以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施の形態に係る電動アシスト車について説明する。また、以下の説明では、同一の部材には同一の参照符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
なお、以下では、電動アシスト車として台車を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。たとえば、ショッピングカート、ベビーカ等の、利用者が外部から力を加えることにより移動する構成(つまり、押したり引いたりすることにより移動する構成)であれば、特に限定されるものではない。
[実施の形態1]
<A1.外観>
図1は、本実施の形態に係る電動アシスト車1の概略構成を説明するための図である。図1(A)は、電動アシスト車1の斜視図である。図1(B)は、電動アシスト車1の上面図である。図1(C)は、電動アシスト車1の側面図である。
図1(A)を参照して、電動アシスト車1は、操作ハンドル10と、荷台20と、床下ボックス30と、駆動装置40としてのモータ41,42と、左側の後輪51と、右側の後輪52と、左側の前輪53と、右側の前輪54とを備えている。
操作ハンドル10は、荷台20に固定された2本の直線状のパイプ101と、パイプ102の上端に接続された2本の屈曲したパイプ102と、両端が2本のパイプ102に接続された直線状のパイプ103と、アウタースリーブ104とを含む。なお、パイプ101,102,103は、典型的には金属性のパイプである。アウタースリーブ104は、典型的には、樹脂で形成されている。なお、パイプ101,102,103によって、操作ハンドル10のフレームが構成される。
図1(A),(B)を参照して、アウタースリーブ104は、筒状の管体である。アウタースリーブ104は、パイプ103がアウタースリーブ104の開口を貫通した状態で、パイプ103に対して移動可能にパイプ103に据え付けられている。詳しくは、アウタースリーブ104は、電動アシスト車1の前進方向および後進方向に対して移動可能に構成されている。なお、当該構成の詳細については、後述する。
モータ41は、後輪51を駆動する。モータ42は、後輪52を駆動する。モータ41,42は荷台の下(床下)に設置されている。
なお、上記においては、2本のパイプ101と2本のパイプ102とパイプ103とを有する構成を例に挙げて説明したが、これらが一本のパイプとして構成されていてもよい。
図1(C)を参照して、床下ボックス30は、バッテリ301と、制御装置302とを格納している。制御装置302は、詳細については後述するが、操作ハンドル10に対する利用者操作に基づいて、モータ41,42を駆動させる。
<B1.操作ハンドル10の持手部に加わる力の検出>
図2は、アウタースリーブ104の移動を説明するための図である。図2(A)は、アウタースリーブ104に対して利用者の力が加わっていないときの操作ハンドル10の状態を表した図である。図2(B)は、アウタースリーブ104に対して前進方向の力F1(つまり、押す力)が加わったときの操作ハンドル10の状態を表した図である。図2(C)は、アウタースリーブ104に対して後進方向の力F2(つまり、引く力)が加わったときの操作ハンドル10の状態を表した図である。
図2(A)を参照して、アウタースリーブ104に対して利用者の力が作用していない場合には、アウタースリーブ104は、パイプ103に対してデフォルトの位置をとる。具体的には、アウタースリーブ104には、デフォルトの位置をとるように復元力が予め加わっている。
図2(B)を参照して、アウタースリーブ104に対して利用者による前進方向の力F1が作用した場合には、アウタースリーブ104は、パイプ103に対して電動アシスト車1の前方に移動する。なお、アウタースリーブ104は、力F1が作用しなくなると、図2(A)で示したデフォルト位置に戻る。
図2(C)を参照して、アウタースリーブ104に対して利用者による後進方向の力F2が作用した場合には、アウタースリーブ104は、パイプ103に対して電動アシスト車1の後方に移動する。なお、アウタースリーブ104は、力F2が作用しなくなると、図2(A)で示したデフォルト位置に戻る。
以下、アウタースリーブ104の特性について、説明する。アウタースリーブ104は、利用者が握っても変形しない程度の硬さを有する。後述するばねスイッチ105,106が同時に押される(オン状態となる)ことを防止するためである。アウタースリーブ104は、パイプ103に対して上記のような移動を可能とすべく、パイプ103との間に上記前進および後進の方向に遊び(隙間)を有するように設計されている。
また、アウタースリーブ104は、軽量であることが好ましい。アウタースリーブ104の質量が大きくなると、利用者の力ではアウタースリーブ104が移動しにくくなったり、慣性力によりアウタースリーブ104が勝手に移動する可能性があるためである。なお、上記の復元力は、後述するばねスイッチによる反力を利用してもよいし、それ以外の反力を用いてもよい。復元力を生じる機構は、特に限定されるものではない。
図3は、アウタースリーブ104に隠れた操作ハンドル10の内部の構造を説明するための図である。図3(A)は、図1(C)におけるIII−III線矢視断面図である。つまり、図3(A)は、図2(A)の状態に対応する矢視断面図である。図3(B)は、アウタースリーブ104に対して前進方向の力F1が作用した場合の矢視断面図である。つまり、図3(B)は、図2(B)の状態に対応する矢視断面図である。図3(C)は、アウタースリーブ104に対して後進方向の力F2が作用した場合の矢視断面図である。つまり、図3(C)は、図2(C)の状態に対応する矢視断面図である。
図3(A)を参照して、操作ハンドル10は、パイプ103とアウタースリーブ104との間に、検出器としてのばねスイッチ105,106をさらに備える。なお、ばねスイッチ105,106は、内部に、ばね190を有する。以下では、パイプ103と、アウタースリーブ104と、ばねスイッチ105,106とを合わせた構成を、「持手部152」と称する。
ばねスイッチ105は、電動アシスト車1の前方に向かって持手部152を押す力を検出するために用いられる。ばねスイッチ106は、電動アシスト車1の後方に向かって持手部152を押す力を検出するために用いられる。ばねスイッチ105,106は、ばねの配設方向に作用する力に応じて、ばねの配設方向に長さが伸縮するように構成されている。
より詳しくは、ばねスイッチ105,106は、閾値以上の力(持手部152を押す力,持手部152を引く力)が加わると、典型的には、オフ状態からオン状態に遷移する。ばねスイッチ105がオン状態となると、制御装置302は、電動アシスト車1の持手部152を押す力が作用したと判断する。一方、ばねスイッチ106がオン状態となると、制御装置302は、電動アシスト車1の持手部152を引く力が作用したと判断する。なお、上記の力F1および力F2は、上記閾値以上の力であるとする。
図3(B)を参照して、アウタースリーブ104に対して利用者による前進方向の力F1が作用した場合には、アウタースリーブ104は、上述したように、パイプ103に対して電動アシスト車1の前方に移動する。ばねスイッチ105の可動部は、アウタースリーブ104の移動によって、ばねスイッチ105の固定部に押し込まれ、ばねスイッチ105はオン状態となる。これにより、ばねスイッチ105によって、アウタースリーブ104に作用している力F1が検出される。正確には、ばねスイッチ105によって、アウタースリーブ104に閾値以上の力が作用していることが検出される。なお、アウタースリーブ104およびばねスイッチ105の可動部は、力F1が作用しなくなると、図3(A)で示したデフォルト位置に戻る。
