JP2004331637A - 二官能性架橋剤モノマーとその製造法及びポリマー架橋体 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた生体適合性と力学的特性を併せ持つポリマー架橋体を容易に製造する上で重要なホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する架橋剤モノマーを提供する。
【解決手段】下記式[1]
【化1】
(式中A、Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1、R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R2、R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R3は直鎖の炭素数1から4のアルキル鎖である。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示す。)で表わされる二官能性の架橋剤モノマー。
【選択図】 なし
【解決手段】下記式[1]
【化1】
(式中A、Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1、R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R2、R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R3は直鎖の炭素数1から4のアルキル鎖である。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示す。)で表わされる二官能性の架橋剤モノマー。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた生体適合性と力学的特性を併せ持つポリマー架橋体を容易に製造する上で重要なホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する架橋剤モノマー及びそれを用いたポリマー架橋体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、親水性のポリマー架橋体はコンタクトレンズなどの医療用具や生理活性分子の分離分析をする分子ふるい媒体としてバイオ工学用器具の材料として用いられている。しかし、ポリマー架橋体は水により膨潤し、その機械的強度は膨潤度に対して急激に低下する。そこで水に対する膨潤性に優れ、しかも高い機械的強度を併せ持つとともに、タンパク質吸着汚れや細胞成分の粘着が起こりにくいなど生体適合性を有する新しいポリマー架橋体が望まれている。
【0003】
この様な背景の中から、親水性モノマーを一般の二官能性モノマーで高密度に架橋すると、機械的強度は高くなるものの、水に対する膨潤性が著しく低下し、コンタクトレンズの酸素透過性の低下や眼球組織に対する適合性の低下,あるいは薬物やタンパク質を精製しようとしたときにこれらのポリマー架橋体の物質透過性は乏しく、タンパク質が分離できないばかりか変性、失活してしまうという問題があった。
【0004】
また、水溶性かつ生体適合性が優れていると言われている高分子であるポリエチレングリコールの両末端に重合性の官能基を導入したマクロ架橋剤が用いられ、そのポリマー架橋体が報告されている。しかしながら、末端に導入した重合性官能基が確実に重合反応に関与しないために、確実にポリマー架橋体を形成できず、ポリマー架橋体の機械的強度の低下を招いた。
【0005】
【発明者が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、生体適合性に優れたポリマー架橋体を製造する上で重要な材料となる、ホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する二官能性の重合性架橋剤モノマーを提供することにある。
本発明の第2の目的は、ホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する二官能性の重合性架橋剤モノマーを環状リン酸エステル基を有する化合物と三級アミノ化合物との反応により製造する方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、ホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する二官能性の重合性架橋剤モノマーを用いて、生体適合性と機械的強度に優れた親水性ポリマー架橋体を提供することにある。
【0006】
【課題を決定するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、親水性かつ生体適合性を発現するホスホリルコリン基を分子内に担持させる重合性架橋剤を着想した。そこで種々のアルキル鎖を有する環状リン酸エステル重合性化合物と三級アミノ基を有する重合性基化合物の反応を試み、反応条件と反応系を詳細に検討し、その結果、反応系内にわずかに存在する酸素及び水を完全に除去した環境下において反応させることが必須であるとの結論から、ホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する二官能性の重合性架橋剤モノマーが生成し結晶体で得られるとの独自の知見を得て、またさらに、得られる架橋剤モノマーが容易に単独重合、架橋反応、あるいは他のビニル化合物と共重合、架橋反応し、結果としてポリマー架橋体が得られるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)である。
【0007】
(1)下記式[1]
【0008】
【化8】
【0009】
(式中A、Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1、R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R2、R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R3は直鎖の炭素数1から4のアルキル鎖である。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示す。)で表わされる二官能性の架橋剤モノマー。
【0010】
(2)下記式[2]
【0011】
【化9】
【0012】
(式中Aは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R2は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。nは1から3の整数。)で表わされる環状リン酸エステル化合物と、
