JP5868225B2 - 収納ケース - Google Patents

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本発明は、常温揮散性薬剤を含浸した粒状物を封入した封入体を収納するための収納ケースに係り、より詳しくはケース内部にガイド部材を設けることによって粒状物の片寄りを防止し、その結果一定量の薬剤成分を長期に渡って安定して揮散させることができる収納ケースに関するものである。
また、ケース側面に封入体の挿入口を設けることによって封入体を破ることなく簡単にケース内にセットすることができるとともに、ガイド部材によって挟持することによって長期間の使用においても封入体の破損を防止することができる収納ケースに関するものである。
揮散性の薬剤を含浸させた粒状物を不織布等で作製した袋に封入し、その封入体をケースに収納することによって使用する薬剤揮散体は従来から知られており、例えば特許文献1においてはこのような封入体を収納する収納ケース(収納体)が開示されている。
ここで、特許文献1に記載の収納ケースは、ヒンジによって連結された2枚の側面板によって構成されており、かかる側面板をたたむ様にして封入体を挟み込むことによって使用するものとなっている。
特開平10−28508号公報
しかしながら、特許文献1に記載の収納ケースは、封入体内の粒状物に片寄りがある状態で側面板をたたんでしまうと、線状挟持部材などによって封入体を構成する袋が破れてしまい、内容物である粒状物が収納ケースの外部に飛び散ってしまうという恐れがあった。
また、封入体は線状挟持部材によって収納ケース内において固定されることになるが、当該線状挟持部材は、特許文献1の図1または図2に示すように収納ケースの開口部分の一部に、一定の方向性を持つこともなく設けられているものである。従って、収納ケース内の封入体は、線状挟持部材によって挟持されている部分やその近傍においては粒状物の片寄りは生じないものの、線状挟持部材によって挟持されていない部分については粒状物が封入体内で動くことになり、ハンガーポールなどに吊るした場合などにはかかる部分について粒状物の片寄りが発生し、その結果薬剤成分の揮散効率が低下してしまうという問題もあった。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、ケース内部にガイド部材を設けることによって粒状物の片寄りを防止し、その結果一定量の薬剤成分を長期に渡って安定して揮散させることができる収納ケースの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る収納ケースは、常温揮散性薬剤を含浸した粒状物を封入した封入体を収納するための略直方体の収納ケースであって、収納ケースの一の側面に、封入体を挿入するための挿入口が設けられており、収納ケースの内部に、挿入口から挿入した封入体を、粒状物の片寄りを防止するように挟持するための複数組のガイド部材が、挿入口の方向に沿って互いに対向するように延設されていることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る収納ケースは、ガイド部材が、板状であり、かつ前記挿入口方向に向かって直線状または曲線状に高さが低くなるように傾斜したものであることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る収納ケースは、ガイド部材が、板状であり、かつ上端部が側面視において波状、三角形状、台形状、凸状あるいはこれらの形状の組み合わせで構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る収納ケースは、ガイド部材によって形成される間隔のうち最も狭い間隔が、粒状物の粒径の1倍〜4倍であることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る収納ケースは、請求項2に記載の収納ケースにおいて、ガイド部材によって形成される間隔のうち最も狭い間隔が、粒状物の粒径の1倍〜4倍であり、かつ板状ガイド部材によって形成される間隔のうち最も広い間隔が、粒状物の粒径の2倍〜4倍であることを特徴とする。
本発明の請求項1に係る収納ケースによれば、収納ケースの内部に粒状物の片寄りを防止するためのガイド部材を複数組設けることによって、一定量の常温揮散性薬剤を長期に渡って安定して揮散させることができ、揮散効率の向上を実現することができる。
また、ケース側面に封入体の挿入口を設けることによって封入体を破ることなく簡単にケース内にセットすることができるとともに、ガイド部材によって挟持することによって長期間の使用においても封入体の破損を防止することができる。
さらに、収納空間の隙間に場所を取らずに設置することができる。
