JPH05142604A - 非線形光学材料およびその製造方法 - Google Patents

非線形光学材料およびその製造方法

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JPH05142604A
JPH05142604A JP30181791A JP30181791A JPH05142604A JP H05142604 A JPH05142604 A JP H05142604A JP 30181791 A JP30181791 A JP 30181791A JP 30181791 A JP30181791 A JP 30181791A JP H05142604 A JPH05142604 A JP H05142604A
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nonlinear optical
optical material
shell
substrate
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JP30181791A
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Ayumi Tsujimura
歩 辻村
Ichiro Tanahashi
一郎 棚橋
Yoshio Manabe
由雄 真鍋
Tsuneo Mitsuyu
常男 三露
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Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな3次の非線形光学性能指数を有する非
線形光学材料およびその製造方法を提供する。 【構成】 スパッタリング法により、基板3上にAl微
粒子を堆積させた。最後の2秒間は酸素ガスを導入し
て、反応性スパッタリングを行ない、微粒子の殻になる
層をAl2 3 とした。次に、この上にLiF膜を堆積
させた。AlとLiFを基板に交互に堆積させる上記の
操作を250回繰り返して、核がAlで殻がAl2 3
である微粒子4を光学的透明物質5のLiF中に層状に
分散させた積層構造を有する非線形光学材料を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属の表面プラズモン
共鳴に関連する非線形光学効果を利用した光デバイスの
基礎をなす、金属層を含む微粒子が光学的透明物質中に
分散されてなる非線形光学材料およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】金属微粒子をガラス中に分散させること
により、金属の3次の非線形感受率が増大し、光学的非
線形性が大きくなることがアプライド フィジックス
A第47巻第347 頁(Applied Physics A,vol.47,347(198
8))に記載されている。
【0003】金属微粒子分散ガラスの製造方法として
は、溶融法によって作製した金を含有するケイ酸塩ガラ
スを熱処理して、ガラスマトリックス中に金微粒子を分
散させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような、従来の方
法で製造した金属微粒子分散ガラスの3次の非線形光学
性能指数は10-15 〜10-12 esu・cmの値であ
り、非常に小さい。この原因は第1に、微粒子を単一成
分の金属のみで構成していることにより、局所的電場効
果を最適化して非線形感受率をより大きくすることがで
きないし、仮に非線形感受率を大きくできたとしてもそ
れに伴って吸収係数が大きくなるため性能指数としては
大きくならないためである。第2に、ガラス中の金属微
粒子含有量が0.01体積%未満と非常に少ないためで
ある。従来の製造方法では、金属含有量をこれ以上増や
すと、溶融時に溶解限界を越えて金属が凝集し、バルク
粒子として析出してしまうので、微粒子としてガラス中
に分散させることができない。
【0005】本発明は、このような課題を解決するもの
で、局所的電場効果を最適化して大きな3次の非線形光
