JP5848806B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

本発明は、断熱箱体内に真空断熱材を備えた冷蔵庫に関する。
従来の冷蔵庫は特許文献1及び特許文献2に開示される。これらの冷蔵庫は外箱と内箱の間に発砲断熱材を充填した断熱箱体により本体部の筐体が構成される。外箱の内面側には放熱パイプが設けられ、放熱パイプには真空断熱材が接して設けられる。このとき、真空断熱材の一面には放熱パイプが嵌められる溝部が設けられる。
また、放熱パイプは粘着テープにより外箱内面に貼り付けられる。これにより、放熱パイプと外箱とを安定的に接触させて放熱パイプの熱を効率よく外箱に伝えることができる。
しかしながら、近年の世界的な傾向として、製品の製造において省資源、省エネ、製品の輸送に伴うCO排出削減など環境負荷の低減が求められている。このため、従来の外径寸法を維持しながら貯蔵物を収納可能な有効内容積(省スペース化且つ収納量)を向上させるために金属製外箱の薄肉化が必要不可欠となってくる。しかし、外箱の薄肉化による強度低下に加え、真空断熱材と発泡断熱材との複合によって断熱箱体を構成する場合に以下の問題が顕在化してくる。
一般に発泡断熱材の構成材料が反応して炭酸ガスが発生して真空断熱材の溝部と外箱内面との隙間に炭酸ガス(発泡剤のシクロペンタン等も含む)が充満する。このとき、初期状態における真空断熱材の溝部内のガス全圧は断熱箱体外部の大気圧とほぼ等しい。一方で気体の物質に対する透過能力は圧力差が一定ならば(気体の拡散係数)と(気体の対象物質に対する溶解度)の積で一般に表わされる。このうち気体の拡散係数については炭酸ガス、窒素、酸素とで常温常圧の同一条件では大差ないが、発泡断熱材のポリウレタンに対する炭酸ガスの溶解度は窒素や酸素よりも高い。
このため、大気中の窒素や酸素は溝部内の窒素や酸素に対する各分圧差によって徐々に発泡断熱材を浸透して真空断熱材の溝部内へ透過していく。一方、溝部内の炭酸ガスは大気との分圧差で窒素や酸素より速く発泡断熱材を浸透して外部に抜けていく。これにより、溝部内の気体全圧が一時的に大気圧より減圧する。したがって、断熱箱体の内部と外部の気圧差により真空断熱材の溝部に沿って外箱が内側に凹む。また、炭酸ガスが断熱箱体外部に抜けるとともに大気中の酸素や窒素が十分に真空断熱材の溝部内へ浸透して平衡状態になると溝部と大気とで圧力差がなくなり凹みは戻る。しかし、凹みが戻るまで長時間がかかるので外箱の外観が損なわれる問題があった。
この問題を解決するために特許文献1の冷蔵庫では放熱パイプを真空断熱材に埋設して溝部の隙間を極限まで狭小に形成している。さらに、溝部の隙間に充填材を注入している。これにより、溝部に炭酸ガスが充満するのを防ぐことができる。また、特許文献2の冷蔵庫では放熱パイプに貼り付けられる粘着テープの一端を冷蔵庫外に位置させるとともに他端を真空断熱材の端部より内部に配置している。これにより、溝部の隙間から外気へと連通する気体流路が粘着テープにより形成され、真空断熱材と外箱との隙間の気体を排出することができる。
特開2007−198622号公報 特開2004−28349号公報
しかしながら、上記従来の冷蔵庫によると、特許文献1の冷蔵庫では外箱内面に複数列に並設される長大な放熱パイプを、真空断熱材に設けられた狭小の溝に正確に組み立てるのは困難であった。また、溝部へ注入する充填材の注入量を制御するのが困難である。このため、充填材が溝部から溢れでて外箱内面と真空断熱材が接地している領域において貼り付けが不均一となる、これにより、外箱の外観不良が発生する問題があった。
また、特許文献2の冷蔵庫では機械室に通じている放熱パイプに対してのみ粘着テープが貼り付けられている。このため、並設された他の放熱パイプには外気への気体流路が形成されていない。したがって、並設された他の放熱パイプが嵌る溝部において外箱の外観不良が発生する問題があった。
本発明は、外観不良の発生を防止できる冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、内箱と金属製の外箱との間に発泡断熱材を充填した断熱箱体と、一方向に延びて蛇行により複数列に並設した状態で前記外箱の内面に接して配されるとともに前記断熱箱体の外部に延出される延出部を有する放熱パイプと、芯材を外被材で覆って内部が減圧されるとともに前記放熱パイプが嵌められる複数の溝部を並設して前記外箱の内面に取り付けられる真空断熱パネルと、前記断熱箱体の外部と前記溝部とを連通させる連通路とを備え、並設方向に隣接する前記溝部間を連通させたことを特徴としている。