【0013】
下記式[3]
【0014】
【化10】
(式中Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示す。)で表される三級アミノ化合物のカップリング反応により生成する一般式[1]で示される二官能性架橋剤モノマー。
【0015】
(3)前記式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーを用いて架橋して得られるポリマー架橋体。
【0016】
【発明実施の形態】
第一の発明の二官能性架橋剤モノマーは下記式[1]
【0017】
【化14】
【0018】
で表される基を有するモノマーである。
ここで式中A、Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1、R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R2、R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R3は直鎖の炭素数1から4のアルキル鎖である。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示される。
【0019】
第2の発明の二官能性架橋剤モノマーの製造方法については、
下記式[2]
【0020】
【化15】
【0021】
(式中Aは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1は水素または炭素数1,2のアルキル基を示す。R2は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。nは1から3の整数。)で表わされる環状リン酸エステル化合物と、
【0022】
下記一般式[3]
【0023】
【化16】
【0024】
(式中Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示す。)で表される三級アミノ化合物のカップリング反応により生成する。
【0025】
第3の発明の二官能性架橋剤からなるポリマー架橋体の製造方法については、前記式[1]で表される本発明の二官能性架橋剤モノマーを単体もしくは他の重合性化合物とラジカル重合することにより製造することができる。
【0025】
さらに、本発明を詳細に説明する。式[1]において式中A、Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1、R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示すが,好ましくは水素及びメチル基である。R2、R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R3は直鎖の炭素数1から4のアルキル鎖であるが、好ましくはエチレン基,プロピレン基である。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示すが、好ましくはメチル基あるいはエチル基である。
【0026】
式[2]で表される環状リン酸エステル化合物は、水酸基を有する重合性化合物に、
【0027】
下記式[4]
【化17】
【0028】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、nは1から3の整数。)
で示される環状リン酸エステル化合物を公知の方法などにより反応させて製造する(K.Ishihara,et al.,Polym.J,,22,355(1990),K.Ishihara,et al.,J.Biomater.Sci.Polym.Edn,6,455(1994),K.Ishihara,J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,34,199(1996)(非特許文献))。
【0029】
ここで水酸基を有する重合性化合物としてはヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシメチルエタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルエタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルエタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルエタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンメタクリレート、5−ヒドロキシペンエタクリレート、6−ヒドロキヘキシルアクリレート、6−ヒドロキヘキシルメタクリレート、6−ヒドロキヘキシルエタクリレート、7−ヒドロキシヘプチルアクリレート、7−ヒドロキシヘプチルメタクリレート、7−ヒドロキシヘプチルエタクリレート、8−ヒドロキシオクチルアクリレート、8−ヒドロキシオクチルメタクリレート、8−ヒドロキシオクチルエタクリレート、9−ヒドロキシノニルアクリレート、9−ヒドロキシノニルメタクリレート、9−ヒドロキシノニルエタクリレート、10−ヒドロキデシルアクリレート、10−ヒドロキデシルメタクリレート、10−ヒドロキデシルエチルエタクリレート、2−ヒドロキシエトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエトキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエトキシエチルエタクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート(n=3〜10)、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート(n=3〜10)、ポリ(エチレングリコール)エタクリレート(n=3〜10)、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリルアミド、6−ヒドロキシヘキシルアクリルアミド、6−ヒドロキシヘキシルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルウレタン、2−ヒドロキシエチルメタクリルウレタン、4−ヒドロキシブチルアクリルウレタン、4−ヒドロキシブチルメタクリルウレタン、6−ヒドロキシヘキシルアクリルウレタン、6−ヒドロキシヘキシルメタクリルウレタンが挙げられる。
【0030】
これらの1個の水酸基を有する重合性化合物と反応させる式[4]の化合物のXは、Br、Cl、I等のハロゲン原子である。nは1から3の整数であり、好ましくは1である。
