JP5852022B2 - 金属微粒子分散複合体及びその製造方法、並びに局在型表面プラズモン共鳴発生基板 - Google Patents
金属微粒子分散複合体及びその製造方法、並びに局在型表面プラズモン共鳴発生基板 Download PDFInfo
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Description
1)金属微粒子の大きさが所定の範囲内に制御されていること、
2)金属微粒子の形状が均一であること、
3)金属微粒子が隣り合う金属微粒子とある一定以上の粒子間隔を保った状態でお互いが離れていること、
4)金属微粒子分散複合体に対する金属微粒子の体積充填割合がある一定の範囲で制御されていること、
5)金属微粒子がマトリックスの表層部から存在するとともに、その厚さ方向にも所定の粒子間距離を保ちながら偏りなく分布していること、
などの構造的特性を金属微粒子分散複合体が備えていることが必要である。また、金属微粒子分散複合体を、金属微粒子の外部環境の変化によって生じる局在型表面プラズモン共鳴の波長変化を高感度に感知するセンサー用途への適用を図るには、金属微粒子分散複合体は上記特性に加えて、更に、
6)金属微粒子が外部環境に露出した状態であること、
などの構造的特性を備えることが必要となる。
以下のa〜dの構成:
a)固体骨格部はアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有し、三次元的な網目構造を形成している;
b)金属微粒子の平均粒子径は3nm〜100nmの範囲内にあり、粒子径が1nm〜100nmの範囲内にある金属微粒子の割合が60%以上である;
c)金属微粒子は、各々の金属微粒子同士が接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径が大きい方の粒子径以上の間隔で存在している;
d)金属微粒子は、マトリックス層の空隙に露出した部位を備えており、マトリックス層中で三次元的に分散した状態で存在している;
を備えている。
以下の工程Ia〜Id;
Ia)固体骨格部を形成するためのアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有するスラリーを調製する工程、
Ib)前記スラリーと、該スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子の原料となる金属化合物を混合して塗布液を調製する工程、
Ic)前記塗布液を、基材上に塗布し、乾燥して塗布膜を形成する工程、
Id)前記塗布膜を、加熱処理することにより、前記塗布膜から三次元的な網目構造を有する固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を備えたマトリックス層を形成するとともに、前記金属化合物の金属イオンを加熱還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させる工程、
を備えている。この場合、前記工程Idの後で、さらに、Ie)前記金属微粒子の表面に、特定の物質と相互作用する官能基を有する結合化学種を固定する工程、を含んでいてもよい。
以下の工程IIa〜IId;
IIa)固体骨格部を形成するためのアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有するスラリーを調製する工程、
IIb)前記スラリーを、基材上に塗布し、乾燥した後、加熱処理することにより、三次元的な網目構造を有する固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を備えたマトリックス層を形成する工程、
IIc)前記マトリックス層に、前記スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子の原料となる金属イオンを含有する溶液を含浸させる工程、
IId)前記工程IIcの後、加熱処理することにより、前記金属イオンを還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させる工程、
を備えている。この場合、前記工程IIdの後で、さらに、IIe)前記金属微粒子の表面に、特定の物質と相互作用する官能基を有する結合化学種を固定する工程、を含んでいてもよい。
IIIa)前記固体骨格部の原料となる金属水酸化物又は金属酸化物を含有するスラリーを調製する工程、
IIIb)前記スラリーに、該スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子の原料となる金属化合物を混合して塗布液を調製する工程、
IIIc)前記塗布液を、基材上に塗布し、乾燥して塗布膜を形成する工程、
及び、
IIId)前記塗布膜を加熱処理することにより、前記塗布膜から三次元的な網目構造を有する固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を備えたマトリックス層を形成するとともに、前記金属化合物の金属イオンを加熱還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させて金属微粒子分散複合体を得る工程、
を備え、
前記工程IIIdをポリビニルアルコールの存在下で行うことを特徴とする。
IIIe)前記金属微粒子分散複合体を、前記ポリビニルアルコールの熱分解開始温度以上の温度で加熱する工程、
を備えていてもよい。
IVa)前記固体骨格部の原料となる金属水酸化物又は金属酸化物を含有するスラリーを調製する工程、
IVb)前記スラリーを、基材上に塗布し、乾燥した後、加熱処理することにより、三次元的な網目構造を有する固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を備えたマトリックス層を形成する工程、
IVc)前記マトリックス層に、前記スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.2〜1100重量部の範囲内となるように、金属微粒子の原料となる金属イオンを含有する溶液を含浸させる工程、
IVd)前記工程IVcの後、加熱処理することにより、前記金属イオンを還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させる工程、
を備え、
前記工程IVcの金属イオンを含有する溶液にポリビニルアルコールを配合し、前記工程IVdをポリビニルアルコールの存在下で行うことを特徴とする。
IVe)前記金属微粒子分散複合体を、前記ポリビニルアルコールの熱分解開始温度以上の温度で加熱する工程、
を備えていてもよい。
本発明の第1の実施の形態の金属微粒子分散複合体は、固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を有するマトリックス層と、該固体骨格部に固定された金属微粒子と、を備えた金属微粒子分散複合体である。この金属微粒子分散複合体は、以下のa〜dの構成:
a)固体骨格部はアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有し、三次元的な網目構造を形成している;
b)金属微粒子の平均粒子径は3nm〜100nmの範囲内にあり、粒子径が1nm〜100nmの範囲内にある金属微粒子の割合が60%以上である;
c)金属微粒子は、各々の金属微粒子同士が接することなく、隣り合う金属微粒子における粒子径が大きい方の粒子径以上の間隔で存在している;
d)金属微粒子は、マトリックス層の空隙に露出した部位を備えており、マトリックス層中で三次元的に分散した状態で存在している;
を備えている。
図1は、本実施の形態に係る金属微粒子分散複合体(以下、単に「ナノコンポジット」ともいう)10におけるマトリックス層1の構造を模式的に示している。図2は、ナノコンポジット10の厚み方向における断面の金属微粒子3の分散状態を模式的に示しており、図3は、ナノコンポジット10の面方向における断面の金属微粒子3の分散状態を模式的に示しており、図4は、金属微粒子3を拡大して説明する図面である。なお、図4では、隣り合う金属微粒子3における大きい方の金属微粒子3の粒子径をDL、小さい方の金属微粒子3の粒子径をDSと表しているが、両者を区別しない場合は単に粒子径Dと表記する。
a)固体骨格部1aはアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有し、三次元的な網目構造を形成している;
b)金属微粒子3の平均粒子径は3nm〜100nmの範囲内にあり、粒子径Dが1nm〜100nmの範囲内にある金属微粒子の割合が60%以上である;
c)金属微粒子3は、各々の金属微粒子3同士が接することなく、隣り合う金属微粒子3における粒子径Dが大きい方の粒子径DL以上の間隔で存在している;
d)金属微粒子3は、マトリックス層1の空隙1bに露出した部位を備えており、マトリックス層1中で三次元的に分散した状態で存在している。
そのような基材としては、例えばガラス、セラミックス、シリコンウェハー、半導体、紙、金属、金属合金、金属酸化物、合成樹脂、有機/無機複合材料等を用いることができ、その形状としては、例えばプレート状、シート状、薄膜状、メッシュ状、幾何学パターン形状、凹凸形状 繊維状、蛇腹状、多層状、球状等のものを適用できる。なお、これらの基材の表面には、例えばシランカップリング剤処理、化学的エッチング処理、プラズマ処理、アルカリ処理、酸処理、オゾン処理、紫外線処理、電気的研磨処理、研磨剤による研磨処理等を施したものも利用できる。
マトリックス層1は、図1に示したように、固体骨格部1a及び該固体骨格部1aが形成する空隙1bを有している。上記a)に示したとおり、固体骨格部1aは、アルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有し、三次元的な網目構造を形成している。固体骨格部1aは、アルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有する金属酸化物の微細な無機フィラー(又は結晶)の集合体であり、該無機フィラーは、粒子状、鱗片状、板状、針状、繊維状、キュービック状等の形状を有する。このような無機フィラーの集合体による三次元的な網目構造は、アルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有する金属酸化物の無機フィラーを溶液に分散したスラリーを加熱処理して得られるものが好ましい。また、アルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有する金属酸化物は、金属微粒子3となる金属イオンを加熱還元する際にも耐熱性を有する材料として有利であり、化学的安定性の観点からも好ましい。なお、アルミニウムオキシ水酸化物(又はアルミナ水和物)と呼ばれているものには、ベーマイト(擬ベーマイトを含む)、ギブサイト、ダイアスポア等の各種のものが知られているが、この中でも特にベーマイトが最も好ましい。ベーマイトの詳細については後述する。
本実施の形態のナノコンポジット10において、金属微粒子3の粒子径Dや粒子間距離Lの制御しやすさの観点から、金属微粒子3は、その前駆体となる金属イオンを加熱還元することによって得られるものが好ましい。このようにして得られる金属微粒子3として、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)等の金属種を用いることができる。また、これらの金属種の合金(例えば白金−コバルト合金など)を用いることもできる。これらの中でも、特に局在型表面プラズモン共鳴を奏する金属種として好適に利用できるものは、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)が挙げられる。380nm以上における可視領域の波長の光と相互作用して局在型表面プラズモン共鳴を生じる金属種として、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)が好ましく挙げられ、特に金(Au)は表面酸化されにくく保存安定性がよいので、最も望ましい。
上記c)に示したように、マトリックス層1の中で、金属微粒子3は、各々の金属微粒子3同士が接することなく、隣り合う金属微粒子3における粒子径が大きい方の粒子径以上の間隔で存在している。つまり、隣り合う金属微粒子3の間隔(粒子間距離)Lが、隣り合う金属微粒子3における大きい方の金属微粒子3の粒子径DL以上、すなわち、L≧DLである。図4において、金属微粒子3の粒子間距離Lは、大きい方の金属微粒子3の粒子径DL以上になっている。したがって、金属微粒子3が有する局在型表面プラズモン共鳴の特性を効率よく発現することができる。なお、隣り合う金属微粒子3における大きい方の粒子径DLと小さい方の粒子径をDSとの関係は、DL≧DSであればよい。本実施の形態のナノコンポジット10は、金属微粒子3の前駆体となる金属イオンを加熱還元することにより、析出した金属微粒子3の熱拡散が容易となり、隣り合う金属微粒子3における大きい方の粒子径DL以上の粒子間距離Lでマトリックス層1の内部に分散した状態となる。粒子間距離Lが、大きい方の粒子径DLよりも小さい場合には、局在型表面プラズモン共鳴の際に粒子どうしの干渉が生じて、例えば隣接する2つの粒子が一つの大きな粒子のように協働して局在型表面プラズモン共鳴が生じ、シャープな吸収スペクトルが得られなくなる場合がある。一方、粒子間距離Lは大きくても特に問題はないが、熱拡散を利用して分散状態になる金属微粒子3における各々の粒子間距離Lは、金属微粒子3の粒子径Dと後述する金属微粒子3の体積分率と密接な関係があるので、粒子間距離Lの上限は、金属微粒子3の体積分率の下限値によって制御することが好ましい。粒子間距離Lが大きい場合、言い換えるとナノコンポジット10に対する金属微粒子3の体積分率が低い場合は、局在型表面プラズモン共鳴による吸収スペクトルの強度が小さくなる。このような場合は、ナノコンポジット10の厚みを大きくすることによって、局在型表面プラズモン共鳴による吸収スペクトルの強度を大きくすることができる。
