JP2016054653A - 薬剤揮散装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1や2には、身体や携帯品を動かすことによって内部の回転体を回転させ、薬剤保持体から薬剤を揮散させて害虫を防除する携帯型害虫防除装置が開示されている。
さらに、特許文献3には、薬剤保持体である樹脂成形体を振り子運動させることで、薬剤を揮散させる装置が開示されている。
[1]開口部を有する収納容器の内部に、常温揮散性の薬剤を担体に担持させた薬剤揮散体を収納した薬剤揮散装置であり、少なくとも前記収納容器の側面部及び正面部に前記開口部を設け、前記薬剤揮散体は、前記収納容器内部に、揺動自在に吊り下げられ、前記薬剤揮散体の揺動角は、0.05π(9°)〜0.5π(90°)であり、前記薬剤揮散体が揺動することにより、この薬剤揮散体に含まれる揮散性薬剤の揮散を生じさせるか、又はその揮散量を増加させ、この揮散した揮散性薬剤であるガス状薬剤が、薬剤揮散体の空隙部から前記収納容器内の空間部に移動し、前記開口部より外部に送り出させる薬剤揮散装置。
[3]前記側面部の開口部の面積割合(C)は、10〜50%であり、前記正面部の開口部の面積割合(D)は、10〜50%であり、この面積割合比C/Dは、0.3〜3.0である[2]に記載の薬剤揮散装置。
[4]前記薬剤揮散体が1点で吊り下げられる[1]〜[3]のいずれか1項に記載の薬剤揮散装置。
[6]前記収納容器の背面部に設けられる開口部の面積は、前記収納容器の背面部の全面積に対して、10%以下である[1]〜[5]のいずれか1項に記載の薬剤揮散装置。
[7]前記薬剤揮散体の嵩体積(A)と前記収納容器の内部の体積(B)との体積比(A/B)が、0.01〜0.6である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の薬剤揮散装置。
[9]前記担体は、空隙を有するメッシュ構造を有することを特徴とする[8]に記載の薬剤揮散装置。
[10][1]〜[9]のいずれか1項に記載の薬剤揮散装置は、携帯用である薬剤揮散装置。
前記常温揮散性の薬剤(以下、「常温揮散性薬剤」と称する。)は、常温で揮散性を発揮する薬剤であり、常温揮散性のピレスロイド系防虫成分等があげられる。
この常温揮散性薬剤としては、常温において空気中に揮散する性質を有し、25℃における蒸気圧が0.001Pa以上0.1Pa以下程度の薬剤が、適度の揮散性を発揮し得るので好ましい。
前記飛翔害虫忌避香料組成物は、飛翔害虫忌避香料、及び忌避効果持続成分を含む組成物であり、特に使用の初期段階における香りの付与と防虫効果の補強を目的として添加される。
前記飛翔害虫忌避香料としては、下記の一般式(I)で表される酢酸エステル化合物、及び/又は一般式(II)で表されるアリルエステル化合物から選ばれる1種又は2種以上の香料成分(a)と、モノテルペン系アルコールもしくは炭素数が10の芳香族アルコールから選ばれる1種又は2種以上の香料成分(b)を含有する成分があげられる。
CH3−COO−R1 (I)
(式中、R1は炭素数が6〜12のアルコール残基を示す。)
R2−CH2−COO−CH2−CH=CH2 (II)
(式中、R2は炭素数が4〜7のアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、又はフェノキシ基を示す。)
本発明の薬剤揮散体は、前述したとおり、特に使用の初期段階における香りの付与と防虫効果の補強を目的として、前記飛翔害虫忌避香料組成物を含有することができるが、加えて、より長期間にわたり芳香を持続させうる持続性香料成分、例えば、ガラクソリド、ムスクケトン、エチレンブラシレート、メチルアトラレート等を必要に応じて配合しても構わない。
次に、前記薬剤揮散体を構成する担体は、繊維成分又は樹脂成分からなる平板状又は立体状の構造体である。
