以下では、本発明の実施の形態に係る建物ユニット及びその設置方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略同じ又は略正方形などの表現を用いている。例えば、略同じは、完全に同じであることを意味するだけでなく、実質的に同じである、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。他の「略」を用いた表現についても同様である。
(実施の形態)
[建物ユニット]
まず、本実施の形態に係る建物ユニット1の概要について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る建物ユニット1を屋外側の面から見たときの斜視図である。
建物ユニット1は、建物の一部を構成する。建物ユニット1は、建物を建築する際のコアとなるコアユニットである。建物ユニット1の周囲に、玄関、居室などが建築現場で建設される。建物は、例えば住宅であるが、店舗、工場又は倉庫などの非住宅でもよい。建物は、例えば、2階建て以上であるが、1階建て(平屋)でもよく、あるいは、地下室を有してもよい。
本実施の形態に係る建物ユニット1は、住宅に必要な水廻り設備の大半を集約させた水廻りコアユニットである。水廻り設備の大半を建物ユニット1に集約させることで、小さな住宅であっても広い居住空間を確保することができる。
本実施の形態では、建物ユニット1の形状は、略直方体状であり、少なくとも1つの側面が建物の外壁になる。具体的には、建物ユニット1の凹部2が設けられた側面が建物の外壁になる。なお、凹部2は、空調の室外機、貯湯タンク及びヒートポンプを含む給湯器(給湯システム)、並びに、蓄電装置などが配置されるスペースとして利用することができる。
建物ユニット1は、基礎3に連結固定される。基礎3は、例えば、コンクリート及び鉄筋などから形成された布基礎であり、上面から上方に向かってアンカーボルト(図示せず)が突出している。アンカーボルトを柱脚金具100に締結することで、建物ユニット1が固定される。
図1に示すように、建物ユニット1は、1以上のユニット10を備える。本実施の形態では、建物ユニット1は、例えば2階建て以上の住宅の一部を構成する住宅ユニットであり、複数階の各々の階を構成するユニット10を複数個積み上げて形成されている。建物ユニット1は、第1ユニット11と、第2ユニット12とを含む2つのユニット10を備える。
第1ユニット11は、複数階のうちの一の階を構成するユニットである。本実施の形態では、第1ユニット11は、建物の1階を構成する。第2ユニット12は、第1ユニット11の直上階を構成するユニットである。本実施の形態では、第2ユニット12は、建物の2階を構成する。
1以上のユニット10の各々は、工場などの建築現場以外で予め組み立てられる。つまり、第1ユニット11及び第2ユニット12の各々は、工場などで各種設備が予め組み込まれた工業化ユニットである。工場生産により、高品質かつ高機能のユニットを製造することができ、また、建築現場での建築工期を短縮することができる。
工場で組み立てられた(生産された)第1ユニット11及び第2ユニット12はそれぞれ、トラックなどの運搬車両によって建築現場に運搬される。運搬された第1ユニット11及び第2ユニット12は、建築現場で積み重ねられて、互いに連結固定される。なお、トラックの高さ制限の許容範囲内である場合など運搬が可能であれば、第1ユニット11と第2ユニット12とを工場などで連結固定した後に建築現場に運搬してもよい。
第1ユニット11及び第2ユニット12は、互いに略同じ大きさである。第1ユニット11及び第2ユニット12の各々は、例えば、トラックなどの運搬車両の荷台に載せたときに道路交通法の高さ制限を超えないような高さに設計されている。第1ユニット11及び第2ユニット12の各々のサイズは、一例として、平面サイズが4655mm×1925mmであり、高さが2700mmである。
第1ユニット11及び第2ユニット12の各々は、木造軸組工法によって形成されている。具体的には、第1ユニット11及び第2ユニット12の各々は、複数の柱と、横架材と、面材と、ユニットの下部に設けられた、当該ユニットを吊るすための吊具が係止可能な係止構造とを備える。各ユニットの詳細な構成については、後で説明する。
[設備]
本実施の形態では、建物ユニット1は、設備を備える。設備は、具体的には、住宅設備であり、例えば、水廻り設備、電気設備、空調設備などを含んでいる。各設備は、建物ユニット1を構成する1以上のユニット10の少なくとも1つに、建築現場以外で予め設置されている。
水廻り設備は、例えば、バス(浴室)、トイレ、洗面台及びキッチンの少なくとも1つを含む。水廻り設備は、さらに、給湯器(給湯システム)、並びに、天井裏、床下又は壁内に形成されたパイプスペースに設置される配水管(排水管、給水管及び給湯管)などを含んでもよい。
図2は、本実施の形態に係る建物ユニット1の縦断面図である。図3は、本実施の形態に係る建物ユニット1の1階を構成する第1ユニット11の平断面図である。図4は、本実施の形態に係る建物ユニット1の2階を構成する第2ユニット12の平断面図である。なお、図2〜図4は、建物ユニット1に設けられた水廻り設備の一例を説明するための模式的な図であり、図1と比較して必ずしも一致しない点がある。
本実施の形態では、図2及び図3に示すように、第1ユニット11の内部に、トイレ21と、2つの洗面台22とが設置されている。また、図2及び図4に示すように、第2ユニット12の内部に、トイレ21と、洗面台22と、ユニットバス23とが設置されている。また、図示しないが、各種配水管が第1ユニット11と第2ユニット12との間のスペースなどに設けられている。
電気設備は、例えば、分電盤、情報盤、各種設備機器を操作するための操作盤、創蓄連携機器(創蓄連携システム)、及び、照明などの設備機器を含んでいる。電気設備は、さらに、スイッチ、コンセント及び配線(情報配線、電気配線)などの配線設備を含んでもよい。分電盤、情報盤、操作盤、創蓄連携機器、スイッチ、コンセントなどは、屋内に配置される。各種配線は、天井裏、床下又は壁内に配置される。
空調設備は、例えば、室内に設置されるエアコンなどの空調室内機、天井裏などに設置される熱交換器などを含んでいる。空調設備は、さらに、パイプスペースに設置されるダクトなどの各種配管を含んでもよい。
