並んで配置され、車体フレーム5の後部に後シート12が左右に2席配置されている。
前シート11の中央の席が運転席であり、若干左右の席より前方に出ている。
この運転席の前方にステアリングコラム14から突出して操舵ハンドル15が設けられている。
前シート11と後シート12の上方はルーフ16が覆っている。
この不整地走行用車両1に搭載されるパワーユニットPは、直列2気筒の水冷式4ストロークの内燃機関Eに主変速機Tmと副変速機Tsが組み合わされて動力伝達装置20が構成されている。
そして、パワーユニットPは、内燃機関Eのクランク軸21を車体前後方向に指向させた所謂縦置きの姿勢で、車体フレーム5に搭載されている。
図2および図3を参照して、パワーユニットPは、内燃機関Eのクランク軸21を軸支するクランクケース22の斜め右上方にシリンダブロック23,シリンダヘッド24,シリンダヘッドカバー25が順次重ねられて突出している。
クランクケース22は右方に膨出して主変速機Tmを収容する主変速機ケース22tを構成している。
この主変速機Tmは、内燃機関Eのクランク軸21の右方に位置し、主変速機Tmの前方に略重なって副変速機Tsが突設されている。
本動力伝達装置20の全体を図4に断面図で示す。
内燃機関Eのシリンダブロック23には、2本のシリンダが前後直列に並んで形成され、各シリンダボア内を往復摺動するピストン26とクランク軸21とをコンロッド27が連結して、ピストン26の往復動をクランク軸21の回転に変換して出力する。
前後方向に指向するクランク軸21の前端部にプライマリ駆動歯車28が嵌着されている。
クランク軸21の右方に位置する主変速機Tmのメイン軸31は、長尺のメイン軸内筒31aの外周にメイン軸外筒31bとクラッチ部外筒31cが左右に並んで回転自在に嵌合して構成されている。
メイン軸31には6個の駆動変速ギヤ31gが設けられ、カウンタ軸32には駆動変速歯車31gに対応して、これらと常時噛み合う6個の被動変速ギヤ32gが設けられている。
奇数変速段の駆動変速歯車31gはメイン軸内筒31aに、偶数変速段の駆動変速歯車31gはメイン軸外筒31bに設けてある。
第1クラッチ30aと第2クラッチ30bとからなる一対のツインクラッチ30はクラッチ部外筒31c上に構成されており、クラッチ部外筒31cの中央にプライマリ従動歯車29、その両側に第1クラッチ30aと第2クラッチ30bのクラッチアウタ30ao、30boがスプライン嵌合して軸方向の移動を規制されて設けられている。
中央のプライマリ従動歯車29がクランク軸21に設けられたプライマリ駆動歯車28に噛合する。
そして、第1クラッチ30aのクラッチインナ30aiはメイン軸内筒31aに軸方向の移動を規制されてスプライン嵌合され、第2クラッチ30bのクラッチインナ30biはメイン軸外筒31bに軸方向の移動を規制されてスプライン嵌合されている。
クラッチアウタ30ao(30bo)側の一緒に回転する駆動摩擦板とクラッチインナ30ai(30bi)側の一緒に回転する被動摩擦板とを交互に配列した摩擦板群30af(30bf)を加圧プレート30ap(30bp)が加圧可能である。
加圧プレート30ap,30bpを選択的に駆動する油圧回路が、メイン軸内筒31aとクラッチ部外筒31cおよび右クランクケースカバーに形成されている。
加圧プレート30apが駆動されて摩擦板群30afが加圧されると、第1クラッチ30aが接続し、プライマリ従動ギヤ29に入力された動力がメイン軸内筒31aに伝達され、奇数変速段の駆動変速歯車31gが回転する。
他方、加圧プレート30bpが駆動されて摩擦板群30bfが加圧されると、第2クラッチ30bが接続し、プライマリ従動ギヤ29に入力された動力がメイン軸外筒31bに伝達され、偶数変速段の駆動変速歯車31gが回転する。
メイン軸31に軸支される6個の駆動変速ギヤ31gのうち2個は、軸方向に摺動するシフタ歯車であり、カウンタ軸32に軸支される6個の被動変速ギヤ32gのうち2個は、軸方向に摺動するシフタ歯車である。
カウンタ軸32上の2個のシフタ歯車を移動させるシフトフォーク33,33がシフトフォーク軸33aに軸支されて設けられる。
メイン軸31上の2個のシフタ歯車を移動させるシフトフォーク33,33およびシフトフォーク軸も、図示されていないが設けられている。