図3(C)を参照して、アウタースリーブ104に対して利用者による後進方向の力F2が作用した場合には、アウタースリーブ104は、上述したように、パイプ103に対して電動アシスト車1の後方に移動する。ばねスイッチ106の可動部は、アウタースリーブ104の移動によって、ばねスイッチ106の固定部に押し込まれれ、ばねスイッチ106はオン状態となる。これにより、ばねスイッチ106によって、アウタースリーブ104に作用している力F2が検出される。正確には、ばねスイッチ106によって、アウタースリーブ104に閾値以上の力が作用していることが検出される。なお、アウタースリーブ104およびばねスイッチ106の可動部は、力F2が作用しなくなると、図3(A)で示したデフォルト位置に戻る。
以上のように、持手部152は、持手部152を電動アシスト車1の前方に押す力の方向および電動アシスト車1の後方に引く力の方向に対して垂直な方向に延設されたパイプ103と、パイプ103の外周面の一部に取り付けられたアウタースリーブ104と、パイプ103とアウタースリーブ104との間に設けられた、上記押す力を検出するためのばねスイッチ105と、パイプ103とアウタースリーブ104との間に設けられた、上記引く力を検出するためのばねスイッチ106とを有している。
なお、アウタースリーブ104は、パイプ103の外周面の全部に取り付けられていてもよい。
図4は、アウタースリーブ104に隠れた操作ハンドル10の内部の構造を、図3とは異なる視点から説明するための図である。図4(A)は、図1(B)におけるIV−IV線矢視断面図である。つまり、図4(A)は、図2(A)および図3(A)の状態に対応する矢視断面図である。図4(B)は、アウタースリーブ104に対して前進方向の力F1が作用した場合の矢視断面図である。つまり、図4(B)は、図2(B)および図3(B)の状態に対応する矢視断面図である。図4(C)は、アウタースリーブ104に対して後進方向の力F2が作用した場合の矢視断面図である。つまり、図4(C)は、図2(C)および図3(C)の状態に対応する矢視断面図である。
図4(A)を参照して、上述したように、持手部152は、パイプ103とアウタースリーブ104との間に、検出器としてのばねスイッチ105,106を備えている。アウタースリーブ104は、ばねスイッチ105,106を収容するための空間(窪み)が設けられている。持手部152においては、パイプ103とアウタースリーブ104との間には、遊び(隙間)が設けられている。
図4(B)を参照して、アウタースリーブ104に対して利用者による前進方向の力F1が作用した場合には、上述したように、アウタースリーブ104が電動アシスト車1の前方に移動することにより、ばねスイッチ105によって、アウタースリーブ104に作用している力F1が検出される。つまり、上述したように、ばねスイッチ105によって、アウタースリーブ104に閾値以上の力が作用していることが検出される。
図4(C)を参照して、アウタースリーブ104に対して利用者による後進方向の力F2が作用した場合には、上述したように、アウタースリーブ104が電動アシスト車1の後方に移動することにより、ばねスイッチ106によって、アウタースリーブ104に作用している力F2が検出される。つまり、上述したように、ばねスイッチ106によって、アウタースリーブ104に閾値以上の力が作用していることが検出される。
<C1.アシスト力>
持手部152に対して前進方向の力F1(つまり、持手部152を押す力)が作用した場合(図2(B),図3(B),図4(B)の状態)、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、前進方向のアシスト力を発生させる制御を行う。これにより、利用者は、アウタースリーブ104に対して押す力(前方への力)を作用させることより、前進方向のアシスト力を得ることができる。
持手部152に対して後進方向の力F2(つまり、持手部152を引く力)が作用した場合(図2(C),図3(C),図4(C)の状態)、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、後進方向のアシスト力を発生させる制御を行う。これにより、利用者は、アウタースリーブ104に対して引く力(後方への力)を作用させることより、後進方向のアシスト力を得ることができる。
電動アシスト車1が前進している場合に、持手部152に対して後進方向の力F2が作用した場合、制御装置302は、電動アシスト車1を制動させる力(ブレーキ力)をモータ41,42に発生させる制御を行う。また、電動アシスト車1が後進している場合に、持手部152に対して前進方向の力F1が作用した場合、制御装置302は、電動アシスト車2を制動させる力(ブレーキ力)をモータ41,42に発生させる制御を行う。
なお、持手部152に対して前進方向の力F1および後進方向の力F2のいずれも作用していない場合には、制御装置302は、電動アシスト車1を停止させ続ける力をモータ41,42に発生させる制御を行う。
(アシスト力の強さの調整方法)
次に、アシスト力の強さの調整方法について説明する。本実施の形態では、アシスト力の調整を下記の方法(i)または(ii)で実施することが可能である。
(i)モータ41,42の回転速度に合わせてアシスト量を変更する。具体的には、各モータ41,42にエンコーダを取り付け、各モータ41,42の回転数を検出する。CPU321は、当該検出された回転数に基づき、アシスト量を調整する。
(ii)スピード調整用のボリュームを用意し、必要に応じて利用者等が適宜調整する。
本実施の形態では、電動アシスト車1は、前進用のばねスイッチ105と後進用のばねスイッチ106との2つのスイッチしか備えていないため、動作をスムーズに行うには、上記に示したように、モータ41,42の回転速度に合わせてアシスト量を変更する手法を適用することが好ましい。CPU321は、前進および後進の利用者の意思をばねスイッチ105,106によって検知し、アシスト量をモータ41,42の回転数に基づいて制御することにより、違和感のない動作を実現することが可能となる。この場合には、左右各モータ41,42の状態が検出されるため、旋回する場合にも対応可能である。
<D1.ハードウェア構成>
図5は、電動アシスト車1のハードウェア構成の一部を表したブロック図である。図5を参照して、電動アシスト車1は、操作ハンドル10と、バッテリ301と、制御装置302と、駆動装置40と、左側の後輪51と、右側の後輪52とを備えている。操作ハンドル10は、上述したように、ばねスイッチ105,106を有している。制御装置302は、CPU(Central Processing Unit)321と、不揮発性のメモリ322とを有している。駆動装置40は、上述したように、左側の後輪を駆動するモータ41と、右側の後輪を駆動するモータ42とを有している。
バッテリ301は、ばねスイッチ105,106と、CPU321と、メモリ322と、モータ41,42に電力を供給する。
メモリ322は、電動アシスト車1を制御するためのOS(Operating System)およびプログラムを予め格納している。CPU321は、ばねスイッチ105,106による検出結果に基づいて、上記プログラムを実行することにより、モータ41,42の回転力を制御する。つまり、CPU321は、上述したアシスト力の発生および停止、並びにアシスト力の強さを制御(調整)する。
