JP3130008U - 耐力構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】既設構造物の耐震強化工事を行う際に工事の簡素化を可能にする建物外部設置用の耐力構造体を提供する。
【解決手段】一対の柱部材2の上端部に接合され、略水平方向に延びる長尺状の上部梁部材3、及び、各柱部材2の下端部に接合され、略水平方向に延びる長尺状の下部梁部材4を備え、製造工程において各部材が予め枠組状に組立てられ、既設構造物の外部に、外壁Wとの間に間隙を設けて立設される構造枠組5と、既設構造物の横架材Bに接合具で接合され、構造枠組5の上部に接合される横架材固定部6と、地面に設置され、構造枠組5を支持する構造体基礎7と、構造枠組5の下端部に形成され、構造体基礎7と接合される基礎固定部8とを具備する。
【選択図】図1

Description

本考案は、木造住宅等の既設構造物の外壁に取付けて耐震強度を強化する耐力構造体に関するものである。
従来、大地震発生時に備え、耐震強度の不足が問題となる既設構造物の耐震補強工事が行われている。木造住宅においては、主に耐力壁量の不足する箇所の強度を補ったり、耐力壁の配置の不具合を改善したりするために、既設壁を改修する耐震補強工事が一般的に行われている。既設壁に対する耐震補強工事は、内壁側から壁を改修する方法、外壁側から壁を改修する方法、そして外壁面に補強部材を追加する方法の3通りの工法に大別される。
内壁側から壁を改修する方法は、既存の木造住宅の壁、天井、床等の仕上材を除去し、構造体に金物や筋交等の補強部材の追加を行うものである。室内側から工事を行うため、住宅の居住者は工事期間は仮の住宅を別に用意して一時的に住居を移す必要がある。また、壁面の撤去及び新設が必要となるため、現場での加工や調整のための場所が必要であるし、工期が長期化しがちであった。一方、外壁側から壁を改修する方法は、転居を必要としない場合もあるが、外壁の撤去及び新設が不可欠であり、内壁側からの改修工事と同様に、現場での加工や調整のための場所と比較的長い工期が必要とされる。また、撤去工事が生じると廃材が発生するため、その処分に際して処分費が必要となる上、アスベスト等、材料によっては特別な配慮が必要となるものが廃材として排出される虞がある。また、壁内に筋交を設置すると、当該箇所には窓等の開口部を設置することが困難になるという問題がある。さらに、内壁、外壁の何れの側から工事を行う場合においても、質の高い工事を行うためには各々の現場において工事従事者の技術力が要求されるため、工事業者には相当数の熟練した技術者の確保が必要とされた。
また、胴差や梁など特定の箇所に補強部材の端部を接合する場合には、既設構造に応じて補強部材の寸法や形状を対応させる必要がある。部材を現場で加工する場合には廃材が生じるため材料が無駄となり、さらには廃材の処分費も発生する。それに対して、現場での部材加工や廃材の発生を抑制するために、様々な寸法や形状に対応すべく多種の部材を用意すると、工事業者には多量の在庫の管理が負担となる。
一方、建築外壁に対して外側から補強部材を追加する外壁取付式耐震補強工事の場合は、内壁はもちろんのこと、外壁仕上面も撤去する必要がなく、工期も短期間となる利点がある。室内に及ぶ工事の影響も小さいため転居の必要は生じない。そして、壁に対する加工が少なく、撤去箇所もごく限られるため、廃材発生の問題はわずかなものとなる。
特開平9−4177号公報
しかし、従来の外壁取付式耐震補強工事では、既設構造物の外壁に対して補強部材を広範囲に渡って密接させるため、外壁の経年変化に伴う微小な面外変形に補強部材が追従できずに構造体の取付部が弱体化したり、剥離する問題が生じる虞があった。また、外壁と補強部材との当接箇所付近の部材間に結露が発生する虞もあった。さらに、補強工事を行う壁面に窓等の開口部がある場合には、サッシや雨戸の戸袋等が突出するために設置が困難であり、設置可能であった場合にも窓等の開閉や清掃において支障を来す虞が強い。同様に外壁面に凹凸がある箇所や建築設備の関係で突出物がある箇所にも施工が難しい。このように、本来補強が望ましい窓等の開口部付近の補強には適していないという問題があった。
そこで、本考案は、上記の実状に鑑み、既設構造物に対する加工を極力少なく留め、低廉な費用と短い工期のもとで既設構造物の耐震強度を強化することが可能な耐力構造体の提供を課題とするものである。
