JP2017088530A - ホスホリルコリン修飾アミド化合物の製造方法 - Google Patents

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崇 佐々木
藤田 隆範
Takanori Fujita
隆範 藤田
規郎 岩切
Kiro Iwakiri
規郎 岩切
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Abstract

【課題】煩雑なプロセスを経ずに、簡便にホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ること。【解決手段】カルボキシル化ホスホリルコリン化合物とアミノ基を有する化合物との間でアミド結合を形成させることにより、本発明を完成させるに至った。【選択図】なし

Description

本発明は、ホスホリルコリン修飾アミド化合物の製造方法に関する。
ホスホリルコリン基は、生体膜を構成する主要なリン脂質であるホスファチジルコリンに含まれる官能基である。ホスホリルコリン基を有する化合物は、生体内で様々な振る舞いを示すことが知られている。例えば、特許文献1では、長鎖アルキル鎖を有するホスホコリン誘導体であるヘキサデシルホスホリルコリンの製造法と抗腫瘍剤としての使用方法が開示されている。また、特許文献2では、ホスホリルコリン抗原として免疫学的担体蛋白質とホスホリルコリンを結合させたホスホリルコリン−蛋白複合体を用いることにより、ホスホリルコリン特異性を持つモノクローナル抗体およびその組成物が得られることが開示されている。これらホスホリルコリン特異的モノクローナル抗体およびその組成物は、アテローム性動脈硬化症の免疫治療に有用であることが示されている。さらに、特許文献3には、肺炎連鎖球菌などの感染に対するワクチンとしてのホスホリルコリン抗原の利用が開示されている。
ホスホリルコリン誘導体は、ドラッグデリバリーシステムへの応用されている。例えば、特許文献4では、エストラジオールやテストステロンをホスホリルコリン化することによりバイオアベイラビリティー(生物学的利用能)が向上することが開示されている。また、特許文献5では、ホスホリルコリン修飾によりプロドラッグとしての有効性が開示されている。
ホスホリルコリン誘導体は界面活性剤としても有用である。例えば、肺胞が潰れるのを防ぐ役割がある肺サーファクタントは生体界面活性剤であり、その主要構成成分はジパルミトイルホスファチジルコリンである。また、特許文献6では、ステロール化合物のホスホリルコリン誘導体を医薬品の可溶化剤として使用した例が開示されている。
このようにホスホリルコリン基を有する化合物の多くは生化学的活性を有しているため、新規ホスホリルコリン誘導体を製造し、生化学的活性を調べたいというニーズがある。ホスホリルコリン誘導体の製造法は原料入手や製造プロセスの観点から特許文献1、特許文献7記載の方法が一般的である。すなわち、塩化ホスホリル、または2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランを原料とした製造法である。前記ホスホリルコリン誘導体製造法で用いる塩化ホスホリル、2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホランは水と反応して分解するため、非プロトン性有機溶媒中、無水条件で反応を行う必要がある。
一方、糖など極性が高く水やプロトン性溶媒にのみ溶解する化合物のホスホリルコリン誘導体は、特許文献1、7記載の方法で製造することは難しい。その対処法としては、ホスホリルコリン誘導体の原料となる高極性化合物に対し疎水性官能基を導入することで、非プロトン性有機溶媒への溶解性を高めることが有効である。しかし、この方法ではホスホリルコリン化した後、疎水性官能基を除去する反応工程が必要となる。一般に、反応工程が増えると全収率は低下するため、上記対処法は望ましい方法ではない。また、ホスホリルコリン誘導体の生化学的活性の研究に従事している研究者・技術者は一般的に合成化学を得意とはしておらず、反応性の高い塩化ホスホリルや2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホランの取扱いや、無水反応そのものを行うことは難しい。
このように、ホスホリルコリン誘導体には興味深い生化学的活性を有するものが多いが、製造プロセスが煩雑であり手軽にホスホリルコリン誘導体を得る方法は知られていない。特に、水にのみ溶解する化合物のホスホリルコリン誘導体製造は保護・脱保護工程が必要であり極めて煩雑であり、容易にホスホリルコリン誘導体を製造する方法の提供が望まれている。
特開平8−59677号公報 国際公開第2005/100405号 米国特許第5455032号明細書 米国特許第5703063号明細書 国際公開第2000/045822号 国際公開第2000/048572号 欧州特許出願公開第0486100号
