次に、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の給湯システムのシステム構成を図1に示す。図1において、本実施形態の給湯システム100は、図示しない家屋等の建造物(特定の電力消費設備に相当)に設置されたヒートポンプ式の貯湯式給湯機1と、商用電源49に接続された分電盤2と、前記貯湯式給湯機1以外の他の負荷を構成する、エアコン6やそれ以外の一般負荷48と、ネットワーク通信網8と、サーバ9とを有している。
前記貯湯式給湯機1は、リモコン装置50(遠隔操作手段に相当)と、湯水を貯湯する貯湯タンク10と、前記貯湯タンク10の底部に給水する給水管11と、前記貯湯タンク10の頂部から出湯する出湯管12と、前記給水管11から分岐した給水バイパス管13と、前記出湯管12からの湯と前記給水バイパス管13からの水を、前記リモコン装置50によって設定された給湯設定温度になるように混合する混合弁14と、図示しない給湯端末に給湯する給湯管15と、給湯流量を検出し対応する検出信号を出力する給湯流量センサ16と、給湯温度を検出し対応する検出信号を出力する給湯温度センサ17と、前記貯湯タンク10内の湯水の貯湯温度を検出し対応する検出信号を出力する貯湯温度センサ18とを有している。前記貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ18のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御装置31へ出力するように構成されている。これにより、前記複数の貯湯温度センサ18のうち何個のセンサから前記検出信号が出力されているかに基づき、前記制御装置31は、前記貯湯タンク10内において十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出することができる。
また、前記貯湯式給湯機1はさらに、前記貯湯タンク10内の湯水を沸上目標温度に加熱するヒートポンプ装置19(加熱手段に相当)を有している。このヒートポンプ装置19は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する圧縮機20と、前記高温の高圧の冷媒と前記貯湯タンク10からの水との熱交換を行う水冷媒熱交換器21と、前記水冷媒熱交換器21で熱交換後の冷媒を減圧膨張させる膨張弁22と、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる空気熱交換器23と、前記空気熱交換器23へ外気を送風する送風機24と、前記圧縮機20から吐出される前記冷媒の温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する吐出温度センサ25と、外気温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する外気温度センサ30とを備えている。
また、前記貯湯式給湯機1はさらに、貯湯式給湯機1全体の作動を制御する前記制御装置31と、前記貯湯タンク10の下部と前記水冷媒熱交換器21の水側入口とを接続する加熱往き管26と、水冷媒熱交換器21の水側出口と前記貯湯タンク10の上部とを接続する加熱戻り管27と、前記加熱往き管26の途中に設けられた加熱循環ポンプ28と、前記加熱戻り管27に設けられ検出信号を前記制御装置31へ出力する沸上温度センサ29とを有している。なお、前記の加熱往き管26、加熱戻り管27、及び加熱循環ポンプ28により加熱循環回路が構成されている(以下適宜、単に「加熱循環回路26,27,28」という)。
次に、前記リモコン装置50の詳細構成を図2に示す。図2において、リモコン装置50は、表示部60(表示手段に相当)と、前記貯湯タンク10から浴槽内への湯張りや湯張り後の湯の保温等を自動的に行うための「ふろ自動」スイッチ71と、浴室内との通話を行うための「通話」スイッチ72と、スピーカ73と、前記給湯温度等の各種数値の+側−側の操作設定や前記表示部60内のカーソルの上向き・左向き・下向き・横向き移動操作を行うための十字キー74と、「メニュー/決定」スイッチ75と、手動操作により例えば夜間帯(後述)以外の昼間帯(後述)に沸上運転(以下適宜、「昼間沸上運転という。詳細は後述)を行って貯湯タンク10内の前記貯湯量を所定量だけ増大させるための「タンク湯増し」スイッチ76と、貯湯タンク10内の前記貯湯量が予め定められた前記しきい値以下に減少したときに前記昼間沸増容量を沸き上げる前記自動湯増し機能を、手動操作により(操作当日のみ)休止させる、「湯増し休止」スイッチ77と、予め用意された「節約(eco)モード」等の複数の運転モード(詳細な説明は省略)の説明を含む各種ガイドを前記表示部60に表示させるための「ecoガイド」スイッチ78と、前記表示部60に表示される表示画面を1つ前の表示画面に戻すための「戻る」スイッチ79とを有している。なお、前記のスイッチ71,72,73,75,76,77,78,79及び十字キー74等を、以下適宜、単に操作部51(操作手段に相当。後述の図3参照)と総称する。
表示部60は、それぞれが所定の内容を表示する複数の表示画面を、切り替え可能に構成されている。図示の表示画面60Aでは、現在の日付及び時刻(この例では5月31日金曜日の22時30分)を表示する日時表示部61と、前記浴槽内の湯の温度(この例では40℃)を表示するふろ温度表示部62と、前記給湯温度(この例では40℃)を表示する給湯温度表示部63と、前記貯湯タンク10内の前記貯湯量を表示する貯湯量表示部64と、前記ネットワーク通信網8を介して前記サーバ9と接続されていることを表すネットワーク表示部65と、前記複数のモードのうちいずれのモードとなっているか(この例では「おまかせ省エネ」モード。詳細内容は省略)を表すモード表示部66とを有している。
前記貯湯量表示部64は、表示制御部80(後述の図3参照)の制御により、前記貯湯温度センサ18の検出結果に対応して前記貯湯タンク10内の前記貯湯量を表示する。図示の例では、前記貯湯量表示部64は、5つの表示エレメント64A〜64Eによって5段階に前記貯湯量を表示可能となっている。
図2に示す例では、家事や入浴時等の湯水の使用によって(前記日時表示部61の22時30分の時刻表示参照)、貯湯タンク10内の貯湯量が満タンの1/5程度にまで減少(前記貯湯量表示部64の最下段の表示エレメント64Aのみが点灯)した場合を示している。本実施形態では、電力料金単価が安価な夜間帯(例えば23:00〜7:00)に、前記商用電源49から供給される電力を用いて、前記沸上運転(夜間沸上運転)を行う。
この夜間沸上運転は、公知の通常の手法により、制御装置31により、例えば以下の(a)〜(f)のような流れで行われる。
(a)まず、前日までの複数日の一日の使用湯量から翌日に必要な必要湯量を算出する。
(b)その後、必要湯量からその時点での貯湯タンク内の残湯量を減算することで、(翌日に向けての)沸き上げ必要湯量を算出する。
(c)そして、前記沸き上げ必要湯量を所定の加熱能力を有した加熱手段(この例では前記ヒートポンプ装置19)で沸き上げるのに要する加熱時間を算出する。
(d)その後、前記夜間時間帯の終了時刻付近の沸き上げ完了目標時刻から、前記算出された加熱時間だけ遡った時刻を、夜間沸き上げ開始時刻として算出する。
