JP2015120878A - ポリアミノ酸の製造方法 - Google Patents

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剛 遠藤
山田 修平
Shuhei Yamada
修平 山田
光昭 後藤
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光昭 後藤
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Abstract

【課題】温和な条件下で短時間反応させた場合であっても、ポリアミノ酸を簡便に且つ収率よく得ることができるポリアミノ酸の製造方法を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で表されるカーバメート化合物を重縮合させる工程を含むことを特徴とするポリアミノ酸の製造方法。

〔式(1)中、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を示し、Yは電子吸引性基を示し、mは0〜5の整数を示す。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミノ酸を製造する方法に関する。詳細には、ポリアミノ酸を製造する方法、該製造方法を利用して得られたポリアミノ酸及びポリアミノ酸系共重合体、並びに表面処理剤に関する。
ポリアミノ酸やポリアミノ酸系共重合体は、医薬品、化粧品、これらに含まれる化合物の合成中間体、バインダー等の多くの工業製品に利用されており、特に、ポリメチオニンスルホキシドやポリメチオニンスルホンは、人工皮膚やドラッグデリバリーシステム、医薬品、保湿性化粧品および洗浄用の添加剤等としての活用が期待される極めて有用な化合物である。
上記ポリメチオニンスルホキシドやポリメチオニンスルホンの製造は、一般的に、メチオニンを原料としてポリメチオニンを得、これを酸化することにより行われている。
この製法で利用されるポリメチオニンの合成法として、メチオニンのN−カルボキシ無水物を得てこれを開環重合させる方法や、溶融塩化合物存在下でメチオニンを重縮合させる方法(特許文献1)等が種々提案されているものの、いずれも、反応工程が多い、有毒なホスゲンを必要とする、高温で加熱する必要がありラセミ化を引き起こしやすい、或いは工業的生産には向かない等という問題があった。また、ポリメチオニンの酸化反応は副反応が進行する場合があった。
特開2004−307558号公報 特開2009−74035号公報
一方、芳香環含有アミノ酸や脂肪族アミノ酸のポリアミノ酸の製造方法として、芳香環含有アミノ酸や脂肪族アミノ酸とフェノール誘導体とから合成されるカーバメート化合物を重縮合させる方法が知られているが(特許文献2)、反応時間の点で改善の余地があった。
本発明が解決しようとする課題は、温和な条件下で短時間反応させた場合であっても、ポリアミノ酸を簡便に且つ収率よく得ることができるポリアミノ酸の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、スルフィニル基又はスルホニル基を有する特定のカーバメート化合物を重縮合させることによって、温和な条件下で短時間反応させた場合であっても、ポリアミノ酸を簡便に且つ収率よく得ることができることを見出し、本発明を完成した。
また、本発明者らは、更に鋭意検討した結果、上記製造方法を利用して得られるポリアミノ酸のうち、特定の構造単位を有する重合体が、細胞接着防止効果及び表面親水化効果に優れ、細胞培養基材等に使用される表面処理剤として有用であることを見出し、本発明を完成した。
<1>すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるカーバメート化合物を重縮合させる工程を含むことを特徴とするポリアミノ酸の製造方法を提供するものである。
〔式(1)中、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を示し、Yは電子吸引性基を示し、mは0〜5の整数を示す。〕
<2>また、本発明は、上記式(1)で表されるカーバメート化合物を、塩基性基又は酸性基を含有する高分子化合物の存在下で重縮合させる工程を含むことを特徴とするポリアミノ酸系共重合体の製造方法を提供するものである。
<3>更に、本発明は、下記式(4)で表されるスルフィド基含有カーバメート化合物を酸化する工程を含むことを特徴とする上記式(1)で表されるカーバメート化合物の製造方法を提供するものである。
〔式(4)中、Ra、Y及びmは前記と同義である。〕
<4>更に、本発明は、上記式(1)で表されるカーバメート化合物を提供するものである。
<5>更に、本発明は、上記<1>又は<2>の製造方法で得られた、ポリアミノ酸又はポリアミノ酸系共重合体を提供するものである(以下、当該ポリアミノ酸又はポリアミノ酸系共重合体を総称して、ポリアミノ酸系(共)重合体ともいう)。
<6>更に、本発明は、下記式(5−3)で表される構造単位を有する重合体を含む表面処理剤を提供するものである。
〔式(5−3)中、nは2以上の整数を示し、Raは前記と同義である。〕
本発明の製造方法によれば、温和な条件下で短時間反応させた場合であっても、ポリアミノ酸系(共)重合体を簡便に且つ収率よく得ることができる。
また、本発明の表面処理剤は、細胞接着防止効果及び表面親水化効果に優れる。
試験例1における重合体被覆ウェルに対する細胞の接着挙動を示す図である。 試験例1における重合体未被覆ウェルに対する細胞の接着挙動を示す図である。
<ポリアミノ酸の製造方法>
本発明のポリアミノ酸の製造方法は、下記式(1)で表されるカーバメート化合物を重縮合させる工程を含むことを特徴とするものである。
〔式(1)中、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を示し、Yは電子吸引性基を示し、mは0〜5の整数を示す。〕
