JP5846125B2 - アミノ基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法 - Google Patents

アミノ基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5846125B2
JP5846125B2 JP2012549874A JP2012549874A JP5846125B2 JP 5846125 B2 JP5846125 B2 JP 5846125B2 JP 2012549874 A JP2012549874 A JP 2012549874A JP 2012549874 A JP2012549874 A JP 2012549874A JP 5846125 B2 JP5846125 B2 JP 5846125B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
phosphorylcholine
ampc
reaction
amino group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012549874A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012086762A1 (ja
Inventor
伸行 吉岡
伸行 吉岡
伸行 坂元
伸行 坂元
陽介 松岡
陽介 松岡
規郎 岩切
規郎 岩切
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2012549874A priority Critical patent/JP5846125B2/ja
Publication of JPWO2012086762A1 publication Critical patent/JPWO2012086762A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5846125B2 publication Critical patent/JP5846125B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F9/00Compounds containing elements of Groups 5 or 15 of the Periodic Table
    • C07F9/02Phosphorus compounds
    • C07F9/06Phosphorus compounds without P—C bonds
    • C07F9/08Esters of oxyacids of phosphorus
    • C07F9/09Esters of phosphoric acids
    • C07F9/10Phosphatides, e.g. lecithin
    • C07F9/106Adducts, complexes, salts of phosphatides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F9/00Compounds containing elements of Groups 5 or 15 of the Periodic Table
    • C07F9/02Phosphorus compounds
    • C07F9/06Phosphorus compounds without P—C bonds
    • C07F9/08Esters of oxyacids of phosphorus
    • C07F9/09Esters of phosphoric acids
    • C07F9/091Esters of phosphoric acids with hydroxyalkyl compounds with further substituents on alkyl

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、医療機器、化粧品原料、薬物等の様々な基材に、ホスホリルコリン類似基を導入し、それに起因する機能性を付与しうる化合物又はその原料等として有用な、多種にわたる官能基等と効率良く反応させうるアミノ基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法に関する。
従来より、ホスホリルコリン類似基含有化合物を、各種基材表面に反応させることにより、ホスホリルコリン類似基に起因する、生体適合性、保水性、吸水性等の各種機能性を基材に付与する技術が多く提案されている。例えば、各種ホスホリルコリン類似基化合物で処理された基材表面は、血液適合性に代表される優れた生体適合性を発現することが知られており、ホスホリルコリン類似基含有ポリマーで被覆した医療機器は優れた生体適合性を発現することが知られている(非特許文献1)。
このように各種基材表面に、ホスホリルコリン類似基含有化合物を反応させるための修飾剤を得るために、各種基材表面と反応させうる反応性基を導入した、修飾剤としてのホスホリルコリン類似基含有化合物の開発が盛んになされている。例えば、シラノール基を導入したホスホリルコリン類似基化合物(特許文献1)、カルボキシル基を導入したホスホリルコリン類似基含有化合物(特許文献2)、アルデヒド基を導入したホスホリルコリン類似基含有化合物(特許文献3)、ケタール基を導入したホスホリルコリン類似基含有化合物(特許文献4)が知られている。
しかし、上記特許文献2や3で示されるカルボキシル基やアルデヒド基を導入した化合物を使用して、基材表面に化学結合させる際には、該基材表面に、これらと相補的な官能基である、例えば、アミノ基を存在させる必要がある。このようなアミノ基が存在しない場合には、反応率が非常に低くなるため、長時間かつ高温の反応条件が必要となる。