また、この繊維成分とは、繊維状に構成されたものをいい、長繊維(フィラメント)そのものや、長繊維や短繊維(ステープル)を撚り合わせて繊維状としたもの等があげられる。この発明においては、長繊維(フィラメント)を用いるのがよく、特に材料として、後述する樹脂組成物を用いて得られる樹脂製の長繊維(樹脂フィラメント)を用いると、耐久性が高くなり好ましい。
前記の樹脂成分や繊維成分に用いられる樹脂組成物は、構成樹脂に、必要に応じて微粉末成分、及び他の樹脂を混練したものである。なお、この樹脂組成物は、一旦、ペレットに成形された後、上記の常温揮散性薬剤の混練・成形を行ったり、直接成形を行い、常温揮散性薬剤の含浸を行ったりすることが効率上好ましい。
また、前記のエチレン−ビニルアセテート共重合体のメルトマスフローレイト(MFR)は、5g/10min以上、50g/10min以下であると好ましい。MFRが小さすぎるとブリード調整剤としての効果が期待できなくなり、MFRが大きすぎると樹脂ペレットの物性に与える影響が無視できなくなってしまう恐れがある。
この場合は、立体状メッシュを構成した担体の表面に防虫成分を担持させ揮散に供するのであるが、かかる樹脂組成物に上記したポリオレフィン系樹脂やスチレン系熱可塑性エラストマー、あるいはレーヨン等の樹脂を混紡して構成樹脂を改質し、防虫成分の揮散性を調整することもできる。
前記薬剤揮散体は、前記担体に、前記常温揮散性薬剤が含有されて構成される。この常温揮散性薬剤の含有方法としては、前記樹脂組成物にこの常温揮散性薬剤を混練させて、薬剤保持樹脂組成物を調製し、次いで成形する方法等があげられる。また、前記繊維成分を用いる場合は、まず、前記樹脂組成物から長繊維(樹脂フィラメント)や短繊維を製造し、次いで、樹脂フィラメント、又はこれらを撚り合わせて繊維状としたものを撚り合わせて立体状メッシュを構成し、そして、上記常温揮散性ピレスロイド系防虫成分を含浸させる方法等が挙げられる。
前記微粉末成分は、樹脂ペレット内に常温揮散性薬剤を担持するために添加する成分である。例えば、いわゆるホワイトカーボンとよばれる微結晶シリカや微粉末ケイ酸、珪藻土、ゼオライト類、粘度鉱物、木粉等が挙げられる。
更に、前記樹脂組成物の重量調整や物性の調整のために、前記のエチレン−ビニルアセテート共重合体等の構成樹脂の他に、他の樹脂を混練させてもよい。他の樹脂として、ポリオレフィン系樹脂やスチレン系樹脂を含有してもよい。このポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などがあげられるが、エチレン−ビニルアセテート共重合体やエチレン−メタクリル酸メチル共重合体との親和性から、ポリエチレンが好ましく、成形性の点で特に低密度ポリエチレン、具体的には分岐低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。
前記他の樹脂の配合量は、前記樹脂組成物全体に対して、10質量%以上含有すると好ましく、20質量%以上であるとより好ましい。10質量%未満では、過度なブリードを抑制する効果が不十分になってしまう。一方、上限は90質量%以下であると好ましく、60質量%以下であるとより好ましい。多すぎると、前記樹脂組成物のペレットをマスターバッチとして用い、前記他の樹脂と混練して得られた樹脂成形体においてもブリードを抑制しすぎてしまい、本来の目的である常温揮散性薬剤の揮散による防虫効果が過度に低減される恐れを有するためである。
上記樹脂組成物は、前記構成樹脂を加熱し、ここに、前記常温揮散性薬剤、及び必要に応じて、微粉末成分や、加熱した他の樹脂を混練することにより得られる。そして、これをペレット化して冷却することにより常温揮散性薬剤含有樹脂ペレットを得ることができる。
ところで、上記の他の樹脂は、前記の通り、前記常温揮散性薬剤含有ペレットの製造段階に含有させてもよく、また、この他の樹脂を含有させずに前記常温揮散性薬剤含有ペレットを成形し、次いで、この前記常温揮散性薬剤含有ペレットを前記他の樹脂を用いて希釈し、混練・成形することにより、前記薬剤揮散体を得てもよい。
