JP2017088711A - 表面処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性と親水性の両方を兼ね備えた、高分子材料の表面処理剤を提供する。
【解決手段】分子両端にホスホリルコリン基とカルボキシル性反応基を有する特定構造のホスホリルコリン基含有化合物が上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
【選択図】なし

Description

本発明は、高分子材料の表面処理剤に関する。
血球や蛋白質には、高分子材料に吸着し、さらに該材料を変性せしめる性質があり、血栓の形成や炎症反応など生体へ悪影響を及ぼす。したがって、血球や蛋白質が吸着しにくくなるような処理が医用高分子材料に必要不可欠である。血球や蛋白質の吸着を抑制する手段の1つとして、高分子材料表面をホスホリルコリン基で修飾する方法が広く知られている。たとえば、特許文献1では、アクリルビーズに対し、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)とメタクリル酸ブチル(BMA)からなる重合体をコーティングすることで、血小板や蛋白質の吸着を抑制する方法が提案されている。しかし、この方法による高分子材料へのホスホリルコリン基修飾は重合体の高分子材料への物理吸着であり、熱や時間経過により重合体が高分子材料から剥離して脱落することがある。
そこで、物理吸着ではなく、化学結合による高分子材料へホスホリルコリン基を修飾する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。この方法は、ホスホリルコリン基修飾を施したい基板に対して酸化ケイ素処理し、次いでホスホリルコリン基含有シリル化合物で処理することで、高分子材料表面をホスホリルコリン基修飾するものである。このホスホリルコリン基含有シリル化合物の製造法は、原料であるグリセロホスホリルコリンのジオールを三塩化ルテニウムと過ヨウ素酸ナトリウムを用いることにより酸化し、その後塩化チオニル、3-アミノプロピルトリメトキシシランと反応させることでアミド結合を形成させることにより得ている。この製法で用いる原料のグリセロホスホコリンは、高価な原料であるため、ホスホリルコリン基含有シリル化合物が高価格となるため、医用高分子材料の価格も高価化する欠点がある。
上記の通り、既知の高分子材料表面をホスホリルコリン基修飾する技術には依然課題があるため、特に耐久性と親水性の両方を兼ね備えた、高分子材料の表面処理剤の開発が望まれていた。
特開平9−003132号公報 特開2007−119643号公報
上記の通り、本発明の目的は、耐久性と親水性の両方を兼ね備えた、高分子材料の表面処理剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、分子両端にホスホリルコリン基とカルボキシル性反応基を有する特定構造のホスホリルコリン基含有化合物が上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は次の〔1〕〜〔4〕である。
〔1〕下記の式(1)で示されるホスホリルコリン基含有化合物(P)を含有する、高分子材料の表面処理剤。
Xは水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表わされる基である。
〔2〕前記の〔1〕に記載の高分子材料の表面処理剤を用いて、高分子材料の表面を処理することを特徴とする高分子材料の表面処理方法。
〔3〕前記の〔1〕に記載の高分子材料の表面処理剤により処理された高分子表面を有する高分子材料。
〔4〕下記の式(1)で示されるホスホリルコリン基含有化合物(P)が表面に塗布された高分子材料。
Xは水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表わされる基である。
本発明により、高分子材料の表面処理剤、該表面処理剤を用いた表面処理方法、該表面処理剤により表面処理された高分子材料、該表面処理剤が表面に塗布された高分子材料を提供することができる。
図1は、実施例4で得られたポリスチレン(PC−PS)板をXPS分析して得られたケイ素原子に由来するピークである。 図2は、実施例4で得られたポリスチレン(PC−PS)板をXPS分析して得られたリン原子由来ピークである。
本発明の高分子材料の表面処理剤は、下記の式(1)で示されるホスホリルコリン基含有化合物(P)を含有する。特に、本発明の高分子材料の表面処理剤は、表面がアミノ基で修飾された高分子材料の表面処理剤である。
Xは水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表わされる基である。
上記の1価のカチオン残基としては、特に限定されないが、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、またはアンモニア、イミダゾール、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等がプロトン化された含窒素有機化合物等が挙げられる。