以上の構成を有する本実施の形態のナノコンポジット10は、金属微粒子3が三次元的な網目構造を有するマトリックス層1中で一定以上の粒子間距離Lを保った状態で、三次元的に偏りなく分散した形態を有する。そのため、局在型表面プラズモン共鳴による吸収スペクトルがシャープであるとともに、非常に安定しており、再現性と信頼性に優れている。さらに、金属微粒子3の表面の多くは、マトリックス層1中において外部空間に連通する空隙1bに露出しているため、金属微粒子3が有する、金属微粒子3の周辺媒質の誘電率(屈折率)の変化に応じて共鳴する波長が変化するという特性を充分に発現することが可能である。したがって、ナノコンポジット10は、例えばバイオセンサー、ケミカルセンサー、湿度センサー、結露センサー、ガスセンサー等の各種センシング用デバイスに適している。ナノコンポジット10をセンシング用デバイスに利用することにより、簡易な構成で高精度の検出が可能になる。また、ナノコンポジット10は、例えば、触媒フィルター、燃料電池、空気電池、水電解装置、電気二重層キャパシタ、汚染ガス除去装置、光記録・再生デバイス、光情報処理デバイス、エネルギー増強デバイス、高感度フォトダイオードデバイス等の様々なデバイスにも応用することができる。
次に、本実施の形態のナノコンポジット10の製造方法について説明する。ナノコンポジット10の製造方法は、大別すると、マトリックス層1を形成する過程で金属微粒子3を分散する方法(I)と、予め形成したマトリックス層1に金属微粒子3を分散する方法(II)とがある。ナノコンポジット10の製造工程数を少なくできるという観点から、(I)の方法が好ましい。
Ia)固体骨格部1aを形成するためのアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有するスラリーを調製する工程、
Ib)前記スラリーと、該スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として(本明細書において、金属化合物中に含まれる金属元素を金属の重量に換算する意味で用いる)0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子3の原料となる金属化合物を混合して塗布液を調製する工程、
Ic)前記塗布液を、基材上に塗布し、乾燥して塗布膜を形成する工程、並びに
Id)前記塗布膜を、加熱処理することにより、前記塗布膜から三次元的な網目構造を有する固体骨格部1a及び該固体骨格部1aが形成する空隙1bを備えたマトリックス層1を形成するとともに、前記金属化合物の金属イオンを加熱還元して金属微粒子3となる粒子状金属を析出させる工程。
IIa)固体骨格部1aを形成するためのアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有するスラリーを調製する工程、
IIb)前記スラリーを、基材上に塗布し、乾燥した後、加熱処理することにより、三次元的な網目構造を有する固体骨格部1a及び該固体骨格部1aが形成する空隙1bを備えたマトリックス層1を形成する工程、
IIc)前記マトリックス層1に、前記スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子3の原料となる金属イオンを含有する溶液を含浸させる工程、並びに
IId)前記工程IIcの後、加熱処理することにより、前記金属イオンを還元して金属微粒子3となる粒子状金属を析出させる工程。
次に、第1の実施の形態のナノコンポジットの変形例について説明する。本発明の好ましい態様において、金属微粒子3の表面には、例えば図5に拡大して示すように結合化学種11を固定することができる。変形例のナノコンポジット10Aにおいて、結合化学種11は、例えば金属微粒子3と結合可能な官能基Xと、例えば検出対象分子などの特定の物質と相互作用する官能基Yと、を有する物質と定義できる。結合化学種11は、単一の分子に限らず、例えば二以上の構成成分からなる複合体等の物質も含む。結合化学種11は、金属微粒子3の表面において、官能基Xによって金属微粒子3との結合により固定される。この場合、官能基Xと金属微粒子3との結合は、例えば化学結合、吸着等の物理的結合等を意味する。また、官能基Yと特定の物質との相互作用は、例えば化学結合、吸着等の物理的結合のほか、官能基Yの部分的若しくは全体的な変化(修飾や脱離など)などを意味する。
次に、第1の実施の形態の変形例のナノコンポジット10Aの製造方法について説明する。ナノコンポジット10Aの製造方法は、上記の(I)の方法に準じた(I')の方法と、上記の(II)の方法に準じた(II')の方法とにより行うことができる。
Ia)固体骨格部1aを形成するためのアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有するスラリーを調製する工程、
Ib)前記スラリーと、該スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として(本明細書において、金属化合物中に含まれる金属元素を金属の重量に換算する意味で用いる)0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子3の原料となる金属化合物を混合して塗布液を調製する工程、
Ic)前記塗布液を、基材上に塗布し、乾燥して塗布膜を形成する工程、
Id)前記塗布膜を、加熱処理することにより、前記塗布膜から三次元的な網目構造を有する固体骨格部1a及び該固体骨格部1aが形成する空隙1bを備えたマトリックス層1を形成するとともに、前記金属化合物の金属イオンを加熱還元して金属微粒子3となる粒子状金属を析出させる工程、並びに、
Ie)前記工程Idの後、金属微粒子3の表面に、結合化学種11を固定する工程。
IIa)固体骨格部1aを形成するためのアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有するスラリーを調製する工程、
IIb)前記スラリーを、基材上に塗布し、乾燥した後、加熱処理することにより、三次元的な網目構造を有する固体骨格部1a及び該固体骨格部1aが形成する空隙1bを備えたマトリックス層1を形成する工程、
IIc)前記マトリックス層1に、前記スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子3の原料となる金属イオンを含有する溶液を含浸させる工程、並びに
IId)前記工程IIcの後、加熱処理することにより、前記金属イオンを還元して金属微粒子3となる粒子状金属を析出させる工程、並びに、
IIe)前記工程IIdの後、金属微粒子3の表面に、結合化学種11を固定する工程。
結合化学種11の固定化工程では、結合化学種11を、金属微粒子3の露出部位の表面に固定させる。結合化学種11の固定化工程は、結合化学種11を金属微粒子3の露出部位の表面に接触させることにより行うことができる。例えば結合化学種11を溶剤に溶解した処理液で、金属微粒子3の表面処理を行うことが好ましい。結合化学種11を溶解する溶剤としては、水、炭素数1〜8の炭化水素系アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等、炭素数3〜6の炭化水素系ケトン類、例えば、アセトン、プロパノン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等、炭素数4〜12の炭化水素系エーテル類、例えば、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等、炭素数3〜7の炭化水素系エステル類、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、マロン酸ジエチル等、炭素数3〜6のアミド類、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド等、炭素数2のスルホキシド化合物、例えば、ジメチルスルホキシド等、炭素数1〜6の含ハロゲン化合物、例えば、クロロメタン、ブロモメタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、1、2−ジクロロエタン、1、4−ジクロロブタン、トリクロルエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン等、炭素数4〜8の炭化水素化合物、例えば、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
次に、第1の実施の形態のナノコンポジット10,10Aを各種のデバイスに利用する場合の好ましい態様の一つである局在型表面プラズモン共鳴発生基板について説明する。ナノコンポジット10,10Aは、上記のとおりセンシングデバイスなどの各種のデバイスに応用できるものである。その際の検出感度を高めるために、本実施の形態の局在型表面プラズモン共鳴発生装置は、光反射性部材を備えている。図7は、本実施の形態にかかる局在型表面プラズモン共鳴発生基板100の概略構成を説明する図面である。局在型表面プラズモン共鳴発生基板100は、ナノコンポジット10と、ナノコンポジット10の片側に配置された光反射性部材20と、この光反射性部材20に積層された保護層30と、を備えている。なお、図7では、ナノコンポジット10を用いる場合を例示しているが、ナノコンポジット10に替えて、ナノコンポジット10Aを用いることもできる。また、保護層30は任意の構成である。
次に、本発明の第2の実施の形態の金属微粒子分散複合体及びその製造方法について説明する。まず、図8〜図10を参照して、金属微粒子分散複合体の概要を説明する。
図8は、本実施の形態に係る金属微粒子分散複合体(ナノコンポジット)10B,10Cにおけるマトリックス層1’の構造を模式的に示している。ここで、ナノコンポジット10Cは、ナノコンポジット10Bに後述する熱処理を施すことによって得られるものである(工程IIIeを参照)。図9は、ナノコンポジット10B,10Cの厚み方向における断面での金属微粒子3の分散状態を模式的に示しており、図10は、ナノコンポジット10B,10Cの面方向における断面での金属微粒子3の分散状態を模式的に示している。
a)固体骨格部1a’は金属水酸化物又は金属酸化物(例えば、アルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物)を含有し、三次元的な網目構造を形成している;
b)金属微粒子3の平均粒子径は3nm〜100nmの範囲内にあり、粒子径Dが1nm〜100nmの範囲内にある金属微粒子の割合が60%以上である;
c)金属微粒子3は、各々の金属微粒子3同士が接することなく、隣り合う金属微粒子3における粒子径Dが大きい方の粒子径DL以上の間隔で存在している;
d)金属微粒子3は、マトリックス層1’の空隙1bに露出した部位を備えており、マトリックス層1’中で三次元的に分散した状態で存在している。
マトリックス層1’は、図8に示したように、固体骨格部1a’及び該固体骨格部1a’が形成する空隙1bを有している。上記a)に示したとおり、固体骨格部1a’は、金属水酸化物又は金属酸化物を含有し、三次元的な網目構造を形成している。以下、金属水酸化物又は金属酸化物がアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物である場合を例に挙げて説明する。固体骨格部1a’は、アルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有する金属酸化物の微細な無機フィラー(又は結晶)の集合体であり、該無機フィラーは、粒子状、鱗片状、板状、針状、繊維状、キュービック状等の形状を有する。このような無機フィラーの集合体による三次元的な網目構造は、アルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有する金属酸化物の無機フィラーを溶液に分散したスラリーを加熱処理して得られるものが好ましい。また、アルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有する金属酸化物は、金属微粒子3となる金属イオンを加熱還元する際にも耐熱性を有する材料として有利であり、化学的安定性の観点からも好ましい。なお、アルミニウムオキシ水酸化物(又はアルミナ水和物)と呼ばれているものには、ベーマイト(擬ベーマイトを含む)、ギブサイト、ダイアスポア等の各種のものが知られているが、この中でも特にベーマイトが最も好ましい。ベーマイトの詳細については後述する。
本実施の形態のナノコンポジット10B,10Cにおいて、金属微粒子3の粒子径Dや粒子間距離Lの制御しやすさの観点から、金属微粒子3は、その前駆体となる金属イオンを加熱還元することによって得られるものが好ましい。金属微粒子3としては、第1の実施の形態で例示したものと同様である。
