JP4836298B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、灰分含有量をできるだけ少なくした潤滑油組成物または無灰系潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは高温で過酷な使用環境下でも熱酸化安定性に優れ、各種油圧機器に対する潤滑性に優れ、かつ水分やエンジン油のように過塩基性アルカリ土類金属系添加剤を含有する潤滑油が混入してもスラッジを生成させることのない、可及的に灰分を少なくした耐摩耗性潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
油圧装置が小型化、高速化、高圧化されるに伴って油温が従来の50〜70℃から100℃以上の高温で使用される場合が多くなってきている。このため、従来油では熱酸化安定性が十分でなく、高圧/高温下での油の劣化に伴うスラッジの発生、油圧ポンプに対する潤滑性能の低下や油圧シリンダのシールとロッド間の摩擦が大きくなり、シールの急速な劣化や異常振動が発生する等の問題がある。
【0003】
一方、従来のジアルキルジチオリン酸亜鉛を耐摩耗剤とする潤滑油では、鋼を主とする摺動材料を用いたベーンポンプに対しては良好な耐摩耗性能を示すが、各種の銅合金と鋼を主とする摺動材料を用いたピストンポンプに対してはジアルキルジチオリン酸亜鉛が銅合金の摩耗を加速させる傾向があり、米国デニソン社の規格ではジアルキルジチオリン酸亜鉛系の耐摩耗性作動油をピストンポンプに対して使用する場合には、運転条件を下げることを推奨している。
【0004】
また、近年、油圧装置が高度化、精密化されるに伴って、装置には3〜10ミクロンの非常に細かい孔径のフィルタが使用されている。このため、作動油に優れたろ過特性が要求され、従来油では、水分やエンジン油等のアルカリ土類金属塩を含有した潤滑油の混入によって作動油中の添加剤間との反応によりスラッジを発生させて、フィルタを早期に目詰まりさせる傾向があり、これらの従来油の諸問題を一挙に解決する有効な潤滑油組成物の開発が望まれていた。
【0005】
これまでにも、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含まない非亜鉛系耐摩耗性油圧作動油組成物は知られており、特にトリクレジルフォスフェートや英国特許1415964号公報に記載されているトリアリールフォスフォロチオネートと酸性リン酸エステルアミン塩もしくはトリアリ−ルフォスフェートを組み合わせた耐摩耗組成物が知られている。
【0006】
特開昭62−164796号公報には、ポリアルキレンポリアミンに、不飽和モノカルボン酸20〜100モル%と分枝飽和モノカルボン酸80〜0モル%よりなる脂肪酸を反応させてなる組成物が開示されており、これにより潤滑油の貯蔵安定性、スラッジ分散能を向上させ、不溶性粘着性物質の発生を抑制できる旨記載されている。
【0007】
しかしながら、これら従来の非亜鉛系耐摩耗性油圧作動油組成物は、油圧シリンダのシールとロッド間の摩擦が大きく、併用する防錆添加剤により耐摩耗性が不十分となったり、微量のアルカリ土類金属塩混入によってろ過特性が著しく低下するなどの問題があった。
【0008】
前記の諸問題のほか、近年の環境保護や毒性の問題から、ジアルキルジチオリン酸亜鉛のような亜鉛化合物の使用に対する懸念が増大している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は環境や安全性の面と潤滑油の実用性能の両面から、熱酸化安定性、潤滑性、耐水性、ろ過特性に優れた、亜鉛などの灰分をできるだけ少なくした潤滑油組成物を提供する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記従来油の諸々の欠点を解消するため鋭意研究を進めた結果、特定の耐摩耗剤と特定の防錆剤とを組み合わせることにより一挙に解消しうることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
本発明は、(I)鉱油系および/または合成炭化水素系を含む潤滑油基油と(II)特定の耐摩耗剤と(III)特定の防錆剤からなる潤滑油組成物において、(II)耐摩耗剤が、(i)トリアルキルフォスフォロチオネートおよび/またはトリアリールフォスフォロチオネートと酸性リン酸エステルのアミン塩および/または酸性チオリン酸エステルのアミン塩で構成されるか、あるいは(ii)トリアルキルジチオフォスフェートで構成され、かつ(III)防錆剤が、ポリアルキレンポリアミンとモノカルボン酸を反応させて得られたポリアルキレンポリアミドで構成されてなることを特徴とする潤滑油組成物に関するものである。
【0012】
すなわち、本発明は、
(I)潤滑油基油100重量部
(II)耐摩耗剤としての
(i)(イ)下記一般式(1)で示されるトリアルキルフォスフォロチオネートおよびトリアリールフォスフォロチオネートよりなる群から選ばれた少なくとも一種のフォスフォロチオネート0.05〜10重量部、(ロ)下記一般式(2)で示される酸性リン酸エステルのアミン塩および酸性チオリン酸エステルのアミン塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種のアミン塩0.01〜1重量部、
または
(ii)下記一般式(3)で示されるトリアルキルジチオフォスフェート0.05〜10重量部、
(III)防錆剤としての
(ハ)下記一般式(4)で示されるポリアルキレンポリアミンと(ニ)炭素数12〜30の飽和モノカルボン酸よりなる群から選ばれた少なくとも一種のモノカルボン酸、とを反応させて得られたポリアルキレンポリアミド0.01〜1重量部、よりなることを特徴とする潤滑油組成物に関する。
【化8】
(式中、R1は炭素数4〜18の直鎖または分枝の飽和アルキル基および/または炭素数6〜15のアリール基である。)
【化9】
(式中、Xは硫黄および酸素原子よりなる群から選ばれた原子であり、そのうち少なくとも2〜4個のXが酸素原子であり、他は硫黄原子であってもよく、R2は炭素数2〜30のアルキル基、R3は炭素数1〜30のアルキル基、R4およびR5は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基および1〜5モルのエチレンオキサイド基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。)
【化10】
{式中、Aは
SR7
S−CnH2nC(O)OR8
および
S−CnH2nCH[C(O)OR8]CH2C(O)OR9
よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、R6、R7、R8およびR9は炭素数1〜8のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、nは0〜6の整数である。}
【化11】
(式中、R10は炭素数2〜4のアルキレン基であり、mは2〜6の整数である。)
【0013】
以下、本発明の技術的構成を詳しく説明する。本発明の潤滑油組成物を構成する基油成分は、石油系および/または合成炭化水素系を含むものであれば特に制限を受けるものではないが、動粘度は2〜680mm2/s(40℃)、好ましくは5〜320mm2/s(40℃)、とくに好ましくは8〜220mm2/s(40℃)、全硫黄分(重量%)は0〜1%、好ましくは0〜0.3%、全窒素分(重量ppm)は0〜100ppm、好ましくは0〜30ppm、アニリン点は80〜130℃、好ましくは100〜125℃の物性値を示すものが好ましい。
