JP5858206B1 - 継目無金属管の製造方法 - Google Patents

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Abstract

パスライン(X−X)を挟んで左右または上下に対設された太径のコーン型主ロール(1、1′)と、該対設された主ロールの間にあって、同じくパスラインを挟んで上下または左右に対設された細径の副ロール(7、7′)から構成された4ロール型の傾斜圧延機を用い、主ロールの傾斜角(β)、交叉角(γ)と、副ロールの傾斜角(β′)、交叉角(γ′)を5?≦「β、β′」≦25?、3?≦「γ、γ′」≦35?、10?≦「β+γ、β′+γ′」≦55?の範囲に保持し、中実ビレットを穿孔圧延する。中実ビレットの直径(d0)と、穿孔後のホローピースの直径(d)および肉厚(t)との間に1.5≦−ψr/ψθ≦4.5(但し、ψr=ln(2t/d0)、ψθ=ln{2(d−t)/d0})の関係を満足させることが望ましい。これにより、難加工性材料のビレットから高加工度で薄肉のホローピースを製造することができる。

Description

本発明は、継目無金属管の製造方法に関し、特に、難加工性材料のビレットから高加工度で穿孔圧延して薄肉の素管(ホローピース)を製造することができる継目無金属管の製造方法に関する。
継目無管の製造方法として最も一般的に採用されている方法には、マンネスマン−プラグミル法およびマンネスマン−マンドレルミル法がある。これらの方法では、加熱炉で所定の温度に加熱した中実ビレットを穿孔圧延機で穿孔して中空棒状のホローピースとし、これをプラグミル、マンドレルミルなどの延伸圧延機によって主として肉厚を減じてホローシェルとする。次いで、サイザまたはストレッチレデューサなどの絞り圧延機で主として外径を減じて、所定の寸法の熱間仕上げ継目無管とする。本発明は、上記の工程の中の最初の穿孔圧延工程において、特に難加工性材料のビレットに高加工度で穿孔圧延を施し、薄肉のホローピースを製造する継目無金属管の製造方法に関する。
まず、従来技術として、本発明者らが特許文献1から特許文献4で提案した発明について述べる。
特許文献1の発明(以下「第1の先行発明」という。)は、ビレットおよびホローピースが通過するパスラインを挟んで左右または上下に対設された両端支持のコーン型主ロールの傾斜角βと、この主ロールの交叉角γとを下記の(1)′〜(3)′式の範囲に保持し、前記主ロール相互間にあってパスラインを挟んで上下または左右に対設されたディスクロール面でビレットおよびホローピースを押圧しながら穿孔圧延する方法である。すなわち、
3°≦β≦25° ・・・(1)′
3°≦γ≦25° ・・・(2)′
15°≦β+γ≦45° ・・・(3)′
上記の傾斜角βとは、ロールの軸芯線がパスラインの水平面または垂直面に対してなす角度であり、交叉角γとは、ロールの軸芯線がパスラインの垂直面または水平面に対してなす角度である。
第1の先行発明は、マンネスマン穿孔法の穿孔原理を根本的に否定するものであり、従来のマンネスマン穿孔法がいわゆる回転鍛造効果(マンネスマン効果)を利用して孔をあけやすい状態を作り出して中実ビレットを穿孔する穿孔圧延法であるのに対し、
(i)回転鍛造効果(マンネスマン効果)の発生を極力抑制し、
(ii)穿孔過程で発生する円周方向剪断変形γrθおよび表面捩れ剪断変形γβlをも可能な限り抑制し、傾斜圧延でありながら押出し製管法と同等またはこれに準ずるメタルフローを実現することをその技術思想としたものであった。
そして、これを実現するための穿孔圧延機は高交叉角、高傾斜角穿孔を可能とする構造であり、主ロール形状はコーン型となし、また、ガイドシューに替えてディスクロールを採用した。
特許文献2の発明(以下「第2の先行発明」という。)は、ビレットおよびホローピースが通過するパスラインを挟んで左右または上下に対設された両端支持のコーン型主ロールの傾斜角βと、この主ロールの交叉角γとを下記の(1)〜(3)式の範囲に保持し、かつ中実ビレットの直径dと穿孔圧延後のホローピースの外径dおよび肉厚tとが下記(4)式を満足するようにし、穿孔比を4.0以上、拡管比を1.15以上または「肉厚/外径」比を6.5以下とする継目無管の製造方法の発明である。すなわち、