(e)そして、前記夜間沸き上げ開始時刻となったら、前記ヒートポンプ装置19により沸き上げを開始する。
(f)その後、前記必要沸き上げ湯量を沸き上げるか、若しくは、前記沸き上げ完了目標時刻となったら、沸き上げを完了する。
ところで、近年、電力会社の料金メニューにおいて、家屋等において使用される最大需要電力量(1年間のうちのピーク値)の大小で基本料金が決定される、いわゆる「実量制」の導入が行われつつある。このような制度においてユーザがランニングコストの低減を図るためには、貯湯式給湯機1の消費する電力の時間変動挙動の実績、特に、消費電力の最大値がどの時間帯に分布していたか、等を知ることが肝要である。また、前記最大需要電力量(ピーク値)を低減するためには、前記のようにして知った消費電力の挙動に対してどのような工夫を行えばよいか、を容易に知ることができればさらに便利である。
そこで、本実施形態では、図3に示すように、前記制御装置31に、消費電力実績値決定部81(消費電力実績値決定手段に相当)と、処理後実績値決定部82と、が設けられる。消費電力実績値決定部81は、既に取得され適宜の箇所に記憶されていた過去の貯湯式給湯機1の消費電力値のうち、前記操作部51での操作に対応した所望の特定期間(例えば操作された日の前日、等)における、時間変動する貯湯式給湯機1の消費電力値が表示される消費電力実績値として決定される。また処理後実績値決定部82では、前記消費電力実績値決定部81により決定された消費電力実績値に、予め定められた電力分布変更処理(この例では、沸上運転の運転時間をずらすシフト処理)を施して、処理後実績値を決定する。
前記シフト処理を行った後の前記沸上運転では、前記制御装置31は、シフトさせる所望の運転時間の入力(詳細は後述)がされると、翌日の夜間沸き上げ運転において、その入力された時間だけ沸き上げ完了目標時刻をシフトさせる。
前記シフト処理について、図4〜図6を用いて説明する。図4は、横軸に「0時」「1時」「2時」・・「23時」のように時刻が刻まれる時間軸をかつ縦軸に電力量[kWh]を取り、過去のある1日における、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値、前記エアコン6の消費電力実績値、前記一般負荷48の消費電力実績値、の時間変動の一例を概念的に表した棒グラフである。
図4に示すように、この例では、0時においては、一般負荷48の消費電力実績値が0.95[kWh]であり、前記エアコン6及び前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値は0となっており、結果としてそれら一般負荷48、エアコン6、貯湯式給湯機1の合計の消費電力実績値(以下適宜、「全消費電力実績値」という)は0.95[kWh]となっている。
その後、時間の経過と共に、前記一般負荷48の消費電力実績値が徐々に減少する一方、前記夜間沸上運転の実行と共に貯湯式給湯機1の消費電力実績値は徐々に増大し、1時においては、一般負荷48の消費電力実績値が0.7[kWh]であり、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が0.4[kWh]、前記エアコン6の消費電力実績値は0となっており、結果として前記全消費電力実績値は1.1[kWh]に増大している。
その後、2時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値が0.3[kWh]まで減少する一方、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値は1.6[kWh]まで増大し、前記全消費電力実績値は1.9[kWh]となっている。また3時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値が0.25[kWh]となる一方、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値は1.75[kWh]となり、前記全消費電力実績値は2[kWh]となっている。さらに4時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値が再び増加して0.45[kWh]となる一方、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値は前記同様の1.75[kWh]となり、前記全消費電力実績値は2.2[kWh]となっている。さらに5時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値がさらに増加して0.65[kWh]となる一方、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値は前記同様の1.75[kWh]となり、前記全消費電力実績値は2.4[kWh]となっている。
その後、新たにエアコン6の使用が始まり、6時においては、エアコン6の消費電力実績値が1.1[kWh]となる一方、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が1.2[kWh]、一般負荷48の消費電力実績値が0.8[kWh]となり、これらの合計の前記全消費電力実績値は3.1[kWh]となり、この1日における消費電力実績値のピークを迎えている。
その後、貯湯式給湯機1の前記沸上運転が終了することで、7時においては、当該貯湯式給湯機1の消費電力実績値が0となり、エアコン6の消費電力実績値が1.05[kWh]、一般負荷48の消費電力実績値が0.8[kWh]となって、これらの合計の前記全消費電力実績値は1.85[kWh]まで一気に減少する。
さらにその後、前記エアコン6の運転も終了することで、8時においては、前記貯湯式給湯機1及び前記エアコン6の消費電力実績値がともに0となり、一般負荷48の消費電力実績値が0.6[kWh]となり、前記全消費電力実績値も0.6[kWh]まで減少する。
その後、前記貯湯式給湯機1及び前記エアコン6の消費電力実績値が0の状態のまま、9時においては、一般負荷48の消費電力実績値はさらに減少して0.4[kWh]となり、前記全消費電力実績値も0.4[kWh]となる。10時においては一般負荷48の消費電力実績値はさらに減少して0.25[kWh]となり、前記全消費電力実績値も0.25[kWh]となる。
その後、11時及び12時においては、一般負荷48の消費電力実績値は0.25[kWh]のまま維持され、それぞれの前記全消費電力実績値も0.25[kWh]である。
その後、13時で、一般負荷48の消費電力実績値が若干増加して0.35[kWh](前記全消費電力実績値も0.35[kWh])となった後は、概ね横ばいであり、14時で一般負荷48の消費電力実績値は0.4[kWh](前記全消費電力実績値も0.4[kWh])、15時で一般負荷48の消費電力実績値は0.3[kWh](前記全消費電力実績値も0.3[kWh])となっている。
その後、夕方における各種家事等の実行により一般負荷48の消費電力実績値は急激に増加し、16時では2.2[kWh](前記全消費電力実績値も2.2[kWh])となった後、17時では若干減少して1.4[kWh](前記全消費電力実績値も1.4[kWh])、18時でも若干減少して1.15[kWh](前記全消費電力実績値も1.15[kWh])となる。
