JP5855583B2 - 抗シグナルペプチド抗体の製造方法 - Google Patents

抗シグナルペプチド抗体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、抗シグナルペプチド抗体の製造方法に関する。
従来、タンパク質に対する抗体を作成するために、該タンパク質のアミノ酸配列の一部を化学合成したペプチドを抗原として用いている。この場合、タンパク質に比べて分子量の小さい該ペプチドは免疫原性が低いので、一般に、高分子量のキャリアタンパク質と架橋剤により共有結合(以下、「コンジュゲート」と表現することもある)させ、免疫に用いる抗原としている(非特許文献1)。
分子量の小さいペプチドが架橋されたキャリアタンパク質からなる抗原は、多数の該ペプチドをキャリアタンパク質に保持していることにより、目的の抗体を産出する免疫応答を強く誘起する。したがって、目的の抗体を得るためには高効率でペプチドとキャリアタンパク質との架橋反応を行わせる必要がある。高効率で架橋反応を行うためには、ペプチド、キャリアタンパク質及び架橋剤を溶液中に溶解、分散させ、基質同士が自由に衝突することが必要である。
また、抗体を作成するタンパク質のどの部分のペプチド配列を抗原とするかを決定する指標として、(1)一箇所ではなく、複数箇所のペプチド配列を抗原として選ぶ、(2)C末端又はN末端の親水性が高いペプチド配列を抗原とする、(3)内部の比較的長く、親水性が高いペプチド配列を抗原とすることが推奨されている(非特許文献1)。これら(1)〜(3)の指標は、タンパク質の表面に露出している可能性が高い領域を抗原とする狙いがあり、生体内存在状態の3次元構造を形成しているタンパク質を検出する抗体が得られる可能性が高まる。したがって、実際に化学合成されるペプチドのほとんどは親水性が高く、キャリアタンパク質との架橋反応においても、親水性ペプチドは架橋反応を行わせる溶液中で容易に溶解するので、高効率に架橋反応を行わせることができる。
一方、生体内においてペプチドそのものがホルモンや神経伝達物質などの様々な機能を有することが知られている。そのようなペプチドに対する抗体を作成する場合、ペプチドの親水性が高ければ、キャリアタンパク質に該親水性ペプチドをコンジュゲートさせて、上記のような従来の抗体の作製方法を問題なく適用することができる。しかしながら、疎水性が高いペプチドに関しては、架橋反応を行わせる溶液中で溶解させることが困難であり、平易に適用することができず、架橋産物を作製することができなかった。
このような疎水性が高いペプチドとしては、TATペプチドや、TP−10などの細胞膜透過性ペプチドやシグナルペプチドが挙げられる。分泌タンパク質やミトコンドリアタンパク質などのシグナルペプチドの多くは、生体内においてタンパク質合成時にN末端に付加された状態で合成され、シグナルペプチドの配列にタンパク質が移行するべき区画(ミトコンドリア、細胞外など)に関する情報が含まれている。大部分のタンパク質は、目的の区画へ移行するとシグナルペプチダーゼによりシグナルペプチドが切断され除かれる。従来、このシグナルペプチドはタンパク質の移行するべき区画へ誘導する働きしかないと考えられていたが、近年、シグナルペプチダーゼによる切断を受けた後、別の生理的役割を担うことが複数報告されている(非特許文献2等)。
例えば、カルレティキュリン(calreticulin)のシグナルペプチドの一部が主要組織適合複合体(MHC)により細胞表面に提示されることが明らかにされている(非特許文献3)。この現象の生理学的意義については、細胞内タンパク質の発現量又は正常なシグナルペプチドの産生割合をモニターするための機構の一部である可能性が考えられているが、結論は出ていない。
また、カルシトニン(calcitonin)のシグナルペプチドの一部がMHCにより非小細胞性肺がん細胞の表面に提示され、細胞傷害性T細胞がこのペプチドをエピトープとして認識することが示されており、がんワクチンの開発につながると期待されている(非特許文献4)。
このように、これら提示されるシグナルペプチドが何らかの生理的・病理的意義を持つことは明らかである。したがって、従来得られなかった、シグナルペプチド等の疎水性が高いペプチドを認識する抗体は、今後の生理的現象の解明や病気の新規診断方法・治療方法につながると考えられる。
Antibodies、Cold Spring Harbor Laboratory、第一版、1988、pp.72−77 Trends in Cell Biology、1988、vol.8、pp.410−415 Science、1992、vol.255、pp.1264−1266 Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、2008、vol.29、no.105、pp.10119−10124
近年、疎水性が高いペプチドを認識する抗体の製造が求められている。従来は、検出対象のタンパク質において親水性の高いペプチド配列を選んでペプチドを合成していたので、そもそも疎水性が高いペプチドを合成し、キャリアタンパク質とコンジュゲートすることは行なわれなかった。そのため、シグナルペプチドを検出する抗体は未だ報告がない。