この構成によると、断熱箱体の外部と溝部とが連通路を介して連通する。これにより、溝部への気体の透過は(発泡断熱材中の浸透)ではなく(連通路の通過)が支配的になる。つまり、気体の透過における(発泡断熱材に対する溶解度)の影響が小さくなり、(気体の拡散係数)による影響が大きくなる。拡散係数は炭酸ガス、窒素、酸素の各気体で大差がない。このため、連通路を介する溝部から断熱箱体の外部への炭酸ガスの流出と断熱箱体の外部から溝部への窒素や酸素の流入との速度差が解消される。これにより、溝部中の各気体の分圧は少ない時間差で大気中の各気体の分圧と平衡になる。さらに、各気体が連通路を介して円滑に外気と溝部内とを流通する。これにより、短時間で並設方向に隣接する溝部の気体全圧と断熱箱体外部との気圧差が解消される。
また本発明は、上記構成の冷蔵庫において、前記真空断熱材が各前記放熱パイプを横切る第1粘着テープにより前記溝部が延びた方向の端部を前記外箱に固定され、前記第1粘着テープまたは前記外被材の周囲を熱溶着した熱溶着部によって前記真空断熱材の端面及び前記外箱に面した空間部を形成したことを特徴としている。この構成によると、空間部において並設方向に隣接する溝部間が連通する。
また本発明は、前記放熱パイプが延伸方向に沿って配される第2粘着テープにより前記外箱に固定されるとともに、前記溝部内で第2粘着テープによって第1気体流路と第2気体流路とに仕切られ、第2粘着テープの少なくとも一端が第1粘着テープに交差しないことを特徴としている。この構成によると、第1粘着テープと交差しない第2粘着テープの一端において第1気体流路と第2気体流路とが連通する。
また本発明は、前記放熱パイプが延伸方向に沿って配される第2粘着テープにより前記外箱に固定されるとともに、前記溝部内が第2粘着テープによって第1気体流路と第2気体流路とに仕切られ、第2粘着テープに貫通孔を設けたことを特徴としている。この構成によると、貫通孔を介して第1気体流路と第2気体流路とが連通する。
また本発明は、前記延出部と第1粘着テープとの間の放熱パイプが第3粘着テープによって前記外箱に固定され、前記連通路が第3粘着テープの内側に形成されることを特徴としている。
また本発明は、前記放熱パイプは延伸方向の両端部を並設方向に横切る第1粘着テープにより前記外箱に固定されるとともに、第1粘着テープに重なって延伸方向に沿って配される第2粘着テープにより前記外箱に固定され、第2粘着テープが前記断熱箱体の外部に延びて前記連通路を形成するととともに、前記溝部内が第2粘着テープによって第1気体流路と第2気体流路とに仕切られて第1気体流路と第1粘着テープの内部とが連通し、第2粘着テープに貫通孔を設けたことを特徴としている。
また本発明は、前記連通路が前記外箱の内面または前記放熱パイプの周囲に離型処理を施して形成されることを特徴としている。
この構成によると、離型処理を施された領域には発泡断熱材が接着しない。これにより、放熱パイプの周囲と発泡断熱材との接触面間に隙間が形成されて連通路となる。連通路を通る気体は発泡断熱材を透過しない。このため、気体の透過において(気体の拡散係数)による影響が大きくなる。拡散係数は炭酸ガス、窒素、酸素の各気体で大差がない。これにより、隙間を介して溝部から断熱箱体の外部への炭酸ガスの流出と断熱箱体の外部から溝部への窒素や酸素の流入との速度差が解消される。したがって、溝部中の各気体の分圧は少ない時間差で大気中の各気体の分圧と平衡になる。これにより、短時間で並設方向に隣接する溝部の気体全圧と断熱箱体外部との気圧差が解消される。
また本発明は、前記延出部と第1粘着テープとの間の隣接する複数の放熱パイプが周方向に巻き付く第4粘着テープにより束ねられ、前記連通路が第4粘着テープの内周側に形成されることを特徴としている。
この構成によると、複数の放熱パイプに巻き付く第4粘着テープの内周側には発泡断熱材が接着しない。これにより、束ねられた複数の放熱パイプと第4粘着テープとの間に隙間が形成されて連通路となる。
また本発明は、前記真空断熱材が前記溝部に交差して隣接する前記溝部を連通させる連通溝を有することを特徴としている。
この構成によると、溝部内の気体は断熱箱体外部へ流出するとともに、断熱箱体の外部から連通路に流入した気体は連通溝を介して隣接する溝部間に流入する。