本考案にかかる耐力構造体は、「一対の柱部材、
各々の前記柱部材の上端部に接合され、略水平方向に延びる長尺状の上部梁部材、
及び、前記柱部材の各下端部に接合され、略水平方向に延びる長尺状の下部梁部材
を備え、製造工程において各部材が予め枠組状に組立てられ、既設構造物の外部に、外壁との間に間隙を設けて立設される構造枠組と、
既設構造物の横架材に接合具で接合され、前記構造枠組の上端部に接合される横架材固定部と、
地面に設置され、前記構造枠組を支持する構造体基礎と、
該構造体基礎と前記構造枠組の下端部とを接合具で接合する基礎固定部と
を具備する」ものである。
ここで、「横架材」とは、略水平方向に架設される構造材であり、木造住宅における梁、桁、胴差、土台等を例示することができる。また、「接合具」としては、釘、ボルト、ドリフトピン等を例示することができる。なお、「構造体基礎」は、平常時においては立設される構造枠組を支持し、地震発生時においても容易に破壊しない頑強な基礎である必要があるため、鉄筋コンクリート製が望ましい。
本考案の構造枠組は、金属製の形鋼等を基に工場で加工成形された部品を組み立てて完成した状態で出荷される。横架材固定部も同様に工場で完成された状態で出荷される。すなわち、工事現場において追加加工は行われず、既設構造物の外壁に対してそのまま取り付けられる。そして、工事の内容に応じて構造枠組や横架材固定部材等の部材が選定される。工事現場では補強箇所の下方に基礎が設置される。構造枠組が基礎上にアンカーボルト等の接合具で据付られ、構造枠組の上部が横架材固定部を介し、外壁に対して若干の間隙を設けて既設構造物の横架材に接合具で固定される。このとき、既設構造物の外壁から横架材にかけて接合具を嵌挿可能な孔が貫通され、室内側では、天井が工事の障害になる場合には天井が一時撤去され、工事後に復元される。外壁の開孔箇所は、雨水の浸入を防ぐため防水処理をして仕上げられる。
地震が発生し、構造物が横揺れすると、構造的に弱い箇所から構造物は破壊される。構造物の耐力が全体に不足している場合に限らず、構造物の一部に耐力不足の脆弱な箇所がある場合にも、剛性の重心と重量の重心との間の偏心により脆弱な部材や結合箇所が破壊されることで構造が崩壊し、全体としての強度が著しく損なわれ倒壊へとつながる。本考案によれば、木造家屋等の既設構造物の耐力壁が不足する箇所に設置されることで、一階の耐力壁の弱点を補強して剛性率を改善し、且つ、建物一階の偏心率を低減し、既設構造物の耐力のバランスを改善する。これにより、特定箇所が集中的に破壊されやすい構造的欠点が解消され、既設構造体の地震時の被害を抑制することができる。
本考案によれば、構造枠組の据付においては既設構造物の構造や形状等によって取り付け位置の調整が必要となるが、構造体基礎の形状や寸法の変更で既設構造物に対応させるため、構造枠組に対する現場加工が不要となる。構造枠組の上部は既設構造物の胴差等の横架材に固定されるが、下部は構造体基礎にアンカーボルトで固定される際に高低方向の調整が可能である。
構造枠組は工場で完成されており現場では加工されないので、組立加工現場の気温、湿度、天候、気流等の条件の変化の影響から生じる品質のばらつきを抑えることができる。また、専任の品質管理者による構造枠組の品質管理が可能となり、品質の安定化を図ることができる。現場加工が不要であるので、工事現場周辺における加工のための場所や工具類が不要となる。部材加工に熟練した作業者も不要となるので、工事費を低減することもできる。加えて、作業者個々人の技能に依存する度合が減少するため、施工方法のマニュアル化による品質の向上と低コスト化を図ることも容易となる。
部材が規格化されているため、工事現場で使用する部材の種類を少なくすることができる。これに伴い材料や製品の管理が容易となる。また、生産設備の簡素化や梱包材の統一なども可能となり、一層のコスト削減を果たすことができる。
また、工事において既設建材や既設設備の撤去がほとんど発生しない上、補強部材の現場加工がないので端材や屑が発生しない。従って、工事に伴って発生する廃材は梱包材や型枠等に限られるが、それらをリサイクル使用可能なものにすれば廃材を大幅に減少させることができ、環境負荷の低減という社会的な要請に応えることができる。
