JP5857670B2 - プロピレン系着色樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
その多くは顔料などで着色された前記組成物の成形体や、無着色や着色の前記組成物の成形体を塗装して用いられている。
これらの分野においては、生産工程の自動化・高効率化(コスト低減化)や溶剤規制などから、成形体の無塗装化が促進(すなわち、プロピレン系着色樹脂組成物の成形体がそのまま使用)されつつある。
成形体外観の高度化としては、特にウェルド外観、メタリック調外観及び発色性の夫々のさらなる向上が求められている。
ウェルド外観とは、成形体が射出成形法や射出圧縮成形法などにて成形される際に、2つ以上の樹脂材料フローフロント(流動先端部)が会合した場所に発生する線状痕であるウェルド(ウェルドラインともいう。)の目立ち度合に伴う外観の良否をいう。
ウェルドは、成形樹脂材料中に、例えば雲母やアルミフレーク顔料の様な鱗片状成分を含有した場合、前記会合部において、前記鱗片状成分の平板部どうしが向き合う状態になり易いため、特に目立ち易くなる傾向がある。
前記ウェルドが目立たない場合や目立ち難い場合を「ウェルド外観が良好」といい、一方、前記ウェルドが目立つ場合を「ウェルド外観が不良」という。
ウェルドは(無)着色成形体や後記するメタリック調着色成形体の外観ひいては商品価値を著しく低下させるばかりでなく、成形体の割れを誘発するおそれがある場合もあり、極力低減化する必要がある。
ここで、上記メタリック調外観には、一般に表現されることも多い光輝感及び金属感の概念も含むものとする。この光輝感とは輝度感とも称されることもある成形体表面の輝き度合を表す概念であり、金属感とはあたかも金属であるかの様な風合い(質感)を醸し出す特性を表す概念である。
メタリック調外観は着色成形体外観ひいては商品価値を著しく向上させるので極力付与する必要がある。
該成形品は、高級なメタリック感と透明感(クリア性)及び耐傷性とを備え、且つウェルドライン、フローマーク等の目立たない優れた外観を有しており、自動車用部品に好適であることが記載されているが、クリア塗装作業が必須である外、その発色性や、その物性(曲げ弾性率・衝撃強度)に関する各記載がなくあきらかでない。
該樹脂組成物から製造した成形品は、良好なメタリック調外観、優れた機械的強度物性を有し、高い流動性をもつのでフローマークやウェルドマークの発生を避けることができると記載されているが、構成成分として前記プロピレン系樹脂及び前記アルミニウムフレーク顔料以外に、前記エラストマー性重合体及び前記無機充填剤が必須である外、ウェルド外観の具体的水準や、前記アルミニウムフレーク顔料の平均アスペクト比及び平均厚み、さらには発色性に関する記載がなくあきらかでない。
該樹脂組成物は、メタリック調の外観を有し、ウェルドがなく外観に優れる成形品の製造に適した光輝材含有樹脂組成物を得ることができると記載されているが、構成成分として前記熱可塑性樹脂(A)及び前記光輝材(C)以外に、前記繊維(B)が必須である外、前記樹脂組成物のメタリック調外観の具体的水準、前記光輝材(C)の平均アスペクト比及び平均厚み、発色性、さらにその物性(曲げ弾性率・衝撃強度)に関する記載がなくあきらかでない。
すなわち特許文献4に、発色性が良好でウェルドの優れたメタリック調外観が得られ、剛性と耐衝撃性に優れるポリプロピレン系樹脂材料として、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)50〜90重量%と、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)10〜50重量%とからなるプロピレン系樹脂成分(A)100重量部に対して、(アルミニウムフレークなどの)光輝剤(B)0.01〜10重量部を含有するプロピレン系共重合体組成物であって、該プロピレン系樹脂成分(A)は、板厚2mmの鏡面成形品としたときの、投光角度0°、受光角度0°における光線透過率が4%以上であることを特徴とするプロピレン系共重合体組成物を提案している。
該プロピレン系共重合体組成物は、衝撃強度、剛性が向上し、透明性に優れており、結晶化温度も制御でき、光輝剤を配合して共重合体組成物とし射出成形等により成形品としたものは、発色性が良好でウェルド外観の優れたメタリック調外観が得られるので各種の自動車部品用用途に有効であるが、該共重合体組成物の適用分野のさらなる拡大をはかるなどのためには、ウェルド外観、メタリック調外観及び発色性の一層の向上が望まれている。
成分(A):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜200g/10分のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体樹脂;25〜75重量%
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%とする。)
成分(B):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜200g/10分の成分(A)以外のプロピレン系樹脂;25〜75重量%
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%とする。)
成分(C):平均アスペクト比が4.5〜30、平均粒径が10〜50μm、且つ平均厚みが0.1〜11μmのアルミフレーク顔料;0.3〜10重量部
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量部とする。)
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量部とする。)
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、成分(A)が、メタロセン系触媒を用いた、エチレン含量が1.5〜5重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂であることを特徴とするプロピレン系着色樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、成分(B)が、成分(BP):下記特性(BP1)〜(BP4)を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂を含有することを特徴とするプロピレン系着色樹脂組成物が提供される。
特性(BP1):プロピレン重合体成分(BPa)67〜96重量%と、プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)4〜33重量%とからなること。
特性(BP2):成分(BP)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が5〜200g/10分であること。
特性(BP3):プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)のエチレン含量が25〜75重量%であること。
特性(BP4):プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)の固有粘度[η]copolyが2.5〜10dl/gであること。
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量部とする。)
さらに、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、自動車部品であることを特徴とする成形体が提供される。
そのため、アームレスト、インストルメントパネル、グローブボックス、ピラー、ドアトリム、トリム類、コンソール類、スイッチパネル、アームレスト加飾部品・インストルメントパネル加飾部品などの各種加飾部品類、バンパー、フェンダー、ホイールキャップ、バックドアー、ドアプロテクター、マッドガード、エンジンカバーなどの自動車内外装・エンジンルーム内の部品をはじめ、テレビ・掃除機などの家電機器の各種部品、便座などの住宅設備機器部品、各種工業部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる。
成分(A):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜200g/10分のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体樹脂;25〜75重量%
