JP5856998B2 - 耐力補強方法 - Google Patents
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Description
このような背景から、既存の住宅等の家屋(建築物)に新たに耐力補強工事を施す必要が生じるケースがあった。
このため、家屋(建築物)の外側から家屋壁面を耐力補強する技術が望まれていた。
特に、耐力バランスを考慮して所定の範囲の壁面に耐力補強を行う際に、外観が変わらず、壁面の室内側に撤去が困難な設備や造作家具等がある場合においても耐力補強を行うことのできる壁面の耐力補強方法が望まれている。
更に、外壁パネルを備える建築物に対して、外壁パネルの面材を取り除き、露出したフレームに耐力補強部材を取り付け、面材を新たに取り付けることによって、外観を変えることなく耐力補強が可能である。
このように、壁面と梁との間に連結補強部材を取り付けることによって、壁面から梁に力を好適に伝達させることができる。また、室内側から連結補強部材を取り付ける場合と異なり、梁部分を覆う床組を撤去する必要がなく、その修復工事も不要となり作業性が良好となる。
このように、移動の困難な造作家具近傍の壁面に耐力補強を施す場合に、室外から耐力補強を行うようにすることで、造作家具を移動させることなく耐力補強工事が可能となる。
このように、階段周りには足場がなく、別途足場を組み付けることが難しいために室内側から耐力補強工事を行うことは困難であるが、室外側から耐力補強工事を行う場合には、足場を別途組み付けることが可能なため作業性が良好である。
このように、室内側に配管又は電気設備がある部分に室内側から耐力補強を行う場合には、有資格者でなければ作業ができない場合がある。このような場合に、室外側から耐力補強工事を行うようにすれば、配管又は電気設備に関わることなく作業が可能であるため、有資格者でなくても耐力補強工事が可能となる。
このように、間仕切り壁や建具がある場合に、室内側から補強工事を行う場合にはこれらを撤去しなければならないが、室外側から耐力補強工事を行うようにすれば、撤去作業の必要がない。
このように、ホームエレベーターがある場合にはその動作を停止させなければ、室内側から耐力補強工事を行うことができないが、室外側からであればホームエレベーターの動作に関与することなく、耐力補強工事を行うことができる。
図3は、本実施形態に係る第1の耐力補強方法の流れを示すフロー図、図4は、第1の耐力補強方法による補強工事を施す壁面を一部に有する住宅を示す模式図、図5は、耐力補強を施す外壁パネルの周囲を示す模式図、図6は、面材及び化粧胴水切を除去した状態の外壁パネルの周囲を示す模式図、図7は、下地合板及び断熱板を除去した状態の外壁パネルの周囲を示す模式図、図8は、補強鋼板を取り付けた状態のパネルフレームを示す正面図、図9は、第1の補強金物及び第2の補強金物を胴差のウェブに取り付けた状態を示す模式図、図10(a)は、第1の補強金物を示す平面図、図10(b)は、第1の補強金物を示す正面図、図10(c)は、第1の補強金物を示す側面図、図11(a)は、第2の補強金物を示す平面図、図11(b)は、第2の補強金物を示す正面図、図11(c)は、第2の補強金物を示す側面図、図12は、左補強板及び右補強板の各々をパネルフレーム、柱フレーム及び第1の補強金物又は第2の補強金物等にドリルネジで取り付けた状態を示す模式図、図13(a)は、左補強板を示す正面図、図13(b)は、左補強板を示す底面図、図14は、右補強板を示す正面図、図15は、異なる場所にある複数の外壁パネルのフレームのそれぞれに補強鋼板を取り付けた状態を示す住宅の模式図、図16は、補強鋼板上に下地合板の第1層を貼り付けた状態を示す正面図、図17は、下地合板の第1層上に第2層を貼り付けた状態を示す正面図、図18(a)は、補強鋼板及び右補強板上に下地合板の第1層及び第2層を貼り付けた状態にある右補強板の近傍を示す正面図、図18(b)は、図18(a)のXVIIIB−XVIIIB断面図、図19は、第1の耐力補強方法に係る補強工事完了後の外壁パネル及び胴差の断面を示す図である。