また、式(1)中の−COOX基は、ベンゼン環上のいずれかの炭素上に結合しているが、ホスホリルコリン基に対して、パラ−位で結合していることが好ましい。
本発明の高分子材料の表面処理方法は、上記した本発明の高分子材料の表面処理剤を用いて、高分子材料の表面を処理(例えば、塗布、浸漬)することを特徴とする。当該処理を行うことにより、本発明の高分子材料の表面処理剤により処理された高分子表面を有する高分子材料が得られる。
本発明の高分子材料の表面処理方法は、好ましくは、アミノ基含有シリル化合物により表面がアミノ基で修飾された高分子材料に対して適用される。高分子材料の表面に存在するアミノ基とホスホリルコリン基含有化合物(P)中のカルボキシル基とがアミド化反応することによって、高分子表面に化学結合したホスホリルコリン基を有する高分子材料が得られる。
本発明のアミノ基含有シリル化合物は、いわゆるシランカップリング剤の中から分子内にアミノ基を有するものが選択される。たとえば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アミノ基含有シリル化合物による高分子材料の表面のアミノ化方法(高分子材料の表面をアミノ基で修飾する方法)は、特に限定されないが、一般的なシランカップリング剤による処理方法と同様にして行うことができる。例えば、アミノ基含有シリル化合物を含有する溶液に、高分子材料を浸漬させるか或いは高分子材料表面に該溶液を塗布し、乾燥させて皮膜を形成させる。アミノ基含有シリル化合物を含有する溶液の溶媒には、水またはアルコールなどの有機溶媒が使用できる。必要に応じてアミノ基含有シリル化合物を含有する溶液にアルカリを添加しても良い。また、乾燥させる際に加熱を行っても良い。また、乾燥後、残存するアルコキシ基を水酸基に加水分解するために水処理を行っても良い。
本発明の高分子材料の表面処理方法を施す高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ナイロン、シリコーン、ポリウレタン、セルロース、酢酸セルロース、ポリスルホン、フッ素樹脂などが挙げられるが、特に限定されない。
高分子材料の表面を活性化する方法は公知の様々な方法が使用できる。たとえば、「実験化学講座第4版2基本操作II」、日本化学会編、丸善出版社、「c.高分子材料の表面処理」(336-338ページ)に記載されているコロナ放電、プラズマ、火炎処理、紫外線照射、電子線・放射線照射、化学薬品処理などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アミノ基で修飾された高分子材料の表面をホスホリルコリン基含有化合物(P)でホスホリルコリン基修飾する方法としては、例えば、ホスホリルコリン基含有化合物(P)の溶液に高分子材料を塗布または浸漬・乾燥後、洗浄する方法が挙げられる。
ホスホリルコリン基含有化合物(P)の溶液を調製するのに使用する溶媒は特に制限はないが、溶解性を考慮すると水、またはメタノールが好ましい。ホスホリルコリン基含有化合物(P)の溶液濃度は特に限定されないが、約0.05〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。
本発明の高分子材料の表面処理剤により、アミノ基で修飾された高分子材料の表面をホスホリルコリン基修飾する際の温度は、特に限定されないが、高分子材料やホスホリルコリン基含有化合物(P)が分解しない程度に加熱しても良い。さらに、高分子材料の耐熱温度や処理操作の作業性を考慮すると25℃〜80℃が好ましい。
本発明の高分子材料の表面処理剤により、アミノ基で修飾された高分子材料の表面をホスホリルコリン基修飾する際には、縮合剤を使用しても良い。縮合剤としては、例えば、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド等が挙げられる。処理操作の簡便さや安全性を考慮すると、縮合剤は塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであることが好ましい。
本発明の高分子材料の表面処理剤により、アミノ基で修飾された高分子材料の表面をホスホリルコリン基修飾する際に縮合剤を使用する場合には、使用量は特に限定されないが、いたずらに使用量を増やす必要はなく、ホスホリルコリン基含有化合物(P)1モルに対して0.1〜2.0モル当量、好ましくは0.8〜1.5モル当量である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、例中の各種測定は以下の通り行った。
H−NMR測定]
日本電子(株)製、商品名「JNM−AL400」を用い、溶媒:DO、標準物質:HOD、試料濃度:10mg/g、積算回数:32回の条件で測定を行った。
31P−NMR測定]
日本電子(株)製、商品名「JNM−AL400」を用い、溶媒:DO、標準物質:HPO、試料濃度:10mg/g、積算回数:32回の条件で測定を行った。
