JP2017517610A - 改善された適合性を有する合成工業用潤滑剤 - Google Patents

Abstract

本発明は、貯蔵安定性および／または塗装適合性および／またはシール適合性を改善するように特に設計された工業用ギア油組成物に関する。この改善は、他の領域において良好な性能を維持しながらも実現される。これらの改善は、ポリアルファオレフィン（ＰＡＯ）基油により作製されたものなどの合成潤滑剤に、特に関連する。貯蔵安定性、塗装適合性および／またはシール適合性の領域における課題が一層顕著になる合成組成物において、特性のこうしたバランスは実現することがこれまで難しかった。本発明はまた、こうした組成物を作製するプロセス、およびその使用方法にも関する。

Description

本発明は、貯蔵安定性および／または塗装適合性および／またはシール適合性を改善するように特に設計された工業用ギア油組成物に関する。この改善は、他の領域において良好な性能を維持しながらも実現される。これらの改善は、ポリアルファオレフィン（ＰＡＯ）基油により作製されたものなどの合成潤滑油に、特に関連する。貯蔵安定性、塗装適合性および／またはシール適合性の領域における課題が一層顕著になる合成組成物において、特性のこうしたバランスは実現することがこれまで難しかった。本発明は、こうした組成物を作製するプロセス、およびその使用方法にも関する。

工業用潤滑剤は、合成基油へとますますシフトしている。これらの合成基油は、鉱物油をベースとする組成物において取り組まれるものとは異なる、配合および性能の問題を引き起こす。潤滑剤のユーザから一層高い性能レベルに対する要求がやはりさらに高まり続けており、これにより、製造業者および配合者は、性能および／または一層良好な性能特性のバランスの重要な改善をわずかでさえも提供することができる技術開発に強いられている。

合成工業用潤滑剤には、合成基油が配合された工業用潤滑剤を含む、相溶化剤が含まれているのが一般的である。これらの相溶化剤は、製品安定性を維持するよう意図されている。工業用潤滑剤において、相溶化剤として一部のポリオールエステルが一般に使用されている。

しかし、これらのエステルは、該エステルがその中に使用される合成工業用潤滑剤の場合、貯蔵安定性および／または塗装適合性および／またはシール適合性の深刻な問題の一因となるか、または該問題の軽減に失敗するかのどちらかを示す。

貯蔵安定性および／または塗装適合性および／またはシール適合性のより優れた性能バランスを有する、合成工業用潤滑剤の改善が継続的に必要とされている。

本発明は、改善された貯蔵安定性および／または塗装適合性および／またはシール適合性を有する、工業用潤滑剤組成物、特に工業用ギア油潤滑剤組成物を提供する。この改善は、他の領域において良好な性能を維持しながらも実現される。これらの改善は、ポリアルファオレフィン（ＰＡＯ）基油により作製されたものなどの合成潤滑剤に、特に顕著である。貯蔵安定性、塗装適合性および／またはシール適合性の領域における課題が一層顕著になる合成組成物において、特性のこうしたバランスは実現することがこれまで難しかった。

本発明は、（ａ）合成基油、（ｂ）工業用添加剤パッケージ、および（ｃ）相溶化剤を含む、工業用潤滑剤組成物であって、該相溶化剤が飽和アルコールを含む、工業用潤滑剤組成物を提供する。一部の実施形態では、飽和アルコールは分枝状である。さらに他の実施形態では、本組成物は、トップトリート（top treat）として添加され得る、消泡剤も含む。

本発明は、相溶化剤が分枝状の第一級飽和アルコールを含む、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。

本発明は、相溶化剤がゲルベアルコールを含む、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。

本発明は、以下の構造：ＨＯ−ＣＨ_２−（Ｒ^１）_ｎ−ＣＲ^２Ｒ^３Ｒ^４（式中、Ｒ^１は１〜２０個の炭素原子を含有しているアルキレン基であり、ｎは０または１のいずれかであり、Ｒ^２、Ｒ^３およびＲ^４はそれぞれ、独立して、水素、または１〜２０個の炭素原子を含有するアルキル基である）を有する少なくとも１つの化合物を含む、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。一部の実施形態では、ｎは０であり、Ｒ^２およびＲ^３は、アルキル基（alky group）であり、Ｒ^４は水素である。これらの実施形態の一部では、Ｒ^２およびＲ^３は、４〜１４個、またはさらに６〜１２個、またはさらに６個および８個、または１０個および１２個の炭素原子を含有する。

本発明は、アルコールが１２〜２８個の炭素原子、または１４〜２６個、または１６〜２４個、または１４〜１８個、またはさらに約１６個の炭素原子を含有する、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。

本発明は、相溶化剤が、２−エチルヘキサノール、２−ブチルオクタノール、２−ヘキシルデカノール、２−オクチルドデカノール、２−デシルテトラデカノール、２−ドデシルヘキサデカノール、またはそれらの任意の組合せを含む、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。一部の実施形態では、本相溶化剤は２−ヘキシルデカノール、２−デシルテトラデカノール、またはそれらの任意の組合せを含む。

本発明は、相溶化剤が、工業用ギア油組成物中に最大２０重量％存在している、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。一部の実施形態では、本相溶化剤が、本記載の工業用潤滑剤組成物中に、０．１、０．２、０．５、１．０またはさらに２．０重量％から２０、１０、５、３、２．５またはさらに２．０重量％まで存在し得る。

本発明は、合成基油が１種または複数のＡＰＩのグループＩＶの基油を含む、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。

本発明は、合成基油が１種または複数のポリアルファオレフィン（ＰＡＯ）を含む、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。適切なＰＡＯには、ＰＡＯ−２、ＰＡＯ−４、ＰＡＯ−５、ＰＡＯ−６、ＰＡＯ−７、ＰＡＯ−８、ＰＡＯ−４０、ＰＡＯ−１００、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。さらに一層適切なＰＡＯには、例えばＥｘｘｏｎＭｏｂｉｌから市販されているＳｐｅｃｔｒａＳｙｎＥｌｉｔｅ（商標）ベースストックである、メタロセンポリアルファオレフィン（ｍＰＡＯ）を挙げることができる。

本発明は、組成物が少量の１種または複数の非合成基油をさらに含む、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。非合成基油の適切な例には、ＡＰＩのグループＩ、グループＩＩおよび／またはグループＩＩＩの基油が挙げられる。

本発明は、組成物が工業用ギア油潤滑剤組成物または油圧潤滑剤組成物（hydraulic lubricant composition）である、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。一部の実施形態では、本組成物は抄紙機用潤滑剤である。

本発明は、工業用潤滑剤向け添加剤パッケージ（industrial lubricant additive package）が、１種もしくは複数の耐摩耗添加剤および／または極圧剤、１種もしくは複数のさび止め剤および／または腐食防止剤、１種もしくは複数の抑泡剤、１種もしくは複数の清浄剤、１種もしくは複数の摩擦調整剤、１種もしくは複数の抗乳化剤、１種もしくは複数の消泡剤、１種もしくは複数の分散剤、あるいはそれらの任意の組合せを含む、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。

本発明は、（ａ）合成基油、（ｂ）工業用添加剤パッケージ、（ｃ）相溶化剤、および（ｄ）摩擦調整剤を含む、工業用潤滑剤組成物であって、該相溶化剤が飽和アルコールを含む、工業用潤滑剤組成物をさらに提供する。一部の実施形態では、摩擦調整剤は、モノオレイン酸グリセロール、オレイル酒石酸アミド、またはそれらの任意の組合せを含む。