なお、図2〜図4に示した各設備の個数及び配置などは、一例に過ぎず、特に限定されない。例えば、本実施の形態では、第1ユニット11と第2ユニット12との両方が水廻り設備を備える例について示したが、第1ユニット11のみ(又は第2ユニット12のみ)が水廻り設備を備えてもよい。
[第1ユニット]
以下では、建物ユニット1を構成する1以上のユニット10の詳細について説明する。
まず、建物ユニット1の1階を構成する第1ユニット11について、図1〜図3を適宜参照しながら図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る建物ユニット1の1階を構成する第1ユニット11の軸組みを示す斜視図である。
第1ユニット11は、例えば、木造軸組工法による建築構造体(軸組構造体)を備える。建築構造体は、柱及び横架材(例えば、土台)などの建材からなる軸組と、根太などの建材からなる床組とを備える。建築構造体は、工場などの建築現場以外で予め組み建てられている。
第1ユニット11は、図5に示すように、複数の柱31と、土台32と、面材33と、枠材34と、野縁35と、柱脚金具100とを備える。第1ユニット11は、さらに、図1〜図3及び図5に示すように、筋違36と、間柱37と、壁下地材38と、床下地材39とを備える。
なお、本実施の形態では、第1ユニット11は、例えば17本の柱31を備えるが、図5(図1など他の図も同様)においては、全ての柱31に参照符号を付している訳ではなく、参照符号を付していない柱も存在する。土台32及び柱脚金具100などのその他の構成要素についても同様である。
第1ユニット11は、天井側の梁(具体的には、胴差し又は二階梁)を備えない。図1及び図2に示すように、第1ユニット11の複数の柱31の上部には、第2ユニット12の床側の梁(具体的には、横架材42)が、第1ユニット11の天井側の梁として接続される。
複数の柱31は、第1ユニット11の垂直材であり、建物の管柱として機能する。複数の柱31の各々は、例えば、木材から形成され、具体的には、断面が略正方形の角材から形成される。
図6Aは、本実施の形態に係る柱31の下部を示す斜視図である。図6Aに示すように、複数の柱31の各々は、下部側の木口にホゾ穴31aが設けられている。ホゾ穴31aに柱脚金具100のホゾ部140(図8A参照)が挿入されることで、柱31の下部には柱脚金具100が固定される。
木口に設けられたホゾ穴31aは、例えば、柱31の長手方向(Z軸方向)に沿って凹んだ円柱状の穴であり、ホゾ部140の長さ以上の深さを有する。ホゾ穴31aには、ピン、ボルトなどの固定具を挿入するための貫通孔31bが設けられている。本実施の形態では、柱31の短手方向(X軸方向又はY軸方向)に沿って柱31を貫通する複数の貫通孔31bが設けられている。複数の貫通孔31bの各々は、断面が円形の貫通孔であり、ホゾ穴31aと交差している。複数の貫通孔31bの貫通方向及びその形状などは、特に限定されない。
土台32は、第1ユニット11の横架材の一例であり、建物の土台として機能する。図1に示すように、土台32は、基礎3に載置される。土台32は、例えば、複数の木材から形成され、具体的には、断面が略正方形の複数の角材から形成される。
土台32は、複数の柱31の下部に固定されている。具体的には、土台32は、柱脚金具100に接続されることで、複数の柱31と固定されている。
図6Bは、本実施の形態に係る土台32の端部を示す斜視図である。図6Bに示すように、土台32を形成する複数の木材の各々の木口にホゾ穴32aが設けられている。ホゾ穴32aに柱脚金具100の土台接続部150(図8A参照)が挿入されることで、土台32と柱脚金具100とが固定される。これにより、図5に示すように、複数の柱脚金具100と複数の柱31と土台32とが一体化している。
木口に設けられたホゾ穴32aは、例えば、木材の長手方向に沿って設けられたスリット状の穴であり、土台接続部150の長さ以上の深さ(スリット長さ)を有する。ホゾ穴32aには、ピン、ボルトなどの固定具を挿入するための貫通孔32bが設けられている。複数の貫通孔32bの各々は、断面が円形の貫通孔であり、ホゾ穴32aと交差している。複数の貫通孔32bの貫通方向及びその形状などは、特に限定されない。
面材33は、複数の柱31の上部に架け渡されている。面材33は、例えば、天井下地材である。面材33としては、例えば、構造用合板、ボード又はパネルなどの板材を用いることができる。
図7A及び図7Bはそれぞれ、本実施の形態に係る面材33の下面図及び断面図である。具体的には、図7Bは、図7AのVIIB−VIIB線における断面を示している。
本実施の形態では、面材33は、略矩形の板材である。面材33は、一例として、厚さ9mmの板材である。
図7Aに示すように、複数の面材33が複数の柱31の間に架け渡されて、枠材34及び野縁35に接続されている。面材33は、各辺に沿って枠材34及び野縁35に接続されている。本実施の形態では、面材33は、例えば、隣り合う2辺に沿って枠材34及び野縁35に接続されている。
図7Bに示すように、面材33は、例えば釘33aなどの固着具によって枠材34及び野縁35に固定されている。図7Aに示すように、面材33は、複数の釘33aによって枠材34及び野縁35に固定されている。複数の釘33aは、所定の間隔(例えば、等間隔)に設けられている。これにより、面材33の主面に水平な面内における四方からの力を受けることができるので、第1ユニット11の上部に梁又は桁を設けなくても、第1ユニット11の上部の強度を高めることができる。なお、面材33は、柱31の上部に直接固定されてもよい。
枠材34は、複数の柱31の側面に接続され、複数の柱31の上部に架け渡されている。本実施の形態では、枠材34は、図5に示すように、略矩形の環状かつ格子状に設けられている。
枠材34は、例えば、木材から形成され、具体的には、断面が略正方形の角材から形成される。枠材34は、例えば、金折などの補強金具及び釘などの固着具などによって複数の柱31の側面に固定されている。
野縁35は、枠材34に接続されている。図5及び図7Bに示すように、野縁35の下面に面材33が接続されている。
野縁35は、例えば、木材から形成され、具体的には、断面が略正方形の角材から形成される。野縁35は、例えば、金折などの補強金具及び釘などの固着具などによって枠材34の側面に固定されている。