【0014】
本発明で使用される石油系潤滑油基油は、溶剤精製基油、水素化精製基油、高度水素化分解基油などの単独あるいは混合物である。高度水素化分解基油とは、溶剤脱蝋によって分離される素蝋(スラックワックス)を原料として、これを触媒下の水添分解(接触分解)にて直鎖パラフィンを分枝パラフィンに異性化することで得られる粘度指数130以上(典型的には145〜155)を有する潤滑油基油、もしくは、天然ガス(メタン等)のガス化プロセス(部分酸化)によって得られる水素と一酸化炭素を原料としてフィッシャートロプシュ重合にて重質直鎖パラフィンとし、これを前述と同様の接触分解異性化することで得られる粘度指数130以上(典型的には145〜155)を有する潤滑油基油である。
【0015】
また、本発明で使用される合成炭化水素系基油は、炭素数3〜15、好ましくは4〜12の範囲の、直鎖状あるいは分枝のオレフィン系炭化水素から選択されたモノマーの単独重合または共重合により得られるオレフィンオリゴマーであることができる。
【0016】
本発明において、石油系潤滑油基油と合成炭化水素系基油はそれぞれ単独にあるいは混合して使用することができる。
【0017】
下記一般式(1)
【化12】
(式中、R1は炭素数4〜18の直鎖または分枝の飽和アルキル基および/または炭素数6〜15のアリール基である。)
で示されるフォスフォロチオネートにおけるR1としては、直鎖または分枝のつぎのようなアルキル基、すなわち直鎖または分枝のブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基、直鎖または分枝のノニル基、直鎖または分枝のデシル基、直鎖または分枝のウンデシル基、直鎖または分枝のドデシル基、直鎖または分枝のテトラデシル基、直鎖または分枝のペンタデシル基、直鎖または分枝のヘキサデシル基、直鎖または分枝のヘプタデシル基、直鎖または分枝のオクタデシル基、また、アリール基としてはフエニル基、メチルフエニル基、エチルフエニル基、プロピルフエニル基、ブチルフエニル基、ペンチルフエニル基、ヘプチルフエニル基、オクチルフエニル基、ノニルフエニル基などの直鎖または分枝のアルキル基置換フエニル基、ビフエニル基などを挙げることができる。
【0018】
この種の具体的な化合物としては、トリブチルフォスフォロチオネート、トリイソブチルフォスフォロチオネート、トリ2−エチルヘキシルフォスフォロチオネート、トリフェニルフォスフォロチオネート、トリメチルフェニルフォスフォロチオネート、トリエチルフェニルフォスフォロチオネート、トリプロピルフェニルフォスフォロチオネート、トリブチルフェニルフォスフォロチオネート、トリオクチルフェニルフォスフォロチオネート、トリノニルフェニルフォスフォロチオネートなどが挙げられる。
【0019】
本発明で使用されるトリアルキルフォスフォロチオネートおよび/またはトリアリールフォスフォロチオネートの添加量は潤滑油基油100重量部に対し0.05〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、とくに好ましくは0.1〜2重量部である。添加量が0.05重量部未満では十分な潤滑性能が得られず、10重量部を越えても潤滑性能が飽和し、耐腐食性、熱酸化安定性、加水分解安定性が低下するので好ましくない。
【0020】
下記一般式(2)
【化13】
(式中、Xは硫黄および酸素原子よりなる群から選ばれた原子であり、そのうち少なくとも2〜4個のXが酸素原子であり、他は硫黄原子であってもよく、とくにXのうち少なくとも1〜2個がSであることが好ましく、R2は炭素数2〜30のアルキル基、R3は炭素数1〜30のアルキル基、R4およびR5は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基および1〜5モルのエチレンオキサイド基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である。)
で示される酸性リン酸エステルのアミン塩または酸性チオリン酸エステルのアミン塩は、例えばつぎのようにして得ることができる。すなわち、酸性リン酸エステルおよび/または酸性チオリン酸エステルに、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、および/または1〜5モルのエチレンオキサイド基を分子中に含有する1〜3級の脂肪族アミン化合物を反応させ、残存する酸性水素の一部または全部を中和することにより得ることができる。
【0021】
R2における炭素数2〜30、好ましくは4〜18の直鎖または分枝のアルキル基としては、具体的には例えば、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基、直鎖または分枝のノニル基、直鎖または分枝のデシル基、直鎖または分枝のウンデシル基、直鎖または分枝のドデシル基、直鎖または分枝のトリデシル基、直鎖または分枝のテトラデシル基、直鎖または分枝のペンタデシル基、直鎖または分枝のヘキサデシル基、直鎖または分枝のヘプタデシル基、直鎖または分枝のオクタデシル基、直鎖または分枝のノナデシル基、直鎖または分枝のイコシル基、直鎖または分枝のヘンイコシル基、直鎖または分枝のドコシル基、直鎖または分枝のトリコシル基、直鎖または分枝のテトラコシル基、直鎖または分枝のペンタコシル基、直鎖または分枝のヘキサコシル基、直鎖または分枝のヘプタコシル基、直鎖または分枝のオクタコシル基、直鎖または分枝のノナコシル基、直鎖または分枝のトリアコンチル基などを挙げることができる。
【0022】
前記反応に用いるアミン化合物の好ましいものとしては、具体的には例えば、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミン、モノヘプチルアミン、モノオクチルアミン、モノノニルアミン、モノデシルアミン、モノウンデシルアミン、モノドデシルアミン、モノトリデシルアミン、モノテトラデシルアミン、モノペンタデシルアミン、モノヘキサデシルアミン、モノヘプタデシルアミン、モノオクタデシルアミン、モノノナデシルアミン、モノイコシルアミン、モノヘンイコシルアミン、モノトリコシルアミン、モノテトラコシルアミン等の1級脂肪族アミン類(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルブチルアミン、プロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、ジノナデシルアミン、ジイコシルアミン、ジヘンイコシルアミン、ジトリコシルアミン、ジテトラコシルアミン等の2級脂肪族アルキルアミン類(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、トリドデシルアミン、トリトリデシルアミン、トリテトラデシルアミン、トリペンタデシルアミン、トリヘキサデシルアミン、トリヘプタデシルアミン、トリオクタデシルアミン、トリノナデシルアミン、トリイコシルアミン、トリヘンイコシルアミン、トリトリコシルアミン、トリテトラコシルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルペンチルアミン、ジメチルヘキシルアミン、ジメチルヘプチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルノニルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチルトリデシルアミン、ジメチルテトラデシルアミン、ジメチルペンタデシルアミン、ジメチルヘキサデシルアミン、ジメチルヘプタデシルアミン、ジメチルオクタデシルアミン、ジメチルノナデシルアミン、ジメチルイコシルアミン、ジメチルヘンイコシルアミン、ジメチルトリコシルアミン、ジメチルテトラコシルアミン、ジエチルオクチルアミン、ジエチルノニルアミン、ジエチルデシルアミン、ジエチルウンデシルアミン、ジエチルドデシルアミン、ジエチルトリデシルアミン、ジエチルテトラデシルアミン、ジエチルペンタデシルアミン、ジエチルヘキサデシルアミン、ジエチルヘプタデシルアミン、ジエチルオクタデシルアミン、ジエチルノナデシルアミン、ジエチルイコシルアミン等の3級脂肪族アルキルアミン類(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)等のアルキルアミンが挙げられる。また、エチレンオキサイドを付加したアミン類として、モノオクチルアミン、モノノニルアミン、モノデシルアミン、モノウンデシルアミン、モノドデシルアミン、モノトリデシルアミン、モノテトラデシルアミン、モノペンタデシルアミン、モノヘキサデシルアミン、モノヘプタデシルアミン、モノオクタデシルアミン、モノノナデシルアミン、モノイコシルアミン、モノヘンイコシルアミン、モノトリコシルアミン、モノテトラコシルアミン(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも良い)などのアミン類に1〜5モルのエチレンオキサイドを付加した生成物である2級または3級アミン類を挙げることができる。
【0023】
これらの中でも、より耐摩耗性に優れかつ防食性能に優れた潤滑油組成物が得られるという点から、脂肪族アミン化合物としては炭素数6〜24のアルキルアミンおよび1〜2モルのエチレンオキサイドを付加した炭素数6〜24のアルキルアミンがとくに好ましく用いられる。酸性リン酸エステルおよび/または酸性チオリン酸エステルが分枝アルキル基である場合は、中和するアルキルアミンが直鎖アルキル基であっても分枝アルキル基であってもよいが、酸性リン酸エステルおよび/または酸性チオリン酸エステルが直鎖アルキル基である場合は、中和するアルキルアミンは分枝アルキル基のものが基油への溶解性の点で好ましい。
【0024】
本発明で使用される酸性リン酸エステルのアミン塩および/または酸性チオリン酸エステルのアミン塩すなわちアミン中和物の添加量は潤滑油基油100重量部に対し0.01〜1重量部、とくに0.01〜0.2重量部が好ましい。添加量が、0.01重量部未満では十分な潤滑性が得られず、1重量部を越えても潤滑性が飽和し、耐腐食性、熱酸化安定性、加水分解安定性が低下する。とくに、R2が直鎖のアルキル基の場合には0.1重量部を越えると、アルカリ土類金属塩含有の潤滑油の混入時のろ過特性が著しく低下するので好ましくない。
【0025】
下記一般式(3)
【化14】
{式中、Aは
SR7
S−CnH2nC(O)OR8
および
S−CnH2nCH(C(O)OR8)CH2C(O)OR9
よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、R6、R7、R8およびR9は炭素数1〜8のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、nは0〜6の整数である。}
で示されるトリアルキルジチオフォスフェートにおけるR6、R7、R8およびR9における炭素数1〜8のアルキル基の具体例としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基を挙げることができる。
【0026】
この種の具体的な化合物としては、トリプロピルジチオフォスフェート、トリブチルジチオフォスフェート、トリペンチルジチオフォスフェート、トリヘキシルジチオフォスフェート、トリオクチルジチオフォスフェート等のトリアルキルジチオフォスフェート類や、イルガルーブ63(チバスペシャリティ社製)、バンルーブ727、バンルーブ7611(バンダービルト社製)等のO、O−ジアルキルジチオフォスフォリル−アルキレンアルキルカルボキシレート類が挙げられる。
【0027】
本発明で使用されるトリアルキルジチオフォスフェートの添加量は潤滑油基油100重量部に対し0.05〜10重量部で、特には0.1〜1重量部が好ましい。添加量が、この範囲未満では十分な潤滑性能が得られず、この範囲を越えても潤滑性能が飽和し、耐腐食性、熱酸化安定性、加水分解安定性が著しく低下する。
【0028】
下記一般式(4)
【化15】
(式中、R10は炭素数2〜4のアルキレン基であり、mは2〜6の整数である。)
で示されるポリアルキレンポリアミンの具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、テトラプロピレンペンタミン、ヘキサブチレンヘプタミンなどを挙げることができる。
【0029】
前記ポリアルキレンポリアミンと反応させるモノカルボン酸として、分枝飽和脂肪酸単独、あるいは分枝飽和脂肪酸と直鎖飽和脂肪酸との併用が挙げられる。具体的には、分枝飽和脂肪酸としては炭素数18〜30のモノカルボン酸で、典型的なものとして2−メチルヘプタデカン酸、16−メチルへプタデカン酸、2−オクタデカン酸、2−メチルオクタデカン酸、10−メチルオクタデカン酸、15−エチルヘプタデカン酸、3−メチルノナデカン酸、2−ブチル−2−ヘプチルノナン酸、2−エチルエイコサン酸、20−メチルヘンエイコサン酸、3−メチルトリコサン酸、10−メチルテトラコサン酸、18−メチルテトラコサン酸、13,16−ジメチルトリコサン酸、3,13,19−トリメチルトリコサン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。直鎖飽和脂肪酸としては炭素数12〜30のモノカルボン酸で、典型的なものとして、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などを挙げることができる。
【0030】
前記脂肪族モノカルボン酸成分は、基本的には脂肪族基が直鎖の飽和のアルキル基である脂肪族モノカルボン酸が中心であるが、これのみでは基油に対する溶解性に欠ける場合があるので、分枝アルキル基をもつ脂肪族モノカルボン酸を一部併用して溶解性を調節することが好ましい。この具体的組み合わせとしては、直鎖の飽和アルキル基をもつ脂肪族モノカルボン酸と分枝の飽和アルキル基をもつ脂肪族モノカルボン酸との組み合わせが好ましい。この組み合わせにおける直鎖型脂肪族モノカルボン酸と分枝型脂肪族モノカルボン酸との割合は、使用する基油の性質によって変化するが、通常直鎖型脂肪族モノカルボン酸25〜100%モル、分枝型脂肪族モノカルボン酸75〜0%モルの範囲で使用する。
【0031】
ポリアルキレンポリアミンとモノカルボン酸との反応は200〜220℃で2〜3時間実施することにより所要のアミドを得ることができる。このときのモノカルボン酸の使用量は、ポリアルキレンポリアミン1モルに対して(m+1)モル以下が好ましい。