本発明の請求項2、請求項3に係る収納ケースによれば、ガイド部材の形状を特定形状とすることによって、粒状物の片寄りを防止しつつ、封入体を点接触または線接触の状態で挟持することができ、その結果、常温揮散性薬剤の揮散効率をより向上させることができる。
本発明の請求項4、請求項5に係る収納ケースによれば、ガイド部材によって形成される間隔を特定の範囲とすることで、粒状物の片寄りをより効果的に防止することができ、その結果さらに常温揮散性薬剤の揮散効率を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態に係る収納ケースの模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る収納ケースを構成する第1ケース部材の内面を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係る収納ケースを構成する第2ケース部材の内面を示す模式図である。 本発明の収納ケースに封入体を挿入する際の状態を示す模式図である。 本発明の収納ケースに封入体を挿入した際における封入体内の粒状物の状態を示す断面模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る収納ケースを示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る収納ケースを構成する第1ケース部材の内面を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る収納ケースを構成する第2ケース部材の内面を示す模式図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。図1は本発明の第1の実施形態に係る収納ケースの模式図であり、図2は本発明の第1の実施形態に係る収納ケースを構成する第1ケース部材の内面を示す模式図であり、図3は本発明の第1の実施形態に係る収納ケースを構成する第2ケース部材の内面を示す模式図である。
(第1の実施形態)
最初に、本発明の収納ケースの基本的な構造を図1〜図3に示した第1の実施形態に基づいて説明する。
(収納ケース)
図1〜図3に示す通り、収納ケース1aは第1ケース部材2と第2ケース部材3によって構成されている。具体的には、第1ケース部材2の内面の四隅には凹状部材4が、第2ケース部材3の内面の四隅には凸状部材5がそれぞれ設けられており、かかる凸状部材5と凹状部材4とが嵌合することによって収納ケース1aが構成されている。
なお、本実施形態においては、2つのケース部材を嵌合することによって収納ケース1aを構成しているが、これに限定されるものではなく、3以上のパーツを用いて構成するものであってもよいし、射出成形などによって一体成型品として構成するものであってもよい。
収納ケース1aの一の側面には、常温揮散性薬剤を含浸した粒状物6を封入した封入体7を収納ケース1a内に挿入するための挿入口8が設けられている。なお、本実施形態においては、収納ケース1aの長尺方向の側面に挿入口8を設けているが、これに限定されるものではなく、短尺方向の側面に設けることもできる。
収納ケース1aの正面、背面、側面には粒状物6から揮散した常温揮散性薬剤を収納ケース1aの外部に揮散させるための開口部9が設けられている。ここで、各面における開口部9の占める面積(開口率)は、揮散効率の点から、各面の30〜70%であることが好ましい。
また、収納ケース1aの側面には、収納ケース1aを押し入れ等の収納空間において立てた状態で使用できるように楕円形状の足部10が設けられている。
さらに、収納ケース1aの正面には使用期間の終わりを示すスライド式のインジケーター11が設けられている。
(ガイド部材)
収納ケース1aの内部(本実施形態においては第1ケース部材2と第2ケース部材3の内面部)には、封入体7内に封入されている粒状物6の片寄りを防止しつつ、封入体7を挟持するための複数組のガイド部材12aが挿入口8の方向に沿って互いに対向するように延設されている。
ここで、図1〜図3に示す本実施形態においては、板状で、かつ挿入口8方向に向かって直線状に高さが低くなるように傾斜した形状の複数組のガイド部材12aを挿入口8の方向に沿って互いに対向するように延設しているが、かかるガイド部材12aの形状としては、封入体7を内容物である粒状物6の片寄りを防止しつつ挟持することができるものであれば特に限定されるものではなく、板状や棒状など各種の形状のものを採用することができる。
なお、これらの中でも挟持した際のガイド部材12aと封入体7との接触面積を少なくでき、粒状物6からの常温揮散性薬剤の揮散を効率的に行うことができる点から、板状のものを使用することが好ましい。