8°≦β≦20° ・・・(1)
5°≦γ≦35° ・・・(2)
15°≦β+γ≦50° ・・・(3)
1.5≦−ψ/ψθ≦4.5 ・・・(4)
但し、ψ=ln(2t/d
ψθ=ln{2(d−t)/d
上記第2の先行発明の方法は、第1の先行発明と同様に、ロールの傾斜角βと交叉角γを適正な範囲に保持することによって、穿孔圧延工程、なかんずく高加工度の薄肉穿孔圧延工程で顕著に発生する回転鍛造効果と附加剪断変形を可能な限り抑制する方法である。そして、ステンレス鋼や高合金鋼の製管で発生する内面疵やラミネーション(肉厚中央部で発生する二枚割れ)を防止し、更に、円周方向ひずみψθと肉厚方向ひずみψの配分を適正化し、前記(4)式の関係を満足させることによって、管肉のフレアリングやピーリング、あるいは尻詰まりなどの操業上のトラブルを減少させることを特徴とする方法である。ここで、若干付言すれば、第2の先行発明において、(4)式は高加工度薄肉穿孔するために、高穿孔比穿孔法を選択せず、高拡管比穿孔法を採用することを意味している。
特許請求の範囲における記載から言えば、第1の先行発明は必ずしも拡管穿孔法のみに限定するものではないが、第2の先行発明では明瞭に高拡管比穿孔に限定している。
上記2つの先行発明では、ステンレス鋼、高合金鋼などの難加工性材料を内面疵やラミネーションを発生させることなく安定して穿孔するためには、ビレット径に対してロールゴージ径をできるだけ小さくすべきことを暗示している。しかし、ロールゴージ径を小さくするには、ロール構造上、入側と出側のロールの軸径も小さくしなければならない。そうすると、ロール軸を支承するベアリングの強度が不足し、特にコーン型ロールの場合は入側のベアリングの疲労強度が不足して、耐久性が問題になる。従って、ロールゴージ径の過度な縮小は、実操業では推奨できない。
次に、特許文献3の発明(以下「第3の先行発明」という。)の目的は、ロールゴージ径をあまり小さくすることなしに回転鍛造効果を極力抑制し、かつ附加剪断変形をも極力抑制することのできる穿孔圧延方法の提供にある。
先に述べたとおり、本発明者は、回転鍛造効果を殺し、附加剪断変形を抑制する観点から高交叉角拡管穿孔圧延法を提唱し、第2の先行発明を行った。しかし、高交叉角化は、回転鍛造効果を殺し、附加剪断変形を抑制する必要条件であるが、十分条件ではない。必要かつ十分な条件は、ロール形状の最適化であり、高交叉角化はロール形状最適化の必要条件なのである。
第3の先行発明の穿孔圧延方法では、管材料の拡管比とコーン型主ロールの拡径比の相対的関係を適正化している。そして、それによって、穿孔圧延過程における回転鍛造効果は顕著に抑制され、ステンレス鋼、高合金鋼などの難加工性材料の高加工度薄肉穿孔圧延工程において発生しやすい内面疵やラミネーションをより確実に抑えることができる。
第3の先行発明では、上記の(1)〜(4)式に加えて、更に、主ロールの入口直径D、出口直径D、ビレットの直径d、穿孔後の直径dと交叉角γとの間に、下記の(5)式および(6)式を満たすことを特徴としている。
(d/d)/(0.75+0.025γ)≦(D/D) ・・・(5)
/D≦(d/d)/(1.00−0.027γ) ・・・(6)
拡管比「d/d」、ロールの拡径比「D/D」およびロール交叉角γの関係を論ずる場合、ロール形状の適、不適は、回転鍛造効果で判定する必要があり、ここでは、プラグ先端が接触する直前のビレット中心部の延性(絞り値)をビレットそのものの絞り値よりも大きくできるか否かを判定の基準としている。なお、上記(5)式はロール形状を特定するための必須の条件であるが、(6)式は意識せずに成立することが多いので必ずしも条件とする必要はない。
特許文献4の発明(以下「第4の先行発明」という。)はディスクロールの設定方法に関する発明であるが、本発明では以下に詳しく述べるように、ディスクロールを使用しないので省略する。
特許第1608310号公報 特公平5−23842号公報 特許第4196991号公報 特許第3082489号公報 特開平10−94808号公報 特開2001−259710号公報