また、本発明者らにおいてもこのような従来方法を用いてコンジュゲート反応を行ってみたものの、疎水性が高いペプチドは溶液中で凝集、沈殿してしまうため、キャリアタンパク質と架橋することがほとんど不可能であるという結果であった。
本発明は前述の問題に鑑みてなされたものであり、疎水性が高いペプチドに対する抗体を製造する方法を提供することを目的の1つとする。
本発明者らが、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、疎水性ペプチドであるアミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドをPEG系界面活性剤により可溶化させる方法により、抗シグナルペプチド抗体を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
(1)アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドを、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合して、シグナルペプチドミセル凝集体を作成する工程、及び
(2)前記シグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物に投与する工程、
を含む、抗シグナルペプチド抗体の製造方法。
[2]
前記PEG系界面活性剤が、下記式で表される群から選択される少なくとも1種の化合物である、[1]に記載の抗シグナルペプチド抗体の製造方法。
(式中、mは、0〜10の整数であり、nは、10〜70の整数である。xは、30〜60の整数である。)
[3]
前記PEG系界面活性剤が、CS−050又はPEG60である、[1]又は[2]に記載の抗シグナルペプチド抗体の製造方法。
[4]
前記工程(1)において、アジュバントをさらに混合する、[1]〜[3]のいずれかに記載の抗体の製造方法。
[5]
(1)アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドを、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合して、シグナルペプチドミセル凝集体を作成する工程、
(2)前記シグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物に投与する工程、及び
(3)前記被免疫動物より抗体産生細胞を採取し、ミエローマ細胞と融合する工程を含む、ハイブリドーマ細胞の製造方法。
[6]
(1)アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドを、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合して、シグナルペプチドミセル凝集体を作成する工程、
(2)前記シグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物に投与する工程、
(3)前記被免疫動物より抗体産生細胞を採取し、ミエローマ細胞と融合してハイブリドーマ細胞を作製する工程、及び
(4)前記ハイブリドーマ細胞を培養する工程を含む、モノクローナル抗体の製造方法。
本発明により、疎水性が高いペプチドに対する抗体を製造する方法を提供することができる。
PEG系界面活性剤を含むAPP−SP溶液の分散状態を動的光散乱粒度分布計を用いて計測した結果を示す。 ELISAにおける吸光度(450nm)の測定結果を示す。 界面活性剤を含むAPP−SP溶液の分散状態を動的光散乱粒度分布計を用いて計測した結果を示す。 抗体価の上昇の見られた血清サンプルにおける、経時的な、ELISAの測定結果を示す。 ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のAPP−SPに対する競合ELISAの測定結果を示す。 得られたモノクローナル抗体のAPP−SPに対するELISAの測定結果を示す。
以下、本発明について、その好ましい態様を具体的に説明する。なお。本発明は、以下の発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の抗シグナルペプチド抗体の製造方法は、
(1)アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドを、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合して、シグナルペプチドミセル凝集体を作成する工程、及び
(2)前記シグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物に投与する工程、
を含む、抗体の製造方法である。
本発明において、疎水性が高いペプチドである「疎水性ペプチド」とは、ペプチド配列の全アミノ酸残基数中の疎水性アミノ酸残基の数が少なくとも30%以上であるペプチドをいう。疎水性ペプチドとしては、疎水性アミノ酸残基の数が、30%以上であれば特に限定されないが、50%以上であってもよく、80%以上であってもよい。
