JP6677414B2 - 潤滑油組成物、及び潤滑油組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
緩衝器のフリクション(摩擦)は、ゴム材からなるオイルシールと、クロム等の金属めっきが施されたロッドとの間で特に発生し易い。緩衝器のフリクションの発生は、乗心地性能を悪化する要因となるので、緩衝器のロッドが伸び縮みする際に滑らかに動くためには、ゴム材−金属間での摩擦低減が求められている。
例えば、特許文献1には、潤滑油基油に、アルキル基又はアルケニル基と塩基性極性基とを有する塩基性化合物、及び、アルキル基又はアルケニル基を有する窒素含有カルボン酸とを、特定量で配合してなる緩衝器用油圧作動油組成物が開示されている。
すなわち本発明は、下記[1]〜[2]を提供する。
〔上記一般式(b)中、nは1又は2であり、p、q、rは、それぞれ独立に、1以上の整数であり、10≦p+q+r+3≦40を満たす。なお、nが2である場合、2つのp、2つのq、及び2つのrは、それぞれ、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。〕
〔上記一般式(b)中、nは1又は2であり、p、q、rは、それぞれ独立に、1以上の整数であり、10≦p+q+r+3≦40を満たす。なお、nが2である場合、2つのp、2つのq、及び2つのrは、それぞれ、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。〕
本発明の潤滑油組成物は、基油(A)と、後述の一般式(b)で表される化合物(B1)及び化合物(B1)のアミン塩(B2)から選ばれる1種以上の酸性リン酸エステル系化合物(B)とを含有する。
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらに後述の一般式(c)で表される化合物(C1)及び化合物(C1)のアミン塩(C2)から選ばれる1種以上の酸性リン酸エステル系化合物(C)を含有することが好ましく、また、脂肪酸アミド(D)を含有することも好ましい。
また、本発明の一態様の潤滑油組成物は、消泡性を向上させる観点から、さらにフッ素化シリコーン(E)を含有することが好ましい。
なお、本発明の一態様の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに成分(B)〜(E)以外の他の潤滑油用添加剤を含有してもよい。
本発明で用いる基油(A)としては、鉱油及び合成油のいずれであってもよく、また、鉱油及び合成油から選ばれる2種以上を併用した混合油であってもよい。
これらの鉱油は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの合成油は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、本発明で用いる合成油としては、ポリα−オレフィン、各種エステル、及びポリアルキレングリコールから選ばれる1種以上の合成油が好ましく、ポリα−オレフィンがより好ましい。
基油(A)の100℃における動粘度としては、好ましくは2.0〜20.0mm2/s、より好ましくは2.0〜15.0mm2/s、更に好ましくは2.0〜10.0mm2/s、より更に好ましくは2.0〜7.0mm2/sである。
基油(A)の粘度指数としては、好ましくは70以上、より好ましくは80以上、更に好ましくは90以上である。
本発明の潤滑油組成物は、下記一般式(b)で表される化合物(B1)及び化合物(B1)のアミン塩(B2)から選ばれる1種以上の酸性リン酸エステル系化合物(B)を含有する。
なお、酸性リン酸エステル系化合物(B)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明において、上記のアミン塩(B2)には、化合物(B1)の配合後に、潤滑油組成物中に存在しているアミンと当該化合物(B1)とが反応して形成した塩も含まれる。
酸性リン酸エステル系化合物(B)は、炭素数10〜40の「分岐鎖」アルキル基を有するために、基油(A)との溶解性を良好とすると共に、摩擦低減特性がより効果的に発現され易くなると考えられる。その結果、本発明の潤滑油組成物は、分岐鎖アルキル基を有する酸性リン酸エステル系化合物(B)を含むために、ゴム材−金属間の摩擦係数が小さく、特に、二輪車等の車体の緩衝器に用いた場合に、車体の乗心地性を大きく改善し得る。
本発明において、分岐鎖アルキル基の炭素数である「p+q+r+3」の値としては、10以上40以下であるが、基油(A)との溶解性を良好とする観点から、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上、より更に好ましくは18以上、特に好ましくは20以上であり、また、摩擦低減特性をより効果的に発現し易くし、得られる潤滑油組成物のゴム材−金属間の摩擦係数を小さくする観点から、好ましくは38以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは33以下、より更に好ましくは30以下、特に好ましくは28以下である。
q及びrは、それぞれ独立に、1以上の整数であるが、好ましくは1〜18の整数、より好ましくは2〜17の整数、更に好ましくは4〜16の整数、より更に好ましくは6〜15の整数、特に好ましくは7〜14の整数である。
また、qとrとの差(|q−r|)は、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜7、更に好ましくは0〜4、より更に好ましくは0〜3、特に好ましくは0〜2である。