【0032】
一般的に、この種のポリアミドは特公昭39−3115号や特公平5−46878号に記載されているように、劣化により発生する油に不溶なスラッジを分散させる効果を有しているが、潤滑油に混入する水分も分散させる傾向があるため潤滑油の抗乳化性能を著しく低下させる傾向がある。しかし、本発明においては、前記の耐摩耗剤成分である酸性リン酸エステルのアミン塩や酸性チオリン酸エステルのアミン塩と併用することによって抗乳化性能の低下を著しく改善できることを見出した。
【0033】
また、本発明で使用できる前記のポリアミドは、防錆性能が高く、かつ、油圧シリンダのロッドとシールとの間の摩擦を低減させてシリンダの作動をスムースにさせる効果があることを発見した。また、従来産業機械用の潤滑油に使用されていた琥珀酸の部分エステル系防錆剤ではエンジンオイル等のアルカリ土類金属塩を含有した潤滑油の混入があった場合、スラッジを発生させてフィルタの目詰まり等の問題を起こしたり、耐摩耗剤の摩耗防止性能や極圧剤の耐荷重性能に悪影響を与えるケースがあったが、本発明のポリアミド系防錆剤ではそのようなアルカリ土類金属塩の混入によてもスラッジを発生させることはなく、本発明の耐摩耗剤との併用によって摩耗防止性能や耐荷重性能への悪影響が発生しないことを見出した。
【0034】
本発明で使用されるポリアルキレンポリアミンとモノカルボン酸を反応させて得られたポリアミドの添加量は、潤滑油基油100重量部に対し0.01〜1重量部で、好ましくは0.02〜0.5重量部である。添加量が、0.01重量部未満では防錆性能と油圧シリンダのロッドとシール材との間の摩擦低減作用が十分でなく、1重量部を越えても防錆性能と摩擦低減作用は飽和し、抗乳化性が低下するので好ましくない。
【0035】
【本発明の必須成分以外の添加剤】
本発明では前記の必須成分のほかに更に性能を向上させるため、必要に応じて通常使用される種々の追加的添加剤が適宜使用できる。これらには、酸化防止剤、金属不活性剤、極圧剤、油性向上剤、消泡剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤、防錆剤、抗乳化剤等の公知の潤滑油添加剤を添加することができる。
【0036】
例えば、アミン系酸化防止剤としては、p,p’−ジオクチル−ジフェニルアミン(精工化学社製:ノンフレックスOD−3)、p,p’−ジ−α−メチルベンジル−ジフェニルアミン、N−p−ブチルフェニル−N−p’−オクチルフェニルアミンなどのジアルキル−ジフェニルアミン類、モノ−t−ブチルジフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン類、ジ(2,4−ジエチルフェニル)アミン、ジ(2−エチル−4−ノニルフェニル)アミンなどのビス(ジアルキルフェニル)アミン類、オクチルフェニル−1−ナフチルアミン、N−t−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミンなどのアルキルフェニル−1−ナフチルアミン類、1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N−ヘキシルフェニル−2−ナフチルアミン、N−オクチルフェニル−2−ナフチルアミンなどのアリール−ナフチルアミン類、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン類、フェノチアジン(保土谷化学社製:Phenothiazine)、3,7−ジオクチルフェノチアジンなどのフェノチアジン類などが挙げられる。
【0037】
硫黄系酸化防止剤としては、ジドデシルサルファイド、ジオクタデシルサルファイドなどのジアルキルサルファイド類、ジドデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ドデシルオクタデシルチオジプロピオネートなどのチオジプロピオン酸エステル類、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
【0038】
フェノール系酸化防止剤としては、2−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン(川口化学社製:アンテージDBH)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールなどの2,6−ジ−t−ブチル−4−アルキルフェノール類、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エトキシフェノールなどの2,6−ジ−t−ブチル−4−アルコキシフェノール類、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプト−オクチルアセテート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(吉富製薬社製:ヨシノックス SS)、n−ドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2’−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのアルキル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート類、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−400)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−500)などの2,2’−メチレンビス(4−アルキル−6−t−ブチルフェノール)類、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−300)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(シェル・ジャパン社製:Ionox 220AH)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−(ジ−p−ヒドロキシフェニル)プロパン(シェル・ジャパン社製:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、ヘキサメチレングリコールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:Irganox L109)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](吉富製薬社製:トミノックス 917)、2,2’−チオ−[ジエチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:Irganox L115)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(住友化学:スミライザーGA80)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージRC)、2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチル−レゾルシン)などのビスフェノール類、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:Irganox L101)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(吉富製薬社製:ヨシノックス 930)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(シェル・ジャパン社製:Ionox330)、ビス−[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(2”,4”−ジ−t−ブチル−3”−ヒドロキシフェニル)メチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノールなどのポリフェノール類、p−t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドの縮合体、p−t−ブチルフェノールとアセトアルデヒドの縮合体などのフェノールアルデヒド縮合体などが挙げられる。