筋違36は、隣り合う柱31の一方の下部と他方の上部との間に斜め(筋交い状)に設けられている。本実施の形態では、2つの筋違36が、隣り合う柱31の間に交差して設けられているが、これに限らない。1つの筋違36のみが、隣り合う柱31の間に斜めに設けられてもよい。筋違36は、例えば、断面が略矩形の板材から形成され、補強金具及び固着具によって柱31及び土台32などに固定される。なお、筋違36は、柱31又は土台32にホゾ接ぎされてもよい。
間柱37は、隣り合う柱31の間に設けられた垂直材の一例であり、壁下地材38が固定されている。間柱37は、例えば、断面が略矩形の板材から形成され、補強金具及び固着具によって土台32などに固定される。なお、間柱37は、土台32にホゾ接ぎされてもよい。
壁下地材38は、隣り合う柱31の間に設けられた内壁下地材である。壁下地材38としては、例えば、構造用合板、ボード又はパネルなどの板材を用いることができる。
床下地材39は、土台32上に設けられている。例えば、第1ユニット11は、根太、大引、火打ち土台などの床組に必要な部材を備えていてもよい。例えば、床下地材39は、根太などに接続されている。床下地材39としては、例えば、構造用合板、ボード又はパネルなどの板材を用いることができる。
なお、第1ユニット11には、ドア、窓などが設けられていてもよい。
本実施の形態では、第1ユニット11が枠材34、野縁35、筋違36、間柱37、壁下地材38及び床下地材39の少なくとも1つを備えることで、第1ユニット11の強度が増すので、吊り上げ時における変形又は破損などを抑制することができる。
なお、第1ユニット11は少なくとも、複数の柱31、土台32、面材33及び柱脚金具100を備えていればよい。つまり、第1ユニット11は、枠材34、野縁35、筋違36、間柱37、壁下地材38及び床下地材39を備えていなくてもよい。例えば、第1ユニット11が建築現場で基礎3に固定された後に、枠材34、野縁35、筋違36、間柱37、壁下地材38及び床下地材39が取り付けられてもよい。
また、壁下地材38を取り付けた後に、クロス、タイルなどの内装材を施工してもよい。あるいは、床下地材39を取り付けた後に、フローリング、畳などの床材を施行してもよい。内装材及び床材の施工は、工場で予め行われてもよく、建築現場で行われてもよい。
また、第1ユニット11の側面が建物の外壁になる場合、壁下地材38に、板壁、塗壁又は張壁などの外壁を施工してもよい。外壁の施工も、工場で予め行われてもよく、建築現場で行われてもよい。
[柱脚金具]
柱脚金具100は、複数の柱31の各々に対応して設けられている。すなわち、第1ユニット11は、複数の柱31と同数の柱脚金具100を備える。柱脚金具100は、対応する柱31の下部と土台32とを接続して固定する。複数の柱脚金具100の少なくとも1つには、係止構造(具体的には、ロープ掛部160(図8A参照))が設けられている。
以下では、柱脚金具100の詳細について、図8A〜図8Cを用いて説明する。図8Aは、本実施の形態に係る柱脚金具100の斜視図である。図8Bは、本実施の形態に係る柱脚金具100の平面図である。図8Cは、本実施の形態に係る柱脚金具100と柱31及び土台32との接続を示す斜視図である。
図8A及び図8Bに示すように、柱脚金具100は、金具本体101と、複数のピン102とを備える。ピン102は、固定具の一例であり、柱脚金具100と柱31又は土台32とを連結固定するための部材である。柱脚金具100は、ピン102の代わりに、ボルト及びナットを備えてもよい。
金具本体101は、下板110と、上板120と、縦板130と、ホゾ部140と、土台接続部150と、ロープ掛部160とを備える。金具本体101は、鉄、又は、ステンレス鋼、炭素鋼などの合金などから形成される。具体的には、金具本体101は、下板110、上板120、縦板130、ホゾ部140、土台接続部150、ロープ掛部160などが互いに溶接されて形成される。
下板110は、基礎3に連結固定される板部である。図8Aに示すように、下板110には、貫通孔111が設けられている。基礎3に設けられたボルト(アンカーボルト)が貫通孔111に挿入され、ナットなどの締結具によって下板110と基礎3とが締結固定される。下板110の平面視形状は、例えば、略正方形であり、柱31の木口と略同じ大きさである。
上板120は、下板110に対向するように設けられた板部である。上板120の上面には、柱31のホゾ穴31aに挿入されるホゾ部140が設けられている。上板120の上面には柱31の木口が載置され、金具本体101が柱31及び面材33などの荷重を支える。上板120の平面視形状は、例えば、略正方形であり、柱31の木口と略同じ大きさである。
縦板130は、下板110に立設され、上板120を支持する支持部の一例である。縦板130の平面視形状は、例えば、略正方形であり、土台32の木口と略同じ大きさである。
本実施の形態では、金具本体101は、支持部として、下板110と上板120とを接続する3枚の縦板130を備える。3枚の縦板130は、下板110の3辺に沿って設けられている。具体的には、3枚の縦板130はそれぞれ、下板110の端部と上板120の端部とに溶接されている。図8A及び図8Bに示すように、下板110、上板120及び3枚の縦板130によって、一面が開放された略立方体が形成されている。
ホゾ部140は、上板120の上面に設けられている。具体的には、ホゾ部140は、側面に1以上の貫通孔が設けられた円柱部である。本実施の形態では、図8Aに示すように、ホゾ部140には、3つの貫通孔141a〜141cが設けられている。3つの貫通孔141a〜141cは、上下方向に並んで配置されている。真ん中の貫通孔141bの貫通方向は、上側の貫通孔141a及び下側の貫通孔141cの貫通方向と略直交している。図8Cに示すように、3つの貫通孔141a〜141cの各々には、柱31がホゾ部140に接続された状態で、ピン102が挿入される。
土台接続部150は、横架材に接続された接続部の一例であり、本実施の形態では、土台32に接続される。土台接続部150は、縦板130から側方に延設されている。具体的には、土台接続部150は、縦板130の外側の側面に立設された板部であり、貫通孔151が設けられている。本実施の形態では、2つの貫通孔151が設けられている。2つの貫通孔151の各々には、土台32が土台接続部150に接続された状態で、ピン102が挿入される。