その後、入浴のために貯湯式給湯機1の手動操作による前記昼間沸上運転が実行される等により、貯湯式給湯機1の消費電力実績値が生じ、19時においては、一般負荷48の消費電力実績値が1.05[kWh]であり、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が0.35[kWh]となり、結果として前記全消費電力実績値が1.4[kWh]となっている。
その後、20時においては、貯湯式給湯機1の消費電力実績値はさらに増大して前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が0.6[kWh]となる一方、一般負荷48の消費電力実績値は減少して0.85[kWh]となり、結果として前記全消費電力実績値は1.45[kWh]となっている。
その後、入浴等が終了することで、21時においては、貯湯式給湯機1の消費電力実績値は再び0となる一方、一般負荷48の消費電力実績値は再び増加して0.95[kWh]となり、前記全消費電力実績値も0.95[kWh]となっている。
その後、前記貯湯式給湯機1及び前記エアコン6の消費電力実績値が0の状態のまま、22時においては、一般負荷48の消費電力実績値はさらに減少して0.65[kWh](前記全消費電力実績値も0.65[kWh])となり、23時においては、一般負荷48の消費電力実績値は0.9[kWh](前記全消費電力実績値も0.9[kWh])となる。
図4に示した消費電力実績値の挙動において、例えば図5に示すように、ユーザの適宜の操作(詳細は後述)により、夜間沸上運転の作動時間を全体的に1時間シフト(前倒し)する場合を考える。この場合、前記した、1時頃から6時頃までにおける貯湯式給湯機1の消費電力実績値の時間挙動(1時において0.4[kWh]、2時において1.6[kWh]、3時において1.75[kWh]、4時において1.75[kWh]、5時において1.75[kWh]、6時において1.2[kWh])がそれぞれ1時間ずつ繰り上がることとなる。すなわち、0時頃から5時頃までにおける貯湯式給湯機1の消費電力実績値の時間挙動が、0時において0.4[kWh]、1時において1.6[kWh]、2時において1.75[kWh]、3時において1.75[kWh]、4時において1.75[kWh]、5時において1.2[kWh]となる。
この結果、前記1時間のシフト後における、前記貯湯式給湯機1、前記エアコン6、及び前記一般負荷48それぞれの消費電力実績値の時間変動は、図6に示すように、0時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値が0.95[kWh]、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が0.4[kWh]となる結果、前記全消費電力実績値は1.35[kWh]となる。
同様に、1時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値が0.7[kWh]、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が1.6[kWh]となり、前記全消費電力実績値は2.3[kWh]となる。さらに、2時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値が0.3[kWh]、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が1.75[kWh]となり、前記全消費電力実績値は2.05[kWh]となり、3時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値が0.25[kWh]、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が1.75[kWh]となり、前記全消費電力実績値は2[kWh]となる。4時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値が0.45[kWh]、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が1.75[kWh]となり、前記全消費電力実績値は2.2[kWh]となり、5時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値が0.65[kWh]、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が1.2[kWh]となり、前記全消費電力実績値は1.85[kWh]となる。また6時においては、前記一般負荷48の消費電力実績値が0.8[kWh]、前記エアコン6の消費電力実績値が1.1[kWh]となり、前記全消費電力実績値は1.9[kWh]となる。なお、7時以降の消費電力実績値の挙動については図4と同様である。
前記シフト処理の前の図4においては、対応する図5に示すように、全消費電力実績値のピーク値は、6時における3.1[kWh]となっている。これに対して、前記シフト処理を行った後の図6においては、全消費電力実績値のピーク値は1時における2.3[kWh]となる。以上のように、図4〜図6に示した例では、貯湯式給湯機1の夜間沸上運転時の運転時間をずらす前記シフト処理を行うことで(当該貯湯式給湯機1の消費電力実績値をずらすことができ、その結果)、前記家屋等における前記全消費電力実績値のピーク値を低減することができる。
そして、本実施形態では、最大の特徴として、前記制御装置31の前記表示制御部80(前記の図3参照)の制御により、前記のような電力分布変更処理(この例ではシフト処理)前の貯湯式給湯機1の消費電力実績値(前記消費電力実績値決定部81により決定)と、前記シフト処理後の貯湯式給湯機1の消費電力の前記処理後実績値(前記処理後実績値決定部82により決定)とが、前記表示部60において対比可能に表示される。そのような例を、図7及び図8により説明する。
図7は、前記した図2に示した表示画面60Aが前記表示部60に表示された状態でユーザが適宜の操作(例えば前記のスイッチ71,72,73,75,76,77,78,79及び十字キー74の少なくとも1つを操作)を行うことで、(前記表示画面60Aに代えて)シフト処理設定画面60Pが前記表示部60に表示された状態を示している。このシフト処理設定画面60Pでは、図示のように、1つのグラフ表示領域83(1つの画面領域に相当)と、前記沸上運転をシフトする時間(設定時間)を例えば整数単位で設定可能なシフト時間設定領域85と、操作ガイドメッセージ表示領域84と、を備えている。
前記シフト時間設定領域85は、ユーザが例えば前記「メニュー/決定」スイッチ75や十字キー74を適宜に操作してカーソルを当該領域82内の▲印や▼印に合わせた後、前記十字キー74で前記設定時間の数字を増減させて所望の値を設定し、さらに前記「メニュー/決定」スイッチ75を押すことで、前記設定時間を所望に設定することができる。図示の例では、前記設定時間が「0」時間、すなわちシフト処理が行われない状態を示しており、これに対応して前記グラフ表示領域83の上部には、「現在の設定は0時間です」のメッセージが併せて表示されている。言い替えれば、このシフト時間設定領域85においては、前記十字キー74や前記「メニュー/決定」スイッチ75によって前記電力分布変更処理としてのシフト処理の有無を選択できることになる。