本発明は、工業用添加剤パッケージが、０．１〜５．０重量％、または０．５〜１．０重量％、またはさらに０．８〜０．９重量％存在している、本記載の工業用潤滑剤組成物を提供する。相溶化剤は、上記の量のいずれかで存在してもよく、あるいは０．１〜５．０重量％、または０．５〜３．０重量％、またはさらに１．０〜２．５重量％存在することができる。本組成物の残りは、例えば、９０〜９９．８重量％または９６〜９９重量％または９６．６〜９９．８重量％の合成基油によって構成され得る。

本発明は、本記載の工業用潤滑剤組成物のいずれかを作製するプロセスを提供する。本プロセスは、（１）以下の成分：（ａ）合成基油、（ｂ）工業用添加剤パッケージ、および（ｃ）相溶化剤を混合するステップであって、該相溶化剤が飽和アルコールを含むステップを含み、これにより工業用潤滑剤組成物となる。

本発明は、工業用潤滑剤組成物の総合的な貯蔵安定性および／または塗装適合性および／またはシール適合性を改善する方法を提供する。本工業用潤滑剤組成物は、（ａ）合成基油および（ｂ）工業用添加剤パッケージを含み、その方法が、（１）前記工業用潤滑剤組成物に相溶化剤を添加するステップであって、該相溶化剤が第一級飽和アルコールを含む、ステップを含み、貯蔵安定性およびシール適合性のバランスが改善された工業用潤滑剤組成物がもたらされる。一部の実施形態では、本方法は、工業用潤滑剤組成物の貯蔵安定性の改善に対処する。一部の実施形態では、本方法は、工業用潤滑剤組成物の塗装適合性の改善に対処する。一部の実施形態では、本方法は、工業用潤滑剤組成物のシール適合性の改善に対処する。一部の実施形態では、本方法は、これらの特性の一部の組合せの改善に対処する。

様々な好ましい特徴および実施形態が、非限定例によって以下に記載される。

本発明は、（ａ）合成基油、（ｂ）工業用添加剤パッケージ、および（ｃ）相溶化剤を含む、工業用潤滑剤組成物であって、該相溶化剤が飽和アルコールを含む、工業用潤滑剤組成物を提供する。

潤滑粘度の油
本発明の組成物は、潤滑粘度の油、より詳細には１種または複数の合成基油を含む。

潤滑粘度の油は、潤滑剤組成物の場合、主要な量で、または濃縮物および／もしくは添加剤組成物の場合、濃縮物を形成する量で存在することができる。本発明の工業用潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物、または濃縮物および／もしくは添加剤組成物のどちらかとすることができる。

潤滑粘度の合成油には、重合オレフィンおよびインターポリマー化（interpolymerised）オレフィン（例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンイソブチレンコポリマー）などの炭化水素油；ポリ（１−ヘキセン）、ポリ（１−オクテン）、ポリ（１−デセン）およびそれらの混合物；アルキル−ベンゼン（例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ−（２−エチルヘキシル）−ベンゼン）；ポリフェニル（例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニル）；アルキル化ビフェニルエーテルおよびアルキル化ビフェニルスルフィド、ならびにそれらの誘導体、類似体および同族体、またはそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、本発明において使用される潤滑粘度の油は、重合ポリイソブチレン（polymerized polyisobutylene）を含む合成油であり、一部の実施形態では、本発明において使用される潤滑粘度の油は、重合ポリイソブチレンおよびポリアルファオレフィンを含む合成油である。

別の潤滑粘度の合成油には、本明細書において開示されている、ヒドロカルビルでキャップされているポリオキシアルキレンポリオール以外のポリオールエステル、ジカルボン酸エステル、リン含有酸の液体エステル（例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチルおよびデカンホスホン酸のジエチルエステル）、またはポリマー状テトラヒドロフランが挙げられる。慣用的な潤滑粘度の合成油はまた、フィッシャー−トロプシュ反応により生産されるものが挙げられ、通常、水素異性化したフィッシャー−トロプシュ炭化水素またはワックスとすることができる。一実施形態では、潤滑粘度の油は、フィッシャー−トロプシュによるガスツーリキッド合成手順、および他のガスツーリキッド油により調製することができる。

潤滑粘度の油は、アメリカ石油協会（ＡＰＩ）基油互換可能指針（Ａｍｅｒｉｃａｎ Ｐｅｔｒｏｌｅｕｍ Ｉｎｓｔｉｔｕｔｅ（ＡＰＩ） Ｂａｓｅ Ｏｉｌ Ｉｎｔｅｒｃｈａｎｇｅａｂｉｌｉｔｙ Ｇｕｉｄｅｌｉｎｅｓ）において特定されている通り、さらに定義されてもよい。以下の通り、５種の基油が存在する：グループＩ（硫黄含量＞０．０３重量％、および／または＜９０重量％飽和物、粘度指数８０〜１２０）；グループＩＩ（硫黄含量≦０．０３重量％、および≧９０重量％飽和物、粘度指数８０〜１２０）；グループＩＩＩ（硫黄含量≦０．０３重量％、および≧９０重量％飽和物、粘度指数≧１２０）；グループＩＶ（すべてがポリアルファオレフィンであるか、またはＰＡＯ−２、ＰＡＯ−４、ＰＡＯ−５、ＰＡＯ−６、ＰＡＯ−７またはＰＡＯ−８などのＰＡＯである）；およびグループＶ（これは、「他のすべて」を包含する）。

一部の実施形態では、合成基油は、１種または複数のＡＰＩのグループＩＶの基油を含む。一部の実施形態では、合成基油は、１種または複数のポリアルファオレフィン（ＰＡＯ）を含む。適切なＰＡＯには、ＰＡＯ−２、ＰＡＯ−４、ＰＡＯ−５、ＰＡＯ−６、ＰＡＯ−７、ＰＡＯ−８、ＰＡＯ−４０、ＰＡＯ−１００、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。一部の実施形態では、合成基油は、ＰＡＯ−６、ＰＡＯ−４０、ＰＡＯ−１００、またはそれらの任意の組合せを含む。

一部の実施形態では、本工業用潤滑剤組成物はまた、少量の１種または複数の非合成基油を含むことがある。これらの非合成基油の例は、ＡＰＩのグループＩ、グループＩＩまたはグループＩＩＩの基油を含めた、本明細書に記載されているもののいずれかを含む。

一部の実施形態では、これらの非合成基油は、すべてが重量基準で、工業用潤滑剤組成物全体に存在している油分の半分未満しか構成しないか、または工業用潤滑剤組成物全体の３分の１未満しか、４分の１未満しか、または５分の１未満しか構成しないこともある。さらに他の実施形態では、本工業用潤滑剤組成物は、非合成基油を本質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。

非合成基油も存在する場合、潤滑粘度の油は、水素化分解油、水素化油および水素化仕上げ油、未精製油、精製油および再精製油、またはそれらの混合物に由来する天然油および合成油を含むことができる。未精製油は、一般に、さらなる精製処理のない（または、ほとんどない）、天然または合成源から直接得られたものである。精製油は、未精製油が１つまたは複数の精製工程でさらに処理されて、１つまたは複数の特性が改善されていることを除くと、未精製油と類似している。精製技法は当技術分野で公知であり、溶媒抽出、二次蒸留、酸または塩基抽出、ろ過、パーコレーション、および類似のプロセスを含む。再精製油は、再生油または再処理油としても公知であり、精製油を得るために使用されるものに類似したプロセスによって得られる。再精製油は、廃添加物（spent additive）および油の分解生成物を除去することを指向した技法により処理されることが多い。潤滑粘度の油として有用な天然油には、動物油および植物油（例えば、ヒマシ油、ラード油）、無機潤滑油（例えば、液状石油、およびパラフィンタイプ、ナフテンタイプまたはパラフィンとナフテンとの混合タイプの、溶媒処理または酸処理された無機潤滑油）、および石炭もしくはシェールに由来する油、またはそれらの混合物が挙げられる。

