次に、本発明の一実施の形態を図1〜図13に基づいて説明する。
本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システムのシステム構成を図1に示す。なお、図1においては、図示の煩雑防止のために、後述する信号授受のうち一部は図示省略している。図1において、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100は、図示しない家屋等の建造物に設置されたヒートポンプ式の貯湯式給湯装置1と、商用電源49に接続された分電盤2と、前記家屋の屋根等に設置された太陽光発電パネル4、及び、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換するインバータ5を備えた太陽光発電装置3と、前記貯湯式給湯装置1以外の他の負荷を構成する、例えばエアコン等からなる電気負荷機器6(図1中では単に「エアコン」と図示)と、前記家屋の家庭内の電力マネジメントを行うためのHEMS(=Home Energy Management System)機器7と、ネットワーク通信網8と、サーバ9とを有している。
前記HEMS機器7は、貯湯式給湯装置1及び太陽光発電装置3に双方向に通信可能(破線参照。以下同様)に接続されている。これにより、HEMS機器7は、貯湯式給湯装置1の使用状況や太陽光発電装置3の発電電力情報や分電盤2の分岐回路ごとの消費電力量の情報を収集可能となっている。またHEMS機器7は、さらに前記ネットワーク通信網8を介し前記サーバ機器9に接続され、必要な情報を相互にやりとり可能となっている。なお、HEMS機器7が太陽光発電装置3との間の通信により前記発電電力情報を収集するのに代え、HEMS機器7が、分電盤2への発電電力の入力あるいは分電盤3と商用電源49との間の電力の授受を監視することで、太陽光発電装置3の発電電力情報を収集するようにしても良い。
前記貯湯式給湯装置1は、リモコン装置50と、湯水を貯湯する貯湯タンク10と、前記貯湯タンク10の底部に給水する給水管11と、前記貯湯タンク10の頂部から出湯する出湯管12と、前記給水管11から分岐した給水バイパス管13と、前記出湯管12からの湯と前記給水バイパス管13からの水を、前記リモコン装置50によって設定された給湯設定温度になるように混合する混合弁14と、図示しない給湯端末に給湯する給湯管15と、給湯流量を検出し対応する検出信号を出力する給湯流量センサ16と、給湯温度を検出し対応する検出信号を出力する給湯温度センサ17と、前記貯湯タンク10内の湯水の貯湯温度を検出し対応する検出信号を出力する貯湯温度センサ18とを有している。前記貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ18のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御装置31へ出力するように構成されている。これにより、前記複数の貯湯温度センサ18のうち何個のセンサから前記検出信号が出力されているかに基づき、前記制御装置31は、前記貯湯タンク10内において十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出することができる。
また、前記貯湯式給湯装置1はさらに、前記貯湯タンク10内の湯水を沸上目標温度Tbm(詳細は後述)に加熱するヒートポンプ装置19(加熱手段、ヒートポンプ式加熱手段に相当)を有している。このヒートポンプ装置19は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する圧縮機20と、前記高温の高圧の冷媒と前記貯湯タンク10からの水との熱交換を行う水冷媒熱交換器21と、前記水冷媒熱交換器21で熱交換後の冷媒を減圧膨張させる膨張弁22と、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる空気熱交換器23(蒸発器)と、前記空気熱交換器23へ外気を送風する送風機24(送風ファン)と、前記空気熱交換器23、前記圧縮機20、及び前記水冷媒熱交換器21の冷媒側を環状に接続する冷媒配管48と、前記圧縮機20から吐出される前記冷媒の温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する吐出温度センサ25と、前記送風機24における例えば通風経路(詳細図示は省略)上に設けられ、外気温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する外気温度センサ30(外気センサ)とを備えている。なお、前記の冷媒配管48により冷媒循環回路が構成されている(以下適宜、単に「冷媒循環回路48」という)。
また、前記貯湯式給湯装置1はさらに、貯湯式給湯装置1全体の作動を制御する前記制御装置31と、前記貯湯タンク10の下部と前記水冷媒熱交換器21の水側入口とを接続する加熱往き管26と、水冷媒熱交換器21の水側出口と前記貯湯タンク10の上部とを接続する加熱戻り管27と、前記加熱往き管26の途中に設けられた加熱循環ポンプ28と、前記加熱戻り管27に設けられ検出信号(沸上温度を表す)を前記制御装置31へ出力する沸上温度センサ29とを有している。なお、前記の加熱往き管26及び加熱戻り管27が湯水配管を構成し、この湯水配管と加熱循環ポンプ28により加熱循環回路が構成されている(以下適宜、単に「加熱循環回路26,27,28」という)。
前記のように、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100は、太陽光発電装置3と、貯湯式給湯装置1とが備えられている。日照条件が良好な場合、前記太陽光発電装置3は、前記太陽光発電パネル4で太陽光を受光して発電を行うことができ、前記貯湯式給湯装置1は、この太陽光発電装置3で発電された電力を用いて、前記ヒートポンプ装置19が加熱循環回路26,27,28を介し貯湯タンク10内の湯水を加熱する沸上運転を行うことができる。このようにして太陽光発電による電力を用いた沸上運転を行う場合、少なくとも発電電力値がある程度大きい(詳細には、貯湯式給湯装置1に供給される電力値、すなわち、発電電力値から貯湯式給湯装置1を除く前記電気負荷機器6の消費する負荷使用電力値を差し引いた余剰電力値がある程度大きい。後述)必要がある。そこで、前記沸上運転を円滑に行うために、太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100には、前記HEMS機器7及び前記制御装置31に、図2に示す各機能部が設けられている。
