次に、本発明の一実施の形態を図1〜図14に基づいて説明する。
本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システムのシステム構成を図1に示す。なお、図1においては、図示の煩雑防止のために、後述する信号授受のうち一部は図示省略している。図1において、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100は、図示しない家屋等の建造物に設置されたヒートポンプ式の貯湯式給湯装置1と、商用電源49に接続された分電盤2と、前記家屋の屋根等に設置された太陽光発電パネル4、及び、太陽光発電パネル4の発電電力を交流電源に変換するインバータ5を備えた太陽光発電装置3と、前記貯湯式給湯装置1以外の他の負荷を構成する、例えばエアコン等からなる電気負荷機器6(図1中では単に「エアコン」と図示)と、前記家屋の家庭内の電力マネジメントを行うためのHEMS(=Home Energy Management System)機器7と、ネットワーク通信網8と、サーバ9とを有している。
前記HEMS機器7は、貯湯式給湯装置1及び太陽光発電装置3に双方向に通信可能(破線参照。以下同様)に接続されている。これにより、HEMS機器7は、貯湯式給湯装置1の使用状況や太陽光発電装置3の発電電力情報や分電盤2の分岐回路ごとの消費電力量の情報を収集可能となっている。またHEMS機器7は、さらに前記ネットワーク通信網8を介し前記サーバ機器9に接続され、必要な情報を相互にやりとり可能となっている。なお、HEMS機器7が太陽光発電装置3との間の通信により前記発電電力情報を収集するのに代え、HEMS機器7が、分電盤2への発電電力の入力あるいは分電盤3と商用電源49との間の電力の授受を監視することで、太陽光発電装置3の発電電力情報を収集するようにしても良い。
前記貯湯式給湯装置1は、リモコン装置50と、湯水を貯湯する貯湯タンク10と、前記貯湯タンク10の底部に給水する給水管11と、前記貯湯タンク10の頂部から出湯する出湯管12と、前記給水管11から分岐した給水バイパス管13と、前記出湯管12からの湯と前記給水バイパス管13からの水を、前記リモコン装置50によって設定された給湯設定温度になるように混合する混合弁14と、図示しない給湯端末に給湯する給湯管15と、給湯流量を検出し対応する検出信号を出力する給湯流量センサ16と、給湯温度を検出し対応する検出信号を出力する給湯温度センサ17と、前記貯湯タンク10内の湯水の貯湯温度を検出し対応する検出信号を出力する貯湯温度センサ18とを有している。前記貯湯温度センサ18は、貯湯タンク10の側面に高さ位置を変えて複数個設けられている。これら複数の貯湯温度センサ18のそれぞれは、例えば、十分に加熱された状態の湯の温度に対応して予め設定された、所定のしきい値以上の湯水温度を検出したとき、対応する検出信号を制御装置31へ出力するように構成されている。これにより、前記複数の貯湯温度センサ18のうち何個のセンサから前記検出信号が出力されているかに基づき、前記制御装置31は、前記貯湯タンク10内において十分に加熱された状態となっている湯の量(すなわち貯湯量)を検出することができる。
また、前記貯湯式給湯装置1はさらに、前記貯湯タンク10内の湯水を沸上目標温度に加熱するヒートポンプ装置19(加熱手段、ヒートポンプ式加熱手段に相当)を有している。このヒートポンプ装置19は、冷媒を高温高圧に圧縮搬送する圧縮機20と、前記高温の高圧の冷媒と前記貯湯タンク10からの水との熱交換を行う水冷媒熱交換器21と、前記水冷媒熱交換器21で熱交換後の冷媒を減圧膨張させる膨張弁22と、外気と低圧冷媒との熱交換を行い低圧冷媒を蒸発させる空気熱交換器23と、前記空気熱交換器23へ外気を送風する送風機24(送風ファン)と、前記圧縮機20から吐出される前記冷媒の温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する吐出温度センサ25と、前記送風機24における例えば通風経路上に設けられ、外気温度を検出し対応する検出信号を前記制御装置31へ出力する外気温度センサ30(外気センサ)とを備えている。
また、前記貯湯式給湯装置1はさらに、貯湯式給湯装置1全体の作動を制御する前記制御装置31と、前記貯湯タンク10の下部と前記水冷媒熱交換器21の水側入口とを接続する加熱往き管26と、水冷媒熱交換器21の水側出口と前記貯湯タンク10の上部とを接続する加熱戻り管27と、前記加熱往き管26の途中に設けられた加熱循環ポンプ28と、前記加熱戻り管27に設けられ検出信号を前記制御装置31へ出力する沸上温度センサ29とを有している。なお、前記の加熱往き管26、加熱戻り管27、及び加熱循環ポンプ28により加熱循環回路が構成されている(以下適宜、単に「加熱循環回路26,27,28」という)。
前記のように、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100は、太陽光発電装置3と、貯湯式給湯装置1とが備えられている。日照条件が良好な場合、前記太陽光発電装置3は、前記太陽光発電パネル4で太陽光を受光して発電を行うことができ、前記貯湯式給湯装置1は、この太陽光発電装置3で発電された電力を用いて、前記ヒートポンプ装置19が加熱循環回路26,27,28を介し貯湯タンク10内の湯水を加熱する沸上運転を行うことができる。このようにして太陽光発電による電力を用いた沸上運転を行う場合、少なくとも発電電力値がある程度大きい(詳細には、貯湯式給湯装置1に供給される電力値、すなわち、発電電力値から貯湯式給湯装置1を除く前記電気負荷機器6の消費する負荷使用電力値を差し引いた余剰電力値がある程度大きい。後述)必要がある。そこで、前記沸上運転を円滑に行うために、太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100には、前記HEMS機器7及び前記制御装置31に、図2に示す各機能部が設けられている。
すなわち、図2に示すように、前記HEMS機器7には、気象情報取得部32Aと、発電電力予測部32Bと、負荷使用電力予測部32Cと、装置使用電力予測部32Dと、余剰電力予測部32Eとが設けられている。また前記制御装置31には、余剰沸上時間帯設定部33Aと、余剰沸上時間区分決定部33Bと、余剰沸上制御部40と、余剰沸上容量算出部37と、使用湯量学習部34と、必要熱量決定部35と、夜間沸上容量算出部36と、補正夜間沸上容量算出部38と、沸上容量下限値設定部41と、夜間沸上制御部39と、昼間沸増制御部42とが設けられている。また、これら各機能部の、HEMS機器7及び制御装置31における割り当て(配分)は、図示の例に限られず、例えばHEMS機器7と制御装置31との間の通信内容を充実化することで、HEMS機器7に設けられている前記の各機能部32A〜32Eのうち一部の機能を制御装置31に設けた構成としても良いし、逆に、制御装置31に設けられている前記の各機能部33A,33B,34〜42のうちの一部の機能をHEMS機器7に設けた構成としても良い。
前記気象情報取得部32A(気象情報取得手段に相当)は、例えばサーバ9から発せられる気象情報(例えば天気予報情報や日照時間情報等)を取得する。なお、サーバ9以外の適宜の箇所から公知情報としての気象情報を取得しても良い。
前記発電電力予測部32B(発電電力予測手段に相当)は、太陽光発電装置3から取得済みの、過去所定期間において時間変動した単位時間ごとの発電電力量と、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報とに基づき、決定対象となる特定期間(この例では、例えば後述の図10〜図14に示すフローによる制御手順が実行される所望の日の翌日の1日間。以下適宜、単に「翌日」という)での、時間変動する前記太陽光発電装置3の発電電力挙動における単位時間ごとの発電電力予測値を決定(算出)する。
前記負荷使用電力予測部32C(負荷消費電力予測手段に相当)は、前記分電盤2から取得済みの、前記建造物におけるエアコン等の前記電気負荷機器6の過去所定期間の単位時間ごとの消費電力量に基づき、前記翌日での、当該電気負荷機器6の単位時間ごとの消費電力を表す負荷使用電力の予測値(時間変動する場合もしない場合も含む)を決定(算出)する。
前記装置使用電力予測部32D(装置消費電力予測手段に相当)は、前記貯湯式給湯装置1から取得済みの、当該貯湯式給湯装置1の過去所定期間の単位時間ごとの消費電力量に基づき、前記翌日での当該貯湯式給湯装置1の単位時間ごとの消費電力を表す装置使用電力の予測値(時間変動する場合もしない場合も含む)を決定(算出)する。
前記余剰電力予測部32E(余剰電力予測手段に相当)は、前記発電電力予測部32Bにより決定された前記発電電力予測値と、前記負荷使用電力予測部32Cにより決定された前記負荷使用電力予測値とに基づき(具体的には前記発電電力予測値から前記負荷使用電力予測値を差し引いて)、前記翌日での時間変動する余剰電力挙動における前記建造物における単位時間ごとの余剰電力予測値を決定(算出)する。
前記余剰沸上時間帯設定部33A(時間帯決定手段に相当)は、前記余剰電力予測部32Eで決定された前記翌日の単位時間ごとの余剰電力予測値と、前記装置使用電力予測部32Dで決定された前記翌日の単位時間ごとの装置使用電力予測値とに基づき、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる時間帯(沸上可能時間帯)を決定する。