本発明の目的は、煩雑なプロセスを経ずに、簡便にホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、カルボキシル化ホスホリルコリン化合物とアミノ基を有する化合物との間でアミド結合を形成させることにより、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は次の〔1〕および〔2〕である。
〔1〕アミノ基を有する化合物(S)と下記の式(1)で表わされる構造を有するカルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)を反応させてアミド化させることを特徴とするホスホリルコリン修飾アミド化合物の製造方法。
Xは、水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表わされる基である。
〔2〕前記の〔1〕に記載の方法により得られるホスホリルコリン修飾アミド化合物。
本発明によれば、ホスホリルコリン修飾アミド化合物を製造する方法、並びにホスホリルコリン基修飾アミド化合物を提供することができる。さらに、本発明によれば、水以外の溶媒に溶解しないアミノ基を有する化合物を、水中で容易にホスホリルコリン化することが可能になる。
本発明のホスホリルコリン修飾アミド化合物の製造方法は、アミノ基を有する化合物(S)と下記の式(1)で表わされる構造を有するカルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)を反応させてアミド化させることを特徴とする。該アミド化反応を行うことにより、本発明のホスホリルコリン修飾アミド化合物が得られる。
(カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P))
本発明に用いるカルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)は、式(1)で表わされる構造を有する。
Xは、水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表わされる基である。
上記の1価のカチオン残基としては、特に限定されないが、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、またはアンモニア、イミダゾール、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等がプロトン化された含窒素有機化合物等が挙げられる。
また、式(1)中の−COOX基は、ベンゼン環上のいずれかの炭素上に結合しているが、ホスホリルコリン基に対して、パラ−位で結合していることが好ましい。
(アミノ基を有する化合物(S))
カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)を反応させ、ホスホリルコリン修飾アミド化合物を得るための基質であるアミノ基を有する化合物(S)としては、分子内にアミノ基を有していればよい。具体的には、例えば、第一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、1−プロピルアミン、1−ブチルアミン)、第二級アミン(N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン)、芳香族アミン(アニリン、トルイジン)、アミノ糖(グルコサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸)、アミノ基含有テルペン(カンフィルアミン)、アミノステロイド(スクワラミン)、アルカロイド(フェネチルアミン、ノルアドレナリン)、ヌクレオシド(グアニン、アデニン)、ヌクレオチド(アデノシン三リン酸、デオキシアデノシン三リン酸)、核酸塩基(アデノシン、シトシン、アデニン)、アミノグリコシド系抗生物質(ゲンタマイシン、カナマイシン)などが例として挙げられる。
特に、好ましいアミノ基を有する化合物(S)は、ベンジルアミン、1−ブチルアミン、ステアリルアミン、1,4−ジアミノブタン、タウリン、4−アミノ酪酸、チアミン塩酸塩、2−アミノエタノールを挙げることができる。
(カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)とアミノ基を有する化合物(S)の反応条件)
カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)とアミノ基を有する化合物(S)を反応させる際には、縮合剤を用いてもよい。
縮合剤として、例えば、塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N'−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−p−トルエンスルホン酸塩、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などが挙げられるが特に限定されない。
カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)とアミノ基を有する化合物(S)を反応させる際に用いる縮合剤の使用量は特に限定されないが、通常カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)に対して0.5〜2.0モル当量とすることができる。
カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)とアミノ基を有する化合物(S)を反応させる際、溶媒を使用することができる。溶媒としては、例えば、水(蒸留水)、メタノール、エタノール、酢酸等プロトン性溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン等の塩素系有機溶媒等が挙げられる。原料の溶解度や反応速度を考慮すると、溶媒は水、メタノール、アセトニトリル、またはN,N−ジメチルホルムアミドであることが好ましい。
カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)とアミノ基を有する化合物(S)を反応させる際の溶媒使用量は、特に限定されないが、反応温度の制御や副反応を防止する観点から、カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)1質量部に対して、溶媒1〜100質量部が好ましい。特に、経済性を考慮すると、溶媒使用量は、式(4)又は(5)で示される化合物1質量部に対して、溶媒1〜25質量部であることがさらに好ましい。カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)とアミノ基を有する化合物(S)を反応させる際の反応温度は、特に限定されないが、通常は0〜100℃とすることができる。
カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)とアミノ基を有する化合物(S)を反応させる際の反応時間は、特に限定されないが、通常1〜120時間とすることができる。カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)とアミノ基を有する化合物(S)を反応させる際のそれぞれの使用量は、特に限定されないが、反応後の精製や経済性を考慮すると、カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)に対してアミノ基を有する化合物(S)が0.3〜3.0モル当量が好ましい。
(本発明のホスホリルコリン修飾アミド化合物)
本発明のホスホリルコリン修飾アミド化合物の製造方法で得られるホスホリルコリン修飾アミド化合物は、以下のカルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)とアミノ基を有する化合物(S)の組合せを例示することができるが、特に限定されない。
下記式(4)とベンジルアミンにより、下記の式(6)のホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることができる。
下記式(4)と1−ブチルアミンにより、下記の式(7)のホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることができる。
下記式(5)とベンジルアミンにより、下記の式(6)のホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることができる。
下記式(5)と1−ブチルアミンにより、下記の式(7)のホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることができる。
下記式(5)とステアリルアミンにより、下記の式(8)のホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることができる。
下記式(5)と1,4−ジアミノブタンにより、下記の式(9)のホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることができる。
下記式(5)とタウリンにより、下記の式(10)のホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることができる。
下記式(5)と4−アミノ酪酸により、下記の式(11)のホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることができる。
下記式(5)とチアミン塩酸塩により、下記の式(12)のホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることができる。
