JP5867321B2 - ステアリングホイールの位置調節装置 - Google Patents
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Description
この様な事情に鑑みて本発明者は先に、図10〜20に示す様な、ステアリングホイールの位置調節装置に関する発明を行った。本発明は、この先発明の構造の改良に関するものであるから、先ず、この先発明の構造に就いて説明する。
尚、図示の例を含めて先発明の特徴は、カム式の拡縮機構を設けた構造で、ステアリングホイール1(図5参照)の位置調節を行うべく、調節レバー32を回動させる際に、この調節レバー32が勢い良く回動する事を防止して、この調節レバー32を操作する運転者に不快感を与える事を防止できる構造を実現する点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図5〜9に記載した従来構造の第1〜2例を含め、従来から知られている各種構造のステアリング装置と同様である。就いては、図6〜9に記載した従来構造と同様の部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、先発明の特徴部分を中心に説明する。
前記ダンパ用ロッド39の先端部を前記突片34の先端部に結合する為、このダンパ用ロッド39の先端部に先端側フランジ部42を形成している。そして、この先端側フランジ部42に、図15の(A)に示す様な挿通孔43を形成するか、同図の(B)に示す様な、茸形の弾性脚片44を形成する。このうちの挿通孔43を設けた構造の場合には、この挿通孔43と前記結合孔36とに緩く挿通した、リベット、小ねじ及びナット等の結合杆部材により、揺動変位を可能に結合する。又、前記弾性脚片44を設けた構造の場合には、この弾性脚片44を、その最大径部の外径を弾性的に縮めつつ、前記結合孔36に挿入する。挿入した状態では、この結合孔36の内周面と前記弾性脚片44の外周面との間に存在する隙間、或いはこの弾性脚片44の弾性変形に基づき、前記突片34に対する、前記ダンパ用ロッド39の各方向の揺動変位を可能にする。尚、前記弾性脚片44又は前記小ねじが、特許請求の範囲に記載した枢軸に対応する。
ステアリングホイール1の位置調節を可能とする状態と、同じく調節後の位置に保持する状態とで前記突片34は、カム装置31の伸縮ストローク分(例えば1〜2.5mm程度)、前記調節ロッド24の軸方向に変位する。前記伸縮式ダンパ35の両端部を前記突片34或いは前記延長部37に、揺動変位を可能に結合すれば、前記伸縮ストロークに基づく、これら突片34と延長部37との相対変位を吸収できる。
前記伸縮式ダンパ35により、前記調節レバー32が勢い良く下方に回動するのを防止する為には、前記隙間41内に十分量のグリース40が存在している事が必要である。一方、前記シリンダ部38を奥端が完全に塞がれた構造とし、このシリンダ部38内で前記ダンパ用ロッド39が軸方向移動する構造とした場合、このシリンダ部38に対するこのダンパ用ロッド39の挿入量が増大する際に、このシリンダ部38の奥部空間の圧力が上昇する。この結果、前記隙間41内のグリース40が、このシリンダ部38の開口側から押し出されて周囲に流失する。一方、このシリンダ部38を単なる円管状とした(両端を開口させた)場合には、前記伸縮式ダンパ35の姿勢変化に伴って前記隙間41から前記シリンダ部38の基端側に入り込んだグリース40が、そのまま基端側開口から周囲に流失する。何れにしても、前記ステアリングホイール1の高さ位置調節の繰り返しに伴って、前記隙間41内のグリース40が不足し、前記伸縮式ダンパ35のダンパ性能が劣化する。
即ち、前記伸縮式ダンパ35の姿勢は、図18の(A)に示した、前記ステアリングホイール1を上端位置とする場合と、同じく(B)に示した下端位置にする場合とで変化する。又、(a)に示した前記調節レバー32を下方に回動させた場合と、同じく(b)に示した上方に回動させた場合とでも変化する。そして、図18の(A)−(a)に示した、前記ステアリングホイール1を上端位置とし、前記調節レバー32を下方に回動させた状態で、前記伸縮式ダンパ35の基端側が低くなる方向に最も大きく傾斜する。前記空間48の容積と前記空気流路46a、46bの設置位置は、この様な図18の(A)−(a)に示した状態でも、前記空間48内に存在するグリース40が外部に漏出しない様に、前記伸縮式ダンパ35内に充填するグリース40の量との関係で規制する。この様にする事で、前記シリンダ部38の内周面と前記ダンパ用ロッド39の外周面との間の隙間41内に、長期間に亙り十分量のグリースを保持して、前記伸縮式ダンパ35の性能を長期間に亙り維持できる様にしている。