上記c)に示したように、マトリックス層1’の中で、金属微粒子3は、各々の金属微粒子3同士が接することなく、隣り合う金属微粒子3における粒子径が大きい方の粒子径以上の間隔で存在している。つまり、隣り合う金属微粒子3の間隔(粒子間距離)Lが、隣り合う金属微粒子3における大きい方の金属微粒子3の粒子径DL以上、すなわち、L≧DLである。金属微粒子3の粒子間距離Lは、大きい方の金属微粒子3の粒子径DL以上になっている(図4参照)。したがって、金属微粒子3が有する局在型表面プラズモン共鳴の特性を効率よく発現することができる。なお、隣り合う金属微粒子3における大きい方の粒子径DLと小さい方の粒子径をDSとの関係は、DL≧DSであればよい。本実施の形態のナノコンポジット10B,10Cは、金属微粒子3の前駆体となる金属イオンを加熱還元することにより、析出した金属微粒子3の熱拡散が容易となり、隣り合う金属微粒子3における大きい方の粒子径DL以上の粒子間距離Lでマトリックス層1’の内部に分散した状態となる。粒子間距離Lが、大きい方の粒子径DLよりも小さい場合には、局在型表面プラズモン共鳴の際に粒子どうしの干渉が生じて、例えば隣接する2つの粒子が一つの大きな粒子のように協働して局在型表面プラズモン共鳴が生じ、シャープな吸収スペクトルが得られなくなる場合がある。一方、粒子間距離Lは大きくても特に問題はないが、熱拡散を利用して分散状態になる金属微粒子3における各々の粒子間距離Lは、金属微粒子3の粒子径Dと後述する金属微粒子3の体積分率と密接な関係があるので、粒子間距離Lの上限は、金属微粒子3の体積分率の下限値によって制御することが好ましい。粒子間距離Lが大きい場合、言い換えるとナノコンポジット10B,10Cに対する金属微粒子3の体積分率が低い場合は、局在型表面プラズモン共鳴による吸収スペクトルの強度が小さくなる。このような場合は、ナノコンポジット10B,10Cの厚みを大きくすることによって、局在型表面プラズモン共鳴による吸収スペクトルの強度を大きくすることができる。
次に、第2の実施の形態に係るナノコンポジット10B,10Cの製造方法について説明する。ナノコンポジット10B,10Cは、例えば以下の製造方法III及び製造方法IVに従い製造することができる。
本実施の形態のナノコンポジット10Bの製造方法IIIは、以下の工程IIIa〜IIId:
IIIa)固体骨格部の原料となる金属水酸化物又は金属酸化物を含有するスラリーを調製する工程、
IIIb)スラリーに、該スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子の原料となる金属化合物を混合して塗布液を調製する工程、
IIIc)塗布液を、基材上に塗布し、乾燥して塗布膜を形成する工程、
及び、
IIId)塗布膜を加熱処理することにより、前記塗布膜から三次元的な網目構造を有する固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を備えたマトリックス層を形成するとともに、前記金属化合物の金属イオンを加熱還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させて金属微粒子分散複合体を得る工程、
を備え、工程IIIdをポリビニルアルコールの存在下で行う。
本実施の形態では、マトリックス層1’における固体骨格部1a’が、アルミニウムオキシ水酸化物(又はアルミナ水和物)を含有するベーマイト(擬ベーマイトを含む)により構成される場合について代表的に例示して説明を行う。マトリックス層1’を構成する固体骨格部1a’は、市販のベーマイト粉末を好適に使用可能であり、例えば、大明化学工業株式会社製のベーマイト(商品名)、CNDEA社製のDisperal
HP15(商品名)、ユニオン昭和(株)社製のVERSAL(TM)ALUMINA(商品名)、河合石灰工業株式会社製のセラシュール(商品名)、巴工業株式会社製のCAM9010(商品名)、日産化学株式会社製のアルミナゾル520(商品名)、川研ファインケミカル株式会社製のアルミナゾル−10A(商品名)、スイーコ・インタナショナル社製のSECOベーマイトアルミナ(商品名)等を使用することが可能である。
本工程では、上記のようにして工程IIIaで調製したスラリーに、さらに金属微粒子3の原料となる金属化合物を加えて塗布液とする。この場合、加える金属化合物の量は、スラリーの固形分100重量部に対して、金属元素として0.5〜480重量部の範囲内となるようにする。なお、調製したスラリーに金属化合物を加えると、塗布液の粘度が高くなることがあるが、その場合は、上記の溶媒を適宜添加することによって最適な粘度に調整することが望ましい。
塗布に用いる基材としては、ナノコンポジット10B,10Cを基材から剥離してセンサー等に使用する場合や、ナノコンポジット10B,10Cに基材を付けた状態で光反射系の局在型表面プラズモン共鳴を利用する場合は、特に制限はない。ナノコンポジット10B,10Cに基材を付けた状態で光透過系の局在型表面プラズモン共鳴を利用する場合は、基材は、光透過性であることが好ましく、例えばガラス基板、透明な合成樹脂製基板等を用いることができる。透明な合成樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、PET樹脂、アクリル樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
本工程IIIeでは、ナノコンポジット10Bを再度加熱することにより、ナノコンポジット10B中に残存するポリビニルアルコールに由来する有機物(以下、「ポリビニルアルコール由来成分」ともいう。)を熱分解させてガス化させて除去し、ナノコンポジット10Cとすることができる。局在型表面プラズモン共鳴を利用したセンサー用途へナノコンポジットを適用する場合、ナノコンポジット10B中に残存するポリビニルアルコール由来成分は検出感度を低下させる原因となるため、これを除去することが好ましい。ポリビニルアルコール由来成分の熱分解開始温度は、およそ200℃前後であるため、本工程IIIeでは、ナノコンポジット10Bを200℃以上、好ましくは300℃以上、より好ましくはポリビニルアルコール由来成分をほぼ完全に分解できる450℃以上の温度に加熱する。熱処理は、ナノコンポジット10Bを構成する固体骨格部1a’や金属微粒子3に分解、溶融などの影響を与えない温度範囲で行うことが好ましく、熱処理温度の上限は例えば600℃以下とすることができる。ここで、ポリビニルアルコールに由来する有機物とは、工程IIIdにおいて、還元助剤として消費されなかったポリビニルアルコールを含め、例えば、加熱処理時にポリビニルアルコールが酸化される等(例えば、アルコール部分がケトンとなる等)によって、その構造が変化したポリビニルアルコールの変性物又は分解物などをいう。
本実施の形態のナノコンポジット10Bの製造方法IVは、以下の工程IVa)〜IVd):
IVa)固体骨格部1a’の原料となる金属水酸化物又は金属酸化物を含有するスラリーを調製する工程、
IVb)スラリーを、基材上に塗布し、乾燥した後、加熱処理することにより、三次元的な網目構造を有する固体骨格部1a’及び該固体骨格部1a’が形成する空隙を備えたマトリックス層1’を形成する工程、
IVc)マトリックス層1’に、前記スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.2〜1100重量部の範囲内となるように、金属微粒子3の原料となる金属イオンを含有する溶液を含浸させる工程、
IVd)工程IVcの後、加熱処理することにより、前記金属イオンを還元して金属微粒子3となる粒子状金属を析出させる工程、
を備え、工程IVcの金属イオンを含有する溶液にポリビニルアルコールを配合し、工程IVdをポリビニルアルコールの存在下で行う。
基材としては、ナノコンポジット10B,10Cを基材から剥離してセンサー等に使用する場合や、ナノコンポジット10B,10Cに基材を付けた状態で光反射系の局在型表面プラズモン共鳴を利用する場合は、特に制限はない。ナノコンポジット10B,10Cに基材を付けた状態で光透過系の局在型表面プラズモン共鳴を利用する場合は、基材は、光透過性であることが好ましく、例えばガラス基板、透明な合成樹脂製基板等を用いることができる。透明な合成樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、PET樹脂、アクリル樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
本工程では、上記のようにして工程IVbで調製したマトリックス層1’に、金属微粒子3の原料となる金属イオンを含浸させる。この場合、金属イオンの量は、スラリーの固形分100重量部に対して、金属元素として0.2〜1100重量部の範囲内となるようにする。金属イオンの量は、金属元素の種類によって、適宜調整することが好ましく、例えば、金属元素がAuの場合、金属イオンの量は、スラリーの固形分100重量部に対して、金属元素(Au)として0.6〜1100重量部の範囲内となるようにすることが好ましい。スラリーの固形分100重量部に対して、金属イオンの量が金属元素として0.2重量部を下回ると、金属微粒子3の体積分率が低下して局在型表面プラズモン共鳴による吸収スペクトルの強度がかなり小さくなり、仮にナノコンポジット10B,10Cの厚みを大きくしても本発明の効果は得られにくい。一方、スラリーの固形分100重量部に対して、金属イオンの量が金属元素として1100重量部を上回ると、金属微粒子3の体積分率が高くなりすぎて、隣り合う金属微粒子3の間隔(粒子間距離L)が、隣り合う金属微粒子3における大きい方の金属微粒子3の粒子径DLより狭くなるため、局在型表面プラズモン共鳴による吸収スペクトルのシャープなピークが得られにくくなる。
金属イオンの還元及び析出した金属微粒子3の分散は、好ましくは150〜600℃の範囲内、より好ましくは170〜550℃の範囲内、更に好ましくは200〜400℃での加熱処理によって行うことができる。ここで、加熱処理温度が150℃未満では、金属イオンの還元が十分に行われず、金属微粒子3の平均粒子径を前述の下限(3nm)以上にすることが困難となる場合がある。また、加熱処理温度が150℃未満では、還元によって析出した金属微粒子3のマトリックス層1’中での熱拡散が十分に起こらない場合がある。なお、ポリビニルアルコールの効果により、加熱処理の温度が高い場合(例えば450〜600℃の範囲内)であっても、金属イオンの加熱還元時に形成する金属微粒子を肥大化させることなく、金属微粒子の分散を進行させることができる。以上のように、150℃以上の温度で加熱処理を行うことによって、マトリックス層1’中で金属微粒子3の析出、分散を効率よく進行させることが可能である。
本工程IVeでは、ナノコンポジット10Bを再度加熱することにより、ナノコンポジット10B中に残存するポリビニルアルコールに由来する有機物(以下、「ポリビニルアルコール由来成分」ともいう。)を熱分解させてガス化させて除去し、ナノコンポジット10Cとすることができる。局在型表面プラズモン共鳴を利用したセンサー用途へナノコンポジットを適用する場合、ナノコンポジット10B中に残存するポリビニルアルコール由来成分は検出感度を低下させる原因となるため、これを除去することが好ましい。ポリビニルアルコール由来成分の熱分解開始温度は、およそ200℃前後であるため、本工程IVeでは、ナノコンポジット10Bを200℃以上、好ましくは300℃以上、より好ましくはポリビニルアルコール由来成分をほぼ完全に分解できる450℃以上の温度に加熱する。熱処理は、ナノコンポジット10Bを構成する固体骨格部1a’や金属微粒子3に分解、溶融などの影響を与えない温度範囲で行うことが好ましく、熱処理温度の上限は例えば600℃以下とすることができる。ここで、ポリビニルアルコールに由来する有機物とは、工程IVdにおいて、還元助剤として消費されなかったポリビニルアルコールを含め、例えば、加熱処理時にポリビニルアルコールが酸化される等(例えば、アルコール部分がケトンとなる等)によって、その構造が変化したポリビニルアルコールの変性物又は分解物などをいう。
金属微粒子の平均粒子径の測定は、試料の断面をミクロトーム(ライカ社製、ウルトラカットUTCウルトラミクロトーム)を用いて超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子社製、JEM−2000EX)により観測した。尚、ガラス基板上に作製した試料を上記の方法で観測することは困難であるため、ポリイミドフィルム上に同条件で作製したものを用い観測した。また、金属微粒子の平均粒子径は面積平均径とした。
金属微粒子分散複合体の空隙サイズ(細孔径)の平均値は、水銀ポロシメーター法による細孔分布測定により求めた。
金属微粒子分散複合体の空隙率は、金属微粒子分散複合体の面積、厚み及び重量より算出した見掛け密度(嵩密度)と、マトリックス層の固体骨格部を形成する材料及び金属微粒子の固有の密度および組成比率より算出した空隙を含まない密度(真密度)を用いて、下記式(A)にしたがって空隙率を算出した。
作製した試料の吸収スペクトルは、紫外・可視・近赤外分光法(日立製作所社製、U−4000)により観測した。
6gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、17gの水と0.5gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに17gのエタノールと1.25gの塩化金酸・四水和物を加え、5分間の超音波処理することにより、金錯体含有スラリー1−1を調製した。このときの金錯体含有スラリー1−1におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して10重量部である。得られた金錯体含有スラリー1−1をスピンコーター(ミカサ株式会社製、商品名;SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、ガラス基板の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥し、さらに280℃、10分間加熱処理することによって、赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット1−1(厚さ1.18μm)を作製した。ナノコンポジット1−1中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット1−1の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット1−1の空隙率;58%、空隙サイズ;平均6nm、最大35nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;33nm、最小粒子径;15nm、最大粒子径;60nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;109nm、ナノコンポジット1−1に対する金属金微粒子の体積分率;0.65%、同充填率;9.06wt%。
