以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
(第1実施形態)
本発明を適用する給湯システムの一形態である第1実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。第1実施形態は、所定の時間帯に系統電力を使用して沸き上げた高温水を貯える給湯システムの一実施形態である。
第1実施形態の給湯システム100は、系統電力130を使用して給湯装置110を運転し、沸き上げた高温水をタンクユニット111に貯える。給湯システム100は、系統電力130の電気料金が他の時間帯よりも安価である所定の時間帯に、給湯装置110を制御して、系統電力130を使用する沸き上げ運転を実施する。給湯システム100は、所定の条件が成立した場合に、当該所定の時間帯における沸き上げ運転の終了時刻を所定時間早めるという特徴を有する。なお、当該所定の時間帯の一例は、深夜電力時間帯(例えば、23時から翌日の7時までの時間帯)である。またここでいう昼間時間帯は、例えば1日のうちの深夜電力時間帯を除く時間である。
図1に示すように、給湯システム100は、湯を沸き上げて昼間時間に使用する給湯使用予測熱量を充足する熱量を貯える給湯装置110と、給湯装置110の運転を制御して沸き上げ運転を実施する制御装置と、を少なくとも備える。給湯装置110は、ヒートポンプサイクルを用いた加熱装置であるヒートポンプユニット112と、ヒートポンプユニット112によって沸き上げた給湯用水をタンクに蓄えるタンクユニット111とを含んで構成され、系統電力130を使用して運転する。また、給湯装置110は、浴槽やシャワーなどへ出湯するときには、状況に応じて、深夜電力時間帯の系統電力130を使用してタンクユニット111のタンクに蓄えた給湯用水のみを使用したり、昼間時間帯における系統電力130を使用して行う沸き上げ運転による給湯用水を使用したりする。
給湯システム100は、深夜電力時間帯の沸き上げ制御に関して、早期終了条件が成立する場合に、深夜電力時間帯における沸き上げ運転の終了時刻を所定時間早める処理を実行する。演算装置114は、所定の指令信号、外部から得られる太陽光に関係する各種情報、または記憶している各種実績情報を用いて、このような処理を実行するか否かを判定する。演算装置114は、給湯ECU113に対して判定結果に応じた指令を送信する。給湯ECU113は、判定結果に応じた処理を実行するために、タンクユニット111、ヒートポンプユニット112等を制御するとともに、給湯ECU113は、タンクユニット111、ヒートポンプユニット112等の機器情報、運転情報等を取得できる。当該判定結果に応じた処理は、図2、図3を参照しながら後述する。給湯ECU113は、演算装置114の機能を備えるようにしてもよい。
ヒートポンプユニット112は、二酸化炭素冷媒を熱交換媒体とするヒートポンプサイクルからなり、タンクユニット111のタンク内に貯える水を加熱することができる加熱装置である。ヒートポンプサイクルは、圧縮機、冷媒・水熱交換器、減圧器、及び空気熱交換器を備えている。圧縮機は、二酸化炭素冷媒を圧縮、吐出する機器である。冷媒・水熱交換器は、圧縮機で圧縮された冷媒をタンクからの温水との間で熱交換して温水を加熱する。減圧器は、冷媒・水熱交換器を通過した高圧冷媒を低圧状態に減圧する。空気熱交換器は、送風機からの送風空気と熱交換させて、減圧器で減圧された低圧冷媒を蒸発させる。この空気熱交換器を通過した冷媒は、再度圧縮機で圧縮されて高圧状態で吐出される。
タンクとヒートポンプサイクルは、循環回路によって接続されている。タンク内の水は、ポンプの駆動力によって循環回路を循環する。沸き上げ運転時には、冷媒・水熱交換器で加熱された高温の温水は、タンク内の上部から流入してタンク内の上部に高温部を形成する。タンクの底部に貯まっている低温部の水は、冷媒・水熱交換器に流入して、冷媒・水熱交換器で加熱された後、タンクの上部に送られる。
給湯ECU113は、沸き上げ運転に係るヒートポンプユニット112の作動、出湯に係るタンクユニット111に含まれる電磁弁、混合弁等の各部の作動等を制御する制御装置である。ヒートポンプユニット112の作動は、給湯ECU113と通信するヒートポンプECUからの制御信号によって制御されるとともに、その作動状態はヒートポンプECUを介して給湯ECU113に入力される。ヒートポンプユニット112は、過去の使用実績等から、翌日に使用が予測される必要使用熱量をタンクに貯えておくために、深夜電力時間帯の系統電力を使用して高温水を沸き上げ、タンク内に当該必要使用熱量を貯える。
タンクは耐食性に優れた金属製のタンクであり、その外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の給湯用水を長時間に渡って保温することができる。給湯ECU113は、タンクに上下に間隔をあけて設けられた複数個の貯湯温度サーミスタからの温度情報に基づいて、タンク内上方の沸き上げられた湯とタンク内下方の沸き上げられる前の水との境界位置を検出できる。このように給湯ECU113は、温度及び湯量を検出することにより、タンク内に貯えられている貯熱量を算出することができる。
給湯装置110は、出湯時に、タンクの上部に接続された出湯管から取り出した高温水と中温取出し管から取り出した中温水または給水管から取り込まれた給水とを混合することにより、温度調整した湯をシャワー、浴槽等の給湯端末に供給する。
給湯ECU113は、ヒートポンプユニット112の作動を制御するヒートポンプECU及び浴室、リビング、台所等に設置されてユーザーによって操作されるリモートコントローラ116と、演算装置114と、それぞれ相互に通信可能に構成されている。給湯ECU113は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵するROMには、あらかじめ設定された制御プログラムが設けられ、更新可能なRAM等の記憶装置を備えている。この記憶装置には、過去の給湯使用実績が記憶される。給湯使用実績は、例えば、所定期間にわたる1日単位、昼間時間等の使用熱量(使用湯量及び湯の温度)、沸き上げ運転を行った際の運転モード及びその消費電力量等である。給湯ECU113は、各サーミスタからの温度情報、各流量カウンタからの流量情報、リモートコントローラ116の操作入力部の操作信号等に基づいて、ヒートポンプユニット112、各混合弁、各開閉弁、ポンプ等のアクチュエータ類を制御する。
演算装置114は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵するROMには、あらかじめ設定された制御プログラムが設けられる。給湯システム100は、更新可能なRAM等の記憶装置115を備えている。記憶装置115には、カレンダー情報、日の出情報に関係する実績、電力消費に関係する実績、天候に関係する実績等が記憶されている。これらの情報は、給湯システム100が深夜電力時間帯の沸き上げ制御において早期終了条件が成立するか否かを判定するために、記憶している各種実績情報である。