前記常温揮散性薬剤含有樹脂ペレットは、成形することにより、薬剤揮散体を得ることができる。また、前記常温揮散性薬剤含有樹脂ペレットに前記他の樹脂が含有されていない場合は、常温揮散性薬剤含有樹脂ペレットを前記他の樹脂を用いて希釈し、混練・成形して薬剤揮散体としてもよい。
前記薬剤揮散体に担持される前記常温揮散性薬剤の含有量は、使用する防虫成分の種類、使用環境、使用条件などによって変動することから、特に限定されるものではない。
しかしながら、防虫効果に必要な防虫成分量を確保し、また防虫成分を練り込んだ後の成形を容易にするため、さらに構成樹脂の表面に防虫成分が過剰にブリードしてベタツキを起こすことを防止するために、0.5〜20質量%の範囲にすることが好ましい。
すなわち、含有量を設定するに当たっては、使用する防虫成分の種類により異なるものの、例えば、メトフルトリン単独を使用した場合では、防虫効果が発現するのに必要な最低の揮散量は0.03mg/hr以上であり、プロフルトリン単独では0.03mg/hr以上であり、トランスフルトリン単独では0.06mg/hr以上であることから、30日〜200日における含有量についてはメトフルトリンでは30〜700mg、プロフロトリンでは30〜700mg、トランスフルトリンでは60〜1400mgの範囲で設定すればよいことになる。
次に、前記薬剤揮散体のうち、メッシュ構造を有する構造体について具体的に説明する。
このメッシュ構造体は、樹脂の棒状体、樹脂フィラメント、樹脂フィラメントや短繊維(ステープル)を撚り合わせて繊維状としたもの等を組み合わせた、平板又は立体状にメッシュを構成した空隙部を有する構造体である。このうち、立体状メッシュに構成した形状を有する立体構造体(以下、これらを「メッシュ構造体」と称する。)は、前記薬剤揮散体の比表面積をより高くすることができ、薬剤揮散量を高く、かつ、長くすることができるので好ましい。このメッシュ構造体の成形方法としては、まず、前記常温揮散性薬剤含有樹脂ペレットを押出成形や射出成形等によって成形して、樹脂の棒状体、樹脂フィラメント、短繊維等を得、樹脂フィラメントや短繊維については、必要に応じて撚って繊維状とし、次いで、これらを用いてメッシュ構造体を形成する方法や、前記の常温揮散性薬剤含有樹脂ペレットを射出成形等によって直接、複数の樹脂棒状体や樹脂フィラメントを交差させた、メッシュ構造体を得ることができる。
なお、周縁部は、立体構造体の強度、形状、外部収納容器等との関係で、適宜決定される。
前記立体構造体1の空隙率、すなわち、この立体構造体1の見かけ上の内容積に対する、この立体構造体1内の空間部分の含有割合は、70%以上がよい。70%より少ないと、メッシュ内部の空気の流れが必要以上に妨げられ、メッシュ表面の薬剤の揮散と拡散性が低下するという問題点を有する場合がある。一方、空隙率の上限は、99%が好ましい。99%より多いと、立体状メッシュ構造を維持するための強度が不足するという問題点を有する場合がある。
本発明は、担体を構成する樹脂組成物のブリード性の最適化と、屋外での使用に際し常温揮散性薬剤が光の影響を受け難い形状を実現することを目的とする。これらの目的を達成するため、前記樹脂棒状体又は樹脂フィラメントを断面に切断し、その重心を通る径のうち、最も長い径を最長径(a)、最も短い径を最短径(b)とするとき、a≧bの関係を有することになり、これに加え、最短径(b)が次の条件を満たすことが好ましい。なお、「径」とは、図形の差し渡しの長さのことをいう。
また、最長径(a)は、0.3mm以上がよい。0.3mm未満であると、フィルム状に近い形状となり、ブリードが過度に速い状態や光の影響を受けて防虫成分の分解ロスを生じることが避けられない。一方、最長径(a)の上限は、10mmがよい。10mmを越えると、ブリードが抑えられる傾向が強まり、また、後記する樹脂メッシュの網目(目開き)の大きさ(開孔率)が狭まって揮散効率の低下の恐れを生じる。