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%とする。)
成分(B):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜200g/10分の成分(A)以外のプロピレン系樹脂;25〜75重量%
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%とする。)
成分(C):平均アスペクト比が4.5〜30、平均粒径が3〜50μm、且つ平均厚みが0.1〜11μmのアルミフレーク顔料;0.01〜10重量部
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量部とする。)
以下、本発明のプロピレン系着色樹脂組成物及びその成形体について、項目毎に詳細に説明する。
すなわち、アルミフレーク顔料を含有するプロピレン系着色樹脂組成物及びその成形体においては、各特定のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体樹脂とプロピレン系樹脂とを含有し、且つ、各特定の平均アスペクト比、平均粒径及び平均厚み(とりわけ特定の平均アスペクト比)を有するアルミフレーク顔料を含有すると、前記着色樹脂組成物及びその成形体のウェルド外観、メタリック調外観、発色性及び物性バランス(曲げ弾性率・衝撃強度のバランス)(とりわけ、前記ウェルド外観及びメタリック調外観)が著しく特異的に向上することを見出した。
さらに、一般的にはプロピレン系樹脂組成物がアルミフレーク顔料の様な鱗片状物を高濃度に含有するとウェルド外観が著しく悪化する(ウェルドラインが明確に目立つ様になる)が、前記アルミフレーク顔料は、前記メタリック調外観をより高度化するなどのために、特定のプロピレン系樹脂組成物に比較的高濃度に含有された場合でも、想定されるメルトフロントの会合部分がゲートから比較的近いなどのデザインの金型を用いても、さらには、例えば比較的低温などのより厳しい成形条件などにおいて成形された場合でも、前記ウェルド外観を良好な水準で発現できることを見出した。
すなわち、特定のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体樹脂25〜75重量%、特定のプロピレン系樹脂25〜75重量%、特定の平均アスペクト比、平均粒径及び平均厚みを有するアルミフレーク顔料0.01重量部〜10重量部(前記成分(A)と成分(B)との合計量100重量部に対し)を含有するなどのプロピレン系着色樹脂組成物及びその成形体が、前記の課題を解決できることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
1.プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体樹脂:成分(A)
本発明のプロピレン系着色樹脂組成物(以下、単に着色組成物ともいう。)に用いられる、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体樹脂(成分(A))(以下、単に成分(A)ともいう。)は、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜200g/10分のものであって、本発明の着色組成物及びその成形体において、優れたウェルド外観、メタリック調外観及び発色性を発現することに特に寄与する特徴を有する。
すなわち、成分(A)は、本発明の着色組成物及びその成形体において、後に詳述する成分(B)に相溶することなどにより、成形された成形体中の成分(C)の分散性を高めるなどでウェルド外観及びメタリック調外観を向上させたり、また、樹脂成分自体の透明性をより高めるなどにより発色性を向上させる。なお、成分(A)は、2種以上併用してもよい。
(1)メルトフローレート
本発明に用いられる成分(A)は、その全体のメルトフローレート(以下、MFRともいう、230℃、2.16kg荷重)が1〜200g/10分、好ましくは5〜120g/10分、より好ましくは10〜50g/10分であることが必要である。
該MFRが1g/10分未満であると本発明の着色組成物及びその成形体のウェルド外観、メタリック調外観及び成形性(流動性)などが低下するおそれがある。一方、200g/10分を超えると、物性(衝撃強度など)が低下するおそれがある。なお、前記MFRが18〜45g/10分であると、本発明の着色組成物及び成形体のウェルド外観、メタリック調外観、発色性及び物性バランスを高水準で発現するなどの点からさらに好ましい。
本明細書において、MFRは、JIS K7210に準拠して測定した値である。
成分(A)は、プロピレンから得られる構造単位と、α−オレフィンから得られる構造単位とからなることが必要である。具体的には、プロピレンから得られる構造単位が100〜90重量%(但し100重量%を除く)、好ましくは99〜92重量%、α−オレフィンから得られる構造単位が0〜10重量%(但し0重量%を除く)、好ましくは1〜8重量%の割合で含有されていることが好ましい。但し、プロピレンから得られる構造単位とα−オレフィンから得られる構造単位の合計量は100重量%である。
α−オレフィンから得られる構造単位の含有量が10重量%を超えると、本発明の着色組成物及びその成形体の、物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)などが低下するおそれがある。
ここで、プロピレン系共重合体中のプロピレンから得られる構造単位、及びα−オレフィンから得られる構造単位は、13C−NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値である。具体的な例としては、日本電子社製FT−NMRの270MHzの装置により測定される値である。
本発明に用いられる成分(A)の好ましいその他の要件として、結晶化温度(Tc)が挙げられる。該結晶化温度は、80〜115℃が好ましく、85〜105℃がより好ましい。結晶化温度が80℃未満であると、本発明の着色組成物及びその成形体の物性(曲げ弾性率など)などが低下するおそれがある。一方、115℃を超えると、ウェルド外観、メタリック調外観及び発色性が低下するおそれがある。
なお、結晶化温度の測定は、示差走査熱量計(例えばセイコーインスツルメンツ社製DSC6200)を使用し、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、50℃から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で40℃まで降温して結晶化させた時の結晶化最大ピーク温度として測定したものである。
なお、結晶化温度は成分(A)単体について測定されたものである。
本発明に用いられる成分(A)の製造方法としては、各種公知の触媒、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒を使用した方法が挙げられる。すなわち、上記触媒の存在下、プロピレン及び適宜のα−オレフィンを共重合して得ることができる。重合反応は、溶媒を使用する溶液重合の他、バルク重合、気相重合、溶融重合であってもよい。
また、重合方式は、連続重合、回分式重合のいずれであってもよい。一般に、チーグラー・ナッタ系触媒では、活性点の不均一性から製造されるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体中のα−オレフィン組成分布が広くなり易く、剛性低下などの懸念があり、透明性も低い傾向があるなどから、メタロセン系触媒を使用して得られるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を用いることが好ましい。
また、上記において、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。また、2種以上の錯体を使用することもできる。また、クロリドは、他のハロゲン化合物、メチル、ベンジルなどの炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミドなどのアミド基、メトキシ基、フェノキシ基などのアルコキシド基、ヒドリド基などに置き換えることができる。