本考案によれば、耐力構造体の設置工事において、既設構造物の外壁を加工するのは、基本的には接合具取付用の孔を外壁から横架材にかけて貫通する部分のみである。室内側で行う工事も、天井板等の内装材が邪魔になる場合の内装材の部分的な一時撤去と、横架材を貫通した接合具の固定のみであるため、外壁・内壁の撤去は不要であり、既設構造物に対する改修は、わずかな加工と補修のみに限定することができる。
また、本考案によれば、構造枠組が上端部において横架材固定部を介して既設構造物の横架材に接合され、下端部が構造体基礎に接合されて既設構造物の外壁との間に間隙を設けて立設されているため、既設構造物の外壁面に凹凸がある場合や若干の傾斜や湾曲がある場合にも設置が可能である。壁面に窓等の開口部がある場合にも、構造枠組と壁面との間に間隙があるため、窓の建具等と干渉する虞が少なく、設置の自由度が高い。掃き出し窓のように耐力壁量が不足しがちな大きな開口部周辺にも容易に設置することができる。仮に外壁に給排水配管、空調配管、ガス管等が既設であった箇所にも、構造枠組は外壁との間に間隙を設けて設置されるため、設置可能である。同様に外壁に換気口が設置されている場合にも対応できる。このように、既設設備を避けて施工したり、既設設備を撤去する必要がないので無駄が生じにくく、工事期間も短くすることが可能であり、ひいては工事費用を減額できる。
室内における施工は、天井を有する構造の場合には天井を一部撤去し接合具固定後に修復する必要があるが、基本的には横架材を貫通した接合具の固定のみであり、室内の家具類の移動や養生は工事の障害となる箇所のみに限定することができる。屋外の工事も短期間で終了するため、工事期間においても居住者が転居せず居住し続けることが可能である。
上記のように、本考案によれば、構造枠組と横架材固定部材が規格化された工場製品であり、量産可能であるため材料費を安く抑えることが可能である。また、現場において再加工する必要がないので工事期間が短くなる。また、部材加工のための工具類も必要なくなる上、部材加工を行う技能をもつ作業者の現場作業も不要となる。さらに、壁の撤去及び修復や、建築設備等の移設もほぼ不要となることから、従来の耐震補強工事と比較して工事費も低廉なものとすることができる。工事期間中の居住者の転居も不要であり、従来の耐震補強工事に比較して手軽に耐震補強工事を行うことが可能である。
1箇所の補強のみでは耐力が不十分な場合や、既設構造物各部のバランスをとる必要がある場合には、複数の耐力構造体を組み合わせて補強することで十分な強度を確保することができる。なお、補強箇所が複数個所に及ぶ場合には、補強箇所が既設の窓や建築設備に干渉したり周辺の他の構造物に干渉する可能性が高くなる。しかし、上記のように本考案の耐力構造体は設置箇所に関する制約が少ないため、設置箇所が複数個所に及ぶ場合にも、適切な配置で耐力構造体を設置することが容易である。
また、本考案において、「前記構造体基礎が、既設構造物の基礎に対して水平方向に延出して付設された構造体基礎である」構成を採用してもよい。
この構成によると、既設構造物の既設布基礎より、アンカーボルト等を介して鉄筋コンクリート製基礎が既設構造物の外側に向って水平方向に拡張される。そして、その鉄筋コンクリート製基礎の上に構造枠組が設置される。
既設基礎から独立した構造体基礎を設置する場合に比較して、外壁により近い箇所に構造枠組を立設することが可能であり、構造体基礎が既設基礎と鉄筋コンクリートによって一体的に形成されているため、剛性を高めることができる。また、耐力構造体全体が外壁に取付けられているのとは異なり、構造体基礎によって耐力構造体を支えるため、部材を外壁に取付ける方式と比較して、壁にかかる荷重を軽減することができる。壁にかかる荷重を軽減することで、例えば地震時に壁が面外方向に揺れるために破壊される虞を減少させることができる。
また、本考案において、「前記横架材固定部と前記構造枠組の間に横架され接合される、桁枠状に形成された横架枠部材、
該横架枠部材の上に載設されたバルコニー床部材、
及び、前記横架枠部材の外縁部に立設された手すり
を備えるバルコニー状梁部を更に具備する」構成を採用してもよい。