すなわち、図2に示すように、前記HEMS機器7には、気象情報取得部32Aと、発電電力予測部32Bと、負荷使用電力予測部32Cと、余剰電力予測部32Eとが設けられている。また前記制御装置31には、装置使用電力予測部32Dと、予想外気温度算出部32Hと、余剰沸上時間帯設定部33Aと、余剰沸上時間区分決定部33Bと、余剰沸上制御部40と、余剰沸上容量算出部37と、使用湯量学習部34と、必要熱量決定部35と、夜間沸上容量算出部36と、補正夜間沸上容量算出部38と、夜間沸上制御部39と、昼間沸増制御部42とが設けられている。また、これら各機能部の、HEMS機器7及び制御装置31における割り当て(配分)は、図示の例に限られず、例えばHEMS機器7と制御装置31との間の通信内容を充実化することで、HEMS機器7に設けられている前記の各機能部32Aを制御装置31に設けた構成としても良いし、逆に、制御装置31に設けられている前記の各機能部32B〜32H,33A,33B,34〜42のうちの一部の機能をHEMS機器7に設けた構成としても良い。
前記気象情報取得部32A(気象情報取得手段に相当)は、例えばサーバ9から発せられる気象情報(例えば天気予報情報や日照時間情報等)を取得する。なお、サーバ9以外の適宜の箇所から公知情報としての気象情報を取得しても良い。
前記発電電力予測部32B(発電電力予測手段に相当)は、太陽光発電装置3から取得済みの、過去所定期間において時間変動した単位時間ごとの発電電力量と、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報とに基づき、決定対象となる特定期間(この例では、例えば後述の図9及び図10に示すフローによる制御手順が開始される所望の日の翌日の1日間。以下適宜、単に「翌日」という)での、時間変動する前記太陽光発電装置3の発電電力挙動における単位時間ごとの発電電力予測値を決定(算出)する。
前記負荷使用電力予測部32C(負荷消費電力予測手段に相当)は、前記分電盤2から取得済みの、前記建造物におけるエアコン等の前記電気負荷機器6の過去所定期間の単位時間ごとの消費電力量に基づき、前記翌日での、当該電気負荷機器6の単位時間ごとの消費電力を表す負荷使用電力の予測値(時間変動する場合もしない場合も含む)を決定(算出)する。
前記余剰電力予測部32E(余剰電力予測手段に相当)は、前記発電電力予測部32Bにより決定された前記発電電力予測値と、前記負荷使用電力予測部32Cにより決定された前記負荷使用電力予測値とに基づき(具体的には前記発電電力予測値から前記負荷使用電力予測値を差し引いて)、前記翌日での時間変動する余剰電力挙動における前記建造物における単位時間ごとの余剰電力予測値を決定(算出)し、後述の余剰沸上時間帯設定部33Aへ出力する。
前記装置使用電力予測部32D(装置消費電力予測手段に相当)は、前記翌日での当該貯湯式給湯装置1の単位時間ごとの消費電力を表す装置使用電力の予測値(時間変動する場合もしない場合も含む)を決定(算出)し、後述の余剰沸上時間帯設定部33Aへ出力する。これにより、前記翌日において発電電力値が時間的に変動するときの、前記沸上運転を実行可能な発電電力値となる時間帯(前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる時間)が、後述の余剰沸上時間帯設定部33Aにおいて決定される(詳細は後述)。
ここで、前記装置使用電力は、外気温度に応じて変動し、当該外気温度に対応するエネルギー消費効率(COP)を用いて算出できることが知られている(例えば特開2013−2794号公報参照)。そのような貯湯式給湯装置1の前記装置使用電力の挙動(大部分が前記ヒートポンプ装置19の消費電力によって占められる)の一例を、図3に示す。
図3は、前記貯湯式給湯装置1の前記装置使用電力の挙動を縦軸に、
前記外気温度を横軸にとって表したグラフである。なお、この例では前記沸上温度が70[℃]、80[℃]、90[℃]の3つの場合をそれぞれ例にとって示している。図3に示すように、前記装置使用電力は、外気温度の値が増加するほど低くなる、右下がり直線の挙動を示す。すなわち、前記沸上温度70[℃]の場合は、例えば外気温度−20[℃]で装置使用電力は約1650[W]、外気温度0[℃]で装置使用電力は約1350[W]、外気温度20[℃]で装置使用電力は約950[W]となる。同様に、前記沸上温度80[℃]の場合は、例えば外気温度−20[℃]で装置使用電力は約1800[W]、外気温度0[℃]で装置使用電力は約1450[W]、外気温度20[℃]で装置使用電力は約1150[W]となる。また前記沸上温度90[℃]の場合は、例えば外気温度−20[℃]で装置使用電力は約1950[W]、外気温度0[℃]で装置使用電力は約1600[W]、外気温度20[℃]で装置使用電力は約1300[W]となる。
上記特開2013−2794号公報の手法を前記貯湯式給湯装置1により実行する場合、前記装置使用電力予測部32Dが前記装置使用電力予測値を算出(決定)するためには、前記外気温度として、例えば翌日の予想温度(予想外気温度)を、前記ネットワーク8を介し前記サーバ9等から取得する必要がある。しかしながら、現在実用化されている、前記貯湯式給湯装置1(詳細には前記制御装置31)と前記ネットワーク8との通信規格(いわゆるエコーネットライト規格)では、前記翌日の予想外気温度が通信内容に含まれていない。このため、そのままでは、貯湯式給湯装置1側で前記装置使用電力予測値を算出することができず、前記太陽光発電装置3からの電力を用いた前記沸上運転を円滑に実行するのが困難となる。
そこで、本実施形態では、前記装置使用電力予測部32Dは、最低外気温度に基づいて予想される、前記翌日における予想外気温度に基づき、前記装置使用電力予測値を決定する。具体的には、この例では、前記装置使用電力予測部32Dに加え、前記予想外気温度算出部32Hが設けられる。そしてまず、予想外気温度算出部32H(予想外気温度算出手段に相当)で、貯湯式給湯装置1が過去に深夜時間帯(例えば0:00〜5:00等)において沸上運転を実行しているときの最低外気温度の平均値(例えば1週間分等、所定回数分の平均気温。前記外気温度センサ30により検出される)に対し所定値を加えることにより、前記翌日の予想外気温度を決定(算出)する。
このとき、前記所定値は可変に設定されるものであり、本実施形態では、時間ごとに変動する前記所定値を表す所定値テーブルが、前記予想外気温度算出部32Hに備えられたテーブル記憶部32I(記憶手段に相当)に記憶されており、前記予想外気温度算出部32Hは、当該所定値テーブルに記憶された前記所定値を用いて前記予想外気温度を算出する。
図4に、前記所定値テーブルの一例を示す。図4に示すように、この例では、7:00において前記所定値の値は2.0[℃]、8:00において前記所定値の値は3.0[℃]、9:00において前記所定値の値は4.0[℃]、10:00において前記所定値の値は5.0[℃]、11:00において前記所定値の値は6.0[℃]、12:00において前記所定値の値は7.0[℃]、13:00において前記所定値の値は7.5[℃]、14:00において前記所定値の値は7.5[℃]、15:00において前記所定値の値は7.5[℃]、16:00において前記所定値の値は7.0[℃]、17:00において前記所定値の値は6.0[℃]、18:00において前記所定値の値は5.0[℃]、19:00において前記所定値の値は4.0[℃]、となっている。前記予想外気温度算出部32Hは、前記したように、過去の最低外気温度の平均値に対し、図4を参照し当該平均値に対応して取得(図示されていない時刻については例えば公知の補完・近似等の手法を用いて処理する)される前記所定値を加えることで、前記予想外気温度を算出する。