そのため、化合物(B1)は、下記一般式(b−1)で表される化合物(B11)もしくは下記一般式(b−2)で表される化合物(B12)を指す。
つまり、化合物(B11)は、上記一般式(b)中のnが2である酸性リン酸ジエステルであって、化合物(B12)は、上記一般式(b)中のnが1である酸性リン酸モノエステルである。
「p1+q1+r1+3」の値及び「p2+q2+r2+3」の値は、それぞれ独立に、10以上40以下であるが、基油(A)との溶解性を良好とする観点から、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上、より更に好ましくは18以上、特に好ましくは20以上であり、また、摩擦低減特性をより効果的に発現し易くし、得られる潤滑油組成物のゴム材−金属間の摩擦係数を小さくする観点から、好ましくは38以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは33以下、より更に好ましくは30以下、特に好ましくは28以下である。
q1、q2、r1及びr2は、それぞれ独立に、1以上の整数であるが、好ましくは1〜18の整数、より好ましくは2〜17の整数、更に好ましくは4〜16の整数、より更に好ましくは6〜15の整数、特に好ましくは7〜14の整数である。
また、q1とr1との差(|q1−r1|)及びq2とr2との差(|q2−r2|)は、それぞれ独立に、好ましくは0〜10、より好ましくは0〜7、更に好ましくは0〜4、より更に好ましくは0〜3、特に好ましくは0〜2である。
酸性リン酸ジエステル系化合物(Bx)は、基油(A)への溶解性がより良好であり、且つ、摩擦低減特性をより向上させ易い。そのため、成分(B)として、酸性リン酸ジエステル系化合物(Bx)を用いることで、得られる潤滑油組成物のゴム材−金属間の摩擦係数をより小さくすることが可能である。
本発明の一態様の潤滑油組成物は、摩擦低減特性をより効果的に発現し易くし、得られる潤滑油組成物のゴム材−金属間の摩擦係数を小さくする観点から、さらに下記一般式(c)で表される化合物(C1)及び化合物(C1)のアミン塩(C2)から選ばれる1種以上の酸性リン酸エステル系化合物(C)を含有することが好ましい。
なお、酸性リン酸エステル系化合物(C)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明において、上記のアミン塩(C2)は、化合物(C1)を配合後に、潤滑油組成物中に存在しているアミンと当該化合物(C1)とが反応して形成した塩も含まれる。
〔上記一般式(c)中、mは1又は2であり、Rは、炭素数10〜40の直鎖アルキル基、又は炭素数10〜40の直鎖アルケニル基である。なお、mが2である場合、2つのRは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。〕
〔上記一般式(c−1)のR及びR’、並びに、上記一般式(c−2)のRは、それぞれ独立に、炭素数10〜40の直鎖アルキル基、又は炭素数10〜40の直鎖アルケニル基である。なお、R及びR’は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。〕
なお、直鎖アルケニル基の炭素数である「x+y+3」の値としては、より好ましくは12〜35、更に好ましくは14〜30、より更に好ましくは16〜25である。
x及びyは、それぞれ独立に、好ましくは0〜37、より好ましくは1〜30、更に好ましくは3〜20、より更に好ましくは4〜12である。
なお、当該アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
成分(C1)と成分(C2)との含有量比〔(C1)/(C2)〕としては、質量比で、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは20/80〜80/20、更に好ましくは25/75〜75/25、より更に好ましくは30/70〜70/30、特に好ましくは35/65〜65/35である。
酸性リン酸ジエステル系化合物(Cx)と、酸性リン酸モノエステル系化合物(Cy)との含有量比〔(Cx)/(Cy)〕としては、質量比で、好ましくは1/99〜99/1、より好ましくは5/95〜95/5、更に好ましくは10/90〜90/10である。
本発明の一態様の潤滑油組成物は、摩擦低減特性をより効果的に発現し易くし、得られる潤滑油組成物のゴム材−金属間の摩擦係数を小さくする観点から、さらに脂肪酸アミド(D)を含有することが好ましい。
なお、脂肪酸アミド(D)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
当該酸アミドは、例えば、カルボン酸類とアミン類とを100〜220℃程度の温度において、1〜40時間程度、窒素気流下で脱水反応させることにより得ることができる。
なお、これらの飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸は、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。
また、不飽和脂肪酸が有する二重結合の位置は任意である。
これらの中でも、カルボン酸類としては、オレイン酸及びステアリン酸が好ましい。