図20は、第2の実施形態に係る第2の耐力補強方法の流れを示すフロー図、図21は、交換対象の外壁パネルの周囲を屋外側から示す模式図、図22は、図21の状態から胴面材を取り外した状態を示す模式図、図23は、支持金物、支持部材セットを胴差に取り付け、ジャッキを胴差の下方に配設した状態を屋外から示す斜視図、図24Aは、図23のXXIVA−XXIVA断面矢視図であり、支持金物の断面及び住宅の一部の断面を示す図、図24Bは、図24AのXXIVB−XXIVB断面矢視図であり、支持金物と接合金物の締結状態を示す図、図24Cは、図24AのXXIVC−XXIVC断面矢視図であり、ジャッキと支持金物の位置関係、接合金物と胴差の接合状態を示す図、図25(a)は、既存の外壁パネルを取り外すため、外壁パネルを室内側から押し出す押出治具を設置した状態を示す模式図、図25(b)は、押出治具を動作させて既存の外壁パネルを室外に押し出した状態を示す模式図、図26(a)は、既存の外壁パネルを取り外した場所に新たな外壁パネルを取り付けるため、押出治具を室外に設置した状態を示す模式図、図26(b)は、押出治具を動作させて新たな外壁パネルを室内側に押し出した状態を示す模式図、図27(a)は、補強鋼板付きフレームを示す模式図、(b)は、ブレース付きフレームを示す模式図、(c)は、窓サッシ付きフレームを示す模式図である。
以下、本発明の実施形態に係る第1の耐力補強方法及び第2の耐力補強方法を、図面を参照して説明する。
本発明の実施形態に係る第1の耐力補強方法は、既存の外壁パネル2の剛性を高める方法であり、図3に示すように、耐力補強が必要な壁区域W1〜W4(図4参照)を特定する特定工程S1と、特定工程S1で特定した壁区域W1〜W4に耐力補強を施す耐力補強工程S2と、を備える。特に耐力補強工程S2は、既存の面材Waを取り除く取除工程S21と、補強鋼板7を取り付ける補強工程S22と、面材Waを取り付ける回復工程S23とを備える。以下、第1の耐力補強方法に係る特定工程S1、耐力補強工程S2について説明する。
まず、特定工程S1において耐力補強を施す壁(壁区域)を特定する。この特定方法としては、まず、住宅1を構成する壁、柱、梁及び屋根等の数、大きさ、重量、材質及び構造から、住宅1の重さの中心点である重心(質量の中心)と水平向きの力に対抗する力の中心である剛心(剛性の中心)とを算出する。次に、重心と剛心のへだたりのねじり抵抗に対する割合である偏心率を算出する。
次に、補強後に重心の位置と剛心の位置が近くなるように、換言すると、偏心率が小さくなるように、耐力補強を施す壁を特定する。このように、重心の位置と剛心の位置を近づかせるようにするのは、剛心と重心との距離の分だけ、剛心を中心とする揺れが大きくなるためであり、重心の位置と剛心の位置が離れている状態では、地震等によって住宅1に揺れが生じた場合に部分的に過大な変形が生じてしまうからである。
例えば、耐力バランスを考慮して特定された壁が、図1に示す記号と対応させて次に示すような壁である場合であって、耐力補強工事を“室内側”から行うときに障害が生じることがあった。ここで、図1は、耐力補強の困難な場所に符号を付して示す間取り図であり、2階建ての住宅1を例に示すものである。
(A)玄関の壁:壁の近くに備え付けの靴箱等がある場合には、その靴箱等を移動させなければならない。
(B)階段に接した壁:階段をすべて撤去する必要がある。
(C)食器棚、サイドボード、シューズボックス等の造作家具に接した壁:造作家具を移動させなければならない。
(D)ユニットバスに接した壁:ユニットバスを撤去する必要がある。
(E)配管スペースに接した壁:給水管周りなどは、作業者が有資格者でなければならないことがあり、人材を確保しなければならない。
(F)間仕切り壁や建具に接した壁:間仕切り壁や建具を撤去する必要がある。
(G)物入れに接した壁:物入れを撤去する必要がある。
(H)キッチン、洗面化粧台、トイレ等の設備機器に接した壁:設備機器を撤去する必要がある。
また、吹き抜けに接した壁については内部に足場を組む必要がある。また、電気配線が張り巡らされた壁である場合には、配管スペースに接した壁同様に、有資格者による工事が必要となる。
逆に、耐力補強を住宅1の角に配置された壁に施すようにすると、耐力バランスが好適になりやすく、好ましい。
(取除工程S21)
図4は、本発明の実施形態に係る第1の耐力補強方法による工事を施す住宅1を模式的に示すものである。耐力補強を施す対象として上記の特定工程S1によって特定された壁区域が、図4における壁区域W1,W2,W3,W4を含むハッチングを施した壁区域である場合について以下に説明する。
