JP2013132216A - ドアノブ用薬剤揮散体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明にかかるドアノブ用薬剤揮散体は、開口部を有する薬剤容器の内部に常温揮散性薬剤を保持させた担体を収納したドアノブ用薬剤揮散体であって、開口部が少なくとも側面および正面に設けられており、側面における開口部(A)の面積が側面の面積全体の10〜50%であり、正面及び背面における開口部(B)の合計面積が正面及び背面の合計面積全体の10〜50%であり、側面に設けられた開口部(A)と正面及び背面に設けられた開口部(B)との面積比が、A/B=0.3〜3.0であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この点については、特許文献1に記載の薬剤揮散体が、特許文献1の図1に記載のようにドアノブに係止して使用することができるフック部6を備えていることから、ドアノブに係止して使用する場合に顕著に表れることになる。すなわち、フック部6をドアノブに係止して使用すると薬剤容器の背面はドア面に接触するか、またはドア面との間にほとんど隙間がない状態で使用されることになることから、常温揮散性薬剤は主に側面の開口部と正面および背面の開口部との間において通過する空気の流れによって薬剤容器内から揮散することになり、揮散効率が低下することになる。
本発明に用いられる薬剤容器とは、後記する常温揮散性薬剤を保持させた担体を収納できるものであれば特に形態には限定されないが、担体の交換を容易にするためにも本体部と蓋部によって担体を収納する形態であることが好ましい。
また、蓋部については、円弧状以外にも、側面視における断面形状が三角形状、凸形状、台形状、円弧状、曲線状のいずれかの形状となっているものなどを用いることもできる。
本発明の薬剤容器の側面および正面には、常温揮散性薬剤を薬剤容器の外に揮散させるために開口部を設けておく必要がある。
なお、薬剤容器の背面に開口部を設けるか否かについては必要に応じて適宜決定される。具体的には、本発明に用いられる薬剤容器には当該容器を縦立させるためなどに足部を設けることができるが、かかる足部を薬剤容器の背面に設けることによって薬剤容器の背面とドア面との間に隙間を確保することができる場合などには、薬剤容器の背面に開口部を設けることが好ましい。
本発明において使用される常温揮散性薬剤としては、常温において空気中に揮散する性質を有するものであれば特に限定されないが、より強力な防虫効果を発揮させるためには、ピレスロイド系の薬剤を用いることが好ましく、これらの中でも揮散性能の点から、トランスフルトリン、メトフルトリン、エンペントリン、プロフルトリンを用いることが好ましい。
なお、これらのピレスロイド系薬剤については、各種の光学異性体または幾何異性体が存在するがいずれの異性体類も使用することができ、さらに単独で使用するだけなく2種以上を併用することもできる。
例えば、共力剤としては、オクタクロロジプロピルエーテル(商品名S−421)、イソボルニルチオシアノアセテート(商品名IBTA)、N−オクチルビシクロヘプテンカルボキシイミド(商品名サイネピリン222)、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ〔2,2,2〕オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(商品名サイネピリン500)が挙げられる。
忌避剤としては、N,N−ジエチル−m−トルアミド(商品名ディート)、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2−エチル−1,3−へキサンジオール、1,4,4a,5a,6,9,9a,9b−オクタヒドロジベンゾフラン−4a−カルバルデヒド、p−メンタン−3,8−ジオール等が挙げられる。
抗菌剤としては、ヒノキチオール、テトラヒドロリナロール、オイゲノール、シトロネラール、アリルイソチオシアネート等が挙げられる。
防黴剤としては、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール等が挙げられる。
芳香剤としては、シトロネラ油、オレンジ油、レモン油、ライム油、ユズ油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α−ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート等が挙げられる。