3)ナノコンポジット1−1における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット1の空隙の全容量に対し1.1%。
また、ナノコンポジット1−1の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが548nm、半値幅が90nm、波長600nmにおける吸光度が0.196の吸収ピークが観測され、水中における吸収スペクトルは、ピークトップが574nm、半値幅が108nm、波長600nmにおける吸光度が0.347の吸収ピークが観測された。観測された吸収ピークの単位屈折率変化に対するピーク波長変化量及びピーク強度変化量は、それぞれ78.2nm及び0.442であった。
実施例1−1と同様にして、金錯体含有スラリー1−2を調製した後、得られた金錯体含有スラリー1−2を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット1−2(厚さ1.83μm)を作製した。ナノコンポジット1−2中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット1−2の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット1−2の空隙率;56%、空隙サイズ;平均9nm、最大120nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;37nm、最小粒子径;14nm、最大粒子径;61nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;120nm、ナノコンポジット1−2に対する金属金微粒子の体積分率;0.68%、同充填率;9.06wt%。
3)ナノコンポジット1−2における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2の空隙の全容量に対し1.2%。
また、ナノコンポジット1−2の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが546nm、半値幅が84nm、波長600nmにおける吸光度が0.257の吸収ピークが観測され、水中における吸収スペクトルは、ピークトップが572nm、半値幅が105nm、波長600nmにおける吸光度が0.517の吸収ピークが観測された。観測された吸収ピークの単位屈折率変化に対するピーク波長変化量及びピーク強度変化量は、それぞれ74.9nm及び0.764であった。このナノコンポジット1−2の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した画像を図11に、ナノコンポジット1−2の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した画像を図12に、それぞれ示した。また、ナノコンポジット1−2の空気および水に対する吸収スペクトルを測定したグラフを図13に示した。
実施例1−1と同様にして、金錯体含有スラリー1−3を調製した後、得られた金錯体含有スラリー1−3を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット1−3(厚さ0.81μm)を作製した。ナノコンポジット1−3中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット1−3の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット1−3の空隙率;58%、空隙サイズ;平均5nm、最大18nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;31nm、最小粒子径;18nm、最大粒子径;73nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;103nm、ナノコンポジット1−3に対する金属金微粒子の体積分率;0.66%、同充填率;9.06wt%。
3)ナノコンポジット1−3における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット3の空隙の全容量に対し1.1%。
また、ナノコンポジット1−3の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが552nm、半値幅が94nm、波長600nmにおける吸光度が0.161の吸収ピークが観測され、水中における吸収スペクトルは、ピークトップが582nm、半値幅が122nm、波長600nmにおける吸光度が0.247の吸収ピークが観測された。観測された吸収ピークの単位屈折率変化に対するピーク波長変化量及びピーク強度変化量は、それぞれ89.7nm及び0.224であった。
実施例1−1における、塩化金酸・四水和物の1.25gを使用したことの代わりに、11.25gを使用したこと以外、実施例1−1と同様にして、金錯体含有スラリー1−4を調製した後、得られた金錯体含有スラリー1−4を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット1−4(厚さ1.10μm)を作製した。このときの金錯体含有スラリー1−4におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して90重量部である。また、ナノコンポジット1−4中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット1−4の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット1−4の空隙率;64%、空隙サイズ;平均6nm、最大20nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;91nm、最小粒子径;28nm、最大粒子径;167nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;64%、粒子間距離の平均値;114nm、ナノコンポジット1−4に対する金属金微粒子の体積分率;4.5%、同充填率;47.28wt%。
3)ナノコンポジット1−4における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット1−4の空隙の全容量に対し7.0%。
また、ナノコンポジット1−4の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが562nm、半値幅が162nm、波長600nmにおける吸光度が1.132の吸収ピークが観測され、水中における吸収スペクトルは、ピークトップが586nm、半値幅が216nm、波長600nmにおける吸光度が1.215の吸収ピークが観測された。観測された吸収ピークの単位屈折率変化に対するピーク波長変化量及びピーク強度変化量は、それぞれ69.2nm及び0.226であった。
実施例1−1における、塩化金酸・四水和物の1.25gを使用したことの代わりに、33.75gを使用したこと以外、実施例1−1と同様にして、金錯体含有スラリー1−5を調製した後、得られた金錯体含有スラリー1−5を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット1−5(厚さ0.60μm)を作製した。このときの金錯体含有スラリー1−5におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して270重量部である。また、ナノコンポジット1−5中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット1−5の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット1−5の空隙率;81%、空隙サイズ;平均6nm、最大55nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;63nm、最小粒子径;26nm、最大粒子径;95nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;70nm、ナノコンポジット1−5に対する金属金微粒子の体積分率;5.6%、同充填率;72.9wt%。
3)ナノコンポジット1−5における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット5の空隙の全容量に対し6.9%。
また、ナノコンポジット1−5の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが540nm、半値幅が114nm、波長600nmにおける吸光度が0.351の吸収ピークが観測され、水中における吸収スペクトルは、ピークトップが574nm、半値幅が160nm、波長600nmにおける吸光度が0.414の吸収ピークが観測された。観測された吸収ピークの単位屈折率変化に対するピーク波長変化量及びピーク強度変化量は、それぞれ101.3nm及び0.185であった。
6gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、11.5gの水と0.5gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに22.6gのエタノールと0.60gのγ−アミノプロピルトリエトキシシランを加え、攪拌した後、1.25gの塩化金酸・四水和物を加え、5分間の超音波処理することにより、金錯体含有スラリー1−6を調製した。
実施例1−1と同様にして、得られた金錯体含有スラリー1−6を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット1−6(厚さ2.85μm)を作製した。ナノコンポジット1−6中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット1−6の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット1−6の空隙率;58%、空隙サイズ;平均8nm、最大110nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;35nm、最小粒子径;12nm、最大粒子径;55nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;117nm、ナノコンポジット1−6に対する金属金微粒子の体積分率;0.66%、同充填率;8.84wt%。
3)ナノコンポジット1−6における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット1−6の空隙の全容量に対し1.1%。
また、ナノコンポジット1−6の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが543nm、半値幅が94nm、波長600nmにおける吸光度が0.339の吸収ピークが観測され、水中における吸収スペクトルは、ピークトップが558nm、半値幅が100nm、波長600nmにおける吸光度が0.456の吸収ピークが観測された。観測された吸収ピークの単位屈折率変化に対するピーク波長変化量及びピーク強度変化量は、それぞれ46.5nm及び0.352であった。
6gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、17gの水と0.5gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに17gのエタノールを加え、5分間超音波処理することにより、スラリー1−7を調製した。得られたスラリー1−7をスピンコーター(ミカサ株式会社製、商品名;SPINCOATER 1H−DX2)を用いて、ガラス基板の上に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥し、さらに280℃、10分間加熱処理することによって、マトリックス層1−7(厚さ1.55μm)を作製した。
このマトリックス層1−7を2.5重量%の塩化金酸・四水和物水溶液に10分間浸漬することにより、塩化金酸・四水和物水溶液をマトリックス層1−7に含浸させた後、エアーブローにより余分の塩化金酸・四水和物水溶液を除去し、280℃、10分間加熱処理することによって、赤色に呈色した赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット1−7を作製した。このときのAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して約3重量部である。ナノコンポジット1−7中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット1−7の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット1−7の空隙率;60%、空隙サイズ;平均6nm、最大16nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;30nm、最小粒子径;8nm、最大粒子径;52nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;167nm、ナノコンポジット1−7に対する金属金微粒子の体積分率;0.18%、同充填率;2.79wt%。