前記グラフ表示領域83は、前記図4〜図6と同様、横軸に時間軸を縦軸に電力量[kWh]を取り、ユーザが適宜の操作により指定した過去のある1日における前記貯湯式給湯機1の消費電力の時間変動をグラフ(この例では棒グラフ)で表示する領域である。このとき、図示のように前記設定時間が「0」の場合は、シフト処理が行われない値(前記消費電力実績値)がそのまま表示され、それ以外の場合には、前記設定時間の値に応じて前記シフト処理がなされた値(前記処理後実績値)が表示される。図7に示すグラフ表示G1は、前記図4〜図6に示した例に沿っており(後述の図8のグラフ表示G1′も同様)、前記設定時間「0」の設定(すなわちシフト処理なし)に対応し、 前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が、0時で0[kWh]、1時で0.4[kWh]、2時で1.6[kWh]、3時で1.75[kWh]、4時で1.75[kWh]、5時で1.75[kWh]、6時で1.2[kWh]、7時〜9時で0[kWh]となる、前記グラフ表示G1が表示されている。
前記操作ガイドメッセージ表示領域84は、前記のようなシフト時間設定領域85等の操作ガイドを表示するものであり、図示の例では、「(上三角マーク)(下三角マーク)で選択」「(右三角マーク)で確認」「[メニュー/決定]で決定」の3つのメッセージが表示されている。
図8は、前記した図7に示した前記シフト処理設定画面60Pが前記表示部60に表示された状態で、ユーザが前記「メニュー/決定」スイッチ75及び十字キー74を用いてシフト時間設定領域85での前記設定時間を「1」時間とすることで、表示部60に前記シフト処理設定画面60Qが表示された場合を示している。
このシフト処理設定画面60Qでは、前記図7のシフト処理設定画面60Pと同様、1つのグラフ表示領域83(1つの画面領域に相当)と、前記シフト時間設定領域85と、操作ガイドメッセージ表示領域84′と、を備えている。
グラフ表示領域83には、前記設定時間「0」から前記設定時間「1」へ設定の変更がなされたことに対応し、前述した前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値の時間変動が1時間ずれた(前倒し)態様の前記処理後実績値が表示される。すなわち、0時で0.4[kWh]、1時で1.6[kWh]、2時で1.75[kWh]、3時で1.75[kWh]、4時で1.75[kWh]、5時で1.2[kWh]、6時以降で0[kWh]となる、グラフ表示G2が表示(後述のような破線ではない実体表示)されている。
一方このとき、グラフ表示領域83には、シフト処理前の図7の前記グラフ表示G1に対応するグラフ表示G1′が、図7とは異なる破線の棒グラフとして痕跡表示される。これにより、このシフト処理設定画面60Qには、貯湯式給湯機1の前記消費電力実績値(処理前の実績値)と前記処理後実績値とが、1つのグラフ表示領域83内において対比可能に表示されることとなる。なお、図示を省略しているが、シフト時間設定領域85での前記設定時間をその他の時間として場合も前記と同様の表示がグラフ表示領域83において行われ、例えば「2」時間とすることで、2時間ずれた内容のグラフ表示G2が前記実体表示されるとともに、シフト処理前のグラフ表示G1′が前記痕跡表示される。
なお、シフト処理前のグラフ表示G1′が痕跡表示されるのに代え、直前のグラフ表示が痕跡表示されるようにしてもよい。すなわち、図7に示す状態から、まず最初に前記設定時間を「1」時間とした後、さらに前記設定時間を「2」時間に変更した場合には、1時間ずれた内容の前記グラフ表示G2が前記痕跡表示されるとともに、2時間ずれた内容の前記グラフ表示G2が前記実体表示されるようにしてもよい。あるいはこの場合、シフト処理前の前記グラフ表示G1′(痕跡表示)、1時間ずれた内容の前記グラフ表示G2(痕跡表示又は実体表示)、2時間ずれた内容の前記グラフ表示G2(実体表示)、の3つ(さらに4つ以上でもよい)を対比可能に表示しても良い。さらに、痕跡表示するものと実体表示するものを適宜に変更しても良い。また、図示及び詳細な説明を省略するが、前記のように前倒しのシフト処理を行う場合(前記の例ではシフト時間設定領域85において正の整数を設定)に限られず、例えば前記シフト時間設定領域85において負の整数を設定することで、先送り方向に前記シフト処理を行うことも可能である。
なお、前記操作ガイドメッセージ表示領域84′には、図示の例では、「(上三角マーク)(下三角マーク)で選択」「(左三角マーク)で戻る」「[メニュー/決定]で決定」の3つのメッセージが表示されている。また、前記設定時間の「1」時間設定に対応し、前記グラフ表示領域83の上部に、「現在の設定は1時間です」のメッセージが併せて表示されている。
以上説明したように、本実施形態の貯湯式給湯機1によれば、電力分布変更処理(この例では前記シフト処理。以下同様)前の貯湯式給湯機1の前記消費電力実績値と前記処理後実績値とが、前記表示部60において対比可能に表示される。このとき、電力分布変更処理の有無や、その処理の態様(前述の例ではシフト処理においてずらす時間の値の大小)については、前記リモコン装置50によりユーザが所望に操作入力することができる(電力分布変更処理を行う特定時間帯の指定などを操作可能としても良い)。
これにより、ユーザは、貯湯式給湯機1の消費電力の最大値の分布を含む消費電力の時間変動挙動の実績を、前記消費電力実績値によって視覚的に容易に知ることができる(図7参照)。さらに、適宜に前記「メニュー/決定」スイッチ75や十字キー74等を操作し、前記シフト処理の前記処理態様を種々調節しつつ前記処理後実績値の表示内容を確認(図8参照)することで、前記最大需要電力量(ピーク値)を低減するためにどのような態様で前記シフト処理を行えばよいか、を容易に比較検討することができる。この結果、容易にランニングコストの低減を図ることができ、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、前記消費電力実績値のグラフと、それに対し沸上運転の運転時間のシフト処理を行った後の前記処理後実績値のグラフとが、対比して表示される。これにより、ユーザは、どのような態様で消費電力実績値をシフトさせれば確実に前記最大需要電力量(ピーク値)を低減できるかを、容易に比較検討することができる。
また、本実施形態では特に、1つのグラフ表示領域83中に、消費電力実績値のグラフと処理後実績値のグラフとが両方表示される(図8参照)。これにより、ユーザが容易に視覚的に対比させることができる。
また、本実施形態では特に、上下方向の棒グラフを横軸の時間軸に沿って並べた形で、前記消費電力実績値及び前記処理後実績値を表示する(図7及び図8参照)。これにより、電力値の時間変動を直感的にわかりやすく表現することができる。
また、本実施形態では特に、前記リモコン装置50に、表示手段としての前記表示部60と、操作手段としての前記十字キー74及び前記「メニュー/決定」スイッチ75等、の両方が設けられている。これにより、ユーザはリモコン装置50を把持し操作するだけで、どのような態様でどの処理を行えば前記最大需要電力量(ピーク値)を低減できるか、を容易に比較検討することができる。