<E1.機能的構成>
図6は、電動アシスト車1の機能的構成を説明するためのブロック図である。図6を参照して、電動アシスト車1は、バッテリ301に対応する電源部151と、持手部152と、制御装置302に対応する制御部153と、駆動装置40に対応する駆動部154とを備えている。持手部152は、検出部1521,1522を含む。検出部1521は、ばねスイッチ105に相当する。検出部1522は、ばねスイッチ106に相当する。
電源部151は、検出部1521,1522と、制御部153と、駆動部154とに電力を供給する。駆動部154は、電動アシスト車1の左右の後輪51,52を駆動する。持手部152は、電動アシスト車1の利用者が電動アシスト車1を移動させるために把持する部分である。
制御部153は、電動アシスト車1の動作の全体を制御する。制御部153は、電動アシスト車1の前方に向かって持手部152を押す力および電動アシスト車1の後方に向かって持手部152を引く力に応じたアシスト力(つまり、前方または後方へのアシスト力)を駆動部154に発生させる。
検出部1521は、パイプ103に対して電動アシスト車1の前方に設けられている。検出部1521は、持手部152を押す力を検出するための部材である。具体的には、検出部1521は、持手部152に閾値以上の押す力が作用したか否かを検出する。
検出部1522は、パイプ103に対して電動アシスト車1の後方に設けられている。検出部1522は、持手部152を引く力を検出するための部材である。具体的には、検出部1521は、持手部152に閾値以上の引く力が作用したか否かを検出する。
<F1.制御構造>
図7は、電動アシスト車1で実行される処理を説明するためのフローチャートである。図7を参照して、ステップS2において、CPU321は、ばねスイッチ105によって、操作ハンドル10の持手部152を押す力(詳しくは、持手部152を押す力)が検出されたか否かを判断する。具体的には、CPU321は、ばねスイッチ105がオン状態となったか否かを判断する。検出されたと判断された場合(ステップS2においてYES)、CPU321は、ステップS4において、前進用のアシスト力をモータ41,42に発生させる。
ステップS6において、CPU321は、持手部152を押す力が検出されなくなったか否かを判断する。具体的には、CPU321は、ばねスイッチ105がオフ状態となったか否かを判断する。押す力が検出されなくなったと判断された場合(ステップS6においてYES)、CPU321は、ステップS8において、前進用のアシスト力の発生を停止させる。CPU321は、検出され続けていると判断された場合(ステップS6においてNO)、処理をステップS4に戻す。
ばねスイッチ105によって、持手部152を押す力が検出されなかったと判断された場合(ステップS2においてNO)、CPU321は、ステップS10において、ばねスイッチ106によって、持手部152を引く力(詳しくは持手部152を引く力)が検出されたか否かを判断する。具体的には、CPU321は、ばねスイッチ106がオン状態となったか否かを判断する。
引く力が検出されたと判断された場合(ステップS10においてYES)、CPU321は、ステップS12において、検出された力に応じた後進用のアシスト力をモータ41,42に発生させる。引く力が検出されていないと判断された場合(ステップS10においてNO)、CPU321は、処理をステップS2に戻す。
ステップS14において、CPU321は、持手部152を引く力が検出されなくなったか否かを判断する。具体的には、CPU321は、ばねスイッチ106がオフ状態となったか否かを判断する。引く力が検出されなくなったと判断された場合(ステップS14においてYES)、CPU321は、ステップS16において、後進用のアシスト力の発生を停止させる。検出され続けていると判断された場合(ステップS14においてNO)、CPU321は、処理をステップS12に戻す。
<G1.利点>
電動アシスト車1では、利用者の操作力をセンシングする部材が利用者の近くにあるため、本体自身または操作ハンドルの重量の影響や、外乱に影響しづらい構成になっている。それゆえ、利用者の操作力を正確に読み取ることができる。つまり、利用者が操作ハンドルに加えた力を正確に測定することが可能となる。したがって、電動アシスト車1によれば、利用者は、意図するアシスト力を精度よく発生させることが可能となる。
また、アウタースリーブ104によりばねスイッチ105,106を押す構成によって、操作が直感的になり、意図しないアシスト力の発生による事故(進み過ぎによる事故)等を防ぐことができる。
さらに、操作ハンドル10における持手部152においては、アウタースリーブ104の延設方向と、ユーザが持手部152に作用させる力の方向(つまり、ばねスイッチ105,106をオンさせる方向)とは直交している。このため、これらの方向が平行な構成と比べて、強度および耐久性の点において優れている。
<H1.変形例>
(h1.第1の変形例)
図8は、操作ハンドル10の変形例である操作ハンドル10Aの構成を説明するための図である。図8を参照して、操作ハンドル10Aは、パイプ103とアウタースリーブ104との間に、検出器としての2つの圧力センサ108,109と、クッション部材107とを備える。
クッション部材107は、圧力センサ108,109の各々における2つの主面に接した状態で配置される。つまり、クッション部材107は、各圧力センサ108,109の前後に配置されている。
このように、操作ハンドル10Aは、ばねスイッチ105の代わりに圧力センサ108およびクッション部材107を有し、ばねスイッチ106の代わりに圧力センサ109およびクッション部材107を有している。なお、以下では、パイプ103と、アウタースリーブ104と、圧力センサ108,109と、クッション部材107とを合わせた構成を、「持手部152A」と称する。
圧力センサ108は、電動アシスト車1の前方に向かって持手部152Aを押す力(正確には、圧力値)を検出する。圧力センサ109は、電動アシスト車1の後方に向かって持手部152Aを押す力(圧力値)を検出する。
電動アシスト車1が操作ハンドル10の代わりに操作ハンドル10Aを有する場合であっても、操作ハンドル10を有する構成で得られる利点(効果)と同様の利点を得ることができる。さらに、電動アシスト車1に圧力センサを用いることにより、利用者の操作力を段階的(略リニア)に検知できる。したがって、ばねスイッチ105,106の代わりに圧力センサ108,109を用いた構成によれば、利用者の操作力によって、アシスト力を任意に変更することが可能である。
なお、本変形例では、アシスト力の調整を下記の方法(i)または(ii)で実施することが可能である。
(i)圧力センサの値(出力値)の大きさによってアシスト力を変える。
(ii)スピード調整用のボリュームを用意し、必要に応じて利用者等が適宜調整する。
当該(i)の方法を採る場合、上述した、モータ41,42の回転数を見る構成に比べて、より正確に使用者の意図(方向、アシスト量)を計測し、かつ動作にフィードバックすることが可能となる。
(h2.第2の変形例)
以下では、検出器を1つだけ備える構成の操作ハンドルの構成について、代表的な例を3つ挙げて説明する。
(1)第1の例
図9は、操作ハンドル10の変形例である操作ハンドル10Bの構成を説明するための図である。図9(A)は、操作ハンドル10Bに対して、ユーザが力を作用していないときの操作ハンドル10Bの断面図である。