ここで、式(1)中、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示す。当該アルキル基の炭素数としては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。また、アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
また、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を示すが、細胞接着防止効果や表面親水化効果に優れる重合体を得る観点からは、スルフィニル基が好ましい。
また、Yは電子吸引性基を示す。具体的には、ニトロ基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子;パーフルオロアルキル基、パークロロアルキル基等のハロアルキル基(ここで、アルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖状、分枝状又は環状の飽和又は不飽和アルキル基等が挙げられる。);アセチル基;シアノ基;ベンゾイル基等が挙げられる。これらの中でも、ニトロ基が好ましい。
また、mは0〜5の整数を示すが、0〜2の整数が好ましく、0がより好ましい。
また、カーバメート化合物(1)は、窒素原子のα位に不斉炭素を有し、D体及びL体から選ばれる異性体が存在する。本発明においては、これらのうちいずれかでもよく、DL体でもよいが、DL体を用いた場合、分子量が制御しやすくなる。
本発明のポリアミノ酸の製造方法の具体例としては、以下の工程3、好ましくは工程2及び3、より好ましくは工程1〜3を含む方法が挙げられる。
〔式中、Z1及びZ2はそれぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原子を示し、nは2以上の整数を示す。Ra、X、Y及びmは前記と同義であり、Raは炭素数1〜3のアルキル基を、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を、Yは電子吸引性基を、mは0〜5の整数を、それぞれ示す。〕
<工程1>
工程1は、化合物(2)とフェノール誘導体(3)を反応させ、スルフィド基含有カーバメート化合物(4)を得る反応である。上記化合物(2)は、塩酸酸性等のハロゲン化水素酸酸性の状態を示している。
また、フェノール誘導体(3)としては、フェノキシカルボニルクロライド、フェノキシカルボニルブロマイド、4−ニトロフェノキシカルボニルクロライド、4−ニトロフェノキシカルボニルブロマイド、2,4−ジニトロフェノキシカルボニルクロライド、2,4−ジニトロフェノキシカルボニルブロマイド、ペンタフルオロフェノキシカルボニルクロライド、ペンタフルオロフェノキシカルボニルブロマイド等が挙げられる。
また、フェノール誘導体(3)の合計使用量としては、精製時にフェノール誘導体(3)を分離しやすくする観点及び収率の観点から、化合物(2)1モルに対し、0.1〜10モルが好ましく、0.5〜1.5モルがより好ましい。
また、工程1は、通常、溶媒の存在下で行われる。斯かる溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、シクロペンタンモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒の合計使用量は、化合物(2)とフェノール誘導体(3)の合計量100質量部に対し、通常50〜1500質量部であり、好ましくは100〜500質量部である。
また、工程1の反応温度は、収率及び反応時間の観点から、好ましくは10〜110℃、より好ましくは20〜70℃、更に好ましくは20〜55℃であり、反応時間は、収率の観点から、好ましくは0.1〜100時間、より好ましくは0.5〜48時間、更に好ましくは0.75〜10時間である。
なお、化合物(2)とフェノール誘導体(3)を反応させた後、塩酸等のpH調整剤を用いるなどしてpHを2〜3に調整するのが好ましい。
<工程2>
工程2は、工程1で得られたスルフィド基含有カーバメート化合物(4)のスルフィド基を酸化し、カーバメート化合物(1)を得る工程である。斯かる酸化は酸化剤を用いて行えばよい。
上記酸化剤は、有機酸化剤と無機酸化剤とに大別され、有機酸化剤としては、例えば、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸等が挙げられる。一方、無機酸化剤としては、例えば、過酸化水素、クロム酸、過マンガン酸塩等が挙げられる。なお、これら酸化剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、スルフィド基をスルフィニル基に変換する場合、酸化剤の合計使用量は、スルフィド基含有カーバメート化合物(4)1モルに対し、通常0.5〜2モル程度であり、好ましくは1〜2モルである。
一方、スルフィド基をスルホニル基に変換する場合、酸化剤の合計使用量は、スルフィド基含有カーバメート化合物(4)1モルに対し、通常3〜5モル程度であり、好ましくは4〜5モルである。
また、工程2は、溶媒存在下で行うのが好ましい。斯かる溶媒としては、水;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸系溶媒等が挙げられ、これら溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、スルフィド基をスルフィニル基に変換する場合は、水、アルコール系溶媒、これらの混液が好ましく、スルフィド基をスルホニル基に変換する場合は、水、カルボン酸系溶媒、これらの混液が好ましい。
上記溶媒の合計使用量は、スルフィド基含有カーバメート化合物(4)100質量部に対し、通常100〜2000質量部程度であるが、好ましくは300〜1500質量部である。
また、工程2の反応時間は特に限定されないが、通常1〜24時間程度であり、反応温度は、溶媒の沸点以下で適宜選択すればよいが、通常20〜70℃程度である。
