JP6383776B2 - 薬剤容器 - Google Patents

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本発明は、防虫剤、殺虫剤、芳香剤、消臭剤、殺菌剤等の揮発性薬剤または昇華性薬剤を内部に収納して、該薬剤の揮発成分を室内に揮散させるための薬剤容器に関する。
揮発性を有する薬剤を含浸させるなどして適宜の形状に保持せしめた担体や、昇華性を有する薬剤を適宜の形状に成形した固化物を、内部に収納した状態で室内の適所に設置し、容器本体に形成された複数箇所の揮散孔から薬剤の揮発成分または昇華成分を空中に揮散させることにより、一定の期間にわたって薬剤の効能を得るように構成された薬剤容器が公知である。
かかる薬剤容器の例として、特許文献1には、容器本体が扁平な直方体形状をなし、対向する両主面部(6面のうち最も広い2面)にそれぞれ揮散孔が形成された薬剤容器が開示されている。また、特許文献2には、容器本体が細長い角筒状をなし、その長軸を囲む4つの周壁のうち3つの周壁に細いスリット状の揮散孔が多数、形成された薬剤容器が開示されている。
特開2014−111474号公報 特開2012−25431号公報
この種の薬剤容器においては、それを設置した室内で、薬剤の揮発成分や昇華成分が所定の期間にわたって所定量、安定的に揮散することが望ましい。そのような揮散量のコントロールは従来、担体の大きさや形状、薬剤の成分や濃度、揮散孔の形状や開口面積等を適宜、調整することにより行われていた。
しかしながら、薬剤を保持する担体や薬剤の固化物と、容器本体に形成した揮散孔との距離に着目して揮散量を好適化しようとした先行技術文献は見当たらない。そこで、本発明は、担体や薬剤の固化物の表面と揮散孔との距離を適切に調整することにより、薬剤の揮発成分や昇華成分を効率よく安定的に揮散させることを第1の解決課題としている。
また、この種の薬剤容器を利用する薬剤の中には、その揮発成分や昇華成分が設置場所の周囲の部材(造作物や収納家具等の表面を構成する木材、シート材、化粧板、塗膜、あるいは家具に収納された衣類や食器等)に付着して、該部材を変色あるいは変形させたり、該部材に臭いを吸着させたりしやすいものがある(例えばハッカ油、ローズマリー油等)。そのような薬剤を揮散効率の高い容器に収納した場合は、設置場所の周囲の部材に対して好ましくない影響を与えるおそれがある。
そこで、本発明は、容器本体に形成した揮散孔と設置場所の周囲の部材との間に好ましい間隔を確保することにより、薬剤が設置場所の周囲の部材を汚損するなどの影響を防止することを第2の解決課題としている。特に、この課題については、容器本体が、通常の設置状態から、何らかの理由で転倒するなどにより、本来は上向きの揮散孔が下向きになって設置面に密着する、といった事態にも配慮するものとする。
前述の課題を解決するために、本発明は、揮発性の薬剤を保持する担体または昇華性薬剤固化物と、前記担体または前記固化物を収納する容器本体と、を具備し、前記容器本体には、該容器本体の内外を連通して前記薬剤を揮散させる揮散孔が形成されてなる薬剤容器において、前記容器本体は、前記担体または前記固化物を載置した状態で適宜の設置場所に設置される底面部と、前記底面部に連続する側面部及び天面部とを備え、前記揮散孔は、前記容器本体における前記底面部以外の部分に形成され、前記底面部に前記担体または前記固化物が載置された状態で、前記担体または前記固化物の表面と前記揮散孔との距離が0.5〜60mmの範囲内に保持されるとともに、前記揮散孔に近接する適所には、該適所に外接する仮想平面と前記揮散孔の容器外側の開口縁との間に2mm以上の間隙を保持し得る少なくとも一箇所の凸部が形成され、前記容器本体の前記天面部が全体として上向きの凸面となる形状に形成され、該天面部の天頂部分が前記凸部となされ、前記容器本体の前記天面部には、前記上向きの凸面よりも低くなった凹陥部が、前記天頂部分に及ばないように前記天頂部分を中心として平面視放射状になるように設けられ、前記凹陥部に前記揮散孔が形成された、との基本的構成を採用する。