4つのシフトフォーク33は、シフトドラム34の回動により外周面に形成された案内溝に案内されて移動して有効に動力伝達される歯車の噛み合いを切り換える。
シフトドラム34は変速用モータ35により回動する。
変速用モータ35の駆動力は、減速歯車機構36を介してシフトスピンドル37の回動に伝達され、シフトスピンドル37の回動が間欠送り機構38を介してシフトドラム34の回動に伝達される。
したがって、主変速機Tmは、ツインクラッチ30の油圧制御と、変速用モータ35の駆動制御により、1速から6速の変速段を円滑に切り換えて変速することができる。
主変速機Tmの出力軸は、カウンタ軸32であり、カウンタ軸32はクランクケース22の前側壁22fを前方に貫通して、その突出した前端に主変速機出力歯車39が嵌着されている。
本パワーユニットPは、この主変速機Tmの前方に副変速機Tsが設けられている。
副変速機Tsは、前後割りとされた前側副変速機ケース41と後側副変速機ケース42が合体されて、内部に構成される。
副変速機Tsは、カム式トルクダンパ52を備えている。
図5は、副変速機Tsの構造を示す断面図である。
副変速機Tsの互いに変速歯車を噛み合わせる変速駆動軸61と変速従動軸71およびカム式トルクダンパ52を支持するダンパ軸51等の回転支軸がクランク軸21と平行で前後方向に指向して、前後端が前側副変速機ケース41と後側副変速機ケース42に軸支され架設される。
ダンパ軸51が、副変速機Tsの入力軸に相当し、副変速機Tsの左右幅方向の中央の上部に配設され(図6参照)、図5に示すように、中央のフランジ51cより前方の前側ダンパ軸51fが後方の後側ダンパ軸51rより外径が大きく、前側ダンパ軸51fの前端が前側副変速機ケース41の軸受凹部43fhに嵌入されたベアリング43fにより軸支され、後側ダンパ軸51rの後部が後側副変速機ケース42の軸受孔43rhに嵌入されたベアリング43rにより軸支されて、ダンパ軸51が回転自在に架設される。
後側ダンパ軸51rはベアリング43rを貫通して後方に突出し、突出した後端部に副変速機入力歯車50が嵌着されている。
この副変速機入力歯車50が主変速機出力歯車39と噛合して主変速機Tmの出力が副変速機Tsの副変速機入力歯車50に入力される。
カム式トルクダンパ52は、後側ダンパ軸51rに設けられている。
後側ダンパ軸51rには、カム部材53がスプライン嵌合されて、相対回転が規制され軸方向に摺動可能に軸支され、同カム部材53の後方に対向してカムフォロワ歯車部材54が軸方向の移動が規制され相対回転可能に軸支されて設けられている。
カム部材53は、カムフォロワ歯車部材54に向けてカム凸部53aが傾斜したカム面を有して突出形成されている。
カムフォロワ歯車部材54は、カム部材53のカム凸部53aのカム面に接する凹部を有するとともに、外周部に歯車が形成されている。
そして、カム部材53とフランジ51cとの間に介装されたコイルスプリング55によりカム部材53が後方のカムフォロワ歯車部材54に向けて付勢されてカム部材53のカム凸部53aのカム面がカムフォロワ歯車部材54の凹部に接するようにしている。
したがって、副変速機入力歯車50からダンパ軸51に入力されたトルクが急激に増減したような場合でも、カム式トルクダンパ52のカム部材53とカムフォロワ歯車部材54との間で緩衝作用が働き、カムフォロワ歯車部材54の下流側の変速機構への影響を抑え、変速を円滑に行えるようにすることができる。
前側ダンパ軸51fには、中間円筒歯車部材57が相対回転自在に軸支されている。
中間円筒歯車部材57には、大径アイドル歯車57aと小径アイドル歯車57bが前後に一体に形成されている。
副変速機Tsの互いに変速歯車を噛み合わせる変速駆動軸61と変速従動軸71のうち変速駆動軸61は、ダンパ軸51の下方に軸方向同じ位置で平行に配設される(図5,図6参照)。
図5に示すように、変速駆動軸61は、前端が前側副変速機ケース41の軸受凹部44fhに嵌入されたベアリング44fにより軸支され、後端が後側副変速機ケース42の軸受孔44rhに嵌入されたベアリング44rにより軸支されて回転自在に架設される。
変速駆動軸61の後部にベアリング44rに沿って駆動軸入力歯車60が定位置にスプライン嵌合されて設けられ、同駆動軸入力歯車60がダンパ軸51に軸支されたカムフォロワ歯車部材54と噛合して、カム式トルクダンパ52を経た動力が変速駆動軸61に入力される。