この沸上可能時間帯の決定の具体例を、図3を用いて説明する。図3は、横軸に「0:00」,「1:00」,・・,「23:00」,「24:00」のように時刻が刻まれる時間軸をかつ縦軸に電力量[kWh]を取り、前記翌日における、前記太陽光発電装置3における発電電力量の予測値(発電電力予測部32Bにより予測)、前記電気負荷機器6における前記負荷使用電力予測値(負荷使用電力予測部32Cにより予測)、及び、前記貯湯式給湯装置1における前記装置使用電力予測値(装置使用電力予測部32Dにより予測)、の一例を概念的にそれぞれ表したグラフである。
図3に示すように、この例は、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により前記翌日における天気が晴れであると予測された場合の例である。すなわち、図中の実線による折れ線グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量の予測値は、0:00〜6:00までほぼ0[kWh]で推移するが、日の出(6:00〜7:00の間)とともに徐々に上昇し、7:00では0.2[kWh]、8:00では1.0[kWh]、8:30で1.5[kWh]、となり、その後9:00で1.8[kWh]、10:00では2.5[kWh]、11:00での3.2[kWh]を経て、12:00における3.3[kWh]でピークを迎える。その後は、太陽光発電装置3における発電電力量は、日の陰りとともに徐々に減少し、13:00では3.2[kWh]、14:00では2.5[kWh]となり、その後15:00で1.8[kWh]、15:30で1.5[kWh]、16:00では1.0[kWh]、17:00での0.2[kWh]を経て、日の入り(17:00〜18:00の間)により18:00以降はそのまま24:00までほぼ0[kWh]となる。
一方、図中の灰色の棒グラフで示すように、前記電気負荷機器6における負荷使用電力の予測値は、前記翌日の0:00〜24:00の間、終日、0.5[kWh]となっている。この結果、「太陽光発電装置3における発電電力量」−「電気負荷機器6における負荷使用電力量」で表される前記余剰電力の予測値は、図3に示すように、前記翌日の8:00で初めて0.5[kWh]が生じ、8:30で1.0[kWh]、9:00で1.3[kWh]、10:00で2.0[kWh]、11:00での2.7[kWh]を経て、12:00における2.8[kWh]で最大となる。その後、徐々に減少し、13:00では2.7[kWh]、14:00では2.0[kWh]、15:00で1.3[kWh]、15:30で1.0[kWh]、16:00で0.5[kWh]となる。
以上のような余剰電力の時間変動に対し、この例では、前記貯湯式給湯装置1が運転されるときの装置使用電力の予測値は、単位時間あたり1[kWh]となっている。この結果、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、「余剰電力」≧「貯湯式給湯装置1の装置使用電力」となる、前記余剰電力により前記貯湯式給湯装置1を運転可能な時間帯(沸上可能時間帯)として、8:30〜15:30までの時間帯を設定する。なお、図3中には、一例として、実際に前記貯湯式給湯装置1の沸上運転が、前記沸上可能時間帯のうちの11:00〜15:00で実行予定とされた場合を並記して例示している(黒色棒グラフ参照)。
以上のようにして、本実施形態では、気象情報取得部32Aが取得した前記翌日1日間の気象情報に対応して発電電力予測部32Bが太陽光発電装置3での発電電力値を決定し、それに基づいて余剰沸上時間帯設定部33Aが前記沸上運転を実行可能な発電電力値となる前記沸上可能時間帯を予測することができる。
なお、図3に示した例は、前記したように前記翌日における天気が晴れであると予測された場合の例である。これに対し、例えば前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により前記翌日における天気が雨又は曇り等(太陽による日射がほとんどない)と予測された場合の例を図4に示す。この場合、図中の実線による折れ線グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量の予測値は、0:00〜8:00までほぼ0[kWh]で推移し、日の出に伴ってわずかに上昇するが、9:00で0.1[kWh]、10:00では0.3[kWh]、11:00で0.5[kWh]、12:00での0.6[kWh]を経た後の13:00におけるピークでも0.7[kWh]程度に留まる。その後は、太陽光発電装置3における発電電力量は、14:00で0.6[kWh]、15:00で0.5[kWh]、16:00では0.3[kWh]、17:00で0.1[kWh]となり、18:00以降はそのまま24:00までほぼ0[kWh]となる。この結果、「太陽光発電装置3における発電電力量」−「電気負荷機器6における負荷使用電力量」で表される前記余剰電力の予測値は、図4に示すように、前記翌日の12:00〜14:00までの間でわずかに生じる程度であり、その最大値も0.2[kWh]程度に留まる。このような場合、前記余剰沸上時間帯設定部33Aでは、「余剰電力」≧「貯湯式給湯装置1の装置使用電力」となる前記沸上可能時間帯を設定することができない。結果として、図4中に示すように、前記貯湯式給湯装置1の沸上運転は、(太陽光発電による電力を用いず)上記商用電源49からの給電(すなわち太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100外から購入される電力を利用)により、通常通り、電力料金単価が安価な夜間帯(この例では23:00〜7:00)に実行予定とされる(詳細は後述)。
図2に戻り、前記余剰沸上時間区分決定部33B(時間区分決定手段、第1〜第5時間区分決定手段、時間区分選択手段に相当)は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより決定された前記少なくとも1つの沸上可能時間帯のうちから、その時間帯において前記沸上運転を行える時間長さが予め決定してある所定値(この例では例えば2時間)以上となる時間区分を、前記翌日において前記太陽光発電装置3からの電力により貯湯式給湯装置1が前記沸上運転を行うべき沸上時間区分(特定の時間区分に相当)として決定する。なお、上記のような時間区分が複数ある場合には、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、それら複数の時間区分の中から、後述の区分決定ルールに沿って最も優先順位が高くなる時間区分を、前記沸上運転を行うべき沸上時間区分(特定の時間区分に相当)として決定する。
このような前記時間区分の決定の具体例を、図5及び図6を用いて説明する。これらの図では、前記図3等と同様、横軸に「5:00」,「6:00」,・・,「18:00」,「24:00」のように時刻が刻まれる時間軸を取り、縦軸には、余剰電力量[kWh](各図の左側に図示)を取って、前記貯湯式給湯装置1における前記余剰電力量の予測値(余剰電力予測部32Eにより予測)の時間変動の例を示している。
まず図5に示す例では、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により、前記翌日において朝から夕方まで概ね薄曇りが続く(午後の短時間だけ晴れ)と予測された場合の例(前記図3に示した例とは異なる別の例)である。この場合、図中の棒グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量に基づく前記余剰電力量の予測値は、5:00〜7:00まで0[kWh]で推移するが、その後緩やかに上昇し、8:00では0.5[kWh]、9:00で0.7[kWh]となった後、10:00で0.8[kWh]となり、11:00での1.2[kWh]、12:00での1.3[kWh]を経て、12:30頃からの晴れ間によって13:00で2.0[kWh]へ急上昇した後、14:00で2.5[kWh]となりピークを迎える。その後、前記余剰電力量は、14:30頃からの前記晴れ間の消失によって急激に減少し、15:00で1.3[kWh]、16:00で1.0[kWh]となった後、17:00で0.5[kWh]まで減少し、18:00以降はほぼ0[kWh]となる。
このとき、図中の横太線で示すように、前記貯湯式給湯装置1が運転されるときの装置使用電力の予測値は、単位時間あたり1.5[kWh]となっている。この結果、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記余剰電力の予測値が前記装置電力の予測値を超える前記沸上可能時間帯として、12:30〜14:30までの時間区分が設定される。この結果、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより、前記沸上運転を行える時間長さが所定値(この例では2時間)以上となる、当該12:30〜14:30が、沸上運転を行うべき前記沸上時間区分に決定される。
さらに図6に示す例は、前記気象情報取得部32Aで取得された気象情報により、前記翌日において、朝から夕方まで晴天(但し12:00頃に一時的ににわか雨)と予測された場合の例である。この場合、図中の棒グラフで示すように、太陽光発電装置3における発電電力量に基づく前記余剰電力量の予測値は、5:00〜7:00まで0[kWh]で推移するが、その後徐々に上昇し、8:00では0.5[kWh]、8:30付近で1.5[kWh]となった後、9:00及び10:00で2.0[kWh]となり、11:00で2.5[kWh]まで上昇した後に(例えば前記にわか雨への天候変化の影響で)減少に転じ、11:30で1.5[kWh]、12:00において1.0[kWh]となる。その後再び前記余剰電力量は増加に転じ、12:30で1.5[kWh]、13:00で2.0[kWh]、その後14:00で2.7[kWh]となりピークを迎え、その後減少して14:30付近で1.5[kWh]となった後、15:00では1.3[kWh]、16:00では1.0[kWh]、17:00で0.5[kWh]まで減少し、18:00以降はほぼ0[kWh]となる。