本発明において、薬剤揮散体1aは、図3に示すように、収納容器32に収納されて使用される。そして、薬剤揮散体1aは、収納容器32の内部に、揺動自在に吊り下げられた形態をとる。この吊り下げは、収納容器32の内部に、薬剤揮散体1aが少なくとも1点で吊り下げられるのがよく、図4(a)に示すように、吊り下げ部材31を介して、1点で吊り下げられるのが好ましい。
なお、前記収納容器32の上面部及び下面部には、開口部は、必要に応じて設ければよい。
また、薬剤揮散体の形状(例えば平板状や円筒状等)に合わせ、後述する揺動角を確保できる範囲で、上記の各種形状を採用することができる。
さらに、空気清浄機取付け用に適用するような場合、収納容器を適宜簡略化しても、薬剤揮散体を揺動自在に吊り下げることができればよい。
また、背面部と対向する面で、背面部と平行な面がある場合、その面を「正面部」(F)とする。
さらに、背面部を構成する面と当該面との角度が45°以下の場合は、その当該面を「正面部」(F)とし、それ以外の面を「側面部」(S)とする。
また、背面部以外の部分を区分線で、まず、4等分割する。次いで、この区分線付近で、開口部間の隙間が最も大きい箇所の中央部を通る区分線を境界線とする。この境界線で分けられた4つの画分のうち、両端部の2つの画分を「側面部」(S)とし、残りの中央部の2つの画分を「正面部」(F)とする。
上記の通り、薬剤揮散装置30は、図3、図4(a)に示すように、薬剤揮散体1aを収納容器32に揺動自在に吊り下げることにより、形成される。この薬剤揮散体1aは、外的要因、例えば、外部から収納容器32内に入る風、収納容器32が動くこと等により、この薬剤揮散体1aは揺動する。この揺動によって、薬剤揮散体1aに含まれる揮散性薬剤の揮散を生じさせるか、又はその揮散量を増加させる。そして、その揮散した揮散性薬剤(以下、「ガス状薬剤」と称する場合がある。)が、薬剤揮散体の空隙部に滞留する。この滞留したガス状薬剤は、薬剤揮散体1aの揺動によって生じる新たなガス状薬剤によって、前記収納容器32内の空間部に移動して滞留する。薬剤揮散体1aの揺動によって新たなガス状薬剤の発生が続いている場合、この収納容器32内の空間部に滞留したガス状薬剤は、収納容器32の開口部の割合との関係から、ある程度の濃度になると、収納容器32の外部に送り出されることとなる。
この場合、収納容器32の外部に出るガス状薬剤は、所定の速度を保って出て行くので、揮散性薬剤が有する薬効、例えば殺虫、防虫等の効果を発揮することができる。
なお、この揺動の角度(揺動角)は、以降「θ」で示す場合がある。なお、図3(b)(c)に示すθは、横方向又は前後方向の揺動角を意味する。
本発明の薬剤揮散体は、一般的に収納容器に収納後、薬剤非透過性フィルム袋に収容されて市販され、使用時に開袋して用いられる。もちろん、薬剤揮散体のみを薬剤非透過性フィルム袋に収容して市販し、使用時に袋から取り出された薬剤揮散体を収納容器に装填するようにしてもよい。ここで、薬剤非透過性フィルム袋の材質としては、ポリエステル(PET、PBTなど)、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアクリルニトリルなどがあげられ、その肉厚は可撓性を損なわない範囲で決定される。なお、ヒートシール性を付与するために、これら薬剤非透過性フィルムの内面をポリエチレンやポリプロピレンフィルム等でラミネートすることもできる。
本発明によって調製される薬剤揮散装置30は、使用直後から少なくとも60日以上、長くておよそ200日間までのその設計仕様に応じた所定期間にわたり、アカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカ等の蚊類、ブユ、ユスリカ類、ハエ類、チョウバエ類、イガ類等に対して優れた防虫効果を奏する。
本発明の薬剤揮散体は、前記の構成を有することにより、品質上安定して製造することができる。
まず、使用した薬剤、及び性能の評価方法について説明する。
・メトフルトリン(住友化学(株)製:エミネンス)
