JP5095177B2 - 生分解性潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
生分解性基油としては、例えば菜種油などに代表される天然植物油、合成エステル類及びポリアルキレングリコール類などが知られている。しかしながら、天然植物油は、低価格であるものの、熱安定性や酸化安定性に劣り、かつ供給安定性が悪いなどの問題があり、また、ポリアルキレングリコール類は、低価格で熱安定性が良好であるが、シール材適合性が悪いなどの問題を有している。したがって、我が国における生分解性潤滑油は、合成エステル系が主流となりつつある。
例えば、生分解性潤滑油として、合成エステル系基油に、各種添加剤を配合した潤滑油が開示されている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。しかしながらこれらの公報に開示されている潤滑油は、いずれも生分解性や油圧作動油としての特性を重視したものである。このため水車用軸受油として具備していなければならない鉄、銅、ホワイトメタルに対する防錆・防食性、水分混入時のエステル系基油の加水分解安定性及び10年以上の長期使用に耐え得る酸化安定性については考慮されておらず、いずれも性能的に不足しており、例えば、生分解性水車用軸受油としては適用できない。
すなわち、本発明は、
[1](A)分子内に四級炭素を一つ以上有し、かつ該四級炭素の少なくとも一つにメチロール基が1〜4個結合してなる脂肪族ヒンダードポリオール類と、脂肪族モノカルボン酸類とのヒンダードエステルを90質量%以上含有する合成エステル系基油と、(B)(a)脂肪酸アミド化合物0.01〜3質量%及び(b)ベンゾトリアゾール系誘導体0.01〜2質量%を含み、かつ生分解率が60%以上であることを特徴とする生分解性潤滑油組成物、
[2](B)成分として、さらに(c)酸化防止剤0.1〜5質量%を含む上記[1]に記載の生分解性潤滑油組成物、
[3]酸化防止剤がアミン系酸化防止剤である上記[2]に記載の生分解性潤滑油組成物、
[4]JIS K 0102に基づくヒメダカに対する急性毒性試験で、96時間LC50値が100mg/L以上である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の生分解性潤滑油組成物、
[5](A)成分におけるヒンダードエステルを構成する脂肪族ヒンダードポリオール類が、一般式(I)
で表される化合物である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の生分解性潤滑油組成物、
[6]脂肪族ヒンダードポリオール類が、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール又はそれらの脱水縮合物である上記[5]に記載の生分解性潤滑油組成物、
[7](A)成分におけるヒンダードエステルを構成する脂肪族モノカルボン酸類が、炭素数5以上の飽和脂肪酸である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の生分解性潤滑油組成物、
[8](B)(a)成分の脂肪酸アミド化合物の塩基価が10mgKOH/g以上である上記[1]〜[7]のいずれかに記載の生分解性潤滑油組成物、
[9](B)(b)成分のベンゾトリアゾール系誘導体の塩基価が20mgKOH/g以上である上記[1]〜[8]のいずれかに記載の生分解性潤滑油組成物、
[10]軸受用として用いられる上記[1]〜[9]のいずれかに記載の生分解性潤滑油組成物、及び
[11]水力発電用タービンの軸受用として用いられる上記[10]に記載の生分解性潤滑油組成物、
を提供するものである。
当該潤滑油組成物において、(A)成分として用いられる合成エステル系基油は、分子内に四級炭素を一つ以上有し、かつ該四級炭素の少なくとも一つにメチロール基が1〜4個結合してなる脂肪族ヒンダードポリオール類と脂肪族モノカルボン酸類とのヒンダードエステルを90質量%以上含むものである。
前記ヒンダードエステルのアルコール成分である、分子内に四級炭素を一つ以上有し、かつ該四級炭素の少なくとも一つにメチロール基が1〜4個結合してなる脂肪族ヒンダードポリオール類(以下、単にヒンダードポリオール類と称すことがある。)は、本発明においては、一般式(I)
で表される化合物が好ましく用いられる。
前記一般式(I)において、R1及びR2のうち炭素数1〜6の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。
これらのヒンダードポリオール類の中では、得られるヒンダードエステルの基油としての性能の観点から、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、及びそれらの脱水縮合物が好ましく、脱水縮合物としては二分子又は三分子縮合物が好ましい。
上記ヒンダードポリオール類の製造方法は、従来から知られている方法によればよい。また、ヒンダードポリオール類の脱水縮合物は、通常はヒンダードポリオール類を融点以上に加熱して溶媒中に分散させて、触媒存在下に約180℃前後で脱水縮合すると得ることができる。