下記式(5)と2−アミノエタノールにより、下記の式(14)のホスホリルコリン修飾アミド化合物を得ることができる。
以上、カルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)を用いる製造方法により、簡単にホスホリルコリン修飾アミド化合物を効率よく製造することが可能となる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。実施例中の各測定は以下の通り行った。
H NMR測定]
日本電子(株)製「JNM−AL400」を用い、溶媒:DO、標準物質:HOD、試料濃度:10mg/g、積算回数:32回の条件で測定を行った。
31P NMR測定]
日本電子(株)製「JNM−AL400」を用い、溶媒:DO、標準物質:HPO、試料濃度:10mg/g、積算回数:32回の条件で測定を行った。
[HPLC測定]
HPLC システムとしてWaters社製、商品名「Alliance 2695」を用い、カラム:Waters社製、商品名「Atlantis T3、3μm、4.6×100mm」、検出器:waters社製、商品名「2998 フォトダイオードアレイ(PDA)検出器」、カラム相温度:40℃、流量:1mL/mim、移動相A:トリフルオロ酢酸を0.1%含んだ水、移動相B:トリフルオロ酢酸を0.1%含んだアセトニトリルとした。移動相Aを100%流した状態で装置を安定化させ、測定試料注入後、12分にかけて移動相Aを100%から85%に、移動相Bを0%から15%にそれぞれ直線的に変化させた。
[質量分析]
質量分析装置としてWaters社製、商品名「Q−micro2695」を用い、試料濃度:100ppm、検出モード:ESI+、キャピラリー電圧:3.54V、コーン電圧:30V、イオン源ヒーター:120℃、脱溶媒ガス:350℃の条件で測定を行った。
[実施例1]
4−ヒドロキシ安息香酸メチル20gに、アセトニトリル160g、トリエチルアミン15gを加えて溶解させ、0℃に冷却した。その後、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン21gを滴下した。滴下終了後、0℃で5時間反応させ、生成したトリエチルアミン塩酸塩をろ過で除いた。得られたろ液に、アセトニトリル200gとトリメチルアミン12gとを加えた後、75℃で15時間反応させた。その後、60℃まで冷却し、窒素を吹き込みながら溶液量が約200mlになるまで濃縮した。濃縮後、溶液を25℃まで冷却し、析出した結晶をろ別し、減圧乾燥することにより白色固体を35.2g得た。
得られた上記の白色固体の生成物についてのH−NMR測定、31P−NMR測定および質量分析の結果は以下の通りであり、式(3)で表わされる化合物と同定した。
H NMR:δ=8.04ppm(d,2H,J=8.8:d),7.30ppm(d,2H,J=8.8:e),4.41ppm(brs,2H:c),3.91ppm(s,3H:f),3.68ppm(m,2H:b),3.18ppm(s,9H:a)
31P NMR:−4.59ppm(t,J=15.9)
MS:[M+H]=317.91,[M+Na]=340.01
[実施例2]
実施例1より得られた式(3)で表わされる化合物5gを蒸留水45gに溶解させ、トリエチルアミンを3.19g加え、還流下4時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、濃塩酸3.4gを加えることにより反応液を中和し、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮した。得られた残留物に、2−プロパノール50gを添加して減圧濃縮する操作を2回行い、さらに、2−プロパノール50gを加え、−10℃で終夜攪拌して結晶を析出させた。溶液を加圧ろ過し、得られた結晶を減圧乾燥することにより、白色固体を4.0g得た。
得られた上記の白色固体の生成物についてのH NMR測定、31P NMR測定および質量分析の結果は以下の通りであり、式(4)で表わされる化合物と同定した。
H NMR測定の結果は以下の通りである。
H NMR:δ=8.06ppm(d,2H,J=8.8:d),7.33ppm(d,2H,J=8.8:e),4.43ppm(brs,2H:b),3.70ppm(m,2H:c),3.19ppm(s,9H:a)
31P NMR:−4.56ppm(t,J=15.9)
MS:[M+H]=304.12
[実施例3]
実施例2より得られた式(4)で表わされる化合物5.0gとN−ヒドロキシスクシンイミド3.0gとを、N,N−ジメチルホルムアミド35gに懸濁させた。この溶液を25℃に保ち、10gのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド6.8gを加え、25℃にて72時間反応させた。反応後、溶液をろ過して固体を回収し、アセトニトリル160gで再結晶することにより白色固体4.5gを得た。