これらの発明は、すべてパスラインを挟んで左右または上下に対設された両端支持のコーン型主ロールの傾斜角(主ロールの軸芯線がパスラインの水平面または垂直面に対してなす角度)βと該主ロールの交叉角(主ロールの軸芯線がパスラインの垂直面または水平面に対してなす角度)γの範囲を特定し、次いで、半径方向対数ひずみψと円周方向対数ひずみψθの配分比を適正化し、更には、管材料の拡管比とコーンロール直径の拡径比の関係を適正化したものであった。
前述したように、これらの発明はいずれもマンネスマン穿孔法の穿孔原理を根本的に否定するものであり、従来のマンネスマン穿孔法が回転鍛造効果(マンネスマン効果)を利用して穿孔する穿孔圧延法であるのに対し、回転鍛造効果の発生を極力抑制し、穿孔過程で発生する附加剪断変形γrθおよびγθ1をも可能な限り抑制する観点から発明されたものであった。
この場合、前記コーン型主ロール相互間にあって、パスラインを挟んで上下または左右に対設されたディスクロールを駆動し、ディスクロールの孔型面でビレットおよびホローピースを押圧しながら穿孔圧延する。
ディスクロールは古くからの固定ガイドシューに替えておよそ30年間実操業に採用されてきたが、以下に示すような問題点がある。
(1)穿孔圧延がコーン型主ロールの傾斜圧延によってパスセンタのまわりにスパイラル状に行われるのに対し、ディスクロールの回転方向はこれにほぼ直角であり、ディスクロールの位置設定を誤ると穿孔途中で頭詰まり、尻詰まりを発生する。
(2)また、ディスクロール孔型のエッジ面でホローピースの管肉がピーリングされる危険があり、特に高加工度薄肉穿孔が難しくなる。
上記問題を解決し、更なる性能向上をはかるべく、本発明者はディスクロールを廃し、それに代えてコーン型主ロールと同等の作用効果を有する主ロールより細径のコーン型副ロールを採用することに踏み切った。すなわち、4ロール型の交叉穿孔機の開発に踏み切った。2ロール型交叉圧延法を4ロール型交叉圧延法に変更できれば、更に以下に示す問題を回避し得るような作用効果も期待できる。
(3)中実ビレットを2ロール型の傾斜圧延機で回転鍛造すれば、中実ビレットの軸心部には圧下の方向に圧縮応力が作用し、圧下の方向と直角方向には引張応力が発生する結果、中心偏析や介在物あるいはセンタポロシティを起点としていわゆるマンネスマン現象が現れ、著しければ崩壊する。
すなわち、2ロール型の傾斜圧延機を4ロール型の傾斜圧延機に変更すれば、圧下に際して引張応力は発生せず、圧下の方向に作用する圧縮応力だけで塑性変形するので、回転鍛造してもマンネスマン効果は抑制できるものと考えられる。なお、ここで若干補足すれば、ディスクロールを廃してローラシューを使用する技術が特許出願されているが(特許文献5(特開平10−94808号公報)、特許文献6(特開2001−259710号公報))、提案されているのはローラガイドシューであって圧延ロールではない。
本発明は、このような技術的背景の下になされたものであって、4ロール型の傾斜圧延機を採用することにより、特に難加工性材料のビレットから高加工度で薄肉の素管(ホローピース)を製造することができる継目無金属管の製造方法を提供することを目的としている。
本発明方法は、パスラインを挟んで左右または上下に対設された両端支持の一組の太径のコーン型主ロールと、該対設された主ロールの間にあって、同じくパスラインを挟んで上下または左右に対設された両端支持の一組の細径の副ロールから構成された4ロール型の傾斜圧延機を用い、コーン型主ロールの傾斜角βと、該主ロールの交叉角γと、コーン型副ロールの傾斜角β′と、該副ロールの交叉角γ′を
5°≦「β、β′」≦25°
3°≦「γ、γ′」≦35°
10°≦「β+γ、β′+γ′」≦55°
の範囲に保持し、中実ビレットを穿孔圧延することを特徴としている。
更に望ましくは、中実ビレットの直径dと、穿孔後のホローピースの直径dおよび肉厚tとの間に
1.5≦−ψψθ≦4.5
但し、ψ=ln(2t/d
ψθ=ln{2(d−t)/d
なる関係を同時に満足させ、中実ビレットを拡管穿孔圧延することを特徴としている。
本発明方法によれば、ステンレス鋼、高合金鋼などの難加工性材料のビレットから、フレアリングやピーリングを発生させることなく、高加工度で超薄肉のホローピースを製造することができる。更に、コーン型主ロールの直径と中実ビレットの直径との関係を最適化し、管材料の拡管比と主ロール、副ロールの拡径比の相対的関係を適正化することにより、高加工度の薄肉穿孔圧延工程において発生しやすい内面疵やラミネーションを抑えることもできる。