これらの内、2位と4位に置換基を有し、珪素あるいはゲルミル基で架橋したビスインデニル基あるいはアズレニル基を配位子とするメタロセン化合物が好ましい。
これら化合物が溶媒などに可溶である場合、多孔質の微粒子状無機あるいは有機担体に担持して使用することが可能であり、好ましい。上記助触媒の中で、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
また、種々の市販品の中から、所望の製品を選択して入手することもできるので、このようにして入手した製品を使用してもよい。
本発明に用いられる成分(A)の配合量は、成分(A)及び後述する成分(B)の合計量100重量%において、25重量%〜75重量%、好ましくは30重量%〜70重量%、より好ましくは35重量%〜60重量%、さらに好ましくは35重量%〜49重量%である。成分(A)の配合量が25重量%未満であると、本発明の着色組成物及びその成形体のウェルド外観、メタリック調外観及び発色性が低下するおそれがある。一方、75重量%を超えると、物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)などが低下するおそれがある。
本発明の着色樹脂組成物に用いられる、成分(A)以外のプロピレン系樹脂(成分(B))(以下、単に「成分(B)」ともいう。)は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が1〜200g/10分のものであって、本発明の着色樹脂組成物及びその成形体において、優れた物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)を発現することに特に寄与する特徴を有する。
すなわち、成分(B)は、本発明の着色樹脂組成物及びその成形体において、前記成分(A)に相溶することなどにより、成形された成形体のウェルド外観、メタリック調外観などを良好な水準に維持しながら、その物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)を向上させたり、成形性(流動性など)をより向上させたりする。なお、成分(B)は、2種以上併用してもよい。
成分(B)の種類としては、成分(A)以外のプロピレン系樹脂であれば特に限定されないが、具体的にはプロピレン単独重合体樹脂、成分(A)に該当しない(すなわちMFR(230、2.16kg荷重)が1g/10分未満、同200g/10分超などの)プロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂や、プロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂などのプロピレンとα−オレフィンとの共重合体樹脂、プロピレンとビニル化合物との共重合体樹脂、プロピレンとビニルエステルとの共重合体樹脂、プロピレンと不飽和有機酸またはその誘導体との共重合体樹脂、プロピレンと共役ジエンとの共重合体樹脂、プロピレンと非共役ポリエン類との共重合体樹脂及びこれらの混合物などが挙げられる。
成分(B)の製造法は、特に限定されるものではなく、公知の方法、条件の中から適宜に選択される。
プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられ、例えば、チーグラー系触媒やメタロセン系触媒などを例示することができる。
成分(B)は、前記触媒の存在下、気相重合法、液相塊状重合法、スラリー重合法などの製造プロセスを適用することにより得られる。
また、成分(B)がプロピレン・α−オレフィン共重合体である場合のα−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などを例示できる。また、成分(B)がプロピレンとビニル化合物との共重合体である場合のビニル化合物としては、例えば、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサンなどを例示できる。さらに、成分(B)がプロピレンとビニルエステルとの共重合体である場合のビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニルなどを例示できる。プロピレンと不飽和有機酸またはその誘導体との共重合体における不飽和有機酸またはその誘導体は、例えば、無水マレイン酸などを例示できる。プロピレンと共重合されるα−オレフィンや上記ビニル化合物などは、一種類でも二種類以上を用いてもよい。このうちエチレン、ブテン−1が好ましい。
また、種々の市販品の中から、所望の製品を選択して入手することもできるので、このようにして入手した製品を使用してもよい。
成分(B)は、本発明効果をより高めるなどの点から、該成分(B)全体の少なくともその一部に、下記特性(BP1)〜特性(BP4)を有するプロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂(成分(BP))(以下単に、成分(BP)ともいう。)を含有することが好ましい。
特性(BP1):プロピレン重合体成分(BPa)67〜96重量%と、プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)4〜33重量%とからなること。
特性(BP2):成分(BP)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が5〜200g/10分であること。
特性(BP3):プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)のエチレン含量が25〜75重量%であること。
特性(BP4):プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)の固有粘度[η]copolyが2.5〜10dl/gであること。
(1)特性(BP1):
本発明に用いられる成分(BP)は、プロピレン重合体成分(BPa)67〜96重量%、好ましくは80〜95重量%、より好ましくは85〜94重量%と、プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)4〜33重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは6〜15重量%とからなる。但し、プロピレン重合体成分(BPa)とプロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)の合計量は100重量%である。該プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)が4重量%未満である(すなわち、プロピレン重合体成分(BPa)が96重量%を超える)と、本発明の着色組成物及びその成形体の物性(衝撃強度など)が低下するおそれがある。一方、該割合が33重量%を超える(すなわち、プロピレン重合体成分(BPa)が67重量%未満である)と、ウェルド外観、メタリック調外観や物性(曲げ弾性率など)が低下するおそれがある。
本発明に用いられる成分(BP)全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、5〜200g/10分、好ましくは10〜75g/10分、より好ましくは22〜60g/10分である。該MFR(230℃、2.16kg荷重)が5g/10分未満であると、本発明の着色組成物及びその成形体のウェルド外観、メタリック調外観などが低下するおそれがある。一方、200g/10分を超えると、物性(衝撃強度など)が低下するおそれがある。
本発明に用いられる成分(BP)のプロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)のエチレン含量は、プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)全体を基準として、25〜75重量%、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは35〜60重量%である。該エチレン含量が25重量%未満であると、本発明の着色組成物及びその成形体のウェルド外観や物性(衝撃強度など)などが低下するおそれがある。一方、75重量%を超えると、ウェルド外観、メタリック調外観や物性(衝撃強度など)などが低下するおそれがある。
