JP5856405B2 - カーテンエアバッグ - Google Patents

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Description

本発明は、車両の側面衝突時やロールオーバ(横転)時に、乗員保護を目的として車両室内の側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグに関するものである。
近年、車両には高い安全性が求められている。この傾向は世界各国に共通していて、現在では車両の安全装置としてエアバッグが世界各国でほぼ標準装備されている。そして、車両開発に関係する事業者ではさらなる安全性向上が重要な開発テーマとして掲げられていて、これに伴って日々新たなエアバッグが開発されている。
車両の安全性の評価基準は各国において異なっていて、各事業者は製造品が多国の評価基準に対応し得るよう開発を行っている。例えば世界最大の自動車保有台数をほこる米国では、NHTSA(米国高速道路交通安全局)によってFMVSS(米国連邦自動車安全基準)が制定されている。そして現在、NHTSAが今後定める予定のFMVSSの規則策定の通知(NPRM;Notice of Proposed Rule Making:Docket Number;NHTSA-2009-0183)には「側突時・ロールオーバ(横転)時において、放出緩和システムによりサイドウィンドウを通した乗員の車外放出の見込みを減少させる」という要件が提案されている。この要件は、放出緩和システムを成す車外放出軽減対策装置としてカーテンエアバッグを備えることで達成可能である。
カーテンエアバッグは、ドア上方に設置されていて、衝撃発生時に車両のサイドウィンドウに沿って膨張展開して乗員の保護を行うエアバッグである(例えば特許文献1)。通常のカーテンエアバッグは、膨張展開した際の圧力持続時間がフロントエアバッグ等よりも長くなっている。側面衝突に続いてロールオーバが発生した場合などは衝撃が発生し得る時間が長いからである。このように、カーテンエアバッグはロールオーバ時にまで膨張状態を維持することで、乗員を拘束して車外放出防止を図っている。
特開2003−182503号公報
近年では、ロールオーバ時における乗員の車外放出をより確実に防止すべく、カーテンエアバッグに対してさらなる性能向上(車外放出防止性能の向上)が要請されている。乗員の車外放出を防止するためには、乗員を早期に拘束して車外方向への移動量を極力少なく抑えることが有効である。ここで、一般的なカーテンエアバッグは、膨張領域が複数の区分(チャンバ)に区画されている。そして前述の「乗員の早期の拘束」は、チャンバを大型化してより乗員に近い位置にまで膨張させれば達成可能であるとも思われる。しかし、むやみにチャンバを大型化させてしまうと高出力のインフレータ(ガス発生装置)が必要となってしまい、製造コストが増大して商品性が低下してしまう。
本発明は、このような課題に鑑み、膨張展開に必要なガス容量を抑えながら車外放出防止性能を向上可能なカーテンエアバッグを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかるカーテンエアバッグの代表的な構成は、車両室内の側面部上方に収納され、側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグであって、ガスが流入して膨張する膨張領域の一部に区画されたチャンバと、チャンバの周囲の一部に沿って設けられたスリットと、チャンバに隣接する膨張領域それぞれの最も車外側である最外部よりも車内側に連結され、チャンバの車外側を通って差し渡されるブリッジ部と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、チャンバは周囲の一部がスリットによって隣接する膨張領域から分離されているため、車内・車外側に動くことができる。そのため、カーテンエアバッグの膨張展開後において、チャンバはその車外側に設けられたブリッジ部に反発し、車内側に偏った位置で膨張する。すなわちチャンバは隣接する膨張領域よりも乗員に接近した位置で膨張することとなる。かかるチャンバによって乗員は早期に拘束され、乗員の車外放出をより十全に防止可能である。また、サイドウィンドウは衝突時に開放されていることも考えられるため、車外放出防止性能はサイドウィンドウを取り払った状態で評価される。その場合、通常はチャンバの車外側にはチャンバに干渉する部位は存在しない。しかし上記構成では、サイドウィンドウに代替してブリッジ部がチャンバに干渉して車内側への反力を加えるため、車外方向への移動が抑えられる。しかも、チャンバは容量が従来と同様であっても乗員に十分に接近できるため、チャンバの大型化は必要ない。これらのように、上記構成であれば、膨張展開に必要なガス容量を抑えながら、車外放出防止性能を向上可能である。