ロープ掛部160は、第1ユニット11の下部に設けられた係止構造の一例である。ロープ掛部160は、下板110と上板120と3つの縦板130とによって囲まれた空間170内に設けられている。本実施の形態では、空間170の開放された一面が第1ユニット11の外側の面になるように、柱脚金具100は配置される。したがって、図1及び図5に示すように、第1ユニット11を外側から目視した際に、空間170の開放された一面を介してロープ掛部160が目視可能となる。言い換えると、ロープ掛部160には、外側から容易にロープを掛けることが可能になる。
本実施の形態では、ロープ掛部160は、空間170内に設けられて空間170の外方に突出していない。このため、第1ユニット11を設置後の現場施工の際に、ロープ掛部160が邪魔にならずに、作業性を高めることができる。また、ロープ掛部160が邪魔にならないので、建物の建物ユニット1以外の部分の設計の自由度を高めることもできる。
また、下板110に設けられた貫通孔111も同様に、空間170の開放された一面を介して目視可能となる。したがって、貫通孔111に挿入された、基礎3から突出したアンカーボルトを、ナットなどを用いて容易に締結することができる。つまり、本実施の形態に係る柱脚金具100は、柱31及び土台32に接続された後に、基礎3に連結固定可能な構造を有している。具体的には、柱31及び土台32に接続された後であっても、基礎3との連結に用いられる構造(貫通孔111)が外部に露出するように設けられている。
ロープ掛部160は、先端が下板110から離間するように、上板120から突出している。具体的には、ロープ掛部160は、上板120の下面から下板110に向けて、下端(すなわち、先端)が下板110から離間するように突出した柱状部である。本実施の形態では、ロープ掛部160の形状は、円柱であるが、角柱でもよい。
本実施の形態では、ロープ掛部160は、先端に設けられた拡径部161を有する。拡径部161は、例えば、円板状であるが、これに限定されない。拡径部161は、矩形板状でもよく、あるいは、先端の一部のみが鉤状に突出していてもよい。ロープ掛部160の先端に拡径部161が設けられていることで、引っ掛けたロープが外れにくくすることができる。
なお、図8A及び図8Bでは、3つの土台接続部150を備える柱脚金具100について説明したが、これに限らない。例えば、第1ユニット11のコーナー部分に用いられる柱脚金具は、土台接続部150を1つのみ又は2つのみ備えていてもよい。すなわち、柱脚金具が備える土台接続部150の個数及び配置は、当該柱脚金具が接続される土台32の本数及び配置に応じて決定される。
同様に、本実施の形態では、第1ユニット11が備える全ての柱31の各々に、ロープ掛部160を備える柱脚金具100を接続したが、これに限らない。言い換えると、第1ユニット11が備える全ての柱脚金具がロープ掛部160を備えなくてもよく、少なくとも1つの柱脚金具がロープ掛部160を備えてもよい。
[第2ユニット]
続いて、建物ユニット1の2階を構成する第2ユニット12について、図1、図2及び図4を用いて説明する。
第2ユニット12は、第1ユニット11と比較して、凹部2が設けられていない点が異なっているが、第2ユニット12にも凹部2が設けられていてもよい。なお、第1ユニット11に凹部2が設けられていなくてもよい。
第2ユニット12は、第1ユニット11と同様に、木造軸組工法による建築構造体(軸組構造体)を備える。第2ユニット12の建築構造体も、工場などの建築現場以外で予め組み立てられている。
第2ユニット12は、図1に示すように、複数の柱41と、横架材42と、面材43とを備える。また、図1、図2及び図4に示すように、第2ユニット12は、さらに、枠材44と、野縁45と、筋違46と、間柱47と、壁下地材48と、床下地材49とを備える。
第2ユニット12は、横架材42以外の各部材は、第1ユニット11が備える対応する部材と略同じである。具体的には、柱41、面材43、枠材44、野縁45、筋違46、間柱47、壁下地材48及び床下地材49はそれぞれ、第1ユニット11の柱31、面材33、枠材34、野縁35、筋違36、間柱37、壁下地材38及び床下地材39と略同じである。例えば、各部材の寸法、個数及び配置などは、第1ユニット11の各部材と異なっていてもよく、あるいは、同じでもよい。各部材の機能は、第1ユニット11の各部材と同じである。
例えば、本実施の形態では、第2ユニット12の柱41は、柱脚金具100ではなく、横架材42に直接接続されている。また、柱41は、第1ユニット11の柱31よりも短い。同様に、筋違46及び間柱47の寸法なども、第1ユニット11の筋違36及び間柱47の寸法と異なっている。
以下では、横架材42について説明する。
[横架材]
横架材42は、複数の柱41の下部に固定されている。横架材42は、土台32及び柱脚金具100の機能を果たす。
横架材42は、第1ユニット11上に第2ユニット12が積み上げられた場合に、第1ユニット11の複数の柱31の上部に接続される。具体的には、横架材42は、第1ユニット11の天井側の梁として接続される。例えば、ボルトとナット、又は、補強金具などを用いて第1ユニット11と第2ユニット12とが連結固定される。具体的には、横架材42又は複数の柱41と複数の柱31とが連結固定される。
横架材42は、第2ユニット12を吊るすための吊具が係止可能な係止構造を有する。具体的には、図9に示すように、横架材42は、係止構造として、側方に突出した突出部423を備える。
図9は、本実施の形態に係る第2ユニット12の横架材42の一部を示す斜視図である。図9に示すように、横架材42は、鉄骨部421と、2つの木部422と、突出部423を備える。
鉄骨部421は、H形鋼であり、ウェブ421aと、2つのフランジ421bとを備える。ウェブ421aには、開口部421cが設けられている。開口部421cは、水廻り設備、空調設備、電気設備などに接続された配水管、ダクト、電気配線などが挿通される貫通孔である。開口部421cの形状は、例えば、断面が円形の貫通孔であるが、特に限定されない。配水管、ダクト、電気配線などは、第1ユニット11及び第2ユニット12の間の空間(具体的には、横架材42によって形成される空間)などに配置される。このため、開口部421cを設けることで、配水管などを建物ユニット1の外部に容易に導くことができる。