このような構成を採用して、担体または固化物の表面と揮散孔とを所定距離だけ離隔させることにより、薬剤の揮発成分を、容器本体に形成した揮散孔を通じて効率よく容器外へと揮散させることができる。また、容器本体の外側に形成した凸部は、揮散孔の開口縁が設置場所の周囲の部材に当接することを防いで、揮散孔と周囲の部材との間に好ましい間隙を保持するので、容器本体の設置姿勢が変化した場合でも、薬剤の揮発成分によって周囲の部材が汚損されることも防止される。また、容器本体をこれらの形状とすれば、容器本体が裏返った場合、天面部に設けられた凸部分が設置面に当接して、その周囲は設置面から浮き上がることになるので、天面部に形成された揮散孔と設置面との間に所定の間隙を確保するのが容易になる。
そして、本発明は、前述の基本的構成を踏まえた容器本体の具体的態様として、前記凸部が、前記容器本体の前記天面部の複数箇所に設けられた、との構成を採用する。
また、前述の基本的構成を踏まえた容器本体の他の具体的態様として、前記担体または前記固化物は薄板状に形成されているとの構成を採用する。
さらに、記担体または前記固化物の表面、側面及び裏面の一部が前記容器本体の内部空間に曝されるとしてもよい。
また、前記底面部には、前記担体または前記固化物の裏面を底面部の上面から0.5mm以上浮かせて載置しうる台座部が形成されてもよい。
また、前記天面部の裏面には、前記底面部に載置された前記担体または前記固化物の表面近傍まで下向きに突出する押え突起が形成されてもよい。
前述のように構成される本発明の薬剤容器によれば、担体等の表面と揮散孔とを所定距離だけ離隔させることによって容器本体の内部空間に好適な空気の移動が生じ、担体等に保持せしめた薬剤の揮発成分が、容器本体に形成した揮散孔を通じて効率よく容器外へと揮散する。
また、容器本体の外側には、揮散孔の容器外側の開口縁が設置場所の周囲の部材に当接することを防ぐための凸部を形成して、揮散孔と周囲の部材との間に少なくとも2mmの間隙を保持するようにしたので、容器本体の設置姿勢がどのように変化したとしても、薬剤の揮発成分によって周囲の部材が汚損される事態を防止することができる。
本発明の作用効果を裏付ける実験結果のグラフである。 本発明の作用効果を裏付ける実験結果の他のグラフである。 本発明の実施の形態に係る薬剤容器の斜視図である。 前記薬剤容器の分解斜視図である。 前記薬剤容器の上面図(兼断面位置案内図)である。 前記薬剤容器のA−A断面図である。 前記薬剤容器のB−B断面図である。 前記薬剤容器のC−C断面図である。 前記薬剤容器のD−D断面図である。 前記薬剤容器を裏返した状態でのA−A断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る薬剤容器の概略斜視図である。 さらに他の実施の形態に係る薬剤容器の概略斜視図である。
(本発明の基本的構成)
まず、本発明は、揮発性の薬剤を保持する担体または昇華性薬剤等の固化物と、前記担体または前記固化物を収納する容器本体と、を具備し、前記容器本体には、該容器本体の内外を連通して前記薬剤を揮散させる揮散孔が形成されてなる薬剤容器であることを前提とする。