学性能指数を有する非線形光学材料およびその製造方法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の非線形光学材料は、核と殻との2層から成
り、その少なくとも一方が金属である微粒子が光学的透
明物質中に分散されてなる構成を有する。
【0007】前記構成においては、微粒子を構成する金
属が金、銀、銅、白金、アルミニウム、あるいはパラジ
ウムから選ばれた少なくとも1種の金属であることが好
ましい。
【0008】本発明の非線形光学材料の製造方法は、核
と殻との2層から成り、その少なくとも一方が金属であ
る微粒子と光学的透明物質とを基板面上に交互に堆積さ
せることを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の非線形光学材料は、核と殻との2層か
ら成り、その少なくとも一方が金属である微粒子が光学
的透明物質中に分散されているので、核と殻の誘電率の
空間分布を変化させることができ、局所的電場強度の増
大を最適化できるため1成分金属微粒子より大きな非線
形感受率と非線形光学性能指数を有する非線形光学材料
を提供できる。
【0010】また、微粒子を構成する金属が金、銀、
銅、白金、アルミニウム、あるいはパラジウムから選ば
れた少なくとも1種の金属である好ましい態様とするこ
とにより、これらの金属は複素誘電率の虚数部の値が小
さく、表面プラズモン共鳴振動数が光学的透明領域にあ
り、還元性が高く金属微粒子として安定に存在し得るの
で、より大きな3次の非線形感受率を有する非線形光学
材料を提供することができる。
【0011】また、本発明の非線形光学材料の製造方法
は、核と殻との2層から成り、その少なくとも一方が金
属である微粒子と光学的透明物質とを基板面上に交互に
堆積させたので、微粒子の成長による粒径の増大が防止
でき、従って微粒子を多量に含有してもバルク的な粒子
とならず、非線形光学効果を高めることが可能となり、
大きな3次の非線形感受率と非線形光学性能指数を有す
る非線形光学材料の製造方法を提供できる。
【0012】
【実施例】本発明の非線形光学材料は、微粒子化あるい
は微細化された金属表面における表面プラズモンの共鳴
振動数領域での共鳴吸収に伴う非線形光学効果の増大を
利用したものである。
【0013】本発明における非線形光学材料中に分散す
る微粒子の断面構造を図1に示す。図に示したように、
微粒子は半径rの核1と半径Rの殻2との2層から成っ
ており、核1と殻2のうち少なくとも一方は金属から成
っている。
【0014】本発明の特徴は、微粒子の核と殻の厚さの
比つまりrとRとの比を変えることにより、金属表面で
の局所電場強度の増大率を変化させることができるとと
もに、核、殻、ならびに光学的透明物質の各媒質中にお
ける誘電率の空間分布を変化させることができるため、
単一成分の金属のみから成る微粒子を用いた場合と異な
り、局所的電場効果を最適化して非線形光学性能指数を
大きくすることができることである。これは、誘電率は
物質に固有の値であるが、物質が微細化して数10nm
程度以下のサイズになるとサイズに応じて誘電率は変化
してサイズの関数となる、ということに基づいている。
本実施例では、単一成分の金属のみから成る微粒子の場
合と比較して、1000倍以上の非線形光学性能指数が
得られた。
【0015】本発明の非線形光学材料の製造方法により
作製した非線形光学材料の構造の模式的断面図を図2に
示す。本発明による非線形光学材料は、基板3上に、図
1に示した構成からなる微粒子4と光学的透明物質5と
が交互に堆積した積層構造よりなるものである。本発明
による非線形光学材料では、薄膜作製時のごく初期過程
に形成される島状成長物質が微粒子であることに着目
し、この島状成長微粒子を核に、この上に異なる物質を
成長させて2層構造を有する微粒子4として、光学的透
明物質5中へ多量に含有させるために積極的に利用して
いるものである。
【0016】本発明において核1と殻2との2層から成
る微粒子4を光学的透明物質5中へ多量に含有させるこ
とのできる理由を形成過程に従って説明する。まず、核