本発明に用いられる成分(BP)のプロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)の固有粘度[η]copolyは、2.5〜10dl/g、好ましくは2.8〜5dl/g、より好ましくは3〜4.5dl/gである。該固有粘度[η]copolyが、2.5dl/g未満であると、本発明の着色組成物及びその成形体の物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)などが低下するおそれがある。一方、10dl/gを超えると、ウェルド外観やメタリック調外観が低下するおそれがある。
・使用する分析装置
(i)クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(以下、CFCと略す)
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:分別温度は、40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定当たりの積算回数:15回
分別温度は、40℃、100℃、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。
プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)は、100℃フラクションのエチレン成分及び40℃フラクション成分とする。つまり、40、100、140℃フラクションの含量をそれぞれF40、F100、F140(F40+F100+F140=100重量%)とする。100℃フラクションにおけるエチレン成分量をF100E、それ以外の成分量をF100F(F100E+F100F=F100)とする。プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)の含有量は、F40+F100Eで表せる。
プロピレン−エチレン共重合体成分(BPb)中のエチレン含量は、40℃及び100℃フラクション中のエチレン含量をプロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)量で除した値である。つまり、40℃フラクションにおけるエチレン量をF40E、それ以外の成分をF40F(F40E+F40F=F40)とすると、100×(F40E+F100E)/(F40+F100E)の式で表される。
プロピレン重合体成分(BPa)の重合終了後、一部を重合槽よりサンプリングし、該成分の固有粘度[η]homoを測定する。次に、プロピレン重合体成分(BPa)を重合した後、プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)を重合して得られた最終重合物(F)の固有粘度[η]Fを測定する。この測定は、ウベローデ型粘度計を用いてデカリンを溶媒として温度135℃で行う。[η]copolyは、以下の関係から求める。
[η]F=(100−Wc)/100×[η]homo+Wc/100×[η]copoly
ここでWcは、上記項で求められるプロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)の含有量(重量%)である。
また、MFRは、JIS K7210に準拠して測定した値である。
成分(BP)の製造法は、得られる成分(BP)が前記特性(BP1)〜特性(BP4)を有している限り、特に限定されるものではなく、公知の方法、条件の中から適宜に選択される。
プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられる。例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、さらに各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(例えば、特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照。)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(例えば、特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照。)など各公報に記載されたものを例示することができる。
前記触媒の存在下、気相重合法、液相塊状重合法、スラリー重合法などの製造プロセスを適用して、プロピレンを重合し、続いてプロピレンとエチレンを共重合することにより得られる。
また、種々の市販品の中から、所望の製品を選択して入手することもできるので、このようにして入手した製品を使用してもよい。
本発明に用いられる成分(B)の配合量は、成分(A)及び成分(B)の合計量100重量%において、25重量%〜75重量%、好ましくは30重量%〜70重量%、より好ましくは40重量%〜65重量%、さらに好ましくは51重量%〜65重量%である。成分(B)の配合量が25重量%未満であると、本発明の着色組成物及びその成形体の物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)などが低下するおそれがある。一方、75重量%を超えると、ウェルド外観、メタリック調外観及び発色性が低下するおそれがある。ここで、成分(B)の最も好ましい配合量が51重量%〜65重量%(すなわち前記成分(A)の配合量が35〜49重量%)である理由は、本発明の着色組成物及びその成形体のウェルド外観、メタリック調外観、発色性と物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)が成形性(流動性)を含め、より高度な水準で発現し易くなるためである。
この傾向は、成分(B)として、前記成分(BP)のみを用いた場合に特に顕著である。
本発明に用いられるアルミフレーク顔料(成分(C))(以下、単に成分(C)ともいう。)は、本発明の着色組成物及びその成形体において、ウェルド外観、メタリック調外観、発色性、見映え、風合い、質感、商品価値などの付与、向上(とりわけウェルド外観の著しい向上)に寄与する特徴を有する。該成分(C)は、その表面に干渉性酸化皮膜が形成されたものでもよい。なお、成分(C)は、2種以上併用してもよい。
成分(C)は、基本的にフレーク状を呈する形状のものであり、一般にはアルミニウム粉末やアルミニウム薄片などをフレーク化することなどにより得られるものである。
成分(C)の平均アスペクト比は、4.5〜30、好ましくは4.5〜20、より好ましくは5〜15のものである。該平均アスペクト比の値は、本発明において、極めて優れたウェルド外観やメタリック調外観を得るためなどの点でとりわけ重要であり、該平均アスペクト比が4.5未満であるものは、本発明の着色組成物及びその成形体のメタリック調外観などが著しく低下するおそれがある。一方、30を超えるものは、ウェルド外観などが著しく低下したり、メタリック調外観が、光輝感が過大になるなどによって、かえって低下するなどのおそれがある。ここで、前記平均アスペクト比が6〜10のものは、前記ウェルド外観が特に優れることからさらに好ましい。
また、成分(C)は、表面が平滑で且つ若干の丸みを帯びた端面を有するコイン形状であると、本発明の着色組成物及びその成形体のメタリック調外観などがより良好、すなわちメタリック調風合いなどがより明瞭となるなどの点でさらに好ましい。
成分(C)の平均アスペクト比は、後記する平均粒径及び平均厚みも同様に、成分(C)に用いる原料アルミニウム粉末自体の平均粒径、アルミニウム薄片の厚み、辺寸法や、それらを加工する際の粉砕時間、粉砕刃形状・寸法、摩砕砕時間、摩砕具形状・寸法、分級条件などの製造条件を変更することなどによって、適宜調整することができる。
なお、本明細書において、平均アスペクト比とは、後記する測定方法で得られた成分(C)の平均粒径を平均厚みで割って算出した値をいう。
本明細書において、該平均粒径の測定方法は、粒度分布計、具体的には例えばレーザー回折式の粒度分布計にて測定される。該レーザー回折式粒度分布計の例としては、ハネウェル社製マイクロトラックHRAや堀場製作所社製LA−920型などが挙げられる。
該平均厚みの値は、本発明において、とりわけ優れたウェルド外観に加え、優れたメタリック調外観などを得るために重要である。
該平均厚みが0.1μm未満であるものは、本発明の着色組成物及びその成形体のウェルド外観及び発色性などが低下するおそれがあり、また、該成分(C)自体の工業生産の安定性も低下するおそれがある。一方、11μmを超えるものは、メタリック調外観、発色性及び見映えなどが低下するおそれがある。