【0039】
リン系酸化防止剤として、トリフェニルフォスファイト、トリクレジルフォスファイトなどのトリアリールフォスファイト類、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイトなどのトリアルキルフォスファイト類、トリドデシルトリチオフォスファイトなどが挙げられる。
【0040】
これらの酸化防止剤は、基油100重量部に対して、0.01〜2.0重量部の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
【0041】
本発明の組成物と併用できる金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール、4−メチル−ベンゾトリアゾール、4−エチル−ベンゾトリアゾールなどの4−アルキル−ベンゾトリアゾール類、5−メチル−ベンゾトリアゾール、5−エチル−ベンゾトリアゾールなどの5−アルキル−ベンゾトリアゾール、1−ジオクチルアミノメチル−2,3−ベンゾトリアゾールなどの1−アルキル−ベンゾトリアゾール類、1−ジオクチルアミノメチル−2,3−トルトリアゾールなどの1−アルキル−トルトリアゾール類等のベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール、2−(オクチルジチオ)−ベンゾイミダゾール、2−(デシルジチオ)−ベンゾイミダゾール、2−(ドデシルジチオ)−ベンゾイミダゾールなどの2−(アルキルジチオ)−ベンゾイミダゾール類、2−(オクチルジチオ)−トルイミダゾール、2−(デシルジチオ)−トルイミダゾール、2−(ドデシルジチオ)−トルイミダゾールなどの2−(アルキルジチオ)−トルイミダゾール類等のベンゾイミダゾール誘導体、インダゾール、4−アルキル−インダゾール、5−アルキル−インダゾールなどのトルインダゾール類等のインダゾール誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体(千代田化学社製:チオライトB−3100)、2−(ヘキシルジチオ)ベンゾチアゾール、2−(オクチルジチオ)ベンゾチアゾールなどの2−(アルキルジチオ)ベンゾチアゾール類、2−(ヘキシルジチオ)トルチアゾール、2−(オクチルジチオ)トルチアゾールなどの2−(アルキルジチオ)トルチアゾール類、2−(N,N−ジエチルジチオカルバミル)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジブチルジチオカルバミル)−ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジヘキシルジチオカルバミル)−ベンゾチアゾールなど2−(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)ベンゾチアゾール類、2−(N,N−ジエチルジチオカルバミル)トルチアゾール、2−(N,N−ジブチルジチオカルバミル)トルチアゾール、2−(N,N−ジヘキシルジチオカルバミル)トルチアゾールなどの2−(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)−トルゾチアゾール類等のベンゾチアゾール誘導体、2−(オクチルジチオ)ベンゾオキサゾール、2−(デシルジチオ)ベンゾオキサゾール、2−(ドデシルジチオ)ベンゾオキサゾールなどの2−(アルキルジチオ)−ベンゾオキサゾール類、2−(オクチルジチオ)トルオキサゾール、2−(デシルジチオ)トルオキサゾール、2−(ドデシルジチオ)トルオキサゾールなどの2−(アルキルジチオ)トルオキサゾール類等のベンゾオキサゾール誘導体、2,5−ビス(ヘプチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ドデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(オクタデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールなどの2,5−ビス(アルキルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール類、2,5−ビス(N,N−ジエチルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(N,N−ジブチルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(N,N−ジオクチルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾールなどの2,5−ビス(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾール類、2−N,N−ジブチルジチオカルバミル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−N,N−ジオクチルジチオカルバミル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどの2−N,N−ジアルキルジチオカルバミル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール類等のチアジアゾール誘導体、1−ジ−オクチルアミノメチル−2,4−トリアゾールなどの1−アルキル−2,4−トリアゾール類等のトリアゾール誘導体などが挙げられる。
【0042】
これらの金属不活性剤は、基油100重量部に対して、0.01〜0.5重量部の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
【0043】
消泡剤として使用されるものは、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルシリケート、フルオロシリコーン等のオルガノシリケート類、ポリアルキルアクリレート等の非シリコーン系消泡剤が挙げられる。その添加量は、基油100重量部に対して、0.0001〜0.1重量部の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
【0044】