本発明の組成物は、ある量のグループＩ、ＩＩおよびＩＩＩの基油を含むことができ、グループＶの基油さえ含むことができる。しかし、一部の実施形態では、本発明の潤滑油成分は、グループＩ、ＩＩ、ＩＩＩおよび／またはＶの基油を２０、１０、５、またはさらに１重量％以下で含有する。他の実施形態では、本発明の組成物中に存在している潤滑油は、少なくとも６０、７０、８０、９０、またはさらに９８重量％のグループＩＶの基油である。一部の実施形態では、本発明の組成物中に存在している潤滑油は、実質的にグループＩＶの基油だけであり、この場合、他のタイプの基油が少量存在していることがあり得るが、組成物全体の特性または性能に有意に影響を及ぼす量ではない。

完全に配合された潤滑剤では、潤滑粘度の油は、一般に、主要量（すなわち、５０重量％を超える量）で存在している。通常、潤滑粘度の油は、組成物全体の７５〜９８重量％の量で存在しており、８０重量％超で存在していることが多い。

記載されている様々な潤滑粘度の油を単独で、または組み合わせて使用することができる。潤滑粘度の油（存在する油のすべてを考慮する）は、約４０もしくは５０重量％から約９９重量％、または４９．８、７０、８５、９３、９３．５もしくはさらに９７重量％の最小量から、９９．８、９９、９８．５もしくはさらに９７重量％の最大量までの範囲で、本記載の工業用潤滑剤組成物中に使用することができる。他の実施形態では、潤滑粘度の油は、４０、６５、７３、７３．５またはさらに８１重量％の最小量から９９．８、９９．７、９８．８、９４．３、８８．５またはさらに８１重量％の最大量で使用することができる。

さらに他の実施形態では、潤滑粘度の油は、５０、７０、７５、８６、８６．８もしくはさらに９２．０５重量％の最小量から９９．６、９９．５、９８．５、９８．４もしくはさらに９８．２重量％の最大量まで、または８０、９０、９５、９６、９６．８もしくはさらに９７．０５重量％の最小量から９９．６、９９．５、９９．４もしくはさらに９９．２重量％の最大量まで、または５０〜９９．６、５０〜９９．５、７０〜９９．５、７５〜９８．５、８６〜９８．４、８６．８〜９８．４もしくはさらに９２．０５〜９８．２重量％、さらなる実施形態では、８０〜９９．６、９０〜９９．６、９５〜９９．５、９６〜９９．４、９６．８〜９９．４もしくはさらに９７．０５〜９９．２重量％使用することができる。

さらに他の実施形態では、潤滑粘度の油は、６０〜９７または８０〜９７またはさらに８５〜９７重量％使用することができる。言いかえると、本明細書に記載されている組成物は、潤滑粘度の油を少なくとも６０、８０、またはさらに８５重量％含有することができる。

濃縮組成物では、通常、添加剤および他の成分の量は同一のままであるが、組成物を一層高い濃度とするため、ならびに保管および／または輸送を一層効率よくするため、潤滑粘度の油の量は低減される。当業者であれば、濃縮および／または添加剤組成物を提供するために、潤滑粘度の油の量を容易に調節することができる。

相溶化剤
本発明の組成物は、１種または複数の飽和アルコールを含む相溶化剤を含む。

適切な相溶化剤は、直鎖状および分枝状飽和アルコールを含むが、一部の実施形態では、該相溶化剤は１種または複数の分枝状飽和アルコールを含む。一部の実施形態では、相溶化剤は直鎖状飽和アルコールを本質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。

一部の実施形態では、相溶化剤は分枝状の第一級飽和アルコールを含む。一部の実施形態では、相溶化剤は不飽和アルコールを本質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。一部の実施形態では、相溶化剤は第二級アルコールを本質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。

一部の実施形態では、相溶化剤は１種または複数のゲルベアルコールを含む。ゲルベアルコールは、Ｍａｒｃｅｌ Ｇｕｅｒｂｅｔの名をとって命名された、ゲルベ反応によって作製されるアルコールとして説明することができる。ゲルベ反応では、第一級脂肪族アルコールは、そのβ−アルキル化二量体アルコール（すなわち、分枝状の第一級飽和アルコール）に変換される。

一部の実施形態では、本相溶化剤は以下の構造：ＨＯ−ＣＨ_２−（Ｒ^１）_ｎ−ＣＲ^２Ｒ^３Ｒ^４（式中、Ｒ^１は１〜２０個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、ｎは０または１のいずれかであり、Ｒ^２、Ｒ^３およびＲ^４はそれぞれ、独立して、水素、または１〜２０個の炭素原子を含有するアルキル基である）を有する、少なくとも１つの化合物を含む。一部の実施形態では、ｎは０であり、Ｒ^２およびＲ^３はアルキル基であり、Ｒ^４は水素である。こうした実施形態では、Ｒ^２およびＲ^３は４〜１４個、またはさらに６〜１２個の炭素原子を含むことができる。さらなる実施形態では、Ｒ^２およびＲ^３は、６個および８個、または１０個および１２個の炭素原子を含有する。

本発明において有用な相溶化剤の適切な例には、２−エチルヘキサノール、２−ブチルオクタノール、２−ヘキシルデカノール、２−オクチルドデカノール、２−デシルテトラデカノール、２−ドデシルヘキサデカノール、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。これらのタイプのアルコールは、Ｓａｓｏｌから市販されており、ＩＳＯＦＯＬ（登録商標）アルコールとして市販されている。

一部の実施形態では、本相溶化剤は、２−ヘキシルデカノール、２−デシルテトラデカノール、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、本相溶化剤は２−ヘキシルデカノールを含む。一部の実施形態では、本相溶化剤は２−デシルテトラデカノールを含む。

本相溶化剤は、２重量％またはそれ超で工業用潤滑剤組成物中に存在し得る。一部の実施形態では、本相溶化剤は、工業用潤滑剤組成物中に２〜２０、またはさらに２〜１０重量％存在する。

工業用添加剤パッケージ
本発明の組成物は、工業用添加剤パッケージを含んでおり、このパッケージは、工業用潤滑剤向け添加剤パッケージと呼ばれることもある。言いかえれば、本発明の組成物は、工業用潤滑剤、またはそれを作製するための添加剤パッケージとして設計されている。本発明は、自動車のギア用潤滑剤または他の潤滑組成物に関するものではない。

一部の実施形態では、本工業用潤滑剤向け添加剤パッケージは、抗乳化剤、分散剤および金属不活性化剤を含む。工業用途向けに設計されている従来の添加剤パッケージのいかなる組合せも使用することができる。一部の実施形態では、本発明は、添加剤パッケージが本明細書に記載されている相溶化剤を実質的に含まないこと、そうでない場合、完全に含まないこと、または少なくとも本発明によって特定されているタイプの相溶化剤を特定量で含んでいないことを特定する。

工業用添加剤パッケージ中に存在し得る添加剤には、抑泡剤、抗乳化剤、流動点降下剤、酸化防止剤、分散剤、金属不活性化剤（銅不活性化剤など）、耐摩耗剤、極圧剤、粘度調整剤、またはそれらのいくつかの混合物が挙げられる。添加剤は５０、７５、１００もしくはさらに１５０重量ｐｐｍから５、４、３、２もしくはさらに１．５重量％まで、または７５重量ｐｐｍ〜０．５重量％、１００重量ｐｐｍ〜０．４重量％、または１５０重量ｐｐｍ〜０．３重量％の範囲でそれぞれ存在することができ、この場合、上記の重量％の値は、潤滑剤組成物全体に関するものである。他の実施形態では、工業用添加剤パッケージ全体は、潤滑剤組成物全体の１〜２０または１〜１０重量％存在している。しかし、粘度改変ポリマーを含めた、基流体の一部として代替的に見なすことができる一部の添加剤は、基流体とは別と見なした場合、最大３０、４０、またはさらに５０重量％まで含めた、一層高い量で存在してもよい。これらの添加剤は、単独で使用されてもよく、またはそれらの混合物として使用されてもよい。