なお、本発明は以上の態様に限定されることなく、その趣旨を変更しない範囲で適用可能なものである。以下、そのような変形例を順を追って説明する。各変形例において、前記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜、説明を省略又は簡略化する。
(1)1つの画面中において左・右2つの領域で対比表示する場合
この変形例を図9に示す。図9において、この変形例では、表示部60にシフト処理設定画面60Rが表示され、このシフト処理設定画面60Rには、互いに同一縮尺・同一広さである左・右2つのグラフ表示領域83a,83b(左右2つの画面領域に相当)と、前記シフト時間設定領域85と、が備えられている。
一方(この例では左側)のグラフ表示領域83aには、前記図7と同様、前記設定時間が「0」(すなわちシフト処理なし)の状態に対応した前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値(0時で0[kWh]、1時で0.4[kWh]、2時で1.6[kWh]、3時で1.75[kWh]、4時で1.75[kWh]、5時で1.75[kWh]、6時で1.2[kWh]、・・)の前記グラフ表示G1が表示されている。
他方(この例では右側)のグラフ表示領域83bには、前記図8と同様、シフト時間設定領域85における前記設定時間が「1」であることに対応した、シフト処理後の前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値(0時で0.4[kWh]、1時で1.6[kWh]、2時で1.75[kWh]、3時で1.75[kWh]、4時で1.75[kWh]、5時で1.2[kWh]、6時で0[kWh]、・・)の前記グラフ表示G2が表示されている。
なお、グラフ表示領域83aとグラフ表示領域83bとの間には、シフト処理前からシフト処理後への流れを表記する矢印(この例では右向きブロック矢印)が表示されている。
本変形例においても、前記実施形態と同様の効果を得る。特に、左・右2つのグラフ表示領域83a,83bを用いて、消費電力実績値のグラフが一方側に、処理後実績値のグラフが他方側に表示されることで、ユーザが容易に視覚的に対比させることができる。
(2)1つの画面中において上・下2つの領域で対比表示する場合
この変形例を図10に示す。図10において、この変形例では、表示部60にシフト処理設定画面60Sが表示され、このシフト処理設定画面60Sに、互いに同一縮尺・同一広さである上・下2つのグラフ表示領域83c,83d(上下2の画面領域に相当)と、前記シフト時間設定領域85と、が備えられている。
一方(この例では上側)のグラフ表示領域83cには、前記図7と同様、前記設定時間が「0」(すなわちシフト処理なし)の状態に対応した前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値(0時で0[kWh]、1時で0.4[kWh]、2時で1.6[kWh]、3時で1.75[kWh]、4時で1.75[kWh]、5時で1.75[kWh]、6時で1.2[kWh]、・・)の、前記グラフ表示G1に対応するグラフ表示G3が表示されている。なお、本変形例においては、夜間帯における夜間沸上運転の作動時間のみならず、夕方における手動操作による昼間沸上運転の作動時間(19時で0.35[kWh]、20時で0.6[kWh]。前記図4参照)もシフト処理の対象となっており、前記グラフ表示G3にはそれらの値も前記消費電力実績値として表示されている。
他方(この例では下側)のグラフ表示領域83dには、前記図8と同様、シフト時間設定領域85における前記設定時間が「1」であることに対応した、シフト処理後の前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値(0時で0.4[kWh]、1時で1.6[kWh]、2時で1.75[kWh]、3時で1.75[kWh]、4時で1.75[kWh]、5時で1.2[kWh]、6時で0[kWh]、・・、18時で0.35[kWh]、19時で0.6[kWh]、・・)の、前記グラフ表示G2に対応するグラフ表示G4が表示されている。
なお、グラフ表示領域83cとグラフ表示領域83dとの間に、図9と同様の、シフト処理前からシフト処理後への流れを表記する矢印等を追加して表示してもよい。
本変形例においても、前記実施形態と同様の効果を得る。特に、上・下2つのグラフ表示領域83c,83dを用いて、消費電力実績値のグラフが一方側に、処理後実績値のグラフが他方側に表示されることで、ユーザが容易に視覚的に対比させることができる。
なお、前記(1)(2)の変形例においても、前記実施形態と同様、(図示を省略しているが)シフト時間設定領域85での前記設定時間をその他の時間として場合も前記と同様の表示がグラフ表示領域83b,83dにおいて行われる。例えば前記設定時間を「2」時間とすることで、2時間ずれた内容のグラフ表示G2,G4が表示される。また、グラフ表示領域83a,83cにおいてシフト処理前のグラフ表示G1,G3が痕跡表示されるのに代え、直前のグラフ表示が痕跡表示されるようにしてもよい。すなわち、前記と同様、まず最初に前記設定時間を「1」時間とした後、さらに前記設定時間を「2」時間に変更した場合には、1時間ずれた内容の前記グラフ表示G2,G4がグラフ表示領域83a,83cに表示されるとともに、2時間ずれた内容の前記グラフ表示G2,G4が前記グラフ表示領域83b,83dに表示されるようにしてもよい。あるいはこの場合、シフト処理前の前記グラフ表示G1,G3、1時間ずれた内容の前記グラフ表示G2,G4、2時間ずれた内容の前記グラフ表示G2,G4、の3つ(さらに4つ以上でもよい)を対比可能に複数段表示しても良い。また、図示及び詳細な説明を省略するが、前記のように前倒しのシフト処理を行う場合(前記の例ではシフト時間設定領域85において正の整数を設定)に限られず、例えば前記シフト時間設定領域85において負の整数を設定することで、先送り方向に前記シフト処理を行うことも可能である。
(3)パワーセーブ処理を行う場合
本変形例では、前記電力分布変更処理として、消費電力の最大値を自動的に所定値に制限するように運転時間を再配分するパワーセーブ処理が行われる。すなわち、前記制御装置31は、前記夜間沸き上げ運転における加熱手段(この例ではヒートポンプ装置19)の所定の加熱能力を、低い値に制限する。その結果、前記した夜間沸上運転の流れにおける前記(c)のステップの加熱時間が長い時間となって算出され、その分だけ前記(d)のステップにおける前記夜間沸き上げ開始時刻が早まるものである。このパワーセーブ処理を行う変形例を図11及び図12により説明する。
まず図11において、この変形例では、前記した図2に示した表示画面60Aが前記表示部60に表示された状態でユーザが適宜の操作(例えば前記のスイッチ71,72,73,75,76,77,78,79及び十字キー74の少なくとも1つを操作)を行うことで、(前記表示画面60Aに代えて)パワーセーブ処理設定画面60Tが前記表示部60に表示された状態を示している。このパワーセーブ処理設定画面60Tでは、図示のように、1つのグラフ表示領域83(1つの画面領域に相当)と、前記パワーセーブ処理を行うか行わないかを設定可能なパワーセーブ設定領域86と、前記同様の操作ガイドメッセージ表示領域84と、を備えている。
