次に、本発明の一実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。
本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システムのシステム構成を図1に示す。なお、図1においては、図示の煩雑防止のために、後述する信号授受のうち一部は図示省略している。図1において、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100は、図示しない家屋等の建造物に設置されたヒートポンプ式の貯湯式給湯装置1と、商用電源49に接続された分電盤2と、前記家屋の屋根等に設置された太陽光発電パネル4、及び、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換するインバータ5を備えた太陽光発電装置3と、前記貯湯式給湯装置1以外の他の負荷を構成する、例えばエアコン等からなる電気負荷機器6(図1中では単に「エアコン」と図示)と、前記家屋の家庭内の電力マネジメントを行うためのHEMS(=Home Energy Management System)機器7と、ネットワーク通信網8と、サーバ9とを有している。
前記HEMS機器7は、貯湯式給湯装置1及び太陽光発電装置3に双方向に通信可能(破線参照。以下同様)に接続されている。これにより、HEMS機器7は、貯湯式給湯装置1の使用状況や太陽光発電装置3の発電電力情報や分電盤2の分岐回路ごとの消費電力量の情報を収集可能となっている。またHEMS機器7は、さらに前記ネットワーク通信網8を介し前記サーバ機器9に接続され、必要な情報を相互にやりとり可能となっている。なお、HEMS機器7が太陽光発電装置3との間の通信により前記発電電力情報を収集するのに代え、HEMS機器7が、分電盤2への発電電力の入力あるいは分電盤3と商用電源49との間の電力の授受を監視することで、太陽光発電装置3の発電電力情報を収集するようにしても良い。
前記貯湯式給湯装置1は、リモコン装置50と、湯水を貯湯する貯湯タンク10と、前記貯湯タンク10の底部に給水する給水管11と、前記貯湯タンク10の頂部から出湯する出湯管12と、前記給水管11から分岐した給水バイパス管13と、前記出湯管12からの湯と前記給水バイパス管13からの水を、前記リモコン装置50によって設定された給湯設定温度になるように混合する混合弁14と、図示しない給湯端末に給湯する給湯管15と、給湯流量を検出し対応する検出信号を出力する給湯流量センサ16と、給湯温度を検出し対応する検出信号を出力する給湯温度センサ17と、前記貯湯タンク10内の湯水の貯湯温度を検出し対応する検出信号を出力する貯湯温度センサ18とを有している。前記貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ18のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御装置31へ出力するように構成されている。これにより、前記複数の貯湯温度センサ18のうち何個のセンサから前記検出信号が出力されているかに基づき、前記制御装置31は、前記貯湯タンク10内において十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出することができる。
また、前記貯湯式給湯装置1はさらに、前記貯湯タンク10内の湯水を沸上目標温度に加熱するヒートポンプ装置19(加熱手段に相当)を有している。このヒートポンプ装置19は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する圧縮機20と、前記高温の高圧の冷媒と前記貯湯タンク10からの水との熱交換を行う水冷媒熱交換器21と、前記水冷媒熱交換器21で熱交換後の冷媒を減圧膨張させる膨張弁22と、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる空気熱交換器23と、前記空気熱交換器23へ外気を送風する送風機24と、前記圧縮機20から吐出される前記冷媒の温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する吐出温度センサ25と、前記送風機24における例えば通風経路上に設けられ、外気温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する外気温度センサ30(外気センサ)とを備えている。
また、前記貯湯式給湯装置1はさらに、貯湯式給湯装置1全体の作動を制御する前記制御装置31と、前記貯湯タンク10の下部と前記水冷媒熱交換器21の水側入口とを接続する加熱往き管26と、水冷媒熱交換器21の水側出口と前記貯湯タンク10の上部とを接続する加熱戻り管27と、前記加熱往き管26の途中に設けられた加熱循環ポンプ28と、前記加熱戻り管27に設けられ検出信号を前記制御装置31へ出力する沸上温度センサ29とを有している。なお、前記の加熱往き管26、加熱戻り管27、及び加熱循環ポンプ28により加熱循環回路が構成されている(以下適宜、単に「加熱循環回路26,27,28」という)。
前記のように、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100は、太陽光発電装置3と、貯湯式給湯装置1とが備えられている。日照条件が良好な場合、前記太陽光発電装置3は、前記太陽光発電パネル4で太陽光を受光して発電を行うことができ、前記貯湯式給湯装置1は、この太陽光発電装置3で発電された電力を用いて、前記ヒートポンプ装置19が加熱循環回路26,27,28を介し貯湯タンク10内の湯水を加熱する沸上運転を行うことができる。このようにして太陽光発電による電力を用いた沸上運転を行う場合、少なくとも発電電力値がある程度大きい(詳細には、貯湯式給湯装置1に供給される電力値、すなわち、発電電力値から貯湯式給湯装置1を除く前記電気負荷機器6の消費する負荷使用電力値を差し引いた余剰電力値がある程度大きい。後述)必要がある。そこで、前記沸上運転を円滑に行うために、太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100には、前記HEMS機器7及び前記制御装置31に、図2に示す各機能部が設けられている。
すなわち、図2に示すように、前記HEMS機器7には、気象情報取得部32Aと、発電電力予測部32Bと、負荷使用電力予測部32Cと、装置使用電力予測部32Dと、余剰電力予測部32Eと、装置使用電力出力部32Fと、余剰電力出力部32Gとが設けられている。また前記制御装置31には、装置使用電力取得部43と、余剰電力取得部44と、抽出部45と、電力契約時間帯情報記憶部46と、余剰沸上時間帯設定部33Aと、余剰沸上時間区分決定部33Bと、余剰沸上制御部40と、余剰沸上容量算出部37と、使用湯量学習部34と、必要熱量決定部35と、夜間沸上容量算出部36と、補正夜間沸上容量算出部38と、夜間沸上制御部39と、昼間沸増制御部42とが設けられている。また、これら各機能部の、HEMS機器7及び制御装置31における割り当て(配分)は、図示の例に限られず、例えばHEMS機器7と制御装置31との間の通信内容を充実化することで、HEMS機器7に設けられている前記の各機能部32A〜32Gのうち一部の機能を制御装置31に設けた構成としても良いし、逆に、制御装置31に設けられている前記の各機能部33A,33B,34〜46のうちの一部の機能をHEMS機器7に設けた構成としても良い。
前記気象情報取得部32A(気象情報取得手段に相当)は、例えばサーバ9から発せられる気象情報(例えば天気予報情報や日照時間情報等)を取得する。なお、サーバ9以外の適宜の箇所から公知情報としての気象情報を取得しても良い。
前記発電電力予測部32B(発電電力予測手段に相当)は、太陽光発電装置3から取得済みの、過去所定期間において時間変動した単位時間ごとの発電電力量と、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報とに基づき、決定対象となる所定時間帯(この例では、例えば後述の図8及び図9に示すフローによる制御手順が開始される所望日及びその翌日のうち、少なくとも翌日を含む時間帯。具体的には、前記所望日の23:00から前記翌日23:00までの24時間)での、時間変動する前記太陽光発電装置3の発電電力挙動における単位時間ごとの発電電力予測値を決定(算出)する。
前記負荷使用電力予測部32C(負荷消費電力予測手段に相当)は、前記分電盤2から取得済みの、前記建造物におけるエアコン等の前記電気負荷機器6の過去所定期間の単位時間ごとの消費電力量に基づき、前記所定時間帯における当該電気負荷機器6の単位時間ごとの消費電力を表す負荷使用電力の予測値(時間変動する場合もしない場合も含む)を決定(算出)する。
前記装置使用電力予測部32D(装置消費電力予測手段に相当)は、前記貯湯式給湯装置1から取得済みの、当該貯湯式給湯装置1の過去所定期間の単位時間ごとの消費電力量に基づき、前記所定時間帯における、当該貯湯式給湯装置1の単位時間ごとの消費電力(正確には、その時間に貯湯式給湯装置1が運転したと仮定した場合に消費するであろう、単位時間ごとの消費電力。以下同様)を表す装置使用電力の予測値(時間変動する場合もしない場合も含む)を決定(算出)する。
前記装置使用電力出力部32F(装置消費電力出力手段に相当)は、前記装置使用電力予測部32Dで決定された前記装置使用電力の予測値を、前記制御装置31(詳細は前記装置使用電力取得部43)へと出力する。
前記余剰電力予測部32E(余剰電力予測手段に相当)は、前記発電電力予測部32Bにより決定された前記発電電力予測値と、前記負荷使用電力予測部32Cにより決定された前記負荷使用電力予測値とに基づき(具体的には前記発電電力予測値から前記負荷使用電力予測値を差し引いて)、前記所定時間帯における、時間変動する前記建造物での余剰電力挙動における、単位時間ごとの余剰電力予測値を決定(算出)する。
前記余剰電力出力部32G(第1余剰電力出力手段に相当)は、前記余剰電力予測部32Eで決定された前記所定時間帯における前記余剰電力予測値を、前記制御装置31(詳細は前記余剰電力取得部44)へと出力する。
ここで、前記のようにして前記発電電力予測部32Bにより決定される前記発電電力予測値、前記負荷使用電力予測部32Cにより決定される負荷使用電力予測値、及び、前記装置使用電力出力部32Fから出力される前記装置使用電力予測値、前記余剰電力出力部32Gから出力される前記余剰電力予測値の技術的意義を、図3及び図4を用いて説明する。
図3は、横軸に「0:00」,「1:00」,・・,「23:00」,「24:00」のように時刻が刻まれる時間軸をかつ縦軸に電力量[kWh]を取り、前記翌日(0:00〜24:00)における、前記太陽光発電装置3による発電電力量の予測値(発電電力予測部32Bにより決定)、前記電気負荷機器6における前記負荷使用電力予測値(負荷使用電力予測部32Cにより決定)、前記貯湯式給湯装置1における前記装置使用電力予測値(装置使用電力出力部32Fから出力)、及び、前記余剰電力予測値(前記余剰電力出力部32Gから出力)の一例を、概念的にそれぞれ表したグラフである。
図3に示すように、この例は、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により前記翌日における天気が晴れであると予測された場合の例である。すなわち、図中の実線による折れ線グラフで示すように、太陽光発電装置3における前記発電電力予測値は、0:00〜6:00までほぼ0[kWh]で推移するが、日の出(6:00〜7:00の間)とともに徐々に上昇し、7:00では0.2[kWh]、8:00では1.0[kWh]、8:30で1.5[kWh]、となり、その後9:00で1.8[kWh]、10:00では2.5[kWh]、11:00での3.2[kWh]を経て、12:00における3.3[kWh]でピークを迎える。その後は、発電電力予測値は、日の陰りとともに徐々に減少し、13:00では3.2[kWh]、14:00では2.5[kWh]となり、その後15:00で1.8[kWh]、15:30で1.5[kWh]、16:00では1.0[kWh]、17:00での0.2[kWh]を経て、日の入り(17:00〜18:00の間)により18:00以降はそのまま24:00までほぼ0[kWh]となる。
一方、図中の灰色の棒グラフで示すように、前記電気負荷機器6における前記負荷使用電力予測値は、前記翌日の0:00〜24:00の間、終日、0.5[kWh]となっている。この結果、「太陽光発電装置3における発電電力予測値」−「電気負荷機器6における負荷使用電力予測値」で表される前記余剰電力予測値は、図3に示すように、前記翌日の8:00で初めて0.5[kWh]が生じ、8:30で1.0[kWh]、9:00で1.3[kWh]、10:00で2.0[kWh]、11:00での2.7[kWh]を経て、12:00における2.8[kWh]で最大となる。その後、徐々に減少し、13:00では2.7[kWh]、14:00では2.0[kWh]、15:00で1.3[kWh]、15:30で1.0[kWh]、16:00で0.5[kWh]となる。
以上のような余剰電力予測値の時間変動に対し、この例では、前記貯湯式給湯装置1が運転されるときの前記装置使用電力予測値が、単位時間あたり1[kWh]となっている。そして、「余剰電力予測値」≧「貯湯式給湯装置1の装置使用電力予測値」となる時間帯(沸上可能時間帯。詳細は後述)であれば、太陽光発電装置3での発電電力による沸上運転が実行可能となる(後述の余剰沸上時間帯設定部33Aの機能を参照)ことから、この例では、前記沸上可能時間帯である8:30〜15:30のうち、10:30〜14:30の時間区分で、前記貯湯式給湯装置1の沸上運転実行が予定されている(黒色棒グラフ参照。後述の余剰沸上時間区分決定部33Bの機能を参照)。
なお、図3に示した例は、前記したように前記翌日における天気が晴れであると予測された場合の例である。これに対し、例えば前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により前記翌日における天気が雨又は曇り等(太陽による日射がほとんどない)と予測された場合の例を図4に示す。この場合、図中の実線による折れ線グラフで示すように、太陽光発電装置3における前記発電電力予測値は、0:00〜8:00までほぼ0[kWh]で推移し、日の出に伴ってわずかに上昇するが、9:00で0.1[kWh]、10:00では0.3[kWh]、11:00で0.5[kWh]、12:00での0.6[kWh]を経た後の13:00におけるピークでも0.7[kWh]程度に留まる。その後は、発電電力予測値は、14:00で0.6[kWh]、15:00で0.5[kWh]、16:00では0.3[kWh]、17:00で0.1[kWh]となり、18:00以降はそのまま24:00までほぼ0[kWh]となる。この結果、「太陽光発電装置3における発電電力予測値」−「電気負荷機器6における負荷使用電力予測値」で表される前記余剰電力予測値は、図4に示すように、前記翌日の12:00〜14:00までの間でわずかに生じる程度であり、その最大値も0.2[kWh]程度に留まる。このような場合、前記の「余剰電力予測値」≧「貯湯式給湯装置1の装置使用電力予測値」となる前記沸上可能時間帯が存在しないことから、図4中に示すように、前記貯湯式給湯装置1の沸上運転は、(太陽光発電による電力を用いず)前記商用電源49からの給電(すなわち太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100外から購入される電力の利用。以下適宜「買電」という)により、通常通り、電力料金単価が安価な夜間帯(この例では23:00〜9:00)のうちの適宜の時間帯(この例では2:30〜6:30)に実行予定とされる(後述の余剰沸上時間帯設定部33A及び余剰沸上制御部40の機能を参照)。
図2に戻り、前記制御装置31の前記装置使用電力取得部43(装置消費電力取得手段に相当)は、前記装置使用電力出力部32Fから出力された前記所定時間帯における前記装置使用電力の予測値を取得する。
前記余剰電力取得部44(余剰電力取得手段に相当)は、前記余剰電力出力部32Gから出力された前記所定時間帯における(この例では24時間分の)前記余剰電予測値を取得する。
前記電力契約時間帯情報記憶部46は、ユーザが電力供給会社と契約している時間帯別電灯契約の電力料金プランの時間帯情報を記憶している。例えば設置業者等が、電力契約の情報と照らし合わせて電力料金単価の高い昼間帯(後述)の開始時刻及び終了時刻を前記リモコン装置50の設定操作により入力することにより、電力契約時間帯情報記憶部46がこれら昼間帯開始時刻及び終了時刻を電力契約時間帯情報として記憶する。
前記抽出部45(抽出手段に相当)は、前記余剰電力取得部44により取得された前記所定時間帯における(この例では24時間分の)前記余剰電力予測値に含まれる、予め定められた特定の許容時間帯(この例では、前記電力契約時間帯情報記憶部46に記憶している昼間帯の開始時刻である前記翌日の9:00と、昼間帯の終了時刻である23:00とを参照して、前記特定の許容時間帯として定めている)の余剰電力予測値(以下適宜、「第1余剰電力予測値」という)と、前記許容時間帯以外の非許容時間帯(この例では前記所望日の23:00〜24:00及び前記翌日の0:00〜9:00)の余剰電力予測値(以下適宜、「第2余剰電力予想値」という)のうち、前記第1余剰電力予測値のみを抽出する(前記第2余剰電力予測値は抽出しない)。なお、前記許容時間帯は、前記太陽光発電装置連携貯湯式給湯装置1において、前記太陽光発電装置3での発電電力による沸上運転が可能かどうかの判定材料となる時間帯である。これに対し、前記非許容時間帯は、太陽光発電装置3での発電電力による沸上運転が可能かどうかの判定材料とされない時間帯である。なお本実施形態では、一例として、9:00直前までが非許容時間帯(すなわち9:00ちょうどは許容時間帯内)とし、23:00直前までが許容時間帯(すなわち23:00ちょうどは非許容時間帯内)とするが、以下、便宜的に、「許容時間帯9:00〜23:00」「非許容時間帯23:00〜24:00及び0:00〜9:00」のように記載する。これら許容時間帯・非許容時間帯及び前記抽出部45の技術的意義の詳細については、後述する。
前記余剰沸上時間帯設定部33A(時間帯決定手段に相当)は、前記抽出部45で抽出された前記許容時間帯の前記第1余剰電力予測値が、前記装置使用電力取得部43で決定された前記所定時間帯のうちの対応する時間帯における前記装置使用電力予測値以上となるか否か(前記許容時間帯の前記第1余剰電力予測値のうち、対応する時間帯の前記装置使用電力予測値以上となる場合があるか否か)を判定する。この判定が満たされた場合は、さらに余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記抽出された単位時間ごとの前記第1余剰電力予測値と、前記決定された前記所定時間帯の単位時間ごとの装置使用電力予測値とに基づき、前記許容時間帯において前記第1余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる時間帯(沸上可能時間帯)を決定する。