上記課題を解決するために、本発明にかかるカーテンエアバッグの他の代表的な構成は、車両室内の側面部上方に収納され、側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグであって、ガスが流入して膨張する膨張領域の車両前後方向の端部に区画されたチャンバと、チャンバの周囲の一部に沿って設けられたスリットと、チャンバに隣接する膨張領域の最も車外側である最外部よりも車内側と、隣接する膨張領域からチャンバ方向に離れた位置の車両室内のピラーとに連結され、チャンバの車外側を通って差し渡されるブリッジ部と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、端部のチャンバは周囲の一部がスリットによって隣接する膨張領域から分離されているため、車内・車外側に動くことができる。そのため、カーテンエアバッグの膨張展開後において、端部のチャンバはその車外側に設けられたブリッジ部に反発し、車内側に偏った位置、すなわち乗員に近接した位置で膨張展開する。かかる端部のチャンバによって乗員は早期に拘束され、乗員の車外放出をより十全に防止可能である。また、端部のチャンバにはブリッジ部によって車内側の反力が加えられ、車外側への移動が抑えられる。しかも、端部のチャンバは容量が従来と同様であっても乗員に十分に接近できるため、チャンバの大型化は必要ない。これらのように、上記構成によっても、膨張展開に必要なガス容量を抑えながら、車外放出防止性能を向上可能である。
上記のチャンバは、その下縁および両側の側縁が隣接する膨張領域から分離しているとよい。上記のスリットによってチャンバの周囲のうちこれらの縁が隣接する膨張領域から分離していれば、チャンバはあたかも暖簾のように車内・車外側に動くことができる。ブリッジ部によって乗員を早期に拘束し車外放出防止性能を向上させる点は上記と同様である。
上記のチャンバは、隣接する膨張領域からの単位時間当たりのガスの受給量を制限するガス流入口を有し、隣接する膨張領域に遅れて膨張展開が完了するとよい。
上記の端部のチャンバは主にロールオーバ時に姿勢を大きく崩した乗員を拘束する。ロールオーバは側面衝突等の発生に続いて起こるため、センサによる衝突感知から端部のチャンバが必要となる時点までには相応の時差が生じる。そのため上記構成では、端部のチャンバへのガスの供給を遅らせることで、ロールオーバ時に最も圧力が高まるよう膨張を制御している。
上記のブリッジ部は、少なくとも1つの帯形状の布材であってもよい。これにより、ブリッジ部として使用する材料を低減して、製造コスト削減に資することが可能である。
上記のブリッジ部は、車外放出防止性能評価試験においてチャンバのうち乗員を模擬したインパクタが衝突する衝突想定領域に対し、衝突想定領域の中心を通過するように設けられるとよい。
ここで衝突想定領域は、NPRM(NHTSA-2009-0183)、V.「Proposed Ejection Mitigation Requirements and Test Procedures」、d.「Locations Where the Device Would Impact the Ejection Mitigation Countermeasure To Asses Efficacy」、4.「Method for Determining Impactor Target Locations」で定められるターゲットロケーション(Target locations)に向けて車外放出テストを行った時に、同NPRMのV.「Proposed Ejection Mitigation Requirements and Test Procedures」で規定されるインパクタが通過する可能性のある領域である。この衝突想定領域の中心は、同NPRMで記載されている各ターゲットの打点位置、たとえばA1〜A4などに示されている各ポイントによって定義される。たとえば本明細書のA1打点は、同NPRMで定められるフロントウインドウにおける一次目標位置(Primary target)の車両前方側に位置する打点として定義される。
なお、本願明細書で示される規則策定通知(NPRM:Docket No. NHTSA-2009-0183)は、正式に制定されたFMVSS226の基になっている。