図2に戻り、前記装置使用電力予測部32Dは、前記予想外気温度算出部32Hにより算出された前記予想外気温度と、後述する必要熱量決定部35で決定された、ヒートポンプ装置19による沸上目標温度Tbm(詳細は後述)に基づき、前記装置使用電力予想値を決定(算出)する。具体的には、例えば、以下の式1を用いて算出することができる。すなわち、前記装置使用電力予測部32Dは、装置使用電力予測値Phpを、前記予想外気温度Tout、前記沸上目標温度Tbm、前記ヒートポンプ装置19に固有の係数A,B,C、を用いて、
Php=Tout×A+Tbm×B+C ・・・ (式1)
により算出する。算出された前記装置使用電力予測値は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aへ出力される。
前記余剰沸上時間帯設定部33A(時間帯決定手段に相当)は、前記余剰電力予測部32Eで決定された前記翌日の単位時間ごとの余剰電力予測値と、前記装置使用電力予測部32Dで決定された前記翌日の単位時間ごとの装置使用電力予測値とに基づき、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる時間帯(沸上可能時間帯)を決定する。
この沸上可能時間帯の決定の具体例を、図5を用いて説明する。図5は、横軸に「0:00」,「1:00」,・・,「23:00」,「24:00」のように時刻が刻まれる時間軸をかつ縦軸に電力量[kWh]を取り、前記翌日における、前記太陽光発電装置3における発電電力量の予測値(発電電力予測部32Bにより予測)、前記電気負荷機器6における前記負荷使用電力予測値(負荷使用電力予測部32Cにより予測)、及び、前記貯湯式給湯装置1における前記装置使用電力予測値(装置使用電力予測部32Dにより予測)、の一例を概念的にそれぞれ表したグラフである。
図5に示すように、この例は、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により前記翌日における天気が晴れであると予測された場合の例である。すなわち、図中の実線による折れ線グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量の予測値は、0:00〜6:00までほぼ0[kWh]で推移するが、日の出(6:00〜7:00の間)とともに徐々に上昇し、7:00では0.2[kWh]、8:00では1.0[kWh]、8:30で1.5[kWh]、となり、その後9:00で1.8[kWh]、10:00では2.5[kWh]、11:00での3.2[kWh]を経て、12:00における3.3[kWh]でピークを迎える。その後は、太陽光発電装置3における発電電力量は、日の陰りとともに徐々に減少し、13:00では3.2[kWh]、14:00では2.5[kWh]となり、その後15:00で1.8[kWh]、15:30で1.5[kWh]、16:00では1.0[kWh]、17:00での0.2[kWh]を経て、日の入り(17:00〜18:00の間)により18:00以降はそのまま24:00までほぼ0[kWh]となる。
一方、図中の灰色の棒グラフで示すように、前記電気負荷機器6における負荷使用電力の予測値は、前記翌日の0:00〜24:00の間、終日、0.5[kWh]となっている。この結果、「太陽光発電装置3における発電電力量」−「電気負荷機器6における負荷使用電力量」で表される前記余剰電力の予測値は、図5に示すように、前記翌日の8:00で初めて0.5[kWh]が生じ、8:30で1.0[kWh]、9:00で1.3[kWh]、10:00で2.0[kWh]、11:00での2.7[kWh]を経て、12:00における2.8[kWh]で最大となる。その後、徐々に減少し、13:00では2.7[kWh]、14:00では2.0[kWh]、15:00で1.3[kWh]、15:30で1.0[kWh]、16:00で0.5[kWh]となる。
以上のような余剰電力の時間変動に対し、この例では、前記貯湯式給湯装置1が運転されるときの装置使用電力の予測値は、単位時間あたり1[kWh]となっている。この結果、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、「余剰電力」≧「貯湯式給湯装置1の装置使用電力」となる、前記余剰電力により前記貯湯式給湯装置1を運転可能な時間帯(沸上可能時間帯)として、8:30〜15:30までの時間帯を設定する。なお、図5中には、一例として、実際に前記貯湯式給湯装置1の沸上運転が、前記沸上可能時間帯のうちの11:00〜15:00で実行予定とされた場合を並記して例示している(黒色棒グラフ参照)。
以上のようにして、本実施形態では、気象情報取得部32Aが取得した前記翌日1日間の気象情報に対応して発電電力予測部32Bが太陽光発電装置3での発電電力値を決定し、それに基づいて余剰沸上時間帯設定部33Aが前記沸上運転を実行可能な発電電力値となる前記沸上可能時間帯を予測することができる。
なお、図5に示した例は、前記したように前記翌日における天気が晴れであると予測された場合の例である。これに対し、例えば前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により前記翌日における天気が雨又は曇り等(太陽による日射がほとんどない)と予測された場合の例を図6に示す。この場合、図中の実線による折れ線グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量の予測値は、0:00〜8:00までほぼ0[kWh]で推移し、日の出に伴ってわずかに上昇するが、9:00で0.1[kWh]、10:00では0.3[kWh]、11:00で0.5[kWh]、12:00での0.6[kWh]を経た後の13:00におけるピークでも0.7[kWh]程度に留まる。その後は、太陽光発電装置3における発電電力量は、14:00で0.6[kWh]、15:00で0.5[kWh]、16:00では0.3[kWh]、17:00で0.1[kWh]となり、18:00以降はそのまま24:00までほぼ0[kWh]となる。この結果、「太陽光発電装置3における発電電力量」−「電気負荷機器6における負荷使用電力量」で表される前記余剰電力の予測値は、図6に示すように、前記翌日の12:00〜14:00までの間でわずかに生じる程度であり、その最大値も0.2[kWh]程度に留まる。このような場合、前記余剰沸上時間帯設定部33Aでは、「余剰電力」≧「貯湯式給湯装置1の装置使用電力」となる前記沸上可能時間帯を設定することができない。結果として、図6中に示すように、前記貯湯式給湯装置1の沸上運転は、(太陽光発電による電力を用いず)上記商用電源49からの給電(すなわち太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100外から購入される電力を利用)により、通常通り、電力料金単価が安価な夜間帯(この例では23:00〜7:00)に実行予定とされる。