この場合は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記余剰電力の予測値が前記装置電力の予測値を超える前記沸上可能時間帯として、図6に示すように、8:30〜11:30までの時間区分Aと、12:30〜14:30までの時間区分Bとの2つが設定される。このとき、前記余剰沸上時間区分決定部33Bがこれら2つのうちいずれを前記沸上運転を行うべき前記沸上時間区分とするかは、前記したように、複数の区分が存在したときのために予め定められている区分決定ルール(区分決定因子に相当)に沿って決められる。本実施形態では、例えば、最長時間となる時間区分優先、最先の時間区分優先、最後の時間区分優先、余剰電力のピーク値が最大(若しくは余剰電力が装置使用電力以上となる期間の累積値が最大)となる時間区分優先、及び、太陽光発電装置3の設置条件に適合する時間区分優先、の5つの区分ルールがそれぞれ定められている。
(A)最長時間となる時間区分優先
すなわち、余剰沸上時間区分決定部33Bによりこの区分決定ルールが適用される場合には、複数の区分のうち、(前記沸上運転を行える時間長さが所定値(この例では2時間)以上であることを前提に)前記時間長さが最も長いものが、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき沸上時間区分(1つの時間区分、第1時間区分に相当)として決定(選択)される。上記図6に示した8:30〜11:30までの時間区分Aと、12:30〜14:30までの時間区分Bとの例においては、時間区分Aは時間長さが3時間であり、時間区分Bは時間長さが2時間である。したがって、この場合は、より時間長さの長い、時間区分A(8:30〜11:30)が、前記沸上時間区分となる。なお、この場合、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、第1時間区分決定手段に相当する。
(B)最先となる時間区分優先
すなわち、余剰沸上時間区分決定部33Bによりこの区分決定ルールが適用される場合には、複数の区分のうち、(前記沸上運転を行える時間長さが所定値(この例では2時間)以上であることを前提に)もっとも早い最先のものが、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき沸上時間区分(1つの時間区分、第2時間区分に相当)として決定(選択)される。したがって、上記図6に示した8:30〜11:30までの時間区分Aと、12:30〜14:30までの時間区分Bとの例においては、最先である時間区分A(8:30〜11:30)が、前記沸上時間区分となる。なお、この場合は、なお、この場合、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、第2時間区分決定手段に相当する。
(C)最後の時間区分優先
すなわち、余剰沸上時間区分決定部33Bによりこの区分決定ルールが適用される場合には、複数の区分のうち、(前記沸上運転を行える時間長さが所定値(この例では2時間)以上であることを前提に)もっとも後である最後のものが、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき沸上時間区分(1つの時間区分、第3時間区分に相当)として決定(選択)される。したがって、上記図6に示した8:30〜11:30までの時間区分Aと、12:30〜14:30までの時間区分Bとの例においては、最後である時間区分B(12:30〜14:30)が、前記沸上時間区分となる。なお、この場合は、なお、この場合、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、第3時間区分決定手段に相当する。
(D)余剰電力のピーク値が最大となる時間区分優先等
すなわち、余剰沸上時間区分決定部33Bによりこの区分決定ルールが適用される場合には、複数の区分のうち、(前記沸上運転を行える時間長さが所定値(この例では2時間)以上であることを前提に)、各区分における余剰電力値のピーク値が最大となるものが、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき沸上時間区分(1つの時間区分、第4時間区分に相当)として決定(選択)される。上記図6に示した8:30〜11:30までの時間区分Aと、12:30〜14:30までの時間区分Bとの例においては、時間区分Aではピーク値は11:00における2.5[kWh]である一方、時間区分Bではピーク値は14:00における2.7[kWh]である。したがって、この場合は、よりピーク値が大きい、時間区分B(12:30〜14:30)が、前記沸上時間区分となる。なお、この場合、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、第4時間区分決定手段に相当する。
なお、上記に代えて、余剰沸上時間区分決定部33Bにより、複数の区分のうち、前記沸上運転を行える時間長さが所定値(この例では2時間)以上であることを前提に、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる期間の累積値が最大となるものを、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき沸上時間区分(1つの時間区分、第4時間区分に相当)として決定(選択)してもよい。上記図6に示した8:30〜11:30までの時間区分Aと、12:30〜14:30までの時間区分Bとの例においては、余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる期間の累積値は、時間区分Aにおける累積値(図6中の斜線部ア参照)のほうが、時間区分Bにおける累積値(図6中の斜線部イ参照)よりも大きい。したがって、この場合は、より累積値が大きい、時間区分A(8:30〜11:30)が、前記沸上時間区分となる。なお、この場合も、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、第4時間区分決定手段に相当する。
(E)太陽光発電装置の設置条件に適合する時間区分優先
すなわち、余剰沸上時間区分決定部33Bによりこの区分決定ルールが適用される場合には、複数の区分のうち、(前記沸上運転を行える時間長さが所定値(この例では2時間)以上であることを前提に)、太陽光発電装置3の設置条件に対してより適合しているものが、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき沸上時間区分(1つの時間区分、第5時間区分に相当)として決定(選択)される。具体的には、例えば太陽光発電装置3(詳細には前記太陽光発電パネル4。以下同様)が西向きに設置されている場合には、図7(a)に示すように、通常、当該太陽光発電装置3への晴天時の日射量は、午前中早い時間や正午頃よりも午後遅めの時間帯が最大(図示の例では15時頃)となる。また例えば太陽光発電装置3が南向きに設置されている場合には、図7(b)に示すように、通常、当該太陽光発電装置3への晴天時の日射量は、午前中早い時間や午後遅い時間よりも正午前後の時間帯が最大(図示の例では12時頃)となる。また例えば太陽光発電装置3が東向きに設置されている場合には、図7(c)に示すように、通常、当該太陽光発電装置3への晴天時の日射量は、正午前後や午後遅い時間よりも午後早い時間帯が最大(図示の例では10時頃)となる。
したがって、例えば本実施形態における前記太陽光発電装置3(太陽光発電パネル4)が東向きに設置されていた場合には、前記のように午前中の早い時間の日照条件が特に良好(日射量が相対的に多い)と想定されることから、上記図6に示した8:30〜11:30までの時間区分Aと、12:30〜14:30までの時間区分Bとの例においては、時間区分Aのほうが前記沸上時間区分として決定(選択)される。なお、この場合、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、第5時間区分決定手段に相当する。
なお、上記のような太陽光発電パネル4の設置向きのみならず、当該太陽光発電パネル4の傾斜がどのような角度であるかに応じて、当該角度に合致するような日射角となる時間区分を選択するようにしてもよい。
図2に戻り、以上のようにして、前記のような予測によって前記余剰沸上時間帯設定部33Aで設定された前記沸上可能時間帯に含まれる、前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき沸上時間区分を、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定することができる。
その後、前記のようにして余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定された前記沸上時間区分は、前記余剰沸上容量算出部37へと出力される。余剰沸上容量算出部37(昼間沸上量算出手段に相当)は、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより決定された前記沸上時間区分の間で、貯湯式給湯装置1が予め定められた沸上目標温度まで沸き上げることのできる余剰沸上容量(昼間沸上容量に相当)を算出する。この算出された余剰沸上容量は、前記補正夜間沸上容量算出部38へと出力される。