一方、基材表面を、例えば、プラズマ処理や加水分解処理して、工業的に利用しやすいカルボキシル基を導入した場合、このような基剤表面と、上記特許文献1〜4に示されるホスホリルコリン類似基含有化合物とは反応性が低いという問題が生じる。
そこで、基材表面に存在する官能基等の種類の選択性が広い、高活性(高求核性)であるアミノ基やチオール基等を導入したホスホリルコリン類似基含有化合物を得ることは工業上非常に有用である。
そこで、特許文献5には、2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホランとトリメチルアミンとを用いる方法が提案されている。
しかし、この方法によりアミノ基を導入したホスホリルコリン類似基含有化合物を製造する場合、アミノ基を保護する工程を行う必要があり、反応が複雑化し、しかも、副生成物も多量に発生するために、これまで該方法については十分な検討がなされていないのが実状である。
特開2006−8661号公報 特開2006−8987号公報 特開2004−175676号公報 特開2008−189589号公報 欧州特許出願公開第0486100号明細書
人工臓器、23(3),654−659,1994
本発明の課題は、多種にわたる官能基等と効率良く、温和な条件で反応させることが可能な高活性のアミノ基を有し、種々の基材表面にホスホリルコリン類似基を導入させて、該基の有する機能性を付与することが可能な化合物、もしくはその原料として有用なアミノ基含有ホスホリルコリン化合物を提供することにある。
本発明の別の課題は、上記本発明のアミノ基含有ホスホリルコリン化合物を、長時間かつ高温の反応条件を必要とせずに、容易にかつ高収率で得ることが可能なアミノ基含有ホスホリルコリン化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、製法が確立され工業的に入手可能な2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを出発物質とし、これに2−アミノエタンチオール及び/又は2−アミノエタンチオール塩酸塩を特定割合で添加し、チオール基を優先的にマイケル付加反応させることにより、上記アミノ基含有ホスホリルコリン化合物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、式(1)及び式(1')で表される少なくとも1種のアミノ基含有ホスホリルコリン化合物(以下、AmPCと略すことがある)が提供される。
Figure 0005846125
また本発明によれば、(a)2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下MPCと略す)と、(b)2−アミノエタンチオールと、(c)2−アミノエタンチオール塩酸塩とを、((上記(b)+上記(c))/上記(a))が1.0〜3.0モル当量、かつ(上記(b)/上記(c))が0.05〜1.00モル当量となる割合でアルコール存在下、反応させることを特徴とする上記AmPCの製造方法が提供される。
更に本発明によれば、(a)MPCと、(b)2−アミノエタンチオール又は(c)2−アミノエタンチオール塩酸塩とを、((上記(b)+上記(c))/上記(a))が1.0〜3.0モル当量となる割合でアルコール存在下、反応させることを特徴とするAmPCの製造方法が提供される。
本発明のAmPCは、ホスホリルコリン類似基と、高活性のアミノ基とを有する上記式(1)及び/又は式(1')で表される構造であるので、カルボキシル基、アルデヒド基、イソシアネート基、ハロゲンなど多種の官能基と、温和な条件で、しかも高反応率で結合させることが可能である。従って、AmPCは、医療機器、化粧品原料、薬物等の種々の基材表面に、ホスホリルコリン類似基を導入する化合物、もしくはその原料として有用である。また、表面処理剤の成分として用いることにより、その機能性を容易に基材に付与することが可能となる。例えば、医療機器表面にホスホリルコリン類似基を導入して生体適合性を向上させるために、本発明のAmPCを利用することにより、医療機器の材料の選択性が拡大し、かつ容易にホスホリルコリン類似基を導入することが可能となる。
本発明の製造方法は、MPCと、2−アミノエタンチオール及び/又は2−アミノエタンチオール塩酸塩とを、特定割合で反応させるので、温和な条件で容易にかつ高収率で本発明のAmPCを製造することができる。特に、MPCと、2−アミノエタンチオール及び2−アミノエタンチオール塩酸塩とを、特定割合で反応させることにより、式(1)で示されるAmPCを、より高収率で得ることができる。
実施例1で合成した化合物の1H−NMRの測定結果を示すチャートである。 実施例1で合成した化合物の13C−NMRの測定結果を示すチャートである。 実施例1で合成した化合物のIRの測定結果を示すチャートである。 実施例1で合成した化合物のMASSスペクトルを示すチャートである。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のアミノ基含有ホスホリルコリン化合物(AmPC)は、上記式(1)で表される、2'−[3−(2−アミノエチルスルファニル)−2−メチルプロピオニルオキシ]エチル−[2−(トリメチルアンモニオ)エチル]ホスファートヒドロクロライド及び/又は上記式(1')で表される、2'−[3−(2−アミノエチルスルファニル)−2−メチルプロピオニルオキシ]エチル−[2−(トリメチルアンモニオ)エチル]ホスファートである。
本発明のAmPCは、例えば、(a)MPCと、(b)2−アミノエタンチオール及び/又は(c)2−アミノエタンチオール塩酸塩とを、特定割合でアルコール存在下、反応させる、本発明の製造方法により得ることができる。