このような脂肪族飽和モノカルボン酸類の例としては、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸などの直鎖状飽和モノカルボン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、2,2−ジメチルブタン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2,2−ジメチルオクタン酸、2−エチル−2,3,3−トリメチルブタン酸、2,2,3,4−テトラメチルペンタン酸、2,5,5−トリメチル−2−t−ブチルヘキサン酸、2,3,3−トリメチル−2−エチルブタン酸、2,3−ジメチル−2−イソプロピルブタン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸などの分岐状飽和モノカルボン酸などが挙げられる。これらの脂肪族モノカルボン酸類は、エステル化の際、一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明の生分解性潤滑油組成物においては、前記ヒンダードエステルは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を含む混合物を用いてもよい。また、合成エステル系基油中の該ヒンダードエステルの含有量は、当該潤滑油組成物が、後述の所定の性状を満たすためには、90質量%以上であることを要す。
前記ヒンダードエステルと併用できる合成エステル系基油としては、当該潤滑油組成物の生分解性などの面から、前述のヒンダードポリオール以外の脂肪族多価アルコールと前記脂肪族モノカルボン酸とのエステルを挙げることができる。
当該潤滑油組成物において、(A)成分として用いられる合成エステル系基油の動粘度は、当該潤滑油組成物の用途により異なるが、温度40℃において、通常10〜200mm2/s程度、好ましくは22〜100mm2/sの範囲で選定される。
また、合成エステル系基油の酸価は、非鉄金属に対する腐食抑制及び水混入時の加水分解抑制の観点から、1mgKOH/g以下が好ましく、0.5mgKOH/g以下がより好ましい。
このカルボン酸類は、アミン類との酸アミド化反応に原料として用いる場合、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリアルキレンポリアミンとしては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、テトラプロピレンペンタミン、ヘキサブチレンヘプタミンなどを挙げることができる。
このアミン類は、前記カルボン酸類との酸アミド化反応に原料として用いる場合、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようにして得られた当該(a)成分の脂肪酸アミド化合物の塩基価は、鉄の錆止め効果及び合成エステル系基油の加水分解抑制の観点から、10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。また、その上限に特に制限はないが、通常80mgKOH/g程度である。
また、当該脂肪酸アミド化合物の酸価は、非鉄金属の腐食抑制及び合成エステル系基油の加水分解抑制の観点から、10mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以下がより好ましい。
本発明の潤滑油組成物においては、(B)成分の添加剤における(a)成分の脂肪酸アミド化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は0.01〜3質量%の範囲で選定される。この含有量が0.01質量%未満では防錆性が不充分であると共に、合成エステル系基油に対する加水分解抑制効果に劣り、一方3質量%を超えるとその量の割には防錆性及び合成エステル系基油に対する加水分解抑制効果があまり発揮されず、むしろ酸化安定性に悪影響が出るおそれが生じる。これらの理由から、当該脂肪酸アミド化合物の好ましい含有量は、0.05〜1質量%の範囲である。
前記ベンゾトリアゾール類としては、ベンゾトリアゾール及びベンゾトリアゾールのベンゼン環に、炭素数1〜4程度の低級アルキル基が1〜4個導入された化合物を挙げることができる。
また前記モノアルキルアミンとしては、アルキル基の炭素数が4〜22のものが好ましく、例えばモノブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミン、モノヘプチルアミン、モノオクチルアミン、モノノニルアミン、モノデシルアミン、モノウンデシルアミン、モノドデシルアミン、モノトリデシルアミン、モノテトラデシルアミン、モノペンタデシルアミン、モノヘキサデシルアミン、モノヘプタデシルアミン、モノオクタデシルアミン、モノノナデシルアミン、モノイコシルアミンなどが挙げられる。
一方、前記ジアルキルアミンとしては、アルキル基の炭素数が4〜22のものが好ましく、例えばジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジノナデシルアミン、ジイコシルアミンなどが挙げられる。
なお、前記モノアルキルアミン及びジアルキルアミンにおけるアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、また、ジアルキルアミンにおける2個のアルキル基は、同一でも異なっていてもよい。
これらのベンゾトリアゾール系誘導体としては、例えば2−オクチルベンゾトリアゾール、2−オクチルトルトリアゾール、2−オクチルアミノメチルベンゾトリアゾール、2−オクチルアミノメチルトルトリアゾール、2−ジオクチルアミノメチルベンゾトリアゾール、2−ジオクチルアミノメチルトルトリアゾール、及び前記化合物におけるオクチル基を他のアルキル基に置き換えた化合物などを挙げることができる。