ここで、疎水性ペプチドとしては、アミノ酸残基数が50以下のペプチドであり、30以下であってもよく、20以下であってもよい。疎水性ペプチドのアミノ酸残基数は、5以上であってもよく、10以上であってもよい。
すなわち、例えば、疎水性ペプチドの疎水性アミノ酸残基の数が30%であり、ペプチド配列の全アミノ酸残基数が50である場合には、疎水性アミノ酸を15残基含み、残りの35残基は疎水性アミノ酸以外のアミノ酸であることを意味する。
疎水性アミノ酸としては、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Pro、Gly、Ala及びMetをいい、Metについては、S−メチル化されたS−メチルメチオニンであってもよく、Metと記載する場合には、フリーのメチオニン又はS−メチルメチオニンを意味する。
なお、アミノ酸は、IUPACの命名法に従い、1文字又は3文字表記により表わす。
アミノ酸残基とは、疎水性ペプチドが、例えば、Met−Leu−Proというトリペプチドで表わされる場合、Metに由来するトリペプチド中の部分構造、Leuに由来するトリペプチド中の部分構造、Proに由来するトリペプチド中の部分構造をいう。
疎水性ペプチドは、天然由来の単離されたペプチドであってもよく、従来公知の方法により製造されるペプチドであってもよい。ペプチド合成の分野において、アミノ酸残基数50程度のペプチドは、従来公知の方法により化学合成してもよく、微生物などを用いて組み換え技術により合成されたものであってもよい。
疎水性ペプチドとして、細胞膜透過性ペプチドやシグナルペプチドが挙げられる。
シグナルペプチドとは、リボソームにてmRNAから翻訳された合成されたタンパク質を特定部位(たとえば小胞体膜表面の受容体)に誘導するための「道しるべ」となるペプチドであって、合成されたポリペプチド鎖の先端にある。タンパク質合成途中時にリボソーム表面から伸長されたシグナルペプチドを認識するSRP(Signal peptide recognition particle)がシグナルペプチドに固定化、吸着されるとそのまま、小胞体膜表面のSRP認識受容体に認識固定化される。その後、小胞体膜表面上の膜タンパク質(トランスコロン)内からリボソーム中で起こるシグナルペプチドを含むポリペプチド伸長反応によってできるペプチド鎖が細胞内に押し出されていく。その過程にて細胞膜中のトランスコロンに隣接するシグナルペプチターゼ膜タンパク質によって、シグナルペプチドは切断され、その後別の膜タンパク質によってシグナルペプチド自体も分解される。シグナルペプチドは疎水性アミノ酸をその配列中に多く含むため、疎水性ペプチドであり、疎水性が高いため、普通の緩衝液には不溶である。現在、シグナルペプドには細胞誘導分化に関係した誘導機能が含まれている可能性を探る研究や、タンパク質蓄積による病疾患に関連する研究分野が注目されており、シグナルペプチド又はその断片と細胞との相互作用を厳密に調べる技術がますます重要となっており、従来技術によるとシグナルペプチドが疎水性であるため、抗体を作成することが困難であるところ、本発明の抗体の製造方法によれば、疎水性ペプチドであるアミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドの抗体を得ることができる。
一般に、アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドとは、アミロイド前駆体タンパク質のN末端から17残基までの配列番号1で記載されるアミノ酸配列で示されるシグナルペプチド(Met Leu Pro Gly Leu Ala Leu Leu Leu Leu Ala Ala Trp Thr Ala Arg Ala)を意味し、本明細書においては、配列番号1で示されるシグナルペプチドと限定して解される場合には、APP−SPと記載する。
本発明の抗シグナルペプチド抗体の製造方法において用いられる、アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドとしては、APP−SPであってもよく、APP−SPの部分配列であってもよい。本発明の製造方法において部分配列を用いる場合には抗シグナルペプチド抗体を製造できる部分配列を有するものであれば特に限定されるものではないが、APP−SPの部分構造として、6残基以上の配列を有していることが好ましく、より好ましくは、10残基以上の配列を有している。
本発明の目的を達成し得る範囲内であれば、APP−SPの全配列及びAPP−SPの部分配列は、1又は数個のアミノ酸が欠失、付加、及び/又は置換された配列であってもよい。
本発明において、「PEG系界面活性剤」としては、分子内にポリエチレングリコール(PEG)構造を有する界面活性剤であれば特に限定されるものではない。
PEG系界面活性剤としては、親水性部分構造としてのPEGと、疎水性部分構造としての、コレステロール骨格、炭素数8〜20の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素骨格等とが、PEG末端のアルコール性水酸基とエーテル結合、エステル結合等を介して、共有結合している化合物が挙げられる。