住宅の南側は採光を重視して広い窓が設置されることが多く、開口面積が大きいために耐力壁量が不足しやすい。掃き出し窓等、特に開口部が大きい箇所では壁内に筋交状の補強部材を設置する方式では開口部が邪魔になるために工事不能な場合も多い。仮に外壁に補強部材を取り付けるとしても、壁面に沿わせて補強部材を設置すると窓を塞ぐようになり、採光を重視した居室であるにも関わらず居住性を低下させてしまう。さらには網戸の取外しや窓拭きなど建具の手入れや清掃の障害となってしまう虞もある。しかし、本考案によれば、バルコニー状梁部を備えているので、窓から離れた箇所に構造枠組を設置でき、構造枠組と壁面との間に人間が出入りできる空間が残されることから、耐震補強工事を行っても、採光性の低下を抑え、建具の保守管理も容易にすることが可能となる。
さらに、例えば、壁掛け形の給湯器など、壁取付形の耐力構造体の設置にあたって障害となるような設備機器が補強必要箇所に既設であったとしても、バルコニー形であれば耐震補強部材を設置することが可能である。
既設バルコニーが老朽化している場合など、耐震性能向上に寄与しないばかりか、むしろ破壊の虞が強い場合においても、既設バルコニーを撤去して本考案のバルコニー形の耐力構造体へと更新することで、同時に既設構造物の耐震性能の向上も果たすことができる。
このように、本考案の耐力構造体によれば、既設構造物の耐震力の強化において、工場製作の規格化された補強部材を既設構造物の外壁に対して間隙を設けて外側から取設することによって、既設構造物に対する加工をごくわずかなものに留め、費用の抑制と、工期の短縮とを図ることができる。部材が規格化されているため品質の安定化を図ることができ、設置が容易であるので、現場加工等による調整を大幅に減少させることができ、また、熟練した作業者が不要で作業者個々の技能に依存する度合いを減少でき、品質の向上と低コスト化を図ることができる。さらに、既設構造物および補強部材に対する加工がわずかであるため、廃材の発生を少なくすることができる。また、窓等の開口部が設置されている箇所においても開口部はそのままにして補強部材を設置することができる。同様に既設設備機器類がある箇所においても、既設設備の移設や撤去をわずかなものに留めて耐震補強を行うことができる。複数箇所の補強が必要な場合にも、補強を必要とする各部に対して設置することで適切に耐震補強ができる。さらに、既設構造物の内部における工事がきわめてわずかであるため、工事期間中も居住者の転居が不要であり、転居にともなう出費や利便性の低下を防ぐことができる。また、本考案のバルコニー形の耐力構造体によれば、既設構造物に掃き出し窓等の大きな開口部が設けられた箇所についても、開口部の機能を損なうことなく耐震補強を行うことができ、さらに、既設バルコニーが老朽化している場合等には、既設バルコニーをバルコニー形の耐力構造体に更新することで耐震性能の向上を図ることができる。
以下、本考案の第一の実施形態である耐力構造体について、図1乃至図3に基づき説明する。図1は第一の実施形態の耐力構造体の構成を示す正面図及び断面図、図2は第一の実施形態の耐力構造体の構成を示す説明図である。図3は異なる寸法及び形状の構造枠組部分を示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態の耐力構造体1は、既設構造物の壁面Wに取付けられ、既設構造物の強度を補い、耐震強度性能を向上させるために用いられるものである。耐力構造体1は、2本の柱部材2と、各々の柱部材2の上端部に架け渡されるように接合された上部梁部材3と、各々の柱部材2の下端部を結んで接合された下部梁部材4とを備える構造枠組5を主要部とし、その他に構造枠組5の上端部に接合される横架材固定部6と、地面に設置される構造体基礎7と、構造枠組5の下端部に形成された基礎固定部8とを具備して構成されている。
柱部材2は、鋼製の長尺状の部材であり、本実施形態の耐力構造体1においては断面が略正方形の角形鋼管である。上部梁部材3及び下部梁部材4もまた断面H字形の鋼製長尺部材であり、何れも両端近傍の補強用にスチフナーが取付けられている。各々の柱部材2の上端に上部梁部材3の両端部が、下端には下部梁部材4の両端部が溶接されて正面視略長方形の構造枠組5を構成している。構造枠組5の内側には、断面がH字形の長尺状を呈し、各々の柱部材2の中央付近から水平方向に架け渡され、両端部が柱部材2に溶接された中間梁部材9が配設されている。構造枠組5の2箇所の上部入隅には何れもリブ状の上部筋交取付部10が突設されている。同様に、構造枠組5の2箇所の下部入隅にはリブ状の下部筋交取付部11が突設されている。中間梁部材9の中央部には、上面と下面に各2箇所ずつ、計4箇所のリブ状の中間筋交取付部12が突設されている。角形鋼管状の上部筋交部材13が、両端を上部筋交取付部10と中間梁部材9の上面の筋交取付部12との間に緊設されている。そして、下部筋交部材14が、両端を下部筋交取付部11と中間梁部材9の下面の筋交取付部12との間に緊設されている。