1を形成する粒子を蒸発させる。蒸発源から基板3上に
飛来した粒子は、基板3と垂直方向のエネルギーを短時
間に失って基板3上に滞在する。しかし、気相−固相間
の遷移過程であり、この時点では熱力学的平衡には達し
ていないので、基板3表面上を動き回った後、欠陥など
の吸着点に捕らえられて基板3上に付着する。もし吸着
点がなければ、蒸着粒子は再蒸発する。次々に飛来して
くる蒸着粒子によって、近傍の付着粒子がいくつか集ま
り、それが結晶核となる。この結晶核が形成された後
に、島状構造が成長する。この時点で蒸着粒子が飛来す
るのを止めると、基板3上に島状微粒子が分散すること
になる。この時の島状微粒子は、一般に、基板と面接触
しており、形状は半球状である。
【0017】次に、殻2を形成する粒子を蒸発させる。
基板上の島状微粒子は、吸着点として作用するので、飛
来粒子は選択的に島状微粒子の上に吸着し、島状微粒子
を上から覆う。所定の蒸着量に達した時点で、飛来する
のを止める。
【0018】さらに続いて、この上に光学的透明物質5
の薄膜を堆積させて、上記過程で形成された微粒子の表
面を覆う。このとき、飛来する光学的透明物質5の蒸着
粒子はその運動エネルギーを熱エネルギーとして放出す
るため、島状微粒子との界面で新たな熱平衡状態への移
行が起こる。ここで、島状微粒子が光学的透明物質5と
の界面エネルギー差を0にするに足りる熱エネルギーを
受ければ、基板とは点接触の状態となり、核1と殻2と
の2層から成る球状微粒子4となる。熱平衡状態の変化
に伴う微粒子形状の変化は、厳密に言えば、殻2を形成
する粒子を蒸着する過程でも生じているが、蒸着量が少
なく、与えられる熱エネルギーもわずかであるため、島
状の形状がほとんど保たれている。界面エネルギー差を
0にするに足りる熱エネルギーは、核1、殻2を形成す
る物質および光学的透明物質5の種類により、表面エネ
ルギーならびに蒸着粒子の運動エネルギーが異なり、ま
た蒸着条件によっても異なる。しかし、本発明の非線形
光学材料を製造する際にスパッタリング法や真空蒸着法
を用いた場合、基板3面上を適当な温度に加熱すること
で、微粒子が球状となるのに十分なエネルギーを与える
ことができる。具体的な基板の加熱温度としては、採用
条件や用いる物質の種類によって異なるので一概には規
定しがたいが、一般的には100〜700℃の範囲が目
安となる。通常、有機高分子重合体などの有機物を用い
る場合は低い温度が採用され、また、石英ガラスの様に
高温で溶融するような無機化合物を用いる場合には、比
較的高い温度が採用できる。
【0019】微粒子4の粒径に等しい厚さよりも厚く光
学的透明物質5を堆積させたところで、光学的透明物質
5粒子の飛来を止めて、再び微粒子の蒸着を行なう。こ
の操作を繰り返し行なうことによって、核1と殻2との
2層から成る微粒子4を光学的透明物質5中へ層状に多
量に含有させることができる。
【0020】微粒子4の粒径は、蒸着量あるいは基板3
の加熱温度を変化させることによって制御でき、また微
粒子4が存在する層内での微粒子の面密度は、蒸着粒子
の運動エネルギーあるいは基板3の加熱温度を変化させ
ることによって制御できる。さらに、本材料中の微粒子
4の密度は、光学的透明物質5の蒸着量を変化させるこ
とによって制御できる。本実施例では、最大で6体積%
と、従来の数100倍以上の密度で微粒子4を含有させ
ることができた。
【0021】微粒子4の粒径は局所的電場効果が現われ
る程度に小さいことが必要であり、1nm〜500nm
程度の大きさが適当であった。微粒子の大きさが1μm
以上になるとバルク的性質が顕著になるため、非線形光
学効果は小さくなった。
【0022】基板3として用いる材料は、光学的透明物
質5として用いる材料と同一のものであっても異なるも
のであってもよい。また、非線形光学材料を形成した
後、基板3から剥離して用いる場合、基板3は光学的に
透明な物質である必要はない。
【0023】一般に、局所電場強度が増大する率が大き
い金属は、複素誘電率の虚数部の値が小さい物質である
から、微粒子4の核1、殻2のいずれか少なくとも一方
を構成する金属は金、銀、銅、白金、アルミニウム、あ