3)ナノコンポジット1−7における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット1−7の空隙の全容量に対し0.3%。
また、ナノコンポジット1−7の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが540nm、半値幅が85nm、波長600nmにおける吸光度が0.102の吸収ピークが観測され、水中における吸収スペクトルは、ピークトップが560nm、半値幅が99nm、波長600nmにおける吸光度が0.142の吸収ピークが観測された。観測された吸収ピークの単位屈折率変化に対するピーク波長変化量及びピーク強度変化量は、それぞれ57.6nm及び0.115であった。
実施例1−7における、2.5重量%の塩化金酸・四水和物水溶液に10分間浸漬したことの代わりに、10重量%の塩化金酸・四水和物水溶液に10分間浸漬したこと以外、実施例1−7と同様にして、赤色に呈色した赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット1−8を作製した。このときのAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して約11重量部である。ナノコンポジット1−8中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット1−8の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット1−8の空隙率;60%、空隙サイズ;平均6nm、最大16nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;43nm、最小粒子径;14nm、最大粒子径;65nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;139nm、ナノコンポジット1−8に対する金属金微粒子の体積分率;0.71%、同充填率;10.29wt%。
3)ナノコンポジット1−8における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット1−8の空隙の全容量に対し1.2%。
また、ナノコンポジット1−8の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の吸収スペクトルは、ピークトップが552nm、半値幅が96nm、波長600nmにおける吸光度が0.295の吸収ピークが観測され、水中における吸収スペクトルは、ピークトップが582nm、半値幅が116nm、波長600nmにおける吸光度が0.523の吸収ピークが観測された。観測された吸収ピークの単位屈折率変化に対するピーク波長変化量及びピーク強度変化量は、それぞれ86.5nm及び0.691であった。
<局在型表面プラズモン共鳴発生基板1−1の作製>
6gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、17gの水と0.5gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに17gのエタノール、0.6gの3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび1.25gの塩化金酸・四水和物を加え、5分間の超音波処理することにより、金錯体含有スラリー1−9を調製した。このときの金錯体含有スラリー1−9におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して10重量部である。
1)ナノコンポジット1−9の空隙率;58%、空隙サイズ;平均8nm、最大110nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;34nm、最小粒子径;12nm、最大粒子径;54nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;117nm、ナノコンポジット1−9に対する金属金微粒子の体積分率;0.66%、同充填率;8.84wt%。
3)ナノコンポジット1−9における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット1−9の空隙の全容量に対し1.1%。
また、局在型表面プラズモン共鳴発生基板1−1の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の反射吸収スペクトルは、ピークトップが565nm、半値幅が157nm、波長600nmにおける吸光度が0.510の吸収ピークが観測され、水中における吸収スペクトルは、ピークトップが603nm、半値幅が204nm、波長600nmにおける吸光度が0.768の吸収ピークが観測された。観測された吸収ピークの単位屈折率変化に対するピーク波長変化量及びピーク強度変化量は、それぞれ115.2nm及び0.782であった。
<局在型表面プラズモン共鳴発生基板1−2の作製>
Ni−Cr合金薄膜(厚み193nm)/Ag薄膜(厚み233nm)/ガラス基板(厚み0.7mm)3層構造の基板(12cm角)の代わりに、Al薄膜(厚み190nm)/透明ガラス基板(厚み0.7mm)2層構造の基板(12cm角)を用いたこと以外は、実施例1−9と同様にして、局在型表面プラズモン共鳴発生基板1−2を作製した。
Ni−Cr合金薄膜(厚み193nm)/Ag薄膜(厚み233nm)/ガラス基板(厚み0.7mm)3層構造の基板(12cm角)の代わりに、透明ガラス基板(厚み0.7mm)を用いたこと以外は、実施例1−9と同様にして、ナノコンポジット1−10を作成した。ナノコンポジット1−10の金属金微粒子による局在型表面プラズモン共鳴の反射吸収スペクトルは、ピークトップが572nm、半値幅が154nm、波長600nmにおける吸光度が0.079の吸収ピークが観測され、水中における吸収スペクトルは、ピークトップが572nm、半値幅が242nm、波長600nmにおける吸光度が0.100の吸収ピークが観測された。観測された吸収ピークの単位屈折率変化に対するピーク波長変化量及びピーク強度変化量は、それぞれ0nm及び0.064であった。
ビオチンN−スクシンイミジルの粉末試薬(同仁化学社製、商品名;Biotin Sulfo−OSu)の3mgをリン酸緩衝生理食塩水(150mMの塩化ナトリウム、7.5mMのリン酸水素二ナトリウム及び2.9mMのリン酸二水素ナトリウムの混合水溶液)の3mlに溶解し、1mg/mlのビオチン溶液1−1を調製した。
アビジンの粉末試薬(ナカライテスク社製、商品名;Avidin from egg white)の1mgをリン酸緩衝生理食塩水(150mMの塩化ナトリウム、7.5mMのリン酸水素二ナトリウム及び2.9mMのリン酸二水素ナトリウムの混合水溶液)の10mlに溶解し、1.47μMのアビジン溶液1−2を調製した。
実施例1−2で得られたナノコンポジット1−2を、結合化学種であるアミノウンデカンチオール塩酸塩の0.1mM(0.1ミリモル/L)のエタノール溶液に浸漬し、23℃で2時間処理した後、エタノールにて洗浄し乾燥させて、ナノコンポジット1−11aを調製した。
金属微粒子の平均粒子径の測定は、試料を砕いてエタノールに分散させたのち、得られた分散液をカーボン支持膜付き金属性メッシュへ滴下して作成した基板を、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子社製、JEM−2000EX)により観測した。また、金属微粒子の平均粒子径は面積平均径とした。
金属微粒子分散複合体の空隙サイズ(細孔径)の平均値は、水銀ポロシメーター法による細孔分布測定により求めた。
金属微粒子分散複合体の空隙率は、金属微粒子分散複合体の面積、厚み及び重量より算出した見掛け密度(嵩密度)と、マトリックス層の固体骨格部を形成する材料及び金属微粒子の固有の密度および組成比率より算出した空隙を含まない密度(真密度)を用いて、下記式(A)にしたがって空隙率を算出した。
作製したナノコンポジット試料の吸収スペクトルは、瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製、MCPD−3700)により観測した。
0.6gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、2.84gの水と0.05gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに3.40gのエタノール、0.06gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン、0.50gの純水に溶解させた0.125gのポリビニルアルコール(平均分子量22000、重合度500、ケン化度88%)および0.125gの塩化金酸・四水和物を加え、5分間の超音波処理することにより、金錯体含有スラリー2−1を調製した。このときの金錯体含有スラリー2−1におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して10重量部である。また、配合したポリビニルアルコール中のヒドロキシ基は、塩化金酸・四水和物1モルに対し、8.24モルである。
1)ナノコンポジット2−1Aの空隙率;54.2%
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;10.2nm、最小粒子径;2nm、最大粒子径;36nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;34.3nm、ナノコンポジット2−1Aに対する金属金微粒子の体積分率;0.63%、同充填率;8.56wt%。
3)ナノコンポジット2−1Aにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−1Aの空隙の全容量に対し1.16%。
1)ナノコンポジット2−1Bの空隙率;58.0%
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;11.9nm、最小粒子径;3nm、最大粒子径;40nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;40.0nm、ナノコンポジット2−1Bに対する金属金微粒子の体積分率;0.63%、同充填率;8.87wt%。
3)ナノコンポジット2−1Bにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−1Bの空隙の全容量に対し1.09%。
0.6gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、2.28gの水と0.05gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに3.40gのエタノール、0.06gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン、1.00gの純水に溶解させた0.25gのポリビニルアルコール(平均分子量22000、重合度500、ケン化度88%)および0.25gの塩化金酸・四水和物を加え、5分間の超音波処理することにより、金錯体含有スラリー2−2を調製した。このときの金錯体含有スラリー2−2におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して20重量部である。また、配合したポリビニルアルコール中のヒドロキシ基は、塩化金酸・四水和物1モルに対し、8.24モルである。
1)ナノコンポジット2−2Aの空隙率;49.6%
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;14.4nm、最小粒子径;5nm、最大粒子径;37nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;35.5nm、ナノコンポジット2−2Aに対する金属金微粒子の体積分率;1.26%、同充填率;15.26wt%。
3)ナノコンポジット2−2Aにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−2Aの空隙の全容量に対し2.54%。
1)ナノコンポジット2−2Bの空隙率;57.4%
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;17.9nm、最小粒子径;6nm、最大粒子径;40nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;44.1nm、ナノコンポジット2−2Bに対する金属金微粒子の体積分率;1.26%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2−2Bにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−2Bの空隙の全容量に対し2.19%。
18gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、78.72gの水と3.28gの酢酸を加え、機械撹拌(回転数400rpm、3時間)を行い、ベーマイト分散液2−3を調製した。次に、3.5gのベーマイト分散液2−3に対して、2.33gのエタノール、1.575gの純水に溶解させた0.394gのポリビニルアルコール(平均分子量22000、重合度500、ケン化度88%)、0.063gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン、および2gのエタノールに溶解させた0.263gの塩化金酸・四水和物を加え、金錯体含有スラリー2−3を調製した。なお、前記スラリー2−3の調製に際しては、各試薬をそれぞれ加えるたびに、撹拌子による撹拌(回転数1000rpm、5分間)を行った。このときの金錯体含有スラリー2−3におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して20重量部である。また、配合したポリビニルアルコール中のヒドロキシ基は、塩化金酸・四水和物1モルに対し、12.3モルである。
1)ナノコンポジット2−3Aの空隙率;66.1%、空隙サイズ;平均24nm、最大50nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;6nm、最小粒子径;2nm、最大粒子径;42nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;16.5nm、ナノコンポジット2−3Aに対する金属金微粒子の体積分率;1.0%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2−3Aにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−3Aの空隙の全容量に対し1.5%。
ベーマイト粉末(SECO社製、商品名;SECO−140、平均1次粒子径;14nm、平均2次粒子径;0.17μm、粒子形状;針状)を用いた以外は、実施例2−3と同様にして、金錯体含有スラリー2−4を調製した後、得られた金錯体含有スラリー2−4を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット2−4A(厚さ1.63μm)を作製した。ナノコンポジット2−4A中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット2−4Aの特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット2−4Aの空隙率;67.9%、空隙サイズ;平均16nm、最大30nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;10nm、最小粒子径;4nm、最大粒子径;57nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;27.3nm、ナノコンポジット2−4Aに対する金属金微粒子の体積分率;0.95%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2−4Aにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−4Aの空隙の全容量に対し1.4%。
ベーマイト粉末(SECO社製、商品名;SECO−100、平均1次粒子径;10nm、平均2次粒子径;0.15μm、粒子形状;針状)を用いた以外は、実施例2−3と同様にして、金錯体含有スラリー2−5を調製した後、得られた金錯体含有スラリー2−5を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット2−5A(厚さ1.76μm)を作製した。ナノコンポジット2−5A中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット2−5Aの特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット2−5Aの空隙率;65.6%、空隙サイズ;平均12nm、最大20nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;10nm、最小粒子径;4nm、最大粒子径;67nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;29.3nm、ナノコンポジット2−5Aに対する金属金微粒子の体積分率;1.02%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2−5Aにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−5Aの空隙の全容量に対し1.6%。
ベーマイト粉末(SECO社製、商品名;SECO−080、平均1次粒子径;8nm、平均2次粒子径;0.12μm、粒子形状;針状)を用いた以外は、実施例2−3と同様にして、金錯体含有スラリー2−6を調製した後、得られた金錯体含有スラリー2−6を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット2−6A(厚さ1.78μm)を作製した。ナノコンポジット2−6A中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット2−6Aの特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット2−6Aの空隙率;64.1%、空隙サイズ;平均9nm、最大30nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;10nm、最小粒子径;4nm、最大粒子径;48nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;27.2nm、ナノコンポジット2−6Aに対する金属金微粒子の体積分率;1.06%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2−6Aにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−6Aの空隙の全容量に対し1.7%。
18gのベーマイト粉末(SECO社製、商品名;SECO−045D、平均1次粒子径;5nm、平均2次粒子径;0.025μm、粒子形状;針状)に、82gの水を加え、機械撹拌(回転数400rpm、3時間)を行い、ベーマイト分散液2−7を調製した。次に、2gのベーマイト分散液2−7に対して、0.068gの酢酸、3.08gのエタノール、2.54gの水、0.9gの純水に溶解させた0.225gのポリビニルアルコール(平均分子量22000、重合度500、ケン化度88%)、0.036gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン、および2gのエタノールに溶解させた0.15gの塩化金酸・四水和物を加え、金錯体含有スラリー2−7を調製した。なお、前記スラリー2−7の調製に際しては、各試薬をそれぞれ加えるたびに、撹拌子による撹拌(回転数1000rpm、5分間)を行った。このときの金錯体含有スラリー2−7におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して20重量部である。また、配合したポリビニルアルコール中のヒドロキシ基は、塩化金酸・四水和物1モルに対し、12.3モルである。
1)ナノコンポジット2−7Aの空隙率;49.4%、空隙サイズ;平均8nm、最大500nm以上。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;12nm、最小粒子径;4nm、最大粒子径;29nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;26.8nm、ナノコンポジット2−7Aに対する金属金微粒子の体積分率;1.5%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2−7Aにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−7Aの空隙の全容量に対し3.0%。
ベーマイト粉末(SECO社製、商品名;SECO−045U、平均1次粒子径;5nm、平均2次粒子径;0.025μm、粒子形状;針状)を用いた以外は、実施例2−7と同様にして、ベーマイト分散液2−8を調製した。次に、3.5gのベーマイト分散液2−8に対して、0.119gの酢酸、2.445gのエタノール、1.575gの純水に溶解させた0.394gのポリビニルアルコール(平均分子量22000、重合度500、ケン化度88%)0.06gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン、および0.263gの塩化金酸・四水和物を加え、金錯体含有スラリー2−8を調製した。なお、前記スラリー2−8の調製に際しては、各試薬をそれぞれ加えるたびに、撹拌子による撹拌(回転数1000rpm、5分間)を行った。このときの金錯体含有スラリー2−8におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して20重量部である。また、配合したポリビニルアルコール中のヒドロキシ基は、塩化金酸・四水和物1モルに対し、12.3モルである。
1)ナノコンポジット2−8Aの空隙率;52.0%、空隙サイズ;平均8nm、最大500nm以上。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;10nm、最小粒子径;3nm、最大粒子径;34nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;24.0nm、ナノコンポジット2−8Aに対する金属金微粒子の体積分率;1.42%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2−8Aにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−8Aの空隙の全容量に対し2.7%。
72gの25重量%ベーマイト水溶液(河合石灰工業社製、商品名;ナノベーマイトb、1次粒子の平均長径;100nm、1次粒子の平均短径;15nm、平均2次粒子径;0.35μm、粒子形状;針状)に、24.72gの水と3.28gの酢酸を加え、機械撹拌(回転数400rpm、3時間)を行い、ベーマイト分散液2−9を調製した。次に、2gのベーマイト分散液2−9に対して、2.95gのエタノール、2.47gの水、0.9gの純水に溶解させた0.225gのポリビニルアルコール(平均分子量22000、重合度500、ケン化度88%)、0.036gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン、および2gのエタノールに溶解させた0.15gの塩化金酸・四水和物を加え、金錯体含有スラリー2−9を調製した。なお、前記スラリー2−9の調製に際しては、各試薬をそれぞれ加えるたびに、撹拌子による撹拌(回転数1000rpm、5分間)を行った。このときの金錯体含有スラリー2−9におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して20重量部である。また、配合したポリビニルアルコール中のヒドロキシ基は、塩化金酸・四水和物1モルに対し、12.3モルである。
1)ナノコンポジット2−9Aの空隙率;55.8%、空隙サイズ;平均8nm、最大20nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;7nm、最小粒子径;3nm、最大粒子径;32nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;17.3nm、ナノコンポジット2−9Aに対する金属金微粒子の体積分率;1.31%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2−9Aにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−9Aの空隙の全容量に対し2.4%。
25重量%ベーマイト水溶液(河合石灰工業社製、商品名;BMJ、平均1次粒子径;100nm、平均2次粒子径;0.106μm、粒子形状;板状)を用いた以外は、実施例2−7と同様にして、ベーマイト分散液2−10を調製した。次に、3.5gのベーマイト分散液2−10に対して、2.33gのエタノール、1.575gの純水に溶解させた0.394gのポリビニルアルコール(平均分子量22000、重合度500、ケン化度88%)、0.063gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン、および2gのエタノールに溶解させた0.263gの塩化金酸・四水和物を加え、金錯体含有スラリー2−10を調製した。なお、前記スラリー2−10の調製に際しては、各試薬をそれぞれ加えるたびに、撹拌子による撹拌(回転数1000rpm、5分間)を行った。このときの金錯体含有スラリー2−10におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して20重量部である。また、配合したポリビニルアルコール中のヒドロキシ基は、塩化金酸・四水和物1モルに対し、12.3モルである。