一方このとき、前記使用湯量学習部34には、前記給湯流量センサ16からの検出信号(前記給湯湯量を表す)と、前記給湯温度センサ17の検出信号(前記給湯温度を表す)と、給水温度センサ(図示せず)の検出信号(給水温度を表す)とが入力される。使用湯量学習部34は、入力された前記給湯湯量を、前記給湯温度に対応させつつ所定温度(例えば40[℃])の使用湯量に換算し、過去所定期間(例えば7日間)の日毎の学習湯量として学習する。その際の学習においては、単純に所定期間分の平均値をとってもよいし、公知の手法により日毎のばらつきを加味してもよい。また日毎の追焚き実績の有無を考慮するようにしてもよい。
前記必要熱量決定部35は、前記使用湯量学習部34によって学習された前記過去所定期間の日毎の学習湯量に基づき、前記翌日における必要熱量を決定する。
前記夜間沸上容量決定部36(目標沸上量算出手段に相当)は、前記必要熱量決定部35によって決定された前記翌日における必要熱量を前記沸上目標温度と給水温度との温度差で除して、必要容量を算出し、(後述の余剰沸上容量を用いた補正前の)夜間沸上容量(目標夜間沸上量に相当)とする。このようにして算出された夜間沸上容量は、前記補正夜間沸上容量算出部38へと出力される。
前記補正夜間沸上容量算出部38(補正夜間沸上量算出手段に相当)は、前記のようにして前記夜間沸上容量決定部36により算出された夜間沸上容量(言い替えれば前記翌日の一日間において必要な湯水の量に対応した沸上容量)から、前記のようにして前記余剰沸上容量算出部37により算出された余剰沸上容量(言い替えれば前記翌日のうち前記沸上時間区分において沸き上げる湯水の量に対応した沸上容量)を差し引いて、(前記翌日の昼間に余剰電力により沸上できない分に相当する)補正夜間沸上容量を算出する。この補正夜間沸上容量は、前記沸上容量下限値設定部41へ出力される。
前記沸上容量下限値設定部41(沸上下限値設定手段に相当)は、前記のようにして前記補正沸上容量算出部38により算出された補正夜間沸上容量の下限値を設定する。この下限値設定の詳細及び技術的意義について、以下説明する。
すなわち、前記したように、補正沸上量算出部38により、前記夜間沸上容量から前記余剰沸上容量が減じられることで、前記翌日に太陽光発電装置3からの電力を利用することを前提としたときに前記夜間帯において沸き上げるべき(詳細には夜間帯の終了時刻において沸き上がった状態にしておくべき)前記補正夜間沸上容量が算出される。これにより、翌日の昼間帯に前記余剰沸上容量が見込まれる分、前記夜間帯における沸上量を少なくすることができるので、前記商用電源49からの購入電力量(すなわち太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100外から購入される電力量)を減らすことができ、コスト低減を図ることができる。
ところで、前記のような補正夜間沸上容量の設定の結果、前記所望日〜前記翌日にわたる当該夜間帯(この例では23:00〜7:00)が終了した直後(言い替えれば昼間帯が開始された直後、例えば7:00)においては、貯湯タンク10内の全ての湯水が沸き上げられた状態とはなっておらず、未加熱水が、ある程度(=前記太陽光発電の電力による前記余剰沸上容量の分)貯湯タンク10内に残ったままとなる。例えば、前記翌日における前記余剰電力予測値が比較的大きい場合は、前記余剰沸上容量が比較的大きくなることから、その分前記補正夜間沸上容量が少なくなり、前記夜間帯終了直後(例えば7:00)において比較的多くの未加熱水が貯湯タンク10内に存在した状態となる。
しかしながら、ユーザによっては、例えば前記夜間帯における沸上運転完了後、前記昼間帯における沸上運転開始までの間(例えば前記図5の例では7:00〜12:30までの間)に、適宜に入浴使用(浴槽に新たに湯張りをしてお湯に浸かる場合、シャワーを浴びる場合、浴槽に既に貼られているお湯に追焚きをして浸かる場合、ミストを発生させてサウナを使う場合、等)を行う場合がある。このような場合に、前記のようにして貯湯タンク10内の前記未加熱水を多くしすぎると、湯切れによって前記入浴使用が困難となるか、若しくは湯切れ防止のために前記夜間帯と同様に前記商用電源49からの購入電力(前記夜間帯よりも高価となる)を使用して新たな沸上運転(いわゆる湯増し)を行う必要が生じ、ユーザにとっての利便性が低下する。
そこで、本実施形態においては、前記沸上容量下限値設定部41により、前記補正夜間沸上容量の下限値が設定される。具体的には、沸上容量下限値設定部41はまず、補正夜間沸上容量が算出された後、貯湯タンク10内における貯湯量(十分に加熱された状態でお湯とみなせる残湯の容量)を算出する。そして、その残湯量に基づき、前記夜間帯の終了時刻(この例では7:00)における前記貯湯タンク10内の貯湯量が、少なくとも、1回の前記入浴使用(=1入浴使用回)に対応した湯水の量(好ましくは、湯切れを防ぐために強制的に一定量の沸き上げ運転を開始させる所定の残湯量である最低貯湯量をさらに加算した量)以上となるように、前記補正夜間沸上容量の下限値を設定する。
ここで、前記1回の入浴使用に対応した湯水の量について、具体的に説明する。前記のように、前記入浴使用の例としては、浴槽に新たに湯張りをしてお湯に浸かる場合やシャワーを浴びる場合等が含まれる。したがって前記下限値としては、1回の前記湯張りに対応した容量や、1回の前記シャワーに対応した容量とすることが考えられる。その際、予め、ユーザが浴槽へ前記湯張りを行う場合や前記シャワーを使用する場合の典型的な湯水使用パターンを想定しておき、その湯水使用パターンに対応して、前記下限値を設定しておくこともできる。
前記湯水使用パターンの一例として、JIS規格C 9220で規定された「家庭用ヒートポンプ給湯機の給湯モード性能試験」において経時的に想定されている1日の使用パターンの内容を、図8に示す。
図8に示すように、この規格では、パターン番号1〜56までの使用パターンのそれぞれについて、用途、使用開始時刻[時・分・秒]、給湯時の流量[リットル/分]、貯湯タンク2からの給湯量[リットル]、給湯熱量[メガジュール]、保温熱量[メガジュール]、が規定されている。この図8に示される全内容について同一用途の行為を集約したものを、図9に示す。
図9に示すように、朝7:00など1日のうち複数のタイミングでの実行が想定されているパターン番号1,15,17,20のパターンが、ユーザが洗面所で湯水を使用する(例えば洗顔、手洗い、うがい等)ときのパターン(以下適宜、「洗面パターン」という)である。また、朝8:25など1日のうち複数のタイミングでの実行が想定されているパターン番号2,3,4,6,8,11のパターンが、ユーザが台所仕事(例えば調理、皿洗い等)を行うときのパターン(以下適宜、「台所パターン」という)である。
一方、夜の19:40での実行が想定されているパターン番号5のパターンが、ユーザが浴槽への前記湯張りを行うときのパターン(以下適宜、「湯張りパターン」という)である。例えば前記貯湯式給湯装置1においてこの湯張りパターンが行われる際には、前記図1を用いて説明したように、貯湯タンク10から出湯管12を介し導かれた湯と前記給水バイパス管13を介し導かれた水とが混合弁14で混合されて、浴槽(図示せず)内へと供給される。
さらに、夜20:08など1日のうち複数のタイミングでの実行が想定されるパターン番号7,10,16,19のパターンが、ユーザが浴室でシャワーを使用するときのパターン(以下適宜、「シャワーパターン」という)である。例えば前記貯湯式給湯装置1においてこのシャワーパターンが行われる際には、上述と同様、貯湯タンク10から出湯管12を介し導かれた湯と前記給水バイパス管13を介し導かれた水とが混合弁14で混合されて、浴室のシャワー用の給湯栓(図示せず)からユーザの頭上又は手元に給湯される。
なお、夜20:27など1日のうち複数のタイミングでの実行が想定されているパターン番号9,12,13,14,18のパターンは、給湯がなく浴槽内の湯水の保温運転が行われるときのパターンである。
ここで、図9において、前記開始時刻及び前記給湯量が規定されている全パターンによる、1日の合計給湯量(言い替えれば、貯湯タンク2中の湯水の1日の合計消費量)は所定の給湯温度(この例では40℃)の湯水に換算した換算値で約460[リットル]となっている。そして、前記したパターン番号5の前記湯張りパターンの給湯量は、180[リットル]となっている。そこで、前記入浴使用として湯張りを主に想定する場合には、前記下限値を(前記所定の給湯温度換算で)例えば180[リットル]とすることができる。
なお、前記180[リットル]という容量は、標準的な浴槽の容積に基づいたものであり、実際の湯張りの量は、貯湯式給湯装置1に設置された前記浴槽の大きさ、ユーザの水位の好み(入浴姿勢で肩が出る程度、肩が浸かる程度、首まで浸かる程度)によって異なる。一般的なユニットバスに用いられる浴槽では、70%水位で150〜200[リットル]程度の湯張り量となる。したがって、前記下限値を全ユーザ一律に固定的に設定するなら(前記所定の給湯温度換算で)180[リットル]とすればよいし、ユーザそれぞれの設定を考慮するのであれば、過去の湯張り量(前記所定の給湯温度換算)を学習しておいてその学習結果に基づき前記下限値を設定したり、各ユーザが所望に設定した湯張り量(前記所定の給湯温度換算)を用いて前記下限値を設定すればよい。
また、前記シャワーの使用に関しては、図9において、前記換算値で、パターン番号7の前記シャワーパターンの給湯量が20[リットル]、パターン番号10の前記シャワーパターンの給湯量が50[リットル]、パターン番号16の前記シャワーパターンの給湯量が20[リットル]、パターン番号19の前記シャワーパターンの給湯量が50[リットル]となっており、最も多い給湯量はパターン番号10,19の50[リットル]である。そこで、前記入浴使用としてシャワーを主に想定する場合には、前記下限値を(前記所定の給湯温度換算で)例えば50[リットル]とすることができる。