図2に戻り、前記余剰沸上時間区分決定部33B(時間区分決定手段に相当)は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより決定された前記少なくとも1つの沸上可能時間帯のうちから、その時間帯において前記沸上運転を行える時間長さが予め決定してある所定値(この例では例えば2時間)以上となる時間区分を、前記翌日において前記太陽光発電装置3からの電力により貯湯式給湯装置1が前記沸上運転を行うべき沸上時間区分(特定の時間区分に相当)として決定する。なお、上記のような時間区分が複数ある場合には、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、それら複数の時間区分の中から、適宜のルールに沿って最も優先順位が高くなる時間区分を、前記沸上運転を行うべき沸上時間区分(特定の時間区分に相当)として決定すればよい(詳細は後述)。
このような前記時間区分の決定の具体例を、図7及び図8を用いて説明する。これらの図では、前記図5等と同様、横軸に「5:00」,「6:00」,・・,「18:00」,「24:00」のように時刻が刻まれる時間軸を取り、縦軸には、余剰電力量[kWh](各図の左側に図示)を取って、前記貯湯式給湯装置1における前記余剰電力量の予測値(余剰電力予測部32Eにより予測)の時間変動の例を示している。
まず図7に示す例では、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により、前記翌日において朝から夕方まで概ね薄曇りが続く(午後の短時間だけ晴れ)と予測された場合の例(前記図5に示した例とは異なる別の例)である。この場合、図中の棒グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量に基づく前記余剰電力量の予測値は、5:00〜7:00まで0[kWh]で推移するが、その後緩やかに上昇し、8:00では0.5[kWh]、9:00で0.7[kWh]となった後、10:00で0.8[kWh]となり、11:00での1.2[kWh]、12:00での1.3[kWh]を経て、12:30頃からの晴れ間によって13:00で2.0[kWh]へ急上昇した後、14:00で2.5[kWh]となりピークを迎える。その後、前記余剰電力量は、14:30頃からの前記晴れ間の消失によって急激に減少し、15:00で1.3[kWh]、16:00で1.0[kWh]となった後、17:00で0.5[kWh]まで減少し、18:00以降はほぼ0[kWh]となる。
このとき、図中の横太線で示すように、前記貯湯式給湯装置1が運転されるときの装置使用電力の予測値は、単位時間あたり1.5[kWh]となっている。この結果、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記余剰電力の予測値が前記装置電力の予測値を超える前記沸上可能時間帯として、12:30〜14:30までの時間区分が設定される。この結果、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより、前記沸上運転を行える時間長さが所定値(この例では2時間)以上となる、当該12:30〜14:30が、沸上運転を行うべき前記沸上時間区分に決定される。
さらに図8に示す例は、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により、前記翌日において、朝から夕方まで晴天(但し12:00頃に一時的ににわか雨)と予測された場合の例である。この場合、図中の棒グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量に基づく前記余剰電力量の予測値は、5:00〜7:00まで0[kWh]で推移するが、その後徐々に上昇し、8:00では0.5[kWh]、8:30付近で1.5[kWh]となった後、9:00及び10:00で2.0[kWh]となり、11:00で2.5[kWh]まで上昇した後に(例えば前記にわか雨への天候変化の影響で)減少に転じ、11:30で1.5[kWh]、12:00において1.0[kWh]となる。その後再び前記余剰電力量は増加に転じ、12:30で1.5[kWh]、13:00で2.0[kWh]、その後14:00で2.7[kWh]となりピークを迎え、その後減少して14:30付近で1.5[kWh]となった後、15:00では1.3[kWh]、16:00では1.0[kWh]、17:00で0.5[kWh]まで減少し、18:00以降はほぼ0[kWh]となる。
この場合は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記余剰電力の予測値が前記装置電力の予測値を超える前記沸上可能時間帯として、図8に示すように、8:30〜11:30までの時間区分Aと、12:30〜14:30までの時間区分Bとの2つが設定される。このとき、前記余剰沸上時間区分決定部33Bがこれら2つのうちいずれを前記沸上運転を行うべき前記沸上時間区分とするかは、前記したように、複数の区分が存在したときのために予め定められているルールに沿って決められる。例えば、最長時間となる時間区分優先のルールであれば時間区分Aに決定され、最先の時間区分優先のルールであれば時間区分Aに決定され、最後の時間区分優先のルールであれば時間区分Bに決定され、余剰電力のピーク値が最大となる時間区分優先のルールであれば時間区分Bに決定される。
図2に戻り、以上のようにして、前記のような予測によって前記余剰沸上時間帯設定部33Aで設定された前記沸上可能時間帯に含まれる、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき沸上時間区分を、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定することができる。
その後、前記のようにして余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定された前記沸上時間区分は、前記余剰沸上容量算出部37へと出力される。余剰沸上容量算出部37は、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定された前記沸上時間区分の間で、貯湯式給湯装置1が前記沸上目標温度Tbmまで沸き上げることのできる余剰沸上容量を算出する。この算出された余剰沸上容量は、前記補正夜間沸上容量算出部38へと出力される。