PEG系界面活性剤として、本発明においてアミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドを可溶化できる化合物であれば特に限定されるものではないが、PEG部分の繰り返し構造(エチレングリコール構造)の重合度としては、例えば、70以下であり、60以下であってもよい。
PEG系界面活性剤としては、例えば、下記式で表される群から選択される少なくとも1種の化合物等が挙げられる。
(式中、mは、0〜10の整数であり、nは、10〜70の整数である。xは、30〜60の整数である。)
式中、nやxが繰り返し構造の重合度を意味する。
上記式で表される群から選択される少なくとも1種の化合物で表わされるPEG系界面活性剤としては、上記式において、xが50であるCS−050、mが1であり、nが60であるPEG60、nが36であるPEG36、nが24であるPEG24、nが12であるPEG12等が挙げられる。
本発明の抗体の製造方法においては、アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチド(以下、単に「シグナルペプチド」と記載する場合がある)を、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合して、シグナルペプチドミセル凝集体を作成する工程である工程(1)を含む。
アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドと、PEG系界面活性剤を含む溶液との混合は、特に限定されるものではなく、該シグナルペプチドを、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合すればよい(シグナルペプチドにPEG系界面活性剤を含む溶液を混合してもよく、実質的に、シグナルペプチドを含む溶液に、PEG系界面活性剤を混合してもよい。)。工程(1)において、シグナルペプチドは、PEG系界面活性剤を含む溶液中で、PEG系界面活性剤とミセルを形成することにより可溶化され、シグナルペプチドミセル凝集体を含むシグナルペプチド溶液とすることができる。
PEG系界面活性剤を含む溶液の溶媒としては、シグナルペプチドを変性させない溶媒であれば特に限定されないが、水が挙げられ、また、PEG系界面活性剤を含む溶液には、DMSOまたはDMF等の非プロトン性溶媒が含まれていてもよい。
PEG系界面活性剤を含む溶液中の、PEG系界面活性剤の濃度としては、0.1wt%〜5.0wt%であってもよく、0.5wt%〜2.0wt%であってもよく、0.8wt%〜1.5wt%であってもよい。
PEG系界面活性剤を含む溶液中の、PEG系界面活性剤以外の成分としては、該溶液が、水を主体とする緩衝溶液であってもよいことから、緩衝溶液成分として、塩化ナトリウム又は塩化カリウム等の塩類等を含んでいてもよい。PEG系界面活性剤以外の成分の濃度としては、該溶液中、0.1wt%〜10wt%であってもよく、1wt%〜5wt%であってもよい。
PEG系界面活性剤を含む溶液中にシグナルペプチドを混合する際に、シグナルペプチドの濃度は、シグナルペプチドを溶液中で可溶化させられれば特に限定されるものではないが、例えば、0.1mg/mL〜5mg/mLである。
PEG系界面活性剤を含む溶液と、シグナルペプチドの混合する際の反応温度は特に限定されるものではなく、前もって、PEG系界面活性剤を含む溶液を加温して混合してもよく、PEG系界面活性剤を含む溶液を冷却して混合してもよく、また、PEG系界面活性剤を含む溶液に室温下でシグナルペプチドを混合してもよい。
混合する際に、超音波攪拌装置等を用いることができる。
本発明において、「シグナルペプチドミセル凝集体」が抗原として作製されるが、以下シグナルペプチドミセル凝集体について詳細を説明する。
シグナルペプチドミセル凝集体においては、シグナルペプチドが、自己凝集し、PEG系界面活性剤によって取り囲まれた構造である、シグナルペプチドの凝集オリゴマーとして存在している。すなわち、シグナルペプチドミセル凝集体においては、シグナルペプチドが、PEG系界面活性剤との凝集複合体として、可溶化・安定化されていると考えられる。また、DLS(動的光散乱粒度分布計)を用いてミセルの分散状態を確認することもできる。シグナルペプチドミセル凝集体は、DLS測定の結果として、約2.5〜100nmの半径を有していてもよく、シグナルペプチドの凝集オリゴマー中には、約500〜2000のシグナルペプチドが存在していてもよい。
シグナルペプチドミセル凝集体を作成する際に、アジュバントをさらに混合して、エマルジョン化(oil in water)してもよい。アジュバントによりエマルジョン化された溶液において、シグナルペプチドミセル凝集体は、凝集ミセルとしての形態が保持されている。
アジュバントとしては、例えば、フロイント完全アジュバント(例えば、シグマ社製、F5881)、不完全アジュンバント(例えば、シグマ社製、F5506)等が挙げられる。