なお、前記入浴使用として前記追焚きやサウナを使う場合等も、詳細な説明は省略するが、前記同様、適宜の典型的なパターンを想定して前記下限値を設定することができる。また、ユーザごとに、考えられ得るすべての入浴使用の態様それぞれについて湯水使用パターンを想定して対応する給湯量を算出し、それらのうちの最大値を前記下限値としてもよい。
また、前記下限値を、前記した種々の入浴使用のうちのどの使用態様に対応して設定するかは、例えば前記リモコン装置50によってユーザが設定入力可能となっている。なおその際、前記の「シャワーを浴びる場合」に対応した前記下限値が、予めデフォルトとして設定されていてもよい。
以上のようにして沸上容量下限値設定部41が前記補正夜間沸上容量の前記下限値を設定することにより、例えば、前記のように翌日の前記余剰電力予測値がかなり大きい場合(前記補正夜間沸上容量がかなり少なくなる場合)であっても、少なくとも、前記1入浴使用回に必要な湯水の量が貯湯タンク10内に確保されるように、前記補正夜間沸上容量が増大補正される。
以上のようにして沸上容量下限値設定部41により算出された(あるいはその後必要に応じて前記増大補正された)前記補正夜間沸上容量は、夜間沸上制御部39へと出力される。
前記夜間沸上制御部39は、前記所望の日から前記翌日にかけての夜間帯(例えば前記所望の日の23:00〜前記翌日の7:00)において、前記沸上容量下限値設定部41から出力された前記補正夜間沸上容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。
なお、前記したように翌日の天気が晴天等の場合で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより前記沸上可能時間帯が設定され前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより前記沸上時間区分が設定された場合には、この沸上時間区分が前記余剰沸上制御部40へと出力されている。前記余剰沸上制御部40は、前記翌日の前記沸上時間区分(例えば図5の例では前記翌日の12:30〜14:30)において、前記余剰電力を用いて前記余剰沸上容量算出部37により算出された前記余剰沸上容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。
また前記昼間沸増制御部42は、前記夜間帯以外の昼間帯(例えば7:00〜23:00)において前記貯湯タンク10内の湯水の前記貯湯量が予め定められたしきい値以下に減少(前記複数の貯湯式給湯装置温度センサ18により検出)すると、前記商用電源49を用いて、所定の昼間沸増容量を沸き上げるように、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御する。なお、前記夜間沸上容量決定部36において、前記のようにして算出した前記必要容量を貯湯タンク10の容量と比較し、それらのうち小さい方を前記夜間沸上容量としてもよい(以下、同様)。このとき、前記必要容量が貯湯タンク10の容量を超えている場合に、前記夜間沸上容量決定部36で算出された前記夜間沸上容量を前記昼間沸増制御部42へと入力し(図2中の2点鎖線参照)、前記昼間沸増制御部42が前記夜間帯に沸き上げられなかった分を昼間沸増容量として算出し、この算出した昼間沸増容量を沸き上げるように前記のような制御を行うようにしても良い。
次に、前記の手法を実現するために、前記HEMS機器7及び前記制御装置31が実行する制御手順を、図10、図11、図12、図13、及び図14のフローチャートにより説明する。
図10に、前記HEMS機器7が実行する制御手順を示す。図10において、まずステップS110で、HEMS機器7は、電力料金単価が安価な夜間帯(例えば23:00〜7:00)の開始時刻(例えば7:00)となったか否かを判定する。夜間帯開始時刻となるまでは判定が満たされず(S110:NO)ループ待機し、夜間帯開始時刻となったら判定が満たされ(S110:YES)、ステップS120に移る。
ステップS120では、HEMS機器7は、前記気象情報取得部32Aにより、サーバ9からの前記気象情報を取得する。なお、気象情報取得部32Aが定期的に前記サーバ9から前記気象情報を取得して最新データを適宜の箇所に記憶しておき、このフローが開始されたときに、前記ステップS120のタイミングで、前記適宜の箇所に記憶されていた気象情報のデータを読み出して用いるようにしてもよい。
その後、ステップS130に移り、HEMS機器7は、前記発電電力予測部32Bにより、太陽光発電装置3の過去所定期間の単位時間ごとの発電電力量と、前記ステップS120で取得した気象情報とに基づき、特定期間(この例では前記翌日。以下同様)での前記太陽光発電装置3の単位時間ごとの発電電力予測値を決定(算出)する。
そして、ステップS140で、HEMS機器7は、前記負荷使用電力予測部32Cにより、前記電気負荷機器6の過去所定期間の単位時間ごとの負荷使用電力量に基づき、前記翌日での、当該電気負荷機器6の単位時間ごとの負荷使用電力予測値を決定(算出)する。
その後、ステップS150で、HEMS機器7は、前記装置使用電力予測部32Dにより、前記貯湯式給湯装置1の過去所定期間の単位時間ごとの装置使用電力量に基づき、前記翌日での当該貯湯式給湯装置1の単位時間ごとの装置使用電力予測値を決定(算出)する。なお、既に述べたように、前記装置使用電力予測部32Dと同等の機能を、前記貯湯式給湯装置1の前記制御装置31が備え、前記装置使用電力予測値を決定してもよい。その際、前記制御装置31自らが自己の消費電力を公知の手法で学習してもよいし、自己の消費電力を一定値として決定してもよい。この場合には、後述のステップS180では余剰電力予測値(いずれも後述)のみが制御装置31へ出力され、また後述の図11のステップS10では、余剰電力予測値(いずれも後述)のみが制御装置31により取得される。
そして、ステップS160に移り、HEMS機器7は、前記余剰電力予測部32Eにより、前記ステップS130で決定された前記発電電力予測値と、前記ステップS140で前記電気負荷機器6の単位時間ごとの負荷使用電力予測値とに基づき、前記翌日での前記建造物における単位時間ごとの余剰電力予測値を決定(算出)する。
そして、ステップS180で、HEMS機器7は、前記ステップS150で決定した装置使用電力予測値、及び、前記ステップS160で決定した余剰電力予測値を、制御装置31へ出力し、このフローを終了する。
図11〜図14に、前記制御装置31が実行する制御手順を示す。まず図11において、ステップS5で、制御装置31は、図10の前記ステップS110と同様、前記夜間帯の開始時刻となったか否かを判定する。夜間帯開始時刻となるまでは判定が満たされず(S5:NO)ループ待機し、夜間帯開始時刻となったら判定が満たされ(S5:YES)、ステップS10に移る。
ステップS10では、制御装置31は、前記図10の前記ステップS180で出力された、前記装置使用電力予測値、及び、前記余剰電力予測値を取得する。その後、ステップS15に移る。
ステップS15では、制御装置31は、前記余剰沸上時間帯設定部33Aにより、前記ステップS10で取得された前記翌日の単位時間ごとの余剰電力予測値、及び、前記翌日の単位時間ごとの装置使用電力予測値、に基づき、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる前記沸上可能時間帯を決定する。
ステップS15の詳細手順を図12に示す。図12において、まずステップS151で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上であることを表すフラグFを0に初期化する。
そして、ステップS152で、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、処理対象とする時刻tに、まず昼間帯の開始時刻(この例では7:00。以下同様)をセットする。その後、ステップS153に移る。
ステップS153では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記ステップS10で取得した前記余剰電力及び前記装置使用電力の値に基づき、時刻tにおける前記余剰電力の予測値が、当該時刻tにおける前記装置使用電力の予測値以上であるか否かを判定する。例えば時刻tがまだ早い時間であって日射が十分でなく余剰電力の大きさが不足し装置使用電力未満の値である場合はステップS153の判定が満たされず(S153:NO)、ステップS157に移る。
ステップS157では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFが1であるか否かを判定する。後述のステップS154においてF=1とされるまではF=0のままであることからこの判定が満たされず(S157:NO)、ステップS155に移る。
ステップS155では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記時刻tに対し所定の時間偏差△t(余剰電力予測値の単位時間)を加え、ステップS156に移る。
ステップS156では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、この時点での処理対象の前記時刻tが、昼間帯の終了時刻(この例では23:00。以下同様)になったか否かを判定する。23:00に到達しない間は判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。