上記構成では、チャンバのうち、乗員の衝突が最も予測される位置をブリッジ部により支えている。したがってブリッジ部は、チャンバが乗員から受けた荷重を好適に吸収し、車外方向へのチャンバの突出量を減少させることが可能である。
上記のチャンバは、その下縁付近において隣接する膨張領域に接続されていてもよい。これによりチャンバの車両前後方向への揺動を抑えて、チャンバの姿勢を適度に規制することが可能となる。
本発明によれば、膨張展開に必要なガス容量を抑えながら車外放出防止性能を向上可能なカーテンエアバッグを提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。 図1(b)の展開状態のカーテンエアバッグを各方向から例示する図である。 図1(b)の各断面図である。 車外放出防止性能評価試験を例示する図である。 本発明の第2実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。 車両に取り付けたカーテンエアバッグの部分拡大図である。 図6の各断面図である。 車外放出防止性能評価試験を例示する図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。図1(a)は第1実施形態にかかるカーテンエアバッグ(以下、「エアバッグ100」と記載する。)の非展開時、図1(b)はエアバッグ100の展開時をそれぞれ例示する。以下すべての実施形態を、図1のように車両102の右側面用のカーテンエアバッグとして説明するが、左側面用のカーテンエアバッグも同様の対称な構造を有する。
エアバッグ100は、図1(a)のように巻回された状態で、または折り畳まれた状態(図示省略)で、車両室内の側面部上方のルーフサイドレール104(図中、仮想線で例示する。)に取り付けられ、収納される。通常、ルーフサイドレール104はルーフトリムで覆われ、車両室内からは視認不能である。ルーフサイドレール104には、ルーフ(屋根)を支える複数のピラーが接続している。これらは車両102の前方から、フロントピラー106、センタピラー108、リアピラー110と呼ばれる。
エアバッグ100は、例えば、その表面を構成する基布を表裏で縫製したり、OPW(One-Piece Woven)を用いて紡織したりすることにより袋状に形成される。
エアバッグ100には、ガス発生装置であるインフレータ112が備えられている。車両102に側面衝突時やロールオーバ(横転)等が発生すると、まず車両102に備えられたセンサ(図示省略)による衝撃の感知に起因して、インフレータ112へ発火信号が発信される。すると、インフレータ112の火薬が燃焼し、発生したガスがエアバッグ100へ供給される。
エアバッグ100は、インフレータ112からのガスを受給すると、図1(b)に例示するように、車室の側面部(フロントウィンドウ114a等)に沿うように下方へ膨張展開し、乗員の保護を行う。かかるエアバッグ100によれば、前部座席116および後部座席118の乗員を同時に保護可能である。
図2は、図1(b)の展開状態のカーテンエアバッグを各方向から例示する図である。図2(a)はエアバッグ100を車内側から見た状態で例示していて、図2(b)はエアバッグ100を車外側から見た状態で例示している。
図2(a)に例示するように、エアバッグ100は、車両102への取付部材としてタブ120を上縁121に備えている。タブ120にはボルト穴122が設けられていて、ボルト締結によってルーフサイドレール104に固定される。また、エアバッグ100の前端にはストラップ124が備えられている。ストラップ124は、エアバッグ100の前端とフロントピラー106とを連結し、エアバッグ100の展開挙動および展開後の姿勢を安定させる。
インフレータ112から供給されるガスは、ダクト部126を通じてエアバッグ100の全体に充満する。ダクト部126は、エアバッグ100の上縁側において車両前後方向にガスを導く。ガスの流入を受けて膨張する領域(膨張領域)は、複数のチャンバに区画されている。チャンバは、衝突時等の非常事態時において乗員と直接接触する部分である。
複数のチャンバのうち、エアバッグ100の車両前後方向の中央付近のやや前方にはメインチャンバ128が設置されている。メインチャンバ128は前部座席116(図1(b)参照)の略真横に膨張展開する。メインチャンバ128の車両前方にはフロントチャンバ130が設置されている。フロントチャンバ130はエアバッグ100の前端に位置し、姿勢を崩した前部座席116の乗員を保護する。エアバッグ100の後端側にはリアチャンバ132が設置されている。リアチャンバ132は、後部座席118の略真横に膨張展開する。