このうちのステアリングコラムは筒状である。
又、前記被挟持部は、このステアリングコラムの一部に固設されている。
又、前記変位側透孔は、前記被挟持部に設けられている。
又、前記ステアリングシャフトは、前記ステアリングコラムの内径側に回転自在に支持されて、後端部でこのステアリングコラムの後端開口から後方に突出した部分にステアリングホイールを固定する。
又、前記支持ブラケットは、前記被挟持部を幅方向両側から挟む1対の支持板部を備え、車体に固定の部分に支持される。
又、前記両固定側透孔は、前記両支持板部の互いに整合する部分に設けられている。
又、前記調節ロッドは、前記両固定側透孔及び前記変位側透孔に、幅方向に挿通されている。
又、前記アンカ部は、前記調節ロッドの基端部で前記両支持板部のうちの一方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられ、この一方の支持板部に対し回転を阻止した状態で係合している。
又、前記押圧部は、前記調節ロッドの先端部で前記両支持板部のうちの他方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられている。
又、前記拡縮機構は、この押圧部と前記アンカ部との間隔を拡縮するもので、好ましくは、請求項5に記載した発明の様に、カム装置により構成する。
この場合に使用するカム装置は、前記調節ロッドの先端部で前記両支持板部のうちの他方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられた、それぞれが凸部と凹部とを傾斜面により連続させた駆動側カム面と被駆動側カム面との係合に基づいて軸方向寸法を拡縮する。
又、前記調節レバーは、前記調節ロッドを中心とする回動に基づいて、前記押圧部と前記アンカ部との間隔を拡縮させる。前記拡縮機構にカム装置を使用する場合に前記調節レバーは、このカム装置の軸方向寸法を拡縮させる為、前記駆動側カム面を設けた駆動側カムを回動させる。
そして、前記両固定側透孔と前記変位側透孔とのうちの少なくとも一方の透孔を、前記ステアリングホイールの調節方向に長い長孔としている。
そして、前記第一摺動部材は、有底円筒状のシリンダ部と、このシリンダ部の基端部を他の部分に結合可能とする第一取付部とを備えたものとする。
又、前記第二摺動部材は、前記シリンダ部内に挿入可能なピストン部と、このピストン部の基端部を他の部分に結合可能とする第二取付部とを備えたものとする。
そして、前記シリンダ部の内周面と前記ピストン部の外周面とのうちの少なくとも一方の周面に、隣接した部分よりも凹んだ凹部を設け、この凹部を設けた部分で、前記ピストン部の外周面と前記シリンダ部の内周面との距離を大きくしている。更に、これら両周面同士の間でこの距離が大きくなった部分の面積が、前記ピストン部と前記シリンダ部との軸方向変位に伴って変化する構造を有する。
この様な伸縮式ダンパは、前記シリンダ部内に前記ピストン部を挿入すると共に、これらシリンダ部の内周面とピストン部の外周面との間にグリースを介在させた状態に組み合わせる。
そして、前記第一取付部を、前記調節レバーと共に前記調節ロッドを中心として回転する部分と前記他方の支持板部に固定の部分とのうちの一方に、前記第二取付部を同じく他方に、それぞれ幅方向に配置された枢軸を中心とする揺動変位を可能に、且つ、前記拡縮機構の軸方向寸法変化を吸収可能に支持する。
この様な請求項2に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記ピストン部の軸方向長さを、前記小径部の軸方向長さよりも短くする。
又、例えば請求項4に記載した発明の様に、前記ピストン部の外周面の基端寄り部分に、このピストン部の先端側に向かう程周方向に関する幅寸法が狭くなる凹部を、このピストン部の基端面に開口する状態で設ける。この凹部の先端は、このピストン部の先端面に達しない様に、このピストン部の全長よりも短くする。