また、本実施形態においては直線状に傾斜した板状部材をガイド部材12aとしているが、封入体7を挟持できれば曲線状に傾斜しているものを採用することもできる。具体的には、後記する対向するガイド部材を側面視した場合において、逆釣鐘状や漏斗状などになる形状を採用することができる。
さらに、封入体7を収納ケース1aの内部で挟持できれば、ガイド部材12aを収納ケース1aの内部の片面にのみ設けることもできるが、上記した挟持した際の封入体7との接触面積を少なくすることができ、粒状物6からの常温揮散性薬剤の揮散を効率的に行うことができる点から、収納ケース1aの内部の両面に設けることが好ましい。
ここで、ガイド部材12aを収納ケース1aの内部の両面に設ける際には、封入体7を効率よく挟持するために、ガイド部材12aを互いに対向するように延設することが好ましいが、ガイド部材12aが収納ケース1aの内部において封入体7を挟持できるように向き合っていれば、組となっているガイド部材12aが収納ケース1aの内部において真正面の位置で向き合っている必要はなく、真正面の位置から多少ずれていて向き合っていても構わない。
さらに、図1〜図3においては図示していないが、ガイド部材12aの上端部を断面視において円弧状などの丸みを持たせた形状とすれば、封入体7とガイド部材12aとの接触面積が少なくなり、封入体7をよりスムースに収納ケース1aの内部に挿入することができるので好適である。
なお、本発明の収納ケース1aに設けられるガイド部材12aは、上記の通り収納ケース1aの内部に複数組で、かつ挿入口8の方向に沿って延設されている必要がある。ガイド部材12aをかかる形態で収納ケース1aの内部に設けていることによって、封入体7を収納ケース1a内に収納して挟持した際に、粒状物6が封入体7内において均されるのと同時にガイド部材12aによって挟持されていない部分についても粒状物6が互いにブリッジ状態となることで片寄りを防止することができ、その結果、揮散効率の向上を実現することができるのである。
なお、ガイド部材12aの組数については、粒状物6の大きさなどに応じて適宜決定される。
次に、組となっているガイド部材12aによって形成される間隔としては、粒状物6が封入体7の内部で片寄りを起こさずに収納ケース1a内に挟持される必要があることから、ガイド部材12aによって形成される間隔のうち最も狭い間隔が粒状物6の粒径の1倍〜4倍であることが好ましく、さらに粒状物6の粒径の1倍〜3倍であることが好ましい。
また、本実施形態のように、ガイド部材12aに挿入口8方向に向かって直線状に高さが低くなるように傾斜した板状のものを採用する場合には、上記したガイド部材12aによって形成される間隔のうち最も狭い間隔だけでなく、ガイド部材12aによって形成される間隔のうち最も広い間隔についても粒状物6の粒径の2〜4倍であることが好ましい。
(封入体)
本発明の収納ケース1aに収納される封入体7は、封入した粒状物6から揮散する常温揮散性薬剤を通気させる材質を袋状に構成したものであり、公知のものを使用することができ、例えば、合成繊維や天然繊維を編みこんだものや不織布にしたもの、あるいは多孔質に加工したフィルムやこれらに孔を開けて揮散量を調整したものなどを使用することができる。
(粒状物)
封入体7に封入される粒状物6は、常温揮散性薬剤を含浸させたものであり、粒状となっていればその他の形状としては特に限定されず、球状、塊状、円盤状など各種の形状を採用することができる。また、粒状物6の粒径についても、特に限定されず使用される収納空間や使用期間などに応じて適宜決定することができる。
(常温揮散性薬剤)
粒状物6に含浸される常温揮散性薬剤は、常温において空気中に揮散する性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、防虫効果を求める場面では、p−メンタン−3,8−ジオール、p−メンタン−1,8−ジオール、テルピネオール、ゲラニオール、リナロール、シトロネラール、オイゲノール、カンファー、ユーカリプトール等のテルペン系防虫成分や、エムペントリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン等のピレスロイド系殺虫成分等があげられる。これらの中では、匂いが殆どなく、使用初期においても高い防虫効果を期待できる点から、p−メンタンー3,8−ジオールを用いることが好ましい。
勿論、常温揮散性の他の効能成分、例えば、抗菌成分、防黴成分、消臭成分、香料成分等を適宜使用しても構わない。
次に、図4および図5を参照して、上記のように構成された収納ケース1aの使用方法および作用を説明する。図4は本発明の収納ケースに封入体を挿入する際の状態を示す模式図であり、図5は本発明の収納ケースに封入体を挿入した際における封入体内の粒状物の状態を示す断面模式図である。