1)ナノコンポジット2−10Aの空隙率;53.7%、空隙サイズ;平均24nm、最大500nm以上。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;16nm、最小粒子径;2nm、最大粒子径;39nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;37.9nm、ナノコンポジット2−10Aに対する金属金微粒子の体積分率;1.37%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2−10Aにおける金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2−10Aの空隙の全容量に対し2.6%。
0.6gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、1.70gの水と0.05gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに1.70gのエタノール、0.06gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン、および0.125gの塩化金酸・四水和物を加え、5分間超音波処理することにより、金錯体含有スラリー2R−1を調製した。このときの金錯体含有スラリー2R−1におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して10重量部である。
1)ナノコンポジット2R−1の空隙率;58%、空隙サイズ;平均8nm、最大110nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;46.8nm、最小粒子径;28nm、最大粒子径;65nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;157.4nm、ナノコンポジット2R−1に対する金属金微粒子の体積分率;0.63%、同充填率;8.87wt%。
3)ナノコンポジット2R−1における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2R−1の空隙の全容量に対し1.09%。
0.6gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、1.70gの水と0.05gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに1.70gのエタノール、0.06gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン、および0.25gの塩化金酸・四水和物を加え、5分間超音波処理することにより、金錯体含有スラリー2R−2を調製した。このときの金錯体含有スラリー2R−2におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して20重量部である。
1)ナノコンポジット2R−2の空隙率;57.4%
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;67.3nm、最小粒子径;37nm、最大粒子径;110nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;88.2%、粒子間距離の平均値;165.8nm、ナノコンポジット2R−2に対する金属金微粒子の体積分率;1.26%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2R−2における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2R−2の空隙の全容量に対し2.19%。
ポリビニルアルコールを添加しなかった以外は、実施例2−3と同様にして金錯体含有スラリー2R−3を調製した。実施例2−3と同様にして、得られた金錯体含有スラリー2R−3を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット2R−3(厚さ1.53μm)を作製した。ナノコンポジット2R−3に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット2R−3の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット2R−3の空隙率;66.1%、空隙サイズ;平均24nm、最大50nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;88.6nm、最小粒子径;63.5nm、最大粒子径;119.3nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;80%、粒子間距離の平均値;242.6nm、ナノコンポジット2R−3に対する金属金微粒子の体積分率;1.0%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2R−3における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2R−3の空隙の全容量に対し1.5%。
ポリビニルアルコールを添加しなかった以外は、実施例2−4と同様にして金錯体含有スラリー2R−4を調製した。実施例2−4と同様にして、得られた金錯体含有スラリー2R−4を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット2R−4(厚さ1.53μm)を作製した。ナノコンポジット2R−4に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット2R−4の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット2R−4の空隙率;67.9%、空隙サイズ;平均16nm、最大30nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;54.6nm、最小粒子径;36.5nm、最大粒子径;81.4nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%、粒子間距離の平均値;153.1nm、ナノコンポジット2R−4に対する金属金微粒子の体積分率;0.95%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2R−4における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2R−4の空隙の全容量に対し1.4%。
ポリビニルアルコールを添加しなかった以外は、実施例2−5と同様にして金錯体含有スラリー2R−5を調製した。実施例2−5と同様にして、得られた金錯体含有スラリー2R−5を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット2R−5(厚さ1.51μm)を作製した。ナノコンポジット2R−5に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット2R−5の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット2R−5の空隙率;65.6%、空隙サイズ;平均12nm、最大20nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;100.2nm、最小粒子径;10.5nm、最大粒子径;268.1nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;57%、粒子間距離の平均値;272.4nm、ナノコンポジット2R−5に対する金属金微粒子の体積分率;1.02%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2R−5における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2R−5の空隙の全容量に対し1.6%。
ポリビニルアルコールを添加しなかった以外は、実施例2−6と同様にして金錯体含有スラリー2R−6を調製した。実施例2−6と同様にして、得られた金錯体含有スラリー2R−6を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、赤紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット2R−6(厚さ1.34μm)を作製した。ナノコンポジット2R−6に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット2R−6の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット2R−6の空隙率;64.1%、空隙サイズ;平均9nm、最大30nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;81.1nm、最小粒子径;5.0nm、最大粒子径;122.8nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;50%、粒子間距離の平均値;216.1nm、ナノコンポジット2R−6に対する金属金微粒子の体積分率;1.06%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2R−6における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2R−6の空隙の全容量に対し1.7%。
ポリビニルアルコールを添加しなかった以外は、実施例2−7と同様にして金錯体含有スラリー2R−7を調製した。実施例2−7と同様にして、得られた金錯体含有スラリー2R−7を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、金属金微粒子分散ナノコンポジット2R−7(厚さ1.32μm)を作製した。ナノコンポジット2R−7に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット2R−7の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット2R−7の空隙率;49.4%、空隙サイズ;平均8nm、最大500nm以上。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;379.8nm、最小粒子径;14.3nm、最大粒子径;1077.3nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;30%、粒子間距離の平均値;862.2nm、ナノコンポジット2R−7に対する金属金微粒子の体積分率;1.5%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2R−7における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2R−7の空隙の全容量に対し3.0%。
ポリビニルアルコールを添加しなかった以外は、実施例2−8と同様にして金錯体含有スラリー2R−8を調製した。実施例2−8と同様にして、得られた金錯体含有スラリー2R−8を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、金属金微粒子分散ナノコンポジット2R−8(厚さ1.45μm)を作製した。ナノコンポジット2R−8の空隙率は52.0%、空隙サイズは平均8nm、最大500nm以上であった。ナノコンポジット2R−8の金属金微粒子は、凝集が多く、粒子径や、局在型表面プラズモン共鳴の反射吸収スペクトルの測定が困難であった。
ポリビニルアルコールを添加しなかった以外は、実施例2−9と同様にして金錯体含有スラリー2R−9を調製した。実施例2−9と同様にして、得られた金錯体含有スラリー2R−9を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、金属金微粒子分散ナノコンポジット2R−9(厚さ1.63μm)を作製した。ナノコンポジット2R−9の金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット2R−9の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット2R−9の空隙率;55.8%、空隙サイズ;平均8nm、最大20nm。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;128.1nm、最小粒子径;19.8nm、最大粒子径;415.5nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;71%、粒子間距離の平均値;309.9nm、ナノコンポジット2R−9に対する金属金微粒子の体積分率;1.31%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2R−9における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2R−9の空隙の全容量に対し2.4%。
ポリビニルアルコールを添加しなかった以外は、実施例2−10と同様にして金錯体含有スラリー2R−10を調製した。実施例2−10と同様にして、得られた金錯体含有スラリー2R−10を塗布・乾燥し、さらに加熱処理することによって、金属金微粒子分散ナノコンポジット2R−10(厚さ1.73μm)を作製した。ナノコンポジット2R−10に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット2R−10の特徴は、次のとおりであった。