変速駆動軸61には、後部の駆動軸入力歯車60の前側に隣接して高速駆動歯車62が回転自在に軸支されるとともに、中央に低速駆動歯車65が回転自在に軸支され、前部にリバース用駆動歯車68が回転自在に軸支されている。
そして、高速駆動歯車62と低速駆動歯車65との間に高低速切換シフタ部材63による高低速切換クラッチ機構が設けられている。
高低速切換シフタ部材63は、変速駆動軸61の軸方向所定位置にスプライン結合された円筒基部63aの外周に直動ベアリング63bを介して軸方向に移動自在に軸支され、前後両側に向けて形成されたクラッチ歯63t,63tの間にシフトフォーク溝63vが形成されている。
後側のクラッチ歯63tに対向してクラッチ受部材64Hが高速駆動歯車62に嵌着されて設けられ、前側のクラッチ歯63tに対向してクラッチ受部材64Lが低速駆動歯車65に嵌着されて設けられている。
したがって、高低速切換シフタ部材63が後方に移動すれば、後側クラッチ歯63tが高速駆動歯車62に嵌着されたクラッチ受部材64Hに噛み合い、変速駆動軸61とともに高速駆動歯車62を回転し、高低速切換シフタ部材63が前方に移動すれば、前側クラッチ歯63tが低速駆動歯車64に嵌着されたクラッチ受部材64Lに噛み合い、変速駆動軸61とともに低速駆動歯車64を回転する。
高低速切換シフタ部材63がクラッチ受部材64H,64Lの間の中央にいずれとも噛み合わずに位置すると、変速駆動軸61の回転は高速駆動歯車62および低速駆動歯車64のいずれにも伝達されない。
一方、低速駆動歯車65とリバース用駆動歯車68との間には前後進切換シフタ部材66による前後進切換クラッチ機構が設けられている。
前後進切換シフタ部材66は、高低速切換シフタ部材63と同様に、変速駆動軸61の軸方向所定位置にスプライン結合された円筒基部66aの外周に直動ベアリング66bを介して軸方向に移動自在に軸支され、前後両側に向けて形成されたクラッチ歯66t,66tの間にシフトフォーク溝63vが形成されている。
前後進切換シフタ部材66の前側のクラッチ歯66tに対向してクラッチ受部材67Rがリバース用駆動歯車68に嵌着されて設けられている。
前後進切換シフタ部材66の後側のクラッチ歯66tは噛み合う相手がない。
したがって、前後進切換シフタ部材66が後方に位置すれば、後側クラッチ歯66tは噛み合う相手がなく、変速駆動軸61の回転は前後進切換シフタ部材66を介して伝達されることはなく、前記高低速切換シフタ部材63を介しての前進に係る高速駆動歯車62または低速駆動歯車64への伝達のみとなる。
前後進切換シフタ部材66が前方に移動すると、前側クラッチ歯66tがリバース用駆動歯車68に嵌着されたクラッチ受部材67Rに噛み合い、変速駆動軸61とともにリバース用駆動歯車68を回転する。
リバース用駆動歯車68は、前記ダンパ軸51に相対回転自在に軸支された中間円筒歯車部材57の大径アイドル歯車57aに噛み合っている。
また、変速駆動軸61の前端を軸支するベアリング44fの後方にリバース用駆動歯車68の前側に隣接してパーキング用歯車69が、リバース用駆動歯車68に嵌着されて設けられている。
副変速機Tsの左右幅方向の中央に上下に配設されたダンパ軸51と変速駆動軸61の右方(図6の正面視では左方)に、変速従動軸71が変速駆動軸61と平行に配設される。
図5に示すように、変速従動軸71は、前部が前側副変速機ケース41の軸受孔45fhに嵌入されたベアリング45fを貫通して軸支され、後部が後側副変速機ケース42の軸受孔45rhに嵌入されたベアリング45rを貫通して軸支され、前後端を前後に突出させて回転自在に架設される。
変速従動軸71の後部でベアリング45rに沿って高速従動歯車72が定位置にスプライン嵌合されて設けられ、変速従動軸71の中央で前側のベアリング45fとの間にカラー部材74を介した定位置に低速従動歯車75がスプライン嵌合されて設けられている。
したがって、高速従動歯車72と低速従動歯車75は軸方向所定位置で変速従動軸71と一体に回転する。
高速従動歯車72と低速従動歯車75は、変速駆動軸61に回転自在に軸支される高速駆動歯車62と低速駆動歯車65にそれぞれ常時噛み合っている。
