以下では、本発明の実施の形態に係る建物ユニットについて、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ(工程)、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略同じ又は略正方形などの「略」を伴った表現を用いる場合がある。例えば、略同じは、完全に同じであることを意味するだけでなく、実質的に同じである、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を用いた表現についても同様である。
[実施の形態]
[建物ユニット]
実施の形態に係る建物ユニット1の概要について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る建物ユニット1の外観を模式的に示す斜視図である。建物ユニット1は、建物の一部を構成する。建物ユニット1を用いて建物を建設する際、建設場所に設置された建物ユニット1をコアとして、建物ユニット1の周囲に、玄関、居室等のその他の構造物が構築される。例えば、建物ユニット1を基に、建物の柱、梁、外壁、内壁、天井等が、構築される。このような建物ユニット1は、建物を建設する際のコアとなるコアユニットとも呼ばれる。本実施の形態では、建物ユニット1が適用される建物は、木造住宅であるが、一部のみが木造である非木造住宅でもよく、店舗、工場又は倉庫等の木造若しくは木造以外の非住宅でもよい。建物は、本実施の形態では、二階建てであるが、三階建て以上であってもよく、さらに、地階を有してもよく、地階を有する場合には一階建てであってもよい。
本実施の形態に係る建物ユニット1は、住宅に必要な水廻り設備の多く及び電気設備等を集約して含むコアユニットである。水廻り設備の多くを建物ユニット1に集約することは、小型の住宅においても広い居住空間の確保を可能にする。
本実施の形態では、建物ユニット1は、略直方体状の外形を有する。建物ユニット1の少なくとも1つの側面が建物の外壁を構成してもよい。建物では、1つ以上の建物ユニット1が、互いに上下に積み上げられて配置される。複数の建物ユニット1は、例えば二階建て以上の住宅の一部を構成する。この場合、複数の建物ユニット1は、互いに上下に積み上げられて連結され、複数階の各々を構成し得る。本実施の形態では、複数の建物ユニット1は、二階建て住宅の一部を構成する第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20である。第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の各々は、木造軸組工法によって形成されている。具体的には、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の各々は、複数の柱、梁などの横架材、面材等によって形成される枠組みを備える。
第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20はそれぞれ、複数階のうちの1つの階を構成し、第二建物ユニット20は、第一建物ユニット10の直上階を構成する。本実施の形態では、第一建物ユニット10は、建物の一階を構成し、第二建物ユニット20は、建物の二階を構成する。第一建物ユニット10は、基礎40上に配置され、基礎40に固定される。例えば、基礎40は、建物の基礎と一体化され、建物の基礎と共に施工される。基礎40は、例えば、鉄筋コンクリート製の布基礎又はべた基礎であってよく、基礎40に埋め込まれ且つ基礎40の上面から上方に向かって突出するアンカーボルト(図示せず)を有している。アンカーボルトは、第一建物ユニット10の柱部分の底部に設けられた柱脚金具に締結され、それにより、第一建物ユニット10を基礎40に固定する。
複数の建物ユニット1は、工場等の建物の建設場所以外の場所で予め組み立てられる。つまり、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20は、工場等で各種設備が予め組み込まれた工業化ユニットである。建物ユニット1の工場生産化は、高品質且つ高機能な建物ユニット1の製造を可能にし、さらに、建設場所での工期の短縮を可能にする。
工場で組み立てられた、つまり工場生産された第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20はそれぞれ、トラックなどの運搬車両によって建設場所に運搬される。運搬された第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20は、建設場所で積み重ねて設置され、互いに連結及び固定される。
上述のような第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20はいずれも、略直方体状の外形と同等の大きさとを有している。第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の各々は、例えば、トラック等の運搬車両の荷台に載せたときに道路交通法の高さ制限を超えないような高さに設計され得る。第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の各々のサイズは、一例として、平面サイズが約3745mm×1925mmであり、高さが約2700mmである。
[第一建物ユニット及び第二建物ユニットの構成]
第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の具体的な構成を説明する。図1を参照すると、建物の一階を構成する第一建物ユニット10と建物の二階を構成する第二建物ユニット20とはそれぞれ、例えば、木造軸組工法による軸組構造体としての建築構造体を備える。建築構造体は、梁、土台などの横架材及び柱等の建材からなる軸組と、大引き等の建材からなる床組とを備える。横架材は、第一建物ユニット10の土台等を構成し、第二建物ユニット20の梁等を構成する。建築構造体は、工場等の建設場所以外の場所で予め組み立てられる。
図1及び図2を参照すると、第一建物ユニット10の建築構造体は、矩形枠状の土台11、土台11上に建てられる複数の柱12、柱12間にわたって架け渡される内側面材13及び外側面材14、柱12間に配置される複数の間柱15、土台11に架け渡される図示しない複数の大引き、大引き上に敷設される図示しない床面材、並びに、柱12の上部に設置される図示しない天井パネル等によって形成される。なお、図2は、図1の第一建物ユニット10を水平方向に切断する断面を下方に向かう方向IIで見た断面図であり、第一建物ユニット10の内部の模式的な平面図を示す図でもある。柱12及び間柱15は、上下方向に延在し、土台11及び大引きは、略水平方向に延在する。
柱12の底部には、柱12と土台11と大引きとを互いに連結する柱脚金具が取り付けられる。なお、本実施の形態では、第一建物ユニット10は、天井側の梁、具体的には、胴差し及び二階床梁を備えない。そして、第一建物ユニット10の上に第二建物ユニット20を設置したときには、第一建物ユニット10の複数の柱12の上部には、第二建物ユニット20の床側に配置された胴差し及び二階床梁を構成する床側横架材21aが、第一建物ユニット10の天井側の梁等を兼ねて、接続される。本実施の形態では、土台11、柱12、内側面材13、外側面材14、間柱15及び図示しない大引き等の建材は、木材である。さらに、内側面材13及び外側面材14は、合板等の板材で構成される。