図1は、先行発明に関する2ロール型穿孔圧延法の説明図で、穿孔圧延状態を模式的に示す平面図である。 図2は、同じく穿孔圧延状態を模式的に示す側面図である。 図3は、同じく穿孔圧延状態を模式的に示す入側から見た正面図である。 図4は、先行発明に関する2ロール型穿孔圧延でビレット中心部に作用する応力の状態を示す説明図である。 図5は、本発明に関する4ロール型穿孔圧延でビレット中心部に作用する応力の状態を示す説明図である。 図6は、本発明に関する4ロール型穿孔圧延法の説明図で、穿孔圧延状態を模式的に示す平面図である。 図7は、同じく穿孔圧延状態を模式的に示す側面図である。 図8は、同じく穿孔圧延状態を模式的に示す入側から見た正面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
以下、本発明方法を先行発明と対比して説明する。
図1〜図3は、先行発明に関する2ロール型穿孔圧延法の説明図で、図1は穿孔圧延状態を模式的に示す平面図、図2は同じく側面図、図3は同じく入側から見た正面図である。図1、図2に示すように、主ロール1、1′は中実ビレット2の入口側に先端を向けたコーン型の形状をなし、入口側のロール面1a、1′aと出口側のロール面1b、1′bが交叉する位置がゴージ部1g、1′gとなっている。各ロール軸1c、1′cの両端は支持枠(図示せず)に保持されている。
ロール軸1c、1′cは、その延長線がパスラインを含む面(図示した例では水平面)に対して相反する方向に等しい傾斜角βをもって傾斜設定されるとともに(図2参照)、パスラインを含む垂直面に対して相反する方向に等しい交叉角γをもって傾斜設定されており(図1参照)、矢印で示すように、同一方向へ同一角速度で回転している。
図3に示すように、主ロール1、1′の間には中実ビレット2を挟んでディスクロール6、6′が配設されている。
中実ビレット2はマンドレル3によって支持されたプラグ4により穿孔され、ホローピース5となる。
これに対し、本発明方法では、ディスクロールに代えてコーン型主ロールと同等の作用効果を有するコーン型副ロールを採用する。
図6〜図8は、本発明に関する4ロール型穿孔圧延法の説明図で、図6は穿孔圧延状態を模式的に示す平面図、図7は同じく側面図、図8は同じく入側から見た正面図である。図6、図7に示すように、コーン型の主ロール1、1′はパスライン(X−X線)を挟んで左右に対設され、その対設されている主ロール1、1′の間に、コーン型の副ロール7、7′が同じくパスラインを挟んで上下に対設されている。
主ロールのロール軸1c、1′cは、その延長線がパスラインを含む面(図示した例では水平面)に対して相反する方向に等しい傾斜角βをもって傾斜設定されるとともに(図7参照)、パスラインを含む垂直面に対して相反する方向に等しい交叉角γをもって傾斜設定されている(図6参照)。主ロール1、1′は、矢印で示すように、同一方向へ同一角速度で回転している。副ロール7、7′のロール軸7c、7′cも同様に傾斜角β′および交叉角γ′をもって傾斜設定されており、同一方向へ同一角速度で回転している。このような4ロール型穿孔圧延法を採用することにより、以下に示す作用効果が得られる。
図4は、先行発明に関する2ロール型穿孔圧延でビレット中心部に作用する応力の状態を示す説明図である。中実ビレットを2ロール型の傾斜圧延機で回転鍛造すれば、中実ビレットの軸心部には圧下の方向に圧縮応力が作用し、圧下の方向と直角方向には引張応力が発生する結果、中心偏析や介在物あるいはセンタポロシティを起点としていわゆるマンネスマン現象が現れ、著しければ崩壊する。
図5は、本発明に関する4ロール型穿孔圧延でビレット中心部に作用する応力の状態を示す説明図である。2ロール型の傾斜圧延機を4ロール型の傾斜圧延機に変更すれば、圧下に際して引張応力は発生せず、圧下の方向に作用する圧縮応力だけで塑性変形するので、回転鍛造してもマンネスマン効果の発生は抑制できる。