1)ナノコンポジット2R−10の空隙率;53.7%、空隙サイズ;平均24nm、最大500nm以上。
2)金属金微粒子の形状;ほぼ球状、平均粒子径;65.4nm、最小粒子径;8.4nm、最大粒子径;176.8nm、粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;89%、粒子間距離の平均値;154.9nm、ナノコンポジット2R−10に対する金属金微粒子の体積分率;1.37%、同充填率;16.3wt%。
3)ナノコンポジット2R−10における金属金微粒子の空隙に対する体積割合;ナノコンポジット2R−10の空隙の全容量に対し2.6%。
1.2gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、2.84gの水と0.1gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに3.96gのエタノール、1.6gのシランカップリング剤水溶液(固形分濃度30wt%)を加え、5分間の超音波処理することにより、スラリー3−1を調製した。このときのスラリー3−1におけるシランカップリング剤の固形分の割合は、ベーマイト100重量部に対して40重量部である。
1)金属金微粒子の形状;ほぼ球状
2)平均粒子径;9.1nm、最小粒子径;4.6nm、最大粒子径;25.5nm
3)粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%
4)ナノコンポジット3−1Aに対する金属金微粒子の体積分率;0.73%、同充填率;7.73wt%。
2.4gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、5.68gの水と0.2gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに8.24gのエタノール、3.2gのシランカップリング剤水溶液(固形分濃度30wt%)、0.672gの濃塩酸を加え、5分間の超音波処理することにより、スラリー3−2を調製した。このときのスラリー3−2におけるシランカップリング剤水溶液の固形分の割合は、ベーマイト100重量部に対して40重量部である。
1)金属金微粒子の形状;ほぼ球状
2)平均粒子径;10.8nm、最小粒子径;3.6nm、最大粒子径;55.2nm
3)粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%
4)ナノコンポジット3−2Aに対する金属金微粒子の体積分率;0.61%、同充填率;6.46wt%。
[参考例3−1]
1.2gのベーマイト粉末(大明化学工業社製、商品名;C−01、平均1次粒子径;20nm、平均2次粒子径;0.1μm、粒子形状;キュービック状)に、2.84gの水と0.1gの酢酸を加え、5分間の超音波処理を行った。さらに3.96gのエタノール、1.6gのシランカップリング剤水溶液(固形分濃度30wt%)、および0.25gの塩化金酸・四水和物を加え、5分間の超音波処理することにより、スラリー3−3を調製した。このときのスラリー3−3におけるAu元素の割合は、ベーマイト100重量部に対して10重量部である。
1)金属金微粒子の形状;ほぼ球状
2)平均粒子径;6.8nm、最小粒子径;3.3nm、最大粒子径;17.5nm
3)粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%
4)ナノコンポジット3−3Aに対する金属金微粒子の体積分率;0.63%、同充填率;6.67wt%。
実施例3−1で得られた基板3−1Aの塗工面へ、4.75gのエタノールに0.25gの塩化金酸・四水和物を溶解させた溶液(5重量%の塩化金酸・四水和物水溶液)を実施例3−1と同様に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥し、さらに280℃、10分間加熱処理することによって、赤紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット3−4Aを作製した。ナノコンポジット3−4A中に形成した金属金微粒子は、該フィルムの表層部から厚さ方向に至るまでの領域内で、各々が完全に独立し、隣り合う金属金微粒子における大きい方の粒子径以上の間隔で分散していた。このナノコンポジット3−4Aの特徴は、次のとおりであった。
1)金属金微粒子の形状;ほぼ球状
2)平均粒子径;7.8nm、最小粒子径;3.0nm、最大粒子径;23.2nm
3)粒子径1nm〜100nmの範囲内にある粒子の割合;100%
4)ナノコンポジット3−4Aに対する金属金微粒子の体積分率;0.49%、同充填率;5.19wt%。
実施例3−1で得られた基板3−1Aの塗工面へ、4.5gのエタノールに0.5gの塩化金酸・四水和物を溶解させた溶液(10重量%の塩化金酸・四水和物水溶液)を実施例3−1と同様に塗布した後、70℃で3分間及び130℃で10分間乾燥し、さらに280℃、10分間加熱処理することによって、赤紫色に呈色した金属金微粒子分散ナノコンポジット3−5Aを作製した。ナノコンポジット3−5Aを大気中に設置し、ナノコンポジット3−5Aの表面に水を滴下した際の色の変化は、ほとんどなく、目視で確認できなかった。
Claims (17)
- 固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を有するマトリックス層と、該固体骨格部に固定された金属微粒子と、を備えた金属微粒子分散複合体の製造方法であって、
以下の工程Ia〜Id;
Ia)固体骨格部を形成するためのアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有するスラリーを調製する工程、
Ib)前記スラリーと、該スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子の原料となる金属化合物を混合して塗布液を調製する工程、
Ic)前記塗布液を、基材上に塗布し、乾燥して塗布膜を形成する工程、
Id)前記塗布膜を、加熱処理することにより、前記塗布膜から三次元的な網目構造を有する固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を備えたマトリックス層を形成するとともに、前記金属化合物の金属イオンを加熱還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させる工程、
を備えている金属微粒子分散複合体の製造方法。 - 前記工程Idの後で、さらに、
Ie)前記金属微粒子の表面に、特定の物質と相互作用する官能基を有する結合化学種を固定する工程、を含む請求項1に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。 - 固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を有するマトリックス層と、該固体骨格部に固定された金属微粒子と、を備えた金属微粒子分散複合体の製造方法であって、
以下の工程IIa〜IId;
IIa)固体骨格部を形成するためのアルミニウムオキシ水酸化物又はアルミナ水和物を含有するスラリーを調製する工程、
IIb)前記スラリーを、基材上に塗布し、乾燥した後、加熱処理することにより、三次元的な網目構造を有する固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を備えたマトリックス層を形成する工程、
IIc)前記マトリックス層に、前記スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子の原料となる金属イオンを含有する溶液を含浸させる工程、
IId)前記工程IIcの後、加熱処理することにより、前記金属イオンを還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させる工程、
を備えている金属微粒子分散複合体の製造方法。 - 前記工程IIdの後で、さらに、
IIe)前記金属微粒子の表面に、特定の物質と相互作用する官能基を有する結合化学種を固定する工程、を含む請求項3に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。 - 固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を有するマトリックス層と、該固体骨格部に固定された金属微粒子と、を備えた金属微粒子分散複合体の製造方法であって、以下の工程IIIa〜IIId;
IIIa)前記固体骨格部の原料となる金属水酸化物又は金属酸化物を含有するスラリーを調製する工程、
IIIb)前記スラリーに、該スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.5〜480重量部の範囲内となるように、金属微粒子の原料となる金属化合物を混合して塗布液を調製する工程、
IIIc)前記塗布液を、基材上に塗布し、乾燥して塗布膜を形成する工程、
及び、
IIId)前記塗布膜を加熱処理することにより、前記塗布膜から三次元的な網目構造を有する固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を備えたマトリックス層を形成するとともに、前記金属化合物の金属イオンを加熱還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させて金属微粒子分散複合体を得る工程、
を備え、
前記工程IIIdをポリビニルアルコールの存在下で行うことを特徴とする金属微粒子分散複合体の製造方法。 - 前記工程IIIaのスラリーを調製する工程でポリビニルアルコールを添加する請求項5に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
- 前記工程IIIbの塗布液を調製する工程でポリビニルアルコールを添加する請求項5に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
- 前記金属化合物1重量部に対し、前記ポリビニルアルコールを0.1〜50重量部の範囲内で使用する請求項5から7のいずれか1項に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
- 前記ポリビニルアルコールの重合度が、10〜5000の範囲内である請求項5から8のいずれか1項に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
- 前記ポリビニルアルコールのケン化度が、30%以上である請求項5から9のいずれか1項に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
- さらに、次の工程IIIe;
IIIe)前記金属微粒子分散複合体を、前記ポリビニルアルコールの熱分解開始温度以上の温度で加熱する工程、
を備えた請求項5から10のいずれか1項に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。 - 固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を有するマトリックス層と、該固体骨格部に固定された金属微粒子と、を備えた金属微粒子分散複合体の製造方法であって、
以下の工程IVa〜IVd;
IVa)前記固体骨格部の原料となる金属水酸化物又は金属酸化物を含有するスラリーを調製する工程、
IVb)前記スラリーを、基材上に塗布し、乾燥した後、加熱処理することにより、三次元的な網目構造を有する固体骨格部及び該固体骨格部が形成する空隙を備えたマトリックス層を形成する工程、
IVc)前記マトリックス層に、前記スラリーの固形分100重量部に対し、金属元素として0.2〜1100重量部の範囲内となるように、金属微粒子の原料となる金属イオンを含有する溶液を含浸させる工程、
IVd)前記工程IVcの後、加熱処理することにより、前記金属イオンを還元して金属微粒子となる粒子状金属を析出させる工程、
を備え、
前記工程IVcの金属イオンを含有する溶液にポリビニルアルコールを配合し、前記工程IVdをポリビニルアルコールの存在下で行うことを特徴とする金属微粒子分散複合体の製造方法。 - 前記金属イオンの原料の金属化合物1重量部に対し、前記ポリビニルアルコールを0.1〜50重量部の範囲内で使用する請求項12に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
- 前記ポリビニルアルコールの重合度が、10〜5000の範囲内である請求項12又は13に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
- 前記ポリビニルアルコールのケン化度が、30%以上である請求項12から14のいずれか1項に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
- さらに、次の工程IVe;
IVe)前記金属微粒子分散複合体を、前記ポリビニルアルコールの熱分解開始温度以上の温度で加熱する工程、
を備えた請求項12から15のいずれか1項に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。 - 前記スラリーが、シラン化合物を該スラリーの固形分100重量部に対し、10〜200重量部の範囲内で含有する請求項12から16のいずれか1項に記載の金属微粒子分散複合体の製造方法。
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