JP5615791B2 - カーテンエアバッグ - Google Patents

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本発明は、車両の側面衝突時やロールオーバ(横転)時に、乗員保護を目的として車両室内の側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグに関するものである。
近年、車両には高い安全性が求められている。この傾向は世界各国に共通していて、現在では世界各国でエアバッグが車両の安全装置としてほぼ標準装備されている。そして、車両開発に関係する事業者ではさらなる安全性向上が重要な開発テーマとして掲げられていて、これに伴って日々新たなエアバッグが開発されている。
車両の安全性の評価基準は各国において異なっていて、各事業者は製造品が多国の評価基準に対応し得るよう開発を行っている。例えば世界最大の自動車保有台数をほこる米国では、NHTSA(米国高速道路交通安全局)によってFMVSS(米国連邦自動車安全基準)が制定されている。そして現在、NHTSAによって正式に制定されたFMVSS226の基となっているFMVSSの規則策定の通知(NPRM;Notice of Proposed Rule Making: NHTSA-2009-0183)には「側突時・ロールオーバ(横転)時において、放出緩和システムによりサイドウィンドウを通した乗員の車外放出の見込みを減少させる」という要件が提案されている。この要件は、放出緩和システムを成す車外放出軽減対策装置としてカーテンエアバッグを備えることで達成可能である。
カーテンエアバッグは、ドア上方に設置されていて、衝撃発生時に車両のサイドウィンドウに沿って膨張展開するエアバッグである。カーテンエアバッグの膨張領域は、ガスの流れやすさ等を考慮して複数の小部屋(チャンバ)に区画されている。例えば、特許文献1には、車両前方の端部のチャンバが他のチャンバよりも車内側に膨張展開するカーテンエアバッグが開示されている。特許文献1によれば、車内側へ移動したチャンバによって、衝撃によって乗員が車両斜め前方へ移動した場合にも的確な保護が可能であるとされている。
特開2008−6895号公報
現在、カーテンエアバッグに対して、乗員の車外放出防止性能のさらなる向上が要請されている。車外放出防止性能の向上には、乗員と早期に接触してこれを拘束することが有効である。拘束が早期であれば、その分の乗員の車外方向への移動量は減少するからである。その点、特許文献1に記載のカーテンエアバッグは端部のチャンバが従来よりも乗員に近い位置(車内側に偏った姿勢)で膨張展開するため、乗員との早期の接触が可能である。
さらにしかし、現在ではカーテンエアバッグに対して、上記車外放出防止性能の向上に加えて、製造コストの低下も要請されている。製造コストの低下は、例えばガス容量を低減することで達成できる。ガス容量が小さければ、低出力で安価なインフレータ(ガス発生装置)が利用可能になるからである。その点、特許文献1のカーテンエアバッグは製造コストの低下は視野にいれていないため、ガス容量の削減の余地を多く残している。
本発明は、このような課題に鑑み、膨張展開に必要なガス容量を抑えながらさらなる車外放出防止性能の向上が可能なカーテンエアバッグを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかるカーテンエアバッグの代表的な構成は、車外側の外布と車内側の内布とにより袋状に形成され、車両室内の側面部上方に収納されて側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグであって、ガスが流入して膨張する膨張領域のうち外布と内布とが接合した非膨張領域によって区画される複数のチャンバを備え、複数のチャンバは、内布の長さが外布よりも車両前後方向に長く、内布が膨張展開時に少なくとも他のチャンバの内布よりも車外側へ張り出る内側膨張チャンバと、外布の長さが内布よりも車両前後方向に長く、外布が膨張展開時に少なくとも他のチャンバの外布よりも車外側へ張り出る外側膨張チャンバと、を含み、内側膨張チャンバは、少なくとも、車外放出防止性能評価試験において乗員を模擬したインパクタが衝突する衝突目標のうち車両前後方向の最前の衝突目標を保護する部分に位置していて、外側膨張チャンバは、側面部のピラー上に位置していることを特徴とする。