当該(b)成分のベンゾトリアゾール系誘導体の塩基価は、銅の腐食抑制効果及び合成エステル系基油に対する加水分解抑制の観点から、20mgKOH/g以上が好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましい。その上限に特に制限はないが、通常150mgKOH/g程度である。
また、当該ベンゾトリアゾール系誘導体の酸価は、合成エステル系基油に対する加水分解抑制の観点から、30mgKOH/g以下が好ましく、10mgKOH/g以下がより好ましい。なお、ベンゾトリアゾールは、酸価が400mgKOH/g程度と高く、銅の腐食は抑制できるものの、合成エステル系基油の加水分解を促進する。
本発明の潤滑油組成物においては、酸化安定性をさらに向上させるために、(B)成分の添加剤における(c)成分として、酸化防止剤を含有させることができる。
この(c)成分の酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤のいずれも用いることができる。
本発明の潤滑油組成物においては、当該(c)成分の酸化防止剤の含有量は、効果及び経済性のバランスなどの観点から、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
本発明の潤滑油組成物には本発明の目的が損なわれない範囲において、所望により各種添加剤、例えば、潤滑性向上剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤及び消泡剤の中から選ばれるすくなくとも一種を含むことができる。
前記油性剤の例としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミドなどを挙げられる。
これらの油性剤の好ましい配合量は、組成物全量基準で0.01〜10質量%の範囲であり、0.1〜5質量%の範囲が特に好ましい。
リン酸エステル系化合物としては、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル及び酸性亜リン酸エステルアミン塩などを挙げることができる。
酸性リン酸エステルアミン塩及び酸性亜リン酸エステルアミン塩としては、前述の酸性リン酸エステル及び酸性亜リン酸エステルそれぞれと下記のアミン類との塩を挙げることができる。アミン類としては、モノ置換アミン、ジ置換アミン又はトリ置換アミンが用いられる。
本発明においては、このリン酸エステル系化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、組成物全量に基づき、通常0.1〜3.0質量%程度である。
有機金属系化合物としては、例えばジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)硫化オキシモリブデンオルガノホスホロジチオエート(MoDTP)、硫化オキシモリブデンジチオカルバメート(MoDTC)などが挙げられる。これらの配合量は、組成物全量基準で、通常0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。
これら粘度指数向上剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、通常0.5〜35質量%程度であり、好ましくは1〜15質量%である。
流動点降下剤としては、重量平均分子量が5万〜15万程度のポリメタクリレートなどを用いることができる。
前記高分子シリコーン系消泡剤としては、例えばオルガノポリシロキサンを挙げることができ、特にトリフルオロプロピルメチルシリコーン油などの含フッ素オルガノポリシロキサンが好適である。この高分子シリコーン系消泡剤は、消泡効果及び経済性のバランスなどの点から、組成物全量に基づき、0.0001〜0.1質量%程度含有させることが好ましく、0.0005〜0.05質量%含有させることがより好ましい。
当該潤滑油組成物においては、OECDテストガイドライン301C法の微生物による化学物質の分解度試験において、生分解率が60%以上であり、優れた生分解性を有している。また、JIS K 0102に基づくヒメダカに対する急性毒性試験で、96時間LC50値が、通常100mg/L以上であり、生体に与える影響が少ない。このように、当該潤滑油組成物は、極めて環境にやさしい潤滑油である。
また、粘度指数は、通常100以上、好ましくは120以上であり、流動点は、通常−40℃以下、好ましくは−45℃以下であり、引火点は、通常250℃以上、好ましくは260℃以上である。前記(A)成分の合成エステル系基油は、それ自体120以上の粘度指数を有するので、当該潤滑油組成物には、通常粘度指数向上剤は不要である。
当該潤滑油組成物は、前記のように低流動点を有するので、作動油として用いた場合、低温での機械の始動性が良好であり、また、高引火点を有するので難燃性が高く、VG32以上は可燃性液体に分類される。
本発明の潤滑油組成物は、軸受用として好適であり、特に水力発電用水車(水力発電用タービン)の軸受用として好適である。
なお、各例における潤滑油組成物の性状は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)一般性状
(イ)40℃動粘度
JIS K 2283に準拠して測定する。
(ロ)粘度指数
JIS K 2283に準拠して測定する。
(ハ)酸価
JIS K 2501に準拠して測定する。
(ニ)塩基価
JIS K 2501に準拠し、測定する。
(ホ)引火点