るいはパラジウムから選ばれた金属であることが好まし
い。但し、一方の物質が金属でない場合は、光学的に透
明な誘電体物質、例えば無機結晶、ガラス物質、有機高
分子などを用いることができ、具体的には、例えば、無
機結晶としては、LiF、CaF2 、MgF2 、Al2
3 、MgO、CaCO3 など、ガラス物質としては、
希土類、遷移金属イオンを含まない酸化物ガラス、フッ
化ガラスなど、また、有機高分子としてはアクリル酸樹
脂、メタクリル酸樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、
ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
【0024】光学的透明物質5として用いる材料は、非
線形光学特性を得るのに必要な振動数領域で光学的に透
明であれば、無機結晶物質であっても、ガラス物質であ
っても、また有機高分子化合物であってもよい。具体的
には、例えば石英ガラス、フッ化マグネシウム、Li
F、CaF2 、Al2 3 、MgO、ホウケイ酸ガラ
ス、アルミン酸ガラス、フッ化物ガラス、アクリル酸樹
脂、メタクリル酸樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンな
どが挙げられるがこれのみに限定されるものではない。
【0025】光学的透明物質5中に分散させる核と殻の
2層からなる微粒子4の量は、通常0.01〜6体積
%、好ましくは1〜6体積%程度であり、微粒子4の体
積占有率に比例して3次非線形感受率が大きくなるの
で、通常は多いほど好ましい。
【0026】核と殻の2層からなる微粒子の図1中の半
径rとRの比(r/R)は0より大きく、1より小さい
範囲である。この粒子の外殻の粒子径は、局所的電場効
果が現れる程度に小さいことが必要で、それを構成する
物質などによって異なるので一概に規定しがたいが、通
常1〜500nm程度であり、より好ましくは、核のみ
が金属の場合は2r≦50nmで2R≦500nm、さ
らに好ましくは、1nm≦2r≦15nmで2nm≦2
R≦50nm、また、殻のみが金属の場合は、2R≦5
00nmでR−r≦20nm、さらに好ましくは、2n
m≦2R≦50nmでR−r≦10nm、核と殻の両方
とも金属の場合(だだし、この両者の金属は互いに異な
る金属である。)は、2r≦50nmでR−r≦15n
m、さらに好ましくは、1nm≦2r≦15nmでR−
r≦5nmである。
【0027】本発明の非線形光学材料の製造方法におい
ては、薄膜製造方法であるスパッタリング法や、真空蒸
着法などを用いることができる。スパッタリング法の場
合は通常スパッタリングガスとしてアルゴンガスが、ま
た、反応性スパッタリングの場合は例えばO2 、N2
2 、NH3 、CH4 、H2 Sなどをアルゴンガスと適
宜混合して用いることができ、10-2〜10Pa程度の
圧力下で行なわれ、また、真空蒸着法は10-3Pa〜1
-4Pa程度の減圧力下で行なわれる。どの方法を選定
するか、またその条件などは使用する物質の融点、蒸気
圧、酸化性などを考慮して選択することが好ましい。
【0028】以下、具体的実施例を挙げて本発明をより
詳細に説明する。 実施例1 スパッタリング法で、核がアルミニウム(Al)、殻が
アルミナ(Al2 3 )、光学的透明物質がフッ化リチ
ウム(LiF)である非線形光学材料を製造した。図3
に示すスパッタリング装置を用い、スパッタ源はLiF
ターゲット6とAlターゲット7とで構成した。基板8
はヒーター9を備えた基板ホルダー10に固定され、こ
れに直結した回転軸を回転させることににより、LiF
ターゲット6またはAlターゲット7のいずれかのター
ゲット上方に基板8を持ってくることができる。基板8
の位置とターゲット上方での滞在時間とは、コンピュー
タで制御されている。蒸着中のコンタミネーションを防
ぐため、各ターゲットのターゲット周囲およびその延長
上を覆う形のシールド板11を設けている。12はガス
導入口、13はガス排出口で真空ポンプ(図示せず)に
連結されている。基板8にはSiO2 ガラスを用いた。
スパッタリングガスにはアルゴンを用い、ガス圧は1.