また、低速従動歯車75は、前記ダンパ軸51に相対回転自在に軸支された中間円筒歯車部材57の小径アイドル歯車57bにも噛み合っている。
したがって、変速駆動軸61上のリバース用駆動歯車68の回転は、ダンパ軸51上の中間円筒歯車部材57の大径アイドル歯車57aと小径アイドル歯車57bを介して回転方向を後進方向にして低速従動歯車75に伝達して変速従動軸71を後進方向に回転できる。
変速従動軸71は、副変速機Tsの前側副変速機ケース41と後側副変速機ケース42を前後に貫通して前後端を前後に突出した副変速機Tsの出力軸であり、かつパワーユニットPの出力軸71でもある。
すなわち、変速従動軸(出力軸)71の前端は前ドライブシャフト6に連結され、変速従動軸71の後端は後ドライブシャフト8に連結されて、前輪2,2と後輪3,3に動力が伝達される。
前記変速駆動軸61上の高低速切換シフタ部材63および前後進切換シフタ部材66を軸方向に移動する変速駆動機構80が、変速駆動軸61の左方(図6で右方)すなわちクランク軸21側に設けられている。
高低速切換シフタ部材63のシフトフォーク溝63vに嵌合するシフトフォーク82と前後進切換シフタ部材66のシフトフォーク溝66vに嵌合するシフトフォーク83を貫通して軸方向に摺動自在に軸支するシフトフォーク軸81が、前後端を前側副変速機ケース41と後側副変速機ケース42の各軸穴46fh,46rhに嵌入して架設される。
前後のシフトフォーク83とシフトフォーク82との間にはコイルスプリング84が介装されてシフトフォーク82とシフトフォーク83を互いに離間する方向に付勢しており、シフトフォーク82,83により移動するシフタ部材63,66のクラッチ歯の噛み合いを円滑にしている。
前後のシフトフォーク83とシフトフォーク82との間にはコイルスプリング84が介装されてシフトフォーク82とシフトフォーク83を互いに離間する方向に付勢している。
シフトフォーク軸81のさらに左方にシフトドラム90が設けられている。
シフトドラム90は、図8ないし図10に示すように、円筒状をしたドラム本体91の前後両端に中心軸上にドラム支軸92,93を前後に突出させて設けている。
前側のドラム支軸92は後端の拡径部であるドラム端壁92wをドラム本体91の前端開口に嵌入して取り付けられ、後側のドラム支軸93は前端のドラム端壁が外周に凹凸カム面をなす花形カム部93wを形成してドラム本体91の後端部にピン部材94により結合されている。
なお、ドラム端壁92wから長尺に延出するドラム支軸92にはシフトドラム入力歯車95が嵌着されている。
ドラム本体91の外周面には、前後に周方向に所要の形状をもって案内溝91f,91rが形成されており、同案内溝91f,91rに前記シフトフォーク82,83の同じ方向に突出して形成された係合ピン部82p,83pが摺動可能に係合し、シフトドラム90の回転によりシフトフォーク82,83がそれぞれ案内溝91f,91rに案内されて軸方向に移動して高低速切換シフタ部材63および前後進切換シフタ部材66を移動して変速を行う。
ドラム本体91の外周面には、この周方向に形成された案内溝91f,91rに直交する軸方向に指向した作業溝91sが、一方の端面から他方の端面まで形成されている。
この作業溝91sは、変速駆動機構80を組付けるときに利用される。
以上のようなシフトドラム90は、図5に示すように、前側のドラム支軸92が前側副変速機ケース41の軸孔47fhに貫通して軸支され、後側のドラム支軸93が後側副変速機ケース42の軸受凹部47rhに嵌入されたベアリング47rにより軸支され、回転自在に架設される。
前側副変速機ケース41は軸孔47fhのさらに前方に凹部47dが形成されていて、同凹部47dにシフトポジションセンサ96が嵌合支持され、同シフトポジションセンサ96の駆動軸がドラム支軸92に同軸で連結され、シフトドラム90の回動角度を同シフトポジションセンサ96が検出する。
図5を参照して、シフトフォーク軸81の下方にシフトスピンドル101が、前端を前側副変速機ケース41の軸孔48fhを貫通させ、後端を後側副変速機ケース42の軸穴48rhに嵌入して回転自在に架設される。
前側副変速機ケース41より前方に突出したシフトスピンドル101の前端に、手動によるシフト操作が作動してシフトスピンドル101が回動する。