一方このとき、前記使用湯量学習部34には、前記給湯流量センサ16からの検出信号(前記給湯湯量を表す)と、前記給湯温度センサ17の検出信号(前記給湯温度を表す)と、給水温度センサ(図示せず)の検出信号(給水温度を表す)とが入力される。使用湯量学習部34は、入力された前記給湯湯量を、前記給湯温度に対応させつつ所定温度(例えば40[℃])の使用湯量に換算し、過去所定期間(例えば7日間)の日毎の学習湯量として学習する。その際の学習においては、単純に所定期間分の平均値をとってもよいし、公知の手法により日毎のばらつきを加味してもよい。また日毎の追焚き実績の有無を考慮するようにしてもよい。
前記必要熱量決定部35は、前記使用湯量学習部34によって学習された前記過去所定期間の日毎の学習湯量に基づき、前記翌日における必要熱量を決定する。また、前記必要熱量決定部35は、前記必要湯量と、適宜の手法で取得(あるいは前記センサ30の検出結果を取得)した外気温度(あるいは前記給水温度等の他の条件でもよい)とから、前記沸上目標温度Tbmを決定し、当該沸上目標温度Tbmを前記装置使用電力予測部32Dへ出力する。
前記夜間沸上容量決定部36は、前記必要熱量決定部35によって決定された前記翌日における必要熱量を前記沸上目標温度Tbmと給水温度との温度差で除して、必要容量を算出し、(後述の余剰沸上容量を用いた補正前の)夜間沸上容量とする。このようにして算出された夜間沸上容量は、前記補正夜間沸上容量算出部38へと出力される。
前記補正夜間沸上容量算出部38は、前記のようにして前記夜間沸上容量決定部36により算出された夜間沸上容量(言い替えれば前記翌日の一日間において必要な湯水の量に対応した沸上容量)から、前記のようにして前記余剰沸上容量算出部37により算出された余剰沸上容量(言い替えれば前記翌日のうち前記沸上時間区分において沸き上げる湯水の量に対応した沸上容量)を差し引いて、(前記翌日の昼間に余剰電力により沸上できない分に相当する)補正夜間沸上容量を算出する。この補正夜間沸上容量は、夜間沸上制御部39へと出力される。
前記夜間沸上制御部39は、前記所望の日から前記翌日にかけての夜間帯(例えば前記所望の日の23:00〜前記翌日の7:00)において、前記補正夜間沸上容量算出部38から出力された前記補正夜間沸上容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。
なお、前記したように翌日の天気が晴天等の場合で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより前記沸上可能時間帯が設定され前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより前記沸上時間区分が設定された場合には、この沸上時間区分が前記余剰沸上制御部40へと出力されている。前記余剰沸上制御部40(制御手段に相当)は、前記翌日の前記沸上時間区分(例えば図7の例では前記翌日の12:30〜14:30)において、前記余剰電力を用いて前記余剰沸上容量算出部37により算出された前記余剰沸上容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。
また前記昼間沸増制御部42は、前記夜間帯以外の昼間帯(例えば7:00〜23:00)において前記貯湯タンク10内の湯水の前記貯湯量が予め定められたしきい値以下に減少(前記複数の貯湯式給湯装置温度センサ18により検出)すると、前記商用電源49を用いて、所定の昼間沸増容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。なお、前記夜間沸上容量決定部36において、前記のようにして算出した前記必要容量を貯湯タンク10の容量と比較し、それらのうち小さい方を前記夜間沸上容量としてもよい(以下、同様)。このとき、前記必要容量が貯湯タンク10の容量を超えている場合に、前記夜間沸上容量決定部36で算出された前記夜間沸上容量を前記昼間沸増制御部42へと入力し(図2中の2点鎖線参照)、前記昼間沸増制御部42が前記夜間帯に沸き上げられなかった分を昼間沸増容量として算出し、この算出した昼間沸増容量を沸き上げるように前記のような制御を行うようにしても良い。
次に、前記の手法を実現するために、前記HEMS機器7及び前記制御装置31が実行する制御手順を、図9、図10、図11、図12、及び図13のフローチャートにより説明する。
図9に、前記HEMS機器7が実行する制御手順を示す。図9において、まずステップS110で、HEMS機器7は、電力料金単価が安価な夜間帯(例えば23:00〜7:00)の開始時刻(例えば7:00)となったか否かを判定する。夜間帯開始時刻となるまでは判定が満たされず(S110:NO)ループ待機し、夜間帯開始時刻となったら判定が満たされ(S110:YES)、ステップS120に移る。
ステップS120では、HEMS機器7は、前記気象情報取得部32Aによりサーバ9から前記気象情報を取得する。なお、前記発電電力予測部32Bが前記気象情報取得部32Aを介し定期的に前記サーバ9から前記気象情報を取得して最新データを適宜の箇所に記憶しておき、このフローが開始されたときに、前記ステップS120のタイミングで、前記適宜の箇所に記憶されていた気象情報のデータを読み出して用いるようにしてもよい。
その後、ステップS130に移り、HEMS機器7は、前記発電電力予測部32Bにより、太陽光発電装置3の過去所定期間の単位時間ごとの発電電力量と、前記ステップS120で取得した気象情報とに基づき、特定期間(この例では前記翌日。以下同様)での前記太陽光発電装置3の単位時間ごとの発電電力予測値を決定(算出)する。
そして、ステップS140で、HEMS機器7は、前記負荷使用電力予測部32Cにより、前記電気負荷機器6の過去所定期間の単位時間ごとの負荷使用電力量に基づき、前記翌日での、当該電気負荷機器6の単位時間ごとの負荷使用電力予測値を決定(算出)する。
そして、ステップS160に移り、HEMS機器7は、前記余剰電力予測部32Eにより、前記ステップS130で決定された前記発電電力予測値と、前記ステップS140で決定された前記電気負荷機器6の単位時間ごとの負荷使用電力予測値と、に基づき、前記翌日での前記建造物における単位時間ごとの余剰電力予測値を決定(算出)し、制御装置31へ出力する。その後、ステップS110に戻って同様の手順を繰り返す。
図10〜図13に、前記制御装置31が実行する制御手順を示す。図10において、まずステップS115で、制御装置31は、図9の前記ステップS110と同様、前記夜間帯の開始時刻となったか否かを判定する。夜間帯開始時刻となるまでは判定が満たされず(S5:NO)ループ待機し、夜間帯開始時刻となったら判定が満たされ(S5:YES)、ステップS165に移る。