本発明の組成物は、抑泡剤としても公知の消泡剤も含んでもよく、消泡剤は、以下に限定されないが、有機シリコーンおよび非ケイ素抑泡剤を含む。有機物シリコーンの例には、ジメチルシリコーンおよびポリシロキサンが挙げられる。非ケイ素抑泡剤の例には、以下に限定されないが、ポリエーテル、ポリアクリレートおよびそれらの混合物、ならびにアクリル酸エチルと、２−エチルヘキシルアクリレートと、場合により酢酸ビニルとのコポリマーが挙げられる。一部の実施形態では、消泡剤はポリアクリレートである。消泡剤は、本組成物中に、０．００１〜０．０１２ｐｂｗもしくは０．００４ｐｂｗ、またはさらに０．００１〜０．００３ｐｂｗ存在することができる。

本発明の組成物はまた、抗乳化剤も含むことができ、これには、以下に限定されないが、プロピレンオキシドの誘導体、エチレンオキシド、ポリオキシアルキレンアルコール、アルキルアミン、アミノアルコール、ジアミン、またはエチレンオキシドもしくは置換エチレンオキシドと逐次反応させたポリアミン、あるいはそれらの混合物が挙げられる。抗乳化剤の例には、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、（エチレンオキシド−プロピレンオキシド）ポリマーおよびそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、抗乳化剤はポリエーテルである。抗乳化剤は、本組成物中に、０．００２〜０．２ｐｂｗで存在することができる。

本発明の組成物はまた、流動点降下剤を含んでもよく、これには、以下に限定されないが、無水マレイン酸−スチレンコポリマーのエステル、ポリメタクリレート；ポリアクリレート；ポリアクリルアミド；ハロパラフィンワックスと芳香族化合物との縮合生成物；ビニルカルボキシレートポリマー；およびフマル酸ジアルキルのターポリマー、脂肪酸のビニルエステル、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合樹脂、アルキルビニルエーテル、およびそれらの混合物が挙げられる。

本発明の組成物はまた、上記の添加剤の一部以外の、さび止め剤も含むことができる。適切なさび止め剤には、ジアルキルジチオリン酸のヒドロカルビルアミン塩、ヒドロカルビルアレーンスルホン酸のヒドロカルビルアミン塩、脂肪カルボン酸またはそのエステル、窒素含有カルボン酸のエステル、スルホン酸アンモニウム、イミダゾリン、モノ−チオリン酸塩もしくはエステル、またはそれらの任意の組合せ、またはそれらの混合物が挙げられる。本発明のジアルキルジチオリン酸のヒドロカルビルアミン塩の例には、以下に限定されないが、上記のもの、ならびにジチオリン酸ジヘプチルもしくはジチオリン酸ジオクチルもしくはジチオリン酸ジノニルと、エチレンジアミン、モルホリンもしくはＰｒｉｍｅｎｅ（商標）８１Ｒとの反応生成物、またはそれらの混合物が挙げられる。本発明のさび止め剤パッケージにおいて使用されるヒドロカルビルアレーンスルホン酸の適切なヒドロカルビルアミン塩は、以下の式：

（式中、Ｃｙはベンゼンまたはナフタレン環である）によって表される。Ｒ^１は、約４〜約３０個、好ましくは約６〜約２５個、より好ましくは約８〜約２０個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。ｚは、独立して１、２、３または４であり、最も好ましくは、ｚは１または２である。Ｒ^２、Ｒ^３およびＲ^４は、上記と同じである。本発明のヒドロカルビルアレーンスルホン酸のヒドロカルビルアミン塩の例には、以下に限定されないが、ジノニルナフタレンスルホン酸のエチレンジアミン塩が挙げられる。適切な脂肪カルボン酸またはそのエステルの例には、モノオレイン酸グリセロールおよびオレイン酸が挙げられる。窒素含有カルボン酸の適切なエステルの一例には、オレイルサルコシンが挙げられる。さび止め剤は、潤滑油組成物の０．０２〜０．２重量％、０．０３〜０．１５重量％、０．０４〜０．１２重量％、または０．０５〜０．１重量％の範囲で存在することができる。本発明のさび止め剤は、単独で、またはそれらの混合物で使用することができる。

本発明の組成物はまた、金属不活性化剤を含んでもよい。金属不活性化剤は、潤滑油中で酸化を促進する金属の触媒作用を中和するために使用される。適切な金属不活性化剤には、以下に限定されないが、トリアゾール、トリルトリアゾール、チアジアゾール、またはそれらの組合せ、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。上記のもの以外のベンゾトリアゾール誘導体の例には、ベンゾイミダゾール、２−アルキルジチオベンゾイミダゾール、２−アルキルジチオベンゾチアゾール、２−（Ｎ，Ｎ’−ジアルキルジチオ−カルバモイル）ベンゾチアゾール、２，５−ビス（アルキル−ジチオ）−１，３，４−チアジアゾール、２，５−ビス（Ｎ，Ｎ’−ジアルキルジチオカルバモイル）−１，３，４−チアジアゾール、２−アルキルジチオ−５−メルカプトチアジアゾールまたはそれらの混合物が挙げられる。これらの添加剤は、組成物全体中、０．０１〜０．２５重量％、使用することができる。一部の実施形態では、金属不活性化剤は、ヒドロカルビル置換ベンゾトリアゾール化合物である。ヒドロカルビル置換基（substitution）を有するベンゾトリアゾール化合物には、以下の環位置、すなわち１−または２−または４−または５−または６−または７−ベンゾトリアゾールの少なくとも１つが挙げられる。ヒドロカルビル基は、約１〜約３０個、好ましくは約１〜約１５個、より好ましくは約１〜約７個の炭素原子を含有し、最も好ましくは、金属不活性化剤は、単独で使用される５−メチルベンゾトリアゾールまたはその混合物である。金属不活性化剤は、潤滑油組成物の０．００１〜０．５ｐｂｗ、０．０１〜０．０４ｐｂｗまたは０．０１５〜０．０３ｐｂｗの範囲で存在することができる。金属不活性化剤はまた、組成物中、０．００２ｐｂｗ、または０．００４〜０．０２ｐｂｗで存在することができる。金属不活性化剤は、単独で使用されてもよく、またはそれらの混合物として使用されてもよい。

本発明の組成物は、（ｉ）アルキル化ジフェニルアミン、および（ｉｉ）置換ヒドロカルビルモノ−スルフィドを含めた、酸化防止剤を含んでもよい。一部の実施形態では、本発明のアルキル化ジフェニルアミンは、ビス−ノニル化ジフェニルアミンおよびビス−オクチル化ジフェニルアミンである。一部の実施形態では、置換ヒドロカルビルモノスルフィドには、ｎ−ドデシル−２−ヒドロキシエチルスルフィド、１−（ｔｅｒｔ−ドデシルチオ）−２−プロパノール、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、置換ヒドロカルビルモノスルフィドは、１−（ｔｅｒｔ−ドデシルチオ）−２−プロパノールである。酸化防止剤パッケージは、立体障害フェノールも含むことができる。立体障害フェノールの場合の適切なヒドロカルビル基の例には、以下に限定されないが、２−エチルヘキシルまたはｎ−ブチルエステル、ドデシルまたはそれらの混合物が挙げられる。メチレン架橋立体障害フェノールの例には、以下に限定されないが、４，４’−メチレン−ビス（６−ｔｅｒｔ−ブチルｏ−クレゾール）、４，４’−メチレン−ビス（２−ｔｅｒｔ−アミル−ｏ−クレゾール）、２，２’−メチレン−ビス（４−メチル−６−ｔｅｒｔ−ブチルフェノール）、４，４’−メチレン−ビス（２，６−ジ−ｔｅｒｔブチルフェノール）またはそれらの混合物が挙げられる。