木部422は、2つのフランジ421bの各々に固着されている。木部422は、フランジ421bと略同じ幅を有する。木部422は、例えば、集成材から形成された板材である。
突出部423は、鉄骨部421に設けられた金属製の板部である。本実施の形態では、建物ユニット1を基礎3に載置した後、現場施工によって、建物ユニット1をコアとして建物の残りの部分を建築する。このとき、突出部423は、建物の残りの部分の梁と第2ユニット12とを接続するのに利用される。具体的には、突出部423に設けられた貫通孔を介してボルト及びナットにより締結することで、突出部423に梁が接続固定される。
また、上述したように、突出部423は、係止構造として機能する。すなわち、突出部423は、第2ユニット12を釣り上げる際にロープを係止させる際にも利用される。具体的には、突出部423をロープの輪に通し、突出部423の下面をロープが持ち上げることにより、第2ユニット12を吊り上げることができる。このように、第2ユニット12は、柱脚金具100を備えないが、横架材42に設けられた突出部423を係止構造として利用することができる。
なお、横架材42は、図9に示す構造に限らず、土台32と同様に、鉄骨が用いられずに角材のみから形成されてもよい。また、開口部421cが貫通孔である例について示したが、開口部421cは、横架材42に設けられた切り欠きなどでもよい。
[建物ユニットの設置方法]
続いて、建物ユニット1の設置方法について説明する。本実施の形態では、建物ユニット1の設置方法は、第1ユニット11を基礎3へ載置する工程と、第2ユニット12を、載置された第1ユニット11上に載置する工程とを含んでいる。以下では、第1ユニット11を載置する工程を中心に説明し、第2ユニット12を載置する工程については、第1ユニット11の載置工程と異なる点を中心に説明する。
第1ユニット11を載置する工程は、建築現場以外でのユニットの組み立て工程と、ユニットの運搬工程と、ユニットの載置工程とを含んでいる。
[ユニットの組み立て]
以下では、まず、組み立て工程について、図10A〜図10Cを用いて説明する。
図10Aは、本実施の形態に係る第1ユニット11の組み立て工程における柱脚金具100と土台32との接続を説明するための図である。図10Bは、本実施の形態に係る第1ユニット11の組み立て工程における柱脚金具100と柱31との接続を説明するための図である。図10Cは、本実施の形態に係る第1ユニット11の組み立て工程における面材33の接続工程を含む仕上げ工程を説明するための図である。
まず、柱脚金具100の土台接続部150に土台32を接続する。具体的には、土台32の木口に設けられたスリット状のホゾ穴32aに、土台接続部150を挿入する。例えば、柱脚金具100を所定の位置に固定した状態で、図10Aの(a)に示すように、土台接続部150の上方からスリット状のホゾ穴32aを入れる。
その後、図10Aの(b)に示すように、土台32の貫通孔32b及び土台接続部150の貫通孔151にピン102を挿入することで、土台32と土台接続部150(柱脚金具100)とを固定する。複数の柱脚金具100の土台接続部150の各々に土台32を接続することで、図10Aの(c)に示すように、第1ユニット11の下部が完成する。このとき、必要に応じて床下地材39などを設けてもよい。
次に、柱脚金具100のホゾ部140に柱31を接続する。具体的には、柱31の木口に設けられたホゾ穴31aに、ホゾ部140を挿入する。例えば、柱脚金具100を所定の位置に固定した状態で、図10Bの(a)に示すように、ホゾ部140の上方から柱31のホゾ穴31aを入れる。その後、図10Bの(b)に示すように、柱31の貫通孔31b及びホゾ部140の貫通孔141a〜141cの各々にピン102を挿入することで、柱31とホゾ部140(柱脚金具100)とを固定する。以降、同様にして複数の柱31の各々を柱脚金具100に接続することで、図10Bの(c)に示すように、第1ユニット11の主な軸組みが完成する。
なお、柱脚金具100と土台32との接続、及び、柱脚金具100と柱31との接続は、いずれが先に行われてもよい。なお、土台32を先に柱脚金具100に接続することで、組み立て時の柱31の倒壊などを抑制し、安全性を高めることができる。
次に、図10Cの(a)に示すように、柱31の上部に面材33を架け渡す。具体的には、柱31の上部に枠材34と野縁35とを接続した後、野縁35に面材33を接続する。以降、筋違36、間柱37、壁下地材38及び床下地材39を取り付け、水廻り設備などの各種設備を取り付けることで、図10Cの(b)に示すように、第1ユニット11を組み立てることができる。このとき、図10Cには示していないが、例えば、第1ユニット11の上部には、ダクト、電気配線などが配置されていてもよい。
なお、設備の取り付け、及び、筋違36、間柱37、壁下地材38などの取り付けは、いずれが先に行われてもよい。例えば、筋違36などを取り付ける前に設備を取り付けることで、ユニット内部への設備の搬入などを容易に行うことができる。
工場などの建築現場で組み立てられた第1ユニット11は、トラックなどの荷台に載せられて建築現場へ運搬される。なお、第1ユニット11をトラックの荷台に載せる際には、基礎3への載置(詳細は後述する)と同様にクレーンなどで吊り上げてもよく、あるいは、ベルトコンベアなどで第1ユニット11をスライドさせて載せてもよい。
[吊具]
ここで、第1ユニット11の吊り上げに利用する吊具200について、図11及び図12を用いて説明する。
図11は、本実施の形態に係る第1ユニット11の吊り上げに用いる吊具200の斜視図である。図12は、本実施の形態に係る第1ユニット11の吊り上げに用いる吊金具210の三面図である。具体的には、図12の(a)は、吊金具210の平面図(上面図)、(b)は正面図、(c)は側面図(右側面図)を示している。
図11に示すように、吊具200は、吊金具210と、複数のロープ220(同図には1つのみを図示している)とを備える。
吊金具210は、金属製の矩形の枠体である。吊金具210は、例えば、鉄、又は、ステンレス鋼、炭素鋼などの金属の合金から形成される。本実施の形態では、図12に示すように、吊金具210は、枠部211と、複数の第1ロープ掛部212と、複数の第2ロープ掛部213とを備える。