香料としては、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分などが挙げられる。
さらに、着色剤、帯電防止剤などを適宜配合してもよく、色彩を付加したり、タイムインジケーターを装着して使用終了時点を視認できるようにすれば、商品価値をより高めることができる。
本発明に用いられる担体としては、保持した常温揮散性薬剤を徐々に表面から揮散することができるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂のようなポリオレフィン系樹脂、あるいはこれらにカルボン酸エステル等の単量体を重合させて成形した樹脂製の担体や、パルプ紙、板紙、合成繊維混抄紙などの紙製の担体や、不織布、織物などの繊維製の担体が挙げられる。
このような構成を有することによって、それぞれの常温揮散性薬剤の揮散速度を各常温揮散性薬剤に応じたものとすることができ、より効果的な防虫効果を発現させることができるのである。
なお、これらの担体についても、常温揮散性薬剤と同様に単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
さらに、ポリオレフィン系樹脂に対するこれらのカルボン酸エステル単量体の配合比率は、一般に、カルボン酸エステル単量体配合比率が高くなるほど常温揮散性薬剤のブリードの速度を遅らせる傾向があることから、使用する常温揮散性薬剤の種類や含有量、あるいは使用目的等に応じて適宜調節すればよく、好ましくはポリオレフィン系樹脂に対して1〜20質量%の範囲で調整される。
なお、フィラメントの直径は、常温揮散性薬剤の種類や使用期間に応じて上記範囲内から適宜設定される。すなわち、蒸気圧が高い(揮散速度が速い)常温揮散性薬剤の場合には、フィラメント直径を大きくすることによって揮散を抑制するように調整し、蒸気圧が低い(揮散速度が遅い)常温揮散性薬剤の場合には、フィラメント直径を小さくすることによって揮散を促すように調整する。
すなわち、常温揮散性薬剤の含有量が0.5重量%未満の場合には、防虫に必要な有効成分量を確保することが困難となり、一方、常温揮散性薬剤の含有量が15重量%を超える場合には、樹脂製の担体を用いる場合に常温揮散性薬剤を練り込んだ後の成形が困難となり、さらに担体表面に常温揮散性薬剤が過剰にブリードしてべたつきを起こしやすくなることになる。
また、含有量を設定するに当たっては、使用する常温揮散性薬剤の種類により異なるものの、例えば、メトフルトリン単独を使用した場合では、防虫効果が発現するのに必要な最低の揮散量は0.03mg/hr以上であり、プロフルトリン単独では0.03mg/hr以上であり、トランスフルトリン単独では0.06mg/hr以上であることから、30日における含有量についてはメトフルトリンでは30〜500mg、プロフロトリンでは30〜300mg、トランスフルトリンでは60〜500mgの範囲で設定すればよいことになる。
図1は本発明のドアノブ用薬剤揮散体の一例を示す分解斜視図であり、図2は図1のドアノブ用薬剤揮散体を側面から見た状態を示す図であり、図3は図1のドアノブ用薬剤揮散体を背面から見た状態を示す図である。
図1〜図3に示す通り、本体部2は略直方体状のポリエステル製の容器であり、内部に常温揮散性薬剤を含浸させた担体6を収納できるように構成されている。また本体部2の底面には、ドア面との間に隙間を確保するための足部7が設けられているとともに、空気の流れを確保するための開口部8aが設けられている。さらに本体部2の側面にはフック部5を係止するための調節孔兼開口部9が設けられている。
図1〜図3に示す通り、蓋体3は側面視が円弧状のポリエステル製の容器であり、正面および側面に空気の流れを確保するための開口部8b、8cが設けられている。
図1〜図3に示す通り、フック部5はポリプロピレン又はポリエチレン製の紐状の成形品であり、両端に本体部2の調節孔兼開口部9に係止するための係止部(図示せず)が設けられている。
常温揮散性薬剤を含浸させた担体6は、ポリオレフィン系樹脂などに常温揮散性薬剤を練り込んだ後、メッシュ状に成形した成形品である。