得られた上記の白色固体の生成物についてのH−NMR測定、31P−NMR測定および質量分析の結果は以下の通りであり、式(5)で表わされる化合物と同定した。
H NMR:δ=8.23ppm(d,2H,J=8.8:e),7.42ppm(d,2H,J=8.3:d),4.45ppm(brs,2H:b),3.72ppm(m,2H:c),3.22ppm(s,9H:a),3.04ppm(s,4H:f)
31P NMR:−4.96ppm(t,J=15.9)
MS:[M+H]=400.99、[M+Na]=423.03
[実施例4]
式(4)で表される化合物1.0gに蒸留水を加えて10gにした。この溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を0.63g、ベンジルアミンを0.35g加え、室温下18時間撹拌した。反応前後の溶液についてHPLC分析を行った結果、反応後の溶液では式(4)で表される化合物とベンジルアミンのピークが消失するとともに、反応前には見られなかったピークが確認された。このピークについて質量分析を行った結果、下記の式(6)のプロトン付加体([M+H]=393.48)とナトリウム付加体([M+Na]=415.51)が検出されたことから、下記の式(6)の生成が確認された。
[実施例5]
式(4)で表される化合物1.0gに蒸留水を加えて10gにした。この溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を0.63g、1−ブチルアミンを0.24g加え、室温下18時間撹拌した。反応前後の溶液についてHPLC分析を行った結果、反応後の溶液では式(4)で表される化合物のピークが消失するとともに、反応前には見られなかったピークが確認された。このピークについて質量分析を行った結果、下記の式(7)のプロトン付加体([M+H]=359.43)とナトリウム付加体([M+Na]=381.60)が検出されたことから、下記の式(7)の生成が確認された。
[実施例6]
式(5)で表わされる化合物1.0gとベンジルアミン0.27gとアセトニトリル20gの溶液を50℃に加熱し、1時間攪拌した。反応溶液をHPLC分析した結果、実施例4で生成した式(6)で表される化合物と同一の保持時間に生成物のピークを確認したことから、式(6)で表される化合物の生成が確認された。
[実施例7]
式(5)で表わされる化合物1.0gと1−ブチルアミン0.18gとアセトニトリル20gの溶液を50℃に加熱し、1時間攪拌した。反応溶液をHPLC分析した結果、実施例5で生成した式(7)で表される化合物と同一の保持時間に生成物のピークを確認したことから、式(7)で表される化合物の生成が確認された。
[実施例8]
式(5)で表わされる化合物1.0gとステアリルアミン0.31gとジメチルホルムアミド20gの溶液を100℃に加熱し、41時間攪拌した。反応溶液をHPLC分析した結果、反応後の溶液では式(5)で表される化合物のピークが消失するとともに、反応前には見られなかったピークが確認された。このピークについて質量分析を行った結果、下記の式(8)のプロトン付加体([M+H]=555.53)とナトリウム付加体([M+Na]=577.44)が検出されたことから、下記の式(8)の生成が確認された。
[実施例9]
式(5)で表わされる化合物0.91gと1,4−ジアミノブタン0.1gと蒸留水20gを加えた溶液を25℃で46時間攪拌した。反応溶液をHPLC分析した結果、反応後の溶液では式(5)で表される化合物のピークが消失するとともに、反応前には見られなかったピークが確認された。このピークについて質量分析を行った結果、下記の式(9)のナトリウム付加体([M+Na]=681.35)が検出されたことから、下記の式(9)の生成が確認された。
[実施例10]
式(5)で表わされる化合物0.5gとタウリン0.41gと蒸留水10gの溶液を25℃で24時間攪拌した。反応溶液をHPLC分析した結果、反応後の溶液では式(5)で表される化合物のピークが消失するとともに、反応前には見られなかったピークが確認された。このピークについて質量分析を行った結果、下記の式(10)のプロトン付加体([M+H]=411.37)が検出されたことから、下記の式(10)の生成が確認された。
[実施例11]
式(5)で表わされる化合物0.5gと4−アミノ酪酸0.34gと蒸留水10gの溶液を25℃で24時間攪拌した。反応溶液をHPLC分析した結果、反応後の溶液では式(5)で表される化合物のピークが消失するとともに、反応前には見られなかったピークが確認された。このピークについて質量分析を行った結果、下記の式(11)のプロトン付加体([M+H]=359.43)とナトリウム付加体[M+Na]=381.60)が検出されたことから、下記の式(11)の生成が確認された。
[実施例12]