ステップS165では、制御装置31は、前記図9の前記ステップS160で出力された、前記余剰電力予測値を取得する。その後、ステップS145に移る。
ステップS145では、制御装置31は、前記予想外気温度算出部32Hで、前記のように前記テーブル記憶部32Iの所定値テーブルを参照しつつ、過去の最低外気温度の平均値に対し所定値を加えることにより、前記翌日の予想外気温度Toutを決定(算出)する。
その後、ステップS146で、制御装置31は、前記必要熱量決定部35により、前記使用湯量学習部34で学習済みの前記過去所定期間の日毎の学習湯量に基づき、平均や標準偏差等を用いた公知の手法を用いて前記翌日における必要熱量を決定(算出)する。なお、この必要熱量は、所定温度(例えば40[℃])換算の必要湯量として算出しても良い。
その後、ステップS147で、制御装置31は、前記必要熱量決定部35により、前記ステップS146で決定した前記必要湯量と、適宜の手法で取得(あるいは前記センサ30の検出結果を取得)した外気温度(あるいは前記給水温度等の他の条件でもよい)とから、前記沸上目標温度Tbmを決定する。なお、この沸上目標温度Tbmは、例えば65[℃]〜75[℃]の間でなるべく低く設定されるが、特に前記必要湯量が多い場合や、前記外気温度が低い場合や、前記給水温度が低い場合には(それ以外の場合に比べ)高めに設定される。
その後、ステップS150で、制御装置31は、前記装置使用電力予測部32Dにより、前記ステップS145で前記予想外気温度算出部32Hで算出した前記予想外気温度Toutと前記ステップS147で前記必要熱量決定部35で決定した前記沸上目標温度Tbmとに基づき前記(式1)を用いて、前記装置使用電力予測値Phpを算出する。
その後、図11のステップS15に移り、制御装置31は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記ステップS160で取得した前記翌日の単位時間ごとの余剰電力予測値、及び、前記ステップS150で取得した前記翌日の単位時間ごとの装置使用電力予測値、に基づき、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる前記沸上可能時間帯を決定する。
ステップS15の詳細手順を図12に示す。図12において、まずステップS151で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上であることを表すフラグFを0に初期化する。
そして、ステップS152で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、処理対象とする時刻tに、まず昼間帯の開始時刻(この例では7:00。以下同様)をセットする。その後、ステップS153に移る。
ステップS153では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記ステップS10で取得した前記余剰電力及び前記装置使用電力の値に基づき、時刻tにおける前記余剰電力の予測値が、当該時刻tにおける前記装置使用電力の予測値以上であるか否かを判定する。例えば時刻tがまだ早い時間であって日射が十分でなく余剰電力の大きさが不足し装置使用電力未満の値である場合はステップS153の判定が満たされず(S153:NO)、ステップS157に移る。
ステップS157では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFが1であるか否かを判定する。後述のステップS154においてF=1とされるまではF=0のままであることからこの判定が満たされず(S157:NO)、ステップS155に移る。
ステップS155では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記時刻tに対し所定の時間偏差△t(余剰電力予測値の単位時間)を加え、ステップS156に移る。
ステップS156では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、この時点での処理対象の前記時刻tが、昼間帯の終了時刻(この例では23:00。以下同様)になったか否かを判定する。23:00に到達しない間は判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。
前記のようにしてステップS153→ステップS157→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・のような時刻tをずらしながらの繰り返しの間に、例えば十分な日射となり余剰電力の大きさが装置使用電力以上となった場合はステップS153の判定が満たされ(S153:YES)、ステップS154に移る。
ステップS154では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFを1とする。その後、前記ステップS155で前記のように時刻tに△tを加え、ステップS156に移行する。前記と同様、23:00に到達しない間はステップS156の判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。こうして余剰電力の大きさが装置使用電力以上となっている間は、ステップS153→ステップS154→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・のように時刻tをずらしながら同様の流れが繰り返される。
その後、再び日射が不十分となり余剰電力の大きさが装置使用電力未満となるとステップS153の判定が満たされなくなり(S153:NO)、前記ステップS157に移る。この時点では、前記ステップS154によってフラグFの値は1になっていることからステップS157の判定が満たされ(S157:YES)、ステップS158に移る。
ステップS158では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、先に前記フラグFが0から1となったとき(ステップS153の判定が満たされたとき)から、この時点までの区間を、前記沸上可能時間帯に組み入れる。そして、ステップS159に移る。
ステップS159では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFを再び0に戻した後、前記ステップS155に移って前記のように時刻tに△tを加え、ステップS156に移行する。前記と同様、23:00に到達しない間はステップS156の判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。