シフトスピンドル101の所定位置に扇形をしたギヤシフトアーム102が嵌着され、ギヤシフトアーム102は、シフトドラム90のドラム支軸92に嵌着されたシフトドラム入力歯車95に噛合する。
また、シフトスピンドル101には前側副変速機ケース41の軸孔48fhに沿ってパーキング作動アーム111が揺動可能に軸支されており、シフトスピンドル101とパーキング作動アーム111との間にはトーションスプリング113が介装されてシフトスピンドル101の回動はトーションスプリング113を介してパーキング作動アーム111の揺動に伝達される。
パーキング作動アーム111の先端にはローラ112が回転自在に軸支されている。
図6を参照して、シフトスピンドル101の右方で変速駆動軸61の下方にレバー支軸115が、前後方向に指向して前側副変速機ケース41と後側副変速機ケース42に前後端を支持されて架設されており、同レバー支軸115に基端を軸支されたパーキング係止レバー116が揺動自在に軸支されている。
前面視である図6を参照して、パーキング係止レバー116は、変速駆動軸61に軸支されたパーキング用歯車69と前後軸方向で同じ位置にあって、レバー支軸115に軸支される基端部から、パーキング用歯車69とパーキング作動アーム111との間を斜め上方に延出して設けられている。
パーキング係止レバー116は、レバー支軸115に巻回されたトーションスプリング117により前面視で時計回りに付勢され、前側副変速機ケース41から所定位置で突設されたストッパ118により先端が接して揺動が規制されている。
パーキング係止レバー116のパーキング用歯車69に向いた辺に係止突起116aが突出形成され、反対側のパーキング作動アーム111に向いた辺には、パーキング作動アーム111の先端のローラ112が接するパーキング用傾斜面116pとリバース用凹面116rが形成されている(図6,図7参照)。
パーキング作動アーム111,パーキング係止レバー116およびパーキング用歯車69によりパーキング機構110が構成されている。
図6は、副変速機Tsが前進高速状態にあるときを示しており、パーキング係止レバー116は、トーションスプリング117により付勢されたパーキング係止レバー116はストッパ118に接してパーキング用歯車69から離れて停止している。
シフトスピンドル101が回動してパーキング作動アーム111が揺動し、パーキング作動アーム111の先端のローラ112がパーキング係止レバー116のパーキング用傾斜面116pに当接して転動すると、パーキング係止レバー116を揺動し、パーキング係止レバー116の係止突起116aがパーキング用歯車69に押圧され、パーキング用歯車69の歯間の溝に嵌合することでパーキング用歯車69に係止して回転を禁止する。
図7は、このパーキング用歯車69の回転を禁止したパーキング状態を示している。
すなわち、パーキング用歯車69の回転が禁止されると、図5を参照して、パーキング用歯車69と一体のリバース用駆動歯車68がともに回転が規制され、リバース用駆動歯車68と噛合する大径アイドル歯車57aおよびこれと一体の中間円筒歯車部材57,小径アイドル歯車57b、さらに小径アイドル歯車57bと噛み合う低速従動歯車75も回転が規制されることになり、低速従動歯車75が嵌着された出力軸である変速従動軸71が固定されてパーキング状態となる。
なお、図7に2点鎖線で示すように、パーキング状態からさらにパーキング作動アーム111が揺動すると、パーキング作動アーム111の先端のローラ112がパーキング係止レバー116のリバース用凹面116rに嵌合して、パーキング係止レバー116がトーションスプリング117の付勢力により揺動してパーキング用歯車69から離れ、係止突起116aの係止が解かれ、パーキング状態が解除されてリバース状態となる。
リバース状態では、シフトドラム90の回動で前後進切換シフタ部材66がクラッチ受部材67Rと噛み合い変速駆動軸61の回転をリバース用駆動歯車68に伝達し、リバース用駆動歯車68と噛合する大径アイドル歯車57aおよびこれと一体の中間円筒歯車部材57,小径アイドル歯車57b、さらに小径アイドル歯車57bと噛み合う低速従動歯車75にも伝達され、中間円筒歯車部材57を介することで変速従動軸(出力軸)71に後進回転として伝達する。