以下の説明において、図4におけるハッチングを施した壁区域のうち、特に壁区域W1について具体的に説明し、壁区域W2,W3,W4について補足的に説明する。
次に、パネルフレーム2a及び柱フレーム4に、耐力補強について直接的に機能する上下2枚の補強鋼板7をビス17によって取り付ける。
ここで、補強鋼板7は、鋼製板状であり、図8に示すように所定間隔でマトリクス状に複数のパンチ孔7aを有し、その四隅には、平面上において略正方形状である切欠き7bを有する。
このように,補強鋼板7は、パンチ孔7aが所定の間隔及び数で形成されていることで、パネルフレーム2aに取り付けられることによって外壁パネル2に所定の剛性を付与するよう設計されている。
また、切欠き7bは、後述する左補強板20,右補強板21の収容部としても機能する。
また、正面板8dには、後述する左補強板20が後述するドリルネジ25によって固定される。
また、裏板9cは、2枚の側板9b間よりも長く、側板9bから両側に突出して側板9bに接合されている。裏板9cは、側板9bから突出した両側の部位のそれぞれに2個の取付孔9fを有する。この取付孔9fは、ドリルネジ25を通すことによって裏板9cを胴差3のウェブ3aに取り付けるためのものである。
また、正面板9dには、後述する右補強板21が後述するドリルネジ25によって固定される。
ここで、左補強板20は、鋼製であり、接合金物18と第1の補強金物8とパネルフレーム2aと柱フレーム4とを固定するものである。左補強板20は、図13に示すように、接合金物18に取り付けられる第1の取付板20aと、第1の補強金物8、パネルフレーム2a及び柱フレーム4に取り付けられる第2の取付板20bとから構成される。
第2の取付板20bには、ドリルネジ25によって、第1の補強金物8に固定するための4つの下穴20e、及びパネルフレーム2a及び柱フレーム4に固定するための2列各5つの下穴20eが形成されている。この下穴20eは、左補強板20が接合金物18に取り付けられた状態時に、第1の補強金物8の正面板8d及び、パネルフレーム2a及び柱フレーム4に対向する位置に形成されている。
第2の取付板20bには、ボルト15の頭が収まる程度の十分な大きさで形成された通し孔20dが形成されている。第1の取付板20aと第2の取付板20bとは、通し孔20cの1つと通し孔20dとが同軸上に位置するように、ずれた状態で重ね合わせられて接合されている。
第1層We1には、図16及び図18(b)に示すように、補強鋼板7とパネルフレーム2a又は柱フレーム4とを固定するビス17の頭部を収容可能なように、ビス17に対向する位置に複数の貫通孔Wfが形成されている。
このように形成されていることで、後述する新たに取り付けられる面材Waが周囲の既存の面材Waに対して面一に取り付けられることとなる。
次に、下地合板We,Wgの正面に接着剤を塗布し、面材Waを取り付ける。なお、取り付ける面材Waは、既設のものであっても新たに製造されたものであってもよい。
更に、予め面材Waの四周に形成されている下穴の位置で、面材Waと下地合板We,Wgとを図示せぬドライバによってビス止めする。このようにして、耐力補強工事における主な作業が完了し、図19に示すように、外壁パネル2の内に補強鋼板7が取り付けられ、外壁パネル2と胴差3とが、第1の補強金物8、第2の補強金物9、左補強板20及び右補強板21によって固定され耐力が高まることとなる。
このような場合であっても、耐力補強を施した面材の下地材の厚みを、他の面材の下地材の厚みよりもブレースを取り付けたことより増加する厚み分薄くすることで、耐力補強を施した面材と他の面材とを面一にすることができる。
上記実施形態に係る第1の耐力補強方法においては、外壁パネル2を室外側から補強することにより住宅1の室内側からの作業を全く必要としないため、室内側に造作家具、階段又は配管スペース等があるために室内側からの作業が困難な場合に好適である。
本発明は、上記実施形態に係る第1の耐力補強方法に限定されず、外壁パネル32を室外側で交換する以下に説明する第2の耐力補強方法を含む。
各構成部材については後述するが、本実施形態に係る第2の耐力補強方法は、図20に示すように、上記の第1の耐力補強方法と同様に壁区域を特定する特定工程S1と、特定工程S1で特定した壁区域に耐力補強を施す耐力補強工程S3と、を備える。