該平均厚みは、前記した様にウェルド外観の優劣に大きな影響を及ぼすため、0.7〜7μmがより好ましいが、さらに、著しいウェルド外観の向上とより優れたメタリック調外観及び発色性という様にこれらをより高水準の下でバランス化するなどのためには、1〜6μmであるのがさらに好ましい。
本明細書における該平均厚みの測定方法は、顕微鏡、例えば走査型電子顕微鏡で観察して、成分(C)の50個の実測値の平均値から求めるものである。
また、粒径が400μm以上の粗大粒子を含まない粒度分布を示すものが好ましく、粒径が300μm以上の粗大粒子を含まない粒度分布を示すものがより好ましく、粒径が250μm以上の粗大粒子を含まない粒度分布を示すものがさらに好ましい。
さらに、粒径が0.2μm以下の微細粒子及び400μm以上の粗大粒子を含まない粒度分布を示すものが好ましく、粒径が0.5μm以下の微細粒子及び300μm以上の粗大粒子を含まない粒度分布を示すものがより好ましく、粒径が1μm以下の微細粒子及び250μm以上の粗大粒子を含まない粒度分布を示すものがさらに好ましい。
0.2μm以下の微細粒子を含む粒度分布を示すものは、本発明の着色樹脂組成物及びその成形体において、メタリック調外観及び発色性などを低下させるおそれがある外、成分(C)が凝集し易くなりブツなどの発生による成形体外観の低下を招くおそれがある。
また、400μm以上の粗大粒子を含む粒度分布を示すものは、メタリック調外観(例えば不均一な光輝感など)や、突出したブツによる成形体外観の低下、例えばブツブツ感などを招くおそれがある。
具体的には例えばレーザー回折式粒度分布計にて測定され、成分(C)存在量の粒径依存性測定データにおいて、該当粒径域の計測値が表示されない場合(0%表示)を挙げることができる。
該粒度分布計の例としては、例えばレーザー回折式粒度分布計のハネウェル社製マイクロトラックHRAや堀場製作所社製LA−920型などが挙げられる。
成分(C)の製造方法は、前記成分(C)が製造できれば特に限定されない。例えば、アトマイズ(噴霧)法などで粉末化した原料のアルミニウム粉末、圧延法などで薄肉化したアルミニウム箔や蒸着アルミニウム箔の様なアルミニウム薄片を、ボールミル、アトライター、スタンプミルなどの粉砕、摩砕、研磨、分級装置などを好適に用いて所望の形状、粒度、寸法、粒度分布、表面状態などになる様に、粉砕、分断、摩砕、研磨、分級するなどしてフレーク化して製造することができる。
このうち、アルミニウム粒子の分断を伴う製造方法、例えば乾式粉砕法などの製造品は、多くのアルミニウムフレーク粒子の外周部分がノコギリ刃(ギザギザ)状を呈し易くなることが推察され、本発明の着色組成物及びその成形体のウェルド外観やメタリック調外観などを低下させ易い可能性が比較的高いと考えられる。
一方、多くの該粒子の外周部分が滑らかな曲線状を呈する可能性が高い製造方法であれば、該粒子の前記外周部分形状の制御や均質化がし易くなる傾向があると推察されることも含め、本発明の着色組成物及びその成形体のウェルド外観やメタリック調外観などを良好な水準に発現し易くなると推察されるのでその製造品を用いることが好ましい。
上記方法としては、例えばボールミルを用い、ステアリン酸などの飽和脂肪酸などを粉砕助剤として、有機溶媒中でアルミニウム粉末をフレーク化(湿式摩砕するなど)して製造する方法が挙げられる。なお、この方法で製造されたものは、リーフィングタイプといわれることもある。
また、種々の市販品の中から、所望の製品を選択して入手することもできるので、このようにして入手した製品を使用してもよい。
また、前記方法における飽和脂肪酸の代わりにオレイン酸などの不飽和脂肪酸を用いて同様にフレーク化(湿式摩砕するなど)して製造する方法(この方法で製造されたものは、ノンリーフィングタイプといわれることもある。)も挙げられる。本発明においは、上記両方法の製造品ともに好適に用いることができる。例えば発色性を優先的に向上したい場合などにはどちらかと言えばノンリーフィングタイプが好ましい。
成分(C)は、その種類(使用品形態)として、例えばアルミフレーク顔料粉、アルミフレーク顔料ペースト、アルミフレーク顔料含有樹脂(例えばアルミフレーク顔料1重量%含有)、アルミフレーク顔料含有樹脂マスターバッチ(例えばアルミフレーク顔料10重量%〜80重量%含有)、アルミフレーク顔料含有低分子量ポリオレフィン(アルミフレーク顔料含有ポリオレフィンワックス)マスターバッチ(例えばアルミフレーク顔料10重量%〜80重量%含有)、及びアルミフレーク顔料含有エラストマーマスターバッチ(例えばアルミフレーク顔料10重量%〜80重量%含有)などが例示される。なお、本発明における成分(C)の配合量は、例えばアルミフレーク顔料含有樹脂マスターバッチを使用する場合、該マスターバッチ中に含有する成分(C)の実量に基づき算出される。
ここで、前記アルミフレーク顔料ペースト、アルミフレーク顔料含有低分子量ポリオレフィンマスターバッチ及びアルミフレーク顔料含有ポリオレフィン樹脂マスターバッチにおけるアルミフレーク顔料の含有量は、特に限定されないが、本発明の着色組成物及びその成形体における本発明効果と、コストとのバランスが良好などの点から、該マスターバッチ全体100重量%に対して、10重量%〜80重量%が好ましく、30重量%〜75重量%がより好ましく、50重量%〜70重量%がさらに好ましい。
また、より好ましいアルミフレーク顔料含有ポリオレフィン樹脂マスターバッチとしては、アルミフレーク顔料含有ポリプロピレン樹脂マスターバッチ、アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチが挙げられる。なお、該アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチとしては、アルミフレーク顔料含有高圧法低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ及びアルミフレーク顔料含有直鎖状低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチが挙げられ、いずれもより好ましく用いられる。
これら上記各種のマスターバッチには、必要に応じて、加工安定剤、酸化防止剤、前記アルミフレーク顔料以外の着色成分などの各種添加成分が添加されてもよい。なお、上記各種マスターバッチの製造方法は特に限定されない。
成分(C)は、アルミニウムを主成分(基材)とするものであれば、アルミニウムと他の金属との合金なども含め特に限定されずに用いることができる。ここで主成分とするとは、アルミニウムをその成分のうちの50重量%以上含有していることをいう。
また、成分(C)の組成において、アルミニウム純度は重要である。すなわち、一般的には、アルミフレーク顔料はその主成分としてアルミニウムの他に微量の珪素、鉄、銅、チタン及びマンガンなどの成分を含有する場合が多い(但し、アルミニウムと他の金属との合金の場合を除く)。
成分(C)においては、珪素などのアルミニウム以外の成分の含有量が多いと、本発明の着色組成物及びその成形体のウェルド外観、メタリック調外観及び発色性などが低下し易くなり好ましくない(但し、アルミニウムと他の金属との合金の場合を除く)。
具体的には、成分(C)の該アルミニウム純度は、成分(C)全体100重量%のうち、99.7重量%以上であることが好ましく、99.9重量以上%であることがより好ましく、99.95重量%以上100重量%未満であることがさらに好ましい。
該アルミニウム純度が99.7重量%未満であると、本発明の着色組成物及びその成形体のウェルド外観、メタリック調外観、発色性、見映え、風合い、質感などが低下するおそれがある。
例えば、黒メタリック調外観の着色組成物及び成形体を所望する場合に、成分(C)として、例えば、予め成分(C)とカーボンブラック粉末とを所定の割合で混合したもの、すなわち「黒着色アルミフレーク顔料粉」を用いることができ、また同様に、例えば、予め成分(C)とカーボンブラック粉末と低密度ポリエチレン樹脂とを所定の割合で二軸押出機などを用いて溶融混練して成分(C)に成したもの、すなわち「黒着色アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ」を用いることができ、また同様に、例えば、「アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ」と、カーボンブラック粉末と低密度ポリエチレンとを所定の割合で二軸押出機などを用いて溶融混練した、「黒着色低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ」とを、所定の割合で混合するなどして用いることもできる。