従来のチャンバは、外布および内布のそれぞれの車両前後方向の長さは略同じであり、車外側および車内側に略均等に膨張していた。一方、上記構成では、まず、内側膨張チャンバの内布が外布よりも車両前後方向に長くなっていて、内側膨張チャンバは他のチャンバに比べて車内側により大きく膨張する構成となっている。すなわち内側膨張チャンバは、乗員のより近くに膨張して乗員を早期に拘束可能となっているため、乗員の車外放出防止性能が向上している。特に、この内側膨張チャンバをカーテンエアバッグのなかでも張力を得にくかった端部へ配置することで、車外放出防止性能を効率よく向上させている。
また、外側膨張チャンバは、外布が内布よりも車両前後方向に長くなっていて、他のチャンバに比べて車外側へより大きく膨張する構成となっている。特に上記構成では、この外側チャンバがピラー上に位置している。ここで、従来のカーテンエアバッグにおけるピラー上に位置するチャンバ、例えばセンタピラー上に位置するチャンバは、前部座席の背もたれの真横に位置していることが多く、乗員の衝突するおそれがほとんどなかった。しかし、このチャンバがセンタピラーに接触しこれに反発することは、カーテンエアバッグを車内側へ膨張展開させるにあたり有益であった。そこで、上記構成では、車外側へより大きく膨張する外側膨張チャンバをピラーに重なるよう配置し、この外側膨張チャンバを膨張展開時にピラーに反発させることで、カーテンエアバッグをより車内側へ膨張展開させてその車外放出防止性能を向上させている。
また上記構成では、乗員保護を主目的とする内側膨張チャンバは、乗員の接触するおそれのない車外側の膨張量が削減されている。加えて、ピラーへの反発を主目的とする外側膨張チャンバは、車内側の膨張量が削減されている。したがって、当該カーテンエアバッグは、高い車外放出防止性能を、より少ないガス容量で効率よく発揮可能となっている。
当該カーテンエアバッグはさらに、内側膨張チャンバのさらに末端と、末端よりも当該カーテンエアバッグから離れた位置であってサイドウィンドウよりも車内側に突出するピラーとに連結されるストラップをさらに備え、ストラップは、膨張展開後の当該カーテンエアバッグによって車両前後方向に緊張する形状を有するとよい。
上記のストラップを設けることで、膨張領域の端部に位置する内側膨張チャンバであっても、内布が車内側を向いた姿勢で安定して膨張展開可能となる。また、ストラップはピラーに連結されているため、内側膨張チャンバはサイドウィンドウから離れてより車内側へ膨張展開可能となっている。
上記の外側膨張チャンバはさらに、サイドウィンドウとフロントピラーウィンドウとを分割するディビジョンバー上の位置にも設けられてもよい。
当該カーテンエアバッグに車内側から乗員が衝突した際、上記の外側膨張チャンバはその車外側に存在するディビジョンバーに干渉する。サイドウィンドウは衝突時に開放されていることも考えられるため車外放出防止性能を評価する場合にはサイドウィンドウはないものとして考慮する必要があるが、ディビジョンバーは当然に常に存在する。このディビジョンバーに干渉することで上記の外側膨張チャンバの車外方向への移動は妨げられるため、乗員の車外放出の可能性は低下する。また、外側膨張チャンバは膨張領域の車両前後の最前に位置していて、乗員の接触のおそれが殆どない。したがって、車内側への膨張量が抑えられた外側膨張チャンバであれば、少ないガス容量で効率よく車外放出防止性能を向上可能である。
上記の外側膨張チャンバはさらに、膨張領域の車両前後方向の端部にも設けられ、外側膨張チャンバのさらに末端と、末端よりも当該カーテンエアバッグから離れた位置の側面部とに連結されるストラップをさらに備え、ストラップは、膨張展開後の当該カーテンエアバッグによって車両前後方向に緊張する形状を有するとよい。
上記のストラップを設けることで、膨張領域の端部に位置する外側膨張チャンバであっても、外布が車外側を向いた姿勢で安定して膨張展開可能となる。これにより外側膨張チャンバは、前述のディビジョンバーやリアピラー等の側面部の端に位置する部位に反発することが可能となる。
上記のストラップは、車外放出防止性能評価試験において乗員を模擬したインパクタを受け止める際にその打点を略水平に通過する直線に重なる姿勢となるよう設置されてもよい。
上記構成によれば、ストラップの張力が効率よく打点に印加できる。したがって、カーテンエアバッグに接触したインパクタ、ひいては乗員の荷重をストラップを介して効率よく吸収し、その車外方向への移動量を減少させることが可能となる。