【0031】
XがClでnが1の場合、式[4]の化合物は2−クロロ−2−オキソ−1、3、2−ジオキサホスホランであり、公知の方法(R.S.Edmundson,Chem.Ind.(London),1962,1828(1962)(非特許文献))により製造することができる。
【0032】
水酸基を有する重合性化合物と式[4]の化合物との反応の際には、有機塩基を脱ハロゲン化水素剤として用いる。
ここで使用される有機塩基は、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。より好ましくは、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンである。
【0033】
脱ハロゲン化水素剤として用いる有機塩基の仕込み割合は、式[4]の化合物の1モルに対して1から10モル、好ましくは1〜2モルである。また、この有機塩基を反応溶媒として用いても良い。
この反応の際に用いられる溶媒は、非プロトン性の溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロルム、塩化メチレン、アセトニトリル等が使用できる。
その使用量に特に限定はないが、水酸基を有する重合性化合物の濃度が0.002〜3g/mlとなるように添加する。
【0034】
反応に際しては、式[4]の化合物と溶媒を冷却しながらかき混ぜ、その中に水酸基を有する重合性化合物、有機塩基および溶媒を混合した溶液を滴下して反応させる方法も良いし、あるいは水酸基を有する重合性化合物と有機塩基と溶媒を冷却しながらかき混ぜ、その中に式[4]の化合物を添加しても良い。
反応温度は−50℃から100℃、好ましくは−20℃から30℃である。
滴下が進むにつれて、副生成物である有機塩基のハロゲン化水素塩が沈澱してくる場合もあるが、これは濾過や抽出操作により容易に除去することができる。
【0035】
このようにして得られた式[2]を含む反応溶液は、そのまま次の反応に用いることができるが、式[2]の化合物を含む反応溶液中に、式[2]の化合物が沈澱している場合は、濾別、精製した後、次の反応に用いても良い。また、式[2]の化合物が沈澱しない場合は溶媒の留去や抽出精製した後、次の反応に用いても良い。
【0036】
式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーは、式[2]で表される重合性基を有する環状リン化合物と、式[3]で表される三級アミノ基を有する重合性化合物を反応させて製造できる。
【0037】
式[3]の三級アミノ基を有する重合性化合物としては、N、N−ジメチルアミノメチルアクリレート、N、N−ジメチルアミノメチルメタクリレート、N−メチル−N−エチルアミノメチルメタクリレート、N、N−ジメチルアミノメチルエタクリレート、2−N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−N、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−N、N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−N−メチル−N−エチルアミノプロピルアクリレート、3−N、N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−N、N−ジエチルアミノプロピルメタクリレート、4−N、N−ジメチルアミノブチルアクリレート、4−N、N−ジメチルアミノブチルメタクリレート、4−N、N−ジメチルアミノブチルメタクリレート、5−N−メチル−N−エチルアミノペンチルアクリレート、5−N、N−ジメチルアミノペンメタクリレート、5−ヒドロキシペンエタクリレート、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルアクリレート、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルメタクリレート、6−ヒドロキヘキシルエタクリレート、7−N、N−ジメチルアミノヘプチルアクリレート、7−N、N−ジメチルアミノプチルメタクリレート、7−N、N−ジメチルアミノヘプチルエタクリレート、8−N、N−ジメチルアミノオクチルアクリレート、8−N、N−ジメチルアミノオクチルメタクリレート、8−N、N−ジメチルアミノオクチルエタクリレート、9−N、N−ジメチルアミノノニルアクリレート、9−N、N−ジメチルアミノノニルメタクリレート、9−N、N−ジメチルアミノノニルエタクリレート、10−N、N−ジメチルアミノデシルアクリレート、10−N、N−ジメチルアミノデシルメタクリレート、10−N、N−ジメチルアミノデシルエチルエタクリレート、2−N、N−ジメチルアミノエトキシエチルアクリレート、2−N、N−ジメチルアミノエトキシエチルメタクリレート、2−N、N−ジメチルアミノエトキシエチルエタクリレート、N、N−ジメチルアミノポリ(エチレングリコール)アクリレート(n=3〜10)、N、N−ジメチルアミノポリ(エチレングリコール)メタクリレート(n=3〜10)、N、N−ジメチルアミノポリ(エチレングリコール)エタクリレート(n=3〜10)、2−N、N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、2−N、N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、4−N、N−ジメチルアミノブチルアクリルアミド、4−N、N−ジメチルアミノブチルメタクリルアミド、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルアクリルアミド、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルメタクリルアミド、2−N、N−ジメチルアミノエチルアクリルウレタン、2−N、N−ジメチルアミノエチルメタクリルウレタン、2−N−メチル−N−エチルアミノエチルメタクリルウレタン、4−N、N−ジメチルアミノブチルアクリルウレタン、4−N、N−ジメチルアミノブチルメタクリルウレタン、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルアクリルウレタン、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルメタクリルウレタン、N、N−ジメチルアミノエチルメタクリルエーテル等が挙げられる。
【0038】