なお、カルボン酸類は、アミン類との酸アミド化反応に原料として用いる場合、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、アルキルアミンが有するアルキル基は、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。
なお、アルカノールアミンが有するアルカノール基は、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。
炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基(−CH2CH2−)及びプロピレン基(−CH2CH2CH2−)が好ましく、エチレン基がより好ましい。
本発明の一態様の潤滑油組成物は、消泡性を向上させる観点から、さらにフッ素化シリコーン(E)を含有することが好ましい。
フッ素化シリコーン(E)を含有することで、得られる潤滑油組成物の消泡性を向上させることができ、当該潤滑油組成物を、二輪車等の車体の緩衝器に用いた場合、車体の操作安定性を向上させることができる。
なお、フッ素化シリコーン(E)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様の潤滑油組成物は、さらにシールスウェラーを含有してもよい。
シールスウェラーとしては、例えば、硫黄系シールスウェラー等が挙げられる。
しかしながら、本発明の潤滑油組成物は、成分(B)を含有することで、ゴム材−金属間の摩擦係数を小さくすることが可能であるため、シールスウェラーの含有量を低減させることができる。そのため、本発明の潤滑油組成物は、摩擦低減特性と消泡性とをバランス良く向上させ、得られる潤滑油組成物を、二輪車等の車体の緩衝器に用いた場合に、車体の乗心地性と操作安定性をバランスよく向上させることができる。
また、シールスウェラーの含有量は、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、通常0質量%以上であるが、当該潤滑油組成物のゴム材−金属間の摩擦係数を小さくする観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.010質量%以上である。
本発明の一態様の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに成分(B)〜(E)や上述の成分以外の潤滑油用添加剤を含有してもよい。
このような潤滑油用添加剤としては、例えば、粘度指数向上剤、流動点降下剤、無灰清浄分散剤、金属系清浄剤、酸化防止剤、極圧剤、耐摩耗剤、防錆剤、金属不活性化剤等が挙げられる。
これらの各種潤滑油用添加剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粘度指数向上剤としては、例えば、非分散型ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体等)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等)等の重合体が挙げられる。
これらの粘度指数向上剤の質量平均分子量(Mw)としては、通常500〜1,000,000、好ましくは5,000〜800,000、より好ましくは10,000〜600,000であるが、重合体の種類に応じて適宜設定される。
流動点降下剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられ、ポリメタクリレートが好ましく用いられる。
これらの流動点降下剤の質量平均分子量(Mw)としては、通常50,000〜150,000である。
無灰清浄分散剤としては、コハク酸イミド類やホウ素含有コハク酸イミド類等のイミド類、ベンジルアミン類、ホウ素含有ベンジルアミン類、コハク酸で代表される二価カルボン酸アミド類等が挙げられる。これらの中でも、コハク酸イミド類が好ましい。
金属系清浄剤としては、中性金属スルホネート、中性金属フェネート、中性金属サリシレート、中性金属ホスホネート、塩基性スルホネート、塩基性フェネート、塩基性サリシレート、塩基性ホスホネート、過塩基性スルホネート、過塩基性フェネート、過塩基性サリシレート、過塩基性ホスホネート等が挙げられる。
酸化防止剤としては、従来潤滑油の酸化防止剤として使用されている公知の酸化防止剤の中から、任意のものを適宜選択して用いることができ、例えば、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、モリブデン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系酸化防止剤;4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)等のジフェノール系酸化防止剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤;等を挙げられる。
モリブデン系酸化防止剤としては、例えば、三酸化モリブデン及び/又はモリブデン酸とアミン化合物とを反応させてなるモリブデンアミン錯体等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネイト等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、ホスファイト等が挙げられる。
