JP2020121960A - 経鼻粘膜ワクチン用アジュバント及びワクチン製剤 - Google Patents
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Abstract
Description
そもそもワクチンは、生ワクチンや不活化ワクチンなどいくつかの種類があることが知られている。生ワクチンは、病原体の毒性、病原性を弱めて製造したワクチンである。不活化ワクチンは、ホルマリンや紫外線などで前処理を施し、毒性や病原性を取り除いた病原体やその成分から製造されるワクチンである。
アジュバントは抗原と混合して生体へと投与することで、その抗原に対する免疫応答を増強させることが出来る物質のことである。不活化ワクチンなどへアジュバントを添加することで、免疫応答を増強することが出来る。
以上より、経粘膜感染症の治療及び予防を目的として、不活化ワクチンと併用することで、優れた免疫応答を発現するアジュバントの開発が望まれているのが現状であった。
[1]下記式(1)で表される構造を有するカルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)を含む経鼻粘膜ワクチン用アジュバント。
(Xは水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表される基である。)
[2]抗原物質と上記[1]に記載の経鼻粘膜ワクチン用アジュバントを含有する経鼻粘膜感染症予防用ワクチン製剤。
本発明は、下記式(1)で表される構造を有するカルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)を含む経鼻粘膜ワクチン用アジュバントである。
(Xは水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表される基である。)
本発明におけるカルボキシ化ホスホリルコリン化合物(P)は、下記式(1)で表される構造を有する。
(Xは水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表される基である。)
また、式(1)中の−COOX基は、ベンゼン環上のいずれかの炭素上に結合しているが、ホスホリルコリン基に対して、パラ−位で結合していることが好ましい。
式(1)におけるXは、オボアルブミンとの反応性が高いことから、式(2)で表される基であることが好ましい。
抗原物質とカルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)を混合する際の温度は、特に限定されないが、通常は0〜100℃とすることができ、好ましくは20〜50℃である。
本発明の経鼻粘膜感染症予防用ワクチン製剤は、上記した経鼻粘膜ワクチン用アジュバントを含有する。上記した経鼻粘膜ワクチン用アジュバントを含有することにより、抗原物質に対する優れた免疫応答を誘導し、その抗原物質による感染症の罹患や重症化を防ぐことができる。本発明の経鼻粘膜感染症予防用ワクチン製剤は、特に呼吸器や咽頭部などの経粘膜感染症に対して、優れた予防効果を発揮することができる。
抗原物質は、対象疾患、患者の性質等に応じて適宜選択してよい。抗原物質は、天然由来のものであってもよく、または化学合成やDNA組み換え技術により製造されるものであってもよい。このような抗原物質としては、例えば、ウイルス由来の抗原物質、細菌由来の抗原物質などが挙げられる。抗原物質は、不活性化又は弱毒化したものを使用することが好ましい。
細菌由来の抗原物質としては、例えば、インフルエンザ菌、肺炎球菌、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、結核菌、大腸菌、コレラ菌、サルモネラ菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌などが挙げられる。
本発明の経鼻粘膜感染症予防用ワクチン製剤に含有される、あるいは別途生体内に投与される好適な抗原物質としては、例えば、肺炎球菌の表層蛋白であるPspAやインフルエンザ菌の外膜蛋白であるP6などが挙げられる。
抗原物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
経鼻粘膜感染症予防用ワクチン製剤に抗原物質を配合させる場合において、ワクチン製剤中の抗原物質の含有量は、特に限定されず、生体の年齢、体重、疾患の性質などに応じて、医師等の当業者によって、適宜定めればよいが、例えば1〜70質量%、好ましくは1〜50質量%である。
以下の製造方法により、カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P1)を合成した。
1H NMR:δ=8.04ppm(d,2H,J=8.8:d),7.30ppm(d,2H,J=8.8:e),4.41ppm(brs,2H:c),3.91ppm(s,3H:f),3.68ppm(m,2H:b),3.18ppm(s,9H:a)
31P NMR:−4.59ppm(t,J=15.9)
MS:[M+H]+=317.91,[M+Na]+=340.01
1H NMR測定の結果は以下の通りである。
1H NMR:δ=8.06ppm(d,2H,J=8.8:d),7.33ppm(d,2H,J=8.8:e),4.43ppm(brs,2H:b),3.70ppm(m,2H:c),3.19ppm(s,9H:a)
31P NMR:−4.56ppm(t,J=15.9)
MS:[M+H]+=304.12