アジュバントの添加量としては、アジュバントを含む溶液のトータルの容積に対して40%〜60%であってもよく、45%〜55%であってもよく、48%〜52%であってもよい。
アジュバントをさらに混合する際の反応温度は特に限定されるものではなく、前もって、シグナルペプチドミセル凝集体の溶液を加温して混合してもよく、シグナルペプチドミセル凝集体の溶液を冷却して混合してもよく、また、シグナルペプチドミセル凝集体の溶液に室温下でアジュバントを混合してもよい。
シグナルペプチドミセル凝集体は、粒度分布を揃えるために整粒してもよく、例えば、0.45μmフィルターを通して、不純物、ごみなどを除去する等の方法により粒度を揃えることができる。
シグナルペプチドミセル凝集体の粒度は、5nm〜200nmであってもよく、5nm〜100nmであってもよい。
シグナルペプチドミセル凝集体の粒度は、日機装社製の動的光散乱粒度計測装置を用いて測定することができる。
本発明の抗体の製造方法においては、工程(1)で作成されたシグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物に投与する工程である工程(2)を含む。
シグナルペプチドミセル凝集体を、被免疫動物に投与することにより、被免疫動物における免疫反応を惹起して、アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドの抗体を産生させることができる。
被免疫動物としては、特に限定されるものではないが、実験動物として用いられる、モルモット、ラット、マウス、ウサギ及びヒツジ等が挙げられる。
シグナルペプチドミセル凝集体の投与方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内及び皮内等の投与経路が挙げられる。シグナルペプチドミセル凝集体の投与スケジュールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、2週間の投与間隔で、抗原を約2〜10回投与することにより、アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドに対する抗体を産生させることができる。
投与スケジュールに併せて適宜、被免疫動物から血清サンプルを採取して抗体の産生量を確認して、十分に免疫反応が惹起されているか確認することもできる。
最終免疫後、被免疫動物から血清を採取して、従来公知の方法により精製して抗シグナルペプチド抗体を得ることができる。
初回免疫、追加免疫のためのシグナルペプチドミセル凝集体の投与量は、特に限定されるものではないが、シグナルペプチドの投与量として、例えば、マウス1匹当たり10〜200μgとすることができる。
シグナルペプチドミセル凝集体を投与する際に、アジュバントを同時投与してもよく、斯かるアジュバントとしては、免疫反応を高力価で惹起することのできる従来公知のアジュバントを用いることができる。アジュバントの具体例として、初回免疫時にフロイント完全アジュバント(シグマ社製、F5881)を、追加免疫時にフロイントの不完全アジュンバント(シグマ社製、F5506)を使用することができる。
本発明の抗体の製造方法により、ポリクローナル抗体を得ることができるが、続いて、従来公知の方法により抗体を精製して、純度の高い抗体とすることができる。
また、抗体を産生した被免疫動物の脾臓又はリンパ節等から抗体産生細胞を採取することにより、ハイブリドーマ細胞を製造することができ、また、モノクローナル抗体を得ることもできる。
本発明のハイブリドーマ細胞を製造する方法は、
(1)アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドを、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合して、シグナルペプチドミセル凝集体を作成する工程、
(2)前記シグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物に投与する工程、及び
(3)前記被免疫動物より抗体産生細胞を採取し、ミエローマ細胞と融合する工程を含む、ハイブリドーマ細胞を製造する方法である。
本発明のモノクローナル抗体を製造する方法は、
(1)アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドを、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合して、シグナルペプチドミセル凝集体を作成する工程、及び
(2)前記シグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物に投与する工程、
(3)前記被免疫動物より抗体産生細胞を採取し、ミエローマ細胞と融合してハイブリドーマ細胞を作製する工程、及び
(4)前記ハイブリドーマ細胞を培養する工程を含む、モノクローナル抗体を製造する方法である。
本発明において、工程(2)において、シグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物に投与し、免疫反応を惹起させ、次いで、当業者周知の方法に従い、モノクローナル抗体を取得することができる。