前記余剰沸上時間区分決定部33B(時間区分決定手段、第1〜第3時間区分決定手段に相当)は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより決定された前記沸上可能時間帯のうちから、その時間帯において前記沸上運転を行える時間長さが予め決定してある所定値(この例では例えば2時間)以上となる時間区分を、前記翌日において前記太陽光発電装置3からの電力により貯湯式給湯装置1が前記沸上運転を行う予定の前記特定の時間区分(以下適宜、「特定の時間区分」という)として決定する。なお、上記のような時間区分が複数ある場合には、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、それら複数の時間区分の中から、後述の区分決定ルールに沿って最も優先順位が高くなる時間区分を、前記沸上運転を行うべき前記特定の時間区分として決定する。
ここで、このような時間区分の決定を行う際に、前記のように許容時間帯と非許容時間帯との区別を設けつつ前記抽出部45により前記許容時間帯の前記第1余剰電力予測値のみを抽出する技術的意義を、以下に詳細に説明する。
前記図3及び図4を用いて前述したように、本実施形態の貯湯式給湯装置1においては、前記翌日において前記余剰電力予測値が前記装置消費電力予測値以上となる場合には、前記太陽光発電装置3からの電力によって前記沸上運転を実行することができる。その場合、当該翌日(昼間帯)において前記沸上運転での沸上量(発電沸上量)が見込まれる分、前記昼間帯以外の(前記所望日から前記翌日にわたる)前記夜間帯において前記買電により実行される、沸上運転での沸上量(買電沸上量)を減らすことができ、コスト低減を図ることができる(後述する補正夜間沸上容量算出部38の機能を参照)。
ここで、(前記太陽光発電が行われる)前記昼間帯とそれ以外の前記夜間帯との境界となる時刻は、ユーザの契約した電気料金プランによって種々異なる(但しこの例では前記のように境界となる時刻は9:00である)。このため、通常、前記余剰電力予測値は、前記昼間時間帯だけでなく前記夜間帯も含めた24時間全てについて算出される(前述の余剰電力予測部32Eの機能を参照)。その際、太陽光発電装置3の設置条件や気象条件によっては(例えば太陽光発電パネルが東向きに設置されており、特定の季節においては未明から早朝にかけてのみ比較的大きな日射が生じる場合、等)、電気料金プランの上では前記夜間帯となる時間帯にのみ、ある程度の大きさの前記余剰電力予測値が生じる場合があり得る。そのような例を図5により説明する。
図5において、前記図3等と同様、横軸に(前記所望日の)「23時」、(前記翌日の)「0時」、「1時」、・・、「21時」、「22時」のように時刻が刻まれる時間軸を取り、縦軸には電力量[kWh]を取って、前記貯湯式給湯装置1における前記余剰電力予測値(余剰電力予測部32Eにより予測)、及び、前記装置使用電力予測値(装置使用電力予測部32Dにより予測)の、時間変動の例が示されている。「太陽光発電装置3における発電電力予測値」−「電気負荷機器6における負荷使用電力予測値」で表される前記余剰電力予測値において、図中のプラス側の電力量は前記発電電力予測値が前記負荷使用電力予測値よりも大きい場合を表し、図中のマイナス側の電力量は前記発電電力予測値が前記負荷使用電力予測値よりも小さい場合を表している。
図5に示す例は、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により、前記翌日の日の出直後の早朝から早朝まで晴れとなる一方、その後は曇り又は雨と予測された場合の例(前記図3、図4に示した例とは異なる別の例)である。この場合、図中の棒グラフで示すように、前記余剰電力予測値は、前記所望日の23:00で−1000[Wh]となった後、前記翌日の0:00で−2000[Wh]、0:00で−2000[Wh]、0:00で−2000[Wh]、1:00で−500[Wh]、2:00で−500[Wh]、3:00で−1000[Wh]、4:00で−1000[Wh]、といずれもマイナス側の値で推移する。
その後、前記のように日の出直後の晴天により前記余剰電力予測値は急上昇し、5:00で(この場合の前記装置使用電力予想値1600[Wh]を超える)2000[Wh]、6:00でさらに上昇して3000[Wh]、7:00で3500[Wh]となってピークを迎えた後、8:00でも3000[Wh]となっている。
しかしながら、この場合、前記した太陽光発電パネルの東向き設置等の条件により、その後は前記余剰電力予測値は急激に減少し、9:00において(この場合の前記装置使用電力予想値1600[Wh]を下回る)1500[Wh]、10:00には1000[Wh]となり、11:00にはさらに減少して500[Wh]、12:00及び13:00でも同じ500[Wh]となる。
その後、日の陰りに伴う前記発電電力予測値の減少とともに前記余剰電力予測値はさらに減少し、14:00には−500[Wh]、15:00及び16:00には−1000[Wh]となる。その後は主に前記電気負荷機器6の使用に伴う負荷使用電力予測値の増大により前記余剰電力予測値はさらに減少し、17:00には−2000[Wh]、18:00及び19:00には−3000[Wh]まで低下する。その後、主に前記電気負荷機器6の使用減少によって余剰電力予測値は若干増大し、20:00、21:00、22:00に−2000[Wh]となっている。
この図5に示すような挙動となる場合、太陽光発電装置3での発電電力による沸上運転が実行可能となる、前述した「余剰電力予測値」≧「装置使用電力予測値」となる時間帯は、4:30頃〜8:30頃の時間帯となる(図5中太枠破線部参照)。しかしながら、この時間帯は、前述したように昼間帯(9:00〜23:00)には含まれず、夜間帯(0:00〜9:00及び23:00〜24:00)に含まれることとなる。このため、前記したような夜間帯の制御態様(=買電による沸上運転を行う)との不整合が生じる。
このような場合、前記所望日の適宜のタイミング(例えば23:00)で前記「余剰電力予測値」≧「装置使用電力予測値」となることを予測できた、前記翌日4:30頃〜8:30頃の時間帯における前記発電沸上量を見込んだ分、前記所望日〜前記翌日の夜間帯(この例では23:00〜9:00)での前記買電により実行される前記買電沸上量が減らされていることから、そのままでは、前記8:30頃以降の昼間帯において、貯湯タンク10内の加熱水の容量が足りなくなるおそれがある。その場合、当該昼間帯の例えば8:30以降において貯湯式給湯装置1における沸上運転を行うことになるが、前記したように、前記余剰電力予測値は例えば9:00において1500[Wh]であることから前記装置使用電力予想値1600[Wh]に対して足りない100[Wh]分を(昼間帯は)高価である)買電で補わなければならない(破線部ア参照)。同様に、10:00では前記余剰電力予測値は1000[Wh]であり600[Wh]分を買電で補わなければならず(破線部イ参照)、11:00では前記余剰電力予測値は500[Wh]であり1100[Wh]分を買電で補わなければならない(破線部ウ参照)。以上のように高価な昼間帯の買電による沸上運転を行わざるを得なくなる結果、コスト増を招く。
そこで本実施形態においては、以上説明したような不適切な制御態様となるのを回避するために、前記したように制御対象とする前記所定時間帯(前記の例で所望日23:00〜翌23:00)を前記許容時間帯(前記の例では翌日9:00〜23:00まで)とそれ以外の非許容時間帯(前記の例では所望日23:00〜翌日0:00及び翌日0:00〜9:00)とに区分する。また、前記抽出部45を設け、予測された前記所定時間(24時間分)の余剰電力予測値のうち前記許容時間帯の第1余剰電力予測値のみを抽出する。そして、その抽出された第1余剰電力予測値に基づき、余剰沸上時間帯設定部33Aによって当該許容時間帯(翌日9:00〜23:00)においてのみ沸上可能時間帯が設定され、前記余剰沸上時間区分決定部33Bによってその沸上可能時間帯において前記特定の時間区分が決定される。
このようにして前記特定の時間区分を決定することにより、前記と異なり、非許容時間帯(例えば未明から早朝にかけて)における余剰電力予測値(=第2余剰電力予測値)が装置消費電力予測値以上となる場合であっても太陽光発電装置3からの電力による沸上運転を行うかどうかの判定材料としないようにすることができる。すなわち、本実施形態では、例えば制御の円滑性・信頼性の観点から、前記昼間帯(前記の例では9:00〜23:00)の前記第1余剰電力予測値のみが前記判定材料となり、その第1余剰電力予測値のみに基づいて、前記夜間帯において実行される沸上運転での沸上量を減らすか否かが決定される。この結果、前記したように、前記夜間帯での前記余剰電力予測値に惑わされて前記夜間帯の沸上量を減らし、減らした分だけ前記昼間帯に前記買電による沸上運転を行うような制御不整合を防ぐことができる。
但し、本実施形態における前記の手法を用いた場合、前記図5に示した例では、前記4:30〜8:30頃の余剰電力予測値(第2余剰電力予想値)は前記判定材料とならず、前記夜間帯の沸上量は減らされない結果、通常の夜間沸上量を確保するための沸上運転が(当該夜間帯の沸上量に対応した)夜間開始時刻から実行される。したがって、当該夜間開始時刻で開始された沸上運転の途中で実際に余剰電力予測値が図5に示すような高い値(装置消費電力予測値以上)となった場合には、(前記のようにこの時間帯は太陽光発電装置3での発電電力による沸上運転が可能かどうかの判定材料となっていないにもかかわらず)太陽光発電装置3からの電力が分電盤2を介して貯湯式給湯装置1へと供給され、当該電力により貯湯式給湯装置1の沸上運転が行われるものである。
以下、上記の処理に基づき、本実施形態の前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定された時間区分(特定の時間区分)の具体例を、図6及び図7を用いて説明する。なおこれらの図では、前記図3等と同様、横軸に「5:00」,「6:00」,・・,「18:00」,「24:00」のように時刻が刻まれる時間軸を取り、縦軸には、余剰電力量[kWh](各図の左側に図示)を取って、前記貯湯式給湯装置1における前記余剰電力予測値(余剰電力予測部32Eにより予測)の時間変動の例を棒グラフにより示している。