柱12、内側面材13、外側面材14及び間柱15は、第一建物ユニット10の壁17を形成する。内側面材13及び外側面材14は、壁17の内側壁面及び外側壁面を形成する。壁17の内側に配置される内側面材13上には、石膏ボード等の図示しない壁材が、設置され得る。さらに、壁材上に、壁紙が貼り付けられ得る。外側面材14は、壁17の外側に配置される。柱12、内側面材13、外側面材14及び間柱15は、土台11に個別に組み付けられてもよく、土台11への組み付けの前に図3に示すような壁パネル19として組み立てられてもよい。そして、壁パネル19が、土台11上に建て込まれることによって、壁17を形成してもよい。図3は、図2の第一建物ユニット10の壁17を構成する壁パネルの一例を示す斜視図である。
図3に示すように、壁パネル19は、略平行に配置された複数の柱12と、柱12間で柱12に略平行に配置された複数の間柱15と、複数の柱12の上部及び複数の間柱15の上部を繋ぐ上部枠材16aと、複数の柱12の下部及び複数の間柱15の下部を繋ぐ下部枠材16bと、内側面材13と、壁材18とを含む。内側面材13は、互いに組み付けられた柱12、間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bが形成する壁パネル19の骨組みによって形成される2つの壁面の一方に、配置される。壁材18は、石膏ボード等であり、内側面材13の表面に張り付けられる。壁パネル19の骨組みによって形成される2つの壁面の他方は、壁パネル19の土台11への設置後、外側面材14によって覆われる。また、柱12の下端面には、軸方向に延在する係合孔12aが、形成される。
図4に示すように、壁17の柱12単体及び壁パネル19のいずれであっても、これらは、柱12の下端面の係合孔12aそれぞれに、土台11の上面から突出する複数の棒状の連結金具11aを挿入させつつ、土台11上に建て込まれる。図4は、図3の壁パネル19が土台11に設置される状態を示す斜視図である。連結金具11a及び係合孔12aの係合により、柱12及び壁パネル19は、土台11に対して位置決めされると共に固定される。よって、壁17の構築が簡易且つ迅速になる。なお、連結金具11aは、土台11に単独で設けられてもよく、土台11に配置される柱脚金具11bの一部として設けられてもよい。
また、壁17には、耐力壁17aと非耐力壁17bとが含まれる。耐力壁17aは、地震、風等による水平荷重に抵抗する能力を有する壁である。耐力壁17aは、建物に構造的に固定され、例えば、建物の構造材に固定される。耐力壁17aは、建物の構造的な役割を担う要素である。非耐力壁17bは、建物の構造的な役割を担わない要素である。非耐力壁17bは、建物に構造的に固定されていない。本実施の形態では、第一建物ユニット10の土台11及び柱12、並びに、第二建物ユニット20の床側横架材21a、柱22及び後述する天井側横架材21bが、耐力壁17aが固定される建物の構造材である。例えば、少なくとも1つの耐力壁17aが、第一建物ユニット10の長手方向に沿って延在し且つ互いに対向する長手側部10a及び10cのそれぞれに配置され、少なくとも1つの耐力壁17aが、第一建物ユニット10の短手方向に沿って延在し且つ互いに対向する短手側部10b及び10dのそれぞれに配置される。非耐力壁17bは、耐力壁17aの間に位置する。
図1及び図5を参照すると、第二建物ユニット20の建築構造体は、床側横架材21a、複数の柱22、柱22間にわたって架け渡される内側面材23及び外側面材24、柱22間に配置される複数の間柱25、柱22の上部に配置される天井側横架材21b、床側横架材21a上に設置される図示しない床材、柱22の上部に設置される図示しない天井パネル等によって形成される。床材は、第一建物ユニット10と同様に、床面材等から構成されてもよい。なお、図5は、図1の第二建物ユニット20を水平方向に切断する断面を下方に向かう方向Vで見た断面図であり、第二建物ユニット20の内部の模式的な平面図を示す図でもある。柱22及び間柱25は、上下方向に延在し、床側横架材21a及び天井側横架材21bは、略水平方向に延在する。床側横架材21aは、胴差し及び二階床梁等によって構成され、天井側横架材21bは、二階天井梁等によって構成される。
床側横架材21aは、複数の柱22の下部を互いに繋ぎ、天井側横架材21bは、複数の柱22の上部を互いに繋ぐ。本実施の形態では、柱22は、床側横架材21aの上に配置され、天井側横架材21bは、柱22の上端に配置される。なお、床側横架材21a及び天井側横架材21bは、柱22の側部に配置されてもよい。
本実施の形態では、床側横架材21a、柱22、内側面材23、外側面材24、間柱25及び天井側横架材21b等の建材は、木材である。さらに、内側面材23及び外側面材24は、合板等の板材で構成される。
柱22、内側面材23、外側面材24及び間柱25は、第二建物ユニット20の壁27を形成する。内側面材23及び外側面材24は、壁27の内側壁面及び外側壁面を形成する。壁27の内側の内側面材23上には、石膏ボード等の図示しない壁材が、設置され、さらに、壁材上に、壁紙が貼り付けられ得る。外側面材24は、壁27の外側に配置される。壁27には、耐力壁27aと非耐力壁27bとが含まれる。本実施の形態では、第二建物ユニット20の床側横架材21a、天井側横架材21b及び柱22が、耐力壁17aが固定される建物の構造材である。
柱22、内側面材23、外側面材24及び間柱25は、床側横架材21aに個別に組み付けられてもよく、床側横架材21aへの組み付けの前に、第一建物ユニット10の壁パネル19と同様の壁パネルとして組み立てられ、床側横架材21a上に建て込まれてもよい。壁27の柱22単体及び壁パネルのいずれであっても、これらは、柱22の下端面に形成された係合孔それぞれに、床側横架材21aの上面から突出する複数の連結金具を挿入させつつ、床側横架材21a上に建て込まれる。
[設備]
図1、図2及び図5を参照すると、本実施の形態では、建物ユニット1は、設備を備える。設備は、具体的には、住宅設備であり、例えば、水廻り設備、電気設備、空調換気設備、内装等を含んでいる。各設備は、建物に配置される複数の建物ユニット1の少なくとも1つに、建設場所以外で予め設置されている。
水廻り設備は、例えば、バス(浴室)、トイレ、洗面台及びキッチンの少なくとも1つを含む。水廻り設備は、さらに、給湯器(給湯システム)を含んでもよく、天井裏、床下又は壁内に形成されたパイプスペースに設置される排水管、給水管及び給湯管などの配管等を含んでもよい。
本実施の形態では、第一建物ユニット10の内部に、トイレ31と洗面台32とが設置されている。さらに、第一建物ユニット10の内部には、設備機器の配置が可能なスペース33が設けられている。スペース33には電源コンセントが配置されており、スペース33は、例えば、食品を貯蔵する冷蔵庫等が設置されるパントリとして利用可能である。第二建物ユニット20の内部に、トイレ31と洗面台32とユニットバス34とが設置されている。また、図示しないが、各種配管が、第一建物ユニット10と第二建物ユニット20との間のスペースなどに配置されている。
電気設備は、例えば、分電盤、インターホン、情報盤、各種設備機器を操作するための操作盤、創蓄連携機器(創蓄連携システム)、及び照明等の設備機器を含んでもよい。電気設備は、さらに、スイッチ、コンセント、並びに情報配線及び電気配線等の配線設備を含んでもよい。分電盤、インターホン、情報盤、操作盤、創蓄連携機器、スイッチ、コンセント等は、屋内に配置され得る。各種配線は、天井裏、床下又は壁内に配置され得る。
空調換気設備は、例えば、室内に設置されるエアコンなどの空調室内機、天井裏などに設置される熱交換器、換気扇等を含み得る。空調換気設備は、さらに、パイプスペースに設置されるダクトなどの各種配管を含んでもよい。
内装は、建物ユニット1内の床、壁、天井などに施された仕上げ材、建具、収納具等を含み得る。