本発明によれば、膨張展開に必要なガス容量を抑えながらさらなる車外放出防止性能の向上が可能なカーテンエアバッグを提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。 車両取付前の未膨張のカーテンエアバッグを各方向から例示する図である。 第1実施形態にかかるカーテンエアバッグと従来のカーテンエアバッグとを比較する図である。 図1(b)のフロントチャンバの拡大図である。 図4のカーテンエアバッグを用いた車外放出防止性能評価試験を例示する図である。 本発明の第2実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。 図6(b)のサブチャンバの各断面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。図1(a)は第1実施形態にかかるカーテンエアバッグ(以下、「エアバッグ100」と記載する。)の非展開時、図1(b)はエアバッグ100の展開時をそれぞれ例示する。以下、すべての実施形態を、図1のように車両102の右側面用のカーテンエアバッグとして説明するが、左側面用のカーテンエアバッグも同様の対称な構造を有する。
図1(a)に例示するように、エアバッグ100はガス発生装置であるインフレータ104を備えている。エアバッグ100は、インフレータ104から供給されるガスの圧力により膨張して乗員を拘束する。特に当該エアバッグ100は、インフレータ104に必要な出力を抑えながら、車外放出防止性能を向上させることが可能となっている。
エアバッグ100は、図1(a)のように巻回された状態で、または折り畳まれた状態(図示省略)で、車両室内の側面部上方のルーフサイドレール(図中、仮想線で例示する。)に取り付けられ、収納される。通常、ルーフサイドレールはルーフトリムで覆われ、車両室内からは視認不能である。ルーフサイドレールには、ルーフ(屋根)を支える複数のピラーが接続している。これらは車両102の前方から、フロントピラー106、センタピラー108、リアピラー110と呼ばれる。
エアバッグ100は、車外側の外布と車内側の内布とにより袋状に形成されている。具体的な製造方法としては、例えば2枚の基布を表裏で縫製する方法や、OPW(One-Piece Woven)を用いて紡織する方法などが用いられる。
車両102に側面衝突時やロールオーバ(横転)等が発生すると、まず車両102に備えられたセンサ(図示省略)による衝撃の感知に起因して、インフレータ104へ発火信号が発信される。すると、インフレータ104の火薬が燃焼し、発生したガスがエアバッグ100へ供給される。エアバッグ100は、インフレータ104からのガスを受給すると、図1(b)に例示するように、車室の側面部(サイドウィンドウ112等)に沿うように下方へ向かって膨張領域が展開し、乗員の保護を行う。
エアバッグ100の膨張領域は、座席の位置等を考慮して複数の小部屋(チャンバ)に区画されている。例えば、膨張領域の車両前後方向の前端にはフロントチャンバ120が設けられ、センタピラー108上にはセンタチャンバ122が設けられている。これら各チャンバは、膨張領域の縁部124や中ほどに形成されるシーム部126などの非膨張領域によって区画される。これら非膨張領域では、エアバッグ100の外布と内布が接合されている。
フロントチャンバ120の車両前方の末端(縁部124)には2つのストラップ130a、130bが設けられている。ストラップ130a、130bは、フロントチャンバ120の膨張展開時の姿勢を安定させる部材である。ストラップ130a、130bは、縁部124と、エアバッグ100から前方に離れたフロントピラー106とを連結している。膨張領域は膨張すると車幅方向に膨らむため、車両前後方向には若干収縮する。ストラップ130a、130bはその際に緊張する形状(長さ)を有している。ストラップ130a、130bが緊張することで膨張展開時のフロントチャンバ120に張力が加えられ、その姿勢が崩れることなく安定する。また、フロントピラー106はサイドウィンドウ112よりも車内側に突出するため(図3(a)参照)、フロントチャンバ120はサイドウィンドウ112から離れてより車内側へ膨張展開可能となっている。
図2は、車両取付前の未膨張のカーテンエアバッグを各方向から例示する図である。図2(a)は未膨張のエアバッグ100の車内側の面を例示する図である。図2(a)に例示するフロントチャンバ120およびセンタチャンバ122には、本発明の持つ技術的特徴が適用されている。これによってフロントチャンバ120およびセンタチャンバ122はガス容量が削減され、かつ車外放出防止性能の向上が図られている。