第1実施形態において、本発明の技術的特徴はセンタチャンバ134に利用されている。センタチャンバ134は、膨張領域の一部として、メインチャンバ128とリアチャンバ132との間に区画されている。センタチャンバ134は、後部座席空間の側方で乗員を広く保護する。特にセンタチャンバ134は、乗員のより近くに膨張展開することが可能となっている。
センタチャンバ134の車両前後方向の両側には、それぞれスリット136a、136bが設けられている。スリット136a、136bは、センタチャンバ134の周囲の一部に沿って設けられている。詳細には、スリット136a、136bは、エアバッグ100の下縁123から上方に向かって、特にダクト部126の手前までに設けられている。これらスリット136a、136bによって、センタチャンバ134の側縁は隣接するメインチャンバ128およびリアチャンバ132から分離されている。すなわち、センタチャンバ134は、その下縁および両側の側縁が隣接する膨張領域から分離されている。
センタチャンバ134は、上方のダクト部126とガス流入口138で接続している。ガス流入口138の幅は、センタチャンバ自体の車両前後方向の幅よりも細くなっている。ガス流入口138が細いこと、およびスリット136a、136bで両側がダクト部126の手前まで分離されていることで、センタチャンバ134とダクト部126との境界(線分L1)は折れ曲がりやすくなっている。したがって、センタチャンバ134は線分L1を基準にして暖簾のように車内・車外側に動くことが可能である。
図2(b)に例示するように、センタチャンバ134の車外側には、センタチャンバ134を車内側に反発させるためのブリッジ部140が設置されている。本実施形態では、ブリッジ部140はエアバッグ100の車外側の基布の一部を利用して構成されている。ただしブリッジ部140の構成はこれに限らず、例えば独立した帯形状の布材または紐形状の部材を車両前後方向に差し渡すことでも構成可能である。
図3は、図1(b)の各断面図である。図3(a)は、図1(b)のA−A断面図である。図3(a)に例示するブリッジ部140は、メインチャンバ128およびリアチャンバ132それぞれのうち最も車外側である最外部129、133よりも車内側に連結され、センタチャンバ134の車外側に差し渡される。本実施形態では、ブリッジ部140をメインチャンバ128およびリアチャンバ132の車両幅方向のそれぞれの中央部142、144に連結している。ブリッジ部140には、膨張展開後のエアバッグ100によって車両前後方向へ張力が加えられる。ブリッジ部140は、車両前後方向の張力によって該方向に弛むことなく緊張する形状を有しているとよい。これにより、エアバッグ100が膨張展開すると、センタチャンバ134はメインチャンバ等よりも車内側に押し出され、乗員に近接した位置に膨張展開することとなる。
図3(b)は、図1(b)のB−B断面図である。図3(b)に例示するように、エアバッグ100の膨張展開後において、センタチャンバ134はブリッジ部140に反発して車内側に偏った位置で膨張する。上述したように、本実施形態ではブリッジ部140をメインチャンバ128およびリアチャンバ132の中央部142、144に連結させているが、ブリッジ部140をメインチャンバ等のより車内側に連結させるほど、センタチャンバ134を乗員のより近くに膨張展開させることが可能となる。
図4は、車外放出防止性能評価試験を例示する図である。図4(a)は図3(a)に対応していて、図4(b)は図3(b)に対応している。車外放出防止性能評価試験はサイドウィンドウを開口または取り払った状態で行うため、図4(a)および図4(b)では、フロントウィンドウ114aおよびリアウィンドウ114bは仮想線で示している。
NHTSA-2009-0183に基づく側面衝突試験時には、試験装置であるインパクタ160を、カーテンエアバッグ上に設定した所定の打点に衝突させてカーテンエアバッグの安全性を評価する(車外放出防止性能評価試験)。その際、インパクタ160の車外側の頂点の移動距離が、サイドウィンドウとの接触面から100mm以内に収まることが要件とされている。インパクタは乗員を模擬した装置であって、インパクタを衝突させる打点は、NHTSA-2009-0183によって定められている。
図4(a)および図4(b)に例示するように、インパクタ160はセンタチャンバ134に車内側から衝突する。すると、センタチャンバ134はブリッジ部140へと押し付けられる。しかし、ブリッジ部140は車両前後方向(図中左右方向)に張力が加えられて緊張しているため、ブリッジ部140からセンタチャンバ134には車内方向へ押し戻す反力が加えられる。したがって、センタチャンバ134の車外方向への移動は抑えられる。