極圧剤及び耐摩耗剤としては、例えば、スルフィド類、スルフォキシド類、スルフォン類、チオホスフィネート類等の硫黄系化合物;塩素化炭化水素等のハロゲン系化合物、ジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、ジチオカルバミン酸亜鉛(ZnDTC)、硫化オキシモリブデンオルガノホスホロジチオエート(MoDTP)、硫化オキシモリブデンジチオカルバメート(MoDTC)等の有機金属系化合物等が挙げられる。
このような他のリン系極圧剤又は耐摩耗剤の含有量としては、潤滑油組成物に含まれる成分(B)及び(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、より好ましくは0〜10質量部、更に好ましくは0〜5質量部、より更に好ましくは0〜2質量部、特に好ましくは0〜0.1質量部である。
防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリルトリアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピリミジン系化合物等が挙げられる。
本発明の一態様の潤滑油組成物の40℃における動粘度としては、好ましくは2〜100mm2/s、より好ましくは5〜60mm2/s、更に好ましくは7〜40mm2/sである。
潤滑油組成物の密度が小さいほど、消泡性を向上させることができ、当該潤滑油組成物を、二輪車等の車体の緩衝器に用いた場合、車体の操作安定性を向上させることができる。
なお、本明細書において、潤滑油組成物の15℃における密度は、JIS K2249に準拠して測定した値を意味する。
なお、上記のゴム摩擦係数(μ)の値は、後述の実施例に記載の「往復動摩擦試験」に準拠して測定された値を意味する。
本発明の潤滑油組成物は、二輪車や四輪車等の車体の緩衝器の部材の潤滑用途(特に、ゴム材−金属間での潤滑用途)に使用されることが好ましい。
つまり、本発明の潤滑油組成物は、緩衝器用潤滑油組成物として好適である。
緩衝器用潤滑油組成物としては、より具体的には、二輪や四輪複筒型ショックアブソーバー、単筒型ショックアブソーバーの何れにも使用可能であるが、特に、二輪用として好適に用いられる。
本発明の緩衝器の摩擦低減方法は、緩衝器に対して、上述した本発明の潤滑油組成物を添加することを特徴とする。
緩衝器(ショックアブソーバー)としては、複筒型ショックアブソーバー、単筒型ショックアブソーバーが挙げられる。
本発明の摩擦低減方法は、これら緩衝器(ショックアブソーバー)の全般に効果を発揮するが、緩衝器内にゴムの摩擦がある場合(例えば、シール材及び/又はブッシュがゴム製の場合)に、特に優れた効果を発揮できる。
また、本発明の摩擦低減方法は、四輪、二輪のいずれのショックアブソーバーに対しても摩擦を低減し得るが、特に、二輪用のショックアブソーバーの摩擦低減効果に優れる。
本発明の潤滑油組成物の製造方法としては、特に制限は無いが、下記工程(1)を有する方法であることが好ましい。
工程(1):基油(A)に、前記一般式(b)で表される化合物(B1)及び化合物(B1)のアミン塩(B2)から選ばれる1種以上の酸性リン酸エステル系化合物(B)を配合する工程。
なお、工程(1)で用いる基油(A)及び酸性リン酸エステル系化合物(B)の詳細(好適な成分、含有量、他成分との含有量比等)は上述のとおりである。
また、本工程(1)において、さらに上述の成分(C)〜(E)を含有してもよく、これら以外の潤滑油用添加剤を含有してもよい。
なお、これらの成分の詳細(好適な成分、含有量、含有量比等)についても、上述のとおりである。
また、成分(B)等の潤滑油用添加剤を均一に分散させる観点から、基油(A)を40〜70℃まで昇温した後、潤滑油用添加剤を配合し、撹拌して均一に分散させることがより好ましい。
(1)40℃及び100℃における動粘度
JIS K2283:2000に準拠して測定した。
(2)粘度指数
JIS K2283:2000に準拠して測定した。
(3)密度
JIS K 2249に準拠して測定した。
表1に示す種類及び配合量にて各種鉱油を調製して基油(i)〜(viii)を得た後、表1に示す種類及び配合量の潤滑油用添加剤を添加して、潤滑油組成物(I)〜(VIII)をそれぞれ調製した。
実施例及び比較例で用いた、表1に記載の鉱油及び潤滑油用添加剤は、以下のとおりである。
・ナフテン系60N鉱油:40℃動粘度=9.03mm2/s、100℃動粘度=2.23mm2/s、粘度指数=26。
・パラフィン系60N鉱油:40℃動粘度=9.92mm2/s、100℃動粘度=2.71mm2/s、粘度指数=114。
・70N鉱油:40℃動粘度=9.90mm2/s、100℃動粘度=2.70mm2/s、粘度指数=112。
・100N鉱油:40℃動粘度=21.0mm2/s、100℃動粘度=4.47mm2/s、粘度指数=127。
・酸性リン酸エステル(1):下記式で表される、ジテトラコシルアシッドフォスフェート。
・TCP:下記式で表される、トリクレジルフォスフェート。
・シールスウェラー:硫黄系シールスウェラー。
・PMA:ポリメタクリレート
・フッ素化シリコーン
・他の添加剤:フェノール系酸化防止剤等。
これらの結果を表1に示す。
図1に示す試験機を用いて、実施例及び比較例で調製した潤滑油組成物を使用した際のゴム材−金属間のゴム摩擦係数を測定した。
具体的には、図1に示す試験機において、下記の試験条件にて、実施例及び比較例で調製した潤滑油組成物である試料油を介して半球状ゴム(ニトリルゴム)と硬質Cr(クロム)めっき鋼板とを荷重で圧接しながら往復摺動させて、摩擦力の最大値よりゴム摩擦係数(μ)を求めた。試験条件を以下に示す。