図2(a)に例示するフロントチャンバ120は、車内側へより大きく膨張する内側膨張チャンバとして形成されている。図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。図2(b)に例示するように、フロントチャンバ120では、内布132の左右の長さ(縁部124からシーム部126にいたるまでの長さ)が、外布134の長さよりも長くなっている。そのためフロントチャンバ120は、内布132に折りL1を形成して設置される。なお、膨張領域上の折りL1は膨張展開によって解消されるが、縁部124上(図2(a)参照)では縫合等されているため解消されない。
図3は、第1実施形態にかかるカーテンエアバッグと従来のカーテンエアバッグとを比較する図である。図3(a)は第1実施形態にかかるエアバッグ100であり、図1(b)のC−C断面に対応している。図3(b)は図3(a)に対応する従来のカーテンエアバッグ(以下、「エアバッグ10」と記載する。)の断面図である。
図3(b)に例示するフロントチャンバ12は、特にロールオーバ時において着座姿勢を大きく崩した前部座席114の乗員を保護するチャンバである。より具体的には、後述する図4にて例示されているA1打点に相当する位置を保護するチャンバである。フロントチャンバ12における乗員の車両放出防止性能を向上させるためには、フロントチャンバ12のガス容量を増大することが考えられる。ガス容量が増大すれば内布14と乗員との距離が近づき、衝突発生時の早期の拘束が可能になるからである。しかし、フロントチャンバ12のガス容量を増大させてしまっては高出力で高価なインフレータが必要となってしまう。
一方、図3(a)に例示するフロントチャンバ120は、図3(b)のフロントチャンバ12が車外側および車内側に略均等に膨張していたところ、車内側に偏ってより大きく膨張可能となっている。これは、図3(a)のフロントチャンバ12は内布14および外布15の車両前後方向の長さが略同じであったところ、図2(b)を参照して説明したようにフロントチャンバ120では内布132が外布134よりも長いことに由来する形状である。
図3(a)のフロントチャンバ120の内布132および外布134の長さを詳細に説明すると、まず、外布134の長さは、設計上における膨張時のフロントチャンバ120の左右の縁部124からシーム部126にかけての直線的な距離と略同じ程度の長さに設定されている。したがって、膨張時において外布134はさほど膨らまない。このようにして、フロントチャンバ120では、乗員の接触するおそれの少ない車外側のガス容量が削減されている。
一方、内布132の長さは、膨張展開時に少なくともチャンバ136の内布138よりも車内側へ張り出る程に、縁部124からシーム部126にかけて左右に長く設定されている。内布132を長くすると車内側への膨張量が大きくなるため、インフレータ104(図1(b)等参照)に必要となる出力は増大するとも思われる。しかし、フロントチャンバ120は前述の通り、車外側への膨張量が削減された構成となっている。そのため、内布132の膨張量を大きくしたとしてもフロントチャンバ120の膨張展開に必要な出力は総合的には減少させることが可能である。これらによって、図3(b)のフロントチャンバ12と比較して、フロントチャンバ120はより少ないガス容量で高い車外放出防止性能を効率よく発揮可能となっている。
再び図2を参照する。図2(a)に例示するセンタチャンバ122は、車外側へより大きく膨張する外側膨張チャンバとして形成されている。図2(c)は図2(a)のB−B断面図である。図2(c)に例示するように、センタチャンバ122では、外布140の左右の長さ(シーム部142からシーム部144にいたるまでの長さ)が、内布146の長さよりも長くなっている。そのためセンタチャンバ122は、外布140に折りL2、L3が形成されている。なお、図2(c)では2つの折りL2、L3が形成されているが、折りの数やその向きは適宜変更可能である。
図3(b)に例示するように、センタチャンバ16は、センタピラー108上に位置している。センタピラー108およびセンタチャンバ16は前部座席114の背もたれ115の真横に位置している。この位置は、乗員の衝突するおそれのほとんどない位置である。したがって、センタチャンバ16は省略可能であるとも思われる。しかし、センタチャンバ16がセンタピラー108に接触してこれに反発することは、エアバッグ10をより車内側へ膨張展開させるにあたり有益である。