上記説明したように、当該エアバッグ100では、従来は乗員に近い位置に膨張展開するためにチャンバを大型化する必要があったところ、ブリッジ部140によってセンタチャンバ134は大型化することなく乗員に接近可能となっている。したがって、センタチャンバ134の容量は従来と同様である。そして、センタチャンバ134によって乗員は早期に拘束され、さらにセンタチャンバ134にはブリッジ部140が干渉して車内側への反力が加わるため、乗員の車外放出をより十全に防止可能である。これらのように上記構成であれば、膨張展開に必要なガス容量を抑えながら、車外放出防止性能を向上可能である。
本実施形態では、センタチャンバ134の側縁を隣接する膨張領域から分離する2つのスリット136a、136bを設けているが、センタチャンバ134が車内・車外側に動くことができれば、センタチャンバ134の周囲のどの部分にスリットを設けてもよい。またスリットの数も2つに限られず、1つ以上のいくつのスリットを設けてもよい。
なお、本実施形態ではセンタチャンバ134は、エアバッグ100の下縁123に沿って設けられているが、本発明の技術的特徴を利用可能なチャンバはセンタチャンバ134に限られない。例えば、膨張領域の中央側に設けられたチャンバ、すなわち周囲の全てが他の膨張領域に囲まれたチャンバにも利用可能である。その場合、スリットは例えばチャンバの下縁および両側の側縁に沿って設けてもよい。これにより、周囲を他の膨張領域に囲まれたチャンバであっても、そのチャンバは隣接する膨張領域から分離して車内側に移動可能となる。
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。図5(a)は第2実施形態にかかるカーテンエアバッグ(以下、「エアバッグ200」と記載する。)の非展開時、図5(b)はエアバッグ200の展開時をそれぞれ例示する。以下、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態において、本発明の技術的特徴はフロントチャンバ202に利用され、フロントチャンバ202は乗員に近接した位置に膨張展開可能となっている。図5(a)に例示するように、フロントチャンバ202は、スリット203によって隣接するメインチャンバ128から分離されている。
スリット203は、フロントチャンバ202の側縁に沿って、エアバッグ200の下縁123からガス流入口204の手前までに設けられている。これにより、フロントチャンバ202は、車内・車外側に動くことが可能になっている。
ガス流入口204はフロントチャンバ202の上縁側に設けられている。ガス流入口204は、隣接するメインチャンバ128からガスを受給する。フロントチャンバ202へのガスの流路はガス流入口204のみに限定されているため、フロントチャンバ202はガスの単位時間当たりの受給量が制限されている。そのためフロントチャンバ202は、膨張展開が他のチャンバに遅れて完了する、いわゆるディレーチャンバとなっている。
フロントチャンバ202は、ディレーチャンバであることでロールオーバにより対応しやすくなっている。フロントチャンバ202は主に、ロールオーバ時に姿勢を大きく崩した乗員を拘束する。ロールオーバは側面衝突等の発生に続いて起こるため、センサによる衝突感知からフロントチャンバ202が必要となる時点までには相応の時差が生じる。そのためエアバッグ200では、フロントチャンバ202へのガスの供給を遅らせてロールオーバ時に最も圧力が高まるようその膨張を制御している。
図5(b)に例示するように、フロントチャンバ202の車外側には、フロントチャンバ202を車内側に反発させるために、上下2つのブリッジ部206a、206bが設置されている。ブリッジ部206a、206bは帯形状の布材により構成されている。ブリッジ部206a、206bを帯形状にすると使用する材料が低減するため、製造コスト削減に資することが可能である。
ブリッジ部206a、206bは、メインチャンバ128のうち最も車外側である最外部129よりも車内側と、フロントピラー106とに連結される(図7(a)参照)。本実施形態では、ブリッジ部206a、206bを、フロントピラー106上の一点と、メインチャンバ128の車両前方側のそれぞれ上下異なる部位とに連結している。ブリッジ部206a、206bには、膨張展開後のエアバッグ200によって車両前後方向へ張力が加えられる。ブリッジ部206a、206bは、車両前後方向の張力によって該方向に弛むことなく緊張する形状を有しているとよい。2つのブリッジ部206a、206bは上下異なる位置でフロントチャンバ202に干渉するため、帯形状であっても広くフロントチャンバ202を支えている。