本副変速機Tsは、図7に示すパーキング状態からシフトスピンドル101が手動により図7に示す前面視で時計回りに回動されると、パーキング作動アーム111の時計回りの揺動で、先端のローラ112がパーキング係止レバー116のパーキング用傾斜面116pから外れ、パーキング係止レバー116の時計回りの揺動で係止突起116aの係止が解かれパーキング状態が解除されるとともに、ギヤシフトアーム102が時計回りに揺動してシフトドラム入力歯車95を介してシフトドラム90を反時計回りに回動し、シフトドラム90の案内溝91f,91rにシフトフォーク82,83がそれぞれ案内されて、高低速切換シフタ部材63が軸方向前方に移動してクラッチ受部材64Lに噛み合って変速駆動軸61の回転を低速駆動歯車65に伝達し、さらに同低速駆動歯車65と噛合する低速従動歯車75および変速従動軸(出力軸)71に伝達する低速前進状態とする。
なお、低速前進状態では前後進切換シフタ部材66は、クラッチ受部材67Rと噛合していない。
シフトスピンドル101がさらに時計回りに回動され、ギヤシフトアーム102が時計回りに揺動して、図6に示す状態になると、シフトドラム90の回動で、案内溝91rにシフトフォーク82が案内されて高低速切換シフタ部材63が軸方向後方に移動してクラッチ受部材64Hに噛み合って変速駆動軸61の回転を高速駆動歯車62に伝達し、さらに同高速駆動歯車62と噛合する高速従動歯車72および変速従動軸(出力軸)71に伝達する高速前進状態とする。
なお、高速前進状態でも前後進切換シフタ部材66は、クラッチ受部材67Rと噛合していない。
本副変速機Tsは、手動により以上のような変速操作が行われる。
なお、高速前進状態は2輪駆動で、低速前進状態および後進状態は4輪駆動で運転される。
本パワーユニットPの動力伝達装置20における変速駆動軸61と変速従動軸71の間で変速駆動歯車62,65と変速従動歯車72,75の噛み合いによって変速して動力を伝達する副変速機Tsは、カム式トルクダンパ52を支持するダンパ軸51が、変速駆動軸61および変速従動軸71に平行に軸方向同じ位置に回転自在に軸支されるので、ダンパ軸51およびダンパ軸51に支持されるカム式トルクダンパ52を、変速駆動軸61および変速従動軸71の軸幅内すなわち前側副変速機ケース41と後側副変速機ケース42の副変速機ケース内に収めて副変速機Tsの軸方向に拡大するのを回避することができる。
その上、変速駆動軸61上のリバース用駆動歯車68と変速従動軸71上のリバース用従動歯車である低速従動歯車75との間に介装されて動力を伝達可能とする大径アイドル歯車57a,小径アイドル歯車57bが、該ダンパ軸51にカム式トルクダンパ52と軸方向に隣り合って回転自在に軸支されるので、ダンパ軸51を大径アイドル歯車57a,小径アイドル歯車57bの軸支に利用することで、支軸を減らして後進可能な動力伝達系をコンパクト化して副変速機TsおよびパワーユニットPの小型化を図ることができる。
すなわち、ダンパ軸51における両側のベアリング43f,43rの間に、軸方向にカム式トルクダンパ52のカムフォロワ歯車部材54,カム部材53,コイルスプリング55および中間円筒歯車部材57が、順に配列されるので、ダンパ軸51を有効に利用して動力伝達系をコンパクト化している。
変速駆動軸61には、回転自在に高速駆動歯車62と低速駆動歯車65とリバース用駆動歯車68が軸支されるとともに、相対回転が規制されて軸方向に摺動して低速駆動歯車65と高速駆動歯車62と選択的に係合する高低速切換シフタ部材63および相対回転が規制されて軸方向に摺動してリバース用駆動歯車68と係脱する前後進切換シフタ部材66が軸支され、変速従動軸71には、高速駆動歯車62と低速駆動歯車65とそれぞれ噛み合う高速従動歯車72と低速従動歯車75が嵌着され、そして、低速従動歯車75がリバース用従動歯車として小径アイドル歯車57bと噛み合うので、変速従動軸71上の従動歯車数を減らすことができ、動力伝達系のコンパクト化を図ることができる。
なお、高速従動歯車72がリバース用従動歯車としてアイドル歯車と噛み合うようにしてもよい。
図6を参照して、副変速機Tsのダンパ軸51と変速駆動軸61が互いに上下に配置され、変速駆動軸61の内燃機関Eのクランク軸21側に変速駆動機構80が、上下に配置されたダンパ軸51と変速駆動軸61のクランク軸21とは反対側に変速従動軸71が配置されるので、動力伝達系と変速駆動機構80が集約的にコンパクトに纏められ、パワーユニットPの小型化を図ることができる。