0Pa、基板温度は300℃、LiFターゲット6への
印加電力は150W、Alターゲット7への印加電力は
7Wとした。
【0029】まず、基板8をAlターゲット7の上で7
秒間滞在させて、Al微粒子を堆積させた。最後の2秒
間は酸素ガスを全圧が3.0Paになるようガス導入口
12から導入して、反応性スパッタリングを行ない、微
粒子の殻になる層をAl2 3 とした。次に、基板8を
回転させてLiFターゲット6の上で10秒間滞在させ
て、LiF膜を堆積させた。AlとLiFを基板8に交
互に堆積させる上記の操作を250回繰り返して、核が
Alで殻がAl2 3 である微粒子をLiF中に層状に
分散させた積層構造を有する非線形光学材料を形成し
た。
【0030】作製した非線形光学材料の膜厚は2μmで
あり、微粒子の粒径は3nm(r=1nm、R=1.5
nm)、微粒子が分散した層と層との間隔は8nm、微
粒子の含有量は6体積%であった。
【0031】また、Alターゲット7の上で7秒間滞在
させる間の反応性スパッタリング時間を変化させて作製
した非線形光学材料では、微粒子の核と殻との構成が、
0秒間でr=1.5nm、R=1.5nm(つまりAl
単独成分微粒子)、4秒間でr=0.6nm、R=1.
5nm、6秒間でr=0.3nm、R=1.5nmのも
のを得ることができた。
【0032】縮退4光波混合法により、これらの材料の
表面プラズモン共鳴波長λにおける3次の非線形感受率
χ(3) および非線形光学性能指数γを測定したところ、
反応性スパッタリング時間が0秒間のもので、波長21
0nmにおいて1.3×10 -8esu、3.7×10
-11 esu・cmであった。同様に2秒間のもので、2
25nmにおいて5.9×10-6esu、4.7×10
-8esu・cmであり、4秒間のもので、230nmに
おいて3.5×10-6esu、1.6×10-8esu・
cm、6秒間のもので、235nmにおいて8.2×1
-7esu、9.8×10-9esu・cmであった。こ
の結果より、Alのみから成る微粒子と比較して、γは
最大で約1300倍も大きくなったことがわかる。
【0033】なお、Alターゲット7を、銀(Ag)、
あるいは銅(Cu)のターゲットに代えて作製しても、
同様な特性を示す非線形光学材料が得られた。 実施例2 図3に示したスパッタリング装置にスパッタリングター
ゲットを1基加えて、スパッタ源を石英(SiO2 )ガ
ラスターゲット、Alターゲット、および金(Au)タ
ーゲットとで構成し、核がAl、殻がAu、光学的透明
物質がSiO2 ガラスである非線形光学材料を製造し
た。基板部の構成は図3と同様であり、各ターゲットに
シールド板を設けている点も同様である。基板にはSi
2 ガラスを用いた。スパッタリングガスにはアルゴン
を用い、ガス圧は1.0Pa、基板温度は400℃、S
iO2 ターゲットへの印加電力は250W、Alターゲ
ット、Auターゲットへの印加電力はいずれも10Wと
した。
【0034】まず、基板をAlターゲットの上で10秒
間滞在させて、核となるAl微粒子を堆積させた。次
に、基板を回転させてAuターゲットの上で5秒間滞在
させて、殻となるAuをAl微粒子の上に堆積させた。
さらに基板を回転させてSiO 2 ターゲットの上で15
秒間滞在させて、微粒子の上にSiO2 膜を堆積させ
た。Al核とAu殻とからなる微粒子とSiO2 を基板
に交互に堆積させる上記の操作を250回繰り返して、
金属微粒子がSiO2 ガラス中に層状に分散した積層構
造を有する非線形光学材料を形成した。
【0035】作製した非線形光学材料の膜厚は3μmで
あり、微粒子の粒径は4nm(r=1.5nm、R=2
nm)、微粒子が分散した層と層との間隔は12nm、
微粒子の含有量は5体積%であった。
【0036】また、AlとAuの蒸着時間を変化させ
て、r=0nm、R=2nmの微粒子(つまりAu微粒
子)、r=0.5nm、R=2nmの微粒子、r=1.