図9(A)を参照して、操作ハンドル10Bは、アウタースリーブ104の代わりにアウタースリーブ104Bを有し、ばねスイッチ105,106の代わりにばねスイッチ110を有する。ばねスイッチ110は、パイプ103の当接した状態で、パイプ103の上方に設置される。ばねスイッチ110は、相対する2つの可動部と、固定部とを有する。
図9(B)は、アウタースリーブ104Bに対して前進方向の力F1が作用した場合の矢視断面図である。図9(C)は、アウタースリーブ104Bに対して後進方向の力F2が作用した場合の矢視断面図である。
図9(B)を参照して、アウタースリーブ104Bに対して利用者による前進方向の力F1が作用した場合には、アウタースリーブ104Bは、パイプ103に対して電動アシスト車1の前方に移動する。ばねスイッチ110の一方の可動部(図の左側の可動部)は、アウタースリーブ104Bの移動によって、ばねスイッチ110の固定部に押し込まれる。これにより、ばねスイッチ110によって、アウタースリーブ104Bに作用している力F1が検出される。正確には、ばねスイッチ110によって、アウタースリーブ104Bに閾値以上の前進方向の力が作用していることが検出される。なお、アウタースリーブ104Bおよび固定部に押し込まれた可動部は、力F1が作用しなくなると、図9(A)で示したデフォルト位置に戻る。
図9(C)を参照して、アウタースリーブ104Bに対して利用者による後進方向の力F2が作用した場合には、アウタースリーブ104Bは、パイプ103に対して電動アシスト車1の後方に移動する。ばねスイッチ110の他方の可動部(図の右側の可動部)は、アウタースリーブ104Bの移動によって、ばねスイッチ110の固定部に押し込まれる。これにより、ばねスイッチ110によって、アウタースリーブ104Bに作用している力F2が検出される。正確には、ばねスイッチ110によって、アウタースリーブ104Bに閾値以上の後進方向の力が作用していることが検出される。なお、アウタースリーブ104Bおよび固定部に押し込まれた可動部は、力F2が作用しなくなると、図9(A)で示したデフォルト位置に戻る。
このように、ばねスイッチ105,106の代わりにばねスイッチ110を設けることにより、持手部152Aに作用する力を検出するための検出器を1つで済ますことが可能となる。
なお、ばねスイッチ110の設置位置は、図9に示した位置に限定されるものではない。たとえば、ばねスイッチ110は、パイプ103の下方に設置されてもよい。
(2)第2の例
ばねスイッチ105およびばねスイッチ106のいずれか一方を、持手部を押す力(圧縮方向の力)および持手部を引く力(引張方向の力)の両方を検出する構成とすることにより、一方のばねスイッチを省略できる。
(3)第3の例
パイプ103に対するアウタースリーブ104の変位を検知できるセンサをパイプ103の表面に設置することにより、検出器の数を1つとすることができる。センサの設置場所は、上記変位を測定できる場所であれば特に限定されるものではない。
(h3.第3の変形例)
図10は、操作ハンドル10の変形例である操作ハンドル10Cの構成を説明するための図である。詳しくは、図10は、操作ハンドル10Cに対して、ユーザが力を作用していないときの操作ハンドル10Cの断面図である。
図10を参照して、操作ハンドル10Cは、パイプ103とアウタースリーブ104との間に、スポンジ等のクッション部材119が充填している点が、操作ハンドル10と異なる。このような構成が示すように、パイプ103とアウタースリーブ104との間には、必ずしも遊び(隙間)を要しない。
(h4.第4の変形例)
図11は、操作ハンドル10の変形例である操作ハンドル10Dの構成を説明するための図である。詳しくは、図11は、操作ハンドル10Dに対して、ユーザが力を作用していないときの操作ハンドル10Dの断面図である。
図11を参照して、操作ハンドル10Dは、アウタースリーブ104の代わりに、パイプ103の外周の周方向の約3/4(約270度分)を覆う部材104Dが備えられている。つまり、部材104Dは、アウタースリーブ104の中心軸に沿ってそってアウタースリーブ104の約1/4が切り取られた態様を有している。当該構成によれば、アウタースリーブ104よりも質量を減らすことができる。
なお、ばねスイッチ105,106を格納でき、かつパイプ103から外れない構造であれば、部材104Dの構造(形状)は、図11の構造に限定されるものではない。
(h5.第5の変形例)
(1)ばねスイッチ105が持手部152を引く力(正確には、閾値以上の引く力)を検出し、ばねスイッチ106が持手部152を押す力(正確には、閾値以上の押す力)を検出するように、電動アシスト車1を構成してもよい。
(2)図8に示した第1の変形例において、圧力センサ108が持手部152を引く力を検出し、圧力センサ109が持手部152を押す力を検出するように、電動アシスト車1を構成してもよい。
[実施の形態2]
実施の形態1では、アウタースリーブを1つ備える構成を説明した。本実施の形態では、アウタースリーブが右手用と左手用とに分離した状態でパイプ103に取り付けられている構成について説明する。つまり、本実施の形態では、2つのアウタースリーブを備える構成について説明する。
<A2.外観>
図12は、本実施の形態に係る電動アシスト車2の概略構成を説明するための図である。図12(A)は、電動アシスト車2の斜視図である。図12(B)は、電動アシスト車2の上面図である。図12(C)は、電動アシスト車2の側面図である。
図12(A)を参照して、電動アシスト車2は、操作ハンドル60と、荷台20と、床下ボックス30と、駆動装置40としてのモータ41,42と、左側の後輪51と、右側の後輪52と、左側の前輪53と、右側の前輪54とを備えている。つまり、電動アシスト車2は、操作ハンドル10の代わりに操作ハンドル60を備える点において、実施の形態1に係る電動アシスト車1とは異なる。
操作ハンドル60は、2本のパイプ101と、2本の屈曲したパイプ102と、パイプ103と、アウタースリーブ104L,104Rと、スペーサ111とを含む。アウタースリーブ104L,104Rおよびスペーサ111は、典型的には、樹脂で形成されている。
図12(A),(B)を参照して、アウタースリーブ104L,104Rは、筒状の管体である。アウタースリーブ104Lは、パイプ103が各アウタースリーブ104Lの開口を貫通した状態で、実施の形態1のアウタースリーブ104と同様に、パイプ103に対して移動可能にパイプ103に据え付けられている。アウタースリーブ104Rは、パイプ103が各アウタースリーブ104Rの開口を貫通した状態で、実施の形態1のアウタースリーブ104と同様に、パイプ103に対して移動可能にパイプ103に据え付けられている。詳しくは、アウタースリーブ104L,104Rは、電動アシスト車2の前進方向および後進方向に対して移動可能に構成されている。より詳しくは、アウタースリーブ104Lと、アウタースリーブ104Rとは、連動せずに、独立した態様で移動可能に構成されている。
なお、アウタースリーブ104Lは、左手用のスリーブである。アウタースリーブ104Rは、右手用のスリーブである。アウタースリーブ104L,104Rは、アウタースリーブ104と同様、筒状の管体である。
スペーサ111は、アウタースリーブ104Lとアウタースリーブ104Rとの間に配置されている。スペーサ111は、筒状の管体である。スペーサ111によって、本実施の形態では、アウタースリーブが右手用と左手用とに分離した状態となる。