なお、斯かる工程2で得られるカーバメート化合物(1)は新規化合物である。斯かるカーバメート化合物(1)は、ポリアミノ酸系(共)重合体の合成中間体として有用である。また、上記のような工程2(好ましくは工程1及び2)を含む本発明のカーバメート化合物の製造方法によれば、ポリアミノ酸系(共)重合体の製造に有用な合成中間体を簡便に且つ収率よく得ることができる。
<工程3>
工程3は、工程2で得られたカーバメート化合物(1)を重縮合させ、ポリアミノ酸(5)を得る工程である。
カーバメート化合物(1)を加熱すると、フェノール類(6)と二酸化炭素が脱離して、アミド結合が形成され、ポリアミノ酸(5)が生成する。式(5)中、nは2以上の整数を示すが、重合体は通常、分子量分布を有しているため、ポリアミノ酸(5)はn=2〜500000の整数を有する成分の集合体である。細胞接着防止効果や表面親水化効果の観点からは、nとしては2〜10000の整数が好ましく、2〜1000の整数がより好ましく、2〜100の整数が更に好ましく、2〜50の整数が特に好ましい。
また、工程3は溶媒存在下又は非存在下で行うことができるが、溶媒存在下で行うのが好ましい。斯かる溶媒は、工程1で使用されるものと同様のものを用いればよいが、重縮合を促進し高い収率を得る観点及び十分な分子量を与える観点から、高い誘電率と水素結合をもつ溶媒が好ましい。具体的には、アミド系溶媒、スルホキシド系溶媒が挙げられ、好ましくはアミド系溶媒である。
溶媒の合計使用量は、短時間で収率よくポリアミノ酸(5)を得る観点から、溶媒に対するカーバメート化合物(1)の濃度が、0.01〜10mol/Lとなる量が好ましく、0.1〜5mol/Lとなる量がより好ましく、0.1〜2.5mol/Lとなる量が更に好ましく、0.1〜1.5mol/Lとなる量が更に好ましく、0.1〜1mol/Lとなる量が特に好ましい。
また、工程3は、反応速度を上昇させる観点及び反応温度を抑える観点等から、塩基性化合物存在下で行うのが好ましい。
上記塩基性化合物としては、例えば、モレキュラーシーブ等のゼオライト類;炭酸水素ナトリウム等の塩基性アルカリ金属塩類;トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン化合物;ピリジン等の芳香族アミン化合物;メチルピロリドン、ポリビニルピロリドン等のピロリドン化合物;1級又は2級アミン化合物;塩基性基含有高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、1級又は2級アミン化合物、塩基性基含有高分子化合物が好ましい。
(1級又は2級アミン化合物)
1級又は2級アミン化合物としては、炭素数1〜24の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を有する1級又は2級アミン;環状アミン;アニリン等の芳香族アミン等が挙げられ、炭素数1〜24の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を有する1級又は2級アミンが好ましい。斯かる炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜12であり、より好ましくは1〜6である。炭素数1〜24の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を有する1級又は2級アミンの好適な具体例としては、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
また、上記1級又は2級アミン化合物として、重合性不飽和結合を有する1級又は2級アミン化合物を用いてもよい。重合性不飽和結合としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられるが、好ましくはビニル基、アリル基である。
重合性不飽和結合を有する1級又は2級アミン化合物としては、N−ビニルアニリン、N−アリルアニリン、4−アミノスチレン、4−ビニルベンジルアミン、2−イソプロペニルアニリン等の重合性不飽和結合と芳香環とを有する1級又は2級アミン化合物の他、アリルアミン、アリルシクロペンチルアミン、アリルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
これらの中でも、重合性不飽和結合を有する1級又は2級アミン化合物としては、細胞接着防止効果に優れる重合体を得る観点から、重合性不飽和結合と芳香環とを有する1級又は2級アミン化合物が好ましく、重合性不飽和結合とベンゼン環とを有する1級又は2級アミン化合物がより好ましい。
そして、塩基性化合物として、1級又は2級アミン化合物を用いた場合、下記式に示されるように、1級又は2級アミン化合物に由来する2級又は3級アミノ基を末端に有するポリアミノ酸(5−2)が得られる。斯かるポリアミノ酸(5−2)はC末端にアミド結合を有する。
〔式中、R1は2級又は3級アミノ基を示す(なお、1級又は2級アミン化合物として重合性不飽和結合を有する1級又は2級アミン化合物を用いた場合、R1は、重合性不飽和結合を有する2級又は3級アミノ基である)。その他の各記号は前記と同義であり、Raは炭素数1〜3のアルキル基を、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を、Yは電子吸引性基を、mは0〜5の整数を、nは2以上の整数を、それぞれ示す。〕
特に、上記1級又は2級アミン化合物として重合性不飽和結合を有する1級又は2級アミン化合物を用いた場合に得られるポリアミノ酸(以下、重合性不飽和結合含有ポリアミノ酸ともいう)は、重合性不飽和結合を有するため、マクロモノマーとして用いることもできる。重合性不飽和結合含有ポリアミノ酸の重合は、アゾ系開始剤等の重合開始剤を用いて常法に従い行えばよい。重合性不飽和結合含有ポリアミノ酸の重合反応に使用される溶媒としては、工程1や工程2で使用できるものと同様のものが挙げられ、反応時間は通常1〜96時間程度であり、反応温度は通常20〜100℃程度である。
斯かる重合反応により、ポリアミノ酸系グラフト共重合体が得られる。
(塩基性基含有高分子化合物)