抗体を産生するのに十分に免疫した被免疫動物の脾臓又はリンパ節などより抗体産生細胞を採取し、ミエローマ細胞と融合させてハイブリドーマ細胞を作製した後、目的の抗原、好ましくは目的のタンパク質に対して特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞のスクリーニングを行う。
当該ハイブリドーマ細胞を培養することにより、安定的にモノクローナル抗体を製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)アミロイド前駆体タンパクのシグナルペプチドの合成
GL Biochem Ltd.(Shanghai)に委託して、ヒトアミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチド(APP−SP、配列番号1)の化学合成を行った。
(2)シグナルペプチドミセル凝集体の作成
(1)で得られたAPP−SPを、PEG系界面活性剤である、0.5% CS−050(日脂株式会社製)水溶液又は1% PEG60(Polypure AS社(Norway)製)水溶液に、APP−SP濃度が1mg/mLとなるように溶解させた。
得られたPEG系界面活性剤を含むAPP−SP溶液の分散状態を動的光散乱粒度分布計(DLS)UPA−UT151(日機装社製)を用いて計測した結果を図1に示す。
(3)エマルジョン分散溶液の作成
(2)で得られたAPP−SP溶液を、アジュバントオイル(パラフィンオイルを主体としたエマルジョン作成原料)と等量ずつ混合させ、APP−SPを含むエマルジョン分散溶液を作成した。
初回免疫用の分散溶液の作成には、フロイント完全アジュバント(シグマ社製、F5881)を、追加免疫用の分散溶液の作成には、フロイントの不完全アジュンバント(シグマ社製、F5506)を用いた。
得られたエマルジョン分散溶液のDLSによる粒度分布測定を行ったところ38nm付近を中心とするミセル凝集体の存在を確認した(データ非開示)。
(4)被実験動物への投与
(3)で得られたエマルジョン分散溶液を4週令の雌性SPF/VAF マウス BALB/cAnNCγ1Cγ1j(日本チャールズ・リバー社製)にAPP−SPが60μgずつ投与されるよう調整して、腹腔内に皮下注射により、表1に示す投与スケジュールで投与した。採血1〜7は眼底より行なった。なお、アジュバントとして初回免疫時(0日)はフロイントの完全アジュバント(シグマ社製、F5881)を、追加免疫時(14日以降)にはフロイントの不完全アジュバント(シグマ社製、F5560)を用いた。投与群については、表2に示す。
(5)抗体価の測定
表1に示した採血で得た血清を用いてELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)を以下のように行なった。
(1)で化学合成したAPP−SPと、PEG60とを、2.5mg/mL APP−SP、1%PEG60となるようにして得られた調製溶液を、0.45μmフィルターでろ過した。
ろ過液を純水で350倍希釈し、96穴マイクロウェルプレート(Nunc社製)に100μLずつ添加し、室温で一晩静置した。ウェル内の溶液を破棄し、3% BSA(シグマ社製、Albumin、bovine serum、Fraction V、minimum 96%、lyophilized powder)、0.1% NaN、PBS(phosphate buffered saline、pH7.0)を250μL添加し、3時間静置した。ウェル内の溶液を破棄し、1% BSA、0.05% NaN、TBS(Tris buffered saline、pH7.5)で1000倍希釈した採血6および7で得られた血清を100μL添加し、1時間静置した。PBST(PBS(pH7.4)、0.1% Tween20)でウェル内を6回洗浄後、1% BSA含有PBS(pH7.4)で4000倍希釈したHRP labeled Anti−mouse IgG(H+L chain)(MBL社製)を100μL添加し、1時間静置した。PBSTでウェル内を6回洗浄後、TMB+(Dako社製)を100μL添加し、30分間暗室で静置した。2規定硫酸を100μL添加後、450nmと650nmの吸光度を測定し、その差を測定データとした。
黄色に発色しているウェルに高い力価をもつ血清抗体(ポリクローナル抗体)が存在している。なお、N1及びN2として、n数=2で反応を行った。
各ウェルの450nmにおける吸光度を測定したデータをグラフ化して、図2に示す。
図2から、14週目に急速な抗体力価上昇しめす血清サンプルが観測された。
本方法にて免疫させて得られた抗体力価は50,000倍希釈にてELISAによる吸光度の高い値の例では約0.7から0.3前後の強度を示す。このように、PEG系界面活性剤とAPP−SPとのシグナルペプチドミセル凝集体を作成し、コンジュゲートタンパク分子を用いずに直接、該凝集体を抗原として検体に投与して、非常に高い力価の血清抗体が得られることが分かった。