横架材固定部6は、溝状の長尺鋼製部材であり、水平方向に延びる方向で溝部が外側を向くように既設構造物の横架材Bに対して接合具16で緊結され、外壁に圧接される。
構造体基礎7は、鉄筋コンクリート製の布基礎であり、既設基礎Fの外側に沿って既設基礎Fに一体的に形成される。耐力構造体1を設置する所定箇所において、既設構造物の基礎Fにドリル等で穿孔しホールインアンカー(図示しない)を打ち込み、鉄筋を配して既設基礎Fから水平方向に突設する形状にコンクリートを増し打ちして構造体基礎7が形成される。
構造枠組5の設置に際しては、まず、横架材固定部6を設置するために、既設構造物の横架材Bの位置を確認し、外壁から屋内側へと横架材Bにボルト孔15を貫通する。このとき、屋内側では必要に応じて天井等の内装材を一時撤去して作業を行う。所定の箇所にボルト孔15を穿孔し、横架材固定部6を横架材Bに対して接合具16で固定する。そして、構造枠組5を構造体基礎7上に据え、上部を横架材固定部6に当接させ、構造枠組5と横架材固定部6とをボルトで固定する。構造枠組5の下部は、構造体基礎7に対してアンカーボルト17により緊結する。設置後に必要に応じて塗装等の仕上げを施して完成する。外壁Wと横架材固定部6との当接箇所は、雨水の浸入を防ぐためにコーキング等の防水処理を行う。ここでアンカーボルト17は、本考案の接合具に相当する。
本実施形態の耐力構造体1は、木造家屋等の既設構造物の耐力壁が不足する箇所に設置されることで、一階の耐力壁の弱点を補強して剛性率を改善し、且つ、建物一階の偏心率を低減し、既設構造物の耐力のバランスを改善する。これにより、破壊されやすい構造的な弱点を解消し、既設構造体の地震時の被害を抑制することができる。
本実施形態の耐力構造体1は、構造枠組5を外壁との間に間隙を設けて設置することが可能なため、構造枠組5が窓や換気口等と干渉することが少なく設置の自由度が高い。従って、耐力不足となりやすい開口部周辺を補強する際にも、壁面に既設の設備類との干渉に妨げられることなく適切な箇所に耐力構造体1を設置することができる。また、外壁に多少の凹凸がある場合にも工事の障害とならないため、外壁仕上や意匠に起因する凹凸や、壁面の微細な湾曲や傾斜等を問題とすることなく設置が可能である。
室内側で行う工事は、内装材の一時撤去及び復元と、横架材に対する加工及びナット締結のみである。1階部分の天井及び横架材に対する簡単な加工のみであるため、工事中に障害となる家具等を移動して他のごく簡素な養生を行うのみで室内側工事を行うことができ、短時間に工事を終えることができる。また、鋼材の溶接を行う工程がないので、安全に工事を行うことができる。
耐力構造体1を設置する時には、まず工事に先立って既設構造物の耐力壁の強度及び配置を解析する。解析方法としては、一般的な必要壁量の計算方法等を用いて、耐力壁の不足する箇所やバランスの乱れがある箇所を特定する。そして、解析結果を基に、必要に応じて耐力構造体1を複数個所に設置する。これにより、既設構造物の構造的な弱点を解消し、耐力バランスが良好で地震時にも倒壊しづらい構造とすることができる。耐力構造体1を施工するために必要な既設構造物に対する加工は、横架材B及び外壁Wへの若干の加工と、室内側の既設天井の一時撤去と、既設基礎への鉄筋取付とに限られるため、迅速かつ低コストにて工事計画が作成できる。
構造枠組5及び横架材固定部6は工場で完成されて出荷される。従って、現場で組み立てる場合と比較すると、品質や形状が安定していることと、現場における施工箇所および施工内容が限定されることから、現場作業者が高度な技術や熟練を備えていなくとも安定して上質な施工が可能である。
本実施形態の耐力構造体1の構造枠組5等の各部材は人力によっても運搬可能であり、必ずしも建設機械を使用しなくても施工可能である。従って、狭小地などで隣地に対して近接した壁に対して施工が可能な場合もある。