なお、上述の各設備の数量及び配置等は、一例に過ぎず、特に限定されない。例えば、本実施の形態では、第一建物ユニット10と第二建物ユニット20との両方が水廻り設備を備える構成が例示されているが、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の一方のみが水廻り設備を備えてもよい。
[耐力壁]
次に、実施の形態に係る建物ユニット1の耐力壁の構成を説明する。図2及び図5を参照すると、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20において、耐力壁17a及び27aは、壁17及び27に部分的に配置される。各耐力壁17a及び27aは、隣り合う2つの柱12間の壁を形成する。耐力壁17a及び27aの位置は、建物並びに第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の構造計算によって決められる。
図6及び図7を参照して、第一建物ユニット10の耐力壁17aの構成を説明する。図6は、工場での製造完了後の第一建物ユニット10の外観を示す斜視図である。図7は、図2の第一建物ユニット10の耐力壁17aのVII−VII線に沿った断面側面図である。耐力壁17aは、非耐力壁17bと同様の部材で形成されている。耐力壁17aは、例えば、図3の壁パネル19に対して内側面材13と反対側の壁面を外側面材14で覆った構成を有しており、土台11に設置される。
本実施の形態では、耐力壁17aは、壁パネル19を用いて形成される。具体的には、壁パネル19が、柱12の係合孔12aに土台11の連結金具11aを挿入しつつ、土台11上に建てられる。さらに、連結金具11aが柱12と接合され柱12に固定される。また、耐力壁17aに該当する部分では、壁パネル19の下部枠材16bが、釘80を用いて土台11に留め付け固定される。これにより、釘80を用いて下部枠材16bに留め付け固定されている内側面材13及び間柱15が、下部枠材16bを介して土台11に固定される。また、内側面材13及び下部枠材16bは、柱12にも、釘を用いて留め付け固定されている。なお、図7に示すように、壁パネル19と土台11との間に、床面材101が介在する場合、床面材101は部分的に介在する。なお、床面材101は、合板等の板材で構成され、床面材101上には化粧用等の床材102が敷設されてもよい。そして、壁パネル19と土台11との間隙内の床面材101の縁よりも外側には、この間隙を埋める間詰材103が挿入される。間詰材103は、木材である。釘80は、下部枠材16b及び間詰材103を通って及び土台11に打ち込まれ、下部枠材16b及び間詰材103を土台11に固定するが、床面材101を土台11に固定しない。これにより、床面材101は、壁パネル19と固定されず、相対的に移動可能である。
その後、壁パネル19の外側から、壁パネル19に外側面材14が張り付けられる。この際、外側面材14の内側に、断熱パネル18aが配設されてもよい。耐力壁17aに該当する部分では、外側面材14は、高さ方向で、土台11の中央付近から壁パネル19の上部枠材16aの下方つまり柱12の上端よりも下方の位置にまでにわたって、設置される。上部枠材16aと外側面材14の上端との間には、人の手での上部枠材16aの釘打ちを可能にする間隙Gがあけられている。間隙Gは、壁17内で柱12の上部に形成され、壁パネル19つまり内側面材13の外側に向かって開口している。外側面材14は、土台11、柱12、間柱15及び下部枠材16bに、釘80を用いて留め付け固定される。これにより、外側面材14は、下部枠材16b等を介して土台11に固定される。工場等の建設場所以外での第一建物ユニット10の耐力壁17aの構築は、耐力壁17aの外側上部に間隙Gが形成されている状態で完了する。耐力壁17aの内側の内側面材13上に壁材18が張り付けられてもよい。後述するように上部枠材16aの上に載置される床側横架材21aにも、壁材18が、内側面材13上の壁材18に連続するように張り付けられてもよい。これにより、2つの壁材18は、火災時に、上部枠材16aと床側横架材21aとの間の隙間を介した延焼を抑える。また、壁17の内側の上部に、天井パネル104が設置されてもよい。
なお、耐力壁17aは、上述の各構成部材を用いて土台11上に直接組み立てられてもよい。
図6の第一建物ユニット10の短手側部10bのように、外側面材14の全てが、柱12の上端よりも下方に位置する上端を有し、その上方に短手側部10bの水平方向の幅の略全体にわたる間隙Gを形成してもよい。例えば、第一建物ユニット10の1つの側部の外側面材14の全ての上部が、一直線状に切り欠かれていてもよい。また、第一建物ユニット10の長手側部10aのように、外側面材14の一部が、柱12の上端よりも下方に位置する上端を有し、その上方に長手側部10aの水平方向の幅の一部にわたる間隙Gを形成してもよい。例えば、第一建物ユニット10の1つの側部の水平方向の端部近傍で、外側面材14の上部が、L字状に切り欠かれてもよく、水平方向の中間部分で、外側面材14の上部が、U字状に切り欠かれてもよい。また、間隙Gの開口部Gaは、図6に示すように柱12の上端にまで至っていてもよく、柱12の上端に至らなくてもよい。開口部Gaが柱12の上端に至らない場合、開口部Gaの上方に外側面材14が存在する。つまり、外側面材14は、その上部全体が切り欠かれるのではなく、外側面材14の上端よりも下方の一部分が切り欠かれる。この場合、外側面材14の上端は、柱12の上端と同等の高さであってもよい。
第一建物ユニット10の長手側部10a及び10c並びに短手側部10b及び10dは、1枚の外側面材14で形成されてもよく、複数枚の外側面材14で形成されてもよい。例えば、上述のように、外側面材14の上部が、L字状又はU字状に切り欠かれた形状を形成する場合、L字状又はU字状の形状は、水平方向の幅全体にわたって柱12の上端よりも下方に位置する上端を有する外側面材14と、幅全体にわたって柱12の上端に位置する上端を有する外側面材14とによって、形成されてもよい。又は、L字状又はU字状の形状は、柱12の上端よりも下方に位置する上端及び柱12の上端に位置する上端を有し且つL字状に切り欠かれた1枚の外側面材14によって、形成されてもよく、L字状に切り欠かれた外側面材14と、幅全体にわたって柱12の上端よりも下方に位置する上端を有する外側面材14とによって、形成されてもよい。また、間隙Gの開口部Gaが柱12の上端に至らない場合、開口部Gaは、1枚の外側面材14によって形成されてもよく、複数の外側面材14によって形成されてもよい。
間隙Gの閉塞は、建物の建設場所で実施される。第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20は、工場等での製造完了後、建設場所にまで運搬される。建設場所の所定の箇所に、具体的には、基礎40の上に、第一建物ユニット10が設置され、設置後の第一建物ユニット10の上に、第二建物ユニット20が設置される。この際、図7に示すように、第一建物ユニット10の柱12及び上部枠材16aの上に、第二建物ユニット20の床側横架材21aが載る。床側横架材21aと柱12とが、図示しない連結金具によって接合される。
第二建物ユニット20と第一建物ユニット10との接続及び互いの固定完了後、第一建物ユニットの壁17の上部枠材16aが、釘80を用いて床側横架材21aに留め付け固定される。上部枠材16aへのアクセスは、間隙Gを介して可能であるため、上部枠材16aの留め付け作業は、容易である。次いで、外側面材14と同様の材料からなる外側閉塞面材14a(図7において破線で表示)が間隙Gに被せられ固定される。これにより、外側閉塞面材14aが間隙Gを閉塞する。本実施の形態では、第二建物ユニット20の壁27の外側の外側面材24は、その下端を床側横架材21aの中央付近に位置させて、床側横架材21aから上方に延在している。間隙Gを埋める外側閉塞面材14aは、外側面材14の上端から外側面材24の下端にわたって延在する。外側閉塞面材14aは、釘80を用いて、第一建物ユニット10の柱12、間柱15及び上部枠材16a並びに第二建物ユニット20の床側横架材21aに留め付け固定される。これにより、釘80を用いて上部枠材16aに留め付け固定されている内側面材13及び間柱15が、上部枠材16aを介して床側横架材21aに固定される。