特に耐力補強工程S3は、既存の胴面材33X,33Yを取り除く胴面材取除工程S31と、支持金物36を取り付ける支持金物取付工程S32と、支持金物36を介して胴差34をジャッキ35で持ち上げる持上工程S33と、既存の外壁パネル32Xを住宅31から取り除く外壁パネル取除工程S34と、新たな外壁パネル32Zを住宅31に取り付ける外壁パネル取付工程S35と、ジャッキ35を縮めて胴差34を下ろす持上解除工程S36と、支持金物36及び支持部材セット37を取り除く支持金物等取除工程S37と、胴面材33X,33Y等を胴差34に取り付ける回復工程S38とを主に備える。
本実施形態において、耐力補強工事を施す住宅31を構成する外壁パネル32,32X,32Yは、図24Aに示すように、鋼製のフレーム32fと、フレーム32fに間接的に固定され住宅31の屋外側に位置する外面材32aと、フレーム32fに囲われるように配設されたグラスウールGWと、フレーム32fの住宅31の屋内側に取り付けられた木桟32bとから構成される。
本実施形態に係る第2の耐力補強方法における交換対象である外壁パネル32は、図21に示す外壁パネル32Xである。外壁パネル32Xは、外壁パネル32のうち、耐力バランスを考慮して耐力補強が必要なものとして特定されたものであり、例えば、ブレースや補強鋼板を有しないフレームを備えるものや、壁の構造を熟知しない業者によってフレーム32fに孔が開けられ、耐力補強のために交換が必要となったもの等の耐力の弱いものである。また、外壁パネル32Yは、外壁パネル32Xに隣接して配設されているものである。
胴面材33,33X,33Yは、胴差34の外面を覆うものである。特に、胴面材33X,33Yは、交換対象である外壁パネル32Xの上方、外壁パネル32Xの隣に設けられた外壁パネル32Yの上方にそれぞれ配設されているものである。
支持金物36は、図23及び図24A〜図24Cに示すように、胴差34に取り付けられる側から順に、断面T形であり一方向に長尺である取付部36aと、断面H形であり、取付部36aの長手方向に対して垂直に延在するように接合された第1の突出部36bと、第1の突出部36bと略同一の形状を成し、第1の突出部36bのH形におけるウェブの延在方向の一方(胴差34の取り付け状態における上方)にずれて第1の突出部36bに接合された第2の突出部36cとから主に構成される。
次に、第2の耐力補強方法について具体的に説明する。
本実施形態の第2の耐力補強方法における特定工程S1は、上記第1の耐力補強方法における特定工程S1と同じである。つまり、耐力バランスを考慮して、偏心率が小さくなるように、耐力補強を施す外壁パネル32Xを特定する。
(胴面材取除工程S31)
次に、特定された外壁パネル32Xを取り外すのに際して、上方の設けられた胴差34を持ち上げるための後述する支持金物36を取り付けるために、胴差34を露出させる。具体的には、胴差34を覆う図21に示す胴面材33X,33Yの周囲のシーリング50にカッターで切れ目をいれ、図22に示すように、胴面材33X,33Yを住宅31から取り外す。
次に、胴差34に固定された接合金物38に、住宅31の外面から突出するように支持金物36を取り付ける。
次に、接合金物38を介して胴差34に取り付けられた支持金物36と地面Gとの間に、図23及び図24に示すジャッキ35を配設する。ジャッキ35の回転部35bに、長尺の回転治具40を取り付ける。回転治具40によって、回転部35bにおける本体35aの軸線上にある回転中心から力を加える部位までの距離を長くでき、同じ力に対する回転部35bのトルクを大きくすることができる。
そして、伸縮部35cを伸長させて、支持金物36(具体的には、第2の突出部36c)の下面に上板35dを当接させた後、支持金物36の第2の突出部36cの底部と上板35dとをいずれかの取付孔35fを通る図示せぬ締結具によって固定する。
更に、支持金物36を介して胴差34を本実施形態では3,4mm程度持ち上げ、胴差34から外壁パネル32Xにかかる荷重が小さくなるようにする。ここで、胴差34を持ち上げる高さは3,4mm程度で短いために、2階への影響は少ないが、部屋が傾斜することには変わりないため、念のために2階の家具等の状態を確認しながら胴差34の持ち上げ作業を行う。