また、耐力構造体1の構造枠組5の内側には中央部で水平方向に中間梁部材9が横架され、筋交状の部材が付設されているものを示したが、構造枠組5の内側の部材の構成はこれに限定するものではない。例えば、梁状の部材がなく、構造枠組5の対角線上に筋交を取設した構成であってもよい。構造枠組5の内側の部材の形状及び構成の変更によって強度を高めたり、あるいは意匠性を高めたりして改良を行うことができる。
なお、耐力構造体1として、構造枠組5の形状が枠組の縦横比において約3:2となるものを示したが、形状はこれに限定するものではない。図3に示す異なる形状の構造枠組のように縦横比が約3:1となる耐力構造体200の形状であってもよいし、更に異なる縦横比を呈する形状であってもよい。縦横比を変更することで、設置箇所への対応性をより高めることが可能である。
さらに、本考案は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、次に説明するようなバルコニー形の耐力構造体も実施することができる。以下、図4乃至図6に基き第二の実施形態について説明する。図4は第二の実施形態であるバルコニー形の耐力構造体100の構成を示す正面図及び断面図である。また、図5はバルコニー形の耐力構造体100の構成を示す説明図、図6は複数の耐力構造体を組み合わせて設置した状態を示す説明図である。
本実施形態の耐力構造体100は、前記の耐力構造体1と同様に、2本の柱部材2と、各々の柱部材2の上端部に架け渡されるように接合された上部梁部材3と、各々の柱部材2の下端部を結んで接合された下部梁部材4とを備える構造枠組5を主要部としているが、構造枠組5の上端部にはバルコニー状梁部101が接合されている。バルコニー状梁部101は、上部梁部材3に接合される横架部材102と、バルコニー床部材103と、手すり104とによって構成されている。耐力構造体100は、さらに、地面に設置された構造体基礎105と、構造枠組5の下端部に形成された基礎固定部8とを具備して構成されている。
バルコニー状梁部101の構造体である横架枠部材102は、平面視略長方形を呈する鋼製のフレームであり、フレーム内側には複数の桁状部材が渡されており、各桁状部材はフレームの内側に接合されており、上側にバルコニーの床となる板等を載置可能となっている。また、横架枠部材102の強度を増すと共に建物の揺れを構造枠組5に伝えるためにフレーム内側には対角線上に筋交が配設されている。横架枠部材102は水平方向に掛け渡される鋼鉄製の構造桁枠状を呈しており、横架枠部材102の一端は上部梁部材3に接合されている。横架枠部材102の他端は既設構造物の横架材Bに接合具16で緊結された横架材固定部6にボルトで接合されている。横架枠部材102及び上部梁部材3の上側には樹脂性の平板であるバルコニー床部材103が載設され、横架枠部材102の外縁部には5本の柱と、各柱上に横架された角材状の部材を備える手すり104が立設されている。手すり104の柱は、横架枠部材102及び上部梁部材3の角部付近と正面中央部とに立設されており、手すり104にかかった荷重が横架枠部材102及び上部梁部材3の構造に伝達されるようになっている。
構造体基礎105は、耐力構造体1の構造体基礎7とは異なり、既設構造物の基礎Fから独立した布基礎である。バルコニーの下部の利用方法や地盤の状態によってはべた基礎としてもよい。
このように、バルコニー状梁部101を備えることにより、外壁Wに近接した箇所に耐震補強部材を設置できない場合にも耐震補強工事を行うことが可能である。構造枠組5が外壁Wから離れているため、耐力構造体100の構造枠組5と既設構造物の外壁Wとの間には人が出入りしたり、物を置いたりすることもできる。従って、外壁Wに掃き出し窓等の床面まで開口する窓や勝手口等が設置されている箇所に耐力構造体100を設置した場合にも人の出入りを妨げることがない。さらに、構造枠組5と外壁Wとの間隙が比較的大きいため、外壁に近接して耐震補強部材が設置される場合と比較すると採光において有利である。また、バルコニー上には上部に物を載置したり人間が乗ったりすることが可能なため、耐震補強工事を行うと同時に住宅の居住性を高める付加機能をもたらすことができる。