図4に示す通り、フック部5を本体部2の調節孔兼開口部9に係止してフック部5を輪状にした後、ドアノブ10に引っ掛けることによって使用する。従って、本実施形態のように本体部2の底面に足部7が設けられている場合には、薬剤容器4とドア面との間に隙間が形成されることから、背面の開口部8aと側面および正面の開口部(8b、8c)との間における空気の流れが確保されることになる。
さらに、この発明でいうドアノブとは、ドアの開閉時のドア部分のみならず、ドア部分に引っ掛けることが可能となるような全ての部分を含むものである。
表1に示すように、ポリエチレン系樹脂にメトフルトリンを練り込んだ後、線径を0.7mmにしてメッシュ状に成形した常温揮散性薬剤を含浸させた担体を作製した。
次に、当該担体700mm3を、略直方体状に成形した長さ170mm×幅50mm×厚み13mmのポリエステル製の本体部と、側面視が円弧状になるように成形した長さ170mm、幅50mm、中心部の厚みが25mm、端部の厚みが5mmの蓋体とからなる薬剤容器に収納してドアノブ用薬剤揮散体を作製した。
ここで、薬剤容器の側面における開口部(A)の面積は側面の面積全体の10%であり、正面及び背面における開口部(B)の合計面積は正面及び背面の合計面積全体の33.3%であり、側面に設けられた開口部(A)と正面及び背面に設けられた開口部(B)との面積比はA/B=0.3である。
常温揮散性薬剤、側面、正面、背面の開口部の開口率、側面に設けられた開口部(A)と正面及び背面に設けられた開口部(B)との面積比(開口比率)を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして実施例2〜11のドアノブ用薬剤揮散体を作製した。
常温揮散性薬剤、側面、正面、背面の開口部の開口率、側面に設けられた開口部(A)と正面及び背面に設けられた開口部(B)との面積比(開口比率)を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして比較例1〜6のドアノブ用薬剤揮散体を作製した。
次に、上記にて作製したドアノブ用薬剤揮散体を25m3の部屋(床面積10m2×高さ2.5m)のドアノブにフック部を用いて引っ掛け、常温揮散性薬剤を室内に揮散させた。所定期間後、アカイエカ雌成虫50匹を放ち、時間の経過に伴う仰転数を数え、KT50値を求めた。KT50値により、以下のように評価した。結果を表1に示す。
○:40分未満、△:40分以上80分未満、×:80分以上
これに対し、比較例1〜6については、対応する実施例に比べて使用期間において安定した防虫効果が発現しなかった。
以上の結果から、各面における開口部の占める面積(開口率)を特定の範囲にしつつ、側面に設けられた開口部(A)と正面及び背面に設けられた開口部(B)との面積比(開口比率)についても特定の範囲とすることによって、ドアノブに係止して使用した場合に常温揮散性薬剤の十分な揮散を確保することができることがわかった。
2 本体部
3 蓋体
4 薬剤容器
5 フック部
6 常温揮散性薬剤を含浸させた担体
7 足部
8a 開口部
8b 開口部
8c 開口部
9 調節孔兼開口部
10 ドアノブ
Claims (4)
- 開口部を有する薬剤容器の内部に常温揮散性薬剤を保持させた担体を収納したドアノブ用薬剤揮散体であって、
前記開口部が少なくとも側面および正面に設けられており、
前記側面における開口部(A)の面積が前記側面の面積全体の10〜50%であり、
前記正面及び背面における開口部(B)の合計面積が前記正面及び背面の合計面積全体の10〜50%であり、
前記側面に設けられた開口部(A)と前記正面及び背面に設けられた開口部(B)との面積比が、A/B=0.3〜3.0であることを特徴とするドアノブ用薬剤揮散体。 - 前記薬剤容器が、
直方体状の本体部と、
側面視における断面形状が三角形状、凸形状、台形状、円弧状、曲線状のいずれかの形状となっている蓋部とからなることを特徴とする請求項1に記載のドアノブ用薬剤揮散体。 - 前記薬剤容器に、
足部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドアノブ用薬剤揮散体。 - 前記常温揮散性薬剤が、
トランスフルトリン、メトフルトリン、エンペントリン、プロフルトリンから選ばれる少なくとも一種以上の薬剤を用いたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のドアノブ用薬剤揮散体。
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