JP5860269B2 - 金属加工油組成物 - Google Patents
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Description
また、金属加工油としては、加工性能だけでなく引火点が高いことも要求されており(特許文献2参照)、基油に窒化ホウ素を配合することで、引火点を高めた例(特許文献3参照)が知られている。
金属加工油の加工性能を上げるには、動摩擦係数を低くする必要があるが、動摩擦係数を低くするために、粘度を上げると、消費量が多くなる。逆に、消費量を抑えるため粘度を低くすると、動摩擦係数が高くなり、加工性能が低下するおそれがある。すなわち、加工性の向上と消費量の抑制は相反する。
〔1〕切削加工および研削加工の少なくともいずれかに用いられる金属加工油組成物であって、炭素数16以上22以下の炭化水素基とカルボキシル基とを有するカルボン酸と、炭素数2以上4以下のアルコールとを反応させて得られたモノエステル化合物を配合してなり、前記モノエステル化合物が、組成物全量基準で50質量%以上配合されることを特徴とする金属加工油組成物。
〔2〕上記〔1〕に記載の金属加工油組成物において、40℃動粘度が3mm2/s以上14mm2/s以下であり、引火点が200℃以上であることを特徴とする金属加工油組成物。
〔3〕上記〔1〕または〔2〕に記載の金属加工油組成物において、前記モノエステル化合物が、オレイン酸ブチルであることを特徴とする金属加工油組成物。
本組成物は、炭素数16以上22以下の炭化水素基とカルボキシル基とを有するカルボン酸と、炭素数2以上18以下のアルコールとを反応して得られたモノエステル化合物を配合することを特徴とする。
RCOOR’ (I)
(一般式(I)中、Rは炭素数16から22までの炭化水素基、R’は炭素数2から18までの炭化水素基を示す。)
このようなモノエステルは、例えば、炭素数16から22までの炭化水素基とカルボキシル基とを有するモノカルボン酸と、炭素数2から18までの一価のアルコールとを反応させることにより得られる。
なお、上述したモノエステルの製法は、カルボン酸とアルコールとの脱水反応に限らずエステル交換法を用いてもよい。
炭化水素基の炭素数が16よりも少ないと、本組成物の引火点が低くなり、炭素数が22よりも多いと、本組成物の粘度が高くなり、被加工物に付着して持ち去られる量が多くなり、経済的でなくなる場合があり好ましくない。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール,ジエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ブチレングリコール,ネオペンチルグリコール,グリセリン,トリメチロールエタン,トリメチロールプロパン,ペンタエリスリトール,ソルビトールが挙げられる。
多価アルコールの部分エステルとしてのモノエステルとしては、上記多価アルコールと上記モノカルボン酸とを反応させることにより得られるモノエステルが挙げられる。
モノエステルの40℃における動粘度は、3mm2/s以上14mm2/s以下であって、引火点は、200℃以上であることが好ましい。
また、本組成物において、モノエステル化合物が、組成物全量基準で10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。特に好ましくは70質量%以上であり、最も好ましくは80質量%以上である。モノエステル化合物の配合量が10質量%よりも少ないと、本組成物の粘度を低くすること、および引火点を高くすることができない。
40℃動粘度が3mm2/sよりも低いと、金属加工時にミストが発生し、作業性悪化を招く場合があり好ましくない。
引火点が200℃以上であれば、本組成物を金属加工に用いる場所、例えば工場等において、消防法に対応する設備を軽微にすることができる。
また、本組成物の動摩擦係数は、0.05以上0.2以下であることが好ましい。0.05よりも小さいと、工具が被削材に食いつきにくくなり、加工性能が低下する恐れがある。0.2よりも大きいと、工具と被削材との摩擦が大きくなり、加工性能が低くなる可能性がある。なお、ここで動摩擦係数とは、後述する往復動摩擦試験において測定されるものを言う。
このような本組成物は、動摩擦係数が小さいので、金属加工に用いた場合、加工性能が高く、工具寿命を長くすることができる。特に、切削加工および研削加工、ならびに切削加工または研削加工のいずれかに好適に用いることができる。
油性剤の配合量は、配合効果の点から、組成物全量基準で、0.1〜30質量%程度であり、好ましくは0.5〜10質量%である。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン系化合物、4,4’−ジブチルジフェニルアミン、4,4’−ジペンチルジフェニルアミン、4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、4,4’−ジノニルジフェニルアミンなどのジアルキルジフェニルアミン系化合物、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミンなどのポリアルキルジフェニルアミン系化合物、α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、ブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、ノニルフェニル−α−ナフチルアミンなどのナフチルアミン系化合物が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、五硫化リンとピネンとの反応物などのチオテルペン系化合物、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどのジアルキルチオジプロピオネートなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤の配合量は、組成物全量基準で、0.01〜10質量%程度であり、好ましくは0.03〜5質量%である。
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、チアジアゾールなどを挙げることができる。これら金属不活性化剤の好ましい配合量は、配合効果の点から、組成物全量基準で、通常0.01〜10質量%程度であり、好ましくは0.01〜1質量%である。
消泡剤としては、メチルシリコーン油、フルオロシリコーン油、ポリアクリレートなどを挙げることができる。これらの消泡剤の配合量は、配合効果の点から、組成物全量基準で、通常0.0005〜0.01質量%程度である。
表1に示す配合組成の金属加工油組成物(試料油)を調製した。以下に用いたモノエステルおよび鉱油について示す。
オレイン酸ブチル:花王(株)製 カオールーブ804
オレイン酸メチル:日本油脂(株)製 ユニスターM182A
ポリアルファオレフィン:Neste oil社製 NEXBASE 2004
<鉱油>
鉱物油1:出光興産(株)製 ダイアナ フレシア C−20
鉱物油2:出光興産(株)製 ダイアナ フレシア P−05
鉱物油3:出光興産(株)製 ダイアナ フレシア W8
各試料油につき、40℃動粘度(JIS K 2283準拠)および引火点(JIS K 2265準拠 COC法)を測定するとともに、下記の条件で往復動摩擦試験を行い、動摩擦係数を測定した。結果を表1に示す。
試験機:(株)オリエンテック製 F−2100
球:3/16インチSUJ2
試験板:SPCC−SB
摺動速度:20mm/s
摺動距離:2cm
荷重:3kg
Claims (2)
- 切削加工および研削加工の少なくともいずれかに用いられる金属加工油組成物であって、
オレイン酸ブチルを、組成物全量基準で80質量%以上配合してなる
ことを特徴とする金属加工油組成物 - 請求項1に記載の金属加工油組成物において、
40℃動粘度が3mm2/s以上14mm2/s以下であり、引火点が200℃以上である
ことを特徴とする金属加工油組成物。
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