また、上記塩基性基含有高分子化合物としては、塩基性基を末端又は側鎖に有する高分子化合物が好ましい。斯かる塩基性基としては、アミノ基が好ましく、1級又は2級アミノ基がより好ましい。塩基性基含有高分子化合物としては、例えば、下記式(7)で表されるものが挙げられる。
(式中、R2はアミン化合物のアミノ基が結合した骨格部分の有機連鎖セグメントを示し、R3はアミノ基の窒素に結合した水素又は有機基を示し、p−1は有機連鎖セグメントに結合したアミノ基の数を示す。)
上記塩基性基を末端に有する高分子化合物としては、末端アミノ基置換ポリエチレングリコール、末端アミノ基置換ポリプロピレングリコール、末端アミノ基置換液状ゴム類等の片末端又は両末端にアミノ基を有する高分子化合物が好適な具体例として挙げられる。
また、上記塩基性基を側鎖に有する高分子化合物としては、キトサン等のアミノ基を側鎖に有する高分子化合物が好適な具体例として挙げられる。
そして、塩基性化合物として、塩基性基含有高分子化合物を用いた場合、ポリアミノ酸系共重合体が得られる。
特に、塩基性基含有高分子化合物として塩基性基を末端に有する高分子化合物を用いた場合は、有機連鎖セグメントを有する、ポリアミノ酸系ブロック共重合体が得られ、また、塩基性基含有高分子化合物として塩基性基を側鎖に有する高分子化合物を用いた場合は、有機連鎖セグメントを有する、ポリアミノ酸系グラフト共重合体が得られる。
なお、上記1級又は2級アミン化合物や塩基性基含有高分子化合物は開始剤としても作用し、1級又は2級アミン化合物や塩基性基含有高分子化合物を塩基性化合物として用いた場合、温和な条件下短時間で反応を行った場合に更に収率よく目的化合物を得ることができる。
また、工程3は、上記塩基性化合物に換えて有機酸化合物の存在下で行うこともできる。下記式で例示されるように、有機酸化合物(例えばカルボン酸類)はカーバメート化合物(1)と反応し、脱炭酸反応の後、新たなアミド結合とカルボキシル基、更にフェノール類を生成する。ここで新たに生成したカルボキシル基は、他のカーバメート化合物を攻撃し、重合を継続する。新たに生成した重合体中の酸無水物結合は脱炭酸反応によってアミド結合(ペプチド)結合に変換される。
(式中、R4は有機酸化合物のカルボキシル基が結合した骨格部分の有機連鎖セグメントを示し、その他の各記号は前記と同義であり、Raは炭素数1〜3のアルキル基を、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を、Yは電子吸引性基を、mは0〜5の整数を、nは2以上の整数を、それぞれ示す。)
上記有機酸化合物としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基等を分子内に有する有機酸化合物であればよいが、カルボキシル基を少なくとも1つ以上有する脂肪族カルボン酸や芳香族カルボン酸;N−置換アミノ酸類;酸性基含有高分子化合物等が挙げられる。
上記酸性基含有高分子化合物としては、酸性基を末端又は側鎖に有する高分子化合物が好ましい。斯かる酸性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基が好ましい。酸性基含有高分子化合物としては、例えば、下記式(9)で表されるものが挙げられる。
(式中、R5は有機酸化合物のカルボキシル基が結合した骨格部分の有機連鎖セグメントを示し、p−2は有機連鎖セグメントに結合したカルボキシル基の数を示す。)
上記酸性基を末端に有する高分子化合物としては、末端カルボキシル基ポリエチレングリコール、末端カルボキシル基ポリエステル等の片末端又は両末端にカルボキシル基を有するポリカルボン酸が好適な具体例として挙げられる。
また、上記酸性基を側鎖に有する高分子化合物としては、ポリ(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を側鎖に有するポリカルボン酸が好適な具体例として挙げられる。
そして、上記有機酸化合物として、酸性基含有高分子化合物を用いた場合、ポリアミノ酸系共重合体が得られる。
特に、酸性基含有高分子化合物として酸性基を末端に有する高分子化合物を用いた場合は、有機連鎖セグメントを有する、ポリアミノ酸系ブロック共重合体が得られ、酸性基含有高分子化合物として酸性基を側鎖に有する高分子化合物を用いた場合は、有機連鎖セグメントを有する、ポリアミノ酸系グラフト共重合体が得られる。
上記塩基性化合物又は有機酸化合物の合計使用量は、カーバメート化合物(1)1モルに対し、0.01〜1モルが好ましく、0.05〜1モルがより好ましい。
なお、塩基性基含有高分子化合物又は酸性基含有高分子化合物を使用する場合、これらの数平均分子量(Mn)は、好ましくは1000〜10000であり、分子量分布(Mw/Mn)は好ましくは1.0〜2.0である。
また、工程3の反応温度は、通常10〜110℃であり、好ましくは30〜100℃であり、より好ましくは40〜90℃であり、更に好ましくは45〜80℃であり、更に好ましくは50〜70℃であり、特に好ましくは55〜65℃である。本発明の製造方法によれば、斯様な温和な条件下でも、目的とする化合物を収率よく得ることができる。
また、工程3の反応時間は、通常1〜200時間であり、好ましくは3〜120時間であり、より好ましくは5〜96時間であり、更に好ましくは6〜72時間であり、更に好ましくは10〜48時間であり、更に好ましくは12〜36時間であり、更に好ましくは12〜24時間であり、特に好ましくは12〜18時間である。本発明の製造方法によれば、斯様な短時間でも、目的とする化合物を収率よく得ることができる。
なお、前記各工程において、各反応生成物の単離は、必要に応じて、ろ過、洗浄、乾燥、再結晶、再沈殿、透析、遠心分離、各種溶媒による抽出、中和、クロマトグラフィー等の通常の手段を適宜組み合わせて行えばよい。
上記のようにして得られるポリアミノ酸系(共)重合体の数平均分子量(Mn)としては、400〜500000が好ましく、450〜100000がより好ましく、500〜50000が更に好ましく、550〜45000が特に好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn)としては、1.0〜8.0が好ましく、1.05〜3.5がより好ましく、1.05〜1.8が更に好ましい。