なお、上記においては、2本のパイプ101と2本のパイプ102とパイプ103とを有する構成を例に挙げて説明したが、これらが一本のパイプとして構成されていてもよい。
図12(C)を参照して、床下ボックス30は、上述したように、バッテリ301と、制御装置302とを格納している。制御装置302は、詳細については後述するが、操作ハンドル60に対する利用者操作に基づいて、モータ41,42を駆動させる。
<B2.操作ハンドル60の持手部に加わる力の検出>
図13は、アウタースリーブ104L,104Rの移動を説明するための図である。図13(A)は、アウタースリーブ104L,104Rに対して利用者の力が加わっていないときの操作ハンドル60の状態を表した図である。図13(B)は、アウタースリーブ104L,104Rに対して前進方向の力F1(つまり、押す力)が加わったときの操作ハンドル60の状態を表した図である。図13(C)は、アウタースリーブ104L,104Rに対して後進方向の力F2(つまり、引く力)が加わったときの操作ハンドル60の状態を表した図である。
図13(A)を参照して、アウタースリーブ104L,104Rに対して利用者の力が作用していない場合には、アウタースリーブ104L,104Rは、パイプ103に対してデフォルトの位置をとる。具体的には、アウタースリーブ104L,104Rには、それぞれ、デフォルトの位置をとるように復元力が予め加わっている。
図13(B)を参照して、アウタースリーブ104L,104Rに対して利用者による前進方向の力F1が作用した場合には、アウタースリーブ104L,104Rは、それぞれ独立した態様で連動することなく、パイプ103に対して電動アシスト車1の前方に移動する。なお、アウタースリーブ104L,104Rは、力F1が作用しなくなると、図13(A)で示したデフォルト位置に戻る。
図13(C)を参照して、アウタースリーブ104L,104Rに対して利用者による後進方向の力F2が作用した場合には、アウタースリーブ104L,104Rは、それぞれ独立した態様で連動することなく、パイプ103に対して電動アシスト車1の後方に移動する。なお、アウタースリーブ104L,104Rは、力F2が作用しなくなると、図13(A)で示したデフォルト位置に戻る。
なお、アウタースリーブ104L,104Rの特性は、アウタースリーブ104の特性と同じであるため、ここでは、説明を繰り返さない。
図14は、アウタースリーブ104L,104Rに隠れた操作ハンドル60の内部の構造を説明するための図である。図14(A)は、図12(C)におけるXIV−XIV線矢視断面図である。つまり、図14(A)は、図13(A)の状態に対応する矢視断面図である。図14(B)は、アウタースリーブ104L,104Rに対して前進方向の力F1が作用した場合の矢視断面図である。つまり、図14(B)は、図13(B)の状態に対応する矢視断面図である。図14(C)は、アウタースリーブ104L,104Rに対して後進方向の力F2が作用した場合の矢視断面図である。つまり、図14(C)は、図13(C)の状態に対応する矢視断面図である。
図14(A)を参照して、操作ハンドル60は、パイプ103とアウタースリーブ104Lとの間に、検出器としてのばねスイッチ105L,106Lをさらに備える。また、操作ハンドル60は、パイプ103とアウタースリーブ104Rとの間に、検出器としてのばねスイッチ105R,106Rをさらに備える。
以下では、パイプ103と、アウタースリーブ104L,104Rと、ばねスイッチ105L,105R,106L,106Rとを合わせた構成を、「持手部162」と称する。さらに、パイプ103の一部と、アウタースリーブ104Lと、ばねスイッチ105L,106Lとを合わせた構成を、「持手部162L」と称し、パイプ103の一部と、アウタースリーブ104Rと、ばねスイッチ105R,106Rとを合わせた構成を、「持手部162R」と称する。つまり、持手部162は、持手部162Lと、持手部162Rとを含んで構成される。
ばねスイッチ105L,105Rは、電動アシスト車2の前方に向かって持手部162を押す力を検出するために用いられる。詳しくは、ばねスイッチ105Lは、電動アシスト車2の前方に向かって持手部162Lを押す力を検出するために用いられる。ばねスイッチ105Rは、電動アシスト車2の前方に向かって持手部162Rを押す力を検出されるために用いられる。
より詳しくは、ばねスイッチ105Lは、閾値以上の力(持手部162Lを押す力)が加わると、典型的には、オフ状態からオン状態に遷移する。ばねスイッチ105Lがオン状態となると、制御装置302は、電動アシスト車1の持手部162Lを押す力が作用したと判断する。ばねスイッチ105Rは、閾値以上の力(持手部162Rを押す力)が加わると、典型的には、オフ状態からオン状態に遷移する。ばねスイッチ105Rがオン状態となると、制御装置302は、電動アシスト車1の持手部162Rを押す力が作用したと判断する。
ばねスイッチ106L,106Rは、電動アシスト車2の後方に向かって持手部162を押す力を検出するために用いられる。詳しくは、ばねスイッチ106Lは、電動アシスト車2の後方に向かって持手部162Lを押す力を検出するために用いられる。ばねスイッチ106Rは、電動アシスト車2の後方に向かって持手部162Rを押す力を検出するために用いられる。
より詳しくは、ばねスイッチ106Lは、閾値以上の力(持手部162Lを引く力)が加わると、典型的には、オフ状態からオン状態に遷移する。ばねスイッチ106Lがオン状態となると、制御装置302は、電動アシスト車1の持手部162Lを引く力が作用したと判断する。ばねスイッチ106Rは、閾値以上の力(持手部162Rを引く力)が加わると、典型的には、オフ状態からオン状態に遷移する。ばねスイッチ106Rがオン状態となると、制御装置302は、電動アシスト車1の持手部162Rを引く力が作用したと判断する。
なお、ばねスイッチ105L,105R,106L,106Rは、実施の形態1のばねスイッチ105,106と同様、ばねの配設方向に作用する力に応じて、ばねの配設方向に長さが伸縮するように構成されている。
図14(B)を参照して、アウタースリーブ104L,104Rに対して利用者による前進方向の力F1が作用した場合には、アウタースリーブ104L,104Rは、上述したように、パイプ103に対して電動アシスト車2の前方に移動する。ばねスイッチ105L,105Rの可動部は、アウタースリーブ104L,104Rの移動によって、それぞれ、ばねスイッチ105L,105Rの固定部に押し込まれ、オン状態となる。
これにより、ばねスイッチ105L,105Rによって、それぞれ、アウタースリーブ104L,104Rに作用している力F1が検出される。正確には、ばねスイッチ105L,105Rによって、それぞれ、アウタースリーブ104L,104Rに閾値以上の力が作用していることが検出される。なお、アウタースリーブ104L,104Rおよびばねスイッチ105L,105Rの可動部は、力F1が作用しなくなると、図14(A)で示したデフォルト位置に戻る。
図14(C)を参照して、アウタースリーブ104L,104Rに対して利用者による後進方向の力F2が作用した場合には、アウタースリーブ104L,104Rは、上述したように、パイプ103に対して電動アシスト車2の後方に移動する。ばねスイッチ106L,106Rの可動部は、アウタースリーブ104L,104Rの移動によって、それぞれ、ばねスイッチ106L,106Rの固定部に押し込まれ、オン状態となる。