・トランスフルトリン(住友化学(株)製:バイオスリン)
・微結晶シリカ(EVONIK社製:カープレックス#80、ホワイトカーボン、平均粒子径:15μm、以降「シリカ」と記す。)
・エチレン−ビニルアセテート共重合体(東ソー(株)製:ウルトラセン710、エチレン:酢酸ビニル単位比=72:28、以降「EVA」と記す。)
・低密度ポリエチレン(旭化成(株)製:サンテックLDM6520、以降「LDPE−A」と記す。)
・ポリエチレンテレフタレート((株)ベルポリエステルプロダクツ製:ベルペットIP121B、以降「PET」と称す。)
得られた薬剤揮散体を、正面部及び側面部に開口部を有し、かつ、表2に示す開口率を有する開口部のある収納容器内部の上部の中心部から5mmの吊下げ部材を介して吊下げ、25℃の室内で振とう機上に設置し、1時間に10分間振とうさせて、揮散開始後、所定期間(有効期間の中間時点、終点)の立体構造メッシュ中に含まれる有効成分量をガスクロマトグラフィーによりそれぞれ測定し、1日当りの薬剤揮散量を算出した。
揮散性薬剤の薬剤揮散量、使用する薬剤の有効揮散量、及び有効期間から下記の基準で評価した。なお、有効揮散量とは、薬剤が害虫に有効に働く量をいい、メトフルトリンで0.03mg/h以上であり、トランスフルトリンで0.06mg/h以上である。また、「有効期間」とは、薬剤揮散体に含まれる薬剤の含有量と過去の出願人の製品とから鑑みて設定した、害虫を効果的に防除する期間の目安をいう。
◎:有効期間終了時での薬剤揮散量が有効揮散量に比べて高く保持されていた。
○:有効期間終了時での薬剤揮散量が有効揮散量に比べて高く保持されていたが、「◎」に比べるとやや低い傾向が見られる。
△:有効期間終了時での薬剤揮散量が有効揮散量下限値である。
×:有効期間終了時での薬剤揮散量が有効揮散量より低い。
(製造例1)
(メトフルトリンを含有する薬剤揮散体の製造)
50℃に加温したメトフルトリン10重量部を微結晶シリカ6重量部に担持させた後、これにEVA40重量部、及びLDPE−A44重量部を、(株)テクノベル製:二軸押出し成形機を用いて、120〜140℃で混練・押出成形し、直径3mm、長さ5mmのメトフルトリン含有樹脂ペレットを製造した。
表1に示すとおり、この立体構造体を構成する矩形波状体11及び補強材12の樹脂フィラメントの断面形状は、1.3mm×1.3mmの正方形で、最短径(b)が1.0mm、最長径(a)/最短径(b)の比率は1.4であった。なお、薬剤揮散体全体の大きさを、50mm×50mm×50mmとした。そして、空隙率は97%であった。以下、得られた薬剤揮散体を「M−A」と称する。
表1に使用する量の薬剤を用い、メッシュのそれぞれの大きさを表1に記載の大きさとした薬剤揮散体を製造した。空隙率は表1に示すとおりである。以下、得られた薬剤揮散体をそれぞれ、「M−B」「M−C」「T−A」「T−B」と称する。
得られた薬剤揮散体を表2に示す容器に収納し、上記の<揮散性薬剤の揮散性評価試験>に記載の方法に基づいて、揮散性薬剤の揮散量ならびに揮散時間を測定した。その結果を表2に示す。
試験の結果、揺動不可能なもの(揺動角が0.05π未満のもの)は、特に終了時点での薬剤揮散量が有効揮散量に達しておらず、十分な薬剤揮散量を有していないことが明らかとなった(比較例1〜11)。
一方、揺動可能なものは、いずれも揺動しない(揺動角が0.05π未満)ものよりも高い揮散量が得られ、終点まで高い有効揮散量を維持していた(実施例1〜13)。
また、開口率(C及びD)が10〜50%であり、かつ、C/Dが0.3〜3.0の範囲のものは、揮散性薬剤の有効揮散量が評価終了時点でも高く維持していた(実施例2,3,7,10,11,12)。
一方、C/Dが0.3〜3.0の範囲にないものは、この範囲を満たす場合に比べて、終了時点の薬剤揮散量が低く、薬剤揮散量の維持が少し不十分な面が見られる(実施例4,9,13)。