(a)MPCは式(2)で示される化合物であり、(b)2−アミノエタンチオールは式(3)で表される化合物であり、(c)2−アミノエタンチオール塩酸塩は式(4)で表される化合物である。
Figure 0005846125
本発明のAmPCの製造方法において、原料モノマーである上記(a)〜(c)を全て用いる場合の仕込み量の割合は、好ましくは((上記(b)+上記(c))/上記(a))が1.0〜3.0モル当量、かつ(上記(b)/上記(c))が0.05〜1.00モル当量となる割合(以下、割合(X)という)である。
また、本発明のAmPCの製造方法において、原料モノマーである上記(a)と、上記(b)又は上記(c)とを用いる場合の仕込み量の割合は、((上記(b)+上記(c))/上記(a))が1.0〜3.0モル当量となる割合(以下、割合(Y)という)である。
上記割合(X)及び(Y)において、((上記(b)+上記(c))/上記(a))が3.0モル当量を超える場合には、アミノ基がマイケル付加する可能性やMPCの分解が生じるおそれがある。
本発明のAmPCの製造方法において、原料モノマーを上記割合(X)で反応させる方法を採用する場合は、例えば、Langmuir,2010,26(16),p13028−13032に記載されるようなジイソプロピルアミン等の触媒を必要とすることなく、極めて高純度の反応生成物が得られる。
本発明のAmPCの製造方法において用いるアルコールは、それぞれの上記原料モノマーが固体であるため、反応の際にこれらを溶解する溶媒として作用する。該アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノールが挙げられ、特に、エタノールが低毒性、反応性の点から好ましい。この際、アルコールの使用量は、原料モノマーが溶解しうる量であれば特に限定されないが、反応時の溶液濃度が10〜50質量%となる量に調整することが好ましい。
本発明のAmPCの製造方法において反応は、チオール基がジスルフィド化することを防ぎ、チオール基の求核性を維持するために、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は、50℃を超える場合、副反応としてアミノ基が二重結合にマイケル付加するか、あるいはチオール基がジスルフィドを形成するなどして目的のAmPCの収率が低下するおそれがある。従って、反応温度は10〜50℃が好ましい。反応時間は、任意の時間で良いが、長時間の反応は酸化劣化を伴うため、96時間以内が好ましい。
本発明のAmPCの製造方法においては、生成物を高転化率化し、副生物の生成を抑えるために、触媒の存在下に反応させることもできる。特に、上記割合(Y)で反応させる製造方法の場合に特に好ましい。
上記触媒としては、例えば、第三級アミンまたは第二級アミンが使用できる。第三級アミンとしては、トリエチルアミンが挙げられ、第二級アミンとしてはジイソプロピルアミンが挙げられる。
触媒は、2−アミノエタンチオール及び/又は2−アミノエタンチオール塩酸塩に対して、通常5〜100モル%の量を添加して使用できる。
本発明の製造方法により得られる生成物は、用途に応じて精製することが好ましく、例えば、医療機器や化粧料等の高安全用途には高度に精製することが好ましい。精製は、例えば、アセトニトリル等の非プロトン系極性溶媒中で結晶化させ、これを乾燥させて回収する方法、あるいはアセトンやアセトニトリル等の溶媒に沈殿させたものを回収して洗浄し溶媒留去して回収する方法が挙げられる。
本発明のAmPCは、アミノ基を有するため、縮合反応や求核置換反応、付加反応、共役置換反応、還元的アミノ化反応などにより他物質に化学結合させることができる。その組合せと反応としては、表1に示す場合が例示できる。
Figure 0005846125
本発明のAmPCは、例えば、ソフトコンタクトレンズやカテーテル等の各種医療機器の表面改質処理、ファンデーション等の化粧品原料の表面改質処理、タンパク質や生体物質の表面修飾、あるいは薬物との結合によるドラッグデリバリー性向上に使用することができる。具体的には例えば、医療機器であるコンタクトレンズの表面改質処理に用いる場合、該コンタクトレンズ表面にはカルボキシル基が優位に存在するので、これを1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)やジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等で活性化させて、本発明のAmPCを付加反応させることでホスホリルコリン類似基をコンタクトレンズ表面に導入することができる。これにより、コンタクトレンズに、ホスホリルコリン類似基による機能性、例えば、タンパク吸着抑制などの防汚性を容易に付与することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下に実施例に使用した装置と条件を示す。
<NMR分析>
測定装置:日本電子社製JNM−AL400
溶媒:D2O(3-(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウム塩基準 0.0005%)
試料濃度:10mg/g、積算回数:32回(1H−NMR)、1024回(13C−NMR)。
<IR分析>
測定装置:日本分光社製FT/IR−6100
測定法:薄膜法、積算回数:16回。
<質量分析(ESI−MS)>
測定装置:Waters社製、商品名Q−micro2695
試料濃度:100ppm、検出モード:ESI+、キャピラリー電圧:3.54V、コーン電圧;30V、イオン源ヒーター:120℃、脱溶媒ガス:350℃。
実施例1−1