前記のようにしてステップS153→ステップS157→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・のような時刻tをずらしながらの繰り返しの間に、例えば十分な日射となり余剰電力の大きさが装置使用電力以上となった場合はステップS153の判定が満たされ(S153:YES)、ステップS154に移る。
ステップS154では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFを1とする。その後、前記ステップS155で前記のように時刻tに△tを加え、ステップS156に移行する。前記と同様、23:00に到達しない間はステップS156の判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。こうして余剰電力の大きさが装置使用電力以上となっている間は、ステップS153→ステップS154→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・のように時刻tをずらしながら同様の流れが繰り返される。
その後、再び日射が不十分となり余剰電力の大きさが装置使用電力未満となるとステップS153の判定が満たされなくなり(S153:NO)、前記ステップS157に移る。この時点では、前記ステップS154によってフラグFの値は1になっていることからステップS157の判定が満たされ(S157:YES)、ステップS158に移る。
ステップS158では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、先に前記フラグFが0から1となったとき(ステップS153の判定が満たされたとき)から、この時点までの区間を、前記沸上可能時間帯に組み入れる。そして、ステップS159に移る。
ステップS159では、前記余剰沸上時間帯設定部33Aは、前記フラグFを再び0に戻した後、前記ステップS155に移って前記のように時刻tに△tを加え、ステップS156に移行する。前記と同様、23:00に到達しない間はステップS156の判定が満たされず(S156:NO)、前記ステップS153に戻り、同様の手順を繰り返す。
以上のようにして、時刻tをずらしながら、ステップS153→ステップS157→ステップS158→ステップS159→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・の繰り返し、若しくは、ステップS153→ステップS154→ステップS155→ステップS156→ステップS153→・・の繰り返しを行っている間に、前記時刻tが前記23:00になったら判定が満たされ(S156:YES)、このルーチンを終了して、図11のステップS20へ移行する。
図11に戻り、ステップS20では、制御装置31は、前記余剰沸上時間区分決定部33Bにより、前記ステップS15で決定された前記少なくとも1つの沸上可能時間帯のうちから、前記沸上運転を行える時間長さが所定値(例えば2時間。以下同様)以上となり、かつ、前記区分決定ルールに沿って最も優先順位が高くなる時間区分を、前記翌日において前記太陽光発電装置3からの電力により前記沸上運転を行うべき前記沸上時間区分として決定する。
ステップS20の詳細手順を図13に示す。図13において、まずステップS204で、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、処理対象とする前記沸上可能時間帯に、予め定めた所定長さ(前記の所定値。この例では2時間)以上である時間区分があったか否かを判定する。前記所定長さ以上の前記時間区分があった場合はステップS204の判定が満たされ(S204:YES)、ステップS205に移る。
ステップS205では、前記余剰沸上時間区分決定部33Bは、前記所定長さ以上となった前記時間区分のうち、前記区分決定ルールに沿って最も優先順位が高くなる時間区分を、前記沸上運転を行うべき沸上時間区分に決定する。
一方、前記ステップS204において、前記所定長さ以上の前記時間区分がなかった場合はステップS204の判定が満たされず(S204:NO)、ステップS206に移り、沸上時間区分なしと決定する。
前記ステップS205又はステップS206が完了したらこのルーチンを終了して、図11のステップS25へ移行する。
図11に戻り、ステップS25では、制御装置31は、前記必要熱量決定部35により、前記使用湯量学習部34で学習済みの前記過去所定期間の日毎の学習湯量に基づき、平均や標準偏差等を用いた公知の手法を用いて前記翌日における必要熱量を決定(算出)する。なお、この必要熱量は、所定温度(例えば40[℃])換算の必要湯量として算出しても良い。
その後、ステップS30で、制御装置31は、前記必要熱量決定部35により、前記ステップS25で決定した前記必要湯量と、適宜の手法で取得した外気温度(あるいは前記給水温度等の他の条件でもよい)とから、前記沸上目標温度を決定する。なお、この沸上目標温度は、例えば65[℃]〜75[℃]の間でなるべく低く設定されるが、特に前記必要湯量が多い場合や、前記外気温度が低い場合や、前記給水温度が低い場合には(それ以外の場合に比べ)高めに設定される。
そして、ステップS35で、制御装置31は、前記夜間沸上容量決定部36により、前記ステップS30で決定された前記必要熱量を前記沸上目標温度と給水温度との温度差で除して前記必要容量に換算し、前記夜間沸上容量とする。なお、このようにして算出した算出した必要容量が前記貯湯タンク10の容量を超えている場合には、当該貯湯タンク10の容量を前記夜間沸上容量としても良い。
その後、ステップS45で、制御装置31は、前記余剰沸上容量算出部37により、前記ステップS20で決定された前記沸上時間区分の間で、貯湯式給湯装置1が、前記ヒートポンプ装置19の所定の加熱能力の大きさで前記沸上目標温度まで沸き上げることのできる前記余剰沸上容量を算出する。
そして、ステップS50で、制御装置31は、前記補正夜間沸上容量算出部38により、前記ステップS35で算出された前記夜間沸上容量から、前記ステップS45で算出された余剰沸上容量を差し引いた、前記補正夜間沸上容量を算出する。
その後、ステップS51に移り、制御装置31は、前記沸上容量下限値設定部41により、ステップS50で算出した補正夜間沸上容量が、前記1入浴使用回に対応した湯水の量(例えば前記した換算値での180[リットル])以上であるか否か、を判定する。前記1入浴使用回に対応した湯水の量以上となっていればステップS51の判定が満たされ(S51:YES)、後述のステップS55に移行する。前記1入浴使用回に対応した湯水の量未満であればステップS51の判定が満たされず(S51:NO)、ステップS52に移る。
ステップS52では、制御装置31は、前記沸上容量下限値設定部41により、前記ステップS50で算出した前記補正夜間沸上容量を、前記1入浴使用回に対応した湯水の量(例えば前記した換算値での180[リットル])となるように底上げ(すなわち増大補正)すると共に、増大補正前後の前記補正夜間沸上容量の差分を前記余剰沸上容量から減算する。その後、ステップS55に移行する。
ステップS55では、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、この時点における前記複数の貯湯温度センサ18の検出結果に基づき、十分に加熱された状態でお湯とみなせる貯湯量の容量(残湯容量)を算出する。
その後、ステップS60で、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、
前記ステップS55で算出された前記残湯容量を加味し、前記補正夜間沸上容量から前記残湯容量を減じた値に沸上温度と給水温度の差温を乗じた値を加熱能力で除して沸き上げ時間を算出し、前記ステップS50で算出された(必要に応じてさらにステップS52で底上げされた)前記補正夜間沸上容量を前記夜間帯の終了時刻(例えば7:00)までに沸上完了するのに適切な夜間沸上開始時刻を算出する。
そして、図14のステップS62に移り、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、この時点での時刻(現在時刻)がステップS60で算出した夜間沸上開始時刻となったか否かを判定する。夜間沸上開始時刻となるまでは判定が満たされず(S62:NO)ループ待機し、夜間沸上開始時刻となったら判定が満たされ(S62:YES)、ステップS64に移る。
ステップS64では、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御し、前記貯湯タンク10の下部から取り出した水を前記ステップS30で決定した前記沸上目標温度まで加熱して貯湯タンク10の上部から順次積層させる、夜間沸上運転を開始する。
その後、ステップS66で、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記のようにして夜間沸上運転が行われた後、ステップS56で算出された(必要に応じてさらにステップS58で底上げされた)前記実質夜間沸上容量を沸き上げたことが前記貯湯温度センサ18により検出された(若しくは運転中の現在時刻が前記夜間帯の終了時刻となった)か否かを判定する。前記実質夜間沸上容量を沸き上げた場合は(若しくは前記夜間帯の終了時刻となった)場合は判定が満たされ(S66:YES)、夜間沸上運転の完了とみなされて、ステップS68に移る。