前記パワーセーブ設定領域86は、ユーザが例えば前記「メニュー/決定」スイッチ75や十字キー74を適宜に操作してカーソルを当該領域86内の▲印や▼印に合わせた後、前記十字キー74で、パワーセーブ処理を行うための「する」及びパワーセーブ処理を行わないための「しない」のいずれかに設定し、さらに前記「メニュー/決定」スイッチ75を押すことで、前記パワーセーブ処理を行うか行わないかに所望に設定することができる。図示の例では、前記「しない」に設定、すなわちパワーセーブ処理が行われない状態を示しており、これに対応して前記グラフ表示領域83の上部には、「現在の設定は[しない]です」のメッセージが併せて表示されている。言い替えれば、このパワーセーブ設定領域86においては、前記十字キー74や前記「メニュー/決定」スイッチ75によって前記電力分布変更処理としてのパワーセーブ処理の有無を選択できることになる。
前記グラフ表示領域83は、前記図4〜図6と同様、横軸に時間軸を縦軸に電力量[kWh]を取り、ユーザが適宜の操作により指定した過去のある1日における前記貯湯式給湯機1の消費電力の時間変動をグラフ(この例では棒グラフ)で表示する領域である。このとき、図示のように「しない」の場合は、パワーセーブ処理が行われない値(前記消費電力実績値)がそのまま表示され、「する」の場合には、前記パワーセーブ処理がなされた値(前記処理後実績値)が表示される。図11に示すグラフ表示G1は、前記図7と同様、前記図4〜図6に示した例に沿っており、前記パワーセーブ処理なしに対応し、前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が、0時で0[kWh]、1時で0.4[kWh]、2時で1.6[kWh]、3時で1.75[kWh]、4時で1.75[kWh]、5時で1.75[kWh]、6時で1.2[kWh]、7時〜9時で0[kWh]となる、前記グラフ表示G1が表示されている。
図12は、前記した図11に示した前記パワーセーブ処理設定画面60Tが前記表示部60に表示された状態で、ユーザが前記「メニュー/決定」スイッチ75及び十字キー74を用いてシフト時間設定領域85での前記設定時間を「1」時間とすることで、表示部60にパワーセーブ処理設定画面60Uが表示された場合を示している。
このパワーセーブ処理設定画面60Uでは、前記図11のシフト処理設定画面60Tと同様、1つのグラフ表示領域83(1つの画面領域に相当)と、前記パワーセーブ設定領域86と、前記と同様の操作ガイドメッセージ表示領域84′と、を備えている。
グラフ表示領域83には、前記「しない」から前記「する」へ設定の変更がなされたことに対応し、前述した前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値の時間変動の最大値が所定値(この例では例えば定格値の所定割合としての1.2[kW])に制限された態様で前記処理後実績値が表示される。すなわち、前記した2時の1.6[kWh]、3時の1.75[kWh]、4時の1.75[kWh]、5時の1.75[kWh]がそれぞれ1.2[kW]に低減され、かつ、これに対応して、1時の0.4[kWh]が1.2[kW]に、0時の0[kW]が1[kW]に増大されたグラフ表示G5が表示(後述のような破線ではない実体表示)されている。
一方このとき、グラフ表示領域83には、シフト処理前の図11の前記グラフ表示G1に対応するグラフ表示G1′が、図7とは異なる破線の棒グラフとして痕跡表示される。これにより、このシフト処理設定画面60Uには、貯湯式給湯機1の前記消費電力実績値(処理前の実績値)と前記処理後実績値とが、1つのグラフ表示領域83内において対比可能に表示されることとなる。なお、前記グラフ表示G5において、前記グラフ表示G1と比べて新たに増えた部分について、それ以外とは異なる態様(例えば点滅等)で表示するようにしてもよい。
本変形例においても、前記実施形態と同様の効果を得る。すなわち、ユーザは、貯湯式給湯機1の消費電力の最大値の分布を含む消費電力の時間変動挙動の実績を、前記消費電力実績値によって視覚的に容易に知ることができる(図11参照)。そして、適宜に前記「メニュー/決定」スイッチ75や十字キー74等を操作し、前記パワーセーブ処理を行うか行わないかを適宜切り替えつつ前記処理後実績値の表示内容を確認(図12参照)することで、前記最大需要電力量(ピーク値)を低減するために前記パワーセーブ処理を行うか行わないか、を容易に比較検討することができる。この結果、容易にランニングコストの低減を図ることができ、利便性を向上することができる。
(4)ピークカット処理を行う場合
すなわち、本変形例では、前記電力分布変更処理として、特定時間帯の沸上動作に伴って発生する消費電力をゼロカットするピークカット処理が行われる。そのような変形例を図13及び図14により説明する。なお、本変形例では、ピークカット処理と、前記実施形態において説明した前記シフト処理とを併せて行う場合を例にとって行うが、ピークカット処理のみを単独で行うようにしてもよい。
このピークカット処理では、公知の通常の手法により、制御装置31により、以下の(g)〜(j)の処理が行われる。
(g)まず、ユーザの適宜の操作によって設定された時間帯における、前記貯湯式給湯機1の消費電力を取得する。
(h)その後、前記取得された消費電力を、所定の換算式によって湯量に換算する。
(i)そして、前記換算された湯量を、翌日の前記設定された時間帯以前となる夜間時間帯の必要沸上湯量に加算する。
(j)前記加算後の必要沸上湯量を用いて、前記夜間沸上運転の計算を行う。
まず図13において、この変形例では、前記した図2に示した表示画面60Aが前記表示部60に表示された状態でユーザが適宜の操作(例えば前記のスイッチ71,72,73,75,76,77,78,79及び十字キー74の少なくとも1つを操作)を行うことで、(前記表示画面60Aに代えて)ピークカット処理設定画面60Vが前記表示部60に表示された状態を示している。このピークカット処理設定画面60Vでは、図示のように、前記図10の前記グラフ表示領域83cと同等のグラフ表示領域83eと、前記シフト時間設定領域85と同様の機能となるシフト時間設定領域87と、ピークカット時間帯設定領域88と、操作ガイドメッセージ表示領域89と、が備えられている。
前記シフト時間設定領域87は、ユーザが例えば前記「メニュー/決定」スイッチ75や十字キー74を適宜に操作してカーソルを当該領域87内の▲印や▼印に合わせた後、前記十字キー74で前記設定時間の数字を増減させて所望の値を設定し、さらに前記「メニュー/決定」スイッチ75を押すことで、シフト処理における前記設定時間を所望に設定することができる。図示の例では、前記設定時間が「0」時間、すなわちシフト処理が行われない状態(図中のハイフン「−」参照)を示している。言い替えれば、このシフト時間設定領域87においては、前記十字キー74や前記「メニュー/決定」スイッチ75によって前記電力分布変更処理としてのシフト処理の有無を選択できることになる。