図6は、車両に取り付けたカーテンエアバッグの部分拡大図である。図6に例示する衝突想定領域Eは、NPRM(NHTSA-2009-0183)、V.「Proposed Ejection Mitigation Requirements and Test Procedures」、d.「Locations Where the Device Would Impact the Ejection Mitigation Countermeasure To Asses Efficacy」、4.「Method for Determining Impactor Target Locations」で定められるターゲットロケーション(Target locations)に向けて車外放出テストを行った時に、同NPRMのV.「Proposed Ejection Mitigation Requirements and Test Procedures」で規定されるインパクタ160(図8参照)が通過する可能性のある領域として定義される。フロントチャンバ上の衝突想定領域Eは、フロントウィンドウ114aの最も前方における衝突想定領域であり、その打点(衝突想定領域Eの中心)は、たとえばA1打点と称され、同NPRMで定められるフロントウインドウにおける一次目標位置(Primary target)の車両前方側に位置する打点として定義される。
エアバッグ200では、2つのブリッジ部206a、206bのうち、上方のブリッジ部206aがA1打点を通過するように設けている。A1打点は、フロントチャンバ202のうち、乗員の衝突が最も予測される位置である。そのA1打点を車外側からブリッジ部206aにより支えて反力を加えることで、フロントチャンバ202が乗員から受けた荷重を好適に吸収可能である。
フロントチャンバ202は、その下縁付近において隣接するメインチャンバ128に縫合(縫合部208)されて接続している。これは、スリット203を設けたことによって想定され得る、フロントチャンバ202の車両前後方向への揺動を抑えるためである。このように縫合部208を設けることで、フロントチャンバ202の姿勢を適度に規制することが可能である。
図7は、図6の各断面図である。図7(a)は図6のC−C断面図であり、図7(b)は図6のD−D断面図である。図7(a)に例示するように、本実施形態ではブリッジ部(代表してブリッジ部206a)の後端は、メインチャンバ128の車幅方向の中央部207に連結している(ブリッジ部206bも同様)。そしてブリッジ部206aの前端は、中央部207からフロントチャンバ方向に離れた位置の車両室内のフロントピラー106に連結されている。このようにして、ブリッジ部206aはフロントチャンバ202の車外側を通って差し渡されている。
上述の通り、本実施形態のブリッジ部206aは、フロントピラー106とメインチャンバ128との間で弛むことなく緊張する形状を有している。これにより、フロントチャンバ202はメインチャンバ等よりも車内側に押し出され、乗員に近接した位置に膨張展開することとなる。
図7(b)に例示するように、エアバッグ200の膨張展開後において、フロントチャンバ202はブリッジ部206a、206bに反発して車内側に偏った位置で膨張する。なお、上述したように、本実施形態ではブリッジ部206a、206bをメインチャンバ128の車幅方向の中央部207に連結しているがこれに限らず、ブリッジ部206a、206bをメインチャンバ128のより車内側に連結するほど、フロントチャンバ202を乗員のより近くに膨張展開させることが可能となる。
図8は、車外放出防止性能評価試験を例示する図である。図8(a)は図7(a)に対応していて、図8(b)は図7(b)に対応している。
図8(a)および図8(b)に例示するように、インパクタ160はフロントチャンバ202に車内側から衝突する。すると、フロントチャンバ202はブリッジ部206a、206bへと押し付けられる。しかし、ブリッジ部は車両前後方向(図中左右方向)に張力が加えられて緊張しているため、ブリッジ部206a、206bからフロントチャンバ202には車内方向へ押し戻す反力が加えられる。したがって、フロントチャンバ202の車外方向への移動は抑えられ、車外方向へのフロントチャンバ202の突出量は減少する。