2'−[3−(2−アミノエチルスルファニル)−2−メチルプロピオニルオキシ]エチル−[2−(トリメチルアンモニオ)エチル]ホスファートヒドロクロライド(AmPC)の合成
MPC 2.00g(6.77mmol)を3つ口フラスコに仕込み、これにエタノール11.33gを加えて、均一に攪拌した。これに窒素ガスをバブリングしてフラスコ内を窒素雰囲気とした後、2−アミノエタンチオール塩酸塩0.80g(7.08mmol)を加えて均一溶解した。さらに、2−アミノエタンチオール0.03g(0.37mmol)を加えて、室温で3時間攪拌反応させた。得られた反応液にアセトニトリルを11.33g加え、共沸により溶媒を減圧留去し、白色固体の生成物を得た。
得られた白色固体について、1H−NMR分析、13C−NMR分析、IR分析及び質量分析を行った。その結果を図1〜4並びに以下に示す。これらの結果から、得られた白色固体は、上記式(1)に示される目的化合物のAmPCであることがわかった。
1H−NMR測定により得られたピークの帰属は、Langmuir,2010,26(16),p13028−13032を参考に行った。13C−NMR測定により得られたピークの帰属は、Polymer Journal,1990,22(5),p355−360を参考に行った。
1H−NMR(D2O):δ=1.2(−CH(CH3)C(=O), 3H),2.8−2.9(−(CH3)CHCH2SCH2CH2−,5H),3.2((−CH2NH2,2H)(−N(CH3),9H)),3.7(N(CH3)CH2−,2H),4.1(−CH2OP−,2H),4.3−4.4(−POCH2CH2O−,4H)。
13C−NMR(D2O):δ=16.6(−CH(CH3)C(=O)),29.6(−CH2SCH2CH2NH2),34.6(−CH2SCH2CH2NH2),39.1(−CH(CH3)C(=O)),40.6(−SCH2CH2NH2),54.6(−N(CH3)),60.0(CH2N(CH3)),64.4(NCH2CH2OP),65.1(−OCH2CH2O−),66.2(−OCH2CH2O−),178.1(C=O)。
IR測定により得られたピークの帰属は、Langmuir,2010,26(16),p13028−13032を参考に行った。
FT−IR(cm-1):3393(−NH3 +),2924(C−H),1727(C=O),1226(C=O),1082(−OPOCH2−),967(−N+(CH33−)。
1H−NMR分析の積分値から以下の方法に従ってAmPCの純度と副生成物率を求めた。その結果AmPCの純度は100%で、副生成物含有率は0%であった。結果を表2に示す。
AmPC純度(%)=4.1ppmの積分値/[(1.9ppmの積分値+1.2ppmの積分値)×2/3]×転化率
転化率(%)=100−(MPC含有率)
MPC含有率(%)=[1−1.9ppmの積分値/(1.9ppmの積分値+1.2ppmの積分値)]×100
副生物率(%)=転化率−(AmPC純度)
実施例1−2〜1−4
表2に示す原料仕込み比及び条件に変更した以外は、実施例1−1と同様に反応を行って、生成物を得、分析及び測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005846125
実施例1−5〜1−8
表3に示す原料仕込み比及び条件に変更した以外は、実施例1−1と同様に反応を行って、生成物を得、分析及び測定を行った。尚、触媒として実施例1−5ではジイソプロピルアミンを、実施例1−6ではトリエチルアミンを用いた。結果を表3に示す。また、実施例1−7及び実施例1−8で得られた主生成物は、分析の結果、式(1')で示される2'−[3−(2−アミノエチルスルファニル)−2−メチルプロピオニルオキシ]エチル−[2−(トリメチルアンモニオ)エチル]ホスファートであった。
Figure 0005846125
以上のように、本発明の製造方法により、目的のAmPCが高収率で得られることを確認した。特に、原料として、2−アミノエタンチオール塩酸塩と2−アミノエタンチオールとの混合物を特定割合で用いることにより(実施例1−1〜1−4)、温和な条件で、副生成物を発生させずに極めて効率的に反応を進行させうることがわかった。
実施例2−1
実施例1−1の合成法により得たアミノ基含有ホスホリルコリン化合物を用いて、カルボン酸基を表面に持つ基材へのホスホリルコリン基導入を試みた。カルボン酸を持つ基材として、グラフト重合によって表面にアクリル酸を導入したPEフィルムを選択し、縮合剤1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)を用いてアミノ基含有ホスホリルコリン化合物と反応させた。反応処理後のフィルムをX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)で調べ、ホスホリルコリン基の導入について確認した。以下にその方法を示す。
アクリル酸(AA)グラフト化ポリエチレン(PE)フィルムの作製
1×4cmにカットしたポリエチレンフィルムを電極間距離3cm、電極間電圧15キロボルトのコロナ放電処理装置の電極間に設置し、放電処理を行った。次いで、10質量%アクリル酸水溶液中に浸漬し、脱気処理後、真空条件下、60℃で60分間グラフト重合を行った。重合後、十分に水洗することでAAグラフト化PEフィルムを得た。
ホスホリルコリン基導入フィルムの作製
15ccのポリプロピレンチューブに、0.1464mmolのWSCと、実施例1−1で合成したAmPCを0.1464mmol秤量し、イオン交換水を添加して均一に溶解させた。ここへ0.5cm×0.5cmの大きさに切断したAAグラフト化フィルムを入れた。これを攪拌が可能な恒温槽内へ投入し、30℃で24時間攪拌反応させた。反応させたフィルムを取り出し、イオン交換水5mLで3回洗浄を施し、過剰量のWSCおよび未反応のAmPCを除去した。乾燥し、ホスホリルコリン基導入フィルムを得た。