ステップS68では、制御装置31は、前記夜間沸上制御部39により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記ステップS64で開始した夜間沸上運転を停止する。このとき、貯湯タンク10の下部には未加熱水が残るが、少なくとも、前記1入浴使用回に対応した湯水の量(例えば前記の180[リットル])以上の十分な湯が貯湯タンク10内に生成されたこととなる。その後、ステップS70に移る。
ステップS70では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、この時点での時刻(現在時刻)がステップS20で決定した沸上時間区分の開始時刻(余剰沸上開始時刻)となったか否かを判定する。余剰沸上開始時刻となるまでは判定が満たされず(S70:NO)ループ待機し、余剰沸上開始時刻となったら判定が満たされ(S70:YES)、ステップS72に移る。
ステップS72では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記貯湯式給湯装置1の前記ヒートポンプ装置19(詳細には、前記圧縮機20、前記送風機24、前記加熱循環ポンプ28等)を制御し、前記貯湯タンク10の下部から取り出した水を前記ステップS30で決定した前記沸上目標温度まで加熱して貯湯タンク10の上部から順次積層させる、余剰沸上運転を開始する。
その後、ステップS74で、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記のようにして余剰沸上運転が行われた後、ステップS45で算出した前記余剰沸上容量を沸き上げたことが前記貯湯温度センサ18により検出された(若しくは運転中の現在時刻が前記沸上時間区分の終了時刻となった)か否かを判定する。前記余剰沸上容量を沸き上げた場合は(若しくは前記沸上時間区分の終了時刻となった)場合は判定が満たされ(S74:YES)、余剰沸上運転の完了とみなされて、ステップS76に移る。
ステップS76では、制御装置31は、前記余剰沸上制御部40により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記ステップS72で開始した余剰沸上運転を停止する。このとき、前記したように、前記夜間沸上運転の完了時に貯湯タンク10の下部に未加熱水が残っているため、余剰沸上運転の開始までの間に一切給湯されていなくても、当初予測していた余剰電力を全量活用した余剰沸上運転を連続して行うことができる。このようにして余剰沸上運転が完了した後、ステップS96に移る。
ステップS96では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、この時点での時刻(現在時刻)が前記昼間帯(例えば7:00〜23:00)の終了時刻(例えば23:00)となったか否かを判定する。昼間帯終了時刻となっていれば判定が満たされ(S96:YES)、図11に示した前記ステップS5に戻り、同様の手順を繰り返す。前記昼間帯終了時刻となっていなければ判定が満たされず(S96:NO)、ステップS92に移る。
ステップS92では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、例えば貯湯タンク10の残湯量が前記最低貯湯量以下になったか否かを最上部の貯湯温度センサ18が所定の湯切れ危険温度以下にまで低下したか否かで判定する。前記湯切れ危険温度より高い温度であればステップS92の判定が満たされず(S92:NO)、前記ステップS96に戻って同様の手順を繰り返す。前記湯切れ危険温度以下であればステップS92の判定が満たされて(S92:YES)湯切れ状態であるとみなされ、ステップS94へ移行する。
ステップS94では、制御装置31は、前記昼間沸増制御部42により、前記ヒートポンプ装置19を制御し、前記湯切れを解消するための所定時間(例えば1時間)の湯切れ(定量)沸増運転を行う。その後、前記ステップS96に戻って同様の手順を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100によれば、前記夜間帯の終了時刻(例えば7:00)における前記貯湯タンク10内の貯湯量が、少なくとも前記1入浴使用回に対応した湯水の量(例えば180[リットル])以上となるように、前記補正夜間沸上容量の下限値が設定される。これにより、前記のように翌日の前記余剰電力予測値がかなり大きく前記補正夜間沸上容量がかなり少なくなる場合には、少なくとも前記1入浴使用回に必要な湯水の量が貯湯タンク内に確保されるように、前記補正夜間沸上容量量が増大補正される(前記図11のステップS52参照)。この結果、前記のように、前記夜間帯における沸上運転完了後、前記昼間帯における沸上運転開始までの間に前記入浴使用(浴槽に新たに湯張りをしてお湯に浸かる、シャワーを浴びる、浴槽に既に貼られているお湯に追焚きをして浸かる、ミストを発生させてサウナを使う、等)が行われる場合であっても、湯切れが生じることがなく円滑に当該入浴使用を行うことができ、ユーザの利便性を向上することができる。なお、本実施形態において当該湯切れ防止の効果を得る限りにおいては、図6等を用いて説明した前記時間区分の決定における、太陽光発電による電力を用いた沸上運転が所定時間以上であることという限定や、前記区分決定ルールの適用等は必ずしも必要ではない。要は、太陽光発電による電力を用いた沸上運転の実行予定に対応して夜間帯に商用電源49からの給電による沸上運転を行う場合において、その沸上容量に対し、前記の手法により下限値を設定すれば足りるものである。
また本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100において、前記「最長時間となる時間区分優先」のルールが適用される場合には、図6を用いて前記したように前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる時間区分が複数あった場合に、それらのうち、貯湯式給湯装置1が連続して前記沸上運転を行える時間長さが所定値(前記の例では2時間)以上であってかつ最長となるような特定の時間区分(前記の例では時間区分A)を、前記太陽光発電装置3からの電力により実際に沸上運転を行うべき時間区分として決定する。これにより、前記のように前記余剰電力値が前記装置使用電力値以上となる時間区分が複数個あった場合であっても、実際に前記沸上運転を行う時間区分を円滑に決定することができる。これにより、太陽光発電による電力を用いた沸上運転を円滑に実行することができる。
また、前記翌日の気象情報は前記所望日において事前に予測される情報であることから、前記翌日となったとき、実際の気象条件が、多少なりとも前記気象情報の内容と異なり(いわゆる予報が外れ)、例えば前記余剰電力値が前記装置使用電力予測値を部分的に下回る可能性もあり得る。この場合、前記のように連続して沸上運転を行える時間長さが所定値以上であって、かつ、最長となるような時間区分が選択されることにより、前記のように仮に気象条件が気象情報と異なった場合であっても、必要な電力をなるべく高い確実性で確保するように図ることができるものである。
なお、上記の手法により複数の区分のうち最長となるような時間区分を選択する手法とするときであっても、なおも同一の時間長さとなる時間区分が複数ある場合も考えられる。例えば、前記図6の例において前記時間区分A及び前記時間区分Bが同一の時間長さ(2時間)であり、それ以外に時間長さがやや短い(例えば1時間)時間区分Cがあった場合等である。この場合、上記の手法により、それら3つの時間区分A,B,Cのうち2つの時間区分A,Bが選択されることとなる。そこで、このような場合には、さらに、それら複数の時間区分のうち最先の1つの時間区分を選択するようにすればよい。すなわち、時間区分A,Bのうちの、時間が早い時間区分Aが選択される。この場合、以下のような技術的意義がある。
すなわち、前記したように、前記翌日の実際の気象条件が前記所望日において取得されていた前記気象情報の内容と異なった場合に、例えば前記余剰電力値が当初予測されたものより早めの時間推移で低下し前記装置使用電力予測値を下回るようになる可能性もあり得る。前記のように、複数の時間区分のうち、最も時間的に早い(最先の)時間区分を選択することにより、仮に余剰電力値が早めに低下する場合であっても、必要な電力をなるべく高い確実性で確保するように図ることができる。また早めに太陽光発電利用の沸上運転を行うことで、前記余剰電力値が前記装置使用電力予測値を下回った後の沸上運転となる(すなわち太陽光発電による電力を利用できず結果として買電となってしまう)可能性を低減することもできるものである。
あるいは、前記のように3つの時間区分A,B,Cのうち最長(2時間)となる時間区分が複数(前記の例では2つの時間区分A,B)があった場合に、さらに別の手法も考えられる。すなわち、それら複数の時間区分のうち余剰電力予測値のピーク値が最大となる時間区分を選択するようにしてもよい。この場合、時間区分A,Bのうちの前記ピーク値が大きい時間区分Bが選択される。これにより、前記のように仮に気象条件が気象情報と異なった場合であっても、必要な電力をさらに高い確実性で確保するように図ることができる。
また本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100において、前記「最先となる時間区分優先」のルールが適用される場合には、図6を用いて前記したように前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる時間区分が複数あった場合に、それらのうち、貯湯式給湯装置1が連続して前記沸上運転を行える時間長さが所定値(前記の例では2時間)以上であってかつ最先となるような特定の時間区分(前記の例では時間区分A)を、前記太陽光発電装置3からの電力により前記実際に沸上運転を行うべき時間区分として決定する。これにより、前記同様、前記余剰電力値が前記装置使用電力値以上となる時間区分が複数個あった場合であっても、実際に前記沸上運転を行う時間区分を円滑に決定することができ、太陽光発電による電力を用いた沸上運転を円滑に実行することができる。