本発明の組成物はまた、窒素含有分散剤、例えば、ヒドロカルビル置換されている窒素含有添加剤も含んでもよい。適切なヒドロカルビル置換されている窒素含有添加剤には、無灰分散剤およびポリマー分散剤が挙げられる。無灰分散剤は、供給されると、金属を含有しておらず、それ故に、潤滑剤に添加された場合、通常、硫酸塩灰分の一因とはならないので、そのように命名されている。しかし、それらは、当然ながら、一旦、金属含有化学種を含む潤滑剤に加えられると、周囲金属と相互作用し得る。無灰分散剤は、比較的高い分子量の炭化水素鎖に結合している極性基を特徴としている。こうした物質の例には、スクシンイミド分散剤、Ｍａｎｎｉｃｈ分散剤、およびホウ素化（borated）誘導体が挙げられる。

本発明の組成物はまた、硫黄含有化合物を含んでもよい。適切な硫黄含有化合物には、硫化オレフィンおよびポリスルフィドが挙げられる。硫化オレフィンまたはポリスルフィドは、イソブチレン、ブチレン、プロピレン、エチレン、またはさらにそれらのいくつかの組合せに由来することができる。一部の実施例において、硫黄含有化合物は、上記の天然油または合成油のいずれかに由来する硫化オレフィンであるか、またはそれらのいくつかの組合せである。例えば、硫化オレフィンは、植物油に由来してもよい。

本発明の組成物はまた、脂肪ホスファイトなどのリン含有化合物を含んでもよい。リン含有化合物は、ヒドロカルビルホスファイト、リン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の実施形態では、リン含有化合物には、ヒドロカルビルホスファイト、そのエステル、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、リン含有化合物には、ヒドロカルビルホスファイトが挙げられる。一部の実施形態では、ヒドロカルビルホスファイトはアルキルホスファイトである。アルキルとは、炭素原子と水素原子しか含まないアルキル基を意味するが、飽和アルキル基もしくは不飽和アルキル基のいずれか、またはそれらの混合物が企図される。一部の実施形態では、リン含有化合物には、完全飽和アルキル基を有するアルキルホスファイトが挙げられる。一部の実施形態では、リン含有化合物には、ある不飽和、例えば、炭素原子間に１つの二重結合を有するアルキル基を有するアルキルホスファイトが挙げられる。こうした不飽和アルキル基はまた、アルケニル基とも呼ぶことができるが、特に明記されていない限り、本明細書において使用される用語「アルキル基」に含まれている。一部の実施形態では、リン含有化合物には、アルキルホスファイト、リン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。一部の実施形態では、リン含有化合物には、アルキルホスファイト、そのエステル、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、リン含有化合物には、アルキルホスファイトが挙げられる。一部の実施形態では、リン含有化合物には、アルケニルホスファイト、リン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。一部の実施形態では、リン含有化合物には、アルケニルホスファイト、そのエステル、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、リン含有化合物には、アルケニルホスファイトが挙げられる。一部の実施形態では、リン含有化合物には、亜リン酸水素ジアルキルが挙げられる。一部の実施形態では、リン含有化合物は、リン酸エステルおよび／またはそのアミン塩を実質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。一部の実施形態では、リン含有化合物は、脂肪ホスファイトとして記載されることがある。適切なホスファイトには、４個もしくはそれ超、または８個もしくはそれ超、または１２個もしくはそれ超の炭素原子を有する、少なくとも１つのヒドロカルビル基を有するものが挙げられる。ヒドロカルビル基上の炭素原子数に関する典型的な範囲には、８〜３０個、または１０〜２４個、または１２〜２２個、または１４〜２０個、または１６〜１８個が含まれる。ホスファイトは、モノ−ヒドロカルビル置換ホスファイト、ジ−ヒドロカルビル置換ホスファイトまたはトリ−ヒドロカルビル置換ホスファイトとすることができる。一実施形態では、ホスファイトは硫黄を含まない。すなわち、ホスファイトはチオホスファイトではない。４個またはそれ超の炭素原子を有する少なくとも１つのヒドロカルビル基を有するホスファイトは、以下の式：

（式中、Ｒ^６、Ｒ^７およびＲ^８の少なくとも１つは、少なくとも４個の炭素原子を含むヒドロカルビル基とすることができ、その他は、水素またはヒドロカルビル基とすることができる）によって表すことができる。一実施形態ではＲ^６、Ｒ^７およびＲ^８はすべてヒドロカルビル基である。ヒドロカルビル基は、アルキル、シクロアルキル、アリール、非環式またはそれらの混合とすることができる。３つの基Ｒ^６、Ｒ^７およびＲ^８のすべてを有する式では、上記の化合物は、トリ−ヒドロカルビル置換ホスファイトとすることができ、すなわち、Ｒ^６、Ｒ^７およびＲ^８はすべて、ヒドロカルビル基であり、一部の実施形態では、アルキル基とすることができる。アルキル基は、直鎖状または分枝状の、通常、直鎖状の飽和または不飽和、通常、飽和とすることができる。Ｒ^６、Ｒ^７およびＲ^８に関するアルキル基の例には、オクチル、２−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、オクタデセニル、ノナデシル、エイコシルまたはそれらの混合が挙げられる。一部の実施形態では、本発明の脂肪ホスファイトの成分、および／または組成物全体は、リン酸エステルおよび／またはそのアミン塩を実質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。一部の実施形態では、脂肪ホスファイトは、アルケニルホスファイトまたはそれらのエステル、例えば、亜リン酸水素ジメチルのエステルを含む。亜リン酸水素ジメチルは、エステル化されていてもよく、一部の実施形態では、アルコール、例えばオレイルアルコールとの反応によりエステル交換反応され得る。

本発明の組成物はまた、１種または複数の亜リン酸アミン塩（phosphorous amine salts）を含んでもよいが、本添加剤パッケージ、または他の実施形態では、得られた工業用潤滑剤組成物が、こうした物質を１．０重量％以下、またはさらに０．７５もしくは０．６重量％以下含む量で、上記亜リン酸アミン塩を含んでもよい。他の実施形態では、本工業用潤滑剤向け添加剤パッケージまたは得られた工業用潤滑剤組成物は、亜リン酸アミン塩を実質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。

本発明の組成物はまた、１種もしくは複数の耐摩耗添加剤および／または極圧剤、１種もしくは複数のさび止め剤および／または腐食防止剤、１種もしくは複数の抑泡剤、１種もしくは複数の抗乳化剤、あるいはそれらの任意の組合せを含むことができる。

一部の実施形態では、本工業用潤滑剤向け添加剤パッケージまたは得られた工業用潤滑剤組成物は、亜リン酸アミン塩、分散剤、またはそれらの両方を実質的に含まないか、または完全に含まないことさえある。