そして、ポリアミノ酸系(共)重合体(特に、ポリメチオニンスルホキシド系(共)重合体、ポリメチオニンスルホン系(共)重合体)は、人工皮膚やドラッグデリバリーシステム、医薬品、化粧品、これらに含まれる化合物の合成中間体、バインダー等の多くの工業製品に利用可能である。
また、後記実施例に示すとおり、下記式(5−3)で表される構造単位を有する重合体は、優れた細胞接着防止効果、優れた表面親水化効果及び生体適合性を備えるため、細胞培養基材、マイクロ流路デバイス、心臓ペースメーカー、埋入型バイオチップ、人工血管等に使用される表面処理剤として、幅広く利用することができる。
〔式(5−3)中、Ra及びnは前記と同義であり、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは2以上の整数を示す。〕
上記重合体としては、細胞接着防止効果の観点から、式(5−3)で表される構造単位と芳香環含有構造単位とを有する共重合体が好ましく、式(5−3)で表される構造単位とベンゼン環含有構造単位とを有する共重合体がより好ましい。
また、当該共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれでもよいが、細胞接着防止効果や表面親水化効果の観点から、好ましくはグラフト共重合体である。当該グラフト共重合体は、工程3で得られる重合性不飽和結合含有ポリアミノ酸を重合させる方法等により製造することができる。
上記グラフト共重合体の好適な具体例としては、下記式(5−4)で表される構造を有するグラフト共重合体が挙げられる。
〔式(5−4)中、R6は、水素原子又はメチル基を示し、R7は、単結合、ベンゼン環を含む2価の炭化水素基、又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基を示し、R8は、水素原子、又はベンゼン環を含む1価の炭化水素基を示し、qは2以上の整数を示し、Ra及びnは前記と同義であり、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは2以上の整数を示す。〕
7とR8との組み合わせとしては、(1)R7が、ベンゼン環を含む2価の炭化水素基であり、R8が、水素原子である組み合わせ、又は(2)R7が、単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R8が、ベンゼン環を含む1価の炭化水素基である組み合わせが好ましい。
7で示されるベンゼン環を含む2価の炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜15であり、更に好ましくは6〜10である。また当該2価の炭化水素基に含まれるベンゼン環の個数は1個以上であればよいが、好ましくは1個である。
上記2価の炭化水素基としては、具体的には、フェニレン基、C1-4アルキレン−フェニレン基、フェニレン−C1-4アルキレン基等が挙げられる。C1-4アルキレンとしては、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン等が挙げられる。
7で示される直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜4である。当該アルキレン基の好適な具体例としては上記C1-4アルキレンの例として挙げたものと同様のものが挙げられる。
8で示されるベンゼン環を含む1価の炭化水素基の炭素数は、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜15であり、更に好ましくは6〜10である。また当該1価の炭化水素基に含まれるベンゼン環の個数は1個以上であればよいが、好ましくは1個である。
上記1価の炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
qは2以上の整数を示すが、細胞接着防止効果や表面親水化効果の観点から、2〜10000の整数が好ましく、2〜1000の整数がより好ましく、2〜100の整数が更に好ましい。
また、式(5−4)中のnとqの比率〔n:q〕としては、細胞接着防止効果や表面親水化効果の観点から、0.5:99.5〜75:25が好ましく、1:99〜50:50がより好ましく、2:98〜25:75が更に好ましく、3:97〜10:90が特に好ましい。
また、上記重合体としては、水溶性重合体が好ましい。
また、上記重合体の濃度は、表面処理剤中、通常0.01〜20質量%であり、好ましくは0.05〜10質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
また、本発明の表面処理剤は、上記重合体の他に、水や緩衝液等の溶剤を含んでいてもよい。
なお、本発明の表面処理剤は、有機材料で構成される表面の処理に有用である。有機材料としては、高分子材料が好ましく、スチレン系ポリマー、エポキシ樹脂がより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例における分析条件は以下に示す通りである。
<重量平均分子量・数平均分子量>
実施例3〜5における重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて測定した。
なお、ポリメチオニンスルホキシドについては、TSK−gel G3000SWXLカラムを装着したCTO−20AC(Shimadzu)を用いて30℃で測定した。また、0.01M PBS(−)を溶離液として用い流速1.0mL/minで測定し、ポリエチレングリコールを基準物質として算出した。
また、ポリメチオニンスルホンについては、HLC−8220GPC(東ソー)を用いて40℃で測定した。また、LiBr50mMを含有するN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を溶離液として用い流速0.5mL/minで測定し、ポリスチレンを基準物質として算出した。