JIS K 2265に準拠し、クリーブランド開放式(COC)試験器により測定する。
修正MITI試験法「OECD301C」に準拠し、生分解率を測定する。なお、1998年7月に改訂されたエコマーク認定基準では、上記生分解率は60%以上であることが要求される。
(3)魚類に対する急性毒性
JIS K 0102に準拠し、試験魚としてヒメダカを用い、96時間後の半数致死濃度LC50値を測定する。なお、1998年7月に改訂されたエコマーク認定基準では、上記LC50値が100mg/L以上であることが要求される。
(4)錆止め性能
JIS K 2510に準拠し、蒸留水を用い、60℃、24時間後の錆の発生状態を観察する。
(5)加水分解試験
ASTM2619−95準拠して加水分解試験を行う。
試料油75g、蒸留水25g、銅板触媒(15×55×2mm)をガラスビンに入れ、密栓後、恒温槽内で上下方向に回転する試料保持部にセットし、100℃、168時間試験する、その後、油層と水槽に分離後、油分の酸価、水層の銅濃度を測定する。
(6)ホワイトメタル浸漬試験
水分含有量を1000ppmに調整した試料油50gにホワイトメタル(WJ2;10×50×5mm)を浸漬し、密栓後、恒温槽内で80℃、3000時間静置し試験する。その後、油分の酸価、金属量およびホワイトメタル表面の腐食の有無を測定する。
(7)酸化安定性
JIS K 2514タービン油酸化安定度試験に準拠して測定する(ただし、水は加えない)。
試料油300mL;鉄銅コイル状触媒をシリンダーに入れ、温度130℃、酸素吹き込み量3L/hで試験する。120時間ごとに試料油10mLを採取し、酸価を測定する。酸価の増加量が2mgKOH/gに到達した時点を寿命とする。ただし、酸化安定性の悪い試料油については、適宣(24時間又は48時間毎)試料油を採取し、酸価を測定した。
第1表−1及び第1表−2に示す組成の潤滑油組成物を調製すると共に、市販油を用意した。前記潤滑油組成物及び市販油の性状を第1表−1及び第1表−2に示す。
TMP−FE1;トリメチロールプロパンと炭素数10、12直鎖脂肪酸との反応物で、トリエステル構造を有する化合物、酸価0.04mgKOH/g
TMP−FE2;トリメチロールプロパンと炭素数18の分岐脂肪酸との反応物で、トリエステル構造を有する化合物、酸価0.1mgKOH/g
TMP−DE;トリメチロールプロパンと炭素数18の分岐脂肪酸との反応物で、ジエステル構造を有する化合物、酸価0.1mgKOH/g
脂肪酸アミド1;イソステアリン酸とテトラエチレンペンタミンとの反応物、塩基価74mgKOH/g、酸価5mgKOH/g
脂肪酸アミド2;オレイン酸とジエタノールアミンとの反応物、塩基価27mgKOH/g、酸価0.4mgKOH/g
BZT−D;ベンゾトリアゾール系誘導体、1−〔N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル〕−4−メチル−ベンゾトリアゾール、塩基価142mgKOH/g、酸価10mgKOH/g
APNA;アルキルフェニル−α−ナフチルアミン(アルキルフェニルのアルキル基:炭素数8)
フェノール系;フェノール系酸化防止剤、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール
消泡剤;シリコーン系消泡剤[信越化学社製、商品名「FL100」]
これに対し、比較例のものは、防錆性、加水分解安定性、ホワイトメタルに対する防食性及び酸化安定性の項目の中で、少なくとも一つが不良である。
Claims (9)
- (A)分子内に四級炭素を一つ以上有し、かつ該四級炭素の少なくとも一つにメチロール基が1〜4個結合してなる脂肪族ヒンダードポリオール類と、脂肪族モノカルボン酸類とのヒンダードエステルを90質量%以上含有する合成エステル系基油と、
(B)(a)脂肪酸アミド化合物0.01〜3質量%及び(b)ベンゾトリアゾール系誘導体0.01〜2質量%を含み、
該(a)成分の脂肪酸アミド化合物の塩基価が10mgKOH/g以上であり、酸価が10mgKOH/g以下であり、
該(b)成分のベンゾトリアゾール系誘導体の塩基価が20mgKOH/g以上であり、酸価が30mgKOH/g以下であり、
かつ生分解率が60%以上であることを特徴とする生分解性潤滑油組成物。 - (B)成分として、さらに(c)酸化防止剤0.1〜5質量%を含む請求項1に記載の生分解性潤滑油組成物。
- 酸化防止剤がアミン系酸化防止剤である請求項2に記載の生分解性潤滑油組成物。
- JIS K 0102に基づくヒメダカに対する急性毒性試験で、96時間LC50値が100mg/L以上である請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性潤滑油組成物。
- 脂肪族ヒンダードポリオール類が、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール又はそれらの脱水縮合物である請求項5に記載の生分解性潤滑油組成物。
- (A)成分におけるヒンダードエステルを構成する脂肪族モノカルボン酸類が、炭素数5以上の飽和脂肪酸である請求項1〜6のいずれかに記載の生分解性潤滑油組成物。
- 軸受用として用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の生分解性潤滑油組成物。
- 水力発電用タービンの軸受用として用いられる請求項7に記載の生分解性潤滑油組成物。
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