一部の実施形態では、本工業用潤滑剤向け添加剤パッケージまたは得られた工業用潤滑剤組成物は、抗乳化剤、腐食防止剤、摩擦調整剤、それらの２つまたはそれ超の組合せを含む。一部の実施形態では、腐食防止剤はトリルトリアゾールを含む。さらに他の実施形態では、本工業用添加剤パッケージまたは得られた工業用潤滑剤組成物は、１種もしくは複数の硫化オレフィンまたはポリスルフィド、１種もしくは複数のリンアミン塩（phosphorus amine salt）、１種もしくは複数のチオリン酸エステル、１種もしくは複数のチアジアゾール、トリルトリアゾール、ポリエーテルおよび／またはアルケニルアミン、１種もしくは複数のエステルコポリマー、１種もしくは複数のカルボン酸エステル、１種もしくは複数のスクシンイミド分散剤、あるいはそれらの任意の組合せを含む。

本工業用潤滑剤向け添加剤パッケージは、工業用潤滑剤全体中に、１〜５重量％で存在することができ、他の実施形態では、１、１．５重量％またはさらに２重量％から２、３、４、５、７またはさらに１０重量％まで存在することができる。本発明の工業用ギア濃縮組成物中に存在することができる、工業用ギア添加剤パッケージの量は、上記の重量％に対応する量であり、この場合、これらの値は、存在している油分を含まないと見なされる（すなわち、それらは、存在する油分の実際の量と一緒にした、ｐｂｗ値として取り扱うことができる）。

本発明の組成物はまた、ヒドロキシ−カルボン酸の誘導体を含んでもよい。適切な酸は、１〜５もしくは２つのカルボキシ基、または１〜５もしくは２つのヒドロキシ基を含むことができる。一部の実施形態では、摩擦調整剤は、以下の式：

（式中、ａおよびｂは独立して、１〜５または１〜２の整数とすることができ、Ｘは脂肪族もしくは脂環式基、または炭素鎖中に酸素原子を含有する脂肪族もしくは脂環式基、または上述のタイプの置換されている基とすることができ、前記基は、最大６個の炭素原子を含有しており、および利用可能な結合点ａ＋ｂを有しており、Ｙはそれぞれ独立して、−Ｏ−、＞ＮＨもしくは＞ＮＲ^３とすることができるか、または２つのＹが一緒になって、２つのカルボニル基間に形成される、イミド構造Ｒ^４−Ｎ＜の窒素を表し、Ｒ^３およびＲ^４はそれぞれ独立して、水素またはヒドロカルビル基とすることができるが、但し、少なくとも１つのＲ^１およびＲ^３基はヒドロカルビル基とすることができる条件とし、Ｒ^２はそれぞれ独立して、水素、ヒドロカルビル基またはアシル基とすることができるが、さらに、少なくとも１つの−ＯＲ^２基は、Ｘ内の、−Ｃ（Ｏ）−Ｙ−Ｒ^１基の少なくとも１つに対してαまたはβである炭素原子上に位置している条件とし、さらにＲ^２上は少なくとも水素である条件とする）によって表されるヒドロキシ−カルボン酸から誘導される。ヒドロキシ−カルボン酸は、縮合反応によりアルコールおよび／またはアミンと反応させて、ヒドロキシ−カルボン酸の誘導体が形成され、このヒドロキシ−カルボン酸の誘導体は、本明細書において摩擦調整剤添加剤と称されることもある。一実施形態では、ヒドロキシ−カルボン酸の誘導体の調製において使用されるヒドロキシ−カルボン酸は、以下の式：

（式中、Ｒ^５はそれぞれ独立して、Ｈまたはヒドロカルビル基であるか、またはＲ^５基は一緒になって環を形成する）によって表される。一実施形態では、Ｒ^５がＨである場合、縮合生成物は、場合により、アシル化によってまたはホウ素化合物との反応によってさらに官能基化される。別の実施形態では、摩擦調整剤はホウ素化されていない。上記の実施形態のいずれにおいても、ヒドロキシ−カルボン酸は、酒石酸、クエン酸またはそれらの組合せとすることができ、こうした酸の反応性等価体（エステル、酸ハロゲン化物または無水物を含む）とすることもできる。得られた摩擦調整剤は、酒石酸、クエン酸またはそれらの混合物のイミド、ジ−エステル、ジ−アミドもしくはエステル−アミド誘導体を含むことができる。一実施形態では、ヒドロキシカルボン酸の誘導体には、酒石酸もしくはクエン酸のイミド、ジ−エステル、ジ−アミド、イミドアミド、イミドエステルまたはエステル−アミド誘導体が挙げられる。一実施形態では、ヒドロキシカルボン酸の誘導体には、酒石酸のイミド、ジ−エステル、ジ−アミド、イミドアミド、イミドエステルまたはエステル−アミド誘導体が挙げられる。一実施形態では、ヒドロキシカルボン酸の誘導体には、酒石酸のエステル誘導体が挙げられる。一実施形態では、ヒドロキシカルボン酸の誘導体には、酒石酸のイミドおよび／またはアミド誘導体が挙げられる。摩擦調整剤の調製において使用されるアミンは、式ＲＲ’ＮＨを有することができ、ＲおよびＲ’はそれぞれ独立して、Ｈ、１もしくは８個から３０もしくは１５０個の炭素原子、すなわち１〜１５０個、または８〜３０個、または１〜３０個、または８〜１５０個の原子の炭化水素系ラジカルを表す。２個、３個、４個、６個、１０個または１２個の炭素原子の下限値、および１２０個、８０個、４８個、２４個、２０個、１８個または１６個の炭素原子の上限値を有する、炭素原子の範囲を有するアミンも使用することができる。一実施形態では、基ＲおよびＲ’のそれぞれは、８または６個から３０または１２個の炭素原子を有する。一実施形態では、ＲおよびＲ’中の炭素原子の合計は、少なくとも８個である。ＲおよびＲ’は、直鎖状または分枝状とすることができる。摩擦調整剤の調製に有用なアルコールは、１また８個から３０または１５０個の炭素原子を同様に有する。２個、３個、４個、６個、１０個または１２個の炭素原子の下限値から１２０個、８０個、４８個、２４個、２０個、１８個または１６個の炭素原子の上限値までの、炭素原子の範囲を有するアルコールも使用することができる。ある種の実施形態では、アルコールに由来する基中の炭素原子数は、８〜２４個、１０〜１８個、１２〜１６個または１３個の炭素原子とすることができる。アルコールおよびアミンは、直鎖状または分枝状とすることができ、分枝状である場合、鎖中の任意の点で分枝が発生していてもよく、およびこの分枝は任意の長さであってもよい。一部の実施形態では、使用されるアルコールおよび／またはアミンには分枝状化合物が含まれ、さらに他の実施形態では、使用されるアルコールおよびアミンは、少なくとも５０％、７５％、またはさらに８０％の分枝である。他の実施形態では、アルコールは直鎖状である。一部の実施形態では、アルコールおよび／またはアミンは、少なくとも６個の炭素原子を有する。したがって、本発明のある種の実施形態は、少なくとも６個の炭素原子の分枝状アルコールおよび／またはアミンから調製される生成物、例えば、分枝状Ｃ_６〜１８もしくはＣ_８〜１８アルコール、または分枝状Ｃ_{１２〜１６}アルコールを、単一物質としてまたは混合物としてのどちらかで使用する。具体例には、２−エチルヘキサノールおよびイソトリデシルアルコールが挙げられ、後者のイソトリデシルアルコールは、様々な異性体の商業グレードの混合物を表すことができる。本発明のある種の実施形態はまた、少なくとも６個の炭素原子の直鎖状アルコールから調製される生成物、例えば、直鎖状Ｃ_６〜１８もしくはＣ_８〜１８アルコール、または直鎖状Ｃ_{１２〜１６}アルコールを、単一物質としてまたは混合物としてのどちらかで使用する。本発明のタルトレート、酒石酸イミドまたは酒石酸アミドを調製するための酒石酸は、市販のタイプ（Ｓａｒｇｅｎｔ Ｗｅｌｃｈから得られる）とすることができ、酒石酸は、多くの場合、供給源（天然）または合成方法（例えば、マレイン酸から）に応じて、ｄ−酒石酸、ｌ−酒石酸、ｄ，ｌ−酒石酸またはメソ酒石酸などの１種または複数の異性体で存在する。これらの誘導体はまた、当業者に容易に明らかな、エステル、酸塩化物、無水物などの二酸と機能的に等価なものから調製することもできる。他の実施形態では、摩擦調整剤には、モノオレイン酸グリセロールが挙げられる。