1H NMR:δ=8.23ppm(d,2H,J=8.8:e),7.42ppm(d,2H,J=8.3:d),4.45ppm(brs,2H:b),3.72ppm(m,2H:c),3.22ppm(s,9H:a),3.04ppm(s,4H:f)
31P NMR:−4.96ppm(t,J=15.9)
MS:[M+H]+=400.99、[M+Na]+=423.03
[1H NMR測定]
日本電子(株)製「JNM−AL400」を用い、溶媒:D2O、標準物質:HOD、試料濃度:10mg/g、積算回数:32回の条件で測定を行った。
[31P NMR測定]
日本電子(株)製「JNM−AL400」を用い、溶媒:D2O、標準物質:H3PO4、試料濃度:10mg/g、積算回数:32回の条件で測定を行った。
[質量分析]
質量分析装置としてWaters社製、商品名「Q−micro2695」を用い、試料濃度:100ppm、検出モード:ESI+、キャピラリー電圧:3.54V、コーン電圧:30V、イオン源ヒーター:120℃、脱溶媒ガス:350℃の条件で測定を行った。
実施例において用いたオボアルブミンは市販品(SIGMA製、A5503−5G)を用いた。
(試料の調製)
1mLの蒸留水にオボアルブミン10mgを溶解し、カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P1)10mgを加えて40℃で18時間攪拌して、経鼻粘膜ワクチン用組成物を調製した。
以下の手順に従って、経鼻免疫測定を実施し、アジュバント効果を測定した。
(1)あらかじめ6週齢の雌性Balb/cマウスを準備した。
(2)0日目、7日目、14日目の3回にわたり上記のとおり調製した組成物をマウスに経鼻投与した。
(3)21日目に、それぞれのマウスから検体(血清、鼻汁、唾液)を採取し、オボアルブミン特異的抗体価、及び血清中のホスホリルコリン(PC)特異的抗体価を測定して、経鼻粘膜のアジュバント効果を測定した。
なお、アジュバント効果の測定は、以下に示すELISAにより行った。測定は、文献(Tanaka N, Fukuyama S, Fukuiwa T, et al. Intranasal immunization with phosphorylcholine induces antigen specific mucosal and systemic immune responses in mice. Vaccine 2007; 25:2680-2687.)を参考に、実施した。
血清、唾液および鼻汁試料中のオボアルブミン特異的抗体価、及びPC特異的抗体価は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって決定された。PBSに溶解した5μg/ mlのPC-ウシ血清アルブミン(BSA)(Biosearch、San Rafael、CA)でポリスチレンマイクロタイタープレート(Nunc、Roskilde、Denmark)をコーティングし、ウェルをPBSに溶解した1%BSAでブロックした(BSA-PBS)。次いで、各サンプルを1%BSA-PBS中で段階希釈し、個々のウェルに移した。2時間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、1:5000希釈ペルオキシダーゼ(HRP)-コンジュゲート抗マウスIgM、IgGおよびIgA(Southern Biotechnology Associates、Birmingham、AL)と反応させた。室温で15分間、3,3 '、5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)(Moss、Pasadena、CA)を1μl/ウェルで添加し発色、次いで 0.5N HCl( 50μl/ウェル)の添加により停止させた。450nmでプレートリーダーを用いて光学濃度(OD)を記録した。OD > 0.3を陽性とした。
[比較例1]
1mLの蒸留水にカルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P1)10mgを溶解させた組成物を調製し、該組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
[比較例2]
1mLの蒸留水にオボアルブミン10mgを溶解させた組成物を調製し、該組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
[比較例3]
リン酸緩衝液(以下、「PBS」ともいう。)を下記のとおり調製し、実施例1と同様の評価を行った。リン酸緩衝液とは、KH2PO4 2.0g/l、Na2HPO4 11.5g/l、NaCl 80g/l、KCL 2.0g/lを配合したものを用いた。
[参考例1]
1mLの蒸留水にオボアルブミン10mgを溶解し、コレラトキシン10mgを加えて40℃で18時間攪拌して組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。
さらに、本発明の経鼻粘膜ワクチン用アジュバントは、ホスホリルコリン特異的抗体を誘導することも明らかとなった。
Claims (2)
- 下記式(1)で表される構造を有するカルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)を含む経鼻粘膜ワクチン用アジュバント。
(Xは水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表される基である。)
- 抗原物質と請求項1に記載の経鼻粘膜ワクチン用アジュバントを含有する経鼻粘膜感染症予防用ワクチン製剤。
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