よって、柱12の間で耐力壁17aを形成する間柱15、上部枠材16a、下部枠材16b、内側面材13、外側面材14及び外側閉塞面材14aは、建物の構造材を構成する柱12、土台11及び床側横架材21aに固定される。さらに、外側面材14及び外側閉塞面材14aは、壁パネル19の耐力壁17aに該当する部分全体を覆う。従って、耐力壁17aは、耐力壁の機能を有することができる。
また、第二建物ユニット20の耐力壁27aの組み立ては、第一建物ユニット10の耐力壁17aと同様に実施される。耐力壁27aは、建物の水平方向の構造材を構成する床側横架材21a及び天井側横架材21bに、上下方向で固定され、建物の鉛直方向の構造材を構成する柱22に、側方で固定される。例えば、第二建物ユニット20の上に建物ユニット1が積み重ねられる場合、天井側横架材21bが、積み重ねられる建物ユニット1に含まれる。第二建物ユニット20の上に建物ユニット1が積み重ねられない場合でも、車両運搬時の高さ制限を満たすために、第二建物ユニット20は、天井側横架材21bが取り外された状態で運搬される。よって、第二建物ユニット20も、工場等の建設場所以外の場所で、図6に示される第一建物ユニット10と同様の外観を有し、耐力壁27aの上部に間隙Gを有する。
[非耐力壁]
次に、実施の形態に係る建物ユニット1の非耐力壁の構成を説明する。図2及び図5を参照すると、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20において、非耐力壁17b及び27bは、壁17及び27に部分的に配置される、つまり、耐力壁17a及び27aの間に形成される。
図8を参照して、第一建物ユニット10の非耐力壁17bの構成を説明する。図8は、図2の第一建物ユニット10の非耐力壁17bのVIII−VIII線に沿った断面側面図である。非耐力壁17bは、例えば、図3の壁パネル19に対して内側面材13と反対側の壁面を外側面材14で覆った構成を有しており、土台11に設置される。
本実施の形態では、非耐力壁17bは、壁パネル19を用いて形成される。具体的には、柱12と土台11の連結金具11aとを係合させつつ土台11上に建てられた壁パネル19において、非耐力壁17bに該当する部分では、壁パネル19の下部枠材16bが、釘を用いて土台11に留め付け固定されない。これにより、釘を用いて下部枠材16bに留め付け固定されている内側面材13及び間柱15は、土台11に固定されない。また、内側面材13及び下部枠材16bは、柱12に、釘を用いて留め付け固定されている。なお、図8に示すように、壁パネル19と土台11との間に、床面材101が介在する場合、床面材101は部分的に介在する。床面材101上に、化粧用等の床材102が敷設されてもよい。この場合、壁パネル19と土台11との間隙内の床面材101の縁よりも外側には、間詰材103が挿入される。壁パネル19の下部枠材16bは、床面材101及び間詰材103にも、釘を用いて留め付け固定されない。
その後、壁パネル19の外側から、壁パネル19に外側面材14が張り付けられる。この際、外側面材14の内側に、断熱パネル18aが配設されてもよい。非耐力壁17bに該当する部分では、外側面材14は、高さ方向で、土台11の中央付近から上部枠材16aの中央付近までにわたって、設置される。よって、外側面材14は、上部枠材16aよりも突出しない。これにより、上部枠材16aの一部、間柱15の上端の一部、及び柱12の上端の一部が、外側面材14に覆われずに、露出する。
外側面材14は、土台11、柱12、間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bに、釘を用いて留め付け固定される。これにより、内側面材13、外側面材14、間柱15及び下部枠材16bは、土台11に固定されない。なお、非耐力壁17bの内側の内側面材13上に壁材18が張り付けられてもよい。また、壁17の内側の上部に、天井パネル104が設置されてもよい。
非耐力壁17bは、上述の各構成部材を用いて土台11上に直接組み立てられてもよい。
上部枠材16a等の露出部分への面材の設置は、建物の建設場所で実施される。つまり、建設場所において第一建物ユニット10の上に第二建物ユニット20を設置した後に、上記面材の設置が実施される。
第二建物ユニット20と第一建物ユニット10との接続及び互いの固定完了後、第二建物ユニット20の壁27の外側の外側面材24は、その下端を床側横架材21aの中央付近に位置させて、床側横架材21aから上方に延在している。外側面材14と同様の材料からなる外側中間面材14b(図8において破線で表示)が、上部枠材16aの側方の露出部分から外側面材24の下端にわたって、上部枠材16a及び床側横架材21aに被せられる。これにより、外側中間面材14bは、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20にまたがって延在し、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の接合部分である床側横架材21aと上部枠材16a、間柱15及び柱12との境界に沿って延在してこの境界を覆う。
外側中間面材14bは、第一建物ユニット10の柱12、間柱15及び上部枠材16a並びに第二建物ユニット20の床側横架材21aに、釘を用いて留め付け固定される。これにより、内側面材13、外側面材14、間柱15及び上部枠材16aは、床側横架材21aに実質的に固定されない。
よって、柱12の間で非耐力壁17bを形成する間柱15、上部枠材16a、下部枠材16b、内側面材13及び外側面材14は、建物の構造材を構成する土台11及び床側横架材21aに固定されない。従って、非耐力壁17bは、建物の構造的要素として効果的に機能するものでない。
また、外側面材14の上端は、上部枠材16aの上面よりも下方に位置するため、第一建物ユニット10の高さの増加を抑える。さらに、第一建物ユニット10上に第二建物ユニット20を載せる際に、外側面材14が第二建物ユニット20の床側横架材21aと接触して破損することが抑えられる。
また、外側面材14と外側中間面材14bとの上下方向の境界が上部枠材16a上に位置し、外側中間面材14bと外側面材24との上下方向の境界が床側横架材21a上に位置する。つまり、外側面材14、外側中間面材14b及び外側面材24間の境界が、上部枠材16a及び床側横架材21aの境界、並びに、壁17及び27内の空間と連通していない。よって、外側面材14、外側中間面材14b及び外側面材24間の隙間から侵入する水が、壁17及び27内の空間、並びに、上部枠材16a及び床側横架材21aの間等の内側の部材間に侵入することが、抑えられる。
また、第二建物ユニット20の非耐力壁27bの組み立ては、第一建物ユニット10の非耐力壁17bと同様に実施される。非耐力壁27bは、建物の水平方向の構造材を構成する床側横架材21a及び天井側横架材21bに固定されない。例えば、第二建物ユニット20の上に建物ユニット1が積み重ねられる場合、天井側横架材21bが、積み重ねられる建物ユニット1に含まれる。第二建物ユニット20の上に建物ユニット1が積み重ねられない場合でも、車両運搬時の高さ制限を満たすために、第二建物ユニット20は、天井側横架材21bが取り外された状態で運搬される。建物ユニット1間の面材の設置は、天井側横架材21bの設置完了後、実施される。