本発明によると、並設方向に隣接する溝部内の気体は連通路を介して断熱箱体外部へ流出する。それと同時に、断熱箱体の外部から連通路を介して溝部に外気が流入する。溝部に流入した外気は並設方向に隣接する溝部に流入する。これにより、隣接する溝部全体の内圧と断熱箱体外部との気圧差が解消される。したがって、断熱箱体の内部と外部の気圧差による外箱の変形を防ぎ、外観不良の発生を防止することができる。
本発明の第1実施形態の冷蔵庫を示す分解斜視図 本発明の第1実施形態の冷蔵庫に係る外箱の一部を示す斜視図 本発明の第1実施形態の冷蔵庫に係る外箱の一部を展開して示す平面図 図3におけるA−A断面図 図3におけるB−B断面図 図3におけるC−C断面図 本発明の第2実施形態の冷蔵庫に係る外箱の一部を展開して示す平面図 本発明の第3実施形態の冷蔵庫に係る外箱の一部を展開して示す平面図 本発明の第4実施形態の冷蔵庫に係る外箱の一部を示す平面図 本発明の第5実施形態の冷蔵庫に係る外箱の一部を示す平面図 本発明の第6実施形態の冷蔵庫に係る外箱の一部を展開して示す平面図 図11におけるD−D断面図
[第1実施形態]
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本実施形態の冷蔵庫を示す分解斜視図であり、図2は外箱11の一部を示す斜視図であり、図3は外箱11の一部を展開して示す平面図である。
冷蔵庫1の断熱箱体10は前面が開口する箱状を成している。断熱箱体10の外面は外箱11により形成され、内面は内箱12により形成される。外箱11は鉄板等の金属板から成る天板11a、側面板11b、11e、背面板11c及び底面板11dにより前面が開口した箱型に形成される。内箱12は樹脂成形品から成り、前面を開口した複数の冷却室に区分けして形成される。外箱11と内箱12との間には発泡ウレタン等の発泡断熱材(不図示)が充填される。底面板11dの下部には機械室61が設けられ、機械室61は断熱箱体10の外部に配される。
天板11aの両側には側面板11b、11eが連接されており、展開された状態から側面板11b、11eを折り曲げて外箱11を形成する。側面板11b、11e及び天板11aの内面側には放熱用の放熱パイプ33が外箱11の内面に接して配される。放熱パイプ33は一方向に延びて蛇行により複数列に並設している。第2粘着テープ42は放熱パイプ33の延伸方向の列に沿って複数列配されている。第2粘着テープ42により放熱パイプ33が外箱11の内面に貼り付けられている。
放熱パイプ33は一端に延出部33aを有する。延出部33aは断熱箱体10外部に設けられた機械室61まで延出している。延出部33aは第3粘着テープ43によって外箱11の内面に貼り付けられている。延出部33aと第1粘着テープ41aとの間の放熱パイプ33は第3粘着テープ43によって外箱11に固定されている。放熱パイプ33の内面側には、第2粘着テープ42及び第3粘着テープ43の上から真空断熱材21が配されている。
真空断熱材21は矩形状であり、側面板11b、11eにそれぞれ設けられる。このとき、真空断熱材21の端部26a、26bが複数列に並設する放熱パイプ33を横切るように配される。また、端部26a、26bは第1粘着テープ41a、41bにより外箱11に固定される。
図4は図3のA−A線断面図であり、図5は図3のB−B線断面図である。真空断熱材21は袋状の外被材26内に芯材25を内包する。芯材25は不織布(不図示)を複数枚積層して形成される。外被材26の内部は真空引きにより芯材25がスペーサとなって減圧されている。外被材26の端部26a、26bは所定幅で熱溶着された熱溶着部27a、27bに形成される。熱溶着部27a、27bにより芯材25が外被材26内部に封止されている。なお、外被材26は一枚の積層フィルムを折り返して熱溶着部27a、27bを含む三方を熱溶着して形成される。熱溶着部27a、27bは折り畳まれずに外箱11に貼り付けられている。このため、熱溶着部27a、27bに不必要な応力がかかり外被材26が破断するのを防ぐことができる。したがって、外被材26内部の真空破壊が防止される。
また、外被材26の端部26aにおいて、熱溶着部27aによって真空断熱材21の端面28a及び外箱11に面する空間部29aが形成されている。同様にして、外被材26の端部26bにおいて、熱溶着部27bによって真空断熱材21の端面28b及び外箱11に面する空間部29bが形成されている。なお、第1粘着テープ41a、41bの一端を真空断熱材21の端部26a、26bに面して貼り付け、真空断熱材21と外面11とにまたがる第1粘着テープ41a、41bにより空間部29a、29bを形成してもよい。