ここで、揮発性の薬剤としては、揮発性または昇華性を有する従来公知の各種防虫剤、殺虫剤、芳香剤、消臭剤、殺菌剤等を含む。防虫剤、殺虫剤に関しては、イガ、コイガ、カツオブシムシ等の衣料害虫をはじめ、アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ、シナハマダラカなどの蚊類、イエバエ、ヒメイエバエ、センチニクバエ、ケブカクロバエ、キイロショウジョウバエ、ノミバエ等のハエ類、オオチョウバエ、ホシチョウバエ等のチョウバエ類、セスジユスリカ、アカムシユスリカ等のユスリカ類、ノシメマダラメイガ等の蛾類などの飛翔昆虫、ゴキブリ、屋内塵性ダニ類等の衛生害虫、コクゾウ等の貯穀害虫、アブラムシ、ウンカ、カメムシ、ムカデ等の種々の害虫に高い殺虫、防虫効果を示し得る薬剤として、例えば、エムペントリン、プロフルトリン、トランスフルトリン等のピレスロイド系防虫剤や、ヒノキ油、ヒバ油、ハッカ油、スペアミント油、オレンジ油、レモン油、カモミール油、ユーカリ油、ラベンダー油、ベルガモット油、その他の天然精油系防虫剤や、パラメンタン−3,8ジオールその他の精油中に天然に存在する単一化合物をはじめとする様々な防虫剤、殺虫剤等を適用することができる。また、殺菌剤としては、IPMP、PCMX、ヨウ素、AIT、ClO2等塩素系などの殺菌剤を適用することができる。
そして、それらの薬剤を保持する担体としては、例えば、紙、撚り糸、不織布、木材、パルプ、多孔質セラミック、合成樹脂発泡体、その他、薬剤を含浸、塗布、練り込み等の手段によって一定の形状に固定し得る従来公知の各種材料を、薬剤の種類に応じて適宜、利用することができる。また、寒天、カラギーナン、12−ヒドロキシステアリン酸等で薬剤をゲル化して保持させることもできる。さらに、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等の吸水性樹脂、あるいは熱可塑性合成ゴムコポリマー等の吸油性樹脂に保持させることもできる。担体の形状は、薬剤の自然な揮発を妨げない程度の表面積を有する限りにおいて任意であるが、例えば薄い板状、屈折したシート状、網目状、格子状、多数の粒状体をネット袋に入れた形状、等を採用することができる。
また、パラジクロロベンゼン、ナフタリン、樟脳等の昇華性物質を固形化したものや、無水ケイ酸を錠剤化したもの、さらには、薬剤透過性フィルムなど、薬剤自体を一定の形状に成形した固化物も、本発明では前述の担体に準じたものとして同様に扱うことができる。よって、以下の説明では、揮発性薬剤を保持する担体と、昇華性薬剤等の固化物とをまとめて「担体等」と総称する。
そして、本発明は、前記容器本体が、前記担体等を載置した状態で適宜の設置場所に設置される底面部と、前記底面部に連続する側面部及び天面部とを備え、前記揮散孔は、前記容器本体における前記底面部以外の部分に形成され、前記底面部に前記担体等が載置された状態で、前記担体等の表面と前記揮散孔との距離が0.5〜60mmの範囲内に保持されるとともに、前記揮散孔に近接する適所には、該適所に外接する仮想平面と前記揮散孔の容器外側の開口縁との間に2mm以上の間隙を保持し得る凸部が形成された、との基本的構成を採用している。
この基本的構成は、容器本体に収納した担体等の表面と容器本体に形成した揮散孔との距離を0.5〜60mmの範囲に保持すると、薬剤の揮発成分が特に効率よく容器外に揮散する、との新規な知見により得られたものである。この知見の根拠となる実験結果を、図1及び図2に示す。
本出願人は、パルプ繊維からなる担体に防虫剤としてのハッカ油400mgを含浸させたものを複数個、用意し、天面部に100mmの揮散孔を形成した合成樹脂製の実験容器内にそれらの担体を収納した。そして、担体から揮散孔の容器内側の開口縁までの距離を0〜77mmの範囲で9通り(0mm、1mm、2mm、7mm、12mm、17mm、37mm、47mm、77mm)に設定し、各実験容器を容積約20Lの測定ボックス内に定置して、25℃の条件下で約24日間にわたって、各担体から揮散されたハッカ油の累計揮散量を測定した。
図1は、横軸に実験開始からの経過日数をとり、縦軸には、担体から揮散孔までの距離を変えた9通りの設定それぞれについての累計揮散量をとって、各設定における揮散効率の推移を表したグラフである。また、図2は、横軸に担体から揮散孔までの距離をとり、縦軸には、その距離を変えた9通りの設定における11日目、23日目それぞれの累計揮散量をとって、距離と揮散効率との相関性を表したグラフである。