得られたフィルムについてXPSを用いて表面分析を行い、AmPCの導入率を測定した。また、ホスホリルコリン基の導入による表面親水化を確認するため、表面濡れ性の評価を実施した。
XPS評価
作製した0.5cm×0.5cmのフィルムサンプル表面の元素濃度をX線光電子分光法分析装置(XPS、JEOL社製JPS−9200)を用いて評価した(分析径1mm)。各サンプルについて結合エネルギーが304eV〜274eV(炭素1s軌道)、419eV〜389eV(リン2p3/2軌道)、155eV〜125eV(窒素1s軌道)、184eV〜154eV(硫黄2p3/2軌道)の分析を行い、AmPCの導入率を算出した。
AmPC導入率は、リン原子表面濃度(CP)と炭素原子表面濃度(CC)との比から以下の式(A)により算出した。
Figure 0005846125
表面濡れ性評価
作製したフィルム(0.5cm×0.5cm)を純水100mLに30秒間浸漬したのち、ピンセットを用いて垂直に空気中へ引きあげた。このときフィルムを目視観察し、水膜層が途切れて表面が露出するまでの時間(Water break-up time;WBUT)を測定した。WBUTの値により次のようにスコアを与え、表面濡れ性を評価した。
表面濡れ性評価スコア
3点:WBUT>20秒、2点:WBUT=10〜19秒、1点:WBUT=5〜9秒、0点:WBUT=0〜4秒。
WBUTは、その秒数が多いほど親水性の傾向が高くなる。
XPS分析の結果、上記実施例2−1で作製したフィルムへAmPCが14.9%導入されたことがわかった。また、表面濡れ性評価ではスコア3点であり、得られたフィルムは表面親水性を有していることがわかった。
参考例2−1
表4に示す、使用フィルムおよび溶媒量を変更した以外は、実施例2−1と同様に反応を行ってフィルムを得、分析及び評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0005846125
以上のように、AmPCがフィルム表面に導入されることを確認した。特にカルボン酸を表面に持つフィルムへAmPCが導入された。その結果、フィルム表面の水濡れ性を向上させうることがわかった。このような物性を利用して、本発明で得られるアミノ基含有ホスホリルコリン化合物は、例えば、コンタクトレンズやカテーテルなどの医療機器への処理用途が考えられ、処理を施されたこれらの機器は、ホスホリルコリン基を表面に持つことから、表面濡れ性の向上を始め、優れた生体適合性が期待できる。

Claims (4)

  1. 式(1)及び式(1')で表される少なくとも1種のアミノ基含有ホスホリルコリン化合物。
    Figure 0005846125
  2. (a)2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、(b)2−アミノエタンチオールと、(c)2−アミノエタンチオール塩酸塩とを、((上記(b)+上記(c))/上記(a))が1.0〜3.0モル当量、かつ(上記(b)/上記(c))が0.05〜1.00モル当量となる割合でアルコール存在下、反応させることを特徴とする請求項1記載のアミノ基含有ホスホリルコリン化合物の製造方法。
  3. (a)2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、(b)2−アミノエタンチオール又は(c)2−アミノエタンチオール塩酸塩とを、((上記(b)+上記(c))/上記(a))が1.0〜3.0モル当量となる割合でアルコール存在下、反応させることを特徴とする請求項1記載のアミノ基含有ホスホリルコリン化合物の製造方法。
  4. 前記反応を触媒存在下に行うことを特徴とする請求項3記載の製造方法。
JP2012549874A 2010-12-24 2011-12-22 アミノ基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法 Active JP5846125B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012549874A JP5846125B2 (ja) 2010-12-24 2011-12-22 アミノ基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010286981 2010-12-24
JP2010286981 2010-12-24
JP2012549874A JP5846125B2 (ja) 2010-12-24 2011-12-22 アミノ基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法
PCT/JP2011/079825 WO2012086762A1 (ja) 2010-12-24 2011-12-22 アミノ基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012086762A1 JPWO2012086762A1 (ja) 2014-06-05
JP5846125B2 true JP5846125B2 (ja) 2016-01-20

Family

ID=46314029

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012549874A Active JP5846125B2 (ja) 2010-12-24 2011-12-22 アミノ基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US8680314B2 (ja)
EP (1) EP2669287B1 (ja)
JP (1) JP5846125B2 (ja)
CN (1) CN103282368B (ja)