(6)シグナルペプチドミセル凝集体の作成
また、(1)で得られたAPP−SPを、PEG系界面活性剤である、1% PEG12(Polypure AS社(Norway)製水溶液又は1% PEG60(Polypure AS社(Norway)製)水溶液に、APP−SP濃度が0.5mg/mLとなるように溶解させた。
比較例として、10% SDS(和光純薬)水溶液を用いた。
得られたPEG系界面活性剤を含むAPP−SP溶液の分散状態を動的光散乱粒度分布計(DLS)UPA−UT151(日機装社製)を用いて計測した結果を図3に示す。
シグナルペプチドミセル凝集体の水溶液の円2色性スペクトルを測定したところ(データ非開示)、PEG系界面活性剤であるPEG12やPEG60を用いた場合には、APP−SPに含まれるαヘリックス構造を保持しながらPEG系界面活性剤による可溶化ができることが分かった。一方、SDSとの可溶化ではAPP−SPが変性してしまい、2次構造を保持できずに溶液化されていることが分かった。
以下のようにしてモノクローナル抗体を作成した。
(7)シグナルペプチドミセル凝集体の作成
(1)で化学合成したAPP−SPを、PEG系界面活性剤として、PEG60(Polypure AS社(Norway)製)を用いて1.0mg/mL APP−SP、1% PEG60となるよう調製して、APP−SPが可溶化したシグナルペプチドミセル凝集体を得た。
(8)エマルジョン分散溶液の作成
(7)で得られたシグナルペプチドミセル凝集体の溶液と等量のアジュバントを混合し、超音波処理して、抗原としてのエマルジョン分散溶液を得た。
エマルジョン分散溶液を、表3に示す投与スケジュールで、APP−SPが60μgずつ投与されるよう調整して、腹腔内に皮下注射により、4週令の雌性SPF/VAF マウス BALB/cAnNCγ1Cγ1j(日本チャールズ・リバー社製)に投与した。採血1〜7は眼底より行なった。なお、アジュバントとして初回免疫時(0日)はフロイントの完全アジュバント(F5881、シグマ社製)を、追加免疫時(14日以降)にはフロイントの不完全アジュバント(F5506、シグマ社製)を用いた。
(9)抗体価の測定
表3に示した採血で得た血清を用いて、上記(5)と同様にしてELISAを行った。
抗体価の上昇が見られたサンプルにおける採血1〜7で得られた血清を用いた。450nmと650nmの吸光度を測定し、450nmから650nmの吸光度を差し引いた値を縦軸として、得られた結果を図4に示す。
図4の結果より、マウス体内において、ヒトアミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチド(APP−SP)に結合性を有する抗体産生が行なわれていることが確認できた。
(10)抗APP−SPモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作成
株式会社ベックスに委託して、(9)抗体価の測定において、抗体価の上昇がみられたマウスのB細胞をもとにハイブリドーマを作製した。
APP−SPに対する抗体価の上昇が確認された免疫開始後94日目のマウスの脾臓を摘出して調整したB細胞と、ミエローマ細胞P3U1とを、50%PEG1500(ロシュ社製)の作用によって細胞融合させた。融合後の細胞を、あらかじめフィーダー細胞を加えた96穴プレート10枚へ蒔き、HAT培地によりハイブリドーマを選択的に増殖させた。
反応性が確認されたウェル内の細胞を24穴プレートにて拡大培養させた。拡大培養後、上記(5)と同様にしてELISAを行い、陽性が示されたハイブリドーマを選択し、クローニングを行なった。クローニングは限界希釈法を2回繰り返すことにより行い、最終的にAPP−SPに反応を示すモノクローナル抗体を産生する1種類のクローンを得た(以下、このクローンを12A3ハイブリドーマと呼ぶ)。かかる12A3ハイブリドーマは、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD、日本国 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に2012年1月6日に特許手続上の微生物の寄託等の国際的承認に関するブタペスト条約に基づいた国際寄託され受領されている(受領番号NITE ABP−1198)。
(11)12A3ハイブリドーマが産生する抗APP−SPモノクローナル抗体の評価
抗APP−SPモノクローナル抗体のAPP−SPに対する反応特異性を調べるため、競合ELISAを行なった。具体的には、上記(5)と同様の方法でELISAを行なうのだが、一次抗体反応には、12A3ハイブリドーマを培養させた培養上清を3倍希釈で使用し、この溶液に0.2% PEG60を含む場合(競合−)と、100μg/mL APP−SP、0.2% PEG60を含む場合(競合+)とを用意し比較した。図5に結果を示すように、APP−SPを競合させた場合、シグナル強度が92%減少したため、本モノクローナル抗体のAPP−SPに対する結合性を確認することが出来た。