前記ピークカット時間帯設定領域88は、ユーザが例えば前記「メニュー/決定」スイッチ75や十字キー74を適宜に操作してカーソルを当該領域88内の▲印や▼印に合わせた後、前記十字キー74で前記ピークカット処理を開始する開始時刻及び終了する終了時刻を表す数字を増減させて所望の値に設定し、さらに前記「メニュー/決定」スイッチ75を押すことで、ピークカット処理における前記特定の時間帯を所望に設定することができる。図示の例では、前記開始時刻及び終了時刻が未設定(図中のハイフン「−」参照)、すなわちピークカット処理が行われない状態を示している。言い替えれば、このピークカット時間帯設定領域88においては、前記十字キー74や前記「メニュー/決定」スイッチ75によって前記電力分布変更処理としてのピークカット処理の有無を選択できることになる。
グラフ表示領域83eには、前記グラフ表示領域83cと同様、横軸に時間軸を縦軸に電力量[kWh]を取り、ユーザが適宜の操作により指定した過去のある1日における前記貯湯式給湯機1の消費電力の時間変動をグラフ(この例では棒グラフ)で表示する領域である。このとき、図示のように前記設定時間が「0」かつ前記ピークカット処理の開始時刻・終了時刻未設定の場合は、シフト処理及びピークカット処理が行われない値(前記消費電力実績値)がそのまま表示され、それ以外の場合には、前記設定時間の値に応じた前記シフト処理及び前記ピークカット処理の開始時刻・終了時刻の値に応じた前記ピークカット処理、のうち少なくとも一方がなされた値(前記処理後実績値)が表示される。この例では、前記設定時間「0」(すなわちシフト処理なし)及び前記ピークカット処理の開始時刻・終了時刻未設定の状態に対応した前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値(0時で0[kWh]、1時で0.4[kWh]、2時で1.6[kWh]、3時で1.75[kWh]、4時で1.75[kWh]、5時で1.75[kWh]、6時で1.2[kWh]、・・、19時で0.35[kWh]、20時で0.6[kWh]、・・)の、前記グラフ表示G3に対応するグラフ表示G6が表示されている。
前記操作ガイドメッセージ表示領域89は、前記のようなシフト時間設定領域87やピークカット時間帯設定領域88等の操作ガイドを表示するものであり、図示の例では、「(右三角マーク)で確認」のメッセージが表示されている。
図14は、前記した図13に示した前記ピークカット処理設定画面60Vが前記表示部60に表示された状態で、ユーザが前記「メニュー/決定」スイッチ75及び十字キー74を用いてシフト時間設定領域87での前記設定時間を「1」時間とし、かつピークカット時間帯設定領域88での前記開始時刻を「17」時で前記終了時刻を「19」時とすることで、表示部60に前記ピークカット処理設定画面60Wが表示された場合を示している。
このピークカット処理設定画面60Wでは、前記図13のピークカット処理設定画面60Vと同様、1つのグラフ表示領域83fと、前記シフト時間設定領域87と、前記ピークカット時間帯設定領域88と、操作ガイドメッセージ表示領域84′と、を備えている。
前記グラフ表示領域83fには、前記設定時間「0」から前記設定時間「1」へ設定変更、及び、前記開始時刻「17」時及び前記終了時刻「19」時への設定がなされたことに対応し、前述した前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値の時間変動が1時間ずれ(前倒しされ)、かつ、17:00〜19:00の時間帯における消費電力値をゼロカットするピークカット処理がなされた態様の前記処理後実績値が表示される。すなわち、0時で0.4[kWh]、1時で1.6[kWh]、2時で1.75[kWh]、3時で1.75[kWh]、4時で1.75[kWh]、5時で1.2[kWh]、6時以降で0[kWh](前記図13での19時の0.35[kWh]、20時の0.6[kWh]に相当する部分を含む)となる、グラフ表示G7が表示)されている。
一方このとき、グラフ表示領域83fには、前記シフト処理及びピークカット処理前の図13の前記グラフ表示G6に対応するグラフ表示G6′が、図13とは異なる破線の棒グラフとして痕跡表示される。これにより、このシフト処理設定画面60Wには、貯湯式給湯機1の前記消費電力実績値(処理前の実績値)と前記処理後実績値とが、1つのグラフ表示領域83f内において対比可能に表示されることとなる。
前記操作ガイドメッセージ表示領域89′には、図示の例では、「(左三角マーク)で戻る」のメッセージが表示されている。
本変形例においても、前記実施形態と同様の効果を得る。すなわち、ユーザは、貯湯式給湯機1の消費電力の最大値の分布を含む消費電力の時間変動挙動の実績を、前記消費電力実績値によって視覚的に容易に知ることができる(図13参照)。そして、適宜に前記「メニュー/決定」スイッチ75や十字キー74等を操作し、前記ピークカット処理の前記処理態様を種々調節しつつ前記処理後実績値の表示内容を確認(図14参照)することで、前記最大需要電力量(ピーク値)を低減するためにどのような態様で前記ピークカット処理を行えばよいか、を容易に比較検討することができる。この結果、容易にランニングコストの低減を図ることができ、利便性を向上することができる。
(5)各部位の機能の置き換え
以上において、消費電力実績値決定部81が、既に取得され適宜の箇所に記憶されていた過去の貯湯式給湯機1の消費電力値から所望の特定期間での前記消費電力実績値を決定するのに代え、貯湯式給湯機1外の適宜の箇所(例えば前記サーバ9)において、記憶されていた過去の貯湯式給湯機1の消費電力値から、所望の特定期間での前記消費電力実績値が算出(特定)されていたものを、当該貯湯式給湯機1外の適宜の箇所から取得することで決定するようにしてもよい。同様に、処理後実績値決定部82が、前記のようにして決定された消費電力実績値に前記電力分布変更処理を施して処理後実績値を算出(決定)するのに代え、前記のようにして決定された消費電力実績値に対して貯湯式給湯機1外の適宜の箇所(例えば前記サーバ9)で前記電力分布変更処理を施し処理後実績値が算出されていたものを、当該貯湯式給湯機1外の適宜の箇所から取得することで決定するようにしてもよい。すなわち本明細書中の「決定」には、自ら算出(特定)するものと、自らは算出することなく他の部位により算出(特定)されたものを取得するもの、との両方が含まれるものである。
また、表示部60の表示画面60Aの備える表示機能を、貯湯式給湯機1におけるリモコン装置50以外の他の部位、例えば制御装置31に設けた適宜のディスプレイ(この場合の表示手段に相当)が備えていても良い。あるいは、前記表示制御部80と同等の機能を備えた表示制御部(この場合の表示制御手段に相当)をリモコン装置50に設け、前記表示部60に対し前記と同様の表示制御を行うようにしてもよい。その場合、前記消費電力実績値決定部81及び前記処理後実績値決定部82のうちの少なくとも一方を、前記リモコン装置50に設けるようにしても良い。
(6)太陽光発電を用いる場合