上述した例示では、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20のうちの下側に位置する第一建物ユニット10の非耐力壁17bにおいて、外側面材14の上端が上部枠材16aの上面よりも下方に位置するように構成されていたが、これに限定されない。第二建物ユニット20の非耐力壁27bにおいて、外側面材24の下端が下部枠材の下面よりも上方に位置するように構成されてもよい。この場合も、外側中間面材14bが、非耐力壁17bの外側面材14の上端と非耐力壁27bの外側面材24の下端との間に配置される。
また、上述の非耐力壁17bに採用した外側中間面材14bを用いた構造は、耐力壁17a及び27aに適用してもよい。
[建物ユニットの吊り部材]
上述したように建物ユニット1では、壁の上端が、構造材を構成するような強度を有する水平材によって繋がれていない。このため、建物ユニット1は、下部に取り付けられる吊り部材を介して、吊り上げられる。図9〜図14を参照して、建物ユニット1の吊り部材50の構成を説明する。
図9及び図10を参照すると、第一建物ユニット10に取り付けられた吊り部材50が示されている。4つの吊り部材50が、第一建物ユニット10に配置されている。具体的には、第一建物ユニット10の2つの長手側部10a及び10cにそれぞれ、2つの吊り部材50が配置されている。図9は、図6の第一建物ユニット10に吊り部材50が取り付けられた状態を示す斜視図である。図10は、図9の第一建物ユニット10の長手方向の中央付近を通る鉛直断面を方向Xから見た断面側面図である。
各吊り部材50は、第一建物ユニット10の土台11と、長手側部10a及び10cの壁17の上端に取り付けられた補強部材60とに係合している。各補強部材60は、長手側部10a又は10cに沿って略水平方向に延在する帯状の部材である。各補強部材60は、直線状の木材で構成されており、釘等の接合金具によって、壁17内の柱12に留め付け固定されている。上述のような補強部材60は、長手側部10a及び10cの壁17の上部分の撓み等の変形に対する剛性を向上する。なお、補強部材60は、短手側部10b及び10dの壁17の上端にも取り付けられてもよい。壁17の周囲を囲む補強部材60は、壁17が形成する矩形枠状の断面の剛性を大きく向上する。
各吊り部材50は、土台11に係合する係合部材51と、補強部材60に取り付けられ且つワイヤ等のスリングが掛けられる吊り金具53と、係合部材51及び吊り金具53を連結する軸部材52とを含む。さらに、吊り部材50は、吊り金具53の下方で軸部材52を上下方向にスライド可能に補強部材60に留め付ける拘束部材54を含む。
図10及び図11を参照すると、係合部材51は、鉄、鋼等の強度及び剛性を有する金属材料から作製されている。係合部材51は、矩形状の平板をL字状に折り曲げて形成される形状の外形を有した本体部51aを備える。図11は、図10の吊り部材50の下部分を拡大して示す斜視図である。本体部51aは、土台11の下面に掛けられる平板状の掛部51aaと、軸部材52と接続される平板状の接続部51abとを含む。掛部51aa及び接続部51abは、L字状の本体部51aの折り曲げ部分を挟んで位置する部分であり、互いに略垂直に延在する。
係合部材51は、本体部51aの接続部51abの表面上に、貫通孔を有する筒部51bを備える。筒部51bは、本体部51aの掛部51aaが土台11の下面に掛けられたときに直立する接続部51abの外側の表面上で、その貫通孔の軸方向を略鉛直方向にして、接続部51abに固定され、具体的には一体化されている。なお、接続部51abの外側の表面とは、L字状形状の外角側の表面であり、土台11と反対側の表面である。接続部51abには、図示しない留め孔が、接続部51abを貫通して形成されている。留め孔を通るビス等の接合金具51cが、接続部51abを土台11に固定する。このとき、掛部51aaが土台11の下面に当接している。
また、係合部材51の接続部51abと土台11との間には、スペーサ部材51dが配置されてもよい。スペーサ部材51dは、接続部51abと土台11とを離して配置し、係合部材51の折れ曲がり部分及び接続部51abが、土台11を損傷することを抑える。さらに、スペーサ部材51dは、土台11における接続部51abと対向する部分が平坦でない場合、一方の面で土台11上の凹凸に嵌り、一方の面と対向する他方の面に接続部51abが当接可能な平坦面を提供する。
軸部材52は、鉄、鋼等の引張強度及び曲げ強度を有する金属材料から作製されている。軸部材52は、長尺な棒状の部材であり、軸部材52の外周面には、雄ねじが形成されている。軸部材52の下端部分は、係合部材51の筒部51bの貫通孔に通され、筒部51bの軸方向の両端に配置された2つの締結部材52aが、軸部材52に螺合して設けられている。2つの締結部材52aは、互いに向かって締め付けられることによって、筒部51bを締め付け、それにより、軸部材52を筒部51bに固定する。
図10及び図12を参照すると、拘束部材54は、U字状の断面形状を有する溝状部材である。拘束部材54は、直線状の溝54aを有し、溝54aの開放側を補強部材60に向けて補強部材60に取り付けられる。拘束部材54は、例えば、木材で作製されており、釘等の接合金具によって、補強部材60に留め付け固定される。拘束部材54は、溝54aの軸方向を略鉛直方向にして補強部材60に配置される。これにより、拘束部材54の溝54aは、補強部材60と共に略鉛直方向に延びる孔を形成する。
係合部材51から上方に延びる軸部材52の上部分は、拘束部材54の溝54aを通って上方に突出し、吊り金具53の雌ねじ孔に螺合して吊り金具53と接続される。
よって、吊り金具53は、軸部材52を介して係合部材51と接続される。これにより、吊り金具53に作用する引上力は、軸部材52を介して係合部材51に伝達し、掛部51aaを介して土台11に下方から持ち上げる力を作用する。
図13に示すように、4つの吊り部材50の吊り金具53にスリング70が掛けられ、第一建物ユニット10が吊り上げられる場合、各吊り金具53には、鉛直方向の力だけでなく水平方向の力が、作用する。具体的には、4つの吊り金具53の内側への水平方向の力が、各吊り金具53及び各軸部材52に作用する。なお、図13は、図9の第一建物ユニット10が吊り上げられる状態を示す斜視図である。
しかしながら、各拘束部材54が、各軸部材52を水平方向に拘束し、各軸部材52及び各吊り金具53の水平方向への移動が抑えられるため、各係合部材51には、略鉛直な方向の引き上げ力が作用する。これにより、各係合部材51が水平方向に位置ずれすることが、抑えられる。よって、各吊り部材50は、各係合部材51と土台11との安定した接触面を維持する係合で、各吊り金具53及び各軸部材52の位置ずれを抑えつつ、安定した第一建物ユニット10の吊り上げを可能にする。
また、各吊り部材50は、各係合部材51を第一建物ユニット10の下部の構造材であり且つ高い強度を有する土台11に係合させて、第一建物ユニット10を吊り上げる。これにより、吊り上げに時における第一建物ユニット10の変形の発生が抑えられる。さらに、各吊り部材50の係合部材51及び拘束部材54は、第一建物ユニット10の柱12の近傍に配置されるのが、望ましい。これにより、各吊り部材50が、第一建物ユニット10の構造材であり強度を有する柱12又はその近傍に沿って延在するため、吊り上げに時における第一建物ユニット10の変形の発生が抑えられる。
また、図14に示すように、第一建物ユニット10が据え付けられる基礎40上には、板状の緩衝材41が敷設される。緩衝材41は、例えば、樹脂製のパッキンである。緩衝材41は、第一建物ユニット10の土台11及び大引き等と基礎40との間に配置され、互いの間に伝達する振動、衝撃等を緩和する。図14は、図9の第一建物ユニット10が設置される基礎40を示す斜視図である。