そこで、図3(a)に例示するセンタチャンバ122は、図3(b)のセンタチャンバ16が車内側および車内側に略均等に膨張していたところ、車内側のみの膨張量が削減されている。これは、図3(a)のセンタチャンバ16は内布17および外布18の車両前後方向の長さが略同じであったところ、図2(c)を参照して説明したようにセンタチャンバ122では外布140が内布146よりも長いことに由来する形状である。
図3(a)のセンタチャンバ122の内布146および外布140の長さを詳細に説明すると、まず、外布140の長さは、膨張展開時に少なくとも他のチャンバの外布(例えばチャンバ148の外布150)に比べて車外側へより大きく張り出るように、シーム部142からシーム部144にかけて左右に長く設定されている。これにより、センタチャンバ122は、図3(b)のセンタチャンバ16と同様にセンタピラー108に反発し、かつセンタチャンバ16よりもエアバッグ全体をより大きく車内側へ移動させることが可能となっている。
一方、内布146の長さは、設計上における膨張時のセンタチャンバ122の左右のシーム部142からシーム部144にかけての直線的な距離と略同じ程度の長さに設定されている。したがって、膨張時において内布146はさほど膨らまない。このようにして、センタチャンバ122では、乗員の接触するおそれの少ない車内側のガス容量が削減されている。
これら図3(a)と図3(b)とを比較しながら説明したように、図3(a)のエアバッグ100は、フロントチャンバ120付近の車外放出防止性能が向上し、かつフロントチャンバ120およびセンタチャンバ122のガス容量が低減しているために低出力でより安価なインフレータが使用可能となっている。
図4は図1(b)のフロントチャンバ120の拡大図、図5は図4のカーテンエアバッグを用いた車外放出防止性能評価試験を例示する図である。図4に例示する記号A1は、NPRM(NHTSA−2009−0183)に基づく車外放出防止性能評価試験においてインパクタ160(図5参照)の衝突目標として定められる打点である。
インパクタ160は、同NPRM(NHTSA-2009-0183)のV. 「Proposed Ejection Mitigation Requirements and Test Procedures」で規定されている。このインパクタ160の衝突目標は、同NPRM(NHTSA-2009-0183)のV. 「Proposed Ejection Mitigation Requirements and Test Procedures」、d.「Locations Where the Device Would Impact the Ejection Mitigation Countermeasure To Asses Efficacy」、4.「Method for Determining Impactor Target Locations」で定められるターゲットロケーション(Target locations)に規定されている。これらの打点は、同NPRMで記載されている各ターゲットの打点位置、たとえばA1〜A4、B1〜B4などに示されている各ポイントによって示される。本実施例では、A1打点は、前部座席空間の側方のサイドウィンドウ112の車両前側下部に設定される。エアバッグ100のフロントチャンバ120は、エアバッグ100のうちA1打点を保護する部分に位置するよう設計される。
図5では、車外放出防止性能評価試験はサイドウィンドウを開口または取り除いて行われるため、サイドウィンドウを省略している。図5に例示するインパクタ160は、乗員を模擬した試験装置である。NHTSA-2009-0183に基づく側面衝突試験時では、インパクタ160がサイドウィンドウの内面に触れている状態におけるインパクタ160の最も車外表面に接している垂直面を基準として、そこからのインパクタ160の車外方向への移動量を測定する。