この様な請求項6に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項7に記載した発明の様に、前記空気流路を、前記ステアリングホイールの調節位置及び前記調節レバーの回動位置の如何に拘らず、前記グリース溜り内のグリースが、重力に基づき、前記空気流路を通じて漏出しない位置に設ける。
この様な請求項8に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項9に記載した発明の様に、前記伸縮式ダンパの両端部と相手部材との連結部の位置を規制する。
これら両連結部の位置を規制する為に、前記調節レバーを前記ステアリングホイールの上下位置調節が可能となる位置まで回動させると共に、前記ステアリングホイールを調節可能な上端位置とした状態で、前記調節レバーと共に前記調節ロッドを中心として回転する部分と前記伸縮式ダンパの一端部との連結部の中心位置が存在する位置を上端側中心位置と、同じく下端位置とした状態でこの連結部の中心位置が存在する位置を下端側中心位置と、それぞれ仮定する。
そして、前記伸縮式ダンパの他端部と前記他方の支持板部に固定の部分との連結部の中心位置を、前記上端側中心位置と前記下端側中心位置とを結ぶ線分の垂直二等分線上、又は、この線分の中点を通り且つこの垂直二等分線に対して絶対値で10度以内(好ましくは5度以内)の角度だけ傾斜した直線上に存在させる。
又、前記ステアリングシャフトを、アウタシャフトとインナシャフトとを、トルク伝達可能に、且つ、伸縮可能に組み合わせたテレスコピックステアリングシャフトとする。
又、前記被挟持部を、前記アウタコラムと前記インナコラムとのうちの後側に設けられたコラム部材の一部に固設し、前記変位側透孔を、当該コラム部材の軸方向に長い前後方向長孔とする。
そして、前記調節ロッドがこの前後方向長孔内で変位可能な範囲内で、前記ステアリングホイールの前後位置を調節可能とする。
特に、前記各周面同士の間に介在させるグリースの粘度を、請求項11に記載した発明の様に、500〜50000mm2/s(40℃)の範囲に規制すれば、前記不快感の防止を有効に図れる。特に、前記粘度を5000〜20000mm2/s(40℃)の範囲に規制すれば、前記伸縮式ダンパの減衰性能をより一層安定させて、前記運転者に与える違和感をより低減できる。
チルト式ステアリング装置又はチルト・テレスコピック式ステアリング装置としても実施する場合で、ダンパとして伸縮式ダンパを使用する場合に、請求項9に記載した発明の様に、この伸縮式ダンパの両端の連結部の設置位置を適切に規制すれば、ステアリングホイールの高さ位置位置を調節する際に、前記伸縮式ダンパの伸縮量を少なく抑えられる。この結果、この伸縮式ダンパが、前記ステアリングホイールの上下位置を調節する際の抵抗となる程度を(殆ど無視できる程度に)緩和できる。
本発明の実施の形態の1例に就いて、図1〜2により説明する。尚、本例を含めて本発明の特徴は、ステアリングホイールの位置調節を行うべく、調節レバーを回動させる際に、この調節レバーが勢い良く回動する事を防止する為の伸縮式ダンパの構造を工夫する事により、この伸縮式ダンパの減衰性能をその伸縮ストロークに応じ変化させて、前記調節レバーの操作感をより良好にする点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図10〜20に示した先発明の構造の場合と同様であるから、同様部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
本例の伸縮式ダンパ35aは、第一摺動部材49と第二摺動部材50とを、グリース40の膜を介して軸方向に関する摺動を可能に組み合わせて成り、全長を伸縮させる方向に対する抵抗となる。
このうちのシリンダ部51は、有底円筒状で、基端上部に、内外両周面同士を連通させる空気通路46cを設けている。又、前記シリンダ部51の内径は、軸方向中央部で小さく、軸方向両端部で大きくしている。即ち、このシリンダ部51の内周面を、軸方向中央部に存在する小径部56と、軸方向両端部に存在する大径部57a、57bとから成る段付形状としている。尚、これら両大径部57a、57bは、軸方向に隣接する部分である前記小径部56に対し、径方向外方に凹んでおり、特許請求の範囲に記載した凹部の一種である。