まず図6に示す例では、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により、前記翌日において、日の出直後の早朝に晴れた後、午前中から昼頃まで薄曇りが続き、午後の短時間だけ晴れた後に再び薄曇り、と予測された場合の例(前記図3、図4、図5等に示した例とは異なる別の例)である。この場合、図中の棒グラフで示すように、前記余剰電力予測値は、5:00で早くも1.5[kWh]となった後に緩やかに上昇し、6:00では2.0[kWh]、7:00で2.5[kWh]に達し、8:00で若干減少して2.0[kWh]となっている。しかしながら、前記したように9:00までは非許容時間帯であることから、9:00以前の前記の余剰電力予測値の値は、前記時間区分の設定において考慮されない(棒グラフの2点鎖線表記参照)。
その後、余剰電力予測値は、9:00で0.7[kWh]、10:00で0.8[kWh]となった後、11:00での1.2[kWh]、12:00での1.3[kWh]を経て、12:30頃からの晴れ間によって13:00で2.0[kWh]へ上昇した後、14:00で2.5[kWh]となりピークを迎える。その後、前記余剰電力量は、14:30頃からの前記晴れ間の消失によって減少し、15:00で1.3[kWh]、16:00で1.0[kWh]となった後、17:00で0.5[kWh]まで減少し、18:00以降はほぼ0[kWh]となる。
このとき、図中の横太線で示すように、前記貯湯式給湯装置1が運転されるときの前記装置使用電力予測値は、単位時間あたり1.5[kWh]となっている。この結果、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記余剰電力予測値が前記装置電力予測値を超える前記沸上可能時間帯として、12:30〜14:30までの時間区分が設定される。この結果、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより、前記沸上運転を行える時間長さが所定値(この例では2時間)以上となる、当該12:30〜14:30が、沸上運転を行う予定の前記特定の時間区分に決定される。
さらに図7に示す例は、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により、前記翌日において、日の出直後の早朝から夕方まで晴天(但し12:00頃に一時的ににわか雨)と予測された場合の例である。この場合、図6と同様、前記余剰電力予測値は、5:00で1.5[kWh]、6:00で2.0[kWh]、7:00で2.5[kWh]、8:00で2.0[kWh]となるが、前記したように9:00までは非許容時間帯であることから、これらは前記時間区分の設定において考慮されない(棒グラフの2点鎖線表記参照)。
その後、余剰電力予測値は、9:00及び10:00で2.0[kWh]となり、11:00で2.5[kWh]まで上昇した後に(例えば前記にわか雨への天候変化の影響で)減少に転じ、11:30で1.5[kWh]、12:00において1.0[kWh]となる。その後再び前記余剰電力量は増加に転じ、12:30で1.5[kWh]、13:00で2.0[kWh]、その後14:00で2.7[kWh]となりピークを迎え、その後減少して14:30付近で1.5[kWh]となった後、15:00では1.3[kWh]、16:00では1.0[kWh]、17:00で0.5[kWh]まで減少し、18:00以降はほぼ0[kWh]となる。
この場合は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記余剰電力の予測値が前記装置電力の予測値を超える前記沸上可能時間帯として、図7に示すように、8:30〜11:30までの時間区分Aと、12:30〜14:30までの時間区分Bとの2つが設定される。このとき、前記余剰沸上時間区分決定部33Bがこれら2つのうちいずれを前記沸上運転を行う予定の前記特定の時間区分とするかは、前記したように、複数の区分が存在したときのために予め定められているルールに沿って決められる。例えば、最長時間となる時間区分優先のルールであれば時間区分Aに決定され、最先の時間区分優先のルールであれば時間区分Aに決定され、最後の時間区分優先のルールであれば時間区分Bに決定され、余剰電力のピーク値が最大となる時間区分優先のルールであれば時間区分Bに決定される。
図2に戻り、以上のようにして、前記のようにして前記余剰沸上時間帯設定部33Aで設定された前記沸上可能時間帯に含まれる前記特定の時間区分を、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定することができる。
その後、前記のようにして余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定された前記特定の時間区分は、前記余剰沸上容量算出部37へと出力される。余剰沸上容量算出部37は、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定された前記特定の時間区分の間で、貯湯式給湯装置1が予め定められた沸上目標温度まで沸き上げることのできる余剰沸上容量を算出する。この算出された余剰沸上容量は、前記補正夜間沸上容量算出部38へと出力される。
一方このとき、前記使用湯量学習部34には、前記給湯流量センサ16からの検出信号(前記給湯湯量を表す)と、前記給湯温度センサ17の検出信号(前記給湯温度を表す)と、給水温度センサ(図示せず)の検出信号(給水温度を表す)とが入力される。使用湯量学習部34は、入力された前記給湯湯量を、前記給湯温度に対応させつつ所定温度(例えば40[℃])の使用湯量に換算し、過去所定期間(例えば7日間)の日毎の学習湯量として学習する。その際の学習においては、単純に所定期間分の平均値をとってもよいし、公知の手法により日毎のばらつきを加味してもよい。また日毎の追焚き実績の有無を考慮するようにしてもよい。
前記必要熱量決定部35は、前記使用湯量学習部34によって学習された前記過去所定期間の日毎の学習湯量に基づき、前記翌日における必要熱量を決定する。
前記夜間沸上容量決定部36は、前記必要熱量決定部35によって決定された前記翌日における必要熱量を前記沸上目標温度と給水温度との温度差で除して、必要容量を算出し、(後述の余剰沸上容量を用いた補正前の)夜間沸上容量とする。このようにして算出された夜間沸上容量は、前記補正夜間沸上容量算出部38へと出力される。
前記補正夜間沸上容量算出部38は、前記のようにして前記夜間沸上容量決定部36により算出された夜間沸上容量(言い替えれば前記翌日の一日間において必要な湯水の量に対応した沸上容量)から、前記のようにして前記余剰沸上容量算出部37により算出された余剰沸上容量(言い替えれば前記翌日のうち前記特定の時間区分において沸き上げる湯水の量に対応した沸上容量)を差し引いて、(前記翌日の昼間に余剰電力により沸上できない分に相当する)補正夜間沸上容量を算出する。この補正夜間沸上容量は、前記夜間沸上制御部39へ出力される。
前記夜間沸上制御部39は、前記所望の日から前記翌日にかけての前記夜間帯(この例では特に前記所望の日の23:00〜前記翌日の9:00)において、前記補正夜間沸上容量算出部38から出力された前記補正夜間沸上容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。
なお、前記したように翌日の天気が晴天等の場合で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより前記沸上可能時間帯が設定され前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより前記特定の時間区分が設定された場合には、この特定の時間区分が前記余剰沸上制御部40へと出力されている。前記余剰沸上制御部40は、前記翌日の前記特定の時間区分(例えば図6の例では前記翌日の12:30〜14:30)において、前記余剰電力を用いて前記余剰沸上容量算出部37により算出された前記余剰沸上容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。
また前記昼間沸増制御部42は、前記夜間帯以外の前記昼間帯(この例では9:00〜23:00)において前記貯湯タンク10内の湯水の前記貯湯量が予め定められたしきい値以下に減少(前記複数の貯湯式給湯装置温度センサ18により検出)すると、前記商用電源49を用いて、所定の昼間沸増容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。なお、前記夜間沸上容量決定部36において、前記のようにして算出した前記必要容量を貯湯タンク10の容量と比較し、それらのうち小さい方を前記夜間沸上容量としてもよい(以下、同様)。このとき、前記必要容量が貯湯タンク10の容量を超えている場合に、前記夜間沸上容量決定部36で算出された前記夜間沸上容量を前記昼間沸増制御部42へと入力し(図2中の2点鎖線参照)、前記昼間沸増制御部42が前記夜間帯に沸き上げられなかった分を昼間沸増容量として算出し、この算出した昼間沸増容量を沸き上げるように前記のような制御を行うようにしても良い。
次に、前記の手法を実現するために、前記HEMS機器7及び前記制御装置31が実行する制御手順を、図8、図9、図10、及び図11のフローチャートにより説明する。
図8(a)に、前記HEMS機器7が実行する制御手順を示す。図8(a9)において、まずステップS110で、HEMS機器7は、電力料金単価が安価な前記夜間帯(この例では23:00〜9:00)の開始時刻(例えば23:00)となったか否かを判定する。夜間帯開始時刻となるまでは判定が満たされず(S110:NO)ループ待機し、夜間帯開始時刻となったら判定が満たされ(S110:YES)、ステップS100Aに移る。