一部の実施形態では、本添加剤パッケージは、１種または複数の腐食防止剤、１種または複数の分散剤、１種または複数の耐摩耗および／または極圧添加剤、１種または複数の極圧剤、１種または複数の消泡剤、１種または複数の清浄剤、および場合により希釈剤としてある量の基油または類似溶媒を含む。一部の実施形態では、本添加剤パッケージは、少なくとも１種の摩擦調整剤（friction modified）、および少なくとも１種の抗乳化剤を含み、場合により、１種または複数の追加の添加剤も同様に存在する。

追加の添加剤は、全工業用ギア潤滑剤組成物中、０．１〜３０重量％、または０．１、１もしくはさらに２重量％の最小レベルから、３０、２０、１０、５もしくはさらに２重量％の最大レベルまで、または０．１〜３０重量％、０．１〜２０重量％、１〜２０重量％、１〜１０重量％、１〜５重量％、またはさらに約２重量％で、存在することができる。これらの範囲および境界値は、本組成物中に存在している個々の追加の添加剤それぞれに、または存在している追加の添加剤のすべてに当てはまり得る。

産業上の利用
上記の通り、本発明は、工業用潤滑剤組成物と、工業用潤滑剤組成物を作製するために使用することができる、工業用添加剤濃縮組成物との両方を含む。一部の実施形態では、本発明の工業用潤滑剤組成物は、工業用ギア潤滑剤組成物である。一部の実施形態では、本発明の工業用潤滑剤組成物は、油圧潤滑剤組成物である。

上記の成分に関する様々な範囲は、（ａ）の量を調節しながら（すなわち、濃縮組成物では、潤滑剤組成物に比べて、（ａ）の量はかなり少ない）、成分（ｂ）と（ｃ）との間の相対比を同一に維持することによって、濃縮組成物に当てはめることができる。こうした実施形態では、成分（ｂ）および（ｃ）に関する重量％の値は重量部（ｐｂｗ）として取り扱うことができ、油分は、０ｐｂｗまたは０．１ｐｂｗまたは０．５ｐｂｗまたはさらに１ｐｂｗから、１０ｐｂｗ、２０ｐｂｗ、３０ｐｂｗまたはさらに４０ｐｂｗもしくは５０ｐｂｗまでの油分および／または基流体のいずれも含めて、濃縮組成物の残りを構成する。

本発明は、本記載の工業用潤滑剤組成物のいずれかを作製するためのプロセスを提供する。本プロセスは、（１）以下の成分：（ａ）合成基油、（ｂ）工業用添加剤パッケージおよび（ｃ）相溶化剤を混合するステップであって、該相溶化剤が飽和アルコールを含む、ステップを含み、これにより、工業用潤滑剤組成物がもたらされる。こうしたプロセスは、記載されている成分を一緒に混合するステップを含む。添加の特定の順序または手段が、その結果に有意な影響を及ぼすとは考えられない。

本発明は、工業用潤滑剤組成物の総合的な貯蔵安定性および／または塗装適合性および／またはシール適合性を改善する方法を提供する。本工業用潤滑剤組成物は、（ａ）合成基油および（ｂ）工業用添加剤パッケージを含み、その方法が、（１）前記工業用潤滑剤組成物に相溶化剤を添加するステップであって、該相溶化剤が第一級飽和アルコールを含む、ステップを含み、これにより、貯蔵安定性およびシール適合性のバランスが改善された工業用潤滑剤組成物がもたらされる。

一部の実施形態では、本方法は、工業用潤滑剤組成物の貯蔵安定性の改善に対処する。一部の実施形態では、本方法は、工業用潤滑剤組成物の塗装適合性の改善に対処する。一部の実施形態では、本方法は、工業用潤滑剤組成物のシール適合性の改善に対処する。一部の実施形態では、本方法は、これらの特性の一部の組合せの改善に対処する。上記の改善は、成分（ｂ）を含まない、および／または成分（ｂ）の代替物、例えば、今日、産業界で広く使用されているエステル物質を使用したものと同じ工業用潤滑剤組成物に対するものである。こうした比較となる工業用潤滑剤組成物は、上記の少なくとも１つの領域が欠いているものと予期することができる。

記載されているそれぞれの化学成分の量は、任意の溶媒または希釈油を除外して示されており、これらは、特に示さない限り、市販物質中に、すなわち活性化学品基準で慣用的に存在し得る。しかし、特に示さない限り、本明細書において言及されている化学品または組成物はそれぞれ、商業グレードの物質として解釈すべきであり、この商業グレードの物質は、異性体、副生成物、誘導体、および商業グレード中に存在しているものと通常、理解されるこうした他の物質を含んでいることがある。

本明細書で使用する場合、用語「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」は、その通常の意味で使用され、それらは当業者に周知である。具体的には、それは、分子の残りに直接結合している炭素原子を有する基であって、および炭化水素特性を主に有する基を指す。ヒドロカルビル基の例には、（ｉ）炭化水素置換基、すなわち脂肪族（例えば、アルキルまたはアルケニル）、脂環式（例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル）置換基、ならびに芳香族−、脂肪族−および脂環式−置換芳香族置換基、ならびに環式置換基であって、上記の環が分子の別の部分を介して完成している（例えば、２つの置換基が一緒になって、環を形成している）、上記の炭化水素置換基、（ｉｉ）置換炭化水素置換基、すなわち本発明の文脈において、置換基の主たる炭化水素特性を変えない非炭化水素基を含有する置換基（例えば、ハロ（とりわけクロロおよびフルオロ）、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソおよびスルホキシ）、（ｉｉｉ）ヘテロ置換基、すなわち主に炭化水素特性を有しているが、本発明の文脈では、それ以外は炭素原子から構成される環または鎖中に炭素以外を含有し、ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルとしての置換基を包含する、置換基を含む。ヘテロ原子は、硫黄、酸素および窒素を含む。一般に、ヒドロカルビル基中、１０個の炭素原子毎に、２つ以下または１つ以下の非炭化水素置換基が存在する。あるいは、ヒドロカルビル基中に非炭化炭素置換基は存在しないことがある。

上記の物質の一部は、最終配合物中で相互作用をすることがあり、その結果、該最終配合物の成分は、最初に添加されたものとは異なることがあることが公知である。例えば、（例えば、清浄剤の）金属イオンは、他の分子の他の酸性部位または陰イオン性部位に移動することができる。これにより、形成した製品は、その所期の使用において本発明の組成物を使用する際に形成した製品を含め、容易に説明することが難しいことがある。とはいえ、こうした改変物および反応生成物はすべて、本発明の範囲内に含まれている。本発明は、上記の成分を混合することにより調製された組成物を包含する。

本発明は、以下の非限定例を参照しながら、一層よく理解することができる。

一組の実施例を準備し、本発明の利点を実証するために試験する。試験した各試料は、評価すべき相溶化剤を基流体（以下の表に示されている通り、ＰＡＯ６とＰＡＯ４０とを含有するＩＳＯ１５０基流体、またはＰＡＯ６とＰＡＯ１００とを含有するＩＳＯ４６０基流体のどちらか）に混合することにより調製する。各実施例におけるエステルの量も以下の表に明記されている。