1H−NMR及び13C−NMRスペクトル>
1H−NMR及び13C−NMRスペクトルはJEOL ECS−400を用いて測定した。
<IRスペクトル>
IRスペクトルはThermo Scientific Nicolet iS10を用いて600cm-1から4000cm-1の領域で測定した。
実施例1 カーバメート化合物の合成〔N−(フェノキシカルボニル)−L−メチオニンスルホキシドの合成〕
以下の合成経路にしたがって、N−(フェノキシカルボニル)−L−メチオニンスルホキシドを合成した。
(1)50mLのナスフラスコに、L−メチオニン1.86g(12.5mmol)とメタノール10mLを加え、さらに、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(37%メタノール溶液)8.76g(12.5mmol)を少しずつ加えた。これを室温で30分間攪拌したのち、エバポレーターを用いて濃縮した。次いで、得られた粘性の液体を15mLのアセトニトリルに溶解させ、炭酸ジフェニル(2.68g,12.5mmol)を加え、室温で1時間攪拌した後、反応溶液に100mLの蒸留水を加え、1M HCl水溶液を用いてpHを3付近まで調整した。
その後、目的の化合物を酢酸エチル50mLで3回抽出し、無水硫酸ナトリウムを用いて有機層を脱水した後、エバポレーターを用いて濃縮した。得られた残渣をジクロロメタンに溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=1:1)により精製した(収率75%、融点69.5−70.3℃)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, δ, ppm): 2.02-2.18 (m, 4H), 2.19-2.31 (m, 1H), 2.55-2.69 (m, 2H), 4.58 (m, 1H), 5.85 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.08-7.15 (m, 2H), 7.17-7.23 (m, 1H), 7.31-7.40 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, δ, ppm): 15.52, 30.04, 31.47, 53.29, 121.62, 125.75, 129.46, 150.75, 154.62, 176.57.
IR (cm-1): 3330, 2911, 1701, 1520, 1490, 1421, 1286, 1239, 1210, 1186, 1025, 777, 685.
(2)上記(1)で合成したN−(フェノキシカルボニル)−L−メチオニン(2.69g,10mmol)を25mLのメタノールに溶解させ、このメタノール溶液を0℃まで冷却し、過酸化水素(35%水溶液)1.07g(11mmol)を加え、30分後室温まで戻し、さらに12時間攪拌した。
反応終了後、溶媒をエバポレーターで留去し、蒸留水50mLに溶解させ、ろ過により少量の不溶部を取り除き、凍結乾燥により目的の化合物を得た(収率97%、白色固体として回収)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, mixture of diastereomers, δ, ppm): 2.23-2.54 (m, 2H), 2.67/2.69 (total 3H, ratio 48: 52, s), 2.84-3.15 (m, 2H), 4.42-4.65 (m, 1H), 6. 34/6.44 (total 1H, ratio 48: 52, d, J = 7.4/7.4 Hz), 7.04-7.14 (m, 2H), 7.15-7.24 (m, 1H), 7.28-7.39 (m, 2H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3, mixture of diastereomers, δ, ppm): 25.86, 26.10, 37.36, 37.59, 49.21, 49.29, 52.94, 53.17, 121.68, 121.71, 125.71, 129.47, 150.83, 154.66, 154.73, 172.79, 172.86.
IR (cm-1): 2919, 1713, 1529, 1485, 1200, 984, 754, 687.
実施例2 カーバメート化合物の合成〔N−(フェノキシカルボニル)−L−メチオニンスルホンの合成〕
以下の合成経路にしたがって、N−(フェノキシカルボニル)−L−メチオニンスルホンを合成した。
上記実施例1の(1)で合成したN−(フェノキシカルボニル)−L−メチオニン(2.69g,10mmol)を25mLの酢酸に溶解させ、これに過酸化水素(35%水溶液)4.85g(50mmol)を室温で加えた後、この反応溶液を50℃で3時間攪拌した。
次いで、上記反応溶液に1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)を加え、室温で30分間攪拌することにより過剰の過酸化水素をクエンチした後、酢酸エチルで目的の化合物を抽出した。その後、溶媒をエバポレーターで留去し、得られた白色粉末を少量熱水から再結晶することにより精製した(収率91%、融点91.0−93.8℃)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ, ppm): 1.99-2.13 (m, 1H), 2.15-2.30 (m, 1H), 3.01 (s, 3H), 3.12-3.34 (m, 2H), 4.10-4.25 (m, 1H), 7.11 (d, 2H, J = 7.6 Hz), 7.21 (t, 1H, J = 7.3 Hz), 7.38 (t, 2H, J = 7.8 Hz), 8.20 (d, 1H, J =8.2 Hz).