図4に例示する2本のストラップ130a、130bのうち、下方に傾斜して設けられるストラップ130bは、インパクタ160を受け止める際、A1打点を略水平に通過する直線L4に重なる姿勢となるよう設置される。A1打点にインパクタ160が衝突すると、図5に例示するようにフロントチャンバ120は車外側に向かって湾曲する。図4のようにストラップ130bは縁部124とフロントピラー106とを連結するため、フロントチャンバ120の車外側への移動は抑制される。その際、ストラップ130bが直線L4上に位置することで、直線L4に沿って張力線(テンションライン)が形成される。これにより、図5に例示するようにインパクタ160の荷重をストラップ130bを介して効率よく吸収することが可能となる。したがって試験時においてはインパクタ160、実際の衝撃発時においては乗員の車外方向の移動量を減少させることが可能となる。
ここで、図4のフロントチャンバ120は、膨張展開が他のチャンバに遅れて完了する、いわゆるディレーチャンバとなっている。フロントチャンバ120は、上方側にガス流入口152を有していて、チャンバ154からガス流入口152を通じてガスを受給する構成となっている。フロントチャンバ120へのガスの流路がガス流入口152のみに限定されているため、フロントチャンバ120はガスの単位時間当たりの受給量が制限されている。
フロントチャンバ120は、ディレーチャンバであることでロールオーバにより対応しやすくなっている。フロントチャンバ120は主に、ロールオーバ時に姿勢を大きく崩した乗員を拘束する。ロールオーバは側面衝突等の発生に続いて起こるため、センサによる衝突感知からフロントチャンバ120が必要となる時点までには相応の時差が生じる。そのため本実施形態では、フロントチャンバ120へのガスの供給を遅らせることで、ロールオーバ時に最も圧力が高まるよう膨張を制御している。
る。
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態にかかるカーテンエアバッグを例示する図である。図6(a)はカーテンエアバッグ(以下、「エアバッグ200」と記載する。)の非展開時、図6(b)はエアバッグ200の展開時をそれぞれ例示する。エアバッグ200は、フロントチャンバ120の車両前方にサブチャンバ202(図6(b)参照)を備える点において第1実施形態のエアバッグ100と異なっている。
図6(a)に例示する車両201のように、車種によってはフロントピラー106の下方にディビジョンバー204が設けられている場合がある。ディビジョンバー204は、サイドウィンドウ112とフロントピラーウィンドウ206とを分割するサッシュである。フロントピラーウィンドウ206はフロントドア208の一部である(フロントドア208と共に開閉する)が、車種によってはドアヒンジよりも前方に位置してボディーの一部となっている(フロントドア208と共には開閉しない)場合もある。いずれの場合にしても、サイドウィンドウ112が開閉する際にフロントピラーウィンドウ206は連動しない。
図7は、図6(b)のサブチャンバ202の各断面図である。図7(a)は図6(a)のE−E断面であり、図7(b)は、図7(a)に対応する未膨張状態のサブチャンバ202を例示する断面図である。
図7(a)に例示するサブチャンバ202は、車外側に偏って膨張する外側膨張チャンバとなっている。サブチャンバ202はフロントチャンバ120の前方で、ディビジョンバー204上に膨張展開するよう設計している。
エアバッグ200(特にフロントチャンバ120)に車内側から乗員が衝突すると、サブチャンバ202はその車外側に存在するディビジョンバー204に干渉する。サイドウィンドウ112は衝突時に開放されていることも考えられるため、車外放出防止性能を評価する場合にはサイドウィンドウ112はないものとして扱われる。しかし、ディビジョンバー204は当然に常に存在する。このディビジョンバー204にサブチャンバ202を干渉させることで、サブチャンバ202およびフロントチャンバ120の車外方向への移動量が減少する。したがって、乗員の車外放出の可能性は低下する。
サブチャンバ202は膨張領域の車両前後最前に位置していて、乗員の接触のおそれが殆どない。したがって、サブチャンバ202を車内側への膨張量を抑えた外側膨張チャンバとすることで、ガス容量をより少なく抑えることができる。また、サブチャンバ202の車両前方の末端はストラップ130aによって車両側面部のフロントピラー106に連結されている。したがってサブチャンバ202は、ディビジョンバー204に外布212を効率よく接触させてこれに反発することができる。これらによって、車外放出防止性能をより効率よく向上可能である。