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート類やエチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体などのオレフィンコポリマー類等の非分散型粘度指数向上剤や、これらに含窒素モノマーを共重合させた分散型粘度指数向上剤等が挙げられる。その添加量は、基油100重量部に対して、0.05〜20重量部の範囲で使用できる。
【0045】
流動点降下剤としては、例えばポリメタクリレート系のポリマーが挙げられる。その添加量は、基油100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲で使用できる。
【0046】
清浄分散剤としては、例えば中性または塩基性のアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート等の金属系清浄剤や、アルケニルコハク酸イミド、アルケニルコハク酸エステルもしくはそのホウ素化合物、硫黄化合物等による変性品等の無灰分散剤等が挙げられる。その添加量は、基油100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
【0047】
極圧剤、油性向上剤としては、ジアルキルサルファイド、ジベンジルサルファイド、ジアルキルポリサルファイド、ジベンジルジサルファイド、アルキルメルカプタン、ジベンゾチオフェン、2,2’−ジチオビス(ベンゾチアゾール)等の硫黄系極圧剤、トリアルキルフォスフェート、トリアリールフォスフェート、トリアルキルフォスフォネート、トリアルキルフォスファイト、トリアリールフォスファイト、ジアルキルハイドロゼンフォスファイト、トリアルキルトリチオフォスファイト等のリン系極圧剤、脂肪酸アミド類、脂肪酸エステル類等の脂肪族系油性向上剤、1〜3級のアルキルアミン、アルキレンオキサイド付加のアルキルアミン類等のアミン系油性向上剤が挙げられる。これらの極圧剤、油性向上剤は、基油100重量部に対して、0.1〜2重量部の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
【0048】
防錆性能は、ほとんどの場合は本発明の組成物の添加で十分な効果が発揮できるが、使用環境に応じて更なる防錆性能が必要な時には、N−アルキルサルコシン酸類、アルキレートフェノオキシ酢酸類、イミダゾリン類、キング・インダストリー社製K−Corr100およびそのアルカリ土類金属塩類またはそのアミン塩、特開平6−200268に記載されたN−アシル−N−アルコキシアルキルアスパラギン酸エステル類、EP0801116A1号に記載されたリン酸エステルのアルカリ土類金属塩類等がアルカリ土類金属塩混入時のろ過特性をそこなうことなく使用できる。これらの防錆剤は、単独又は複数組み合わせて基油100重量部に対して、0.01〜2重量部の範囲で使用できる。
【0049】
抗乳化剤としては、通常潤滑油添加剤として使用される公知のものが挙げられる。その添加量は、基油100重量部に対して、0.0005〜0.5重量部の範囲で使用できる。
【0050】
また、本発明の潤滑油組成物は、上述したように油圧作動油組成物として特に好適に用いられるものである。しかし、その他の用途、例えば、歯車油組成物、圧縮機油組成物、タービン油組成物、軸受油組成物としても有用である。
【0051】
【実施例】
以下、油圧作動油を実施例として本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものでない。基油として40℃での動粘度が31mm2/sの水素化精製基油を用いて、以下に示す成分を添加して、耐摩耗剤と防錆剤の添加されていない基本潤滑油組成物を調製した。この基本潤滑油組成物に実施例の表1と比較例の表2〜3に記載された耐摩耗剤と防錆剤を添加して、40℃での動粘度が32mm2/sの試料油を調製した。実施例1〜5および比較例1〜8の試料油の各添加成分の量は試料油に対する重量部で示した。
【0052】
基本潤滑油組成物
水素化精製基油:動粘度 31mm2/s(@40℃)92.27重量部
アミン系酸化防止剤:N−p−ブチルフェニル−N−p'−オクチルフェニルアミン 0.1重量部
フェノール系酸化防止剤:(エチル社製、Hitec4733) 0.5重量部
ベンゾトリアゾール系金属不活性剤:(チバスペシャリティ社製、イルガメット39) 0.1重量部
チアジアゾール系金属不活性剤:(オロナイト社製、エルコ461)0.05重量部
【0053】
本発明にかかる潤滑油組成物(実施例1〜5)と、比較のために示す(A)成分を用いない場合(比較例1)、(B)成分を用いない場合(比較例2)、(C)成分を用いない場合(比較例3、4)の潤滑油組成物を、それぞれ表1および表2に示す配合割合にしたがって調製した。また、本発明の耐摩耗剤と防錆剤の組み合わせの代わりに、表3に示す従来の耐摩耗剤と防錆剤を用いた公知の潤滑油組成物(比較例5〜8)をも調製した。これらの実施例、比較例の組成に対して、以下に示す各種性能評価試験を行い、その結果を表4〜6に示した。また比較のため、市販の亜鉛系耐摩耗性作動油と非亜鉛系作動油を用いた場合についても(比較例9〜10)同様の性能評価試験を行い、それらの結果も表7に示した。なお、実施例および比較例における各種性能試験方法は下記に示すとおりである。
【0054】
[ろ過特性試験]
水や過塩基性金属塩が混入した時のフィルタの目詰まり発生の有無を評価するため、試料油300gの入った容器に過塩基性金属塩としてカルシウムサリチレート(カルシウム含有量=6.0重量%、全塩基価=160mgKOH/g)0.15gと水0.3gを室温で混合し、密閉後、70℃の恒温槽内で96時間放置した後、室温で24時間放置して、差圧660mmHgで1.2μm孔径のメンブランフィルタ(47mm直径)を用いて、水と過塩基性金属塩が混合された試料油300mlをろ過するのに必要なろ過時間(秒)を測定した。また、水と過塩基性金属塩を混入しない試料油300mlをろ過するのに必要な時間(秒)も同様の条件で測定し、水と過塩基性金属塩を混入しない試料油のろ過時間に対して、水と過塩基性金属塩が混入した試料油のろ過時間の比を求めた。この比が2倍を越えると、実際の油圧装置ではフィルタを早期に目詰まりさせてしまう傾向がある。
【0055】
[防錆試験]
試料油の防錆性能を評価するため、ASTM D665に準拠して、人工海水の存在下に60℃で24時間の防錆試験を行い、試験後の鋼試験片に錆が発生するか否かを調べた。ドイツ規格DIN51524(パート2)では、この試験で錆の発生がないことが要求されている。
【0056】
[抗乳化性試験]
試料油の水分離性を評価するため、ASTM D1401に準拠して、試料油40mlと純水40mlを試験管にとり、54℃で5分間撹袢した後、水と油が完全に分離するまでの時間(分)を測定した。GM(ジェネラルモーターズ)LH−03−1−94規格では、作動油が水と分離する時間は30分以内であることが要求されている。
【0057】
[熱安定度試験]
試料油の熱安定度を評価するため、米国シンシナティ・ミラクロン社の潤滑油購入規格(10−SP−80160−3)に規程された熱安定度試験法に準拠して、触媒として鉄棒と銅棒を200mlの試料油中に浸漬させて135℃のオーブン中で168時間放置した後、8μm孔径のメンブランフィルタで試料油をろ過して、発生したスラッジの重量を測定した。シンシナティ・ミラクロン社の作動油に対するP−68、P−69、P−70規格では、スラッジ量は25mg/100ml以下であることが要求されている。