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6, δ, ppm): 23.83, 40.28, 50.62, 52.60, 121.65, 125.14, 129.34, 150.88, 154.40, 172.50.
IR (cm-1): 3334, 1740, 1695, 1518, 1485, 1307, 1255, 1210, 1164, 1120, 1022, 980, 941, 788, 767, 688.
実施例3 ポリメチオニンスルホキシドの合成〔ポリ(DL−メチオニンスルホキシド)の合成〕
以下の合成経路にしたがって、ポリ(DL−メチオニンスルホキシド)を合成した。
N−(フェノキシカルボニル)−DL−メチオニンスルホキシド(285mg,1mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)2mLに溶解させ、これにブチルアミン/DMAc(2.0×10-3mmol/μL)混合液25μLを加えて、窒素雰囲気下60℃で12時間攪拌した。
反応終了後、反応溶液をジエチルエーテルに滴下し、再沈殿にて精製をした。さらに、沈殿物をメンブレンフィルターでろ過することにより、目的物を収率92%(147mg)で得た。
サイズ排除クロマトグラフィーで測定した結果、数平均分子量(Mn)は3500、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。
1H NMR (400 MHz, D2O, δ, ppm): 1.88-2.31 (m, 2H), 2.61 (s, 3H), 2.68-2.99 (m, 2H),4.39 (s, 1H).
IR (cm-1): 3224, 2916, 1648, 1518, 1006.
実施例4 ポリメチオニンスルホキシドの合成〔ポリ(DL−メチオニンスルホキシド)−b−ポリエチレングリコールの合成〕
以下の合成経路にしたがって、ポリ(DL−メチオニンスルホキシド)−b−ポリエチレングリコールを合成した。
N−(フェノキシカルボニル)−DL−メチオニンスルホキシド(285mg,1mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)2mLに溶解させ、これに、末端にアミノ基を有するポリエチレングリコール(Mn=5000,Mw/Mn=1.05)100mgを加えて、窒素雰囲気下60℃で24時間攪拌した。
反応終了後、反応溶液をジエチルエーテルに滴下し、再沈殿にて精製をした。さらに、沈殿物をメンブレンフィルターでろ過することにより、目的物を収率87%(227mg)で得た。
サイズ排除クロマトグラフィーで測定した結果、数平均分子量(Mn)は10500、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であった。
1H NMR (400 MHz, D2O, δ, ppm):2.08-2.46 (br, 2H), 2.71(s, 3H), 2.86-3.11 (br, 2H), 3.67(s, 10H), 4.50 (s,1H).
実施例5 ポリメチオニンスルホンの合成〔ポリ(DL−メチオニンスルホン)の合成〕
以下の合成経路にしたがって、ポリ(DL−メチオニンスルホン)を合成した。
N−(フェノキシカルボニル)−DL−メチオニンスルホン(301mg,1mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)2mLに溶解させ、これにブチルアミン/DMAc(2.0×10-3mmol/μL)混合液25μLを加えて、窒素雰囲気下60℃で12時間攪拌した。
反応終了後、反応溶液をジエチルエーテルに滴下し、再沈殿にて精製をした。さらに、沈殿物をメンブレンフィルターでろ過することにより、目的物を収率98%(159mg)で得た。
サイズ排除クロマトグラフィーで測定した結果、数平均分子量(Mn)は7300、分子量分布(Mw/Mn)は1.19であった。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ, ppm): 1.92-2.21 (br, 2H), 2.98 (s, 3H), 3.01-3.18 (br, 2H), 4.29-4.52 (br, 1H).