この実験では、担体から揮散孔までの距離が7mmのとき、ほぼ全期間を通じて累計揮散量が最大になった。以下、前記距離が12mm、17mmまたは2mm、1mm、37mm、47mm、77mmの順で累計揮散量が少しずつ減少し、0mmのとき、ほぼ全期間を通じて累計揮散量が最小になった。0mmで揮散効率が最低になったのは、担体が揮散孔の開口を塞いでしまうことで、実質的に揮散孔の開口面積に相当する範囲からしか揮散できなくなるためと考えられる。したがって、担体の表面と揮散孔との間には、わずかでも横方向(揮散孔の連通方向に直交する方向)に空気が流れる空間を設けることが好ましい。その空間は、少なくとも0.5mm、実用的には1mm以上とするのが好ましい。
一方、担体と揮散孔とが一定程度以上、離れると、今度はその距離に応じて揮散効率が漸減する。したがって、担体と揮散孔との距離は、おおむね60mm以内、実用的には40mm以内とするのが好ましい。
そして、このような構成により薬剤の揮散効率が高まると、薬剤の揮発成分が設置場所の周囲の部材を汚損するおそれにも一層、配慮する必要が生じる。そこで、本発明は、揮散孔を、容器本体の底面部は避けて、それ以外の部分(側面部または天面部の少なくとも一部)に形成することとしている。これにより、通常の使用状態であれば、薬剤の揮発成分が容器の載置面を汚損する事態は防ぐことができる。
ただし、何らかの不測の事態により、容器が転倒、反転あるいは傾斜して、揮散孔を設けた部分が設置場所の設置面や周壁面に当接することも起こり得る。そこで、本発明は、揮散孔の近傍に、該近傍に外接する仮想平面と該揮散孔の容器外側の開口縁との間に2mm以上の間隙を保持し得る凸部を形成することとしている。このような凸部を揮散孔の近傍に設けることにより、容器本体の設置姿勢が不自然に変化した場合でも、揮散孔と設置面や周壁面との間に少なくとも2mmの間隙を常時、確保することができる。
周囲との間隔を2mm以上としたのは、以下の実験に依拠している。すなわち、前述の実験と同様にハッカ油を含浸させた担体を用意して容器内に収納し、容器の揮散孔から0〜3mm離れた位置に3種類の他部材(ウレタン、スチロール、漆)を設置して、40℃の環境下で7日間、経過を観察した。その観察結果を表1に示す。
Figure 0006383776
このように、3種類の部材は全て、揮散孔に接触して配置された場合(0mm)、明らかな変形・変色が見られた(×)。揮散孔との距離が1mmの場合も、全ての部材に若干の変形・変色が確認された(△)。しかし、揮散孔との距離が2mm以上になると、いずれも部材にも変形・変色は認められなかった(○)。本発明では、この実験結果に基づいて、揮散孔と設置面や周壁面との間に確保することが好ましい間隙の大きさを「2mm以上」としたものである。
(実施の形態)
前述の基本的構成を具体化した本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図3〜図10は本発明の実施の形態に係る薬剤容器を示す。薬剤容器は、揮発性の薬剤を保持する担体4と、その担体4を収納する容器本体1と、を具備している。容器本体1は、軽量かつ安価で適度の機械的強度を備え、揮発性の薬剤に対する耐腐食性や防汚性にも優れた、例えばポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材料によって成形されており、担体4を載置する容器下半体20と、その上に蓋状に被せる容器上半体10とを、分離可能に組み合わせて構成されている。
例示の容器下半体20は、略矩形の平面形状を有する全体的に平坦な底面部23と、その四周から均一な高さで起立する下半側面部21、22と、長辺側の下半側面部22の内側面に沿って、その両端近傍から下半側面部22よりも上方まで立ち上がる4箇所の係合片24と、を有している。各係合片24には、横方向に細長く延びる係止溝25がそれぞれ形成されている。また、底面部23の上面の略中央には、平面視円形の台座部26が形成されている。