以上のようにして、時刻tをずらしながら、ステップS153→ステップS157→ステップS158→ステップS159→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・の繰り返し、若しくは、ステップS153→ステップS154→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・の繰り返しを行っている間に、前記時刻tが前記23:00になったら判定が満たされ(S156:YES)、このルーチンを終了して、図11のステップS20へ移行する。
図11に戻り、ステップS20では、制御装置31は、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより、前記ステップS15で決定された前記少なくとも1つの沸上可能時間帯のうちから、前記沸上運転を行える時間長さが所定値(例えば2時間。以下同様)以上となる時間区分(複数ある場合には、前記ルールに沿って最も優先順位が最も高くなる時間区分)を、前記翌日において前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき前記沸上時間区分として決定する。
そして、ステップS35で、制御装置31は、前記夜間沸上容量決定部36により、前記ステップS146で決定した前記必要熱量を前記ステップS147で決定した沸上目標温度と給水温度との温度差で除して前記必要容量に換算し、前記夜間沸上容量とする。なお、このようにして算出した算出した必要容量が前記貯湯タンク10の容量を超えている場合には、当該貯湯タンク10の容量を前記夜間沸上容量としても良い。
その後、ステップS45で、制御装置31は、前記余剰沸上容量算出部37により、前記ステップS20で決定された前記沸上時間区分の間で、貯湯式給湯装置1が、前記ヒートポンプ装置19の所定の加熱能力の大きさで前記沸上目標温度まで沸き上げることのできる前記余剰沸上容量を算出する。
そして、ステップS50で、制御装置31は、前記補正夜間沸上容量算出部38により、前記ステップS35で算出された前記夜間沸上容量から、前記ステップS45で算出された余剰沸上容量を差し引いた、前記補正夜間沸上容量を算出する。
ステップS55では、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、この時点における前記複数の貯湯温度センサ18の検出結果に基づき、十分に加熱された状態でお湯とみなせる貯湯量の容量(残湯容量)を算出する。
その後、ステップS60で、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、
前記ステップS55で算出された前記残湯容量を加味し、前記補正夜間沸上容量から前記残湯容量を減じた値に沸上温度と給水温度の差温を乗じた値を加熱能力で除して沸き上げ時間を算出し、前記ステップS50で算出された前記補正夜間沸上容量を前記夜間帯の終了時刻(例えば7:00)までに沸上完了するのに適切な夜間沸上開始時刻を算出する。
そして、図13のステップS62に移り、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、この時点での時刻(現在時刻)がステップS60で算出した夜間沸上開始時刻となったか否かを判定する。夜間沸上開始時刻となるまでは判定が満たされず(S62:NO)ループ待機し、夜間沸上開始時刻となったら判定が満たされ(S62:YES)、ステップS64に移る。
ステップS64では、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御し、前記貯湯タンク10の下部から取り出した水を前記ステップS30で決定した前記沸上目標温度まで加熱して貯湯タンク10の上部から順次積層させる、夜間沸上運転を開始する。
その後、ステップS66で、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記のようにして夜間沸上運転が行われた後、ステップS55で算出された前記夜間沸上容量を沸き上げたことが前記貯湯温度センサ18により検出された(若しくは運転中の現在時刻が前記夜間帯の終了時刻となった)か否かを判定する。前記夜間沸上容量を沸き上げた場合は(若しくは前記夜間帯の終了時刻となった)場合は判定が満たされ(S66:YES)、夜間沸上運転の完了とみなされて、ステップS68に移る。
ステップS68では、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記ステップS64で開始した夜間沸上運転を停止する。このとき、貯湯タンク10の下部には未加熱水が残ることとなる。その後、ステップS70に移る。
ステップS70では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、この時点での時刻(現在時刻)がステップS20で決定した沸上時間区分の開始時刻(余剰沸上開始時刻)となったか否かを判定する。余剰沸上開始時刻となるまでは判定が満たされず(S70:NO)ループ待機し、余剰沸上開始時刻となったら判定が満たされ(S70:YES)、ステップS72に移る。
ステップS72では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御し、前記貯湯タンク10の下部から取り出した水を前記ステップS30で決定した前記沸上目標温度まで加熱して貯湯タンク10の上部から順次積層させる、余剰沸上運転を開始する。
その後、ステップS74で、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記のようにして余剰沸上運転が行われた後、ステップS45で算出した前記余剰沸上容量を沸き上げたことが前記貯湯温度センサ18により検出された(若しくは運転中の現在時刻が前記沸上時間区分の終了時刻となった)か否かを判定する。前記余剰沸上容量を沸き上げた場合は(若しくは前記沸上時間区分の終了時刻となった)場合は判定が満たされ(S74:YES)、余剰沸上運転の完了とみなされて、ステップS76に移る。
ステップS76では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記ステップS72で開始した余剰沸上運転を停止する。このとき、前記したように、前記夜間沸上運転の完了時に貯湯タンク10の下部に未加熱水が残っているため、余剰沸上運転の開始までの間に一切給湯されていなくても、当初予測していた余剰電力を全量活用した余剰沸上運転を連続して行うことができる。このようにして余剰沸上運転が完了した後、ステップS96に移る。
ステップS96では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、この時点での時刻(現在時刻)が前記昼間帯(例えば7:00〜23:00)の終了時刻(例えば23:00)となったか否かを判定する。昼間帯終了時刻となっていれば判定が満たされ(S96:YES)、図10に示した前記ステップS115に戻り、同様の手順を繰り返す。前記昼間帯終了時刻となっていなければ判定が満たされず(S96:NO)、ステップS92に移る。