１番目の評価は、貯蔵安定性に着目したものである。一旦調製した各試料を−１８°、０℃、室温（ＲＴ）および６５℃で保管し、試験の開始時（ＳＯＴ）、およびその後、１週間、４週間および８週間（ＥＯＴ）の間隔で目視により評点する。試験の終了時に、集めた結果をまとめ、試料に合格点または不合格点をつける。

２番目の評価は、塗装適合性に着目したものである。一般に、良好な貯蔵安定性を有する実施例だけ、塗装適合性に関して試験する。試験した試料は、コーティングにおける、ギア内部との油適合性に関する、フレンダーギアユニット試験規格とも呼ばれる、Ｓｉｅｍｅｎｓ ＭＤ Ｒｅｖ．１４塗装試験を使用して評価する。

３番目の評価は、シール適合性に着目するものである。一般に、良好な貯蔵安定性および塗装適合性を有する実施例だけ、シール適合性に関して試験する。試験した試料は、静的シール安定性に関する、Ｆｒｅｕｄｅｎｂｅｒｇ Ｓｅａｌｉｎｇ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓの社内試験手順ＦＢ７３ １１ ００８を使用して評価する。

実施例はそれぞれ、以下の表に明記されている取り扱い等級において、同じ工業用添加剤パッケージを使用して調製する。工業用添加剤パッケージは、腐食防止剤、分散剤、耐摩耗添加剤、極圧剤、消泡剤および清浄剤を含む。実施例はそれぞれ、その相溶化剤が好適な貯蔵安定性を有する工業用潤滑剤組成物を実現することができるかを見極めるため、様々な相溶化剤を使用して調製する。実施例の配合物および貯蔵安定性の結果が、以下の表中にまとめられている。この試験に関すると、貯蔵安定性、塗装適合性およびシール適合性の結果は、以下のフォーマット：［％相溶化剤］、［基流体］、［結果］において、試料中に相溶化剤が存在している重量％（％の印がない）、使用した基流体（ＩＳＯ１５０流体は１５０、ＩＳＯ４６０流体は４６０）、および結果（合格した場合、Ｐ、および不合格の場合、Ｆ）を示すことにより表されている。

これらの結果は、数種の工業用潤滑剤組成物の実施例しか、許容される貯蔵安定性を示さないことを示している。それらの実施例の中で、選択したわずか数種しか良好な塗装適合性を有しておらず、同様に、良好なシール適合性を有するものは、さらに一層少ない。実施例１０および１１は、特性の最良の総合的なバランスを実現している。

上で言及されている文書はそれぞれ、上で具体的に一覧表示されているか否かに関わらず、いかなる先行出願を含め、参照により本明細書に組み込まれており、そこから優先権を主張する。いずれかの文書の言及は、こうした文書が従来技術として認定されること、または当業者の一般知識を構成することをいかなる権限においても認めるものではない。実施例中を除き、またはその他に特に明記しない限り、物質の量、反応条件、分子量、炭素原子数などを特定している本記載中のすべての数量は、語「約」によって修飾されていると理解すべきである。本明細書において説明されている、量、範囲、ならびに比の上限および下限は、独立して組み合わせることができることを理解すべきである。同様に、本発明の各要素に関する範囲および量は、他の要素のいずれかに関する範囲または量と一緒に使用することができる。

本明細書で使用する場合、「含む（including）」、「含む（containing）」または「を特徴とする（characterized by）」と同義語である移行用語「含む（comprising）」は、包括的またはオープンエンドであり、追加の未列挙の要素または方法ステップを排除するものではない。しかし、本明細書における「含む（comprising）」という列挙の各々において、この用語は、代替実施形態として、句「から本質的になる（consisting essentially of）」および「からなる（consisting of）」も包含しており、この場合、「からなる（consisting of）」は、特定されていない任意の要素またはステップを排除し、「から本質的になる（consisting essentially of）」は、検討中の組成物または方法の基本特徴および新規特徴に実質的に影響を及ぼさない、追加の未列挙の要素またはステップを含むことを容認することが意図されている。

ある種の代表的な実施形態および詳細は、本主題発明を例示する目的で示されているが、本主題発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および改変がその中で行われ得ることが、当業者には明らかである。この点で、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (15)

1. （ａ）合成基油、
   （ｂ）工業用添加剤パッケージ、および
   （ｃ）相溶化剤
   を含み、
   前記相溶化剤が飽和アルコールを含む、
   工業用潤滑剤組成物。
2. 前記相溶化剤が分枝状の第一級飽和アルコールを含む、請求項１に記載の工業用潤滑剤組成物。
3. 前記相溶化剤がゲルベアルコールを含む、請求項１から２のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
4. 前記相溶化剤が、以下の構造：ＨＯ−ＣＨ_２−（Ｒ^１）_ｎ−ＣＲ^２Ｒ^３Ｒ^４（式中、Ｒ^１は１〜２０個の炭素原子を含有するアルキレン基であり、ｎは０または１のいずれかであり、Ｒ^２、Ｒ^３およびＲ^４はそれぞれ、独立して、水素、または１〜２０個の炭素原子を含有するアルキル基である）を有する少なくとも１つの化合物を含む、請求項１から３のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
5. 前記アルコールが１２〜２８個の炭素原子を含有する、請求項１から４のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
6. 前記相溶化剤が、２−エチルヘキサノール、２−ブチルオクタノール、２−ヘキシルデカノール、２−オクチルドデカノール、２−デシルテトラデカノール、２−ドデシルヘキサデカノール、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項１から４のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
7. 前記相溶化剤が、前記工業用ギア油組成物中、１重量％またはそれ超で存在している、請求項１から６のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
8. 前記合成基油が１種または複数のＡＰＩのグループＩＶの基油を含む、請求項１から７のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
9. 前記合成基油が１種または複数のポリアルファオレフィンを含む、請求項１から８のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
10. 前記組成物が、少量の１種または複数の非合成基油をさらに含む、請求項１から９のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
11. 前記組成物が、工業用ギア油潤滑剤組成物または油圧潤滑剤組成物である、請求項１から１０のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
12. 前記工業用潤滑剤向け添加剤パッケージが、１種もしくは複数の耐摩耗添加剤および／または極圧剤、１種もしくは複数のさび止め剤および／または腐食防止剤、１種もしくは複数の抑泡剤、１種もしくは複数の清浄剤、１種もしくは複数の摩擦調整剤、１種もしくは複数の抗乳化剤、１種もしくは複数の消泡剤、１種もしくは複数の分散剤、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項１から１１のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
13. 前記合成基油が６０〜９７重量％で存在し、
    前記工業用添加剤パッケージが１〜２０重量％で存在し、
    前記相溶化剤が２〜２０重量％で存在する、
    請求項１から１２のいずれかに記載の工業用潤滑剤組成物。
14. 工業用潤滑剤組成物を作製するプロセスであって、
    （１）以下の成分：
    （ａ）合成基油、
    （ｂ）工業用添加剤パッケージ、および
    （ｃ）相溶化剤
    を混合するステップであって、
    前記相溶化剤が飽和アルコールを含む、ステップを含み、
    これにより、工業用潤滑剤組成物がもたらされる、
    プロセス。
15. 工業用潤滑剤組成物の総合的な貯蔵安定性、塗装適合性およびシール適合性を改善する方法であって、
    前記工業用潤滑剤組成物が（ａ）合成基油および（ｂ）工業用添加剤パッケージを含み、
    前記方法が、
    （１）前記工業用潤滑剤組成物に相溶化剤を添加するステップであって、
    前記相溶化剤が第一級飽和アルコールを含む、ステップを含み、
    これにより貯蔵安定性およびシール適合性のバランスが改善されている工業用潤滑剤組成物がもたらされる、
    方法。