これにより、ばねスイッチ106L,106Rによって、アウタースリーブ104L,104Rに作用している力F2が検出される。正確には、ばねスイッチ106L,106Rによって、それぞれ、アウタースリーブ104L,104Rに閾値以上の力が作用していることが検出される。なお、アウタースリーブ104L,104Rおよびばねスイッチ106L,106Rの可動部は、力F2が作用しなくなると、図14(A)で示したデフォルト位置に戻る。
以上のように、持手部162は、持手部162を電動アシスト車2の前方に押す力の方向および電動アシスト車2の後方に引く力の方向に対して垂直な方向に延設されたパイプ103と、パイプ103の外周面の一部に取り付けられたアウタースリーブ104L,104Rとを有している。また、持手部162は、パイプ103とアウタースリーブ104Lとの間に設けられた、上記押す力を検出するためのばねスイッチ105Lと、パイプ103とアウタースリーブ104Rとの間に設けられた、上記押す力を検出するためのばねスイッチ105Rとを有している。さらに、持手部162は、パイプ103とアウタースリーブ104Lとの間に設けられた、上記引く力を検出するためのばねスイッチ106Lと、パイプ103とアウタースリーブ104Rとの間に設けられた、上記引く力を検出するためのばねスイッチ106Rとを有している。
なお、持手部162は、アウタースリーブ104Lとアウタースリーブ104Rとによってパイプ103の外周面の全部が覆われるような構成であってもよい。
<C2.アシスト力>
(c1.前進方向および後進方向へのアシスト力)
図15は、電動アシスト車2の操作に基づいて発生する前後進のアシスト力を説明するための図である。図15(A),(B),(C)は、前進方向のアシスト力を発生させる操作方法を説明するための図である。図15(D),(E),(F)は、後進方向のアシスト力を発生させる操作方法を説明するための図である。
図15(A)を参照して、利用者がアウタースリーブ104Lを掴み、持手部162Lに対して前進方向の力F1(つまり、持手部162Lを押す力)を作用させた場合、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、前進方向のアシスト力を発生させる制御を行う。これにより、利用者は、アウタースリーブ104Lに対して押す力(前方への力)を作用させることより、前進方向のアシスト力を得ることができる。
図15(B)を参照して、利用者がアウタースリーブ104Rを掴み、持手部162Rに対して前進方向の力F1(つまり、持手部162Rを押す力)を作用させた場合、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、前進方向のアシスト力を発生させる制御を行う。これにより、利用者は、アウタースリーブ104Rに対して押す力(前方への力)を作用させることより、前進方向のアシスト力を得ることができる。
図15(C)を参照して、持手部162L、162Rに対して前進方向の力F1(つまり、持手部162L,162Rを押す力)を作用させた場合も、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、前進方向のアシスト力を発生させる制御を行う。
電動アシスト車2が上記の各操作によって前進している場合に、持手部162L,162Rの少なくとも一方に対して後進方向の力F2が作用した場合、制御装置302は、電動アシスト車2を制動させる力(ブレーキ力)をモータ41,42に発生させる制御を行う。
図15(D)を参照して、利用者がアウタースリーブ104Lを掴み、持手部162Lに対して後進方向の力F2(つまり、持手部162Lを引く力)を作用させた場合、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、後進方向のアシスト力を発生させる制御を行う。これにより、利用者は、アウタースリーブ104Lに対して引く力(後方への力)を作用させることより、後進方向のアシスト力を得ることができる。
図15(E)を参照して、利用者がアウタースリーブ104Rを掴み、持手部162Rに対して後進方向の力F2(つまり、持手部162Rを引く力)を作用させた場合、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、後進方向のアシスト力を発生させる制御を行う。これにより、利用者は、アウタースリーブ104Rに対して引く力(後方への力)を作用させることより、後進方向のアシスト力を得ることができる。
図15(F)を参照して、持手部162L、162Rに対して後進方向の力F2(つまり、持手部162L,162Rを引く力)を作用させた場合も、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、後進方向のアシスト力を発生させる制御を行う。
電動アシスト車2が上記の各操作によって後進している場合に、持手部162L,162Rの少なくとも一方に対して前進方向の力F1が作用した場合、制御装置302は、電動アシスト車2を制動させる力(ブレーキ力)をモータ41,42に発生させる制御を行う。
なお、持手部162Lおよび持手部162Rに対して前進方向の力F1および後進方向の力F2のいずれも作用していない場合(つまり、ユーザが両方のアウタースリーブ104L、104Rを掴んでいない場合)には、制御装置302は、電動アシスト車2を停止させ続ける力をモータ41,42に発生させる制御を行う。
(c2.左旋回方向および右旋回方向へのアシスト力)
図16は、電動アシスト車2の操作に基づいて発生する旋回のアシスト力を説明するための図である。図16(A)は、左旋回方向のアシスト力を発生させる操作方法を説明するための図である。図16(B)は、右旋回方向のアシスト力を発生させる操作方法を説明するための図である。
図16(A)を参照して、利用者がアウタースリーブ104L、104Rを掴み、持手部162Lに対して後進方向の力F2(つまり、持手部162Lを引く力)を作用させるととともに、持手部162Rに対して前進方向の力F1(つまり、持手部162Rを押す力)を作用させた場合、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、左旋回方向のアシスト力を発生させる制御を行う。典型的には、制御装置302は、左側の後輪51を駆動するモータ41の前進方向のアシスト力を、右側の後輪52を駆動するモータ42の前進方向のアシスト力よりも弱めることによって電動アシスト車2を左旋回させる。
図16(B)を参照して、利用者がアウタースリーブ104L、104Rを掴み、持手部162Lに対して前進方向の力F1(つまり、持手部162Lを押す力)を作用させるととともに、持手部162Rに対して後進方向の力F2(つまり、持手部162Rを引く力)を作用させた場合、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、右旋回方向のアシスト力を発生させる制御を行う。典型的には、制御装置302は、左側の後輪51を駆動するモータ41の前進方向のアシスト力を、右側の後輪52を駆動するモータ42の前進方向のアシスト力よりも強めることによって電動アシスト車2を右旋回させる。
<D2.ハードウェア構成>