実施例6 ポリメチオニンスルホキシドマクロモノマーの合成〔ポリ(DL−メチオニンスルホキシド)マクロモノマーの合成〕
以下の合成経路にしたがって、ポリ(DL−メチオニンスルホキシド)マクロモノマーを合成した。
N−(フェノキシカルボニル)−DL−メチオニンスルホキシド(570mg,2mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)4mLに溶解させ、これに4−ビニルベンジルアミン(88mg,0.67mmol)を加えて、窒素雰囲気下60℃で3時間攪拌した。
反応終了後、反応溶液をジエチルエーテルに滴下し、再沈殿にて精製をした。さらに、沈殿物をメンブレンフィルターでろ過することにより、目的物を収率87%(330mg)で得た。1H−NMRから末端基定量法で分子量を算出したところ、分子量は580(式(5)中のnが3)であった。
1H NMR (400 MHz, D2O, ppm):1.86-3.17 (br,21H), 3.57(s,1H), 4.25-4.4.60 (br, 5H), 5.28(d, 1H, J=10.9Hz), 5.81(d, 1H, J=17.7Hz), 6.74(dd, 1H, J=17.6, J=11.0),7.20-7.51(4H, aromatic ring)
実施例7 ポリメチオニンスルホキシドがグラフト化されたポリスチレンの合成
以下の合成経路にしたがって、ポリメチオニンスルホキシドがグラフト化されたポリスチレンを合成した。
ポリメチオニンスルホキシドマクロモノマー(114mg,0.2mmmol)と、重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(V−501(和光純薬工業(株)製),2.8mg,0.01mmol)を水1mLに溶解させ、この溶液を窒素雰囲気下70℃で15時間攪拌した。
重合反応終了後、反応溶液を、透析膜(cut off分子量3500)を用いて精製した。次いで、凍結乾燥することにより、目的物の白色粉体を収率90%で得た。
サイズ排除クロマトグラフィーで測定した結果、数平均分子量(Mn)は45000、分子量分布(Mw/Mn)は1.78であった。
試験例1 細胞接着防止効果
(1)重合体の被覆
以下の手順(いずれも無菌操作)にて、実施例7で得た重合体でプレートのウェルを被覆した。
まず、遠沈管中で、濃度が100μg/mLとなるように実施例7で得た重合体を超純水に溶解させた。この溶液を、16mmφ細胞培養用滅菌済み24ウェルプレート(IWAKI製1820−024)のウェルに0.5mL分注し、24時間静置した。その後、純水0.5mLでウェル内を2回洗浄し、室温で乾燥させ、重合体被覆ウェルとした。
(2)ES細胞モデル細胞の培養
ES細胞モデル細胞としてF9細胞(マウス卵巣腫)を、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)で25×104細胞/mLに希釈した。この希釈液を、細胞が1ウェル当たり10×104個となるように、上記重合体被覆ウェルに播種し、37℃で4時間培養した。
また、比較のため、重合体未被覆のポリスチレンウェル(重合体未被覆ウェル)上でも同様の培養を行った。
(3)細胞の接着挙動の観察
重合体被覆ウェル及び重合体未被覆ウェルの各ウェル上の培地と未認識細胞を、アスピレーターを用いて除去した。
次いで、上記各ウェルに、ウシ胎児血清(FBS)を10%含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を0.5mLずつ添加し、37℃で24時間培養した。
その後、アスピレーターで培地を除去し、細胞の接着挙動を顕微鏡にて観察した。
重合体被覆ウェルを用いた場合の細胞の接着挙動を図1に、重合体未被覆ウェルを用いた場合の細胞の接着挙動を図2に、それぞれ示す。
図1及び2に示す試験結果から、実施例7で得た重合体でポリスチレン基板の表面を被覆することによって、細胞が接着しにくくなることがわかった。
試験例2 接触角測定
実施例7で得た重合体を、ポリスチレン基板(IWAKIガラス製)上にキャストし、乾燥させた。この重合体で被覆された基板について水の接触角を測定した。接触角は、協和界面科学株式会社製接触角計 DROP MASTER 500を用いて水滴下10秒後の水の接触角をθ/2法により測定した。
また、コントロールとして、重合体をキャストせずに、ポリスチレン基板(IWAKIガラス製)について上記と同様にして水の接触角を測定した。
試験結果を表1に示す。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表されるカーバメート化合物を重縮合させる工程を含むことを特徴とするポリアミノ酸の製造方法。
    〔式(1)中、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を示し、Yは電子吸引性基を示し、mは0〜5の整数を示す。〕
  2. 前記カーバメート化合物の重縮合を塩基性化合物の存在下で行う請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記塩基性化合物が1級又は2級アミン化合物であり、前記ポリアミノ酸が下記式(5−2)で表されるものである請求項2に記載の製造方法。
    〔式(5−2)中、R1は2級又は3級アミノ基を示し、nは2以上の整数を示し、Ra及びXは前記と同義である。〕
  4. 下記式(1)で表されるカーバメート化合物を、塩基性基又は酸性基を含有する高分子化合物の存在下で重縮合させる工程を含むことを特徴とするポリアミノ酸系共重合体の製造方法。
    〔式(1)中、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を示し、Yは電子吸引性基を示し、mは0〜5の整数を示す。〕
  5. 下記式(4)で表されるスルフィド基含有カーバメート化合物を酸化する工程を含むことを特徴とする下記式(1)で表されるカーバメート化合物の製造方法。
    〔式(4)中、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Yは電子吸引性基を示し、mは0〜5の整数を示す。〕
    〔式(1)中、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を示し、Ra、Y及びmは前記と同義である。〕
  6. 下記式(1)で表されるカーバメート化合物。
    〔式(1)中、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示し、Xはスルフィニル基又はスルホニル基を示し、Yは電子吸引性基を示し、mは0〜5の整数を示す。〕
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法で得られた、ポリアミノ酸又はポリアミノ酸系共重合体。
  8. 下記式(5−3)で表される構造単位を有する重合体を含む表面処理剤。
    〔式(5−3)中、Raは炭素数1〜3のアルキル基を示し、nは2以上の整数を示す。〕
  9. 前記重合体が、芳香環含有構造単位を更に有する共重合体である請求項8に記載の表面処理剤。
  10. 前記重合体が水溶性重合体である請求項8又は9に記載の表面処理剤。
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