また、上下に配置されたダンパ軸51と変速駆動軸61のクランク軸21と反対側に配置される変速従動軸71はパワーユニットPの外側方位置にパワーユニットPの出力軸として配置されることになり、出力軸71の動力を前後の駆動輪2,3に伝達し易い。
すなわち、パワーユニットPは、内燃機関Eのクランク軸21を前後方向に指向させて不整地走行用車両1に搭載され、パワーユニットPは、変速段を多段に切り換える主変速機Tmと副変速機Tsを前後に略重なるように配置し、主変速機Tmから副変速機Tsのダンパ軸51に動力が伝達されるので、図2に示すように、パワーユニットPの変速従動軸(出力軸)71がパワーユニットPの外側方位置(右側位置)に配置されるため、変速従動軸(出力軸)71が主変速機Tmの外側を前後方向に延出して、主変速機Tmとの干渉を防止して変速従動軸(出力軸)71の動力を前後の駆動輪2,3に伝達し易い。
変速駆動軸61に回転自在に軸支されたリバース用駆動歯車68と一体にパーキンング用歯車69が設けられ、変速駆動機構80の駆動により作動するパーキング係止レバー116がパーキンング用歯車69に係止してリバース用駆動歯車68および中間円筒歯車部材57を介して変速従動軸(出力軸)71の回転を規制するパーキング機構80が設けられるので、変速駆動機構80にパーキング機構110をコンパクトに組み込んで副変速機Tsの小型化を図ることができる。
P…パワーユニット、E…内燃機関、Tm…主変速機、Ts…副変速機、
1…不整地走行用車両、2…前輪、3…後輪、4…、5…車体フレーム、6…前ドライブシャフト、7…前ファイナルリダクションギヤユニット、8…後ドライブシャフト、9…後ファイナルリダクションギヤユニット、
10…、11…前シート、12…後シート、14…ステアリングコラム、15…操舵ハンドル、16…ルーフ、
20…動力伝達装置、21…クランク軸、22…クランクケース、23…シリンダブロック、24…シリンダヘッド、25…シリンダヘッドカバー、26…ピストン、27…コンロッド、28…プライマリ駆動歯車、29…プライマリ従動歯車、
30…ツインクラッチ、30a…第1クラッチ、30b…第2クラッチ、31…メイン軸、32…カウンタ軸、33…シフトフォーク、34…シフトドラム、35…変速用モータ、36…減速歯車機構、37…シフトスピンドル、38…間欠送り機構、39…主変速機出力歯車、
41…前側副変速機ケース、42…後側副変速機ケース、
50…副変速機入力歯車、51…ダンパ軸、52…カム式トルクダンパ、53…カム部材、54…カムフォロワ歯車部材、55…コイルスプリング、57…中間円筒歯車部材、57a…大径アイドル歯車、57b…小径アイドル歯車、
60…駆動軸入力歯車、61…変速駆動軸、62…高速駆動歯車、63…高低速切換シフタ部材、64H,64L…クラッチ受部材、65…低速駆動歯車、66…前後進切換シフタ部材、67R…クラッチ受部材、68…リバース用駆動歯車、69…パーキング用歯車、
71…変速従動軸(出力軸)、72…高速従動歯車、74…カラー部材、75…低速従動歯車、
80…変速駆動機構、81…シフトフォーク軸、82,83…シフトフォーク、84…コイルスプリング、
90…シフトドラム、91…ドラム本体、91f,91r…案内溝、91s…作業溝、92…ドラム支軸、93…ドラム支軸、94…ピン部材、95…シフトドラム入力歯車、96…シフトポジションセンサ、
101…シフトスピンドル、102…ギヤシフトアーム、110…パーキング機構、111…パーキング作動アーム、112…ローラ、113…トーションスプリング、114…、115…レバー支軸、116…パーキング係止レバー、117…トーションスプリング、118…ストッパ。

Claims (6)

  1. 互いに平行に回転自在に軸支された変速駆動軸(61)と変速従動軸(71)の間で変速歯車(62,65),(72,75)の噛み合いによって変速して動力を伝達する変速機(Ts)にカム式トルクダンパ(52)が備えられ、内燃機関(E)の動力が前記変速機(Ts)を介して駆動輪(2,3)へ伝達されるパワーユニット(P)における車両用動力伝達装置において、