なお、必要に応じて異なる実施形態の耐力構造体を組み合わせて設置してもよい。例えば、図6に示すように、耐力構造体100と耐力構造体1とを組み合わせることが可能である。設置箇所の条件と要求される耐力性能とを勘案して組み合わせることにより、図6の例のように、採光性の要求等の理由により開口部を大きくした箇所にはバルコニー状の耐力構造体100を設置し、敷地境界に接近した箇所には耐力構造体1を設置するといった具合に、与条件に応じた細やかな対応も可能である。
以上、本考案について好適な実施形態を挙げて説明したが、本考案はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本考案の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、構造枠組5に関しては、前記の実施形態においては何れも視覚的に構造部材が露出しているものを示したが、鋼製やプラスティック製の仕上材を装着して構造部材を隠蔽し、意匠性に変化をもたらしてもよい。また、耐力構造体1または耐力構造体100の外側を全体的に仕上材で覆って、構造枠組5と外壁Wとの間に物品等の収納可能な空間を形成してもよい。例えば、耐力構造体1を外壁の掃き出し窓がある箇所に隣接する位置に設置し、該耐力構造体1の外側の掃き出し窓が位置する側以外の面を板状の建材で覆い、構造枠組5と外壁Wとの間に雨戸を引き込めるようにし、雨戸の収納スペースとして利用することが可能である。
また、バルコニー状梁部101の手すり104は、上記の実施形態においては5本の柱で手すりを支持する形状のものを示したが、この形状に限定するものではなく、落下防止用に狭い間隔で柱が入った縦格子状の手すりとしてもよいし、プラスティック製パネルや有孔鋼板製パネルなどを設置してもよい。
本考案の耐力構造体の第一の実施形態の構成を示す正面図及び断面図である。 耐力構造体の第一の実施形態の構成を示す説明図である。 異なる形状の構造枠組を示す正面図である。 耐力構造体の第二の実施形態の構成を示す正面図及び断面図である。 耐力構造体の第二の実施形態の構成を示す説明図である。 複数の耐力構造体を組み合わせて設置した状態を示す説明図である。
符号の説明
B 横架材
F 既設基礎
W 外壁
1 耐力構造体(壁近接形)
2 柱部材
3 上部梁部材
4 下部梁部材
5 構造枠組
6 横架材固定部
7 構造体基礎
8 基礎固定部
16 接合具
17 アンカーボルト(接合具)
100 耐力構造体(バルコニー形)
101 バルコニー状梁部
102 横架枠部材
103 バルコニー床部材
104 手すり
105 構造体基礎

Claims (3)

  1. 一対の柱部材、
    各々の前記柱部材の上端部に接合され、略水平方向に延びる長尺状の上部梁部材、
    及び、前記柱部材の各下端部に接合され、略水平方向に延びる長尺状の下部梁部材
    を備え、製造工程において各部材が予め枠組状に組立てられ、既設構造物の外部に、外壁との間に間隙を設けて立設される構造枠組と、
    既設構造物の横架材に接合具で接合され、前記構造枠組の上端部に接合される横架材固定部と、
    地面に設置され、前記構造枠組を支持する構造体基礎と、
    該構造体基礎と前記構造枠組の下端部とを接合具で接合する基礎固定部と
    を具備することを特徴とする耐力構造体。
  2. 前記構造体基礎が、既設構造物の基礎に対して水平方向に延出して付設された構造体基礎であることを特徴とする請求項1に記載の耐力構造体。
  3. 前記横架材固定部と前記構造枠組の間に横架され接合される、桁枠状に形成された横架枠部材、
    該横架枠部材の上に載設されたバルコニー床部材、
    及び、前記横架枠部材の外縁部に立設された手すり
    を備えるバルコニー状梁部を更に具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐力構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014208952A (ja) * 2013-03-29 2014-11-06 大和ハウス工業株式会社 耐力補強方法

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