また、開口率(C及びD)が50%を超えると、この範囲を満たす場合に比べて、揮散量が多くなり、終了時点の薬剤揮散量が低く、薬剤揮散量の維持が少し不十分な面が見られる(実施例1,5)。
さらに、背面開口率は、10%以下であれば、結果にあまり差が生じないことが見られた(実施例5,6)。
一方、背面開口率が10%を超えると、この範囲を満たす場合に比べて、揮散量が多くなり、終了時点の薬剤揮散量が低く、薬剤揮散量の維持が少し不十分な面が見られた(実施例8)。
樹脂からなる繊維成分としてPET加工糸を用い、プレーン組織を両面に編成し、この両面を撚り合わせたフィラメントで繋ぎ、厚さ3mmの立体構造編地を作製した。この立体構造体を構成するフィラメント断面の最短径は0.3mmで、立体構造体全体の大きさを150mm×80mmとした。なお、空隙率は81%であった。
メトフルトリン0.25gをアセトン0.25gに溶解した薬液を前記立体構造体に保持させた。得られた薬剤揮散体を用い、上記の方法に基づいて揮散性薬剤の揮散量ならびに揮散時間を測定したところ、平均揮散量は0.03mg/hrで、揮散時間は60日であった。
1a 薬剤揮散体
11 矩形波状体
11a 第1頂部
11b 第2頂部
12 補強材
30 薬剤揮散装置
31 吊り下げ部材
32 収納容器
a 最長径
b 最短径
Claims (10)
- 開口部を有する収納容器の内部に、常温揮散性の薬剤を担体に担持させた薬剤揮散体を収納した薬剤揮散装置であり、
少なくとも前記収納容器の側面部及び正面部に前記開口部を設け、
前記薬剤揮散体は、前記収納容器内部に、揺動自在に吊り下げられ、
前記薬剤揮散体の揺動角は、0.05π(9°)〜0.5π(90°)であり、
前記薬剤揮散体が揺動することにより、この薬剤揮散体に含まれる揮散性薬剤の揮散を生じさせるか、又はその揮散量を増加させ、
この揮散した揮散性薬剤であるガス状薬剤が、薬剤揮散体の空隙部から前記収納容器内の空間部に移動し、前記開口部より外部に送り出させる薬剤揮散装置。 - 前記収納容器の側面部全体の面積に対するこの側面部の開口部の面積の割合(C)と、前記収納容器の正面部全体の面積に対するこの正面部の開口部の面積の割合(D)との比C/Dは、0.3〜3.0である請求項1に記載の薬剤揮散装置。
- 前記側面部の開口部の面積割合(C)は、10〜50%であり、
前記正面部の開口部の面積割合(D)は、10〜50%であり、
この面積割合比C/Dは、0.3〜3.0である請求項2に記載の薬剤揮散装置。 - 前記薬剤揮散体が1点で吊り下げられる請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤揮散装置。
- 前記薬剤は、トランスフルトリン、メトフルトリン、エンペントリン、プロフルトリンから選ばれる少なくとも一種以上の薬剤を用いたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤揮散装置。
- 前記収納容器の背面部に設けられる開口部の面積は、前記収納容器の背面部の全面積に対して、10%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬剤揮散装置。
- 前記薬剤揮散体の嵩体積(A)と前記収納容器の内部の体積(B)との体積比(A/B)が、0.01〜0.6である請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤揮散装置。
- 前記担体は、繊維成分又は樹脂成分からなる平板状又は立体状の構造体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬剤揮散装置。
- 前記担体は、空隙を有するメッシュ構造を有することを特徴とする請求項8に記載の薬剤揮散装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬剤揮散装置は、携帯用である薬剤揮散装置。
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