【0058】
[酸化安定度試験]
試料油の酸化安定度を評価するため、ASTM D4310に準拠して、触媒として鉄と銅のコイルを300mlの試料油中に浸漬させ、60mlの水を添加して、95℃で毎時3リットルの酸素を試料油に吹き込み、1000時間の酸化試験を行った。試験後、試料油を5μm孔径のメンブランフィルタでろ過して発生したスラッジの重量を測定した。また、試料油の銅と鉄に対する腐食性を調べるため、試験後の油層と水層とスラッジ中の銅と鉄の含有量(mg)を発光分析により定量した。生成するスラッジ量はデニソン社の油圧作動油規格HF−0では200mg以下、 HF−1では100mg以下、腐食した全銅の重量と全鉄の重量は、HF−0でそれぞれ50mg以下であることが要求される。
【0059】
[加水分解安定度試験]
試料油の加水分解安定度を評価するため、 ASTM D2619に準拠して、試料油75mlと水25mlを入れた瓶に触媒として銅板を浸漬させ、密閉後、瓶を93℃で48時間回転させ、試験後の銅板の重量減少と水層の酸価を測定した。デニソン社の油圧作動油規格HF−0やGM(ジェネラルモータズ)社のLH−03−1−94規格では、銅板の重量減少は0.2mg/cm2以下、水層の酸価は4mgKOH以下が要求されている。
【0060】
[FZG歯車試験]
試料油の歯車装置に対する潤滑性能を評価するため、ISO/WD14635−1に準拠して、試験歯車Aを用いて、初期油温90℃、モータ回転数1450rpmの条件で各荷重段階毎に15分の運転を行い、荷重段階を増加させながら試験歯車の歯面に焼き付きが発生するまでの荷重段階を測定した。ドイツ規格DIN51524(パート2)では、耐摩耗性作動油には焼き付きが発生する荷重段階が10段階以上であることが要求されている。
【0061】
[ウレタンシール摩擦試験]
試料油の油圧シリンダのロッドとウレタンシール間の摩擦特性を評価するため、シンシナティ・ミラクロン社型スティックスリップ試験機(旧ASTM D2877)を用いて、鋼試験片とウレタン試験片(NOK社製、U801)の間に試料油を塗布し、滑り速度1.27mm/分、荷重22.4kgfで動摩擦係数を測定した。動摩擦係数が0.6を越える潤滑油では、実際の油圧シリンダのシールとロッド間の摩擦が大きくなり、シールの急速な劣化や異常振動を発生させるなどの使用上の問題が生じる。
【0062】
[ベーンポンプ試験]
試料油のベーンポンプに対する耐摩耗性能を評価するため、 ビッカース35VQ−25Aポンプを用いて、油温65℃、回転数2400rpm、圧力210kgf/cm2で50時間のポンプ試験を行い、試験後のベーンとリングの摩耗量を測定した。ビッカース社のM−2950−S規格では、摩耗量が90mg以下であることが要求されている。
【0063】
[ピストンポンプ試験]
ベーンポンプでは、主要摺動部であるベーンとリングは鋼同士で構成されているが、ピストンポンプでは主要摺動部は鋼と銅合金で構成されていることが多い。このため、ベーンポンプでは鋼同士の摩擦に対する潤滑油の耐摩耗性が要求されるのに対し、ピストンポンプでは鋼と銅合金の摩擦に対する潤滑油の耐摩耗性が要求される。試料油のピストンポンプに対する耐摩耗性能を評価するため、コマツ製 斜板型タンデムピストンポンプ(HPV35+35)を用いて、リア側ポンプに下記の条件で負荷をかけ、500時間の耐久試験を行い、試験後、リア側のポンプのピストンとシリンダの摩耗量(mg)を測定した。
試験条件;
圧力サイクル: 無負荷で2秒、320kgf/cm2で3秒
流量設定: 無負荷で65リットル/分、320kgf/cm2で43リットル/分
回転数: 2100rpm
温度: 95℃
なお、この試験では、摩耗量が1500mgを越えると、ポンプの流量低下、圧力変動、騒音が大きくなり、ピストンポンプに対する潤滑性に問題が発生する危険性がある。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
比較例1、2はFZG歯車試験およびベーンポンプ試験において十分な潤滑性能が得られず、ドイツ規格DIN51524(パート2)とビッカース社のM−2950−S規格には不合格であった。また、比較例1ではピストンポンプ試験で多量の摩耗が発生し、ピストンポンプへの適合性に問題がある。比較例2は抗乳化性に問題があり、GM社LH−03−1−94規格に不合格である。
比較例3はろ過特性試験、防錆試験、ウレタンシール摩擦試験において十分な性能が得られず、酸化安定度試験において鉄に多量の錆が発生し、デニソン社の油圧作動油のHF−0とHF−1規格、 DIN51524(パート2)に不合格であった。
比較例4は防錆試験、酸化安定度試験、加水分解安定度試験およびウレタンシール摩擦試験において十分な性能が得られず、デニソン社のHF−0とHF−1規格、 DIN51524(パート2)に不合格であった。
【0070】
【表6】
【0071】
【表7】
【0072】
比較例5はろ過特性試験、加水分解安定度試験、ウレタンシール摩擦試験、熱安定度試験で充分な性能があげられず、シンシナティ・ミラクロン社の作動油に対するP−68規格とデニソン社のHF−0規格に不合格であり、ピストンポンプ試験で多量の摩耗を発生させた。
比較例6はろ過特性試験およびウレタンシール摩擦試験において十分な性能が得られず、且つ、熱安定性でシンシナティ・ミラクロン社のP−68規格に不合格であった。
比較例7はFZG歯車試験およびベーンポンプ試験において十分な潤滑性能が得られず、ドイツ規格DIN51524(パート2)とビッカース社のM−2950−S規格に不合格であった。
比較例8は酸化安定度試験、加水分解安定度試験およびFZG歯車試験において十分な性能が得られず、デニソン社のHF−0、HF−1規格、ドイツ規格DIN51524(パート2)、ビッカース社のM−2950−S規格に不合格であった。
比較例9は酸化安定度試験および加水分解安定度試験においてデニソン社のHF−0、HF−1規格に不合格であった。また、ウレタンシールの摩擦特性に問題があった。
比較例10はろ過特性試験、FZG歯車試験、ウレタンシール摩擦試験、ベーンポンプ試験において問題があり、ドイツDIN51524(パート2)とビッカース社のM−2950−S規格に不合格であった。
【0073】
表1の組成と表4の結果から明らかな通り、本発明の潤滑油組成物は、防錆性、銅と鉄に対する耐食性、ろ過特性、熱酸化安定性、ベーンやピストンポンプに対する耐摩耗性、油圧シリンダに対する摩擦特性、歯車要素に対する耐荷重能等に優れ、油圧作動油としての要求性能を総て満足する性能を有するものである。それに対して、本発明の必須成分を欠く場合(比較例)および市販の亜鉛系作動油および非亜鉛系作動油は、いずれも耐摩耗性作動油としての要求性能のいずれかに大きく劣るものであり、近年の小型化、高速化、高圧化、精密化された油圧装置の潤滑油としての使用には問題がある。
【0074】
【発明の効果】
本発明の潤滑油組成物は、環境や安全性の面からジアルキルジチオリン酸亜鉛のような灰分形成物質をほとんどあるいは全くを含有せず、かつ近年の油圧装置の高速化、高圧化、精密化に対応して、熱酸化安定性、各種油圧機器に対する潤滑性、耐水性、ろ過特性、防錆性に優れた耐摩耗性潤滑油組成物である。従って、本発明の組成物は、シンシナティ・ミラクロン社、デニソン社、ビッカース社、GM社、 DIN等の規格で定める油圧作動油に対する多様な要求性能を総て満足でき、かつ、ろ過特性、ウレタンシール摩擦特性において優れた性能を示す。