又、前記第一取付部52は、前記シリンダ部51の基端部を塞ぐ、円板状の底板部53と、この底板部53の外面中央部に突設した取付環部54aとから成る。そして、ステアリングホイールの位置調節装置への組み付け状態で、前記第一取付部52は、前記取付環部54aを挿通したねじ55a(図10〜12、19参照)により、支持ブラケット14bの支持板部15cに設けた、特許請求の範囲に記載した他の部分である延長部37(図10、11、18参照)に、揺動変位可能に支持する。
このうちのピストン部58は、前記シリンダ部51の小径部56内に緩く挿入可能な外径を有する。又、このピストン部58の軸方向長さL58は、この小径部56の軸方向長さL56よりも小さい(L58<L56)。
又、前記第二取付部59は、前記ピストン部58の基端面中心部から突設しており、先端部に取付環部54bを有する。そして、ステアリングホイールの位置調節装置への組み付け状態で、前記第二取付部59は、前記取付環部54bを挿通したねじ55b(図10〜12、19参照)により、調節レバー32のボス部33に設けた、特許請求の範囲に記載した他の部分である突片34(図10〜12、18、19参照)に、揺動変位可能に支持する。
そして、この状態で、前記ピストン部58の外周面と前記シリンダ部51の内周面との間に存在する、円筒状である微小隙間に、前記グリース40を介在させている。
先ず、図1の(A)の様に、この伸縮式ダンパ35aが伸張した状態では、前記ピストン部58の基端寄り部分が、前記シリンダ部51の内周面のうちの大径部57aに対向する。この状態では、前記ピストン部58の外周面の基端寄り部分と、前記シリンダ部51の内周面のうちの大径部57aとの間部分の径方向寸法が大きくなる。この結果、仮にこの間部分にグリース40が存在しても、この間部分では、殆どこのグリース40による剪断抵抗が発生しない。このグリース40による剪断抵抗が発生するのは、前記ピストン部58の外周面の先端寄り部分と、前記シリンダ部51の内周面のうちの小径部56とが対向した部分のみとなる。この為、前記伸縮式ダンパ35aの減衰性能が小さく抑えられる。
更に、前記伸縮式ダンパ35aの全長がより一層縮まる過程では、図1の(B)→(C)の順に示す様に、前記ピストン部58の外周面のうちの先端部が、前記シリンダ部51の内周面のうちの大径部57bに対向する状態となり、再び、前記ピストン部58の外周面と前記小径部56との対向面積が減少する。この結果、前記伸縮式ダンパ35aの減衰性能が次第に減少する。
尚、図1の(C)→(B)→(A)の順に示す様に、前記伸縮式ダンパ35aの全長を伸張させる場合にも、図2に示す様な特性を得られる。
図3〜4は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の構造の場合には、第一摺動部材49aのシリンダ部51aの内周面に形成した小径部56aの軸方向長さL56aよりも、第二摺動部材50aのピストン部58aの軸方向長さL58aを大きく(L56a<L58a)している。そして、このピストン部58aの外周面の何れかの部分が、前記小径部56aの内周面に、この小径部56aの軸方向全長に亙り対向する様にしている。その代わりに本例の伸縮式ダンパ35bの場合には、前記ピストン部58aの外周面の基端部乃至中間部の円周方向等間隔複数箇所に、それぞれが三角形状である凹部60、60を設けている。これら各凹部60、60の基端部は、それぞれ前記ピストン部58aの基端面に開口しており、又、周方向に関する幅寸法は、このピストン部58aの先端側に向かう程狭くなる。更に、前記各凹部60、60の軸方向長さL60は、このピストン部58の軸方向長さL58aよりも短く(L60<L58a)している。従って、前記各凹部60、60の先端部は、前記ピストン部58aの先端面には開口していない。これら各凹部60、60も、特許請求の範囲に記載した凹部の一種である。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。尚、本例の構造とこの第1例とを組み合わせる(第1例の構造に凹部60、60を設ける)事もできる。組み合わせる事により、ストロークの両端部で減衰性能が低下する程度を著しくする等、所望のチューニングを行える。
2 ステアリングギヤユニット
3 入力軸
4 タイロッド
5、5a ステアリングシャフト
6、6a ステアリングコラム
7 自在継手
8 中間シャフト
9 自在継手
10、10a 電動モータ
11、11a ハウジング
12 車体
13 チルト軸
14、14a、14b 支持ブラケット