枠部211は、吊金具210の本体であり、略矩形の枠状に形成されている。具体的には、枠部211は、略矩形の枠の内部に、H字状の補強部が架け渡されている。枠部211は、複数のH形鋼がボルト及びナットなどの締結具によって組み合わされて形成されている。枠部211は、平面視において、第1ユニット11と略同じ大きさである。
複数の第1ロープ掛部212は、枠部211の外周に沿って設けられている。複数の第1ロープ掛部212の各々は、切り欠き状の凹部212aが設けられた板であり、枠部211の側面に溶接又は締結具などによって固定されている。第1ロープ掛部212は、略矩形の枠の内部に架け渡された、H字状の補強部にも設けてもよい。
凹部212aは、第1ロープ掛部212の上端に設けられている。凹部212aにロープ220が掛けられることで、ロープ220の脱落などを抑制することができる。
複数の第2ロープ掛部213は、枠部211の上部に設けられている。複数の第2ロープ掛部213は、吊金具210をクレーンなどによって吊り上げる際に、クレーンのフックと吊金具210とを固定するために用いられる。具体的には、第2ロープ掛部213には、クレーンのフックに接続されたロープが掛けられる。
複数のロープ220は、図11に示すように、第1ロープ221と、第2ロープ222と、ターンバックル223とを備える。
第1ロープ221は、ステンレス鋼などの金属製のワイヤーロープである。第1ロープ221は、両端に輪221a及び221bが設けられている。第1ロープ221の輪221aが第1ロープ掛部212の凹部212aに掛けられて、輪221bには、ターンバックル223の一方の端部が接続される。
第2ロープ222は、ステンレス鋼などの金属製のワイヤーロープである。第2ロープ222は、両端に輪222a及び222bが設けられている。第2ロープ222の輪222aが第1ユニット11のロープ掛部160又は第2ユニット12の突出部423に掛けられて、輪222bには、ターンバックル223の他方の端部が接続される。
ターンバックル223は、長さ調整部の一例であり、ロープ220の全長を調整する。具体的には、ターンバックル223は、ロープ220の全長を調整することで、ロープ220にかかる張力を調整する。これにより、複数のロープ220の各々にかかる張力を調整することができるので、吊金具210と第1ユニット11とをバランス良く吊り上げることができる。
なお、複数のロープ220の各々は、1本のロープのみから構成されてもよい。例えば、第1ユニット11の高さに応じた長さのロープを用いることもできる。
[ユニットの載置]
続いて、上述した吊具200を用いて第1ユニット11を吊り上げて基礎3に載置する工程について、図13A〜図13Dを用いて説明する。
図13Aは、本実施の形態に係る建物ユニット1の設置方法における吊金具210にロープ220を掛ける様子を説明するための斜視図である。図13Bは、本実施の形態に係る建物ユニット1の設置方法におけるロープ220を柱脚金具100のロープ掛部160に掛ける様子を説明するための側面図である。図13Cは、本実施の形態に係る建物ユニット1の設置方法における第1ユニット11が吊り上げられている様子を説明するための斜視図である。図13Dは、本実施の形態に係る建物ユニット1の設置方法における第1ユニット11を基礎3に設置固定する様子を説明するための斜視図である。
本実施の形態では、第1ユニット11の係止構造(具体的には、柱脚金具100のロープ掛部160)に吊具200を掛けて吊るすことにより、第1ユニット11を基礎3に載置する。
まず、建築現場では、吊具200を準備する。具体的には、吊金具210の第1ロープ掛部212にロープ220を掛ける。本実施の形態では、図13Aに示すように、第1ロープ掛部212の凹部212aに、第1ロープ221の輪221aを掛ける。
吊金具210に掛けるロープ220の本数は特に限定されないが、少なくとも4本のロープ220を掛けることで、第1ユニット11を安定して吊り上げることができる。また、必要に応じて、建築現場で吊金具210を組み立ててもよい。
次に、吊金具210を第1ユニット11の上方に配置する。具体的には、クレーンによって吊金具210を吊り上げることで、第1ユニット11の上方に配置する。本実施の形態では、クレーンのフック300と、吊金具210の第2ロープ掛部213とをロープで接続する。クレーンがフック300を第1ユニット11の高さ以上に持ち上げて、水平に移動させることにより、吊金具210を第1ユニット11の上方に配置する。
次に、ロープ220を第1ユニット11のロープ掛部160に掛ける。具体的には、図13Bに示すように、第2ロープ222の輪222aをロープ掛部160に掛ける。その後、ターンバックル223を操作することで、ロープ220の長さを調整し、ロープ220にかかる張力を調整する。
本実施の形態では、複数のロープ220は、重量の大きなユニット10の支持(吊り上げ)に利用されるため、充分な強度が必要とされる。このために、第1ロープ221及び第2ロープ222には、金属製のワイヤーロープを用いる。金属製のワイヤーロープは、力を加えて変形させるのが難しく、ロープを掛ける際に結んだり解いたりするのは困難である。
ここで、柱脚金具100では、ロープ掛部160と下板110とが離間しているので、第2ロープ222の輪222aをそのまま掛けることができる。つまり、ロープ220を結んだり解いたりするのではなく、予め端部に設けられた輪222aをロープ掛部160に通して引っ掛けるだけでよい。これにより、第1ユニット11を適切に吊り上げることができる。
全てのロープ220の長さを調節した後、クレーンがフック300を上昇させることにより、図13Cに示すように、吊金具210が吊り上げられ、吊金具210に連動して第1ユニット11も吊り上げられる。
このとき、第1ユニット11の柱31に固定具230を設けてもよい。つまり、本実施の形態では、柱31の上部と吊金具210とを固定した後、吊金具210を吊り上げてもよい。
固定具230は、柱31の側面に接続された角材である。図13Cに示すように、固定具230は、柱31の上端から上方に突出するように設けられている。具体的には、固定具230は、吊金具210と第1ユニット11とがロープ220で接続された状態で、吊金具210と柱31との距離以上の長さで突出している。