図4(a)に示すように、粒状物6が封入された封入体7を収納ケース1aの挿入口8から挿入する。そうすると、挿入口8においては、ガイド部材12aによって形成される間隔が広いことから、封入体7内において粒状物6に多少の片寄りがある状態であっても封入体7は収納ケース1a内に挿入されていくことになり、その後ガイド部材12aによって形成される間隔が徐々に狭くなっていくことから、粒状物6が封入体7内において徐々に均されることによって、図4(b)に示すように封入体7が収納ケース1a内に収納されることになる。
なお、封入体7が収納ケース1a内に挿入された際は、図5(a)に示すように、粒状物6が封入体7内でブリッジ状態となることから、粒状物6は封入体7内で片寄りを生じることなく収納ケース1a内に収納されることになる。
ここで、封入体7内において粒状物6が片寄りを生じることなく保持されているということは、封入体7内において他の粒状物6によって周囲が囲まれている粒状物6の数が少なくなる、すなわち他の粒状物6によって周りを囲まれていることにより、含浸している常温揮散性薬剤がうまく揮散しない粒状物6が少なくなるということである。従って、封入した全ての粒状物6から常温揮散性薬剤を効率的に揮散させることができ、その結果、常温揮散性薬剤の揮散効率を向上させることができるのである。
また、収納ケース1a内に収納された後の封入体7は、板状のガイド部材12aによっていわゆる線接触の状態で挟持されることから、常温揮散性薬剤の揮散に悪影響を与えない状態で挟持されていることになり、このことからも粒状物6からの常温揮散性薬剤の揮散は阻害されることなく、効果的な揮散を実現することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る収納ケースについて、第1の実施形態と異なるところを主に説明する。
図6は本発明の第2の実施形態に係る収納ケース1bを示す模式図であり、図7は本発明の第2の実施形態に係る収納ケースを構成する第1ケース部材の内面を示す模式図であり、図8は本発明の第2の実施形態に係る収納ケースを構成する第2ケース部材の内面を示す模式図である。
図6〜8に示した収納ケース1bは、第1の実施形態に係る収納ケース1aと比較して、ガイド部材12bの上端部が側面視において波状になっている点において異なった構造となっている。従って、封入体7が収納ケース1b内に収納された後は、図5(b)に示すように、封入体7はガイド部材12bの上端部の波型形状によって、いわゆる点接触の状態で挟持されることになり、第1の実施形態よりもより効果的な揮散を実現することができる。
なお、第2の実施形態では、側面視において波状になっている形態を採用したが、それに限定されるものでなく、例えば上端部が側面視において三角形状、台形状、凸状あるいはこれらの形状の組み合わせで構成されているものであっても同様の技術的効果を発現させることができる。
本発明の収納ケースは、常温揮散性薬剤を含浸した粒状物を封入した封入体を収納するための収納ケースに用いることができる。
1a 収納ケース
1b 収納ケース
2 第1ケース部材
3 第2ケース部材
4 凹状部材
5 凸状部材
6 粒状物
7 封入体
8 挿入口
9 開口部
10 足部
11 インジケーター
12a ガイド部材
12b ガイド部材

Claims (5)

  1. 常温揮散性薬剤を含浸した粒状物を封入した封入体を収納するための略直方体の収納ケースであって、
    前記収納ケースの一の側面に、
    前記封入体を挿入するための挿入口が設けられており、
    前記収納ケースの内部に、
    前記挿入口から挿入した前記封入体を、
    前記粒状物の片寄りを防止するように挟持するための複数組のガイド部材が、
    前記挿入口の方向に沿って互いに対向するように延設されていることを特徴とする収納ケース。
  2. 前記ガイド部材が、
    板状であり、かつ前記挿入口方向に向かって直線状または曲線状に高さが低くなるように傾斜したものであることを特徴とする請求項1に記載の収納ケース。
  3. 前記ガイド部材が、
    板状であり、かつ上端部が側面視において波状、三角形状、台形状、凸状あるいはこれらの形状の組み合わせで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の収納ケース。
  4. 前記ガイド部材によって形成される間隔のうち最も狭い間隔が、
    前記粒状物の粒径の1倍〜4倍であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の収納ケース。
  5. 前記ガイド部材によって形成される間隔のうち最も狭い間隔が、
    前記粒状物の粒径の1倍〜4倍であり、
    かつ前記板状ガイド部材によって形成される間隔のうち最も広い間隔が、
    前記粒状物の粒径の2倍〜4倍であることを特徴とする請求項2に記載の収納ケース。
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