また、前記したように、前記翌日の気象情報が外れ、例えば前記余剰電力値が当初予測されたものより早めの時間推移で低下し前記装置使用電力予測値を下回るようになる可能性もあり得る。この場合、前記のように連続して沸上運転を行える時間長さが所定値以上であって、かつ、最先となるような時間区分が選択されることにより、前記のように仮に余剰電力値が早めに低下する場合であっても、必要な電力をなるべく高い確実性で確保するように図ることができる。また早めに太陽光発電利用の沸上運転を行うことで、前記余剰電力値が前記装置使用電力予測値を下回った後の沸上運転となる(すなわち太陽光発電による電力を利用できず結果として買電となってしまう)可能性を低減することができるものである。
また本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100において、前記「最後の時間区分優先」のルールが適用される場合には、図6を用いて前記したように前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる時間区分が複数あった場合に、それらのうち、貯湯式給湯装置が連続して前記沸上運転を行える時間長さが所定値(前記の例では2時間)以上であってかつ最後となるような特定の時間区分(前記の例では時間区分B)を、前記太陽光発電装置3からの電力により前記実際に沸上運転を行うべき時間区分として決定する。これにより、前記同様、前記余剰電力値が前記装置使用電力値以上となる時間区分が複数個あった場合であっても、実際に前記沸上運転を行う時間区分を円滑に決定することができ、太陽光発電による電力を用いた沸上運転を円滑に実行することができる。
また、前記したように、前記翌日の気象情報が外れ、例えば前記余剰電力値が前記装置使用電力予測値を部分的に下回る可能性もあり得る。この場合、前記のように連続して沸上運転を行える時間長さが所定値以上であって、かつ、最後となるような時間区分が選択されることにより、当該時間区分において貯湯タンク10内の湯水を所定温度でまで加熱した後に実際に夕方以降に湯水が使用されるときまでに経過する時間をなるべく短くし、放熱による貯湯タンク10内の湯水の温度低下を抑制することができる。この結果、前記のように、仮に気象条件が気象情報と異なり、太陽光発電の電力により十分な湯量の生成ができない場合であっても、買電による湯水の生成をなるべく少なくするものである。
また本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100において、前記「余剰電力のピーク値が最大となる時間区分優先」ルールが適用される場合には、図6を用いて前記したように前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる時間区分が複数あった場合に、それらのうち、貯湯式給湯装置1が連続して前記沸上運転を行える時間長さが所定値(前記の例では2時間)以上であってかつ余剰電力予測値のピーク値が最大となるような特定の時間区分(前記の例では時間区分B)を、前記太陽光発電装置3からの電力により前記実際に沸上運転を行うべき時間区分として決定する。これにより、前記同様、前記余剰電力値が前記装置使用電力値以上となる時間区分が複数個あった場合であっても、実際に前記沸上運転を行う時間区分を円滑に決定することができ、太陽光発電による電力を用いた沸上運転を円滑に実行することができる。
また、前記したように、前記翌日の気象情報が外れ、例えば前記余剰電力値が前記装置使用電力予測値を部分的に下回る可能性もあり得る。この場合、前記のように連続して沸上運転を行える時間長さが所定値以上であって、かつ、余剰電力予測値のピーク値が最大となる時間区分が選択されることにより、前記のように仮に気象条件が気象情報と異なった場合であっても、必要な電力をなるべく高い確実性で確保するように図ることができるものである。
また本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100において、前記「太陽光発電装置の設置条件に適合する時間区分優先」のルールが適用される場合には、図6を用いて前記したように前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる時間区分が複数あった場合に、それらのうち、太陽光発電装置3の設置条件(太陽光発電パネル4の設置が東向きであるか西向きであるか、太陽光発電パネル4の傾斜がどのような角度であるか、等)に適合している特定の時間区分(前記の例では時間区分A)を、前記太陽光発電装置3からの電力により前記実際に沸上運転を行うべき時間区分として決定する。これにより、前記同様、前記余剰電力値が前記装置使用電力値以上となる時間区分が複数個あった場合であっても、実際に前記沸上運転を行う時間区分を円滑に決定することができ、太陽光発電による電力を用いた沸上運転を円滑に実行することができる。
また、前記したように、前記翌日の気象情報が外れ、例えば前記余剰電力値が前記装置使用電力予測値を部分的に下回ったり、前記余剰電力値が当初予測されたものより早めの時間推移で低下し前記装置使用電力予測値を下回るようになる可能性もあり得る。この場合、前記のように連続して沸上運転を行える時間長さが所定値以上であって、かつ、太陽光発電装置の設置条件に適合している時間区分が選択されることにより、前記のように仮に気象条件が気象情報と異なった場合であっても、必要な電力をなるべく高い確実性で確保するように図ることができるものである。なお、太陽光発電装置3の設置条件は、適宜の操作手段を介しユーザが手入力により操作入力するようにしてもよいし、太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100内のいずれかの構成要素が、取得できる各種情報に基づき自動的に学習するようにしてもよい。
また本実施形態の太陽光発電装置連携貯湯式給湯システム100によれば、予め前記の区分決定因子(貯湯式給湯装置1が連続して沸上運転を行える時間長さが所定値以上でかつ最長であること、貯湯式給湯装置1が連続して沸上運転を行える時間長さが所定値以上でかつ最先であること、貯湯式給湯装置1が連続して沸上運転を行える時間長さが所定値以上でかつ最後であること、貯湯式給湯装置1が連続して沸上運転を行える時間長さが所定値以上であるとともに余剰電力予測値のピーク値が最大であること、貯湯式給湯装置1が連続して沸上運転を行える時間長さが所定値以上でかつ太陽光発電装置3の設置条件に適合していること、等)が定められており、それら区分決定因子を用いて、前述の複数の時間区分(前記余剰電力予測値が前記装置使用電力予測値以上となる時間区分)のうち1つの時間区分が、前記太陽光発電装置3からの電力により実際に沸上運転を行うべき時間区分として選択される。これにより、前記のように前記余剰電力値が前記装置使用電力値以上となる時間区分が複数個あった場合であっても、実際に前記沸上運転を行う時間区分を円滑に決定することができる。これにより、太陽光発電による電力を用いた沸上運転を円滑に実行することができる。
また、前記したように、前記翌日の気象情報が前記所望日において取得されていた前記気象情報の内容と異なった場合に、例えば前記余剰電力値が前記装置使用電力予測値を部分的に下回ったり、前記余剰電力値が当初予測されたものより早めの時間推移で低下し前記装置使用電力予測値を下回るようになる可能性もあり得る。前記のように、前記した各種の区分決定因子のいずれかを用いて時間区分を選択することにより、前記のように仮に気象条件が気象情報と異なった場合であっても、必要な電力をなるべく高い確実性で確保するように図ることができる。あるいは、前記余剰電力値が前記装置使用電力予測値を下回った後の沸上運転となる(すなわち太陽光発電による電力を利用できず結果として買電となってしまう)可能性を低減することもできる。あるいは、太陽光発電の電力により十分な湯量の生成ができない場合であっても、買電による湯水の生成をなるべく少なくすることもできる。
なお、本実施形態において、前記の複数の時間区分から、(1)最長の時間長さとなる時間区分(2)最先の時間区分(3)最後の時間区分(4)ピーク値が最大となる時間区分(5)太陽光発電パネルの設置条件が適合する時間区分(6)区分決定ルールで高い優先順位の時間区分となるものを前記昼間帯における沸上運転を行う時間区分とすること、による前記の各効果を得る限りにおいては、図2等を用いて説明した前記沸上容量下限値設定部41は必ずしも必要ではなく、前記したような夜間帯における沸上運転において前記補正夜間沸上容量の下限値を設定する必要はないものである。
なお、本発明は以上の態様に限定されることなく、その趣旨を変更しない範囲で適用可能なものであり、例えば前記HEMS機器7に設けられた各機能部(気象情報取得部32Aと、発電電力予測部32Bと、負荷使用電力予測部32Cと、装置使用電力予測部32Dと、余剰電力予測部32E)のうち少なくとも1つを前記サーバ9に設けても良い。
また、以上において、図2等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図10〜図14に示すフローチャート図は本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。