演算装置114と記憶装置115は、相互に通信可能である。記憶装置115は、演算装置114と給湯ECU113間の通信を介して、給湯ECU113が有する機器情報、運転情報等の過去実績を取得することができる。このようにして、演算装置114と記憶装置115は、各種実績情報の更新、読み込みを随時実行できる。
例えば、給湯ECU113は、タンクユニット111、ヒートポンプユニット112等の機器の運転状態、電力使用実績、給湯使用実績等の機器に関する情報を演算装置114に送信する。電力使用実績は、電力消費に関係する実績の一例であり、例えば、給湯装置110によって使用される電力消費実績、給湯システム100と連携する建物、住宅、設備等で消費される電力消費実績である。
給湯システム100は、外部情報源120とも通信可能である。外部情報源120は、インターネット、その他の電気通信回線等で電気的に接続された外部のネットワーク上に存在する各種の情報発信ツールである。外部情報源120は、少なくとも演算装置114に向けて情報供給可能なものであればよく、給湯システム100との間で双方向通信可能なものに限定されない。したがって、外部情報源120と給湯システム100との関係は、外部情報源120から演算装置114へ定期的に情報発信される形態でもよいし、外部情報源120の提示する情報を演算装置114の方から取得しにいく形態でもよい。
また、外部情報源120は、例えば、天候情報、日の出に関する情報、外気温度に関する情報等を外部に向けて発信、または提示できるマスコミ機関、気象庁、民間の情報提供機関等である。したがって、演算装置114は、外部情報源120から得られる太陽光に関係する各種情報として、日の出情報に関係する予報、天気予報、外気温度情報に関係する予報を取得できる。
さらに、給湯システム100が外部に設備された発電装置(例えば太陽光発電装置、風力発電装置等)と連携している場合には、外部情報源120は、発電状態、発電実績等の太陽光に関係する各種情報を演算装置114に送信する。発電実績は、例えば、所定期間、所定の時間帯(例えば、深夜電力時間帯)における発電量、発電装置から各種電気装置への電力供給量、売電量等である。また、当該太陽光に関係する各種情報は、記憶装置115に記憶され、かつその実績情報が随時更新されるように構成してもよい。
演算装置114は、記憶装置115に記憶されているカレンダー情報を用いて、現在の季節を決定し当該季節と予め設定された判断基準とにより、あるいは、過去の発電実績が反映されたカレンダーの学習機能により、発電実績が見込める場合には、深夜電力時間帯の沸き上げ制御において早期終了条件が成立すると判定する。また、演算装置114は、記憶装置115に記憶されている外気温度に関係する実績や、外部情報源120から得られる外気温度に関する情報を用いて、現在の季節を決定し、当該季節と予め設定された判断基準とにより、発電実績が見込める場合には、深夜電力時間帯の沸き上げ制御において早期終了条件が成立すると判定する。
また、演算装置114は、記憶装置115に記憶されている電力消費に関係する実績を用いて予測される電力実績が所定量以上である場合には、深夜電力時間帯の沸き上げ制御において早期終了条件が成立すると判定する。これにより、深夜電力時間帯の終了時刻近くの時間帯に電力消費が多く予想される場合には、早期終了条件が成立することによって、給湯装置110の電力消費がなくなるため、給湯システム100を含む建物等で消費される電力を抑制することができる。したがって、1日の活動開始時間である早朝に集中し得る電力消費量を抑制でき、1日全体における電力消費の平準化が図れる。
また、演算装置114は、記憶装置115に記憶されている日の出情報に関係する実績や、外部情報源120から得られる日の出に関係する情報を用いて発電実績がある時間帯を予測し、発電実績が見込める場合には、深夜電力時間帯の沸き上げ制御において早期終了条件が成立すると判定する。また、演算装置114は、記憶装置115に記憶されている天候に関係する実績や、外部情報源120から得られる天気予報の情報を用いて、深夜電力時間帯に発電実績があるか否かを判定し、発電実績が見込める場合には、深夜電力時間帯の沸き上げ制御において早期終了条件が成立すると判定する。
リモートコントローラ116は、給湯運転に関する情報を表示する表示画面と、各種の運転指令を行える各種の運転操作部と、を備える。給湯装置110の運転状況、設定情報等の各種情報は、リモートコントローラ116の表示画面に表示される。運転操作部は、液晶表示部及び入力部を有するタッチパネルにより構成してもよい。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、投影型静電容量方式、表面型静電容量方式、超音波表面弾性波方式等、種々の動作方式を有するパネルを採用することができる。
この運転操作部の中には、深夜電力時間帯の沸き上げ運転において沸き上げ終了時刻を早める処理を強制的に実行するために、所定の指令信号を給湯ECU113に送信する早期終了操作部116aが含まれている。ユーザーが早期終了操作部116aを操作すると、所定の指令信号が給湯ECU113を介して演算装置114に入力される。演算装置114は、深夜電力時間帯の沸き上げ制御において、早期終了条件が成立したと判定し、沸き上げ運転の終了時刻を所定時間早める処理を実行する。なお、この所定の信号は、外部情報源の一例である携帯端末機等から給湯システム100に送信される信号であってもよい。演算装置114は、このような携帯端末機等からの所定の信号を受信した場合も、早期終了条件が成立したと判定し、深夜電力時間帯における沸き上げ運転の終了時刻を所定時間早める処理を実行する。
演算装置114は、以上のように列挙したこれらの各種情報及び各種実績情報、所定の指令信号のうちの少なくとも一つを用いて、早期終了条件が成立するか否かを判定することができる。すなわち、給湯システム100は、上記例示した各種情報及び各種実績情報、所定の指令信号の中から、単数、または複数の情報を使用して、所定の判断基準に基づいて、早期終了条件が成立するか否かを決定する。
例えば、演算装置114は、上記列挙した各種情報及び各種実績情報のうち、複数の情報を用いる場合には、それぞれの情報について早期終了条件が成立するか否かを判定し、一つでも早期終了条件が成立した場合は、最終的に早期終了条件が成立したと判定する。また、演算装置114は、それぞれの情報に優先順位を予め設定しておき、優先順位の高い方の情報について早期終了条件が成立した場合には、最終的に早期終了条件が成立したと判定する。
演算装置114は、上記列挙した各種情報及び各種実績情報の少なくとも一つの情報を用いて早期終了条件が成立しないと判定した場合でも、上記の「所定の指令信号」を受信した場合には、これを優先し、最終的に早期終了条件が成立したと判定する。
また、演算装置114は、給湯システム100が設置されている地域に関する所定の地域情報を、外部情報源120から取得するか、記憶装置115に記憶することにより、電力消費情報、日の出情報、発電情報等の地域特有の各種情報を取得し、この地域情報と各種情報及び各種実績情報との複数の情報を用いて早期終了条件が成立するか否かを判定してもよい。