敷設された緩衝材41において、土台11における吊り部材50の係合部材51が配置される位置に対応する箇所には、緩衝材41が配置されておらず、緩衝材41の間に凹部41aが形成されている。これにより、吊り部材50を介して吊られた第一建物ユニット10が緩衝材41に置かれたとき、土台11よりも下方に突出する係合部材51が、第一建物ユニット10と基礎40との間に挟まれることが抑えられる。これにより、土台11からの係合部材51の除去が容易になる。そして、各係合部材51の除去後、凹部41a内に、緩衝材41が挿入され得る。
なお、基礎40の上面から突出するアンカーボルト40aは、第一建物ユニット10の土台11の孔又は柱脚金具11bの孔に挿入され、土台11又は柱脚金具11bに固定される。これにより、基礎40に対する第一建物ユニット10の位置決めが容易になる。
また、図15を参照すると、吊り部材50の係合部材51が、第二建物ユニット20に適用される場合、床側横架材21aに掛けられる。床側横架材21aの下部には、係合部材51の本体部51aの掛部51aaを挿入可能な形状及び寸法を有する扁平な直方体状の凹部21aaが形成されている。凹部21aaは、凹部21aaに挿入された掛部51aaの上下方向の厚さよりも大きい上下方向の深さを有している。このため、凹部21aaに挿入され且つ床側横架材21aに係合する掛部51aaは、床側横架材21aよりも下方に突出しない。よって、第二建物ユニット20が第一建物ユニット10の上に積み重ねられたとき、係合部材51の掛部51aaが第二建物ユニット20と第一建物ユニット10との間に挟まれることが抑えられる。従って、床側横架材21aからの係合部材51の除去が容易になる。
また、第二建物ユニット20においても、各吊り部材50は、各係合部材51を下部の構造材であり且つ高い強度を有する床側横架材21aに係合させて、第二建物ユニット20を吊り上げる。さらに、各吊り部材50の係合部材51及び拘束部材54は、第二建物ユニット20の柱22の近傍に配置されるのが、望ましい。これらにより、吊り上げに時における第二建物ユニット20の変形の発生が抑えられる。
[耐力壁の変形例]
また、実施の形態に係る建物ユニット1の耐力壁には、以下に説明する変形例が挙げられる。図16を参照すると、変形例に係る耐力壁217aは、第一建物ユニット10が工場等の建設場所以外の場所で製造される時点で、上部枠材16aと外側面材14との間に、釘打ちを可能にするような間隙Gを形成しない点で、実施の形態に係る耐力壁17aと異なる。具体的には、耐力壁217aでは、外側面材14は、土台11から壁17の上部枠材16a又はその近傍にまでに至る高さを有している。以下では、変形例に係る耐力壁217aにおいて、実施の形態に係る耐力壁17aと異なる点を中心に説明する。なお、図16は、実施の形態に係る建物ユニット1の耐力壁17aの変形例を図7と同様に示す断面側面図である。
第一建物ユニット10の製造時、内側面材13は、上部枠材16a及び下部枠材16bに、釘80を用いて留め付け固定されている。下部枠材16bは、土台11に、釘80を用いて留め付け固定されている。外側面材14は、図16において破線で示されるように、土台11から上部枠材16aにわたって延在するように配置され、釘を用いて土台11及び上部枠材16aに仮留めされている、つまり仮固定されている。又は、柱12、間柱15若しくは下部枠材16bに、外側面材14が仮留めされてもよい。このとき、外側面材14は、上部枠材16a及び下部枠材16bの間の空間を閉じる。そして、外側面材14は、上部枠材16aよりも上方に突出しない。なお、外側面材14は、上部枠材16aとの間に隙間を有して配置されてもよい。
内側面材13及び外側面材14は、本設の壁部材として留め付けられる場合、大凡決められたピッチで、釘止めされる。一方、内側面材13及び外側面材14は、仮留めされる場合、例えば、4隅のみ等の上記ピッチから大幅に間引かれたピッチで、釘止めされる。さらに、釘は、本設の壁部材に対しては、釘の頭が埋まるまで打ち込まれるが、仮留めの場合、打ち込み後も釘の頭を突出させてよい。
上述のように耐力壁217aの外側の外側面材14が仮留めされた状態で第一建物ユニット10の製造が完了し、製造完了後の第一建物ユニット10が建設場所に運搬され設置される。これにより、本設置されていない外側面材14が第一建物ユニット10と共に運搬される。
第一建物ユニット10の上への第二建物ユニット20の積み重ね完了後、仮留めされている外側面材14が一旦取り外される。その後、第一建物ユニットの壁17の上部枠材16aが、釘80を用いて床側横架材21aに留め付け固定される。上部枠材16aの留め付け完了後、外側面材14が、図16において実線で示されるように、土台11から床側横架材21aにわたって延在するように、配置される。さらに、外側面材14は、本設の壁部材として、釘80を用いて、第一建物ユニット10の柱12、間柱15、上部枠材16a、下部枠材16b、土台11、及び第二建物ユニット20の床側横架材21aに留め付け固定される、つまり本固定される。
よって、柱12の間で耐力壁217aを形成する間柱15、上部枠材16a、下部枠材16b、内側面材13及び外側面材14は、建物の構造材を構成する柱12、土台11及び床側横架材21aに固定される。さらに、外側面材14は、壁パネル19の耐力壁217aに該当する部分全体を覆う。従って、耐力壁217aは、耐力壁としての機能を有することができる。
[効果など]
以上のように、実施の形態に係る建物ユニット1は、建物の建設場所以外で予め組み立てられ、且つ建物の一部を構成する。建物ユニット1は、下側横架材としての土台11と、土台11から上方に延びる複数の柱12と、複数の柱12間に形成される壁17とを備える。壁17は、内側壁面を形成する内パネルとしての内側面材13、間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bと、外側壁面を形成する外パネルとしての外側面材14とを有する。少なくとも一部の外側面材14は、この少なくとも一部の外側面材14の上部且つ内側面材13の外側の壁17の内部に、壁17の外側に向かって開口し且つ柱12の上部に配置される上側横架材としての床側横架材21aに上部枠材16aを固定する作業を可能にする上部空間である間隙Gを形成する。
例えば、少なくとも一部の外側面材14は、柱12の上端よりも下方に位置する上端を有し、少なくとも一部の外側面材14の上端の上方に間隙Gを形成し得る。
また、例えば、内パネルは、芯材としての間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bと、間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bの内側に配置され且つ内側壁面を形成する内側面材13とを含み得る。外パネルとしての外側面材14は、間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bの外側に配置される。上部枠材16aが、床側横架材21aに固定される。
また、別の態様としての実施の形態に係る建物ユニット1の製造方法は、建物の建設場所以外で予め組み立てられ、且つ建物の一部を構成する建物ユニット1の製造方法である。この方法は、建物の建設場所以外で、建物ユニット1の壁17の内壁部としての内側面材13、間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bを組み立て、下部枠材16bを建物ユニット1の下側構造材としての土台11に固定する工程と、建物の建設場所以外で、建物ユニット1の壁17の外壁部としての外側面材14を部分的に組み立て、壁17の上部に側方外側へ開口する間隙Gを形成する工程と、建物の建設場所で、壁17の上に上側構造材としての床側横架材21aを配置する工程と、建物の建設場所で、床側横架材21aに上部枠材16aを固定し、それにより壁17を耐力壁として形成する工程と、建物の建設場所で、間隙Gの開口部Gaを、外壁部としての外側閉塞面材14aで閉じる工程とを含む。