上記構成によれば、フロントチャンバ202は従来と同様の容量であっても乗員に近接し、乗員を早期に拘束できる。したがって、乗員の車外放出はフロントチャンバ202を大型化することなく十全に防止可能である。また、ブリッジ部206a、206bから車内方向への反力が加わることで、乗員の車外放出の可能性はさらに低下する。これらのように、上記構成によっても、膨張展開に必要なガス容量を抑えながら、車外放出防止性能を向上可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、上記実施形態においては本発明にかかるカーテンエアバッグを自動車に適用した例を説明したが、自動車以外にも航空機や船舶などに適用することも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、車両の側面衝突時やロールオーバ(横転)時に、乗員保護を目的として車両室内の側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグに利用することができる。
100、200 …エアバッグ、102 …車両、104 …ルーフサイドレール、106 …フロントピラー、108 …センタピラー、110 …リアピラー、112 …インフレータ、114a …フロントウィンドウ、116 …前部座席、118 …後部座席、120 …タブ、121 …上縁、122 …ボルト穴、123 …下縁、124 …ストラップ、126 …ダクト部、128 …メインチャンバ、129、133 …最外部、130、202 …フロントチャンバ、132 …リアチャンバ、134 …センタチャンバ、136a、136b、203 …スリット、138、204 …ガス流入口、140、206a、206b …ブリッジ部、142、144、207 …中央部、160 …インパクタ、208 …縫合部、E …衝突想定領域、L1 …線分、

Claims (5)

  1. 車両室内の側面部上方に収納され、該側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグであって、
    ガスが流入して膨張する膨張領域の一部であって該膨張領域の中央のチャンバと、
    前記中央のチャンバの前後両側に設けられたスリットと、
    前記膨張領域の一部であって、前記中央のチャンバが暖簾のように車内・車外側に動くことが可能になるよう前記スリットによって該中央のチャンバから分離されている前後のチャンバと、
    前記前後のチャンバそれぞれの最も車外側である最外部よりも車内側に連結され、前記スリットと交差するようにして前記中央のチャンバの車外側を通って差し渡され、前記膨張展開時に車両前後方向の張力によって緊張する形状を有するブリッジ部と、
    を備えることを特徴とするカーテンエアバッグ。
  2. 車両室内の側面部上方に収納され、該側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグであって、
    ガスが流入して膨張する膨張領域の一部であって該膨張領域の車両前後方向の前端部に位置するフロントチャンバと、
    前記フロントチャンバの後側に設けられたスリットと、
    前記膨張領域の一部であって前記スリットによって前記フロントチャンバから分離されているメインチャンバと、
    前記メインチャンバの最も車外側である最外部よりも車内側と、該メインチャンバから前記フロントチャンバ方向に離れた位置の車両室内のピラーとに連結され、前記スリットと交差するようにして該フロントチャンバの車外側を通って差し渡され、前記膨張展開時に車両前後方向の張力によって緊張する形状を有するブリッジ部と、
    を備え
    前記フロントチャンバは、NPRM(NHTSA-2009-0183)で規定されるフロントウィンドウの最も前方における衝突想定領域を覆い、前記メインチャンバからの単位時間当たりのガスの受給量を制限するガス流入口を有し、該メインチャンバに遅れて膨張展開が完了することを特徴とするカーテンエアバッグ。
  3. 前記中央のチャンバは、前記前後のチャンバからの単位時間当たりのガスの受給量を制限するガス流入口を有し、該前後のチャンバに遅れて膨張展開が完了することを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
  4. 前記ブリッジ部は、少なくとも1つの帯形状の布材であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカーテンエアバッグ。
  5. 前記フロントチャンバは、その下縁付近において前記メインチャンバに接続されていることを特徴とする請求項2に記載のカーテンエアバッグ。
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