式(5)で表わされる化合物0.5gとチアミン塩酸塩1.11gと蒸留水10gの溶液を25℃で24時間攪拌した。反応溶液をHPLC分析した結果、反応後の溶液では式(5)で表される化合物のピークが消失するとともに、反応前には見られなかったピークが確認された。このピークについて質量分析を行った結果、下記の式(12)のプロトン付加体([M+H]=551.89)が検出されたことから、下記の式(12)の生成が確認された。
[比較例1]
従来の製造方法である特許文献1、特許文献7記載の方法を基にして、チアミン塩酸塩1.11gとトリエチルアミン0.40gを蒸留水10gに溶かした溶液に室温下、2−クロロ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン0.59gを添加し、室温下24時間攪拌した。その後、28%トリメチルアミン水溶液1.5mlを加え、75℃に加熱して24時間攪拌した。冷却後、この溶液をHPLC分析に供したところ、数多くのピークが検出された。これらのピークについて質量分析を行ったが、下記の式(13)のカチオン(プロトン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)付加体が検出されなかったことから、下記の式(13)は生成しないことが確認された。
チアミン(塩酸塩)は、ビタミンB1とも呼ばれる水溶性ビタミンであり有機溶媒には溶解しないため、水中で反応を行う必要がある。一方、特許文献1、特許文献7記載の塩化ホスホリル、2-クロロ-1,3,2-ジオキサホスホランを用いるホスホリルコリン誘導体製造方法は無水反応で反応を行う必要があり、特許文献1、特許文献7記載の方法ではチアミン(塩酸塩)のホスホリルコリン誘導体を得ることは困難である。
一方、上記実施例12では、チアミン塩酸塩と式(5)で表されるカルボキシル化ホスホリルコリン化合物を、室温で、蒸留水中で撹拌することで、ホスホリルコリン修飾アミド化合物を簡単に製造することができた。
[比較例2]
チアミン塩酸塩1.11gとトリエチルアミン0.40gを蒸留水10gに溶かした溶液に室温下、塩化ホスホリル0.61gを添加し、室温下12時間攪拌した。その後、室温下エチレングリコール0.22gを添加し、12時間攪拌した。その後、28%トリメチルアミン水溶液1.5mlを加え、75℃に加熱して24時間攪拌した。冷却後、この溶液をHPLC分析に供したところ、数多くのピークが検出された。これらのピークについて質量分析を行ったが、式(13)のカチオン付加体(プロトン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)は検出されなかったことから、式(13)は生成しないことが確認された。すなわち、比較例1と同様の結果であった。
[実施例13]
式(5)で表わされる化合物1.0gと2−アミノエタノール0.30gと蒸留水10gの溶液を25℃で24時間攪拌した。反応溶液をHPLC分析した結果、反応後の溶液では式(5)で表される化合物のピークが消失するとともに、反応前には見られなかったピークが確認された。このピークについて質量分析を行った結果、下記の式(14)のプロトン付加体([M+H]=347.33)、およびナトリウム付加体([M+Na])=369.34が検出されたことから、下記の式(14)の生成が確認された。
新規なホスホリルコリン修飾アミド化合物の製造方法を提供する。さらに、該製造方法で得られたホスホリルコリン修飾アミド化合物は、医薬品、界面活性剤などに利用することができる。

Claims (2)

  1. アミノ基を有する化合物(S)と下記の式(1)で表わされる構造を有するカルボキシル化ホスホリルコリン化合物(P)を反応させてアミド化させることを特徴とするホスホリルコリン修飾アミド化合物の製造方法。
    (Xは水素原子または1価のカチオン残基、もしくは下記の式(2)で表わされる基である。)
  2. 前記アミノ基を有する化合物(S)と前記ホスホリルコリン修飾アミド化合物の組合せは、以下のいずれか1である請求項1に記載の方法、
    ベンジルアミンと下記の式(6)のホスホリルコリン修飾アミド化合物、
    1−ブチルアミンと下記の式(7)のホスホリルコリン修飾アミド化合物、
    ベンジルアミンと下記の式(6)のホスホリルコリン修飾アミド化合物、
    1−ブチルアミンと下記の式(7)のホスホリルコリン修飾アミド化合物、
    ステアリルアミンと下記の式(8)のホスホリルコリン修飾アミド化合物、
    1,4−ジアミノブタンと下記の式(9)のホスホリルコリン修飾アミド化合物
    タウリンと下記の式(10)のホスホリルコリン修飾アミド化合物、
    4−アミノ酪酸と下記の式(11)のホスホリルコリン修飾アミド化合物、
    チアミン塩酸塩と下記の式(12)のホスホリルコリン修飾アミド化合物、及び
    2−アミノエタノールと下記の式(14)のホスホリルコリン修飾アミド化合物。
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