成分(C)の配合割合は、前記成分(A)と前記成分(B)との合計量100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.1重量部〜5重量部、より好ましくは0.3重量部〜4重量部、さらに好ましくは1.1重量部〜3重量部である。成分(C)の配合量が0.01重量部未満であると、本発明の着色組成物及びその成形体のメタリック調外観、発色性、見映え、風合い、質感が低下するおそれがある。一方、10重量部を超えると、ウェルド外観が低下するおそれがある外、成分(C)が分散不良するなどしてメタリック調外観が低下おそれがあり、さらに高級感が損なわれ易くなったり、曲げ弾性率や衝撃強度などの物性が低下するおそれがあり、経済性も低下する。
該成分(C)は、平均アスペクト比が比較的小さいなどのため、また、特定の成分(A)と成分(B)に配合され、これらの成分との相乗効果のため、成分(C)の配合割合を、より高度なメタリック調外観を発現するなどのために比較的多くしても、ウェルド外観をより良好な水準に発現でき、例えば、ウェルドラインを目立ち難くすることができる。
また、該成分(C)は、ウェルド外観を良好に、例えば、ウェルドラインを目立ち難くするなどのために該成分(C)以外の着色成分を併用する必要性が比較的低い傾向がある。
本発明のプロピレン系着色樹脂組成物には、エラストマー:成分(D)を含有させることが好ましい。
本発明に用いられるエラストマー(成分(D))(以下、単に成分(D)ともいう。)は、熱可塑性のエラストマーであり、例えばオレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーなどを例示できる。該エラストマーは、本発明の着色組成物及びその成形体において、物性(衝撃強度など)や寸法安定性などの向上に特に寄与する特徴を有する。
成分(D)の種類としては、オレフィン系エラストマーは、例えば、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)などのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどを例示できる。
また、スチレン系エラストマーは、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)、部分水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体エラストマーなどを例示できる。
また、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(CEBC)などの水添ポリマー系エラストマーも例示できる。
中でもスチレン系エラストマーは、本発明において、ウェルド外観、メタリック調外観及びとりわけ発色性を良好に発現し、物性とりわけ衝撃強度を高度に発現するなどの理由で好ましい。なお、成分(D)は、2種以上併用してもよい。
本発明に用いられる成分(D)の製造方法としては、各種の公知の方法が挙げられ、例えば、オレフィン系エラストマーのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーや、エチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどは、各モノマーを触媒の存在下、重合することにより製造される。
触媒としては、例えば、ハロゲン化チタンの様なチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体の様な有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、またはアルキルアルミニウムクロリドなどのいわゆるチーグラー型触媒、WO91/04257号パンフレットなどに記載のメタロセン化合物触媒などを使用することができる。
重合法としては、気相流動床法、溶液法、スラリー法などの製造プロセスを適用して重合することができる。また、スチレン系エラストマーは、通常のアニオン重合法及びそのポリマー水添技術などにより製造することができる。
また、種々の市販品の中から、所望の製品を選択して入手することもできるので、このようにして入手した製品を使用してもよい。
本発明に用いられる成分(D)の配合割合は、前記成分(A)と前記成分(B)との合計量100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜40重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。成分(D)の配合量が1重量部未満であると、本発明の着色組成物及びその成形体の物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)及び流動性(成形性)などが低下するおそれがある。一方、50重量部を超えると、ウェルド外観、メタリック調外観、発色性及び物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)などが低下するおそれがある。
本発明においては、前記成分(A)〜成分(D)以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、例えば、発明効果をより向上させたり、他の効果を付与するなどのため、任意添加成分を配合することができる。
具体的には、前記成分(C)以外のアルミフレーク顔料、各種金属・ガラスフレークなどのフレーク顔料、干渉金属フレーク顔料、パールマイカ、干渉マイカ、カーボンブラックや酸化チタンなどの無機系顔料、アゾ系顔料やフタロシアニン系顔料などの有機顔料などの前記成分(C)以外の着色成分が挙げられ、さらにはタルク・ガラス繊維・ウィスカーや炭素繊維などの無機・有機フィラー、フェノール系・リン系・イオウ系などの酸化防止剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、造核剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、金属不活性化剤、抗菌・防黴剤、可塑剤、中和剤、発泡剤、前記成分(A)及び成分(B)以外のポリオレフィン系樹脂、無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂などの変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂、前記成分(D)以外のエラストマー(ゴム成分)などを例示できる。
これらのうち成分(C)以外の着色成分を使用する場合は、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量部として0.01〜10重量部の範囲で使用するのが好ましく、0.1〜7重量部がより好ましく、0.5〜5重量部がさらに好ましく、1〜3重量部が特に好ましい。
これらの任意添加成分は、2種以上を併用してもよく、着色組成物に添加・混合・付加してもよいし、前記成分(A)〜成分(D)の各成分に添加・混合・付加されていてもよく、夫々の成分においても2種以上併用することもできる。
1.製造方法
本発明の着色組成物は、成分(A)、成分(B)に成分(C)を、または必要に応じ、さらに成分(D)、任意添加成分を加え、前記配合割合で、従来公知の方法で配合し、混合、溶融混練することにより製造することができる。
混合は、通常、タンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの混合機器を用いて行い、溶融混練は、通常、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー、撹拌造粒器などの混練機器を用いて溶融混練し、造粒する。
溶融混練・造粒して製造する際には、前記各成分の配合物を同時に混練、例えば、一括混練してもよく、また性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、すなわち、例えば、先ず成分(A)の一部または全部と、成分(C)の一部とを混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