上述の構成及び方法において、壁17に耐力壁を形成する場合、上部枠材16aを床側横架材21aに釘等を用いて固定する必要がある。間隙Gがあるため、設置済みの外側面材14に除去等の変化を加えることなく、上記固定のための作業が可能になる。これにより、壁17の内側面材13に壁材としての石膏ボード、壁紙等が施工済みであっても、これらへ与える固定作業による影響が低く抑えられる。さらに、内側面材13に石膏ボード、壁紙等が施工済みであると、内側面材13側から、つまり建物ユニット1の内側からの上記固定作業は困難である。よって、建物ユニット1の上部での別の要素との連結を円滑に実施することが可能になる。
実施の形態に係る建物ユニット1では、内パネルとしての間柱15及び下部枠材16b等は、少なくとも一部の外側面材14が間隙Gを形成している状態で、土台11に固定されている。上述の構成において、壁17に耐力壁を形成する場合、上部枠材16aの床側横架材21aへの固定を除く必要な作業を建物ユニット1の組み立ての際に実施しておくことによって、例えば建物の建設場所において、建物ユニット1の上部での迅速な連結作業が可能になる。
実施の形態に係る建物ユニット1では、壁17は、第一外パネルとしての外側面材14と、間隙Gを外側から閉塞する第二外パネルとしての外側閉塞面材14aとを有する。外側面材14及び外側閉塞面材14aは、土台11から柱12の上部に配置された床側横架材21aにわたって、内側面材13、間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bを覆う。上述の構成において、土台11から床側横架材21aにわたって壁17全体を覆う外側面材14及び外側閉塞面材14aは、構造材である土台11、柱12及び床側横架材21aに固定されることによって、耐力壁として機能することができる。
実施の形態に係る建物ユニット1では、内側面材13、間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bが構成する内パネル及び外側面材14が構成する外パネルは、柱12に固定される。上述の構成において、内パネル及び外パネルが、床側横架材21a及び土台11に加えて柱12に固定されることによって、壁17は耐力壁を形成する。
別の態様としての実施の形態に係る建物ユニット1は、建物の建設場所以外で予め組み立てられ、且つ積み重ねられた状態で建物の一部を構成する。建物ユニット1は、第一建物ユニット10と、第一建物ユニット10の上に積み重ねられる第二建物ユニット20と、第一建物ユニット10の上に積み重ねられた第二建物ユニット20と第一建物ユニット10との接合部に沿って、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20にまたがって延在する中間板材としての外側中間面材14bとを備える。
上述の構成において、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の接合部に存在し得る隙間が、外側中間面材14bによって覆われるため、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の気密性が向上する。これにより、上記隙間を塞ぐための作業が不要になるため、第一建物ユニット10の上部での別の要素との連結を円滑に実施することが可能になる。さらに、第一建物ユニット10における外側中間面材14bが設置される部位には、外側面材14が取り付けられない。このため、外側面材14の上端は、第一建物ユニット10の上端よりも下方に位置するため、第二建物ユニット20の設置時に外側面材14が受け得る損傷が低減する。
実施の形態に係る建物ユニット1において、第二建物ユニット20と第一建物ユニット10との接合部では、第一建物ユニット10の壁17の外側壁部材としての外側面材14の上端と、第二建物ユニット20の壁27の外側壁部材としての外側面材24の下端とが、上下方向に間隙をあけて位置する。上記間隙は、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の接合部に沿って延在し、中間板材としての外側中間面材14bは、上記間隙に配置される。上述の構成において、間隙を埋めるように外側中間面材14bを設置することによって、第一建物ユニット10及び第二建物ユニット20の接合部を被覆することと、これらの外側壁面を連続する滑らかな面にすることとが達成され得る。
実施の形態に係る建物ユニット1において、第二建物ユニット20の壁27の外側壁部材としての外側面材24の下端が、第二建物ユニット20の底部に配置される床側横架材21a上に位置する。上述の構成において、外側面材24の下端と外側中間面材14bとの境界が、床側横架材21a上に位置する。よって、この境界に存在し得る隙間が、建物ユニット1の内部に連通することが抑えられる。従って、建物ユニット1の気密性が向上する。
実施の形態に係る建物ユニット1において、第二建物ユニット20の外側壁部材としての外側面材24の下端と中間板材としての外側中間面材14bとの境界は、第二建物ユニット20の外側面材24及び外側中間面材14bに内側で隣接する部材間の境界とずれて位置する。さらに、外側中間面材14bと第一建物ユニット10の外側壁部材としての外側面材14の上端と境界は、外側中間面材14b及び第一建物ユニット10の外側面材14に内側で隣接する部材間の境界とずれて位置する。上述の構成において、外側面材14、外側中間面材14b及び外側面材24間の境界に存在し得る隙間が、建物ユニット1の内部に連通することが抑えられる。
別の態様としての実施の形態に係る建物ユニット1は、建物の建設場所以外で予め組み立てられ、且つ建物の一部を構成する。建物ユニット1は、下側横架材としての土台11と、土台11から上方に延びる複数の柱12と、複数の柱12間に形成される壁17とを備える。壁17は、内側壁面を形成する内パネルとしての内側面材13、間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bと、外側壁面を形成する外パネルとしての外側面材14とを有する。外側面材14は、着脱自在に仮固定されている。例えば、壁17は、土台11及び上側横架材としての床側横架材21aに固定されるように構成される。
上述の構成において、壁17に耐力壁を形成する場合、上部枠材16aを床側横架材21aに固定する際に、外側面材14が取り外され、上記固定後に、外側面材14は、本設置され本固定される。これにより、固定作業が容易になる。また、仮固定されていた外側面材14は、取り外しが容易であり、取り外し時に内側面材13に施工された石膏ボード、壁紙等に与える影響も少ない。よって、建物ユニット1の上部での別の要素との連結を円滑に実施することが可能になる。
実施の形態に係る建物ユニット1において、仮固定されている外側面材14は、柱12の上部に配置される床側横架材21aの高さ位置よりも低く位置する。上述の構成において、仮固定されている外側面材14が、第一建物ユニット10への床側横架材21aの連結作業に与える影響が、抑えられる。さらに、建物の建設場所以外で組み立てられた建物ユニット1は、建設場所へトラックなどの運搬車両によって運搬されるが、この際、運搬車両上の建物ユニット1は、道路交通法の高さ制限を満たす必要がある。床側横架材21aの高さ位置よりも低い位置で仮固定されている外側面材14は、建物ユニット1の高さを低く抑え、道路交通法の高さ制限に対応することを可能にする。そして、建設場所では、外側面材14は、例えば、床側横架材21aと重なるような床側横架材21aの高さ位置よりも高く配置されて、土台11及び床側横架材21aに本固定され、耐力壁を形成することができる。