図2のタイムチャートに示すとおり、従来の給湯装置では、昼間時間に使用する熱量を貯えるために、23時から翌日の7時までの深夜電力時間帯に「通常」の沸き上げ運転を実施する。この「通常」の沸き上げ運転は、深夜電力時間帯の終了時刻に終了するように、沸き上げる必要のある熱量から沸き上げ運転開始時刻を算出し、この時刻になると沸き上げ運転を開始するものである。
一方、給湯システム100による深夜電力時間帯の沸き上げ制御は、早期終了条件が成立した場合に、深夜電力時間帯の終了時刻から所定時間分を差し引いいた時刻に図2下のタイムチャートのように、沸き上げ運転を終了する。例えば、「早期終了条件成立時」の深夜電力時間帯における沸き上げ運転の開始時刻は、深夜電力時間帯の終了時刻から沸き上げ運転終了時刻に早まった所定時間分が「通常時」の運転開始時刻よりも、早くなるように設定され得る。
また、「通常時」の沸き上げ運転の開始時刻は、深夜電力時間帯の開始時刻から、演算により求まるシフト時間を遅らせたシフト時刻に設定される。これに対し、「早期終了条件成立時」の沸き上げ運転の開始時刻は、「通常時」のシフト時刻から、所定時間を差し引いた時刻に設定されるのである。
なお、「所定時間」とは、予め定められた時間や、外気温度情報、カレンダー情報等に基づく季節により定まる時間(例えば、夏季の場合は2時間、冬季の場合は1時間)や、深夜電力時間帯終了時刻から日の出情報に基づく日の出時刻を差し引いた時間である。また、「所定時間」は、過去の発電実績から求められる予測発電時間に設定される。当該予測発電時間は、過去の所定期間に、深夜電力時間帯に2時間の発電実績があったと求められると2時間に設定されたり、深夜電力時間帯に1.5時間の発電実績があったと求められると余裕度を加味して2時間に設定されたりするものである。このように、給湯システムによる深夜電力時間帯の沸き上げ制御によれば、深夜電力時間帯に沸き上げ終了時刻を早めるようにシフトするとともに、必要な給湯使用熱量を確保することができる。
また、演算装置114は、上記列挙した各種情報及び各種実績情報のうち、複数の情報を用いて「所定時間」を決定する場合には、それぞれの情報毎に所定時間を決定し、決定された所定時間の長い方、あるいは短い方を最終的な所定時間として採用する。また、それぞれの情報に優先順位を予め設定しておき、優先順位の高い方の情報を用いて決定された所定時間を最終的な所定時間として採用する。
次に、給湯システム100が実行する深夜電力時間帯の沸き上げ制御の一例について、図3のフローチャートにしたがって説明する。当該深夜電力時間帯の沸き上げ制御は、次の昼間時間帯に使用する熱量を確保するために深夜電力時間帯に実施する沸き上げ運転に関する。当該深夜電力時間帯の沸き上げ制御は、深夜電力時間帯の沸き上げ運転を早期に終了する「早期終了条件」の成立有無の判定にしたがって、通常の沸き上げ運転を実行する制御処理か、早期終了の沸き上げ運転を実行する制御処理のいずれかを実施するものである。例えば、この判定は、演算装置114によって行われ、判定にしたがう処理は給湯ECU113によって実行される。
当該深夜電力時間帯の沸き上げ制御は、例えば、給湯装置110の自動運転が設定されている場合に実施可能な状態となる。また、ユーザーが行う所定の操作による所定の指令を受けた場合に、当該深夜電力時間帯の沸き上げ制御を実施可能な状態に設定してもよい。例えば、ユーザーによって、リモートコントローラ116の所定の操作部が操作入力された場合に、給湯ECU113を介して演算装置114に指令が送信され、当該制御が実施可能な状態に設定されるようにしてもよい。これによれば、ユーザーの意思により、図3のフローチャートにしたがう制御を実施したいときに、当該制御を実施することが可能になる。したがって、ユーザーの意思に基づいて設定される沸き上げ制御を実施できるようになる。
演算装置114は、例えば23時以降の所定時刻になると、図3のフローチャートに従う処理を開始する。図3に示すように、演算装置114は、ステップ100で、上述したように、「所定の指令信号、外部から得られる太陽光に関係する各種情報、または記憶している各種実績情報」を用いて、早期終了条件が成立するか否かを判定する。
演算装置114は、ステップ100で早期終了条件が成立していないと判定すると、沸き上げ運転を深夜電力時間帯の終了時刻前に完了する意義がないと判断する。そして、ステップ110に進み、深夜電力時間帯における通常の沸き上げ運転の実行を決定し、本制御のフローチャートを終了する。また、演算装置114は、このステップ110の処理結果を給湯ECU113に送信する。給湯ECU113は、給湯使用実績に基づいた、次の昼間時間帯に使用される給湯使用予測熱量を充足する熱量をタンクユニット111に貯えるように、深夜電力時間帯の通常の沸き上げ運転を実行する。給湯ECU113は、タンクユニット111に貯える熱量、沸き上げ運転開始時間、沸き上げ温度等を求め、これらの条件を満たすように当該通常の沸き上げ運転を実行する。
演算装置114は、ステップ100で早期終了条件が成立すると判定すると、沸き上げ運転を深夜電力時間帯の終了時刻前に完了する意義がある、またはユーザーの意思があると判断する。そして、ステップ120に進み、深夜電力時間帯の終了時刻よりも所定時間前に沸き上げ運転を終了する「沸き上げ運転終了時刻の前倒し処理」を決定する。そして、演算装置114は、ステップ130で、給湯ECU113に対して、深夜電力時間帯の終了時刻よりも所定時間早めた時刻に沸き上げ運転を停止する指令を送信し、本制御のフローチャートを終了する。そして、給湯ECU113は、所定時間早めた時刻から深夜電力時間帯の終了時刻までの間は沸き上げ運転を停止するように、深夜電力時間帯において沸き上げ運転を実施する。
また、給湯ECU113は、演算装置114によって所定時間分を、深夜電力時間の終了時刻から遡り、当該遡った時刻から終了時刻までの間は、沸き上げ運転を停止する。したがって、給湯ECU113は、当該遡った時刻までに、給湯使用予測熱量を充足する熱量をタンクユニット111に貯えるように沸き上げ運転を開始する。また、演算装置114は、所定時間を、所定の時間刻みである複数の時間幅のいずれかに予め設定するようにしてもよい。例えば、30分、60分、90分、・・・というように30分刻みに設定するようにすることができる。
以下に、第1実施形態の給湯システム100がもたらす作用効果を述べる。給湯システム100は、少なくとも系統電力130を使用して沸き上げ運転を行う給湯装置110と、系統電力130の電気料金が他の時間帯よりも安価である所定の時間帯に給湯装置110を制御して、系統電力130を使用する沸き上げ運転を実施する給湯ECU113と、を備える。給湯ECU113は、所定の指令信号、外部から得られる太陽光に関係する各種情報、または記憶している各種実績情報を用いた判定の結果、早期終了条件が成立する場合には、当該所定の時間帯に実施する沸き上げ運転の終了時刻を所定時間早める。