また、例えば予め、成分(A)と成分(B)とを、または必要に応じ成分(D)もあわせ一括溶融混練したペレットと、成分(C)含有樹脂マスターバッチ、例えば、ペレットとを混合あるいは溶融混練して着色組成物を製造することもできる。中でも、成分(A)と成分(B)とを、または必要に応じ成分(D)もあわせ一括溶融混練したペレットと、成分(C)含有樹脂マスターバッチ(ペレット)とを二軸押出機などを用いて溶融混練して着色組成物を製造する方法は、本発明の着色組成物及び成形体の、ウェルド外観、メタリック調外観、発色性と物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)、(とりわけウェルド外観、メタリック調外観、発色性)をより良好に発現できるため好ましい。
本発明の成形体は、前記方法で製造された着色組成物(例えば一括混練物、または分割混練の各混練物の混合物、または一部成分の一括混練物と成分(C)含有樹脂マスターバッチとの混合物など)を、例えば、射出成形(ガス射出成形、二色射出成形、コアバック射出成形、サンドイッチ射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、シート成形及び中空成形などの周知の成形方法にて成形することによって得ることができる。このうち、射出成形または射出圧縮成形にて得ることが好ましい。
そのため、アームレスト、インストルメントパネル、グローブボックス、ピラー、ドアトリム、トリム類、コンソール類、スイッチパネル、アームレスト加飾部品・インストルメントパネル加飾部品などの各種加飾部品類、バンパー、フェンダー、ホイールキャップ、バックドアー、ドアプロテクター、マッドガード、エンジンカバーなどの自動車内外装・エンジンルーム内の部品をはじめ、テレビ・掃除機などの家電機器の各種部品、便座などの住宅設備機器部品、各種工業部品、建材部品などの用途に、好適に用いることができる。
中でも、ウェルド外観、メタリック調外観及び発色性と共に、物性バランス(曲げ弾性率と衝撃強度のバランスなど)にも優れるという本発明の特徴を生かした用途として、自動車部品が好ましい。
なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は、以下の通りである。
1−1.ウェルド外観
表1の配合からなるプロピレン系着色樹脂組成物を、下記成形条件で射出成形した、下記平板状試験片について、目視にてウェルドラインの目立ち易さを観察し、以下の判断基準に従って、ウェルド外観の良否を評価した。この場合、◎及び○が実用可能と判断した。
<判断基準>
◎:ウェルドラインが極めて不明瞭で目立たず、ウェルド外観が非常に良好。
○:ウェルドラインが不明瞭で実用上問題となるほど目立たず、ウェルド外観が良好。
×:ウェルドラインが明瞭に認められて目立ち、ウェルド外観が不良。
<試験片>
平板:100mm×358mm×2mm。
<成形条件>
成形機:東芝機械社製、射出成形機IS170
型締め力:170トン
金型:100mm×358mm×2mm、鏡面仕上げ(硬質クロムメッキ後、バフ研磨:研磨剤#3000)、ゲートより20mm位置に短辺方向に15mm×15mmの開孔部有り。
シリンダー温度:185/200/200/200℃(ノズルでの温度)
金型温度:70℃
充填時間:4秒
射出圧力:80MPa
保圧圧力:60MPa
背圧:1.2MPa
冷却時間:20秒
上記1−1で用いたものと同一の試験片を用いて、目視にてメタリック調外観を観察し、以下の判断基準に従って、メタリック調外観の良否を評価した。この場合、◎及び○が実用可能と判断した。
<判断基準>
◎:光沢が金属風であり、光輝感及び金属感にも優れ、メタリック調外観が非常に良好。
○:光沢が金属風であり、光輝感も認められ、メタリック調外観が良好。
×:成形体表面に金属風の光沢が認められないなど、メタリック調外観が不良。
表1の配合からなるプロピレン系着色樹脂組成物を、下記金型を用い、それ以外は上記1−1と同様の成形条件で射出成形した、下記平板状試験片について、目視にて発色性を観察し、以下の判断基準に従って、発色性の良否を評価した。この場合、◎及び○が実用可能と判断した。
<判断基準>
◎:透明感及び色合いの発現性が高く、発色性が非常に良好。
○:透明感が良好であり、発色性が良好。
×:透明感が悪く、発色性が不良。
<成形条件>
金型:120mm×120mm×2mm、鏡面仕上げ(硬質クロムメッキ後、バフ研磨:研磨剤#3000)。
<試験片>
平板:120mm×120mm×2mm。
JIS K7210に準拠して行い、単位g/10分で表示した。
ISO 178に準拠して23℃で測定し、単位MPaで表示した。曲げ弾性率は、700MPa以上であると、手で押したときの変形が少なく剛性感に優れ、自動車部品などへの適用が容易となる。なお、試験片は下記条件で射出成形したものである。
<成形条件>
成形機=東芝機械社製EC20型射出成形機。
金型=物性評価用平板状試験片(10×80×4(mm))2個取り
成形条件=成形温度220℃、金型温度30℃、射出圧力50MPa、射出時間5秒、冷却時間20秒。
ISO 179(ノッチ付)に準拠して23℃で測定し、単位kJ/m2で表示した。シャルピー衝撃強度は4kJ/m2以上、好ましくは7kJ/m2以上であると自動車の外装部品などの衝撃が要求される製品への適用が容易となる。なお、試験片は上記1−5項と同様である。
使用した成分(A)〜成分(D)を以下に示す。
2−1.プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体樹脂:成分(A)
(A)−1:日本ポリプロ社製ポリプロピレンの下記組成・物性のグレードを用いた。
該材料は、メタロセン系触媒で重合され、成分全体のMFR(230℃、荷重2.16kg)が26g/10分、エチレン含量が3.4重量%、結晶化温度(Tc)が95.2℃であるプロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂である。
(B)−1:日本ポリプロ社製ポリプロピレンの下記組成・物性のグレードを用いた。
該材料は、チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合され、プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)の含有量が8重量%(すなわちプロピレン重合体成分(BPa)が92重量%)、全体のMFR(230℃、荷重2.16kg)が32g/10分、プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)のエチレン含量が51重量%、プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)の固有粘度[η]copolyが3.3dl/gであるプロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂である。
(C)−1:平均アスペクト比が10、平均粒径が21μm、平均厚みが2.1μmであるアルミフレーク顔料(粒径が1μm以下の微細粒子及び250μm以上の粗大粒子をいずれも含まない粒度分布を有する。)。但し、該(C)−1の使用品形態は、該(C)−1が70重量%と、低密度ポリエチレン樹脂30重量%とからなる「アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ」である。
(C)−2:平均アスペクト比が17.6、平均粒径が30μm、平均厚みが1.7μmであるアルミフレーク顔料(粒径が1μm以下の微細粒子及び250μm以上の粗大粒子をいずれも含まない粒度分布を有する。)。但し、該(C)−2の使用品形態は、該(C)−2が70重量%と、低密度ポリエチレン樹脂30重量%とからなる「アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ」である。
(C)−3:平均アスペクト比が4.2、平均粒径が29μm、平均厚みが6.9μmであるアルミフレーク顔料。但し、該(C)−3の使用品形態は、該(C)−3が70重量%と、低密度ポリエチレン樹脂30重量%とからなる「アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ」である。