図6は図3のC−C線断面図である。真空断熱材21には放熱パイプ33が嵌められる凹状の溝部22が形成されている。溝部22は放熱パイプ33と同一方向に延びている。放熱パイプ33を溝部22に嵌めたとき、真空断熱材21は溝部22以外の領域で外箱11内面と当接する。溝部22内は第2粘着テープ42を介して第1気体流路22aと第2気体流路22bとに仕切られる。
溝部22の両端はそれぞれ空間部29a、29bに連通している。これにより、並設方向に隣接する溝部22間は空間部29a、29bにおいて連通する。
図4に示すように、溝部22を仕切る第2粘着テープ42の一端は第1粘着テープ41aと交差する。このため、第2粘着テープ42の下部に覆われた第1気体流路22aは空間部29aと連通しない。一方、第2粘着テープ42の上部に形成された第2気体流路22bは空間部29aと連通する。したがって、並設方向に隣接する第1気体流路22aは空間部29aにおいて連通しないが、第2気体流路22bは空間部29aにおいて連通する。
図5に示すように、第2粘着テープ42の他端は第1粘着テープ41bと交差していない。このため、第1気体流路22a及び第2気体流路22bは空間部29bと連通する。したがって、並設方向に隣接する第1気体流路22a及び第2気体流路22bは空間部29bにおいて共に連通する。また、空間部29bにおいて上下に仕切られた第1気体流路22aと第2気体流路22bも連通する。なお、第2粘着テープ42が溝部22内で途切れている場合、溝部22内の途切れた端部において第1気体流路22aと第2気体流路22bとが連通する。
延出部33aと第1粘着テープ41aの間の放熱パイプ33は第3粘着テープ43により外箱11に貼り付けられている。第3粘着テープ43の一端は延出部33aまで延出している。一方、第3粘着テープ43の他端は第2粘着テープ42の一端と重なるように延出している。また、第3粘着テープ43の上から第1粘着テープ41aが交差している。第3粘着テープ43の下部と放熱パイプ33および側面板11bとの空域には連通路43aが形成されている。連通路43aの一端は第2粘着テープ42との重なり部分において第1気体流路22aと連通する。連通路43aの他端は断熱箱体10外部と連通する。なお、第3粘着テープ43の一端を第2粘着テープ42と重ねることなく空間部29aに設けてもよい。この場合、空間部29aを介して連通路43a、第1気体流路22a及び第2気体流路22bが連通する。
なお、第1粘着テープ41a、41b、第2粘着テープ42及び第3粘着テープ43はアルミニウム箔を有する金属箔粘着テープである。これにより、放熱パイプ33の熱を効率よく外箱11に伝導して放熱効果を高めることができる。
本実施形態によると、断熱箱体10の外部と溝部22とを連通させる連通路43aを設けたことにより、連通路43aを介して外気(窒素や酸素)が溝部22内に流入する。また、並設方向に隣接する溝部22間を連通させたことにより、隣接する溝部22間にも外気が流入する。また、同時に溝部22内の炭酸ガスは、上記とは逆の流れで断熱箱体10外部へ流出する。これにより、溝部22への気体の透過は(発泡断熱材中の浸透)ではなく(連通路43aの通過)が支配的になる。つまり、気体の透過における(発泡断熱材に対する溶解度)の影響が小さくなり、(気体の拡散係数)による影響が大きくなる。拡散係数は炭酸ガス、窒素、酸素の各気体で大差がない。このため、連通路43aを介する溝部22から断熱箱体10の外部への炭酸ガスの流出と断熱箱体10の外部から溝部22への窒素や酸素の流入との速度差が解消される。これにより、溝部22中の各気体の分圧は少ない時間差で大気中の各気体の分圧と平衡になる。さらに、各気体が連通路43aを介して円滑に断熱箱体10の外部と溝部22内とを流通する。これにより、短時間で並設方向に隣接する溝部22の気体全圧と断熱箱体10外部との気圧差が解消される。したがって、断熱箱体10の内部と外部の気圧差による外箱11の変形を防ぎ、外観不良の発生を防止することができる。