本実施の形態では、吊金具210の平面視形状は、第1ユニット11の平面視形状と略同じである。このため、固定具230は、吊金具210に当接する。例えば、複数の固定具を第1ユニット11の異なる側面の柱31に取り付けることで、吊金具210の水平方向への移動を規制することができる。
次に、図13Dに示すように、第1ユニット11を水平移動させて下ろすことにより、第1ユニット11を基礎3に載置する。このとき、基礎3から上方に突出したアンカーボルト4を、柱脚金具100の貫通孔111に挿通させる。
第1ユニット11を載置した後、ロープ220を取り外す。具体的には、ターンバックル223を緩め、ロープ220の長さを長くすることで、容易にロープ掛部160からロープ220を取り外すことができる。このとき、1階と2階との間でロープ220を外すことができるので、高所作業を行わなくて済む。
次に、柱脚金具100を締結具によって基礎3に連結固定する。具体的には、柱脚金具100の下板110を間に挟んで、アンカーボルト4とナットとを締結することで、柱脚金具100を基礎3に固定する。
以上のようにして、第1ユニット11を基礎3に載置し、固定することができる。
第1ユニット11を基礎3に載置した後、複数の柱31の上部に梁を接続する。本実施の形態では、第2ユニット12の横架材42を、第1ユニット11の上部の梁として接続する。すなわち、図13B〜図13Dで示した作業と同様の作業を第2ユニット12に対して行うことで、第2ユニット12を第1ユニット11の上に載置する。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る建物ユニット1は、建物の一部を構成する建物ユニットであって、各々が、建築現場以外で予め組み立てられた1以上のユニット10と、1以上のユニット10の少なくとも1つに建築現場以外で予め設置された水廻り設備とを備える。例えば、第1ユニット11は、複数の柱31と、複数の柱31の下部に固定された土台32と、複数の柱31の上部に架け渡された面材33と、第1ユニット11の下部に設けられ、第1ユニット11を吊るすための吊具200が係止可能な係止構造とを備える。例えば、水廻り設備は、ユニットバス23、トイレ21、洗面台22及びキッチンの少なくとも1つを含む。
本実施の形態に係る建物ユニット1では、重い水廻り設備が設置された状態で第1ユニット11を吊り上げるので、面材33が設けられていない場合、第1ユニット11は変形又は破損しやすい。具体的には、第1ユニット11を吊り上げた際に、水廻り設備の荷重が土台32などにかかり、複数の柱31が斜めになる恐れがある。すなわち、複数の柱31の上部が互いに近付くように、又は、互いから離れるように第1ユニット11は変形する恐れがある。
これに対して、本実施の形態では、複数の柱31の上部に面材33が架け渡されているので、面材33が複数の柱31の上部の距離を確保することができ、柱31の上部に梁又は桁を設けなくても、接近及び離反を抑制することができる。したがって、第1ユニット11を吊り上げる際に第1ユニット11が変形又は破損するのを抑制することができる。
このように、梁などを設けなくても面材33を設けることで、第1ユニット11の強度を充分に確保することができる。したがって、第1ユニット11の変形又は破損を抑制することができるので、屋内天井面の高さを高く確保することができる。
また、第1ユニット11の下部に係止構造(具体的には、ロープ掛部160)が設けられているので、吊具200を用いて第1ユニット11を下から持ち上げるようにして吊り上げることができる。これにより、第1ユニット11の荷重を支える力が安定する。したがって、第1ユニット11をバランス良く吊り上げることができるので、変形又は破損を一層抑制することができる。なお、第2ユニット12についても同様に、変形又は破損を抑制することができる。
さらに、吊具の取り外し作業を低所で行うことができるので、作業性を高めることができる。特に、第2ユニット12の場合は、吊具200を外す際に高所作業が必要ではなくなるので、作業性を一層高めることができる。これにより、作業時間が短くなり、建築工期を短縮することができる。
また、例えば、建物ユニット1は、さらに、複数の柱31の側面に接続され、複数の柱31の上部に架け渡された枠材34と、枠材34に接続された野縁35とを備え、面材33は、野縁35に接続されている。
これにより、枠材34と野縁35とにより面材33を補強することができる。したがって、第1ユニット11の変形又は破損をより一層抑制することができる。
また、例えば、第1ユニット11は、さらに、複数の柱31の各々に対応して設けられ、対応する柱31の下部と土台32とを接続して固定する複数の柱脚金具100を備え、係止構造は、複数の柱脚金具100の少なくとも1つに設けられている。
これにより、柱脚金具100によって柱31と土台32とを強固に接続することができる。また、柱脚金具100によって第1ユニット11を基礎3に容易に、かつ、強固に締結固定することができる。
また、例えば、複数の柱31の各々は、下部側の木口にホゾ穴31aが設けられ、複数の柱脚金具100の各々は、基礎3に連結固定される下板110と、ホゾ穴31aに挿入されたホゾ部140が設けられた上板120と、下板110に立設され、上板120を支持する縦板130と、土台32に接続された土台接続部150とを備え、複数の柱脚金具100の少なくとも1つは、上板120の下面から下板110に向けて、先端が下板110から離間するように突出したロープ掛部160を備える。
これにより、ロープ掛部160と下板110とが離間しているので、第2ロープ222の輪222aをそのまま掛けることができる。したがって、ロープ220を結んだり解いたりする必要がないので、作業性を高めることができる。また、土台32が木材から形成される場合には、金属材料から形成される柱脚金具100を吊り上げに利用することで、土台32の破損又は変形を抑制することができる。
また、例えば、1以上のユニット10は、木造軸組工法によって形成されている。
ユニット10が木造軸組工法によって形成されている場合は、例えば鉄骨構造又は鉄筋構造に比べてユニット10の強度が充分ではなく、変形又は破損しやすい。したがって、複数の柱31又は41の上部に面材33又は43を架け渡すことによる強度の増加は、特に有用である。
また、例えば、建物は、2階建て以上であり、1以上のユニット10は、第1ユニット11と、第1ユニット11の直上階を構成する第2ユニット12とを含み、第1ユニット11の複数の柱31の上部には、第2ユニット12の横架材42が、梁として接続される。