ステップS100Aでは、HEMS機器7は、前記装置使用電力予測値及び前記余剰電力予測値を決定する前記装置使用電力・余剰電力決定処理を実行する。
このステップS100Aの詳細手順を図8(b)に示す。図8(b)において、まず、ステップS120で、HEMS機器7は、前記気象情報取得部32Aにより、サーバ9からの前記気象情報を取得する。なお、気象情報取得部32Aが定期的に前記サーバ9から前記気象情報を取得して最新データを適宜の箇所に記憶しておき、このフローが開始されたときに、前記ステップS120のタイミングで、前記適宜の箇所に記憶されていた気象情報のデータを読み出して用いるようにしてもよい。
その後、ステップS130に移り、HEMS機器7は、前記発電電力予測部32Bにより、太陽光発電装置3の過去所定期間の単位時間ごとの発電電力量と、前記ステップS120で取得した気象情報とに基づき、前記所定時間帯(この例では前記所望日の23:00から前記翌日23:00までの24時間。以下同様)での前記太陽光発電装置3の単位時間ごとの発電電力予測値を決定(算出)する。
そして、ステップS140で、HEMS機器7は、前記負荷使用電力予測部32Cにより、前記電気負荷機器6の過去所定期間の単位時間ごとの負荷使用電力量に基づき、前記所定時間帯での、当該電気負荷機器6の単位時間ごとの負荷使用電力予測値を決定(算出)する。
その後、ステップS150で、HEMS機器7は、前記装置使用電力予測部32Dにより、前記貯湯式給湯装置1の過去所定期間の単位時間ごとの装置使用電力量に基づき、前記所定時間帯での当該貯湯式給湯装置1の単位時間ごとの装置使用電力予測値を決定(算出)する。なお、既に述べたように、前記装置使用電力予測部32Dと同等の機能を、前記貯湯式給湯装置1の前記制御装置31が備え、前記装置使用電力予測値を決定してもよい。その際、前記制御装置31自らが自己の消費電力を公知の手法で学習してもよいし、自己の消費電力を一定値として決定してもよい。この場合には、後述のステップS180では余剰電力予測値のみが制御装置31へ出力され、また後述の図9のステップS10では、余剰電力予測値のみが制御装置31により取得される。
そして、ステップS160に移り、HEMS機器7は、前記余剰電力予測部32Eにより、前記ステップS130で決定された前記発電電力予測値と、前記ステップS140で前記電気負荷機器6の単位時間ごとの負荷使用電力予測値とに基づき、前記所定時間帯での前記建造物における単位時間ごとの余剰電力予測値を決定(算出)する。
そして、ステップS180で、HEMS機器7は、前記ステップS150で決定した装置使用電力予測値、及び、前記ステップS160で決定した余剰電力予測値を、制御装置31へ出力し、このルーチンを終了し、後述のステップS110へ移行する。
図8(a)に戻り、HEMS機器7は、ステップS115で、前記昼間帯(この例では9:00〜23:00)の開始時刻(例えば9:00)となったか否かを判定する。昼間帯開始時刻となるまでは判定が満たされず(S115:NO)ループ待機し、昼間帯開始時刻となったら判定が満たされ(S115:YES)、その後のステップS100Bに移る。このステップS100Bでも、前記ステップS100A同様、HEMS機器7は、図8(b)に示した各手順を実行する。その後、このフローを終了する。これにより、HEMS機器7は、夜間帯開始時刻と昼間帯開始時刻との両方で、上記図8(b)に示した各手順を実行することとなる。
図9〜図11に、前記制御装置31が実行する制御手順を示す。まず図9において、ステップS3で、制御装置31は、太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転が可能であることを表すフラグFnを0に初期化する。
その後、ステップS5で、制御装置31は、図8の前記ステップS110と同様、前記夜間帯の開始時刻となったか否かを判定する。夜間帯開始時刻となるまでは判定が満たされず(S5:NO)ループ待機し、夜間帯開始時刻となったら判定が満たされ(S5:YES)、ステップS10に移る。
ステップS10では、制御装置31は、前記装置使用電力取得部43及び前記余剰電力取得部44により、前記図8(b)の前記ステップS100Aの前記ステップS180で出力された、前記所定時間帯における前記装置使用電力予測値、及び、前記所定時間帯における前記余剰電力予測値をそれぞれ取得する。その後、ステップS11に移る。
ステップS11では、制御装置31は、前記抽出部45により、前記ステップS10で取得された前記所定時間帯における前記余剰電力予測値に含まれる、前記許容時間帯(この例では前記電力契約時間帯情報記憶部46に記憶された前記電力契約時間帯情報に対応する、前記翌日の9:00〜23:00)の前記第1余剰電力予測値のみを抽出する。その後、ステップS12に移る。
ステップS12では、制御装置31は、余剰沸上時間帯設定部33Aにより、太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転(図中では「余剰沸上」と略示)が可能であるかを判定する。具体的には、前記ステップS11で抽出された前記許容時間帯の前記第1余剰電力予測値が、前記ステップS10で取得された、対応する時間帯における前記装置使用電力予測値以上となるか否か(前記許容時間帯の前記第1余剰電力予測値のうち、対応する時間帯の前記装置使用電力予測値以上となる場合があるか否か)を判定する。判定が満たされない場合(S13:NO)は、後述のステップS25に移る。判定が満たされた場合(S13:YES)はステップS13に移行して前記フラグFnを1とした後に、前記ステップS15に移る。なお、このステップS12を実行する余剰沸上時間帯設定部33Aが、各請求項記載の第1判定手段、第1沸上判定手段、沸上判定手段として機能する。
ステップS15では、制御装置31は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記ステップS11で抽出された前記許容時間帯の単位時間ごとの前記余剰電力予測値、及び、前記ステップS10で取得された前記所定時間帯の単位時間ごとの装置使用電力予測値、に基づき、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる前記沸上可能時間帯を決定(=仮決定。後述のステップS76で当該沸上可能時間帯が再度決定されるためである)する。
前記ステップS15の詳細手順を図10に示す。図10において、まずステップS151で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上であることを表すフラグFを0に初期化する。
そして、ステップS152で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、処理対象とする時刻tに、まず前記昼間帯の開始時刻(この例では9:00。以下同様)をセットする。その後、ステップS153に移る。
ステップS153では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記ステップS10で取得した前記余剰電力予想値及び前記装置使用電力予想値の値に基づき、時刻tにおける前記余剰電力予測値が、当該時刻tにおける前記装置使用電力予測値以上であるか否かを判定する。例えば時刻tがまだ早い時間であって日射が十分でなく余剰電力の大きさが不足し装置使用電力予想値未満の値である場合はステップS153の判定が満たされず(S153:NO)、ステップS157に移る。
ステップS157では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFが1であるか否かを判定する。後述のステップS154においてF=1とされるまではF=0のままであることからこの判定が満たされず(S157:NO)、ステップS155に移る。
ステップS155では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記時刻tに対し所定の時間偏差△t(余剰電力予測値の単位時間)を加え、ステップS156に移る。
ステップS156では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、この時点での処理対象の前記時刻tが、前記昼間帯の終了時刻(この例では23:00。以下同様)になったか否かを判定する。23:00に到達しない間は判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。
前記のようにしてステップS153→ステップS157→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・のような時刻tをずらしながらの繰り返しの間に、例えば十分な日射となり余剰電力予想値の大きさが装置使用電力予想値以上となった場合はステップS153の判定が満たされ(S153:YES)、ステップS154に移る。
ステップS154では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFを1とする。その後、前記ステップS155で前記のように時刻tに△tを加え、ステップS156に移行する。前記と同様、23:00に到達しない間はステップS156の判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。こうして余剰電力予想値の大きさが装置使用電力予想値以上となっている間は、ステップS153→ステップS154→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・のように時刻tをずらしながら同様の流れが繰り返される。