8nm、R=2nmの微粒子がそれぞれ上記材料と同じ
構造で分散した非線形光学材料を作製することができ
た。
【0037】縮退4光波混合法により、これらの材料の
表面プラズモン共鳴波長λにおける3次の非線形光学性
能指数γを測定したところ、r=0nmのもので波長5
20nmにおいて1.3×10-11 esu・cmであっ
た。同様にr=0.5nmのもので505nmにおいて
7.9×10-10esu・cmであり、r=1.5nm
のもので475nmにおいて1.0×10-8esu・c
m、r=1.8nmのもので430nmにおいて2.8
×10-9esu・cmであった。この結果より、Auの
みから成る微粒子と比較して、γは最大で1000倍近
くも大きくなったことがわかる。
【0038】なお、Auターゲットを、Ag、Cu、白
金(Pt)、あるいはパラジウム(Pd)のターゲット
に代えて作製しても、同様な特性を示す非線形光学材料
が得られた。
【0039】実施例3 実施例2で作製したr=1.5nm、R=2nmの微粒
子が層状に分散した非線形光学材料に2枚の外部鏡をは
さんでファブリペロー型共振器を構成し、光双安定素子
とした。この素子に波長475nmのレーザ光をスポッ
ト径5μmで入射させ、入射光の強度と出射光の強度の
関係を室温(25℃)にて測定したところ、光双安定特
性を示し、5ピコ秒以下の非常に高速のスイッチング速
度を得た。
【0040】また同様に、実施例2で作製したr=0.
5nm、R=2nmの微粒子が層状に分散した非線形光
学材料でファブリペロー型共振器を構成し、波長505
nmのレーザ光をスポット径5μmで入射させ、入射光
の強度と出射光の強度の関係を室温(25℃)にて測定
したところ、光双安定特性を示し、5ピコ秒以下の非常
に高速のスイッチング速度を得た。
【0041】以上の結果から本発明の非線形光学材料
は、高速光スイッチ素子としての応用が可能であり、ま
た位相共役鏡、非線形導波路など他の非線形光学特性を
応用した素子としても適用できる効果がある。
【0042】
【発明の効果】本発明の非線形光学材料は、1成分金属
微粒子を用いたものに比べて、より大きな非線形感受率
と非線形光学性能指数を有する非線形光学材料を提供で
きる。
【0043】また、微粒子を構成する金属が金、銀、
銅、白金、アルミニウム、あるいはパラジウムから選ば
れた少なくとも1種の金属である好ましい態様とするこ
とにより、更に3次の非線形感受率が改善された非線形
光学材料を提供することができる。
【0044】また、本発明の非線形光学材料の製造方法
は、微粒子の成長による粒径の増大が防止でき、従って
微粒子を多量に含有してもバルク的な粒子とならず、非
線形光学効果を高めることが可能となり、大きな3次の
非線形感受率と非線形光学性能指数を有する非線形光学
材料の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非線形光学材料中に分散する微粒子の
構造を示す断面図である。
【図2】本発明の非線形光学材料の製造方法により作製
した非線形光学材料の構造を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の一実施例で用いた非線形光学材料製造
装置の構成を示す略断面図である。
【符号の説明】
1 核 2 殻 3 基板 4 核と殻との2層から成る微粒子 5 光学的透明物質 6 LiFターゲット 7 Alターゲット 8 基板 9 ヒーター 10 基板ホルダー 11 シールド板 12 ガス導入口 13 ガス排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三露 常男 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核と殻との2層から成り、その少なくと
    も一方が金属である微粒子が光学的透明物質中に分散さ
    れてなる非線形光学材料。
  2. 【請求項2】 微粒子を構成する金属が金、銀、銅、白
    金、アルミニウム、あるいはパラジウムから選ばれた少
    なくとも1種の金属である請求項1記載の非線形光学材
    料。
  3. 【請求項3】 核と殻との2層から成り、その少なくと
    も一方が金属である微粒子と光学的透明物質とを基板面
    上に交互に堆積させることを特徴とする非線形光学材料
    の製造方法。
JP30181791A 1991-11-18 1991-11-18 非線形光学材料およびその製造方法 Pending JPH05142604A (ja)

Priority Applications (2)

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JP30181791A JPH05142604A (ja) 1991-11-18 1991-11-18 非線形光学材料およびその製造方法
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