これによれば、当該所定の時間帯における沸き上げ運転の早期終了条件が成立する場合には、早期終了条件が成立しない場合に比べて、沸き上げ運転を所定時間早めて終了する。これにより、当該所定の時間帯が終了する前の朝早い時間に沸き上げ運転が行われず、給湯装置110による電力消費を低減できる。例えば、朝早い時間帯の電力使用量を抑制することで、建物内、家庭内等の電力負荷の平準化が図れる。また、サマータイム等の朝早い時間への生活活動の変化に対しても、対応可能な給湯システム100を提供できる。
また、給湯システム100によれば、深夜電力時間帯に発生した発電電力を売電することも可能になり、売電量を増加させることができる。また、夏季等の日照時間が長い場合に、深夜電力時間帯終了前に発生しうる発電電力を無駄にすることなく、売電や蓄電にまわして有効活用することができる。したがって、給湯装置110の熱量確保の機能と、太陽エネルギーの有効活用との両立が図れる。
(第2実施形態)
第2実施形態は、深夜電力時間帯の沸き上げ制御の処理手順に関して、第1実施形態の図3に示すフローチャートの他の形態である。第2実施形態で説明する制御は、早期終了条件が成立した場合に、さらに深夜電力時間帯における沸き上げ運転の開始時刻を所定時間早めるという処理を実行する。第2実施形態は、給湯システムの構成及び作用効果は第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
演算装置114は、図4のフローチャートに示すステップ120の処理後、ステップ125で、沸き上げ運転の開始時刻を所定時間早める「沸き上げ運転開始時刻の前倒し処理」を決定する。ステップ125で実行する「所定時間」はステップ120で実行する「所定時間」と同じ時間に設定される。
演算装置114は、ステップ130Aで、給湯ECU113に対して、深夜電力時間帯の終了時刻よりも所定時間早めた時刻に沸き上げ運転を停止する指令と、早期終了条件が成立しない場合の沸き上げ運転の開始時刻よりも所定時間早めた時刻に沸き上げ運転を開始する指令とを送信し、本制御のフローチャートを終了する。そして、給湯ECU113は、早期終了条件が成立しない場合の沸き上げ運転よりも開始時間及び終了時刻を所定時間前倒しした沸き上げ運転を深夜電力時間帯に実施する。
第2実施形態の給湯システム100によれば、早期終了条件が成立した場合に、沸き上げ運転の終了時刻を所定時間早めることに加え、さらに沸き上げ運転の開始時刻を所定時間早める沸き上げ運転を実施する。これにより、早期終了条件が成立しない場合に比べて、運転時間が所定時間分、前倒しにシフトした沸き上げ運転を実施することができる。したがって、沸き上げ運転時間がより深夜寄りにシフトするので、さらに朝早い時間帯の電力使用量が抑制され、建物内、家庭内等の電力負荷の平準化に貢献できる。また、サマータイム等の朝早い時間への生活活動の変化に対しても、一層、対応能力の向上する給湯システム100を提供できる。
(第3実施形態)
第3実施形態は、深夜電力時間帯の沸き上げ制御の処理手順に関して、第1実施形態の図3に示すフローチャートの他の形態である。第3実施形態で説明する制御は、早期終了条件が成立した場合に、さらにヒートポンプユニット112による沸き上げ能力(加熱能力)を増加させる処理を実行する。第3実施形態は、給湯システムの構成及び作用効果は第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
演算装置114は、図5のフローチャートに示すステップ120の処理後、ステップ125Bで、早期終了条件が成立しない場合に比べてヒートポンプユニット112による沸き上げ能力を増加させる沸き上げ運転を実施する「加熱能力増加処理」を決定する。
演算装置114は、ステップ130Bで、給湯ECU113に対して、深夜電力時間帯の終了時刻よりも所定時間早めた時刻に沸き上げ運転を停止する指令と、早期終了条件が成立しない場合に比べて沸き上げ能力を増加させるヒートポンプユニット112の運転指令とを送信し、本制御のフローチャートを終了する。そして、給湯ECU113は、早期終了条件が成立しない場合の沸き上げ運転よりも終了時刻を所定時間前倒しし加熱能力を高めた沸き上げ運転を深夜電力時間帯に実施する。なお、第3実施形態の沸き上げ制御におけるステップ125Bの処理は、第1実施形態の沸き上げ制御または第2実施形態の沸き上げ制御に組み合わせることができる。
第3実施形態の給湯システム100によれば、早期終了条件が成立した場合に、沸き上げ運転の終了時刻を所定時間早めることに加え、ヒートポンプユニット112の加熱能力を、早期終了条件が成立しない場合の加熱能力よりも高くして沸き上げ運転を制御する。
これにより、高い加熱能力の沸き上げ運転が行われるため、必要な熱量を沸き上げるための時間を短くでき、沸き上げ運転に要する時間を通常時に比べて短縮することができる。したがって、早期終了条件が成立しない場合に比べて、運転時間が所定時間分、前倒しにシフトした沸き上げ運転を実施することができる。以上により、沸き上げ運転時間がより深夜寄りにシフトするので、さらに朝早い時間帯の電力使用量が抑制され、建物内、家庭内等の電力負荷の平準化に貢献できる。また、サマータイム等の朝早い時間への生活活動の変化に対しても、一層、対応能力の向上する給湯システム100を提供できる。
(第4実施形態)
第4実施形態は、深夜電力時間帯の沸き上げ制御の処理手順に関して、第1実施形態の図7に示すフローチャートの他の形態である。第4実施形態の給湯システム100Aは、第1実施形態の給湯システム100に対して、さらに太陽光発電装置140を備える点が相違するが、その構成及び作用効果は第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
太陽光発電装置140は、太陽光から得られるエネルギーを用いて発電し、例えば、発電した電力の余剰分を売電可能な装置である。太陽光発電装置140が太陽光エネルギーから発電する直流電力及び系統電力130から送電される交流電力は、パワーコンディショナ(図示せず)に送られる。パワーコンディショナは、太陽光発電装置140で発電した直流電力を効率よく交流電力に変換したり、系統電力130からの交流電力を直流電力に変換したりする電力変換装置である。パワーコンディショナに送られた電力は、交流と直流の間で電力変換されて、エアコンディショナ、給湯装置110等の各種電気装置に供給される。
給湯装置110は、太陽光発電装置140によって発電した電力や系統電力130を使用して運転する。給湯装置110は、浴槽やシャワーなどへ出湯するときには、状況に応じて、深夜電力時間帯の系統電力130を使用してタンクユニット111のタンクに蓄えた給湯用水のみを使用したり、昼間時間帯における系統電力130や太陽光発電装置140からの電力を使用して行う沸き上げ運転による給湯用水を使用したりする。
演算装置114は、図7のフローチャートに示すステップ120の処理後、ステップ125Cで、発電実績から求められた深夜電力時間帯内の発電時間と同等、またはそれ以上の所定時間(前倒し終了時間)を設定する「発電時間以上の前倒し時間設定処理」を決定する。