    前記変速駆動軸(61)に動力を伝達する前記カム式トルクダンパ(52)を支持するダンパ軸(51)が、前記変速駆動軸(61)および前記変速従動軸(71)に平行に軸方向同じ位置に回転自在に軸支され、
    前記変速駆動軸(61)上の駆動歯車(68)と前記変速従動軸(61)上の従動歯車(75)との間に介装されて駆動輪(2,3)へ駆動力を伝達可能とするアイドル歯車(57a,57b)が、前記ダンパ軸(51)に前記カム式トルクダンパ(52)と軸方向に隣り合って回転自在に軸支されることを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記カム式トルクダンパ(52)は、
    前記ダンパ軸(51)に相対回転が規制され軸方向に摺動可能に軸支される傾斜したカム凸部を有するカム部材(53)と、
    前記ダンパ軸(51)に軸方向の移動が規制され相対回転可能に軸支され前記変速駆動軸(61)に動力伝達するカムフォロワ歯車部材(54)と、
    前記カム部材(53)を軸方向に付勢して前記カムフォロワ歯車部材(54)に前記カム凸部の傾斜したカム面を接して噛み合わせるコイルスプリング(55)とからなり、
    前記ダンパ軸(51)における両側の軸受(43f,43r)の間に、軸方向に前記カムフォロワ歯車部材(54),前記カム部材(53),前記コイルスプリング(55),前記アイドル歯車(57a,57b)が、順に配列されることを特徴とする請求項1記載の車両用動力伝達装置。
  3. 前記変速駆動軸(61)には、回転自在に高速駆動歯車(62)と低速駆動歯車(65)と前記駆動歯車(68)としてのリバース用駆動歯車(68)が軸支されるとともに、相対回転が規制されて軸方向に摺動して前記低速駆動歯車(65)と前記高速駆動歯車(62)のいずれかと選択的に係合する高低速切換シフタ部材(63)および相対回転が規制されて軸方向に摺動して前記リバース用駆動歯車(68)と係脱する前後進切換シフタ部材(66)が軸支され、
    前記変速従動軸(71)には、前記高速駆動歯車(62)と前記低速駆動歯車(65)とそれぞれ噛み合う高速従動歯車(72)と低速従動歯車(75)が嵌着され、
    前記高速従動歯車(72)と前記低速従動歯車(75)のいずれか一方が前記従動歯車(75)としてのリバース用従動歯車(75)として前記アイドル歯車(57a,57b)と噛み合うことを特徴とする請求項2記載の車両用動力伝達装置。
  4. 前記変速機(Ts)の前記ダンパ軸(51)と前記変速駆動軸(61)が互いに上下に配置され、
    前記変速駆動軸(61)の前記内燃機関(E)の前記クランク軸(21)側に前記高低速切換シフタ部材(63)および前記前後進切換シフタ部材(66)を駆動する変速駆動機構(80)が配置され、
    上下に配置された前記ダンパ軸(51)と前記変速駆動軸(61)の前記クランク軸(21)と反対側に前記変速従動軸(71)がパワーユニット(P)の出力軸として配置されることを特徴とする請求項3記載の車両用動力伝達装置。
  5. 前記パワーユニット(P)は、前記内燃機関(E)のクランク軸(21)を前後方向に指向させて車両に搭載され、
    前記パワーユニット(P)は、変速段を多段に切り換える主変速機(Tm)と前記変速機を副変速機(Ts)として互いに前後に略重なるように備え、
    前記主変速機(Tm)から前記副変速機(Ts)の前記ダンパ軸(51)に動力が伝達されることを特徴とする請求項4記載の車両用動力伝達装置。
  6. 前記変速駆動軸(61)に回転自在に軸支された前記リバース用駆動歯車(68)と一体にパーキンング用歯車(69)が設けられ、
    前記変速駆動機構(80)の駆動により作動する係止部材(116)が前記パーキンング用歯車(69)に係止して前記リバース用駆動歯車(68)および前記アイドル歯車(57a,57b)を介して前記変速従動軸(71)の回転を規制するパーキング機構(110)が設けられることを特徴とする請求項4または請求項5記載の車両用動力伝達装置。
JP2012215028A 2012-09-27 2012-09-27 車両用動力伝達装置 Pending JP2014070649A (ja)

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