ディスクロールに代えてコーン型主ロールと同等の作用効果を有するコーン型副ロールを採用した場合、主ロールおよび副ロールについては、それぞれ、入口ロール径DおよびD′、出口ロール径DおよびD′として、管材料の拡管比d/dと主ロールおよび副ロールの拡径比D/DおよびD′/D′との関係は先行発明のとおりであり、次の関係はそのまま成立する。すなわち、
(d/d)/(D/D)<0.75+0.025γ
(d/d)/(D′/D′)<0.75+0.025γ′
本発明方法において、副ロールのロール直径を主ロールのロール直径より細くしたのは、主ロールのロール開度調整代を大きくとって穿孔可能寸法範囲をできるだけ拡げるためである。因みに、主ロールと副ロールの出口径が等しければ、幾何学的制約から、直径dが(21/2−1)D以下になるホローピースは得られない。
更にまた、4ロール型にすれば圧延機の全体構造が複雑化するので、細径の副ロールを非駆動となし、副ロールの穿孔圧延負荷をも主ロールの駆動動力で分担させることができる。
なお、主ロールと副ロールのロール径を変えてもゴージ位置は一致させる必要があり、ゴージ位置前後の入出側バレル長さ(L、L′、L、L′)もそれぞれ等しくすることが望ましい(L=L′、L=L′)。
本発明では、中実ビレットを対象に説明したがこれに限定されるものではなく、機械加工で中ぐりした中空ビレットを用いた製造方法にも適用できるものである。
以下、実施例によって詳細に説明する。
(実施例1)
高合金鋼の熱間加工性は、ステンレス鋼のそれよりもなお劣悪であり、穿孔圧延温度が1275℃を超えるとラミネーションを発生することが多い。そこで、この実施例では、25%Cr−35%Ni−3Moの高合金鋼の直径70mmのビレットを供試材として、主ロールと副ロールを駆動し、穿孔圧延温度を1200℃として、拡管比2の高加工度薄肉穿孔圧延を行った。主ロールと副ロールの条件、ならびに穿孔圧延条件は以下のとおりである。
1.主ロールの条件
交叉角・・・ γ=30°
傾斜角・・・ β=12°
ゴージ径・・・ D=500mm
入口径・・・ D=300mm
出口径・・・ D=670mm
ロール拡径比・・・ D/D=2.23
入側バレル幅・・・ L=300mm
出側バレル幅・・・ L=460mm
バレル幅・・・ L+L=760mm
バレル幅比・・・ L/L=1.53
ロール回転数・・・ n=60rpm
2.副ロールの条件
交叉角・・・ γ′=30°
傾斜角・・・ β′=12°
ゴージ径・・・ D′=400mm
入口径・・・ D′=240mm
出口径・・・ D′=536mm
ロール拡径比・・・ D′/D′=2.23
入側バレル幅・・・ L′=300mm
出側バレル幅・・・ L′=460mm
バレル幅・・・ L′+L′=760mm
バレル幅比・・・ L′/L′=1.53
ロール回転数・・・ n′=75rpm
3.穿孔圧延条件
プラグ径・・・ d=130mm
ビレット径・・・d=70mm
ホローピース径・・・ d=140mm
ホローピース肉厚・・・t=3.5mm
拡管比・・・ d/d=2.00
穿孔圧延比・・・ d /4t(d−t)=2.56
「肉厚/外径」比・・・ (t/d)×100=2.5%
ロール形状指数・・・ (d/d)/(D/D
=(d/d)/(D′/D′)
=0.897
肉厚方向対数ひずみ・・・ψ=ln(2t/d
=ln0.10=−2.303
円周方向対数ひずみ・・・ψθ=ln{2(d−t)/d
=ln3.90=1.361
圧下配分比・・・ −ψ/ψθ=1.692
上記のとおり、円周方向と肉厚方向の圧下配分比は適切であり、また、ロール形状も適正化されているので、熱間加工性の劣悪な高合金鋼の高加工度薄肉穿孔圧延であっても、何の問題もなく穿孔圧延できた。
(実施例2)
18%Cr−8%Niのオーステナイト系ステンレス鋼の直径60mmのビレットを供試材として、副ロールを非駆動となし、主ロールのみ駆動して、拡管比1.5の高加工度薄肉穿孔圧延を行った。ビレットの加熱温度は1250℃とした。なお、ステンレス鋼の熱間加工性は炭素鋼のそれに較べてはるかに劣悪である。主ロールと副ロールの条件、ならびに穿孔圧延条件は以下のとおりである。
1.主ロールの条件
交叉角・・・ γ=25°
ゴージ径・・・ D=400mm
傾斜角・・・ β=12°
入口径・・・ D=240mm