演算装置114は、ステップ130Cで、給湯ECU113に対して、深夜電力時間帯の終了時刻よりも所定時間早めた時刻に沸き上げ運転を停止する指令と、この所定時間を算出された発電時間と同等またはそれ以上の時間に設定する指令とを送信し、本制御のフローチャートを終了する。そして、給湯ECU113は、早期終了条件が成立しない場合の沸き上げ運転よりも終了時刻を、決定した発電時間以上前倒しする沸き上げ運転を実施する。なお、第4実施形態の沸き上げ制御におけるステップ125Cの処理は、第1実施形態〜第3実施形態のそれぞれの沸き上げ制御に組み合わせることができる。ステップ125Cの処理を第2の沸き上げ制御に組み合わせる場合には、沸き上げ運転の開始時刻をステップ125Cで決定した発電時間以上の所定時間分、前倒しすることができる。
第4実施形態の給湯システム100によれば、早期終了条件が成立した場合に、深夜電力時間帯に含まれる太陽光発電装置140の発電時間を太陽光発電装置140の発電実績から算出し、所定時間を当該算出された発電時間以上に設定する。
これにより、深夜電力時間帯において発電時間中は、沸き上げ運転が行われない制御を実施できる。したがって、給湯システム100は、発電時に太陽光発電装置140が発電した電力の消費を低減できることができる。これにより、深夜電力時間帯の発電電力を売電することが可能になり、売電量を増加させることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態は、深夜電力時間帯の沸き上げ制御の処理手順に関して、第1実施形態の図3に示すフローチャートの他の形態である。第5実施形態で説明する制御は、早期終了条件が成立した場合に、さらに深夜電力時間帯前の沸き上げ運転を禁止する処理を実行する。第5実施形態は、給湯システムの構成及び作用効果は第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
演算装置114は、図8のフローチャートに示すステップ120の処理後、ステップ125Dで、深夜電力時間帯よりも前の時間の沸き上げ運転を禁止する「深夜電力時間帯前の沸き上げ運転禁止処理」を決定する。
演算装置114は、ステップ130Dで、給湯ECU113に対して、深夜電力時間帯の終了時刻よりも所定時間早めた時刻に沸き上げ運転を停止する指令と、深夜電力時間帯前の沸き上げ運転を禁止する運転指令とを送信し、本制御のフローチャートを終了する。そして、給湯ECU113は、早期終了条件が成立しない場合の沸き上げ運転よりも終了時刻を所定時間前倒しし、深夜電力時間帯内に限った沸き上げ運転を実施する。例えば、沸き上げ運転終了時刻を所定時間前倒したことにより、沸き上げ運転の開始時刻が深夜電力時間帯の開始時刻よりも前にシフトしてしまう場合は、深夜電力時間帯の開始時刻前の運転は行われない。この場合は、例えば、給湯ECU113は、深夜電力時間帯の開始時刻に沸き上げ運転を開始し、沸き上げ運転終了時刻を所定時間よりも短い時間分に前倒しするように制御する。なお、第5実施形態の沸き上げ制御におけるステップ125Dの処理は、第1実施形態〜第4実施形態のそれぞれの沸き上げ制御に組み合わせることができる。
第5実施形態の給湯システム100によれば、早期終了条件が成立した場合に、深夜電力時間帯よりも前に沸き上げ運転を開始しないように、給湯装置110の運転を制御する。
これにより、深夜電力時間帯の開始時刻よりも前に、沸き上げ運転の開始時刻が前倒しされることを防止できる。したがって、他の時間帯よりも安価な電力料金を使用した沸き上げ運転を実施できるとともに、朝早い時間帯の電力使用量が抑制され、建物内、家庭内等の電力負荷の平準化にも貢献できる。
また、給湯システム100は、早期終了条件が成立した場合に、深夜電力時間帯に実施する沸き上げ運転の終了時刻を所定時間早めると、深夜電力時間帯よりも前に沸き上げ運転を開始することになると判断した場合には、沸き上げ運転の終了時刻を所定時間早めることを実施しない制御を行ってもよい。この場合には、通常の沸き上げ運転と同様に深夜電力時間帯の終了時に沸き上げ運転を終了する。
(第6実施形態)
本発明を適用する給湯システムの一形態である第6実施形態について、図9〜図12を参照して説明する。第6実施形態は、太陽光発電装置の発電電力や系統電力を使用して、沸き上げた高温水をタンクに貯える給湯システムに関する。
従来の貯湯式電気給湯機(例えば、特開2004−271164号公報に記載の装置)は、太陽電池から供給できる電力量が所定値以上の場合、太陽電池からの電力を用いて給湯ユニットを運転して温水を生成しタンクユニットに貯える。この貯湯式電気給湯機によれば、日中、太陽電池の電力で給湯ユニットを運転可能なときはこれを行うため、昼間に、通常の電気料金をかけてヒートポンプサイクルを運転することを抑制でき、深夜電力を用いて沸かす湯の量を低減することができる。
この従来の装置によれば、太陽電池の電力を有効に利用して極力ランニングコストのかからない給湯機を提供できるものの、太陽電池によって発電された電力の消費量を抑制することや、売電量を増加させることについては、何ら考慮されていない。そこで、第6実施形態の給湯システムは、発電時に太陽光発電装置が発電した電力の消費を低減できる給湯システムを提供することができる。
第6実施形態の給湯システムは、太陽光発電装置の発電電力、系統電力を使用して給湯装置1を運転し、沸き上げた高温水をタンクユニット3に貯える。給湯システムは、系統電力4の電気料金が他の時間帯よりも安価である所定の時間帯に、太陽光発電装置の発電があると予測した場合に、次の昼間時間帯に使用する熱量(湯量)を当該所定の時間帯に貯える沸き上げ運転において、太陽光発電装置5の発電電力を使用した沸き上げ運転を実施しないように、給湯装置1の運転を制御する。なお、当該所定の時間帯の一例は、深夜電力時間帯である。またここでいう昼間時間帯は、例えば1日のうちの深夜電力時間帯を除く時間である。
図9及び図10に示すように、給湯システムは、太陽光発電装置5と、湯を沸き上げて昼間時間に使用する給湯使用予測熱量を充足する熱量を貯える給湯装置1と、給湯装置1の運転を制御して沸き上げ運転を実施する制御装置と、を備える。給湯装置1は、ヒートポンプサイクルを用いた加熱装置であるヒートポンプユニット2と、ヒートポンプユニット2によって沸き上げた給湯用水をタンクに蓄えるタンクユニット3とを含んで構成され、太陽光発電装置5によって発電した電力や系統電力4を使用して運転する。また、給湯装置1は、浴槽やシャワーなどへ出湯するときには、状況に応じて、深夜電力時間帯の系統電力4を使用してタンクユニット3のタンクに蓄えた給湯用水のみを使用したり、昼間時間帯における系統電力4や太陽光発電装置5からの電力を使用して行う沸き上げ運転による給湯用水を使用したりする。