また、真空断熱材21が各放熱パイプ33を横切る第1粘着テープ41a、41bにより溝部22が延びた方向の端部26a、26bを外箱11に固定される。このとき、第1粘着テープ41a、41bまたは外被材26の周囲を熱溶着した熱溶着部27a、27bによって真空断熱材21の端面28a、28b及び外箱11に面した空間部29a、29bが形成される。これにより、隣接する溝部22間を容易に連通させることができる。
また、放熱パイプ33が延伸方向に沿って配される第2粘着テープ42により外箱11に固定される。これにより、放熱パイプ33の熱を効率よく外箱11に伝導して放熱効果を高めることができる。また、溝部22内で第2粘着テープ42によって第1気体流路22aと第2気体流路22bとに仕切られ、第2粘着テープ42の少なくとも一端が第1粘着テープ41に交差しない。これにより、第2粘着テープ42の第1粘着テープ41と交差しない一端の空間部29bにおいて第1気体流路22aと第2気体流路22bとを連通させることができる。
また、延出部33aと第1粘着テープ41aとの間の放熱パイプ33が第3粘着テープ43によって外箱11に固定され、連通路43aが第3粘着テープ43の内側に形成される。これにより、連通路43aを容易に形成することができる。
なお、他の方法により、隣接する溝部22を連通させてもよい。例えば、真空断熱材21に溝部22に交差して隣接する溝部22を連通させる連通溝(不図示)を設けることができる。これにより、連通溝を介して簡易に隣接する溝部22間を連通させることができる。
[第2実施形態]
図7は第2実施形態に係る冷蔵庫に係る外箱11の一部を展開して示す平面図である。なお、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。第1実施形態に対して第2実施形態は第1粘着テープ41bを省いて第1粘着テープ41aのみが設けられている。
真空断熱材21の端部26a、26bは複数列に並設する放熱パイプ33を横切る。また、端部26aは第1粘着テープ41aにより外箱11に固定されている。一方、端部26bは第1粘着テープ41b(図3参照)により外箱11に固定されていない。このため、外被材26の端部26aにおいて空間部29aが形成されるが、端部26bにおいて空間部は形成されない。一方、第2粘着テープ42には複数の貫通孔42aが形成されている。これにより、貫通孔42aを介して第1気体流路22aと第2気体流路22bが連通している。
本実施形態によると、連通路43aから第1気体流路22aに流入した外気は貫通孔42aを介して第2気体流路22bに流入する。第2気体流路22bに流入した外気は空間部29aにおいて隣接する第2気体流路22bに流入する。各第2気体流路22bにおいて外気は貫通孔42aを介して第1気体流路22aに流入する。また、同時に溝部22内の炭酸ガスは、上記とは逆の流れで断熱箱体10の外部へ流出する。これにより、隣接する溝部22の内圧と断熱箱体10外部との気圧差が解消される。したがって、断熱箱体10の内部と外部の気圧差による外箱11の変形を防ぎ、外観不良の発生を防止することができる。
なお、第1気体流路22aが第2気体流路22bと比べて容量が圧倒的に小さい場合、第1気体流路22aに溜まる炭酸ガスの容積も小さい。この場合、外箱11の変形に第1気体流路22aに溜まった炭酸ガスはほとんど影響しない。このとき、貫通孔42aを第2粘着テープ42に設けず、第3粘着テープ43の一端を空間部29aに設けて各第2気体流路22bと外気の連通を図ってもよい。また、連通路43aに繋がる第2粘着テープ42のみに貫通孔42aを一つ設けた場合でも各第2気体流路22bと外気が連通でき、外箱11の変形を防ぐのに一定の効果を有する。また、貫通孔42aの代わりに切れ込みを第2粘着テープ42に形成しても同様の効果を得ることができる。
また、ロール状に巻かれた第2粘着テープ42をスパイク状の穿孔具を備えるローラーで送りながら放熱パイプ33に貼り付けてもよい。これにより、所定間隔で貫通孔42aが形成された第2粘着テープ42を容易に放熱パイプ33に貼り付けることができる。
なお、貫通孔42aは放熱パイプ33と接する第2粘着テープ42の軸線中央部を避けて形成することが好ましい。また、第2粘着テープ42の軸線中央部を挟んで両側に貫通孔42aを形成することがさらに好ましい。これにより、第2粘着テープ42が軸線中央部からズレて放熱パイプ33に貼り付けられた場合でも、貫通孔42aの通気を確保することができる。
また、第2粘着テープ42は通気を確保できるメッシュ状又は多孔状のテープを用いてもよい。