[質量分析]
日本ウォーターズ(株)製、商品名「Q−micro2695」を用い、試料濃度:100ppm、検出モード:ESI+、キャピラリー電圧:3.54V、コーン電圧:30V、イオン源ヒーター:120℃、脱溶媒ガス:350℃の条件で測定を行った。
[XPS測定]
日本電子(株)製、商品名「JPS−9200」を用い、X線源:MgKa、X線出力:100Wの条件でX線光電子分光分析法(XPS)測定を行った。
[実施例1]
4−ヒドロキシ安息香酸メチル20gに、アセトニトリル160g、トリエチルアミン15gを加えて溶解させ、0℃に冷却した。その後、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン21gを滴下した。滴下終了後、0℃で5時間反応させ、生成したトリエチルアミン塩酸塩をろ過で除いた。得られたろ液に、アセトニトリル200gとトリメチルアミン12gとを加えた後、75℃で15時間反応させた。その後、60℃まで冷却し、窒素を吹き込みながら溶液量が約200mLになるまで濃縮した。濃縮後、溶液を25℃まで冷却し、析出した結晶をろ別、減圧乾燥することにより白色固体を35.2g得た。
得られた生成物についてのH−NMR測定、31P−NMR測定及び質量分析の結果は以下の通りであり、式(3)で表わされる化合物と同定した。
H−NMR:δ=8.04ppm(d,2H,J=8.8:d),7.30ppm(d,2H,J=8.8:e),4.41ppm(brs,2H:c),3.91ppm(s,3H:f),3.68ppm(m,2H:b),3.18ppm(s,9H:a)
31P−NMR:−4.59ppm(t,J=15.9)
MS:[M+H]=317.91,[M+Na]=340.01
[実施例2]
上記により得られた式(3)で表わされる化合物5gを蒸留水45gに溶解させ、トリエチルアミンを3.19g加え、還流下4時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、濃塩酸3.4gを加えることにより反応液を中和し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮した。得られた残留物に、2−プロパノール50gを添加して減圧濃縮する操作を2回行い、さらに2−プロパノール50gを加え、−10℃で終夜攪拌して結晶を析出させた。溶液を加圧ろ過し、得られた結晶を減圧乾燥することにより、白色固体を4.0g得た。
得られた生成物についてのH−NMR測定、31P−NMR測定及び質量分析の結果は以下の通りであり、式(4)で表わされる化合物と同定した。
H−NMR測定の結果は以下の通りである。
H−NMR:δ=8.06ppm(d,2H,J=8.8:d),7.33ppm(d,2H,J=8.8:e),4.43ppm(brs,2H:b),3.70ppm(m,2H:c),3.19ppm(s,9H:a)
31P−NMR:−4.56ppm(t,J=15.9)
MS:[M+H]=304.12
[実施例3]
上記により得られた式(4)で表わされる化合物5.0gとN−ヒドロキシスクシンイミド3.0gとを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)35gに懸濁させた。この溶液を25℃に保ち、10gのDMFに溶解させた1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド6.8gを加え、25℃にて72時間反応させた。反応後、溶液をろ過して固体を回収し、アセトニトリル160gで再結晶することにより白色固体4.5gを得た。
得られた生成物についてのH−NMR測定、31P−NMR測定及び質量分析の結果は以下の通りであり、式(5)で表わされる化合物と同定した。
H−NMR:δ=8.23ppm(d,2H,J=8.8:e),7.42ppm(d,2H,J=8.3:d),4.45ppm(brs,2H:b),3.72ppm(m,2H:c),3.22ppm(s,9H:a),3.04ppm(s,4H:f)
31P−NMR:−4.96ppm(t,J=15.9)
MS:[M+H]=400.99、[M+Na]=423.03
[実施例4]
「実験化学講座第4版2基本操作II」、日本化学会編、丸善出版社、337ページ記載の方法で調製したクロム酸混液にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ABS樹脂(ABS)、ポリカーボネート(PC)、又はポリスチレン(PS)の板(縦:横:厚さ=5cm:1.5cm:2mm)を室温下(約25℃)で8時間浸漬した。その後蒸留水で充分洗浄した。次に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0gに蒸留水99.0g加え、室温で1時間攪拌した溶液に室温下、19時間浸漬し、蒸留水で充分洗浄した。さらにその後、蒸留水99.0gに1.0gの式(5)で表わせる化合物を溶かした溶液に室温下2時間浸漬した。その後、蒸留水で充分洗浄し、室温下で12時間風乾することでホスホリルコリン基が修飾されたポリエチレン(PC−PE)板、ポリプロピレン(PC−PP)板、ポリ塩化ビニル(PC−PVC)板、ポリカーボネート(PC−PC)板、ポリスチレン(PC−PS)板を得た。