太陽光発電装置5は、太陽光から得られるエネルギーを用いて発電し、発電した電力の余剰分を売電可能な装置である。太陽光発電装置5が太陽光エネルギーから発電する直流電力及び系統電力4から送電される交流電力は、パワーコンディショナ(図示せず)に送られる。パワーコンディショナは、太陽光発電装置5で発電した直流電力を効率よく交流電力に変換したり、系統電力4からの交流電力を直流電力に変換したりする電力変換装置である。パワーコンディショナに送られた電力は、交流と直流の間で電力変換されて、エアコンディショナ、給湯装置1等の各種電気装置に供給される。各種電気装置は、例えば、照明機器、エアコンディショナ、床暖房装置、冷蔵庫、全自動洗濯機、浴室暖房装置等である。
給湯システムは、深夜電力時間帯の沸き上げ制御に関して、深夜電力時間帯に発電がある場合に沸き上げ運転を停止する処理、深夜電力時間帯での沸き上げ運転を発電がない場合の通常時よりも前倒して開始する処理を実行する。演算装置7は、このような処理を実行するか否かを判定する。演算装置7は、給湯ECU30、太陽光発電装置5に対して判定結果に応じた指令を送信する。
当該処理は、図11、図12を参照して後述する。演算装置7は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵するROMには、あらかじめ設定された制御プログラムが設けられ、更新可能なRAM等の記憶装置を備えている。この記憶装置には、太陽光発電装置5の過去の発電実績が記憶される。給湯ECU30及び太陽光発電装置5は、機器の運転状態、発電状態、発電実績、給湯使用実績等の機器に関する情報を演算装置7に送信する。発電実績は、例えば、所定期間、所定の時間帯(例えば、深夜電力時間帯)における発電量、電気装置への電力供給量、売電量等である。
ヒートポンプユニット2は、二酸化炭素冷媒を熱交換媒体とするヒートポンプサイクルからなり、タンクユニット3のタンク内に貯える水を加熱することができる加熱装置である。ヒートポンプサイクルは、圧縮機、冷媒・水熱交換器、減圧器、及び空気熱交換器を備えている。圧縮機は、二酸化炭素冷媒を圧縮、吐出する機器である。冷媒・水熱交換器は、圧縮機で圧縮された冷媒をタンクからの温水との間で熱交換して温水を加熱する。減圧器は、冷媒・水熱交換器を通過した高圧冷媒を低圧状態に減圧する。空気熱交換器は、送風機からの送風空気と熱交換させて、減圧器で減圧された低圧冷媒を蒸発させる。この空気熱交換器を通過した冷媒は、再度圧縮機で圧縮されて高圧状態で吐出される。
タンクとヒートポンプサイクルは、循環回路によって接続されている。タンク内の水は、ポンプの駆動力によって循環回路を循環する。沸き上げ運転時には、冷媒・水熱交換器で加熱された高温の温水は、タンク内の上部から流入してタンク内の上部に高温部を形成する。タンクの底部に貯まっている低温部の水は、冷媒・水熱交換器に流入して、冷媒・水熱交換器で加熱された後、タンクの上部に送られる。
給湯ECU30は、沸き上げ運転に係るヒートポンプユニット2の作動、出湯に係るタンクユニット3に含まれる電磁弁、混合弁等の各部の作動等を制御する制御装置である。ヒートポンプユニット2の作動は、給湯ECU30と通信するヒートポンプECU20からの制御信号によって制御されるとともに、その作動状態はヒートポンプECU20を介して給湯ECU30に入力される。ヒートポンプユニット2は、過去の使用実績等から、翌日に使用が予測される必要使用熱量をタンクに貯えておくために、深夜電力時間帯の系統電力を使用して高温水を沸き上げ、タンク内に当該必要使用熱量を貯える。
タンクは耐食性に優れた金属製のタンクであり、その外周部に図示しない断熱材が配置されており、高温の給湯用水を長時間に渡って保温することができる。給湯ECU30は、タンクに上下に間隔をあけて設けられた複数個の貯湯温度サーミスタからの温度情報に基づいて、タンク内上方の沸き上げられた湯とタンク内下方の沸き上げられる前の水との境界位置を検出できる。このように給湯ECU30は、温度及び湯量を検出することにより、タンク内に貯えられている貯熱量を算出することができる。
給湯装置1は、出湯時に、タンクの上部に接続された出湯管から取り出した高温水と中温取出し管から取り出した中温水または給水管から取り込まれた給水とを混合することにより、温度調整した湯をシャワー、浴槽等の給湯端末に供給する。
給湯ECU30は、ヒートポンプユニット2の作動を制御するヒートポンプECU20及び浴室、リビング、台所等に設置されてユーザーによって操作されるリモートコントローラ6と、演算装置7と、それぞれ相互に通信可能に構成されている。給湯ECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵するROMには、あらかじめ設定された制御プログラムが設けられ、更新可能なRAM等の記憶装置を備えている。この記憶装置には、過去の給湯使用実績が記憶される。給湯使用実績は、例えば、所定期間にわたる1日単位、昼間時間等の使用熱量(使用湯量及び湯の温度)、沸き上げ運転を行った際の運転モード及びその消費電力量等である。給湯ECU30は、各サーミスタからの温度情報、各流量カウンタからの流量情報、リモートコントローラ6の操作入力部の操作信号等に基づいて、ヒートポンプユニット2、各混合弁、各開閉弁、ポンプ等のアクチュエータ類を制御する。
リモートコントローラ6は、給湯運転に関する情報を表示する表示画面と、各種の運転指令を行える操作部と、を備える。給湯装置1の運転状況、設定情報等の各種情報は、リモートコントローラ6の表示画面に表示される。操作部は、液晶表示部及び入力部を有するタッチパネルにより構成してもよい。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、投影型静電容量方式、表面型静電容量方式、超音波表面弾性波方式等、種々の動作方式を有するパネルを採用することができる。
次に、給湯システムが実行する深夜電力時間帯の沸き上げ制御の一例について、図11のフローチャートにしたがって説明する。当該深夜電力時間帯の沸き上げ制御は、次の昼間時間帯に使用する熱量を確保するために深夜電力時間帯に実施する沸き上げ運転に関する。当該深夜電力時間帯の沸き上げ制御は、深夜電力時間帯の発電有無の判定にしたがって、通常の沸き上げ運転を実行する制御処理か、発電時に沸き上げ運転を停止する制御処理のいずれかを実施するものである。例えば、当該深夜電力時間帯の沸き上げ制御は演算装置7によって判定され、判定にしたがう処理は給湯ECU30によって実行される。
また、当該深夜電力時間帯の沸き上げ制御は、給湯装置1の自動運転が設定されている場合に実施可能な状態となる。また、ユーザーが行う所定の操作による所定の指令を受けた場合に、当該深夜電力時間帯の沸き上げ制御を実施可能な状態に設定してもよい。例えば、ユーザーによって、リモートコントローラ6の所定の操作部が操作入力された場合に、給湯ECU30を介して演算装置7に指令が送信され、実施可能な状態に設定されるようにしてもよい。これによれば、ユーザーの意思により、発電時沸き上げ運転停止の制御を実施したいときに、当該制御を実施することが可能になる。したがって、ユーザーの意思に即した沸き上げ制御を実施できるようになる。