本実施形態の給湯システム100において、太陽光発電装置3を追加して設け、当該太陽光発電装置3で発電した電力を用いて前記沸上運転を行うようにしても良い。本変形例における給湯システム100′のシステム構成を、前記図1に対応する図15に示す。図15において、本変形例の給湯システム100′では、前記家屋の屋根等に設置された太陽光発電パネル4、及び、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換し前記分電盤2へ供給するインバータ5を備えた前記太陽光発電装置3と、前記家屋の家庭内の電力マネジメントを行うためのHEMS(=Home Energy Management System)機器7と、が新たに設けられる。
前記HEMS機器7は、前記貯湯式給湯機1、前記太陽光発電装置3、及び前記分電盤2に双方向に通信可能に接続されている。これにより、HEMS機器7は、貯湯式給湯機1の使用状況や太陽光発電装置3の発電電力情報や分電盤2の分岐回路ごとの消費電力量の情報を収集可能となっている。またHEMS機器7は、さらに前記ネットワーク通信網8を介し前記サーバ機器9に接続され、必要な情報を相互にやりとり可能となっている。なお、HEMS機器7が太陽光発電装置3との間の通信により前記発電電力情報を収集するのに代え、HEMS機器7が、分電盤2への発電電力の入力あるいは分電盤3と商用電源49との間の電力の授受を監視することで、太陽光発電装置3の発電電力情報を収集するようにしても良い。
前記構成において、日照条件が良好な場合、前記太陽光発電装置3は、前記太陽光発電パネル4で太陽光を受光して発電を行い、前記貯湯式給湯機1が、この太陽光発電装置3で発電された電力を用いて前記昼間帯において沸上運転を行う。日照条件があまり良好でない場合には、前記太陽光発電装置3は太陽光の受光による十分な発電を行うことができないことから、前記と同様、前記貯湯式給湯機1は前記夜間帯において前記商用電源49から供給される電力を用いて、前記沸上運転を行う。
本変形例においても、前記実施形態と同様、例えば、電力分布変更処理(この例ではシフト処理)前の貯湯式給湯機1の前記昼間帯での沸上運転時の消費電力実績値と、前記シフト処理後の貯湯式給湯機1の前記昼間帯での沸上運転時の消費電力の前記処理後実績値とが、前記表示部60において対比可能に表示される。そのような例を、図16及び図17により説明する。
図16は、前記した図2に示した表示画面60Aが前記表示部60に表示された状態でユーザが適宜の操作(例えば前記のスイッチ71,72,73,75,76,77,78,79及び十字キー74の少なくとも1つを操作)を行うことで、(前記表示画面60Aに代えて)シフト処理設定画面60Xが前記表示部60に表示された状態を示している。このシフト処理設定画面60Xでは、図示のように、1つの前記グラフ表示領域83′(1つの画面領域に相当)と、前記沸上運転をシフトする時間(設定時間)を例えば整数単位で設定可能な前記シフト時間設定領域85と、前記操作ガイドメッセージ表示領域84と、を備えている。
図示する前記シフト時間設定領域85は、前記実施形態と同等の機能を備えるものであり、図示の例では、前記設定時間が「0」時間、すなわちシフト処理が行われない状態を示している。
前記グラフ表示領域83′は、前記実施形態のグラフ表示領域83と同等の機能を備えており、横軸に時間軸を縦軸に電力量[kWh]を取り、ユーザが適宜の操作により指定した過去のある1日における前記貯湯式給湯機1の消費電力の時間変動をグラフ(この例では棒グラフ)で表示する領域である。このとき、図示のように前記設定時間が「0」の場合は、シフト処理が行われない値(前記消費電力実績値)がそのまま表示され、それ以外の場合には、前記設定時間の値に応じて前記シフト処理がなされた値(前記処理後実績値)が表示される。図16に示す例では、前記設定時間「0」の設定(すなわちシフト処理なし)に対応し、前記太陽光発電での電力を利用する前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値が、10時までは0[kWh]、11時〜14時で1.5[kWh]、15時以降で0[kWh]となる、グラフ表示G8が表示されている。
図17は、前記した図16に示した前記シフト処理設定画面60Xが前記表示部60に表示された状態で、ユーザが前記「メニュー/決定」スイッチ75及び十字キー74を用いてシフト時間設定領域85での前記設定時間を「1」時間とすることで、表示部60に前記シフト処理設定画面60Yが表示された場合を示している。
このシフト処理設定画面60Yでは、前記図16のシフト処理設定画面60Yと同様、1つのグラフ表示領域83′(1つの画面領域に相当)と、前記シフト時間設定領域85と、操作ガイドメッセージ表示領域84′と、を備えている。
グラフ表示領域83′には、前記設定時間「0」から前記設定時間「1」へ設定の変更がなされたことに対応し、前述した前記貯湯式給湯機1の消費電力実績値の時間変動が1時間ずれた(前倒し)態様の前記処理後実績値が表示される。すなわち、9時までは0[kWh]、10時〜13時で1.5[kWh]、14時以降で0[kWh]となる、グラフ表示G9が表示(後述のような破線ではない実体表示)されている。
一方このとき、グラフ表示領域83′には、シフト処理前の図16の前記グラフ表示G8に対応するグラフ表示G8′が、図16とは異なる破線の棒グラフとして痕跡表示される。これにより、このシフト処理設定画面60Yには、貯湯式給湯機1の前記消費電力実績値(処理前の実績値)と前記処理後実績値とが、1つのグラフ表示領域83′内において対比可能に表示されることとなる。なお、図示を省略しているが、シフト時間設定領域85での前記設定時間をその他の時間として場合も前記と同様の表示がグラフ表示領域83′において行われ、例えば「2」時間とすることで、2時間ずれた内容のグラフ表示G9が前記実体表示されるとともに、シフト処理前のグラフ表示G8′が前記痕跡表示される。
なお、前記の実施形態と同様、シフト処理前のグラフ表示G8′が痕跡表示されるのに代え、直前のグラフ表示が痕跡表示されるようにしてもよい。すなわち、図16に示す状態から、まず最初に前記設定時間を「1」時間とした後、さらに前記設定時間を「2」時間に変更した場合には、1時間ずれた内容の前記グラフ表示G9が前記痕跡表示されるとともに、2時間ずれた内容の前記グラフ表示G9が前記実体表示されるようにしてもよい。あるいはこの場合、シフト処理前の前記グラフ表示G8′(痕跡表示)、1時間ずれた内容の前記グラフ表示G9(痕跡表示又は実体表示)、2時間ずれた内容の前記グラフ表示G9(実体表示)、の3つ(さらに4つ以上でもよい)を対比可能に表示しても良い。さらに、痕跡表示するものと実体表示するものを適宜に変更しても良い。また、図示及び詳細な説明を省略するが、前記のように前倒しのシフト処理を行う場合(前記の例ではシフト時間設定領域85において正の整数を設定)に限られず、例えば前記シフト時間設定領域85において負の整数を設定することで、先送り方向に前記シフト処理を行うことも可能である。
本変形例においては、太陽光発電装置3で発電した電力を用いて前記沸上運転を行う場合であっても、前記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、太陽光発電を用いる本変形例に対し、前記(1)(2)(3)(4)(5)の変形例による手法をさらに適用しても良い。この場合、各変形例と同様の効果を得ることができる。
(7)その他
以上において、例えばヒートポンプ装置19に代えて、電気ヒータ式の加熱手段を用いても良いものである。