15、15a、15b、15c 支持板部
16 アウタコラム
17 インナコラム
18 変位ブラケット
19 アウタシャフト
20 インナシャフト
21 支持管
22 取付板部
23 上下方向長孔
24 調節ロッド
25 被挟持壁部
26 被挟持部
27 前後方向長孔(通孔)
28 鍔部
29 駆動側カム
30 被駆動側カム
31 カム装置
32 調節レバー
33 ボス部
34 突片
35、35a、35b 伸縮式ダンパ
36 結合孔
37 延長部
38 シリンダ部
39 ダンパ用ロッド
40 グリース
41 隙間
42 先端側フランジ部
43、43a 挿通孔
44、44a 弾性脚片
45 基端側フランジ部
46a、46b、46c 空気流路
47a、47b 蓋体
48 空間
49、49a 第一摺動部材
50、50a 第二摺動部材
51、51a シリンダ部
52 第一取付部
53 底板部
54a、54b 取付環部
55a、55b ねじ
56、56a 小径部
57a、57b 大径部
58 ピストン部
59 第二取付部
60 凹部
Claims (11)
- 筒状のステアリングコラムと、このステアリングコラムの一部に固設された被挟持部と、この被挟持部に設けられた変位側透孔と、このステアリングコラムの内径側に回転自在に支持されて、後端部でこのステアリングコラムの後端開口から後方に突出した部分にステアリングホイールを固定するステアリングシャフトと、前記被挟持部を幅方向両側から挟む1対の支持板部を備え、車体に固定の部分に支持される支持ブラケットと、これら両支持板部の互いに整合する部分に設けられた1対の固定側透孔と、これら両固定側透孔及び前記変位側透孔に、幅方向に挿通された調節ロッドと、この調節ロッドの基端部で前記両支持板部のうちの一方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられ、この一方の支持板部に対し回転を阻止した状態で係合したアンカ部と、前記調節ロッドの先端部で前記両支持板部のうちの他方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられた押圧部と、この押圧部と前記アンカ部との間隔を拡縮する拡縮機構と、前記調節ロッドを中心とする回動に基づいてこの間隔を拡縮させる調節レバーとを備え、前記両固定側透孔と前記変位側透孔とのうちの少なくとも一方の透孔を、前記ステアリングホイールの調節方向に長い長孔としたステアリングホイールの位置調節装置に於いて、
前記調節レバーと共に前記調節ロッドを中心に回転する部分と、前記他方の支持板部に固定の部分との間に、少なくともこの調節レバーを前記ステアリングホイールの位置調節を可能とする方向に回動させる事に対する抵抗となるダンパを設けており、
このダンパは、第一、第二両摺動部材を軸方向に関する摺動を可能に組み合わせて成り、全長を伸縮させる方向に対する抵抗となる伸縮式ダンパであって、
前記第一摺動部材は、有底円筒状のシリンダ部と、このシリンダ部の基端部を他の部分に結合可能とする第一取付部とを備えたものであり、
前記第二摺動部材は、前記シリンダ部内に挿入可能なピストン部と、このピストン部の基端部を他の部分に結合可能とする第二取付部とを備えたものであり、
このピストン部の外周面と前記シリンダ部の内周面とのうちの少なくとも一方の周面に、隣接した部分よりも凹んだ凹部を設け、この凹部を設けた部分で、前記ピストン部の外周面と前記シリンダ部の内周面との距離を大きくすると共に、これら両周面の間でこの距離が大きくなった部分の面積が、前記ピストン部と前記シリンダ部との軸方向変位に伴って変化する構造を有し、
前記シリンダ部内に前記ピストン部を挿入すると共に、これらシリンダ部の内周面とピストン部の外周面との間にグリースを介在させており、
前記第一取付部を、前記調節レバーと共に前記調節ロッドを中心として回転する部分と前記他方の支持板部に固定の部分とのうちの一方に、前記第二取付部を同じく他方に、それぞれ幅方向に配置された枢軸を中心とする揺動変位を可能に、且つ、前記拡縮機構の軸方向寸法変化を吸収可能に支持している事を特徴とするステアリングホイールの位置調節装置。 - 前記シリンダ部の内周面は、軸方向中間部の小径部と軸方向両端部の大径部とを備えた段付形状であり、