ステップS92では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、例えば貯湯タンク10の残湯量が前記最低貯湯量以下になったか否かを最上部の貯湯温度センサ18が所定の湯切れ危険温度以下にまで低下したか否かで判定する。前記湯切れ危険温度より高い温度であればステップS92の判定が満たされず(S92:NO)、前記ステップS96に戻って同様の手順を繰り返す。前記湯切れ危険温度以下であればステップS92の判定が満たされて(S92:YES)湯切れ状態であるとみなされ、ステップS94へ移行する。
ステップS94では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記湯切れを解消するための所定時間(例えば1時間)の湯切れ(定量)沸増運転を行う。その後、前記ステップS96に戻って同様の手順を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態の貯湯式給湯装置1によれば、前記装置使用電力予測部32Dにおいて、前記装置使用電力予測値が、最低外気温度に基づいて予想される前記翌日の予想外気温度に基づいて、決定される。前記予想外気温度は、前記予想外気温度算出部32Hにより、深夜時間帯に沸上運転を実行しているときの最低外気温度の平均値に対し所定値を加えることによって算出される。これにより、前記のようにネットワーク8との通信結果によらず、貯湯式給湯装置1側だけで前記装置使用電力予測値を算出することができる。この結果、前記太陽光発電装置3からの電力を用いた前記沸上運転を円滑に実行することができ、ユーザの利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、予想外気温度算出部32Hによって、最低外気温度の平均気温に前記所定値が加えられて前記予想外気温度が算出される。これにより、貯湯式給湯装置1側だけで確実に装置使用電力予測値を算出することができる。特に、1日のうちで比較的温度が安定している時間帯(前記深夜時間帯)の最低外気温度に対し前記所定値を加算し、前記昼間時間帯を含む外気温度(予想外気温度)を算出することにより、前記沸上運転時の前記貯湯式給湯装置1の消費する消費電力(装置使用電力予測値)を精度よく算出することができる。
また、本実施形態では特に、可変に定められる前記所定値を用いることで、最低外気温度から予想外気温度を精度良く算出することができる。特に、テーブル記憶部32Iに記憶された前記所定値テーブルに表された、時間ごとに変動する所定値を用いることで、簡易な手法でかつ高精度に最低外気温度から予想外気温度を算出することができる。
また、本実施形態では特に、ヒートポンプ装置19に備えられた送風機24に外気温度センサ30が設けられ、前記予想外気温度算出部32Hが、前記深夜時間帯で前記沸上運転が実行されている間に前記外気温度センサ30により検出された前記最低外気温度の前記平均気温を用いて、前記予想外気温度を算出する。これには以下のような技術的意義がある。
すなわち、前記のように配置した外気温度センサ30では、送風機24が動作し通風が行われている状態が、最も高精度に温度検出を行うことができる。一方、通常、この種の貯湯式給湯装置1のヒートポンプ装置19は、深夜時間帯のうち最低外気温度となる時間帯(例えば4:00〜5::00頃)は、ほぼ毎日確実に前記沸上運転を行っている。したがって、この深夜時間帯(言い替えれば沸上運転が必ず実行されているとき)に前記外気温度センサ30により検出された最低外気温度の、信頼性の高い平均値を用いて前記予想外気温度を算出することによって、さらに確実に前記装置使用電力予測値を高精度に算出することができる。
また、本実施形態では特に、装置使用電力予測部32Dが、前記装置使用電力予測値Phpを、上記(式1)によって算出する。これにより、簡易な演算で迅速に前記装置使用電力予測値を算出することができる。
なお、本実施形態において、前記予想外気温度算出部32Hにおいて、前記所定値を、前記図4の所定値テーブルを用いて可変に設定したが、これに限られず、前記所定値は、適宜の値に固定的に設定してもよい。この場合、固定値として定められた前記所定値を用いることで、簡易な演算により最低外気温度から予想外気温度を算出できる効果がある。なお、このときの所定値としては、例えば約6[℃]程度とすることが考えられる。これには、例えば以下のような技術的意義がある。
すなわち、通常、前記太陽光発電での電力による沸上運転を行う昼間帯の外気温度の、前記最低外気温度からの偏差(前記所定値に対応する)は、5〜15[℃]程度である。これに対し、前記所定値を約6[℃]に固定的に設定するということは、前記予想外気温度算出部32Hが、前記予想外気温度Toutを実際の昼間帯の外気温度よりも低く見積もるということである。前記図3を用いて説明したように、前記装置使用電力は外気温度が低いほど大きくなる挙動であることから、前記のように予想外気温度を低く見積もることで、貯湯式給湯装置1の装置使用電力を多めに見積もることになる。この結果、余剰沸上時間帯設定部33Aでは、前記余剰電力予測部32Eから出力される前記余剰電力予測値がある程度大きくなったときに、前記太陽光発電での電力による沸上運転を行う時間帯を設定することになる。この結果、前記固定的な所定値の設定に基づく見積もり誤差により前記余剰電力予測値が小さいにもかかわらず前記太陽光発電での電力による沸上運転を行ってしまう弊害を確実に防止できるものである。
なお、前記所定値を、前記5[℃]よりも小さな2〜3[℃]等に設定すれば、前記余剰電力予測部32Eからの前記余剰電力予測値がかなり大きくならないと前記太陽光発電での電力による沸上運転を行う時間帯が設定されず、前記弊害をさらに確実に防止できる。しかしながらこの場合、実際には前記太陽光発電での電力による前記沸上運転を行える時間帯であるにもかかわらず当該沸上運転を行わないという無駄な時間帯が数多く発生するおそれがある。前記所定値を前記約6[℃]にするという設定は、制御態様をある程度実際の外気温の変動に近づけたものとすることで、前記のような無駄な時間を低減することができるものである。
なお、本発明は以上の態様に限定されることなく、その趣旨を変更しない範囲で適用可能なものであり、例えば前記HEMS機器7や制御装置31に設けられた各機能部(気象情報取得部32Aと、発電電力予測部32Bと、負荷使用電力予測部32Cと、余剰電力予測部32E等)のうち少なくとも1つを前記サーバ9に設けても良い。
また、以上において、図2等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図10〜図13に示すフローチャート図は本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。