その後、再び日射が不十分となり余剰電力予想値の大きさが装置使用電力予想値未満となるとステップS153の判定が満たされなくなり(S153:NO)、前記ステップS157に移る。この時点では、前記ステップS154によってフラグFの値は1になっていることからステップS157の判定が満たされ(S157:YES)、ステップS158に移る。
ステップS158では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、先に前記フラグFが0から1となったとき(ステップS153の判定が満たされたとき)から、この時点までの区間を、前記沸上可能時間帯に組み入れる。そして、ステップS159に移る。
ステップS159では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFを再び0に戻した後、前記ステップS155に移って前記のように時刻tに△tを加え、ステップS156に移行する。前記と同様、23:00に到達しない間はステップS156の判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。
以上のようにして、時刻tをずらしながら、ステップS153→ステップS157→ステップS158→ステップS159→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・の繰り返し、若しくは、ステップS153→ステップS154→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・の繰り返しを行っている間に、前記時刻tが前記23:00になったら判定が満たされ(S156:YES)、このルーチンを終了して、図9のステップS20へ移行する。
図9に戻り、ステップS20では、制御装置31は、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより、前記ステップS15で決定された前記沸上可能時間帯のうちから、前記沸上運転を行える時間長さが所定値(例えば2時間。以下同様)以上とる時間区分(複数ある場合には、前記ルールに沿って最も優先順位が最も高くなる時間区分)を、前記翌日において前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき前記特定の区分として決定(=仮決定。後述のステップS78で当該特定の区分が再度決定されるためである)する。
その後、ステップS25で、制御装置31は、前記必要熱量決定部35により、前記使用湯量学習部34で学習済みの前記過去所定期間の日毎の学習湯量に基づき、平均や標準偏差等を用いた公知の手法を用いて前記翌日における必要熱量を決定(算出)する。なお、この必要熱量は、所定温度(例えば40[℃])換算の必要湯量として算出しても良い。
その後、ステップS30で、制御装置31は、前記必要熱量決定部35により、前記ステップS25で決定した前記必要湯量と、適宜の手法で取得した外気温度(あるいは前記給水温度等の他の条件でもよい)とから、前記沸上目標温度を決定する。なお、この沸上目標温度は、例えば65[℃]〜75[℃]の間でなるべく低く設定されるが、特に前記必要湯量が多い場合や、前記外気温度が低い場合や、前記給水温度が低い場合には(それ以外の場合に比べ)高めに設定される。
そして、ステップS35で、制御装置31は、前記夜間沸上容量決定部36により、前記ステップS30で決定された前記必要熱量を前記沸上目標温度と給水温度との温度差で除して前記必要容量に換算し、前記夜間沸上容量とする。なお、このようにして算出した算出した必要容量が前記貯湯タンク10の容量を超えている場合には、当該貯湯タンク10の容量を前記夜間沸上容量としても良い。
その後、ステップS40に移り、制御装置31は、前記フラグFnが1であるか否かを判定する。前記ステップS12で太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転が可能であると判定されずFn=0のままであった場合はこの判定が満たされず(S40:No)、後述のステップS55へ移行する。前記ステップS12で太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転(図中では「余剰沸上」と略示)が可能であると判定されステップS13でFn=1となっていればこの判定が満たされ(S13:Yes)、ステップS45に移る。
ステップS45では、制御装置31は、前記余剰沸上容量算出部37により、前記ステップS20で決定された前記特定の時間区分の間で、貯湯式給湯装置1が、前記ヒートポンプ装置19の所定の加熱能力の大きさで前記沸上目標温度まで沸き上げることのできる前記余剰沸上容量を算出する。
そして、ステップS50で、制御装置31は、前記補正夜間沸上容量算出部38により、前記ステップS35で算出された前記夜間沸上容量から、前記ステップS45で算出された余剰沸上容量を差し引いた、前記補正夜間沸上容量を算出する。
その後、ステップS55で、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、この時点における前記複数の貯湯温度センサ18の検出結果に基づき、十分に加熱された状態でお湯とみなせる貯湯量の容量(残湯容量)を算出する。
その後、ステップS60で、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、
前記ステップS55で算出された前記残湯容量を加味し、前記補正夜間沸上容量から前記残湯容量を減じた値に沸上温度と給水温度の差温を乗じた値を加熱能力で除して沸き上げ時間を算出し、前記ステップS50で算出された前記補正夜間沸上容量を前記夜間帯の終了時刻(例えば9:00)までに沸上完了するのに適切な夜間沸上開始時刻を算出する。
そして、図11のステップS62に移り、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、この時点での時刻(現在時刻)がステップS60で算出した夜間沸上開始時刻となったか否かを判定する。夜間沸上開始時刻となるまでは判定が満たされず(S62:NO)ループ待機し、夜間沸上開始時刻となったら判定が満たされ(S62:YES)、ステップS64に移る。
ステップS64では、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御し、前記貯湯タンク10の下部から取り出した水を前記ステップS30で決定した前記沸上目標温度まで加熱して貯湯タンク10の上部から順次積層させる、夜間沸上運転を開始する。
その後、ステップS66で、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記のようにして夜間沸上運転が行われた後、ステップS55で算出された前記夜間沸上容量を沸き上げたことが前記貯湯温度センサ18により検出された(若しくは運転中の現在時刻が前記夜間帯の終了時刻となった)か否かを判定する。前記夜間沸上容量を沸き上げた場合は(若しくは前記夜間帯の終了時刻となった)場合は判定が満たされ(S66:YES)、夜間沸上運転の完了とみなされて、ステップS68に移る。
ステップS68では、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記ステップS64で開始した夜間沸上運転を停止する。このとき、貯湯タンク10の下部には未加熱水が残ることとなる。その後、ステップS70に移る。
ステップS70では、制御装置31は、前記昼間帯(この例では9:00〜23:00)の開始時刻(例えば9:00)となったか否かを判定する。昼間帯開始時刻となるまでは判定が満たされず(S70:NO)ループ待機し、昼間帯開始時刻となったら判定が満たされ(S70:YES)、ステップS72に移る。
ステップS72では、制御装置31は、前記フラグFnが1であるか否かを判定する。前記ステップS12で太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転が可能であると判定されずFn=0のままであった場合はこの判定が満たされず(S72:No)、後述のステップS96へ移行する。前記ステップS12で太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転(図中では「余剰沸上」と略示)が可能であると判定されステップS13でFn=1となっていればこの判定が満たされ(S72:Yes)、ステップS74に移る。
ステップS74では、制御装置31は、前記ステップS10と同様、前記装置使用電力取得部43及び前記余剰電力取得部44により、前記図8(b)の前記ステップS100Bの前記ステップS180で出力された(すなわち昼間帯開始時刻において再度予測され出力された)、前記所定時間帯における前記装置使用電力予測値、及び、前記所定時間帯における前記余剰電力予測値をそれぞれ取得する。その後、ステップ75に移る。
ステップS75では、制御装置31は、前記ステップS11と同様、前記抽出部45により、前記ステップS74で取得された前記所定時間帯における前記余剰電力予測値に含まれる、前記許容時間帯(この例では前記電力契約時間帯情報記憶部46に記憶された前記電力契約時間帯情報に対応する、前記翌日の9:00〜23:00)の前記第1余剰電力予測値のみを抽出する。その後、ステップS76に移る。