WO (1) WO2012086762A1 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9295747B2 (en) * 2010-10-20 2016-03-29 Nof Corporation Contact lens care preparation and packaging solution
KR101851825B1 (ko) * 2011-06-27 2018-04-24 니치유 가부시키가이샤 폴리머 및 그 제조 방법
JP5853855B2 (ja) * 2012-05-10 2016-02-09 日油株式会社 カルボキシル基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法
JP6520948B2 (ja) * 2014-08-08 2019-05-29 日油株式会社 蛋白質安定化剤及び蛋白質安定化方法
US10620177B2 (en) * 2014-09-10 2020-04-14 Nof Corporation Protein adsorption inhibitor and method for inhibiting protein adsorption
CN105237778B (zh) * 2015-11-16 2017-10-13 西安科技大学 一种室温下改善壳聚糖血液相容性的方法
WO2017132463A1 (en) * 2016-01-28 2017-08-03 ACatechol, Inc. Surface primer compositions and methods of use
US10696698B2 (en) 2016-01-28 2020-06-30 ACatechol, Inc. Surface primer compositions and methods of use
CN105670022B (zh) * 2016-02-25 2018-05-04 西安科技大学 一种磷酰胆碱仿生涂层的制备方法
CN106565772A (zh) * 2016-11-10 2017-04-19 山东师范大学 一种新型双氨基的磷酰胆碱化合物Lys‑EG‑PC及其制备方法
CN106565771B (zh) * 2016-11-10 2020-05-29 山东师范大学 一种含有双氨基的磷酰胆碱化合物Lys-PC及其制备方法
CN111094391B (zh) * 2017-09-11 2022-09-02 日油株式会社 聚乙二醇衍生物及蛋白质吸附抑制剂
CN108715643B (zh) * 2018-06-14 2021-07-27 西安科技大学 一种环氧与氨基磷酰胆碱聚合物仿生粘附涂层的制备方法
CN113150270A (zh) * 2021-03-19 2021-07-23 广东丁沃生医疗器械有限公司 一种磷脂聚合物及其制备方法与应用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5798291A (en) * 1980-10-21 1982-06-18 Boehringer Mannheim Gmbh Novel sulfur-containing phosphatide, manufacture and cancer medicine containing same
JP2004500458A (ja) * 2000-02-07 2004-01-08 バイオコンパティブルズ ユーケー リミテッド モノマー及びマクロマーとして有用なマイケル型反応からの化合物を含む両性イオン基
JP2008174491A (ja) * 2007-01-18 2008-07-31 Shiseido Co Ltd 表面改質方法及び表面改質材料

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT1245736B (it) 1990-11-15 1994-10-14 Magis Farmaceutici Processo per preparare alfa-glicerofosforilcolina
JP3647840B2 (ja) 2002-11-25 2005-05-18 株式会社資生堂 ホスホリルコリン基含有改質粉体及びその製造方法
JP4591926B2 (ja) 2004-05-21 2010-12-01 株式会社資生堂 素材の表面改質方法
JP3852942B2 (ja) 2004-05-24 2006-12-06 株式会社資生堂 水中分散性化粧料用粉体
JP2008189589A (ja) 2007-02-05 2008-08-21 Nof Corp ホスホリルコリン基含有環状ケタール化合物、その製造方法及びホスファチジルコリン基含有ジオール化合物の製造方法
WO2010104167A1 (ja) * 2009-03-13 2010-09-16 国立大学法人東京大学 多官能性化合物及びそれを用いて得られるヘテロ原子ポリマーならびにそれらの製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5798291A (en) * 1980-10-21 1982-06-18 Boehringer Mannheim Gmbh Novel sulfur-containing phosphatide, manufacture and cancer medicine containing same
JP2004500458A (ja) * 2000-02-07 2004-01-08 バイオコンパティブルズ ユーケー リミテッド モノマー及びマクロマーとして有用なマイケル型反応からの化合物を含む両性イオン基
JP2008174491A (ja) * 2007-01-18 2008-07-31 Shiseido Co Ltd 表面改質方法及び表面改質材料