実施の形態に係る建物ユニット1において、本固定された外側面材14は、柱12の上部に設置された床側横架材21aから土台11にわたって延在する。上述の構成において、外側面材14は、仮固定が解除され本固定つまり本設置される場合、新たな面材が加えられることなく、壁17全体を覆うように構成することができる。
別の態様としての実施の形態に係る建物ユニット1の製造方法は、建物の建設場所以外で予め組み立てられ、且つ建物の一部を構成する建物ユニット1の製造方法である。この方法は、建物の建設場所以外で、建物ユニット1の壁17の内壁部としての内側面材13、間柱15、上部枠材16a及び下部枠材16bを組み立てる工程と、建物の建設場所以外で、建物ユニット1の壁17の外壁部としての外側面材14を組み立て仮固定する工程と、建物の建設場所で、壁17の上に構造材としての床側横架材21aを配置する工程と、建物の建設場所で、仮固定されている外側面材14を取り外し、床側横架材21aと重なるように上方に移動して本固定する工程と含む。
また、仮固定されている外側面材14を取り外した際、上部枠材16aを床側横架材21aに固定する。
上述の方法において、外側面材14は、本固定つまり本設置される場合の所定の高さ位置よりも低い位置に仮固定される。これにより、組み立て完了後から建設場所に到着するまでの間の建物ユニット1の高さを低く抑えることができる。また、建設場所での建物ユニット1の設置後、壁17に耐力壁を形成する作業が、外側面材14の仮固定を解除した際に容易に実施可能である。
別の態様での実施の形態に係る建物ユニット1の施工方法は、建物の建設場所以外で予め組み立てられる建物ユニット1を、吊り部材50を用いて吊る方法である。この建物ユニット1の施工方法では、吊り部材50が下部に有する係合部としての係合部材51を建物ユニット1の下部の横架材としての土台11又は床側横架材21aに係合させ、吊り部材50が上部に有する吊り金具53を吊り上げる。
上述の方法において、吊り部材50は、建物ユニット1の下部の土台11又は床側横架材21aに係合して建物ユニット1を吊り上げる。建物ユニット1には、下部から吊り上げ力が作用するため、建物ユニット1を変形させるような建物ユニット1への負荷が低く抑えられる。よって、建物ユニット1の内部で内装等が施工済みであっても、これらが受ける影響を低減することができる。よって、建設場所での建物ユニット1の設置、積み重ねの円滑な実施が可能になる。
実施の形態に係る建物ユニット1の施工方法において、吊り部材50が有し且つ係合部材51及び吊り金具53と接続されたフレーム部としての軸部材52を、建物ユニット1の下部から上部にわたって上下方向に延在させ、且つ、建物ユニット1の上部に上下方向にスライド可能に固定する。上述の方法において、軸部材52の上下方向に延在する姿勢が保持される。これにより、吊り上げに伴い軸部材52に張力が作用した場合、軸部材52の上部が側方に移動することが制限される。例えば、軸部材52の上部が側方にずれるように移動すると、建物ユニット1と干渉し損傷させる可能性がある。また、係合部材51から建物ユニット1に作用する力の方向を上下方向に制御することが可能になる。これにより、建物ユニット1の安定した吊り上げが可能になる。
実施の形態に係る建物ユニット1の施工方法において、建物ユニット1における軸部材52が固定される部位に、補強部材60を取り付ける。上述の方法において、吊り上げに伴い軸部材52に張力が作用した場合、軸部材52の上部が、建物ユニット1を押圧する可能性がある。補強部材60は、建物ユニット1の押圧力による建物ユニット1の変形を抑制する。
実施の形態に係る建物ユニット1の施工方法において、係合部材51を、土台11又は床側横架材21aの下部に係合させ、且つ、土台11又は床側横架材21aの側部に固定する。上述の方法において、係合部材51が、土台11又は床側横架材21aに対して移動することが抑制される。係合部材51と土台11又は床側横架材21aとの安定した係合が達成される。
実施の形態に係る建物ユニット1の施工方法において、他の建物ユニット1の上に積み重ねられる建物ユニット1の床側横架材21aの下部に、係合部材51が嵌り込む凹部21aaを形成する。上述の方法において、建物ユニット1が平坦な設置面上に設置される場合でも、設置後の係合部材51が、建物ユニット1と設置面との間で挟まれることが抑えられ、係合部材51の除去が容易になる。
実施の形態に係る建物ユニット1の施工方法において、基礎40上に設置される建物ユニット1の土台11の下部に、係合部材51を掛け、基礎40上に、係合部材51に対応する領域をあけて緩衝材41を敷設し、基礎40上に建物ユニット1を設置し係合部材51を取り除いた後、上記領域に緩衝材41を設置する。上述の方法において、建物ユニット1の設置後、係合部材51が、建物ユニット1と緩衝材41との間で挟まれることが抑えられ、その除去が容易になる。
別の態様での実施の形態に係る建物ユニット1の吊り部材50は、建物の建設場所以外で予め組み立てられる建物ユニット1を吊るための吊り部材である。上記吊り部材50は、建物ユニット1の下部の土台11又は床側横架材21aに係合する係合部材51と、係合部材51よりも上方に位置する吊り金具53と、係合部材51と吊り金具53とを連結するフレーム部材としての軸部材52と、建物ユニット1の上部に取り付けられ且つ軸部材52の上部を水平方向に拘束する拘束部材54とを備える。上述の構成においても、吊り上げに伴い軸部材52に張力が作用した場合、軸部材52と建物ユニット1と干渉が抑えられ、係合部材51から建物ユニット1に作用する力の方向を上下方向に制御することが可能になる。
実施の形態に係る建物ユニット1の吊り部材50では、吊り金具53と軸部材52とは、ねじ結合を介して着脱可能に連結され、軸部材52と係合部材51とは、ねじ結合を介して着脱可能に連結される。上述の構成において、建物ユニット1への吊り部材50の取り付け及び除去が容易になる。
実施の形態に係る建物ユニット1の吊り部材50では、係合部材51は、土台11又は床側横架材21aに下方から掛けられる掛部51aaと、土台11又は床側横架材21aの側部に留め付けられる固定部としての接続部51abとを有する。上述の構成において、係合部材51と土台11又は床側横架材21aとの安定した係合が可能になり、建物ユニット1の安定した吊り上げが可能になる。
[その他]
以上、本発明について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
実施の形態では、2つの建物ユニット1が備えられる例について示したが、建物ユニット1は1つのみ又は3つ以上であってもよい。
実施の形態では、2つの建物ユニット1が建物の1階と2階とをそれぞれ構成する例について示したが、これに限定されない。建物ユニット1は、3階以上の上層階を構成してもよく、地下1階等の地階を構成してもよい。
実施の形態では、1つ以上の建物ユニット1が木造軸組工法によって形成される例について示したが、これに限定されない。例えば、2×4工法などの木造枠組壁工法、又は、鉄骨造等の他の工法が、建物ユニット1に用いられてもよい。よって、建物ユニット1の柱材は、木材に限らず、鉄骨材でもよい。また、建物ユニット1の柱材は、建物ユニット1の枠の一部でもよい。
実施の形態では、建物ユニット1の側面には、外壁の施工がなされなかったが、これに限定されるものでない。建物ユニット1の側面が建物の外壁になる場合、板壁、塗壁又は張壁などの外壁の施工がなされてもよい。外壁の施工は、工場で予め行われてもよく、建設場所で行われてもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。