ステップS76では、制御装置31は、前記ステップS15と同様、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記ステップS75で抽出された前記許容時間帯の単位時間ごとの前記余剰電力予測値、及び、前記ステップS74で取得された前記所定時間帯の単位時間ごとの装置使用電力予測値、に基づき、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる前記沸上可能時間帯を決定(前述のステップS15で仮決定された沸上可能時間帯を、最新の前記の予測結果に基づき更新)する。
その後、ステップS78で、制御装置31は、前記ステップS20と同様、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより、前記ステップS76で決定された前記沸上可能時間帯のうちから、前記沸上運転を行える時間長さが前記所定値(例えば2時間)以上とる時間区分(複数ある場合には、前記ルールに沿って最も優先順位が最も高くなる時間区分)を、前記翌日において前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき前記特定の区分として決定(前述のステップS20で仮決定された前記特定の区分を、最新の前記の予測結果に基づき更新)する。
その後、ステップS80で、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、この時点での時刻(現在時刻)がステップS78で決定した特定の時間区分の開始時刻(余剰沸上開始時刻)となったか否かを判定する。余剰沸上開始時刻となるまでは判定が満たされず(S80:NO)ループ待機し、余剰沸上開始時刻となったら判定が満たされ(S80:YES)、ステップS82に移る。
ステップS82では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御し、前記貯湯タンク10の下部から取り出した水を前記ステップS30で決定した前記沸上目標温度まで加熱して貯湯タンク10の上部から順次積層させる、余剰沸上運転を開始する。
その後、ステップS84で、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記のようにして余剰沸上運転が行われた後、前記ステップS45で算出した前記余剰沸上容量を沸き上げたことが前記貯湯温度センサ18により検出された(若しくは運転中の現在時刻が前記特定の時間区分の終了時刻となった)か否かを判定する。前記余剰沸上容量を沸き上げた場合は(若しくは前記特定の時間区分の終了時刻となった)場合は判定が満たされ(S84:YES)、余剰沸上運転の完了とみなされて、ステップS86に移る。
ステップS86では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記ステップS82で開始した余剰沸上運転を停止する。このとき、前記したように、前記夜間沸上運転の完了時に貯湯タンク10の下部に未加熱水が残っているため、余剰沸上運転の開始までの間に一切給湯されていなくても、当初予測していた余剰電力を全量活用した余剰沸上運転を連続して行うことができる。このようにして余剰沸上運転が完了した後、ステップS96に移る。
ステップS96では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、この時点での時刻(現在時刻)が前記昼間帯(例えば9:00〜23:00)の終了時刻(例えば23:00)となったか否かを判定する。昼間帯終了時刻となっていれば判定が満たされ(S96:YES)、図9に示した前記ステップS5に戻り、同様の手順を繰り返す。前記昼間帯終了時刻となっていなければ判定が満たされず(S96:NO)、ステップS92に移る。
ステップS92では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、例えば貯湯タンク10の残湯量が最低貯湯量(湯切れを防ぐために強制的に一定量の沸き上げ運転を開始させる所定の残湯量)以下になったか否かを最上部の貯湯温度センサ18が所定の湯切れ危険温度以下にまで低下したか否かで判定する。前記湯切れ危険温度より高い温度であればステップS92の判定が満たされず(S92:NO)、前記ステップS96に戻って同様の手順を繰り返す。前記湯切れ危険温度以下であればステップS92の判定が満たされて(S92:YES)湯切れ状態であるとみなされ、ステップS94へ移行する。
ステップS94では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記湯切れを解消するための所定時間(例えば1時間)の湯切れ(定量)沸増運転を行う。その後、前記ステップS96に戻って同様の手順を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100によれば、制御対象とする前記所定時間帯(所望日23:00〜翌23:00)を前記許容時間帯(翌日9:00〜23:00まで)と非許容時間帯(所望日23:00〜翌日0:00及び翌日0:00〜9:00)とに区分する。そして、前記第1余剰電力予測値のみに基づいて、(当該許容時間帯における)前記太陽光発電装置3からの電力を用いた前記翌日の前記沸上運転の可否が判定される。この結果、例えば前記図5に示したように翌日の未明から早朝にかけてのみ比較的大きな日射が生じる場合等であっても、(そのような時間帯は前記非許容時間帯であることから)昼間帯での太陽光発電による沸上運転は行わない予定の旨の制御とする(前記所望日の段階で確定する)ことができる。例えば図5に示した例の場合、太陽光発電による昼間帯の沸上運転は行われない決定となり、通常通りの量の夜間帯の沸上運転が行われる。この結果、前記破線部ア,イ,ウに相当する部分の買電は、電力料金単価が安価な夜間帯において行われることとなる。したがって、前記したような、翌日昼間帯にて高価な購入電力による沸上運転を行う不都合を回避し前述のコスト増を防止することができる。
また、本実施形態では特に、前記余剰電力取得部43で24時間分の余剰電力予測値を取得する一方、前記抽出部45でそのうちの前記第1余剰電力予測値を抽出し、その抽出した第1余剰電力予測値に基づき、前記許容時間帯における前記太陽光発電装置3からの電力を用いた前記沸上運転の可否が判定されることで、前記のように翌日昼間帯において高価な購入電力による沸上運転を行うのを確実に回避するこができる。
また、本実施形態では特に、太陽光発電による発電量が比較的大きいかどうか(前記余剰電力予想値が十分に大きいかどうか)と、その比較的大きいことがわかった場合に、翌日のどのような時間で太陽光発電を利用した沸上運転を行うか、を別々のタイミングで判定(決定)する。すなわちまず、前記抽出部45で抽出された前記第1余剰電力予測値が前記装置消費電力予測値以上となるかどうかが、前記夜間帯開始直後の前記ステップS12で判定される。その後、その判定が満たされていることを前提として、最終的に前記ステップS78において、太陽光発電装置3からの電力による沸上運転を行う前記特定の時間区分が決定される。このように上記2つの判定(決定)を別々のタイミングで行う場合には、特に前記の制御態様の不整合が起こりやすい。したがって、前述した、許容時間帯における第1余剰電力予測値のみを抽出して制御する手法が、特に効果的である。
また、本実施形態では特に、電力契約時間帯情報記憶部46に、ユーザが電力供給会社と契約している時間帯別電灯契約の電力料金プランの時間帯情報が記憶され、前記許容時間帯が当該時間帯情報に基づいて決定される。これにより、ユーザが契約している電力料金プランに対応した非許容時間帯において比較的大きな日射が生じる場合等であっても、太陽光発電装置3からの電力を用いた前記沸上運転の可否の判定材料としないようにすることができる。
なお、本発明は以上の態様に限定されることなく、その趣旨を変更しない範囲で適用可能なものである。以下、そのような変形例を順を追って説明する。前記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
(1)HEMS機器から第1余剰電力予測値のみを出力する場合
すなわち、本変形例においては、前記余剰電力出力部32G(第2余剰電力出力手段に相当)は、前記余剰電力予測部32Eで決定された前記所定時間帯における24時間分の前記余剰電力予測値のうち、前記許容時間帯(前記翌日の9:00〜23:00)の前記第1余剰電力予測値のみを前記制御装置31(詳細は前記余剰電力取得部44)へと出力し、前記非許容時間帯(前記所望日の23:00〜24:00及び前記翌日の0:00〜9:00)の前記第2余剰電力予想値は前記制御装置31(詳細は前記余剰電力取得部44)へ出力しない。
本変形例において、前記HEMS機器7及び前記制御装置31に備えられる各機能部を、前記図2に対応する図12に示す。
図12に示すように、本変形例では、図2に示した抽出部45が省略され、前記余剰電力出力部32Gから出力され前記余剰電力取得部44で取得された前記第1余剰電力予測値が、前記余剰沸上制御部40及び前記余剰沸上時間帯設定部33Aへと出力される。また、前記電力契約時間帯情報記憶部46の記憶している電力契約時間帯情報はHEMS機器7の余剰電力出力部32Gに入力され、余剰電力出力部32Gは、電力契約時間帯情報に基づき前記許容時間帯(前記翌日の9:00〜23:00)の前記第1余剰電力予測値のみを前記制御装置31(詳細は前記余剰電力取得部44)へと出力する。それ以外は図2と同様の構成である。なお、電力契約時間帯情報記憶部46は、HEMS機器7内に設け、HEMS機器7へ直接に前記電力契約時間帯情報を入力する構成としても良い。
この変形例において前記HEMS機器により実行される、前記図8(a)のステップS100A,100Bの詳細手順を、前記図8(b)に対応する図13に示す。