次に、外壁パネル32Xを住宅31から取り除く作業を行う。この作業、及び後述する新たな外壁パネル32Zを取り付ける作業は、手作業で行うようにしてもよいが、より簡単に作業を行うために、次に説明する押出治具39を用いて行う。
押出治具39は、梃子の原理を利用して動作するもので、図25,図26に示すように、操作棒39aと、操作棒39aの一端部に設けられた回動支持部39bと、操作棒39aの中間部分から突出する作用部39cとから構成される。
まず、押出治具39が外壁パネル32Xに室内側から当接できるように、外壁パネル32Xの室内側にある図示せぬクロス及び図24Aに示す石膏ボードPBを剥がす。この際、外壁パネル32XのグラスウールGWを除去する。
次に、押出治具39の設置スペース及び回動スペースを確保するために、外壁パネル32Xの室内側の上部に位置する一階の天板41の一部を取り外して、作業空間41aを形成する。
次に、新たな外壁パネル32Zを住宅31に取り付ける作業を行う。この作業は、上記の外壁パネル32Xの取り外し作業と同様に、押出治具39を用いて行う。
支持部材セット37は、図23に示すように、一端部に取付板37bを有し取付板37bから垂直に延出する突出棒37aと、2本の突出棒37aの垂直に渡されてクランプ37eにより固定される渡し棒37dとから構成される。
具体的には、2本の突出棒37aの取付板37bを、水平方向に間隔を空けて胴差34のウェブ34aにボルト37cで固定する。そして2本の突出棒37aに跨るように渡し棒37dを渡し、2本の突出棒37aのそれぞれと渡し棒37dとをクランプ37eで固定する。
そして、渡し棒37dに、押出治具39の回動支持部39bの端部39dを上下方向に回動可能に図示せぬクランプで取り付ける。
次に、作用部39cが外壁パネル32Zに近接する方向に、操作棒39aを押し込んで回動させ、作用部39cと外壁パネル32Zの外面材32aの上部との間に配設された当て板39fを介して、外壁パネル32Zを垂直に立設するまで押し込む。
次に、ジャッキ35の回転部35bを操作してジャッキ35の伸縮部35cを下方に縮め、ジャッキ35による支持金物36を介しての胴差34の持ち上げを解除する。外壁パネル32Zは、ジャッキ35からの押し上げが解除された胴差34が下方に移動することによって、胴差34と土台Bとの間に挟持された状態となる。そして、外壁パネル32Zを土台B、胴差34及び図示せぬ柱にボルト・ナットによって固定して、外壁パネル32Zの取り付けが完了する。
更に、外壁パネル32Zの住宅31への取り付け完了後、支持金物36及び支持部材セット37を胴差34から取り除く。
(回復工程S38)
更に、外壁パネル32Xを押し出す作業空間41aを確保するために取り外した天板41の一部を新たに取り付け、外壁パネル32Zの室内側に石膏ボードPB、図示せぬクロスを貼り付け、新たな胴面材33及び断熱材を胴差34の外面に取り付けて修繕作業を行い、完全にパネル交換工事が完了することとなる。
その他、例えば、破損していなくても耐力の弱い外壁パネル32Xを、耐力補強がされた種類の異なる外壁パネル32Zに交換するようにしてもよい。
具体的には、単に矩形状に形成された耐力の弱い外壁パネル32Xを、図27(a)に示すような鋼製のプレートが固定された補強鋼板付きフレーム42、又は図27(b)に示すようなブレース付きフレーム43を備える新たな外壁パネル32に交換するようにしてもよい。
その他、例えば、耐力補強が必要な壁として特定された部位が耐力の弱い換気扇が設けられた外壁パネル32である場合にも同様に本発明を使用することができる。
この第2の耐力補強方法は、室内側の作業スペースが必要となるのは、押出治具39を用いて既存の外壁パネル32を取り出す場合のみである。つまり、室内側に外壁パネル32を取り出して、新たな外壁パネル32を室内側から取り付ける場合よりも、室内側の作業スペースを必要としない。このため、造作家具、階段、ユニットバス等に接した壁であっても、押出治具39を用いる作業スペースさえ確保できれば、耐力補強を施すことが可能となる。
2 外壁パネル
2a パネルフレーム
3 胴差(梁)
3a ウェブ
3b フランジ
4 柱フレーム
7 補強鋼板(耐力補強部材)
7a パンチ孔
7b 切欠き
8 第1の補強金物(連結補強部材)
8a 上板
8b 側板
8c 裏板
8d 正面板
8e 通し溝
9 第2の補強金物(連結補強部材)
9a 上板
9b 側板
9c 裏板