演算装置7は、23時以降の所定時刻になると、図11のフローチャートに従う処理を開始する。図11に示すように、演算装置7は、ステップ10で、太陽光発電装置5側から取得した発電実績を用いて、発電時沸き上げ停止条件が成立するか否かを判定する。当該条件の判定は、所定期間における深夜電力時間帯の発電実績に基づいて行われ、例えば、過去実績から発電量が所定値以上になると推定される場合には、深夜電力時間帯終了までに太陽光発電装置5による発電が予測でき、売電できるほどの余剰電力が発生すると判断する。また、当該発電量が所定値未満になると推定される場合には、深夜電力時間帯終了までに売電できるレベルの余剰電力がないと判断する。
演算装置7は、ステップ10で予測発電量が低く、発電時沸き上げ停止条件が成立していないと判定すると、売電できるほどの余剰電力がないと判断する。そして、ステップ15に進み、深夜電力時間帯における通常の沸き上げ運転の実行を決定し、本制御のフローチャートを終了する。また、演算装置7は、このステップ15の処理結果を給湯ECU30に送信する。給湯ECU30は、給湯使用実績に基づいた、次の昼間時間帯に使用される給湯使用予測熱量を充足する熱量をタンクユニット3に貯えるように、深夜電力時間帯の通常の沸き上げ運転を実行する。給湯ECU30は、タンクユニット3に貯える熱量、沸き上げ運転開始時間、沸き上げ温度等を求め、これらの条件を満たすように当該通常の沸き上げ運転を実行する。
演算装置7は、ステップ10で予測発電量が高く、発電時沸き上げ停止条件が成立していると判定すると、売電できる余剰電力があると判断する。そして、ステップ20に進み、深夜電力時間帯に含まれる発電中に沸き上げ運転を禁止する処理を決定する。そして、演算装置7は、ステップ21で、給湯ECU30に対して、当該発電中に沸き上げ運転を停止する指令を送信し、本制御のフローチャートを終了する。そして、給湯ECU30は、当該発電中に沸き上げ運転を停止するように、深夜電力時間帯において沸き上げ運転を実施する。
また、給湯ECU30は、具体的に以下のように、深夜電力時間帯の沸き上げ運転を実施することができる。給湯ECU30は、演算装置7によって過去の発電実績から予測された予測発電時間分を、深夜電力時間の終了時刻から遡り、当該遡った時刻から終了時刻までの間は、沸き上げ運転を停止する。したがって、給湯ECU30は、当該遡った時刻までに、給湯使用予測熱量を充足する熱量をタンクユニット3に貯えるように沸き上げ運転を開始する。また、演算装置7は、過去の発電実績から予測される予測発電時間を、所定の時間刻みである複数の時間幅のいずれかに設定するようにしてもよい。例えば、30分、60分、90分、・・・というように30分刻みに設定するようにすることができる。
以上のように、図12のタイムチャートに示すとおり、給湯システムによる深夜電力時間帯の沸き上げ制御は、23時から翌日の7時までの深夜電力時間帯に入り込んだ発電時間(図12の発電時間)に、図12下の「設定時」のように、沸き上げ運転を停止する。すなわち、図12上の「通常時」では沸き上げ運転と発電時間はオーバーラップするが、図12下の「設定時」では、沸き上げ運転は発電開始前に終了する。さらに、「設定時」における深夜電力時間帯の沸き上げ運転は、「通常時」のオーバーラップ分の時間が前倒し時間に設定され、沸き上げ運転開始時刻は、「通常時」の運転開始時刻よりも前倒し時間分、早くなる。このように、給湯システムによる深夜電力時間帯の沸き上げ制御によれば、深夜電力時間帯に沸き上げ開始時刻を早めるようにシフトして必要な給湯使用熱量を確保できるとともに、発電中の発電電力の使用を制限できる。
以下に、第6実施形態の給湯システムがもたらす作用効果を述べる。給湯システムは、太陽光から得られるエネルギーを用いて発電し、発電した電力を売電可能な太陽光発電装置5と、太陽光発電装置5によって発電した電力及び系統電力4を使用して運転する給湯装置1と、深夜電力時間帯にタンクユニット3に、給湯使用予測熱量を充足する熱量を貯えるように、給湯装置1の運転を制御して沸き上げ運転を実施する給湯ECU30と、を備える。演算装置7または給湯ECU30は、深夜電力時間帯に含まれる太陽光発電装置5の発電時間を、過去の発電実績を用いて算出し、または予め定めた時間に決定し、さらに当該算出または決定した発電時間分、前倒しして深夜電力時間帯の沸き上げ運転を開始する(図12参照)。
これによれば、深夜電力時間帯において沸き上げ運転開始時刻を前倒しして必要熱量をタンクユニット3に貯える。この前倒しにシフトする時間は、過去の発電実績を用いて算出される時間、または予め定めた時間であるため、深夜電力時間帯における発電中は、沸き上げ運転が実施されず(ステップ20)、太陽光発電装置5によって発電された電力が給湯のために使用されない。したがって、給湯システムは、発電時に太陽光発電装置5が発電した電力の消費を低減できることができる。これにより、深夜電力時間帯の発電電力を売電することが可能になり、売電量を増加させることができる。また、この給湯システムによれば、夏季等の日照時間が長い場合に、深夜電力時間帯終了前に発生しうる発電電力を無駄にすることなく、売電にまわして有効活用することができる。したがって、貯湯式給湯装置の熱量確保の機能と、太陽エネルギーの有効活用との両立が図れる給湯システムを提供できる。
また、演算装置7または給湯ECU30は、過去の発電実績を学習することによって求められた発電予測に関するカレンダーに基づいて、深夜電力時間帯に含まれる太陽光発電装置5の発電時間を推定する。これによれば、所定期間(例えば、過去1年、過去数年間)のカレンダー学習機能により、現在の季節の発電実績を推定することができる。したがって、時期、季節に適した深夜電力時間帯での発電時間を適正に求めることができる。
また、給湯ECU30は、深夜電力時間帯において過去(過去の所定期間)に発電実績があった時間には沸き上げ運転を禁止するように制御する。これによれば、発電実績があった時間には沸き上げ運転が禁止されるため、発電中の運転禁止が実行されやすい制御を提供できる。したがって、深夜電力時間帯の売電量増加を促進することができる。
(第7実施形態)
第7実施形態は、深夜電力時間帯の沸き上げ制御の処理手順に関して、第6実施形態の図11に示すフローチャートの他の形態である。第7実施形態は、給湯システムの構成及び作用効果は第1実施形態と同様である。以下、第6実施形態と異なる部分のみ説明する。
演算装置7は、図13のフローチャートに示すステップ10で、予測発電量が高く、発電時沸き上げ停止条件が成立していると判定すると、売電できる余剰電力があると判断する。そして、ステップ30に進み、深夜電力時間帯に含まれる発電時間を算出する。演算装置7は、過去の発電実績から、深夜電力時間帯における発電開始時刻を推定し、当該発電開始時刻から深夜電力時間帯終了時刻までの時間を深夜電力時間帯に含まれる発電時間として算出する。