図17は、電動アシスト車2のハードウェア構成の一部を表したブロック図である。図17を参照して、電動アシスト車2は、操作ハンドル60と、バッテリ301と、制御装置302と、駆動装置40と、左側の後輪51と、右側の後輪52とを備えている。操作ハンドル60は、上述したように、ばねスイッチ105L,105R,106L,106Rを有している。制御装置302は、CPU321と、メモリ322とを有している。駆動装置40は、モータ41と、モータ42とを有している。
バッテリ301は、105L,105R,106L,106Rと、CPU321と、メモリ322と、モータ41,42に電力を供給する。
メモリ322は、電動アシスト車2を制御するためのOS(Operating System)およびプログラムを予め格納している。CPU321は、ばねスイッチ105,106による検出結果に基づいて、上記プログラムを実行することにより、モータ41,42の回転力を制御する。つまり、CPU321は、上述したアシスト力の発生および停止、並びにアシスト力の強さを制御する。
<E2.機能的構成>
図18は、電動アシスト車2の機能的構成を説明するためのブロック図である。図18を参照して、電動アシスト車2は、バッテリ301に対応する電源部161と、持手部162と、制御装置302に対応する制御部163と、駆動装置40に対応する駆動部164とを備えている。
持手部162は、検出部1626,1627,1628,1629を含む。検出部1626は、ばねスイッチ105Lに相当する。検出部1627は、ばねスイッチ106Lに相当する。検出部1628は、ばねスイッチ105Rに相当する。検出部1629は、ばねスイッチ106Rに相当する。なお、持手部162は、持手部162Lと持手部162Rとを含んで構成される。持手部162Lは、検出部1626,1627を含んで構成される。持手部162Rは、検出部1628,1629を含んで構成される。
駆動部164は、左側の後輪51を駆動する後輪駆動部1641と、右側の後輪51を駆動する後輪駆動部1642とを含む。後輪駆動部1641は、モータ41に相当する。後輪駆動部1642は、モータ42に相当する。制御部163は、後輪駆動部1641を制御するための駆動制御部1631と、後輪駆動部1642を制御するための駆動制御部1632とを含む。電源部161は、検出部1626,1627,1628,1629と、制御部163と、駆動部164とに電力を供給する。
制御部163は、電動アシスト車2の動作の全体を制御する。制御部163は、電動アシスト車2の前方に向かって持手部162を押す力および電動アシスト車2の後方に向かって持手部162を引く力に応じたアシスト力(つまり、前方、後方、左旋回方向、または右旋回方向のアシスト力)を駆動部154に発生させる。より詳しくは、以下のとおりである。
制御部163の駆動制御部1631は、検出部1626〜1629からの検出結果に基づいて、左後輪駆動部1641を制御する。これにより、電動アシスト車2は、検出結果に応じたアシスト力によって左後輪51を回転させることができる。
制御部163の駆動制御部1632は、検出部1626〜1629からの検出結果に基づいて、右後輪駆動部1642を制御する。これにより、電動アシスト車2は、検出結果に応じたアシスト力によって右後輪52を回転させることができる。
以上のように、本実施の形態では、アウタースリーブは、右手用のアウタースリーブ104Lと左手用のアウタースリーブ104Rとに分離した状態で、パイプ103に取り付けられている。また、本実施の形態では、電動アシスト車2を前進させるために利用者が持手部162に加える力を検出するための検出部は、パイプ103とアウタースリーブ104Lとの間に設けられた検出部1626(ばねスイッチ105L)と、パイプ103とアウタースリーブ104Rとの間に設けられた検出部1628(ばねスイッチ105R)とによって構成されている。さらに、電動アシスト車2を後進させるために利用者が持手部162に加える力を検出するための検出部は、パイプ103とアウタースリーブ104Lとの間に設けられた検出部1627(ばねスイッチ106L)と、パイプ103とアウタースリーブ104Rとの間に設けられた検出部1629(ばねスイッチ106R)とによって構成されている。
<F2.制御構造>
図19は、電動アシスト車2で実行される処理の前半部分を説明するためのフローチャートである。図20は、電動アシスト車2で実行される処理の後半部分を説明するためのフローチャートである。より具体的には、図19,20は、図15、16に基づいて説明した、前進、後進、左旋回、および右旋回のアシスト力の発生および当該発生したアシスト力の停止に関するものである。
図19を参照して、ステップS102において、CPU321は、ばねスイッチ105Lによって、操作ハンドル60の持手部162Lを押す力が検出されたか否かを判断する。具体的には、CPU321は、ばねスイッチ105Lがオン状態となったか否かを判断する。検出されたと判断された場合(ステップS102においてYES)、CPU321は、ステップS104において、ばねスイッチ106Rによって、操作ハンドル60の持手部162Rを引く力が検出されたか否かを判断する。具体的には、CPU321は、ばねスイッチ106Rがオン状態となったか否かを判断する。
持手部162Rを押す力が検出されたと判断された場合(ステップS104においてYES)、CPU321は、ステップS106において、右旋回用のアシスト力をモータ41,42に発生させる制御を行う。持手部162Rを押す力が検出されていないと判断された場合(ステップS104においてNO)、CPU321は、ステップS108において、前進用のアシスト力をモータ41,42に発生させる制御を行う。
持手部162Lを押す力が検出されていないと判断された場合(ステップS102においてNO)、CPU321は、ステップS110において、ばねスイッチ105Rによって、持手部162Rを押す力が検出されたか否かを判断する。具体的には、CPU321は、ばねスイッチ105Rがオン状態となったか否かを判断する。持手部162Rを押す力が検出されたと判断された場合(ステップS110においてYES)、CPU321は、ステップS112において、ばねスイッチ106Lによって、持手部162Lを引く力が検出されたか否かを判断する。具体的には、CPU321は、ばねスイッチ106Lがオン状態となったか否かを判断する。
持手部162Lを引く力が検出された場合(ステップS112においてYES)、CPU321は、ステップS114において、左旋回用のアシスト力をモータ41,42に発生させる制御を行う。持手部162Lを引く力が検出されなかった場合(ステップS112においてNO)、CPU321は、処理をステップS108に進め、前進用のアシスト力をモータ41,42に発生させる制御を行う。
持手部162Rを押す力が検出されていないと判断された場合(ステップS110においてNO)、CPU321は、ステップS116において、ばねスイッチ106Rによって、持手部162Rを引く力が検出されたか否かを判断する。具体的には、CPU321は、ばねスイッチ106Rがオン状態となったか否かを判断する。持手部162Rを引く力が検出されたと判断された場合(ステップS116においてYES)、CPU321は、ステップS118において、後進用のアシスト力をモータ41,42に発生させる制御を行う。
持手部162Rを引く力が検出されていないと判断された場合(ステップS116においてNO)、CPU321は、ステップS120において、ばねスイッチ106Lによって、持手部162Lを引く力が検出されたか否かを判断する。具体的には、CPU321は、ばねスイッチ106Lがオン状態となったか否かを判断する。持手部162Lを引く力が検出された場合(ステップS120においてYES)、CPU321は、処理をステップS118に進め、後進用のアシスト力をモータ41,42に発生させる制御を行う。持手部162Lを引く力が検出されなかった場合(ステップS120においてYES)、CPU321は、一連の処理を終了する(図20参照)。