9d 正面板
9e 通し溝
9f 取付孔
10 シーリング
14,15 ボルト
16 ナット
17 ビス
18 接合金物
18a 孔
20 左補強板(連結補強部材)
20a 第1の取付板
20b 第2の取付板
20c,20d 通し孔
20e 下穴
21 右補強板(連結補強部材)
21a,21b 下穴
22,23 補強板(連結補強部材)
24 土台部
25 ドリルネジ
27 ビス
28 木ネジ
32,32X,32Y,32Z 外壁パネル
32a 面材
32b 木桟
32c 取付ボルト
32f フレーム
33,33X,33Y 胴面材
34 胴差
34a ウェブ
35 ジャッキ
35a 本体
35b 回転部
35c 伸縮部
35d 上板
35e 下板
35f 取付孔
35g ネジ部
36 支持金物
36a 取付部
36b 第1の突出部
36c 第2の突出部
36d,36e ビス
37 支持部材セット
37a 突出棒
37b 取付板
37c ボルト
37d 渡し棒
37e クランプ
38 接合金物
38a,38b タップ孔
39 押出治具
39a 操作棒
39b 回動支持部
39c 作用部
39d 端部
39e 端部
39f 当て板
40 回転治具
41 天板
41a 作業空間
42 補強鋼板付きフレーム
43 ブレース付きフレーム
44 窓サッシ付きフレーム
45 渡し棒
50 シーリング
B 土台
G 地面
GW グラスウール
PB 石膏ボード
W1,W2,W3,W4 壁区域(壁面)
Wa 面材(外面)
Wb 化粧胴水切
Wc 下地合板
Wd 断熱板
We 下地合板
We1 第1層
We2 第2層
Wf 貫通孔
Wg 下地合板
Wh 貫通孔
Claims (8)
- 家屋の壁面を耐力補強する耐力補強方法であって、
前記家屋の室内に設備が設けられている箇所の壁面を特定する特定工程と、
該特定工程で特定した壁面に外側から耐力補強する耐力補強工程と、
を有し、
前記壁面は、枠状のフレームと、該フレームの外側に取り付けられる面材とを少なくとも備えた外壁パネルで構成されており、
前記耐力補強工程は、
特定した前記外壁パネルの前記面材を取り除く取除工程と、
該取除工程によって前記面材を取り除いたことによって露出する前記フレームの外側の面に耐力補強部材を取り付ける補強工程と、
該補強工程によって前記耐力補強部材を取り付けた後に、前記耐力補強部材の外側に前記取り除いた面材又は新たな面材を取り付けることによって壁面を形成する回復工程と、を備えることを特徴とする耐力補強方法。 - 前記補強工程において、前記フレームの外側の面にプレート状に形成された前記耐力補強部材を取り付けることを特徴とする請求項1に記載の耐力補強方法。
- 耐力補強対象である前記壁面は、床下に設けられた梁に固定されており、
前記耐力補強工程において、前記壁面と前記梁との間に連結補強部材を取り付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐力補強方法。 - 前記設備は、造作家具であり、該造作家具の近傍に配置された前記壁面に対して耐力補強を施すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐力補強方法。
- 前記設備は、階段であり、該階段の近傍に配置された前記壁面に対して耐力補強を施すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐力補強方法。
- 前記設備は、配管又は電気設備であり、該配管又は該電気設備の近傍に配置された前記壁面に対して耐力補強を施すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐力補強方法。
- 前記設備は、間仕切り壁や建具であり、該間仕切り壁や建具の近傍に配置された前記壁面に対して耐力補強を施すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐力補強方法。
- 前記設備は、ホームエレベーターであり、該ホームエレベーターの近傍に配置された前記壁面に対して耐力補強を施すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐力補強方法。
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