次に、演算装置7は、ステップ31で、深夜電力時間帯に含まれる発電時間分、換言すれば、前倒し時間分に沸き上げ可能な熱量を算出する。演算装置7は、ステップ30で算出した発電時間(h)と、ヒートポンプユニット2の固有の沸き上げ能力(kJ/h)と、余裕度係数との積を計算することで、前倒し時間分の沸き上げ熱量(kJ)を求める。前倒し時間分の沸き上げ熱量は、シフトした時間分で沸き上げられる見込み熱量である。なお、余裕度係数は、算出される沸き上げ熱量が不足する値にならないように1以上の所定の数値に設定される。
次に、演算装置7は、ステップ32で、深夜電力時間帯における沸き上げ運転によって生成される必要沸き上げ熱量を算出する。演算装置7は、給湯使用熱量を充足する熱量をタンクユニット3に貯えるために、必要とする通常時の沸き上げ熱量と、ステップ31で算出した前倒し時間分の沸き上げ熱量と、を加算した値を必要沸き上げ熱量として決定する。
次に、演算装置7は、ステップ33で、ステップ32の必要沸き上げ熱量を獲得するための必要沸き上げ時間を算出する。演算装置7は、必要沸き上げ熱量(kJ)をヒートポンプユニット2の固有の沸き上げ能力(kJ/h)で割り算した値を必要沸き上げ時間(h)として決定する。
そして、演算装置7は、ステップ34で、給湯ECU30に対して、決定された必要沸き上げ時間(h)を送信し、本制御のフローチャートを終了する。そして、給湯ECU30は、深夜電力時間帯終了時刻から当該必要沸き上げ時間(h)分を遡ることで、深夜電力時間帯における沸き上げ運転開始時刻を求め、この沸き上げ運転開始時刻に開始する沸き上げ運転を実施する。
第7実施形態の給湯システムによれば、過去の発電実績を用いて深夜電力時間帯の発電時間で沸き上げ可能な熱量(前倒し時間分の沸き上げ熱量)を算出し(ステップ31)、当該算出した沸き上げ可能な熱量を深夜電力時間帯での必要沸き上げ熱量(通常時の沸き上げ熱量)に加算した値から、深夜電力時間帯の沸き上げ運転の開始時間を求める(ステップ32、ステップ33、ステップ34)。
これによれば、深夜電力時間帯終了時刻から当該必要沸き上げ時間(h)分を遡った時刻(図12の「設定時」の運転開始時刻)に沸き上げ運転が開始されるため、図12の「設定時」の運転停止時刻には、タンクユニット3が満タン状態になって必要沸き上げ熱量(kJ)が貯熱されることになり、沸き上げ運転は終了する。したがって、結果的に、発電開始時には沸き上げ運転が終了していることになり、深夜電力時間帯における発電中は、沸き上げ運転を停止することができる。
また、第7実施形態によれば、深夜電力時間帯の発電時間で沸き上げ可能な熱量(前倒し時間分の沸き上げ熱量)は、深夜電力時間帯に含まれる発電開始時刻及び深夜電力時間帯の終了時刻から算出される深夜電力時間帯の発電時間(h)と、給湯装置1の沸き上げ運転を実施する加熱能力(ヒートポンプユニット2の固有の沸き上げ能力(kJ/h))とから算出される(ステップ31)。これによれば、深夜電力時間帯と発電時間とがオーバーラップする時間を推定することによって、前倒し時間分の沸き上げ熱量を適正に求めることができる。
(第8実施形態)
第8実施形態は、深夜電力時間帯の沸き上げ制御の処理手順に関して、第6実施形態の図11に示すフローチャートの他の形態である。第8実施形態は、給湯システムの構成及び作用効果は第6実施形態と同様である。以下、第6実施形態と異なる部分のみ説明する。
演算装置7は、図14のフローチャートに示すステップ10で、予測発電量が高く、発電時沸き上げ停止条件が成立していると判定すると、売電できる余剰電力があると判断する。そして、ステップ40に進み、深夜電力時間帯に含まれる発電時間分、換言すれば、前倒し時間分に沸き上げ可能な熱量である不足熱量を算出する。
演算装置7は、沸き上げ運転完了時の見込み熱量、換言すれば、タンクユニット3を満タンにした場合の推定貯熱量から、深夜電力時間帯における発電開始時点のタンクユニット3の推定貯熱量を引き算することで、不足熱量、すなわち前倒し時間分の沸き上げ熱量を求める。この不足熱量は、シフトした時間分で沸き上げられる見込み熱量である。
次に、演算装置7は、ステップ41で、深夜電力時間帯における沸き上げ運転によって生成される必要沸き上げ熱量を算出する。演算装置7は、給湯使用熱量を充足する熱量をタンクユニット3に貯えるために、必要とする通常時の沸き上げ熱量と、ステップ40で算出した不足熱量(前倒し時間分の沸き上げ熱量)と、を加算した値を必要沸き上げ熱量として決定する。
次に、演算装置7は、ステップ42で、ステップ41の必要沸き上げ熱量を獲得するための必要沸き上げ時間を算出する。演算装置7は、必要沸き上げ熱量(kJ)をヒートポンプユニット2の固有の沸き上げ能力(kJ/h)で割り算した値を必要沸き上げ時間(h)として決定する。
そして、演算装置7は、ステップ43で、給湯ECU30に対して、決定された必要沸き上げ時間(h)を送信し、本制御のフローチャートを終了する。そして、給湯ECU30は、深夜電力時間帯終了時刻から当該必要沸き上げ時間(h)分を遡ることで、深夜電力時間帯における沸き上げ運転開始時刻を求め、この沸き上げ運転開始時刻に開始する沸き上げ運転を実施する。
第8実施形態の給湯システムによれば、過去の発電実績を用いて深夜電力時間帯の発電時間で沸き上げ可能な熱量(前倒し時間分の沸き上げ熱量)を算出し(ステップ40)、当該算出した沸き上げ可能な熱量を深夜電力時間帯での必要沸き上げ熱量(通常時の沸き上げ熱量)に加算した値から、深夜電力時間帯の沸き上げ運転の開始時間を求める(ステップ41、ステップ42、ステップ43)。これによれば、第7実施形態と同様の効果を奏する。
また、第8実施形態の給湯システムによれば、深夜電力時間帯の発電時間で沸き上げ可能な熱量(前倒し時間分の沸き上げ熱量)は、タンクユニット3を満タンにした場合の推定貯熱量と、深夜電力時間帯における発電開始時点のタンクユニット3の推定貯熱量との差分から算出される(ステップ40)。これによれば、前倒し時間分の沸き上げ熱量を適正に求めることができる。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。上記実施形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
上記実施形態では、給湯システムに含まれる給湯用水を加熱する加熱装置として、ヒートポンプユニットを採用した例を示しているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。例えば、本発明に係る給湯装置は、タンク内に貯える高温水を加熱することができる装置であればよい。例えば、給湯装置は、タンクと加熱装置との間で給湯用水を循環させるウォータポンプなどの電気で駆動される機器を有する装置、電気ヒータで水を直接加熱する電気給湯機であってもよい。
上記実施形態の給湯システムは、太陽光発電装置で発電した電力を蓄電池に蓄電し、蓄電した電力を後の電力必要時に使用するように構成してもよい。また、この場合、蓄電池は、電力会社等から供給される系統電力を受電して蓄電してもよい。
また、上記実施形態において、ヒートポンプユニットは、二酸化炭素冷媒を熱交換媒体とする超臨界ヒートポンプサイクルであるが、熱交換媒体として、エチレン、エタン、酸化窒素等の冷媒、フロン冷媒を用いてもよい。