[第3実施形態]
図8は第3実施形態に係る冷蔵庫に係る外箱11の一部を展開して示す平面図である。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。第3実施形態は第1実施形態及び第2実施形態に対して真空断熱材21に第1粘着テープ41a、41bが貼り付けられていない。
放熱パイプ33は延伸方向の両端部を並設方向に横切る第1粘着テープ41a、41bにより外箱11に固定されている。また、第1粘着テープ41に重なって延伸方向に沿って配される第2粘着テープ42により外箱11に固定されている。第2粘着テープ42は断熱箱体10の外部に延びて連通路を形成している。溝部22内は第2粘着テープ42によって第1気体流路22aと第2気体流路22bとに仕切られており、第1気体流路22aと第1粘着テープ41の内部とが連通している。また、第2粘着テープ42には貫通孔42aが設けられている。
本実施形態によると、連通路43aを介して第1気体流路22aに外気(窒素や酸素)が流入する。第1気体流路22aに流入した外気は貫通孔42aを介して第2気体流路22bに流入する。また、第1気体流路22a及び第2気体流路22bは分岐していない。このため、連通路43aから流入した外気は一筋の第1気体流路22a及び第2気体流路22bを通り溝部22全体に流入する。また、同時に溝部22内の炭酸ガスは、上記とは逆の流れで断熱箱体10の外部へ流出する。これにより、隣接する溝部22の内圧と断熱箱体10外部との気圧差が解消される。したがって、断熱箱体10の内部と外部の気圧差による外箱11の変形を防ぎ、外観不良の発生を防止することができる。
[第4実施形態]
図9は第4実施形態に係る冷蔵庫に係る外箱11の一部を示す平面図である。なお、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。第4実施形態は第1実施形態及び第2実施形態に対して第3粘着テープ43が貼り付けられていない。
延出部33aと第1粘着テープ41aとの間の放熱パイプ33の周囲に離型処理が施されている。また、離型処理が施された領域53の一端は第2粘着テープ42の一端と重なる。離型処理が施された領域53の他端は断熱箱体10外部に設けられた機械室61まで延出している。離型処理が施された領域は発泡断熱材が接着しない。したがって、離型処理が施された領域53において放熱パイプ33の周囲と発泡断熱材との接触面間に隙間が形成されて隙間が連通路となる。連通路の一端は断熱箱体10外部と連通している。一方、連通路の他端は第1気体流路22aと連通している。これにより、連通路から第1気体流路22aに外気(窒素や酸素)を流入することができる。また、同時に溝部22内の炭酸ガスは、上記とは逆の流れで断熱箱体10外部へ流出する。このとき、連通路を通る気体は発泡断熱材を透過しない。このため、気体の透過において(気体の拡散係数)による影響が大きくなる。拡散係数は炭酸ガス、窒素、酸素の各気体で大差がない。これにより、連通路を介して溝部から断熱箱体10外部への炭酸ガスの流出と断熱箱体10外部から溝部への窒素や酸素の流入との速度差が解消される。したがって、溝部中の各気体の分圧は少ない時間差で大気中の各気体の分圧と平衡になる。これにより、短時間で並設方向に隣接する溝部の気体全圧と断熱箱体外部との気圧差が解消される。なお、離型処理が施された領域53の一端を第2粘着テープ42と重ねることなく空間部29aに設けてもよい。この場合、空間部29aを介して連通路、第1気体流路22a及び第2気体流路22bが連通する。
本実施形態によると、連通路が外箱10の内面または放熱パイプ33の周囲に離型処理を施して形成することにより、容易に連通路を形成することができる。なお、離型処理51はウレタンが接着しない離型剤(シリコン化合物、フッ素化合物等)を放熱パイプ33の周囲に塗布して行う。なお、延出部33aと対向する外箱11の内面に離型剤を塗布しても同様の効果を得ることができる。また、離型剤を塗布する代わりに表面に離型剤が塗布されたテープを塗布領域に貼り付けても同様の効果が得られる。
[第5実施形態]
図10は第5実施形態に係る冷蔵庫に係る外箱11の一部を示す平面図である。なお、第1実施形態〜第4実施形態と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。第5実施形態は第1実施形態及び第2実施形態に対して第3粘着テープ43が貼り付けられていない。