なお、上記各実施形態の変形例として、リアピラー110(図3参照)に重なる位置にさらに新たな外側膨張チャンバを設けてもよい。これにより、特に後部座席116の乗員がエアバッグに接触した際、外側膨張チャンバがリアピラー110に干渉するため乗員の車外放出防止を効率よく達成することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。例えば、A1打点以外のA2〜A4、B1〜B4打点が位置するチャンバを内側膨張チャンバとすることも可能である。
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、上記実施形態においては本発明にかかるカーテンエアバッグを自動車に適用した例を説明したが、自動車以外にも航空機や船舶などに適用することも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、車両の側面衝突時やロールオーバ(横転)時に、乗員保護を目的として車両室内の側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグに利用することができる。
L1〜L3 …折り、L4 …直線、100、200、10 …エアバッグ、102、201 …車両、104 …インフレータ、106 …フロントピラー、108 …センタピラー、110 …リアピラー、112 …サイドウィンドウ、114 …前部座席、115 …背もたれ、120、12 …フロントチャンバ、122、16 …センタチャンバ、124 …縁部、126、142、144、 …シーム部、130a、130b …ストラップ、132、138、146、210、14、17 …内布、134、140、150、212、15、18 …外布、136、148、154 …チャンバ、152 …ガス流入口、160 …インパクタ、202 …サブチャンバ、204 …ディビジョンバー、206 …フロントピラーウィンドウ、208 …フロントドア

Claims (5)

  1. 車外側の外布と車内側の内布とにより袋状に形成され、車両室内の側面部上方に収納されて該側面部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグであって、
    ガスが流入して膨張する膨張領域のうち前記外布と内布とが接合した非膨張領域によって区画される複数のチャンバを備え、
    前記複数のチャンバは、
    内布の長さが外布よりも車両前後方向に長く、該内布が膨張展開時に少なくとも他のチャンバの内布よりも車内側へ張り出る内側膨張チャンバと、
    外布の長さが内布よりも車両前後方向に長く、該外布が膨張展開時に少なくとも他のチャンバの外布よりも車外側へ張り出る外側膨張チャンバと、を含み、
    前記内側膨張チャンバは、少なくとも、車外放出防止性能評価試験において乗員を模擬したインパクタが衝突する衝突目標のうち車両前後方向の最前の衝突目標を保護する部分に位置していて、
    前記外側膨張チャンバは、前記側面部のピラー上に位置していることを特徴とするカーテンエアバッグ。
  2. 当該カーテンエアバッグはさらに、
    前記内側膨張チャンバのさらに末端と、該末端よりも当該カーテンエアバッグから離れた位置であってサイドウィンドウよりも車内側に突出するピラーとに連結されるストラップを備え、
    前記ストラップは、膨張展開後の当該カーテンエアバッグによって車両前後方向に緊張する形状を有することを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
  3. 前記外側膨張チャンバはさらに、サイドウィンドウとフロントピラーウィンドウとを分割するディビジョンバー上の位置にも設けられることを特徴とする請求項1に記載のカーテンエアバッグ。
  4. 当該カーテンエアバッグは、
    前記外側膨張チャンバのさらに末端と、該末端よりも当該カーテンエアバッグから離れた位置の前記側面部とに連結されるストラップをさらに備え、
    前記ストラップは、膨張展開後の当該カーテンエアバッグによって車両前後方向に緊張する形状を有することを特徴とする請求項3に記載のカーテンエアバッグ。
  5. 前記ストラップは、車外放出防止性能評価試験において乗員を模擬したインパクタを受け止める際にその打点を略水平に通過する直線に重なる姿勢となるよう設置されることを特徴とする請求項2または4に記載のカーテンエアバッグ。
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