図20を参照して、CPU321は、ステップS106の処理の後、ステップS122において、力(つまり、持手部162Lを押す力および持手部162Rを引く力)が検出されなくなったか否かを判断する。つまり、CPU321は、全てのばねスイッチ105L,105R,106L,106Rがオフ状態となったか否かを判断する。力が検出されなくなったと判断された場合(ステップS122においてYES)、CPU321は、ステップS124において、右旋回用のアシスト力の発生を停止させる制御を行う。力が検出されていると判断された場合(ステップS122においてNO)、CPU321は、右旋回用のアシスト力を発生させ続ける(ステップS106)。
CPU321は、ステップS108の処理の後、ステップS126において、力(つまり、持手部162を押す力)が検出されなくなったか否かを判断する。つまり、CPU321は、全てのばねスイッチ105L,105R,106L,106Rがオフ状態となったか否かを判断する。力が検出されなくなったと判断された場合(ステップS126においてYES)、CPU321は、ステップS128において、前進用のアシスト力の発生を停止させる制御を行う。力が検出されていると判断された場合(ステップS126においてNO)、CPU321は、前進用のアシスト力を発生させ続ける(ステップS108)。
CPU321は、ステップS114の処理の後、ステップS130において、力(つまり、持手部162Rを押す力および持手部162Lを引く力)が検出されなくなったか否かを判断する。つまり、CPU321は、全てのばねスイッチ105L,105R,106L,106Rがオフ状態となったか否かを判断する。力が検出されなくなったと判断された場合(ステップS130においてYES)、CPU321は、ステップS132において、左旋回用のアシスト力の発生を停止させる制御を行う。力が検出されていると判断された場合(ステップS130においてNO)、CPU321は、左旋回用のアシスト力を発生させ続ける(ステップS114)。
CPU321は、ステップS118の処理の後、ステップS134において、力(つまり、持手部162Rを引く力または持手部162Lを引く力)が検出されなくなったか否かを判断する。つまり、CPU321は、全てのばねスイッチ105L,105R,106L,106Rがオフ状態となったか否かを判断する。力が検出されなくなったと判断された場合(ステップS134においてYES)、CPU321は、ステップS136において、後進用のアシスト力の発生を停止させる制御を行う。力が検出されていると判断された場合(ステップS134においてNO)、CPU321は、後進用のアシスト力を発生させ続ける(ステップS118)。
<G2.利点>
電動アシスト車2によれば、実施の形態1に係る電動アシスト車1によって得られた利点(効果)に加えて、以下の利点を得ることができる。すなわち、持手部162Lと持手部162Rとが独立しているため、持手部が1つの構成(実施の形態1の構成)に比べて、より複雑な操作設定が可能となる。たとえば、図16(A),(B)に基づいて説明したように、旋回用のアシスト力をユーザの直感沿った方法で発生させることが可能となる。
<H2.変形例>
(h1.第1の変形例)
図15(D),(E),(F)に示した操作が行われた場合には、CPU321は、後進用の駆動力をモータ41,42に発生させる代わりに、後輪51,52をユーザが自由に回転させられるような状態(フリー状態)としてもよい。
(h2.第2の変形例)
図21は、図15および図16に基づき説明した電動アシスト車2の操作例とは異なる操作例を説明するための図である。図21(A)は、前進方向のアシスト力を発生させる操作方法を説明するための図である。図21(B)は、後進方向のアシスト力を発生させる操作方法を説明するための図である。図21(C),(D)は、左旋回方向のアシスト力を発生させる操作方法を説明するための図である。図21(E),(F)は、右旋回方向のアシスト力を発生させる操作方法を説明するための図である。
図21(A)を参照して、持手部162L、162Rに対して前進方向の力F1(つまり、持手部162L,162Rを押す力)を作用させると、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、前進方向のアシスト力を発生させる制御を行う。
図21(B)を参照して、持手部162L、162Rに対して後進方向の力F2(つまり、持手部162L,162Rを引く力)を作用させると、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、後進方向のアシスト力を発生させる制御を行う。
図21(C)を参照して、持手部162Rに対してのみ前進方向の力F1(つまり、持手部162Rのみを押す力)を作用させた場合、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、左旋回方向のアシスト力を発生させる制御を行う。
図21(D)を参照して、持手部162Lに対して後進方向の力F2(つまり、持手部162Lを引く力)を作用させるととともに、持手部162Rに対して前進方向の力F1(つまり、持手部162Rを押す力)を作用させた場合、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、左旋回方向のアシスト力を発生させる制御を行う。なお、当該制御は、図16(A)で説明した制御と同じである。
図21(E)を参照して、持手部162Lに対してのみ前進方向の力F1(つまり、持手部162Lのみを押す力)を作用させた場合、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、右旋回方向のアシスト力を発生させる制御を行う。
図21(F)を参照して、持手部162Lに対して前進方向の力F1(つまり、持手部162Lを押す力)を作用させるととともに、持手部162Rに対して後進方向の力F2(つまり、持手部162Rを引く力)を作用させた場合、制御装置302は、駆動装置40を構成するモータ41,42に対して、右旋回方向のアシスト力を発生させる制御を行う。なお、当該制御は、図16(B)で説明した制御と同じである。
上記のような構成を有する電動アシスト車2であっても、利用者の意図に応じた制御を実現可能となる。
なお、図21(B)に示した操作が行われた場合には、CPU321は、後進用の駆動力をモータ41,42に発生させる代わりに、後輪51,52をユーザが自由に回転させられるような状態(フリー状態)としてもよい。
また、図21(C)に示した操作および図21(D)に示した操作のいずれか一方のみの操作によって、左旋回方向のアシスト力を発生するように、電動アシスト車2を構成してもよい。同様に、図21(E)に示した操作および図21(F)に示した操作のいずれか一方のみの操作によって、右旋回方向のアシスト力を発生するように、電動アシスト車2を構成してもよい。
(h3.第3の変形例)
実施の形態1の「<H1.変形例>」において説明した第1〜第5の変形例を、本実施の形態においても適用可能である。
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。