(C)−4:平均アスペクト比が36.7、平均粒径が22μm、平均厚みが0.6μmであるアルミフレーク顔料。但し、該(C)−4の使用品形態は、該(C)−4が70重量%と、低密度ポリエチレン樹脂30重量%とからなる「アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ」である。
(C)−5:平均アスペクト比が66.7、平均粒径が60μm、平均厚みが0.9μmであるアルミフレーク顔料。但し、該(C)−5の使用品形態は、該(C)−5が70重量%と、低密度ポリエチレン樹脂30重量%とからなる「アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ」である。
(D)−1:オクテン含量38重量%、MFR(230、2.16kg荷重)2g/10分であるエチレン・オクテン共重合体エラストマー(ダウケミカル日本社製エンゲージ)。
(D)−2:スチレン含量18重量%、MFR(230、2.16kg荷重)4.5g/10分であるスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)(旭化成社製タフテック)。
[実施例1〜5]及び[比較例1〜5]
前記成分を、表1に示す割合にて、スーパーミキサーにてドライブレンドした後、押出温度200℃、吐出量80kg/hの条件で二軸押出機(神戸製鋼社製、KCM)を用いて溶融混練した。なお、溶融混練時に、前記ドライブレンド後の組成物全体100重量部当たり、フェノール系酸化防止剤(BASF社製、商品名「IRGANOX1010FF」)0.10重量部と、リン系酸化防止剤(BASF社製、商品名「IRGAFOS168」)0.05重量部と、ステアリン酸カルシウム(日東化成工業社製、商品名「カルシウム・ステアレート」)0.05重量部とを配合した。なお、表1に示す成分(C)の配合量は、その実量(「アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ」中に含有する実量(該マスターバッチ全体の70重量%値))である。参考として、実際の使用形態である「アルミフレーク顔料含有低密度ポリエチレン樹脂マスターバッチ」そのものの配合量も併記した。
表2より明らかな様に、本発明のプロピレン系着色樹脂組成物の特定事項の各要件を満たしている実施例1〜5は、いずれにおいても、得られた試験片には、評価用金型のデザインが前記の様であり、また、成形条件が前記であるにもかかわらず(すなわち、ウェルドラインがより目立ち易くなる「ウェルド外観評価条件」であるにもかかわらず)、ウェルドラインが目立たないなどウェルド外観が良好であった。また、光沢が金属風であって光輝感及び金属感にも優れるなどメタリック調外観も良好であり、且つ発色性も良好で、MFR(流動性、成形性)が高く(良好で)、物性バランス(曲げ弾性率とシャルピー衝撃強度のバランス)も良好であった。
なお、本評価に用いたウェルド外観評価用の金型デザインは、前記した様に、金型における開孔部(樹脂流れの障害部)の位置が20mmとゲートに近く、しかも該部の寸法も小さい(15mm×15mm)。このため、成形が樹脂圧力が高いまま行われ易くなるなどの理由のため、該樹脂組成物中に分散するアルミフレーク顔料が、樹脂組成物のフローフロントの会合部において樹脂流れに沿ってより配向し易くなる。その結果、この様なデザインの金型においては、該アルミフレーク顔料の平板部どうしがより向き合い易くなり、ウェルドラインがより目立ち易くなる。
また、本評価の成形温度は前記した様に200℃が中心である。この様に成形温度が低い場合は、該樹脂組成物の粘度が高くなるなどの理由のため、該樹脂組成物中に分散するアルミフレーク顔料が、前記会合部において樹脂流れに沿ってより配向し易くなる。その結果、該アルミフレーク顔料の平板部どうしがより向き合い易くなり、ウェルドラインがより目立ち易くなる。
一方、比較例1においては、ウェルド外観、発色性、MFR及び物性バランスは良好であるものの、メタリック調外観が実施例2に対して著しく劣った。これは成分(C)の平均アスペクト比が要件に対し過小であるためと考えられる。
また、比較例2においては、メタリック調外観、発色性、MFR及び物性バランスは良好であるが、ウェルド外観が実施例2に対して著しく劣った。これは成分(C)の平均アスペクト比が要件に対し過大であるためと考えられる。
さらに、比較例3においては、発色性、MFR及び物性バランスは良好であるが、ウェルド外観及び(光輝感が過大となって)メタリック調外観が実施例2に対して著しく劣った。これは成分(C)の平均アスペクト比及び平均粒径が要件に対し過大であるためと考えられる。
さらにまた、比較例4においては、ウェルド外観、メタリック調外観、発色性、MFR及びシャルピー衝撃強度は優れるものの、曲げ弾性率が実施例1に対して著しく劣った。
これは要件である成分(B)が配合されていないためと考えられる。
さらにまた、比較例5においては、MFR及び曲げ弾性率は良好であるが、ウェルド外観、メタリック調外観及び発色性が実施例1に対して著しく劣った。これは要件である成分(A)が配合されていないためと考えられる。
Claims (7)
- 下記の成分(A)〜成分(C)を含有してなることを特徴とするプロピレン系着色樹脂組成物。
成分(A):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜200g/10分のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体樹脂;25〜75重量%
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%とする。)
成分(B):メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜200g/10分の成分(A)以外のプロピレン系樹脂;25〜75重量%
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量%とする。)
成分(C):平均アスペクト比が4.5〜30、平均粒径が10〜50μm、且つ平均厚みが0.1〜11μmのアルミフレーク顔料;0.3〜10重量部
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量部とする。) - さらに、成分(D):エラストマーを、1〜50重量部含有することを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系着色樹脂組成物。
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量部とする。) - 成分(A)が、メタロセン系触媒を用いた、エチレン含量が1.5〜5重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のプロピレン系着色樹脂組成物。
- 成分(B)が、成分(BP):下記特性(BP1)〜(BP4)を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系着色樹脂組成物。
特性(BP1):プロピレン重合体成分(BPa)67〜96重量%と、プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)4〜33重量%とからなること。
特性(BP2):成分(BP)全体のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が5〜200g/10分であること。
特性(BP3):プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)のエチレン含量が25〜75重量%であること。
特性(BP4):プロピレン・エチレン共重合体成分(BPb)の固有粘度[η]copolyが2.5〜10dl/gであること。 - さらに、成分(C)以外の着色成分を、0.01〜10重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系着色樹脂組成物。
(但し、成分(A)と成分(B)の合計量を100重量部とする。) - 請求項1〜5のいずれかに1項に記載のプロピレン系着色樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
- 自動車部品であることを特徴とする請求項6に記載の成形体。
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