例示の容器上半体10は、底面部23と略同一の平面形状を有する天面部13と、その四周から均一な高さで垂下する上半側面部11、12と、を有している。天面部13は、その上面が全体的に上向きの緩やかな凸面をなすように形成されている。また、長辺側の上半側面部12の両端近傍には、容器下半体20の係止溝25に係止し得る横長の係止爪16がそれぞれ形成されている。
この容器上半体10を容器下半体20に重ね、各係止爪16を各係止溝25に係合させると、下半側面部21、22と上半側面部11、12とが互いの外側面を面一に連続させた側面部として一体化されるとともに、係合片24がその上端縁を天面部13の裏面に当接させて天面部13を支持し、全体として扁平な中空カマボコ形の容器本体1が得られる。なお、図示した容器本体1の設計寸法は、例えば長辺55mm×短辺47mm×高さ15mmである。
天面部13には、該天面部13の上面よりも一段、低くなった凹陥部17が形成されている。凹陥部17は、互いに反対向きに凸を成す一対の合同な円弧によって囲まれた木の葉形の平面形状を有しており、天面部13の中央(天頂部分)に形成された平面視円形の浅い凹部を挟んで略X字形の放射状になるように、4箇所に配置されている。図9に示すように、凹陥部17の内底面は、天頂部分に近い過半領域が略水平で、容器本体1の短辺に近い一部の領域が該短辺に向けてやや下降傾斜する平面となっている。
各凹陥部17の内底面には、容器本体1の内外を上下方向に連通する平面視円形の揮散孔14が、それぞれ7箇所ずつ形成されている。図示した揮散孔14の直径は約2mmである。また、この天面部13の長軸線(容器本体1の長辺と平行に天頂部分を通る線)上の、両短辺寄りの部分にも、各3個ずつの揮散孔14が形成されている。各凹陥部17の内底面の最も短辺側に1箇所ずつ形成された円形の窪みと、天面部13の短軸線(容器本体1の短辺と平行に天頂部分を通る線)に沿って形成された両側3箇所ずつの窪みは、天面部13を上下方向に貫通しないダミーの飾り孔18である。
また、この天面部13の裏面には、短軸線に沿って容器本体1の内側上部を仕切るように垂下する押え突起15が形成されている。
この容器本体1の内部に担体4が収納された状態について、図6〜図9の断面図を参照しつつ説明する。
薬剤を含浸させるなどして保持せしめた担体4は、適宜の保護包材(図示せず)等から取り出されて、容器下半体20の底面部23に載置される。本発明においては、保護包材の形状や材質は特に限定しない。例示の担体4は、平面視矩形の薄板状に形成されており、その厚みは、容器本体1の内部空間の最大高さの、おおむね半分以下となされている。なお、図示した担体4の設計寸法は、例えば長辺41mm×短辺22mm×厚さ3mmである。
この担体4が、その長辺を容器本体1の長辺と平行にした姿勢で、台座部26の上に水平に載置される。ここで、台座部26は少なくとも0.5mmの高さを有するように形成されており、これによって担体4の裏面が底面部23の上面から0.5mm以上浮き上がった状態で載置される。こうして、担体4の裏面と容器本体1の底面部23との間に間隙を設けると、担体4の裏面側からの揮発も促進され、全体としての揮散効率が向上する。なお、台座部26の形状、個数、配置等は、担体4の形状に応じて適宜、設定可能である。
一方、担体4の表面と、揮散孔14の容器内側の開口縁との間には、部位によって3mm〜7mmの距離が確保される。こうして形成された容器本体1の内部空間に担体4の表面、側面及び裏面の一部が曝されることにより、担体4に保持された薬剤が容器本体1の内部空間に効率よく揮散し、さらに揮散孔14を出入りする空気の流れに乗って容器本体1の外方へと拡散する。