[実施例5]
実施例4で得られた板のXPS測定を行ったところ、3−アミノプロピルトリメトキシシランに由来するケイ素原子、ホスホリルコリン基に由来するリン原子のピークが確認された。代表例としてPC−PSのケイ素原子由来ピークを図1に、リン原子由来ピークを図2に示した。未処理とは何の処理もしていない高分子材料(ここではポリスチレン)のことを意味する。
[実施例6]
実施例4で得られた板と未処理板の水に対する接触角を測定し、実施例4で得られた板(PC修飾後)は、未処理板と比較して、接触角が小さいことから、実施例4の処理で親水性が付与されたことを確認した。結果を表1にまとめた。
[実施例7]
「実験化学講座第4版2基本操作II」、日本化学会編、丸善出版社、337ページ記載の方法で調製したクロム酸混液にポリスチレン(PS)の板(縦:横:厚さ=5cm:1.5cm:2mm)を室温下(約25℃)で8時間浸漬した。その後蒸留水で充分洗浄した。その後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0gに蒸留水99.0g加え、室温で1時間攪拌した溶液に室温下、19時間浸漬し、蒸留水で充分洗浄した。さらにその後、蒸留水99.0gに1.0g(3.3mmol)の式(4)で表わされる化合物と0.75gの塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(3.9mmol、式(4)で表される化合物の1.2モル当量)を溶かした溶液に室温下2時間浸漬した。その後、蒸留水で充分洗浄し、室温下で12時間風乾することでホスホリルコリン基が修飾されたポリスチレン(PC−PS)板を得た。
[実施例8]
実施例7で得られたPC−PS板のXPS測定を行ったところ、実施例5と同様に3−アミノプロピルトリメトキシシランに由来するケイ素原子、ホスホリルコリン基に由来するリン原子のピークが確認された。
[比較例]
特開平11−035605の実施例記載の方法によって重合を行い、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・ブチルメタクリレート共重合体〔共重合組成比(重量比)70/30、重量平均分子量:約300,000、以下、MPCポリマーと略記する〕を得た。この共重合体をメタノールで0.25質量%に希釈した溶液にPS板を浸漬・乾燥することによりMPCポリマーでコーティングされたPS板を得た。
上記で得られたPS板のXPS測定を行ったところ、ホスホリルコリン基に由来するリン原子のピークが確認されたことから、MPCポリマーでコーティングされたPS板が得られたことを確認した。
[実施例10]
実施例7で得られたPS板、および比較例で得られたPS板を、それぞれ、水に浸漬し、75℃の恒温槽に入れて1時間放置した(熱水処理)。その後、それぞれのPS板を蒸留水で充分洗浄・乾燥した後XPS測定を行い、ホスホリルコリン基由来リン原子のピーク面積値を求めた。ホスホリルコリン基由来リン原子のピーク面積値と、ホスホリルコリン基剥離率を下記表2に示す。
求めた面積値よりホスホリルコリン基の残存量を算出したところ、実施例7で得られたPS板のリン原子面積値は熱水処理する前後で面積値に変化はほとんどなかったが、比較例で得られたPS板では熱水処理後の面積値が熱水処理前に比べ大きく減少していた。したがって、実施例7のPS板からはホスホリルコリン基の剥離はほとんど起こらないが、比較例で得られたPS板上に存在するホスホリルコリン基の大部分は剥離することが確認された。
すなわち、本発明の高分子材料の表面処理剤により処理された高分子表面を有する高分子材料は、高い耐久性(特に、熱耐久性)を有する。
本発明の高分子材料の表面処理剤は、高分子材料(特に、医用高分子材料)の表面に親水性と耐久性を付与することができる。

Claims (4)

  1. 下記の式(1)で示されるホスホリルコリン基含有化合物(P)を含有する、高分子材料の表面処理剤。
    (Xは水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表わされる基である。)
  2. 請求項1に記載の高分子材料の表面処理剤を用いて、高分子材料の表面を処理することを特徴とする高分子材料の表面処理方法。
  3. 請求項1に記載の高分子材料の表面処理剤により処理された高分子表面を有する高分子材料。
  4. 下記の式(1)で示されるホスホリルコリン基含有化合物(P)が表面に塗布された高分子材料。
    (Xは水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表わされる基である。)
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