前記ピストン部は、前記シリンダ部の小径部内に挿入可能な外径を有する、請求項1に記載したステアリングホイールの位置調節装置。 - 前記ピストン部の軸方向長さが、前記小径部の軸方向長さよりも短い、請求項2に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
- 前記ピストン部の外周面の基端寄り部分に、このピストン部の先端側に向かう程周方向に関する幅寸法が狭くなる凹部が、このピストン部の基端面に開口する状態で設けられており、この凹部の先端がこのピストン部の先端面に達していない、請求項2〜3のうちの何れか1項に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
- 前記拡縮機構がカム装置により構成されるもので、このカム装置は、前記調節ロッドの先端部で前記両支持板部のうちの他方の支持板部の外側面から突出した部分に設けられた、それぞれが凸部と凹部とを傾斜面により連続させた駆動側カム面と被駆動側カム面との係合に基づいて軸方向寸法を拡縮するものであり、前記調節レバーは、前記カム装置の軸方向寸法を拡縮させる為、前記駆動側カム面を設けた駆動側カムを回動させるものである、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
- 前記シリンダ部の基端部が、このシリンダ部の内部空間に空気を吸排する空気流路を除いて塞がれており、このシリンダ部の奥部に、このシリンダ部の内周面と前記ピストン部の外周面との間からはみ出したグリースを貯溜しておく為のグリース溜りが設けられている、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
- 前記空気流路が、前記ステアリングホイールの調節位置及び前記調節レバーの回動位置の如何に拘らず、前記グリース溜り内のグリースが、重力に基づき、前記空気流路を通じて漏出しない位置に設けられている、請求項6に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
- 前記ステアリングコラムの前部が、幅方向に設けられたチルト軸を中心とする揺動変位可能に支持されており、前記両固定側透孔が上下方向に長い上下方向長孔であり、前記調節ロッドをこれら両上下方向長孔に沿って変位させる事により、前記ステアリングホイールの上下位置を調節可能としている、請求項1〜7のうちの何れか1項に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
- 前記調節レバーを前記ステアリングホイールの上下位置調節が可能となる位置まで回動させると共に、前記ステアリングホイールを調節可能な上端位置とした状態で、前記調節レバーと共に前記調節ロッドを中心として回転する部分と前記伸縮式ダンパの一端部との連結部の中心位置が存在する位置を上端側中心位置とし、同じく下端位置とした状態でこの連結部の中心位置が存在する位置を下端側中心位置とした場合に、前記伸縮式ダンパの他端部と前記他方の支持板部に固定の部分との連結部の中心位置が、前記上端側中心位置と前記下端側中心位置とを結ぶ線分の垂直二等分線上、又は、この線分の中点を通り且つこの垂直二等分線に対して絶対値で10度以内の角度だけ傾斜した直線上に存在する、請求項8に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
- 前記ステアリングコラムが、アウタコラムとインナコラムとを伸縮可能に組み合わせたテレスコピックステアリングコラムであり、前記ステアリングシャフトが、アウタシャフトとインナシャフトとを、トルク伝達可能に、且つ、伸縮可能に組み合わせたテレスコピックステアリングシャフトであり、前記被挟持部は、前記アウタコラムと前記インナコラムとのうちの後側に設けられたコラム部材の一部に固設されていて、前記変位側透孔が当該コラム部材の軸方向に長い前後方向長孔であり、前記調節ロッドがこの前後方向長孔内で変位可能な範囲内で、前記ステアリングホイールの前後位置を調節可能としている、請求項1〜9のうちの何れか1項に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
- グリースの基油の動粘度が、40℃で500〜50000mm2/sである、請求項1〜10のうちの何れか1項に記載したステアリングホイールの位置調節装置。
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