図10は、この薬剤容器が、何らかの外力を受けるなどして裏返ってしまった状態を示している。この状態では、全体として緩やかな凸面をなす天面部13の天頂部分が設置面5に当接して、天面部13の周辺部分が設置面5から浮き上がった姿勢に保持される。なお、天面部13の天頂部分には揮散孔14が形成されていないので、揮散孔14が設置面5に当接することはない。
このようにして、天頂部分からやや離れて設けられた凹陥部17が設置面5に接しない状態で保持されることにより、凹陥部17の内底面に形成された揮散孔14と設置面5との間には、凹陥部17の深さに相当する約2mmの間隙が無理なく確保される。
また、4箇所の凹陥部17が、天面部13の天頂部分を中心として平面視放射状になる位置に形成されていることにより、容器本体1の重心が、その平面中心付近に保持され、容器本体1が裏返った場合でも、その姿勢が安定しやすくなる。
さらに、この状態では、担体4が、天面部13の裏面に形成した押え突起15によって下方から支えられ、容器本体1の内部空間の上部寄りに保持される。したがって、天面部13に形成された揮散孔14が天面側に落下する担体4によって塞がれてしまうことなく、薬剤の好適な揮散状態が維持される。この押え突起15の形状、個数、配置、担体4の表面までの接近の程度等についても、担体4の形状や容器本体1の断面形状等に応じて適宜、設定可能である。
このように、底面の幅よりも高さのほうが相対的に小さい扁平なプロポーションを有し、天面部13が略アーチ状の縦断面を有するカマボコ形やドーム形に形成されて、その天頂部分には揮散孔14が形成されておらず、その天頂部分が該天頂部分に近接する揮散孔14よりも外方に突出あるいは膨出する形状の容器本体1に担体4を収納すれば、天面部13の凸面の曲率が小さくても、天頂部分付近の揮散孔14と設置面5との間に所定の間隙を確保し易くなり、その結果、薬剤の揮発成分が設置面5を汚損するのを防止することができる。
(他の実施の形態)
本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、容器本体1の形状等を様々に改変して実施することができる。すなわち、容器本体1の底面部23以外の部分に揮散孔14が形成され、容器本体1に収納される担体4の表面と揮散孔14の容器内側の開口縁との間に所定の距離が確保され、さらに、揮散孔14に近接する適所には、該適所に外接する仮想平面と揮散孔14の容器外側の開口縁との間に所定の間隙を保持し得る凸部を具備する限りにおいて、容器本体1の平面形状、断面形状、各部寸法や肉厚、容器上半体10と容器下半体20との分割・係合形態、揮散孔14の位置、個数、開口形状等は任意である。また、担体4が載置される台座部26や天面部13の裏面に形成される押え突起15の形状、高さ、配置等に関しても、薬剤容器の実用性を損なわない範囲で任意である。
なお、ここで、容器本体1の「揮散孔14に近接する適所」とは、様々な形状の容器本体1が、転倒や反転によって様々な姿勢になったとき、その状態で設置場所の設置面5または側壁面等に当接する部位を指しており、「該適所に外接する仮想平面」とは、その状態での設置面5または側壁面を想定している。そして、その状態で揮散孔14を設置面5や側壁面から離隔させて保持するために、容器本体1の外方に突出あるいは膨出するように形成された適宜形状の部分を「凸部」と総称している。この凸部には、揮散孔14は形成されていない。前述の実施の形態においては、天面部13の天頂部分が凸部に該当する。
図11及び図12に、本発明の他の実施の形態に係る様々な容器本体の例を示す。図11の(a)〜(f)に示した容器本体1は、全体として略矩形の平面形状を有し、上下方向に分割・結合されるようになっている。そして、(a)では、天面部13の中央付近に揮散孔14が形成され、天面部13の四隅に凸部19が突設されている。(b)では、天面部13が山谷状に形成され、その谷部に沿って細長い揮散孔14が形成されることにより、山部が凸部19となっている。(c)では、天面部13の中央付近に細長い揮散孔14が形成され、天面部13の長辺に沿って凸部19が立ち上げられている。(d)では、(c)の天面部13が全体的に上向きの凹面となり、長辺部分が凸部19となっている。(e)及び(f)では、天面部13の中央部分に適宜形状の凸部19が突設され、その凸部19の周囲付近に揮散孔14が配置されている。