離型処理が施された領域63の一端は第2粘着テープ42の一端と重なる。第2粘着テープ42の一端は第1粘着テープ41aと交差する。離型処理が施された領域63の他端は断熱箱体10外部に設けられた機械室61まで延出している。離型処理が施された領域52aは発泡断熱材が接着しないためこの領域に連通路が形成される。したがって、第2粘着テープ42の下部に覆われた第1気体流路22aは領域63に形成された連通路を介して断熱箱体10外部と連通する。
[第6実施形態]
図11は第6実施形態に係る冷蔵庫に係る外箱11の一部を示す平面図であり、図12は図11のD−D線断面図である。なお、第1実施形態〜第5実施形態と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。第6実施形態は第1実施形態及び第2実施形態に対して第3粘着テープ43の代わりに第4粘着テープ44が用いられている。
放熱パイプ33は一端に延出部33a、33bを有する。延出部33a、33bは隣接して断熱箱体10外部に設けられた機械室61まで延出している。延出部33a、33bと第1粘着テープ41との間の隣接する複数の放熱パイプ33は周方向に巻き付く第4粘着テープ44により束ねられている。このとき、第4粘着テープ43の内周側において、隣接する放熱パイプ33の間と第4粘着テープ43との間に隙間が形成される。第4粘着テープ44内部には発泡断熱材62が接着しないため、形成された隙間が連通路44aとなる。なお、第4粘着テープ44の一端は第1粘着テープ41aと交差し、第4粘着テープ44の他端は断熱箱体10外部に設けられた機械室61まで延出している。
本実施形態によると、隣接する放熱パイプ33を束ねて周方向に巻き付く第4粘着テープ44によって容易に連通路44aを形成することができる。また、第4粘着テープ44で隣接する放熱パイプ33を束ねることにより、放熱パイプ33全体の取り扱いや外箱11の内面に対する位置決めが容易になる。なお、延出部33a、33bと第1粘着テープ41以外の隣接する放熱パイプ33を第5粘着テープ45で複数個所巻き付けて束ねてもよい。これにより、複数列に並設する放熱パイプ33全体を一枚板状に取り扱うことが可能になる。
本発明によると、断熱箱体内に真空断熱材を備えた冷蔵庫に利用することができる。
10 断熱箱体
11 外箱
11a 天板
11b、11e 側面板
11c 背面板
11d 底面板
12 内箱
21 真空断熱材
22 溝部
22a 第1気体流路
22b 第2気体流路
25 芯材
26 外被材
26a、26b 端部
27a、27b 熱溶着部
28a、28b 端面
29a、29b 空間部
33 放熱パイプ
33a 延出部
41a、41b 第1粘着テープ
42 第2粘着テープ
42a 貫通孔
43 第3粘着テープ
43a 連通路
44 第4粘着テープ
44a 連通路
45 第5粘着テープ
53、63 離型処理が施された領域(連通路)
61 機械室
62 発泡断熱材

Claims (3)

  1. 内箱と外箱との間に発泡断熱材を充填した断熱箱体と、
    一方向に延びて蛇行により複数列に並設した状態で前記外箱の内面に接して配される放熱パイプと、
    記放熱パイプが嵌められる溝を有し、前記外箱の内面に取り付けられ真空熱材と、
    記断熱箱体の外部に一端が連通する連通路とを備え
    前記放熱パイプは延伸方向に沿って配される粘着テープによって前記外箱に固定され、
    前記溝部内は前記粘着テープの下部に第1気体流路が形成さ
    記連通路の他端は、並設方向に隣接する前記第1気体流路へ分岐して連通していることを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記溝部内は前記粘着テープの上部に第2気体流路が形成され、
    前記連通路の他端は、並設方向に隣接する前記第2気体流路へ分岐して連通していることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記連通路は、前記外箱の内面と前記放熱パイプとの間以外の部分に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷蔵庫。
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