これにより、第1ユニット11の運搬時及び吊り上げ時には、梁が設けられていないので、第1ユニット11の天井を高くすることができる。
また、例えば、本実施の形態に係る建物ユニット1の設置方法は、建築現場以外で、複数の柱31と土台32とを固定し、複数の柱31の上部に面材33を架け渡し、かつ、水廻り設備を設置することにより、第1ユニット11を組み立てる工程と、組み立てられた第1ユニット11を建築現場に運搬する工程と、第1ユニット11の係止構造に吊具200を掛けて吊るすことにより、第1ユニット11を設置する工程と、設置する工程の後に、第1ユニット11の複数の柱31の上部に梁を接続する工程とを含む。
このように、本実施の形態に係る建物ユニット1の設置方法では、重い水廻り設備が設置された状態で第1ユニット11を吊り上げる。このとき、建築現場以外で複数の柱31の上部に面材33が架け渡されているので、上述したように、第1ユニット11を吊り上げる際に第1ユニット11が変形又は破損するのを抑制することができる。また、第1ユニット11の運搬時及び吊り上げ時には、梁が設けられていないので、第1ユニット11の天井を高くすることができる。
また、例えば、吊具200は、吊金具210と、複数のロープ220とを含み、設置する工程では、吊金具210を第1ユニット11の上方に配置し、複数のロープ220の各々を吊金具210と第1ユニット11の係止構造との間に架け渡した後、吊金具210を吊り上げることで、第1ユニット11を設置する。
これにより、例えば、ユニット10の形状に応じた吊金具210を利用することで、第1ユニット11をバランス良く吊り上げることができ、第1ユニット11の変形又は破損を抑制することができる。
また、例えば、設置する工程では、柱31の上部と吊金具210とを固定した後、吊金具210を吊り上げる。
これにより、吊金具210をユニット10に対して固定するので、吊り上げの際の吊金具210のふらつきを抑制することができる。したがって、吊金具210が第1ユニット11に接触して第1ユニット11を破損させる、又は、変形させることを抑制することができる。
(その他)
以上、本発明に係る建物ユニット及びその設置方法について、上記実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記の実施の形態では、建物ユニット1が2つのユニット10を備える例について示したが、建物ユニット1は1つのみ又は3個以上のユニット10を備えてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、2つのユニット10が建物の1階と2階とをそれぞれ構成する例について示したが、これに限らない。各ユニット10は、3階以上の上層階を構成してもよく、あるいは、地下1階などの地下階を構成してもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、第2ユニット12が柱脚金具100を備えない例について示したが、これに限らない。第2ユニット12は、第1ユニット11と略同じ構成であり、柱脚金具100と横架材(土台32に相当)とを備えてもよい。例えば、第1ユニット11を建築現場で基礎3に載置した後、現場施工により第1ユニット11の柱31の上部に梁を接続してもよい。第2ユニット12は、当該梁を利用して、第1ユニット11の設置と同様に第2ユニット12を設置することもできる。
また、例えば、上記の実施の形態では、ロープ掛部160は、上板120から突出しているが、これに限らない。ロープ掛部160は、下板110又は縦板130から突出していてもよい。例えば、ロープ掛部160は、下板110の上面から鉤状(例えば、逆J字状)に突出していてもよい。あるいは、ロープ掛部160は、縦板130の内側の側面から、先端が下方に向かう鉤状(例えば、L字状)に突出していてもよい。いずれの場合も、ロープ掛部160の先端が下板110から離間させておくことで、ロープ220を係止させることができる。
また、例えば、ロープ掛部160は、下板110と上板120との間に設けられているが、これに限らない。ロープ掛部160は、下板110と上板120と3つの縦板130とによって囲まれる空間170より外方に突出して設けられてもよい。
また、例えば、ロープ掛部160は、拡径部161を備えていなくてもよい。例えば、ロープ掛部160は、先端程細くなる円錐又は角錐形状を有してもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、柱脚金具100が支持部として3枚の縦板130を備える例を示したが、これに限らない。縦板130は、1枚又は2枚でもよく、4枚以上でもよい。あるいは、支持部は、凹部が設けられた角柱でもよい。当該凹部に、ロープ掛部160が設けられていてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、第1ユニット11が複数の柱31と同数の柱脚金具100を備える例について示したが、これに限らない。柱脚金具100の個数は、柱31の本数より少なく、複数の柱31の一部は、土台32に直接固定されてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、ロープ220を用いてユニット10を吊るす例について示したが、これに限らない。すなわち、ユニット10の下部に設けられる係止構造は、ロープ220が係止可能な構造には限らない。例えば、係止構造が貫通孔であり、吊具が、先端にボルトが設けられた金属棒(例えば鉄棒)と、ナットとでもよい。この場合、ユニット10の下部に設けられた貫通孔に金属棒を挿入し、ナットで締結することで、金属棒をユニット10の下部に固定する。その後、金属棒を持ち上げることにより、ユニット10を吊るすことができる。
また、例えば、上記の実施の形態では、1以上のユニット10が木造軸組工法によって形成される例について示したが、これに限らない。例えば、2×4工法などの木造枠組壁工法、又は、鉄骨造などの他の工法を用いてもよい。したがって、例えば、柱31及び41は、木材に限らず、鉄骨材でもよい。また、柱31及び41は、枠の一部でもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。