(試験条件)
・温度:25℃
・振幅:±10mm(矩形波)
・荷重:0.1kgf(0.98N)
・上側テストピース:半球状ゴム(NBR(ニトリルゴム))
・下側テストピース:硬質Crメッキ鋼板
・試料油量:1mlを塗布
・速度:10mm/s
図2に示す泡立ち試験機を用いて、循環泡立ち試験を行い、潤滑油組成物の消泡性を評価した。
図2に示す泡立ち試験機は、油槽に相当するガラスシリンダー1(容量:1000ml)、ギアポンプ2、電磁弁3、噴射ノズル4(ノズルの直径:1.0mm)、熱電対5、温度調節器6、及び透明ヒーター7からなり、これらにより吸引ライン10、循環ライン20及び噴射ライン30が構成される。
まず、ガラスシリンダー1に、実施例及び比較例で調製した潤滑油組成物である試料油8を500mlを入れ、ギアポンプ2を回転させ、循環ライン20にて泡立ちのない状態で、試料油8の流量が1420ml/分となるように循環させた。また、試料油8の液面から噴射ノズル4の先端までの高さ(ノズル高さ)は55mmとした。
その後、試料油8を昇温し、温度が100℃になった時点で、噴射ノズル4から液面に向かって30秒間試料油を噴射し、直後の気泡混入油の液面レベルを測定し、噴射前の液面レベルと比較して初期泡立ち量(ml)とした。初期泡立ち量の値が小さいほど、消泡性に優れているといえる。
そのため、潤滑油組成物(I)〜(V)は、例えば、二輪車等の車体の緩衝器に用いた場合に、車体の乗心地性を大きく改善し得る潤滑油組成物であると考えられる。
2 ギアポンプ
3 電磁弁
4 噴射ノズル
5 熱電対
6 温度調節器
7 透明ヒーター
8 試料油
10 吸引ライン
20 循環ライン
30 噴射ライン
Claims (11)
- 基油(A)と、下記一般式(b−1)で表される化合物(B11)及び化合物(B11)のアミン塩(B21)から選ばれる1種以上の酸性リン酸ジエステル系化合物(Bx)を含む酸性リン酸エステル系化合物(B)とを含有する、潤滑油組成物。
〔上記一般式(b−1)中、p1、q1、r1、p2、q2、r2は、それぞれ独立に、1以上の整数であり、10≦p1+q1+r1+3≦40、及び、10≦p2+q2+r2+3≦40を満たす。なお、p1とp2、q1とq2、及び、r1とr2は、それぞれ、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。〕 - 成分(B)の含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.01〜4.0質量%である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
- さらに下記一般式(c)で表される化合物(C1)及び化合物(C1)のアミン塩(C2)から選ばれる1種以上の酸性リン酸エステル系化合物(C)を含有する、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
〔上記一般式(c)中、mは1又は2であり、Rは、炭素数10〜40の直鎖アルキル基、又は炭素数10〜40の直鎖アルケニル基である。なお、mが2である場合、2つのRは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。〕 - 成分(B)と成分(C)との含有量比〔(B)/(C)〕が、質量比で、1/99〜50/50である、請求項3に記載の潤滑油組成物。
- さらに脂肪酸アミド(D)を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
- 成分(D)の含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.01〜5.0質量%である、請求項5に記載の潤滑油組成物。
- 一般式(b−1)の式中、20≦p1+q1+r1+3≦40、及び、20≦p2+q2+r2+3≦40である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
- シールスウェラーの含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、1.5質量%未満である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
- 前記潤滑油組成物の15℃における密度が、0.860g/cm3以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
- 二輪車の緩衝器に用いられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
- 基油(A)に、下記一般式(b−1)で表される化合物(B11)及び化合物(B11)のアミン塩(B21)から選ばれる1種以上の酸性リン酸ジエステル系化合物(Bx)を含む酸性リン酸エステル系化合物(B)を配合する工程を有する、潤滑油組成物の製造方法。
〔上記一般式(b−1)中、p1、q1、r1、p2、q2、r2は、それぞれ独立に、1以上の整数であり、10≦p1+q1+r1+3≦40、及び、10≦p2+q2+r2+3≦40を満たす。なお、p1とp2、q1とq2、及び、r1とr2は、それぞれ、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。〕
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