Claims (19)
- (I)潤滑油基油100重量部
(II)耐摩耗剤としての
(i)(イ)下記一般式(1)で示されるトリアルキルフォスフォロチオネートおよびトリアリールフォスフォロチオネートよりなる群から選ばれた少なくとも一種のフォスフォロチオネート0.05〜10重量部、(ロ)下記一般式(2)で示される酸性リン酸エステルのアミン塩および酸性チオリン酸エステルのアミン塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種のアミン塩0.01〜1.0重量部、または
(ii)下記一般式(3)で示されるトリアルキルジチオフォスフェート0.05〜10重量部、
(III)防錆剤としての
(ハ)下記一般式(4)で示されるポリアルキレンポリアミンと(ニ)炭素数12〜30の飽和モノカルボン酸よりなる群から選ばれた少なくとも一種のモノカルボン酸、とを反応させて得られたポリアルキレンポリアミド0.01〜1.0重量部、よりなることを特徴とする潤滑油組成物。
SR7
S−CnH2nC(O)OR8
および
S−CnH2nCH[C(O)OR8]CH2C(O)OR9
よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、R6、R7、R8およびR9は炭素数1〜8のアルキル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であり、nは0〜6の整数である。}
- (I)潤滑油基油100重量部
(II)耐摩耗剤としての
(i)(イ)下記一般式(1)で示されるトリアルキルフォスフォロチオネートおよびトリアリールフォスフォロチオネートよりなる群から選ばれた少なくとも一種のフォスフォロチオネート0.05〜10重量部、および(ロ)下記一般式(2)で示される酸性リン酸エステルのアミン塩および酸性チオリン酸エステルのアミン塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種のアミン塩0.01〜1.0重量部、
(III)防錆剤としての(ハ)下記一般式(4)で示されるポリアルキレンポリアミンと(ニ)炭素数12〜30の飽和モノカルボン酸よりなる群から選ばれた少なくとも一種のモノカルボン酸、とを反応させて得られたポリアルキレンポリアミド0.01〜1.0重量部、よりなることを特徴とする潤滑油組成物。
- (I)潤滑油基油100重量部
(II)耐摩耗剤としての
(ii)前記一般式(3)で示されるトリアルキルジチオフォスフェート0.05〜10重量部、および
(III)防錆剤としての(ハ)前記一般式(4)で示されるポリアルキレンポリアミンと(ニ)炭素数12〜30の飽和モノカルボン酸よりなる群から選ばれた少なくとも一種のモノカルボン酸、とを反応させて得られたポリアルキレンポリアミド0.01〜1.0重量部、よりなることを特徴とする潤滑油組成物。 - (I)潤滑油基油100重量部
(II)耐摩耗剤としての
(i)(イ)前記一般式(1)で示されるトリアルキルフォスフォロチオネートおよびトリアリールフォスフォロチオネートよりなる群から選ばれた少なくとも一種のフォスフォロチオネート0.05〜10重量部、および
(ロ)前記一般式(2)で示される酸性リン酸エステルのアミン塩および酸性チオリン酸エステルのアミン塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種のアミン塩0.01〜1.0重量部、および
(ii)前記一般式(3)で示されるトリアルキルジチオフォスフェート0.05〜10重量部、および
(III)防錆剤としての(ハ)前記一般式(4)で示されるポリアルキレンポリアミンと
(ニ)炭素数12〜30の飽和モノカルボン酸よりなる群から選ばれた少なくとも一種のモノカルボン酸、とを反応させて得られたポリアルキレンポリアミド0.01〜1.0重量部、よりなることを特徴とする潤滑油組成物。 - 一般式(2)で示される酸性リン酸エステルのアミン塩および酸性チオリン酸エステルのアミン塩におけるR2が炭素数4〜18のアルキル基、R3が炭素数4〜18のアルキル基、R4とR5が水素原子、炭素数1〜18のアルキル基および1〜5モルのエチレンオキサイド基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれたものである請求項1、2または4記載の潤滑油組成物。
- 一般式(2)で示される酸性リン酸エステルのアミン塩および酸性チオリン酸エステルのアミン塩におけるR2が分枝アルキル基である請求項5記載の潤滑油組成物。
- 一般式(4)で示されるポリアルキレンポリアミンと反応させるモノカルボン酸が脂肪族モノカルボン酸の混合物であって、この混合物が、その脂肪族基が炭素数12〜24の直鎖飽和アルキル基である脂肪族モノカルボン酸とその脂肪族基が炭素数12〜30の分枝飽和アルキル基である脂肪族モノカルボン酸との混合物である請求項1〜6いずれか記載の潤滑油組成物。
- 前記潤滑油基油が、動粘度2〜680mm2/s(40℃)全硫黄分0〜1重量%、全窒素分0〜100ppm、アニリン点80〜130℃を示すものである請求項1〜7いずれか記載の潤滑油組成物。
- 前記潤滑油基油が、動粘度8〜220mm2/s(40℃)を示すものである請求項8記載の潤滑油組成物。
- 前記潤滑油基油が、全硫黄分0〜0.3重量%、全窒素分0〜30ppmを示すものである請求項8または9記載の潤滑油組成物。
- 前記潤滑油基油が、アニリン点100〜125℃を示すものである請求項8〜10いずれか記載の潤滑油組成物。
- 前記潤滑油組成物が、防錆試験では錆が発生せず、熱安定度試験で発生するスラッジが25mg/100ml以下、酸化安定度試験で生成するスラッジが100mg以下で銅の腐食重量が50mg以下、加水分解安定度試験における銅板の重量減少が0.2mg/cm2以下、水層の酸価4mgKOH以下、FZG歯車試験における焼き付き発生荷重段階が10段階以上、ビッカース社35VQ25Aベーンポンプ試験における摩耗量が90mg以下の性能を有し、且つ、ピストンポンプに対する優れた潤滑性能を有し、デニソン社規格HF−0、HF−1、シンシナティ社規格P−68、P−69、P−70、ドイツ規格DIN51524(パート2)、GM(ジェネラルモーターズ)規格LH03−1−94等に合格する性能であり、ウレタンシール摩擦試験による動摩擦係数が0.6以下、水やアルカリ土類金属塩含有潤滑油の混入に際しても優れたろ過特性を示すものである請求項1〜11いずれか記載の潤滑油組成物。
- 酸化防止剤を添加した請求項1〜12いずれか記載の潤滑油組成物。
- 金属不活性剤を添加した請求項1〜13いずれか記載の潤滑油組成物。
- 油圧作動油組成物として使用するものである請求項1〜14いずれか記載の潤滑油組成物。
- 歯車油組成物として使用するものである請求項1〜14いずれか記載の潤滑油組成物。
- 圧縮機油組成物として使用するものである請求項1〜14いずれか記載の潤滑油組成物。
- タービン油組成物として使用するものである請求項1〜14いずれか記載の潤滑油組成物。
- 軸受油組成物として使用するものである請求項1〜14いずれか記載の潤滑油組成物。
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