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6015043137; Sang-Ho YE et al.: 'Simple surface modification of a titanium alloy with silanated zwitterionic phosphorylcholine or sul' Colloids and Surfaces B: Biointerfaces 79, 20100424, PP.357-364 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP2669287B1 (en) 2015-08-05
WO2012086762A1 (ja) 2012-06-28
EP2669287A1 (en) 2013-12-04
US20130310591A1 (en) 2013-11-21
JPWO2012086762A1 (ja) 2014-06-05
US8680314B2 (en) 2014-03-25
CN103282368B (zh) 2015-04-08
EP2669287A4 (en) 2014-06-25
CN103282368A (zh) 2013-09-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5846125B2 (ja) アミノ基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法
US7858679B2 (en) Polymeric compositions and related methods of use
JP6560343B2 (ja) 機能性ポリマー
KR101486449B1 (ko) 다작용성 형태의 폴리옥시졸린 공중합체 및 이를 포함하는 약물 조성물
US8269031B2 (en) Phosphorylcholine group-containing compound, method of manufacturing a phosphorylcholine group-containing compound, surface-modifying agent, and a method of modifying a surface using a surface-modifying agent
JP2006008987A (ja) 素材の表面改質方法
CN109937234A (zh) S-亚硝基硫醇介导的超支化聚酯
CA2956437A1 (en) Degradable amino acid-based poly(ester urea) copolymer adhesives
CN111936548B (zh) 多臂型聚乙二醇衍生物的制造方法
JP5853855B2 (ja) カルボキシル基含有ホスホリルコリン化合物及びその製造方法
EP4083111A1 (en) Phosphorylcholine group-containing polysiloxane monomer
EP1769007A2 (en) Polymeric compositions and related methods of use
JP6111052B2 (ja) 耐汚染性を付与するための水溶性表面処理剤、および表面処理方法
JP3831437B2 (ja) シランカップリング剤およびその製造方法
WO2008093905A1 (en) Biocompatible aliphatic brush polymers and manufacturing methods thereof
CA3094055A1 (en) Branched monodispersed polyethylene glycol, intermediate and methods for producing same
Gao et al. Biomimetic surface modification of polycarbonateurethane film via phosphorylcholine-graft for resisting platelet adhesion
JP7200517B2 (ja) ポリカルボン酸誘導体の製造方法
KR101053246B1 (ko) 퓨린 미믹을 브러쉬 말단으로 가지는 자기조립성 고분자 및그 제조방법
EP4053164A1 (en) Manufacture of photo-crosslinkable biodegradable tissue adhesive using copolymer
JP2004331637A (ja) 二官能性架橋剤モノマーとその製造法及びポリマー架橋体
JP2017088711A (ja) 表面処理剤
WO2023144228A1 (en) Azide-functionalized copolymers
JP2017186543A (ja) 環状ベンジリデンアセタール構造を有する生分解性ヒドロゲル
Alauzun et al. Generic, SN 2 reactive silicone surfaces protected by poly (ethylene glycol) linkers: facile routes to new materials

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151109

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5846125

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250