また、マウスモノクローナル抗体サブクラス判定キット(ロシュ社製)を用いて12A3ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のサブクラスを解析したところ、IgG2aであることが示された。
(12)抗APP−SPモノクローナル抗体の製造
メスのマウスBALB/c 3匹にプリスタン(シグマ社製)を1匹あたり0.5mL腹腔内に投与した。1週間後、あらかじめ培養しておいた12A3ハイブリドーマを1匹あたり1×10個腹腔内に投与した。1週間後、腹水を採取し、遠心操作により上清を回収した。3匹から9.5mLの上清液が得られた。得られた上清液に50%になるよう飽和硫酸アンモニウム溶液を滴下し、4℃で1時間撹拌させた。
次に、遠心操作を行い、上清を破棄した。再度、50%飽和硫酸アンモニウム、PBS(pH7.4)を添加し、軽く撹拌した後、遠心操作を行って上清を破棄した。得られた沈殿にリン酸緩衝液を添加、溶解させた。さらに、脱塩カラムPD−10(GEヘルスケア社製)を用いてリン酸緩衝液にバッファー交換を行なった。この溶液から、protein G カラム(GEヘルスケア社製)を使用したアフィニティクロマトグラフィーにより、IgG画分のみ精製した。溶出液は0.1M グリシン(pH2.7)で行い、脱塩カラムPD−10によりリン酸緩衝液にバッファー交換した。UV280nmの吸光度を測定することにより、15mgの抗APP−SPモノクローナル抗体が得られたことがわかった。
(13)精製後の抗APP−SPモノクローナル抗体のELISA評価
(12)で得られた抗APP−SPモノクローナル抗体を用いて、上記(5)と同様のELISAを行なった。但し、一次抗体には(12)で得た抗APP−SPモノクローナル抗体を含む溶液を使用した。結果を図6に示す。
図6に示すように、精製後、本抗体のAPP−SPに対する反応性が確認できた。
関連出願の相互参照
本出願は、2011年1月7日出願の日本特許出願(特願2011−2464号)及び2011年1月7日出願の日本特許出願(特願2011−2465号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明により、疎水性が高いペプチドに対する抗体を製造する方法を提供することができる。本発明の製造方法により得られる抗APP−SP抗体は、アルツハイマー病の診断、治療などに利用することができるという点で、産業上の利用可能性を有する。
配列番号1は、アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドのアミノ酸配列を示す。

Claims (6)

  1. (1)アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドを、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合して、シグナルペプチドミセル凝集体を作成する工程、及び
    (2)前記シグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物(ヒトを除く)に投与する工程、
    を含む、抗シグナルペプチド抗体の製造方法。
  2. 前記PEG系界面活性剤が、下記式で表される群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の抗シグナルペプチド抗体の製造方法。
    (式中、mは、0〜10の整数であり、nは、10〜70の整数である。xは、30〜60の整数である。)
  3. 前記PEG系界面活性剤が、上記式において、xが50であるCS−050、又はmが1であり、nが60であるPEG60である、請求項に記載の抗シグナルペプチド抗体の製造方法。
  4. 前記工程(1)において、アジュバントをさらに混合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体の製造方法。
  5. (1)アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドを、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合して、シグナルペプチドミセル凝集体を作成する工程、
    (2)前記シグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物(ヒトを除く)に投与する工程、及び
    (3)前記被免疫動物より抗体産生細胞を採取し、ミエローマ細胞と融合する工程を含む、ハイブリドーマ細胞の製造方法。
  6. (1)アミロイド前駆体タンパク質のシグナルペプチドを、PEG系界面活性剤を含む溶液中に混合して、シグナルペプチドミセル凝集体を作成する工程、
    (2)前記シグナルペプチドミセル凝集体を被免疫動物(ヒトを除く)に投与する工程、
    (3)前記被免疫動物より抗体産生細胞を採取し、ミエローマ細胞と融合してハイブリドーマ細胞を作製する工程、及び
    (4)前記ハイブリドーマ細胞を培養する工程を含む、モノクローナル抗体の製造方法。
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