出口径・・・ D=550mm
ロール拡径比・・・ D/D=2.29
入側バレル幅・・・ L=300mm
出側バレル幅・・・ L=460mm
バレル幅・・・ L+L=760mm
バレル幅比・・・ L/L=1.53
ロール回転数・・・ n=60rpm
2.副ロールの条件
交叉角・・・ γ′=25°
ゴージ径・・・ D′=320mm
傾斜角・・・ β′=12°
入口径・・・ D′=192mm
出口径・・・ D′=440mm
ロール拡径比・・・ D′/D′=2.29
入側バレル幅・・・ L′=300mm
出側バレル幅・・・ L′=460mm
バレル幅・・・ L′+L′=760mm
バレル幅比・・・ L′/L′=1.53
ロール回転数・・・ n′=(非駆動)
3.穿孔圧延条件
プラグ径・・・ d=80mm
ビレット径・・・d=60mm
ホローピース径・・・ d=90mm
ホローピース肉厚・・・t=2.7mm
拡管比・・・ d/d=1.50
穿孔圧延比・・・ d /4t(d−t)=3.82
「肉厚/外径」比・・・ (t/d)×100=3.0%
ロール形状指数・・・ (d/d)/(D/D
=(d/d)/(D′/D′)
=0.655
肉厚方向対数ひずみ・・・ψ=ln(2t/d
=ln0.09=−2.408
円周方向対数ひずみ・・・ψθ=ln{2(d−t)/d
=ln2.91=1.068
圧下配分比・・・ −ψ/ψθ=2.255
上記のとおり、円周方向と肉厚方向の圧下配分比、即ち、長手方向と円周方向の圧下配分比が適切であったために、フレアリングもピーリングも発生することなく穿孔圧延ができた。ロール形状も適正化されているので、難加工性の材料の高加工度超薄肉穿孔圧延であっても、内面疵やラミネーションの発生は見られなかった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明方法は、ディスクロールに替えてコーン型主ロールと同等の作用効果を有するコーン型副ロールを採用した4ロール型の傾斜圧延機を用いる方法であって、特に、ステンレス鋼、高合金鋼などの難加工性材料の穿孔圧延に有効に利用することができる。
1、1′:主ロール
2:中実ビレット
3:マンドレル
4:プラグ
5:ホローピース
6、6′:ディスクロール
7、7′:副ロール

Claims (4)

  1. パスラインを挟んで左右または上下に対設された両端支持の一組の太径のコーン型主ロールと、該対設された主ロールの間にあって、同じくパスラインを挟んで上下または左右に対設された両端支持の一組の細径の副ロールから構成された4ロール型の傾斜圧延機を用い、
    コーン型主ロールの傾斜角βと、該主ロールの交叉角γと、コーン型副ロールの傾斜角β′と、該副ロールの交叉角γ′を
    5°≦「β、β′」≦25°
    3°≦「γ、γ′」≦35°
    10°≦「β+γ、β′+γ′」≦55°
    の範囲に保持し、
    中実ビレットを穿孔圧延することを特徴とする、継目無金属管の製造方法。
  2. 中実ビレットの直径dと、穿孔後のホローピースの直径dおよび肉厚tとの間に
    1.5≦−ψ/ψθ≦4.5
    但し、ψ=ln(2t/d
    ψθ=ln{2(d−t)/d
    なる関係を同時に満足させ、
    中実ビレットを拡管穿孔圧延することを特徴とする、請求項1に記載の継目無金属管の製造方法。
  3. コーン型主ロールの入口径D、出口径Dおよびロール交叉角γ、同じくコーン型副ロールの入口径D′、出口径D′およびロール交叉角γ′と、中実ビレットの直径dおよび穿孔後のホローピースの直径dとの間に
    (d/d)/(D/D)<0.75+0.025γ
    (d/d)/(D′/D′)<0.75+0.025γ′
    なる関係を満足させ、穿孔圧延することを特徴とする、請求項2に記載の継目無金属管の製造方法。
  4. 細径の副ロールを非駆動となし、太径の主ロールのみを駆動し、
    中実ビレットを穿孔圧延することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の継目無金属管の製造方法。
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