図12の(g)に示した容器本体1は、上面視略円形で、天面部13全体が球面状に膨湾するドーム形であり、その天頂部分から少し離れたところに揮散孔14が放射状に形成されて、天頂部分が該揮散孔14に対応する凸部19となっている。(h)は、(g)の容器本体1の天頂部分に、さらに高い塔状の凸部19を突出させたものである。(i)の容器本体1は、全体として円筒状をなし、その中央部分に形成された円形穴の内周面に沿って揮散孔14が配置されている。この例では、円筒状の外周面全体と上下の円形端面が凸部19に該当する。
このように、本発明は、様々な形状の容器本体に適用可能である。
1…容器本体
10…容器上半体
11…上半側面部
12…上半側面部
13…天面部
14…揮散孔
15…押え突起
16…係止爪
17…凹陥部
18…ダミーの飾り孔
19…凸部
20…容器下半体
21…下半側面部
22…下半側面部
23…底面部
24…係合片
25…係止溝
26…台座部
4…担体
5…設置面

Claims (6)

  1. 揮発性の薬剤を保持する担体または昇華性薬剤固化物と、
    前記担体または前記固化物を収納する容器本体と、を具備し、
    前記容器本体には、該容器本体の内外を連通して前記薬剤を揮散させる揮散孔が形成されてなる薬剤容器において、
    前記容器本体は、前記担体または前記固化物を載置した状態で適宜の設置場所に設置される底面部と、前記底面部に連続する側面部及び天面部とを備え、
    前記揮散孔は、前記容器本体における前記底面部以外の部分に形成され、
    前記底面部に前記担体または前記固化物が載置された状態で、前記担体または前記固化物の表面と前記揮散孔との距離が0.5〜60mmの範囲内に保持されるとともに、
    前記揮散孔に近接する適所には、該適所に外接する仮想平面と前記揮散孔の容器外側の開口縁との間に2mm以上の間隙を保持し得る少なくとも一箇所の凸部が形成され
    前記容器本体の前記天面部が全体として上向きの凸面となる形状に形成され、該天面部の天頂部分が前記凸部となされ、
    前記容器本体の前記天面部には、前記上向きの凸面よりも低くなった凹陥部が、前記天頂部分に及ばないように前記天頂部分を中心として平面視放射状になるように設けられ、
    前記凹陥部に前記揮散孔が形成されたことを特徴とする薬剤容器。
  2. 請求項1に記載された薬剤容器において、
    前記凸部は、前記容器本体の前記天面部の複数箇所に設けられたことを特徴とする薬剤容器。
  3. 請求項1に記載された薬剤容器において、
    前記担体または前記固化物は薄板状に形成されていることを特徴とする薬剤容器。
  4. 請求項3に記載された薬剤容器において、
    前記担体または前記固化物の表面、側面及び裏面の一部が前記容器本体の内部空間に曝されることを特徴とする薬剤容器。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載された薬剤容器において、
    前記底面部には、前記担体または前記固化物の裏面を底面部の上面から0.5mm以上浮かせて載置しうる台座部が形成されたことを特徴とする薬剤容器。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載された薬剤容器において、
    前記天面部の裏面には、前記底面部に載置された前記担体または前記固化物の表面近傍まで下向きに突出する押え突起が形成されたことを特徴とする薬剤容器。
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