図13において、このフローでは、図8(b)におけるステップS180に代えステップS180′が設けられ、さらにステップS185が設けられている。すなわち、前記図8(b)と同様のステップS120〜ステップS160を経た後、新たに設けたステップS180′に移行する。ステップS180′では、HEMS機器7は、前記ステップS150で決定した装置使用電力予測値を、制御装置31へ出力する。その後、新たに設けたステップS185に移行する。
ステップS185では、HEMS機器7は、前記ステップS160で決定した余剰電力予測値のうち、前記許容時間帯(この例では前記電力契約時間帯情報記憶部46に記憶された前記電力契約時間帯情報に対応する、前記翌日の9:00〜23:00。言い換えれば前記昼間帯)の前記第1余剰電力予測値のみを前記制御装置31(詳細は前記余剰電力取得部44)へと出力する。そして、このルーチンを終了する。
図13に対応して前記制御装置31により実行される制御手順を、前記図9及び図11にそれぞれ対応する図14及び図15に示す。これら図14及び図15のフローでは、図9におけるステップS10、ステップS11、図11におけるステップS74、ステップS75に代え、ステップS10′、ステップS11′、ステップS74′、ステップS75′がそれぞれ設けられる。
図14において、まず、前記図9と同様のステップS3、ステップS5を経た後、新たに設けたステップS10′に移行する。ステップS10′では、制御装置31は、前記装置使用電力取得部43により、前記ステップS100Aに対応した前記図13の前記ステップS180′で出力された、前記所定時間帯における前記装置使用電力予測値を取得する。その後、新たに設けたステップS11′に移る。
ステップS11′では、制御装置31は、前記余剰電力取得部44により、前記図13の前記ステップS185で出力された、前記昼間帯の前記第1余剰電力予測値を取得する。
その後、ステップS12で、制御装置31は、前記実施形態と同様、余剰沸上時間帯設定部33Aにより、太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転(図中では「余剰沸上」と略示)が可能であるかを判定する。具体的には、前記ステップS11′で取得された前記第1余剰電力予測値が、前記ステップS10で取得された、対応する時間帯における前記装置使用電力予測値以上となるか否か(前記第1余剰電力予測値のうち、対応する時間帯の前記装置使用電力予測値以上となる場合があるか否か)を判定する。判定が満たされない場合(S13:NO)は、ステップS15に移る。判定が満たされた場合(S13:YES)はステップS13に移行して前記フラグFnを1とした後に、前記ステップS15に移る。なお、このステップS12を実行する余剰沸上時間帯設定部33Aが、各請求項記載の第2判定手段、第2沸上判定手段、沸上判定手段として機能する。その後、図9及び図11と同様のステップS15〜ステップS72を経て、新たに設けたステップS74′に移行する。
ステップS74′では、制御装置31は、前記ステップS10′と同様、前記装置使用電力取得部43により、前記ステップS100Bに対応した前記図13の前記ステップS180′で出力された(すなわち昼間帯開始時刻において再度予測され出力された)、前記所定時間帯における前記装置使用電力予測値を取得する。その後、新たに設けたステップ75′に移る。
ステップS75′では、制御装置31は、前記ステップS11′と同様、前記余剰電力取得部44により、前記ステップS100Bに対応した前記図13の前記ステップS185で出力された(すなわち昼間帯開始時刻において再度予測され出力された)、前記昼間帯の前記第1余剰電力予測値を取得する。その後のステップS76以降の手順は、ステップS75′で取得した前記第1余剰電力予測値を用いて、前記実施形態と同様の制御内容が実行される。
本変形例によれば、余剰電力取得部44で許容時間帯における前記第1余剰電力予測値のみを取得し、その取得した前記第1余剰電力予測値に基づき(当該許容時間帯における)前記太陽光発電装置3からの電力を用いた前記翌日の前記沸上運転の可否が判定されることで、前記実施形態と同様、翌日昼間帯において高価な購入電力による沸上運転を行うのを確実に回避するこができる。
また、本変形例においても、前記実施形態と同様、太陽光発電による発電量が比較的大きいかどうかと、その比較的大きいことがわかった場合に、翌日のどのような時間で太陽光発電を利用した沸上運転を行うか、を別々のタイミング(前記ステップS12と前記ステップS78)で判定(決定)する。このように上記2つの判定(決定)を別々のタイミングで行う場合には前記制御態様の不整合が起こりやすいことから、本変形例における、第1余剰電力予測値のみを余剰電力取得部44で取得して制御する手法が、特に効果的である。
なお上記のような第1余剰電力予測値のみが選択されて余剰電力取得部44側へと入力される挙動を、余剰電力取得部44側の取得機能によって実現しても良い。この場合も前記と同様の効果を得る。
(2)第2余剰電力予測値を0に置換する場合
本変形例において、前記HEMS機器7及び前記制御装置31に備えられる各機能部を、前記図2に対応する図16に示す。
図16に示すように、本変形例では、図2に示した抽出部45に代えて、置換部45′が設けられる。この置換部45′も、前記抽出部45と同様、電力契約時間帯情報記憶部46からの前記電力契約時間帯情報が入力される。そしてこの置換部45′(置換手段に相当)は、前記余剰電力取得部44により取得された前記24時間分の前記余剰電力予測値のうち、前記第2余剰電力予想値を0に置き換える。そしてその置換後の前記余剰電力予測値(前記第1余剰電力予測値と、0となった前記第2余剰電力予測値とを含む)を、前記余剰沸上制御部40及び前記余剰沸上時間帯設定部33Aへ出力する。
上記以外は図2と同様の構成である。
この変形例において前記制御装置31により実行される制御手順を、前記図9及び図11にそれぞれ対応する図17及び図18に示す。これら図17及び図18のフローでは、図9におけるステップS11、図11におけるステップS75に代え、ステップS11″、ステップS75″がそれぞれ設けられる。
図17において、まず、前記図9と同様のステップS3、ステップS5、ステップS10を経た後、新たに設けたステップS11″に移行する。ステップS11″では、制御装置31は、前記置換部45″により、前記ステップS10で取得された前記所定時間帯における前記余剰電力予測値に含まれる、前記非許容時間帯(この例では前記電力契約時間帯情報記憶部46に記憶された前記電力契約時間帯情報に対応する、前記翌日の0:00〜9:00及び23:00〜24:00)の前記第2余剰電力予測値のみを、強制的に0に置換する。
その後、ステップS12で、制御装置31は、前記実施形態と同様、余剰沸上時間帯設定部33Aにより、太陽光発電装置3での電力に基づく沸上運転(図中では「余剰沸上」と略示)が可能であるかを判定する。具体的には、前記ステップS11″で置換された前記余剰電力予測値(前記許容時間帯の前記第1余剰電力予測値と、0に置換された前記非許容時間帯の前記第2余剰電力予測値とを含む)が、前記ステップS10で取得された、対応する時間帯における前記装置使用電力予測値以上となるか否か(前記余剰電力予測値のうち、対応する時間帯の前記装置使用電力予測値以上となる場合があるか否か)を判定する。判定が満たされない場合(S13:NO)は、ステップS15に移る。判定が満たされた場合(S13:YES)はステップS13に移行して前記フラグFnを1とした後に、前記ステップS15に移る。なお、このステップS12を実行する余剰沸上時間帯設定部33Aが、各請求項記載の第3判定手段、第3沸上判定手段、沸上判定手段として機能する。その後、図9及び図11と同様のステップS15〜ステップS74を経て、新たに設けたステップS75″に移行する。
ステップS75″では、制御装置31は、前記ステップS11″と同様、前記置換部45″により、前記ステップS74で取得された前記所定時間帯における前記余剰電力予測値に含まれる、前記非許容時間帯の前記第2余剰電力予測値のみを、強制的に0に置換する。この後のステップS76以降の手順は、前記第1余剰電力予測値と前記第2余剰電力予測値とを含む前記余剰電力予測値を用いて、前記実施形態と同様の制御内容が実行される。
本変形例によれば、余剰電力取得部44で取得した前記第1余剰電力予測値及び前記第2余剰電力予測値のうち、第2余剰電力予測値を置換部45′で0に置換し、その置換後の前記余剰電力予測値(実質的に第1余剰電力予測値のみとなる)に基づき、(当該許容時間帯における)前記太陽光発電装置3からの電力を用いた前記翌日の前記沸上運転の可否が判定されることで、前記実施形態と同様、翌日昼間帯において高価な購入電力による沸上運転を行うのを確実に回避するこができる。
また、本変形例においても、前記実施形態と同様、太陽光発電による発電量が比較的大きいかどうかと、その比較的大きいことがわかった場合に、翌日のどのような時間で太陽光発電を利用した沸上運転を行うか、を別々のタイミング(前記ステップS12と前記ステップS78)で判定(決定)する。このように上記2つの判定(決定)を別々のタイミングで行う場合には前記制御態様の不整合が起こりやすいことから、本変形例における、第2余剰電力予測値を0に置換して制御する手法が、特に効果的である。
(3)その他
なお、例えば前記HEMS機器7に設けられた各機能部(気象情報取得部32Aと、発電電力予測部32Bと、負荷使用電力予測部32Cと、装置使用電力予測部32Dと、余剰電力予測部32E)のうち少なくとも1つを前記サーバ9に設けても良い。
また、以上において、図2、図12、図16、等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図8〜図11、図13〜図15、図17、図18に示すフローチャート図は本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。