式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーを製造する際には、式[2]で示される化合物の水分による自己開環反応と、式[3]の三級アミノ基を有する重合性化合物の酸素による酸化反応を防ぐことが重要で、本発明においては十分に脱水、脱気し、反応させることにより初めて式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーを製造に成功した。
【0039】
式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーを一成分とするポリマー架橋体は、式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーにラジカル発生剤と他のビニル化合物を添加し、加熱、光照射することにより製造することができる。
【0040】
重合反応に用いるラジカル発生剤であれば特に限定されず、熱重合開始剤、光重合開始剤、レドックス開始剤が使用でき、望ましくは、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、ベンゾフェノンなどが挙げられる。アミノ化合物と過酸化物の混合物を利用して、ラジカルを発生させて重合反応を行い、ポリマー架橋体を製造することもできる。
【0041】
ラジカル発生剤の添加濃度は0.001〜1.0g/mlが好ましい。重合の際に使用される溶媒は、モノマーが溶解し、重合を阻害しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、水、アルコール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、アセトニトリル等が使用できる。これらの溶媒は、単独あるいは二〜数種類を混合して使用することも可能である。
また、溶媒を使用せず、式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーと他のビニル化合物の混合体にラジカル発生剤を添加しても良い。
【0042】
ポリマー架橋体を製造する式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーに添加する他のモノマーとしては、重合性基を持つ化合物であれば特に限定されないが、望ましくは、親水的の観点から2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられる。さらに、生体適合性を考慮した場合、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが望ましい。
【0043】
共重合する際の本発明の式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーの割合は、製造されたポリマー架橋体の特性から、100〜0.0001%の範囲である。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、式[1]で表されるホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する架橋剤モノマーが得られる。この架橋剤モノマーは、それ生体適合性に優れ、また、架橋剤としても有用である。
本発明によれば、式[1]で表されるホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する架橋剤モノマーを高効率、高純度で製造する方法が得られる。
本発明の式[1]で表されるホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する架橋剤モノマーを利用すれば、含水性、生体適合性に優れ、さらに機械的強度にも優れたポリマー架橋体を、容易効率よく、しかも選択的に製造できる。
【0045】
【実施例】
以下の実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。化合物の分析、同定には、1H−NMR,赤外分光スペクトル(FT−IR)を用いた。
実施例1−1
温度計、滴下漏斗、撹拌機を付した200ml三口フラスコを加熱・減圧乾燥した後、系内をアルゴン雰囲気下においた。テトラヒドロフラン(THF)100mlを溶媒として加え、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)6.7g、トリエチルアミン(TEA)5.5gを加えて、−20℃以下に保持しながら攪拌した。2−クロロ−2−オキソ−ジオキサホスホラン(COP)7.6gを滴下漏斗に計り取り、数秒に一滴の割合で滴下した。滴下終了後、2時間以上反応させ、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾別した。さらにジエチルエーテル100mlを加えて冷却し、溶液内の溶存アミン塩酸塩を析出させた。この後、減圧濾過、エバポレートを繰り返して2−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホロイルオキシ)エチルメタクリレート(OPEMA)11.5gを得た(収率94.2%)。
【0046】
分析結果は以下のとおりである。
(1)1H−NMR(300MHz in CDCl3):δ(ppm)=2.00(−CH33H),4.00−4.68(−CH2−8H),5.60(−CH=1H),6.20(−CH=1H)
(2)FT−IR(cm−1):1720(C=O),1640(C=C),1300,1240 1160,and 1080((PO−CH2−)
【0047】
以上の結果から下記一般式[2]に相当する中間体を確認した。ここで,OPEMAは、R1はメチル基、R2はエチレン基、Aは−(C=O)−O−、nは1である。
【0048】
【化18】
【0049】
実施例1−2
滴下漏斗、撹拌機を付した100ml三口フラスコを加熱・減圧乾燥した後、系を密栓してアルゴン雰囲気下においた。溶媒としてアセトニトリル100mlをシュレンク管に取り、液体窒素によって凍結した後、減圧脱気、加熱融解を数回繰り返し、溶存酸素を除去したものを三口フラスコに加えた。ここに実施例1−1で得られたOPEMA(19.0g)を加え、さらに完全に脱気,脱水したN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)12.6gを加えて撹拌し、オイルバス上で系を60℃まで加熱・昇温して反応させた。この際、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて反応を追跡した。TLC展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン(2/1 v/v)を用い、Rf値=0.4に見られるOPEMAのスポットの消失をもって反応終了とした。反応終了後、溶液を減圧濾過した後、エバポレータで濃縮し、脱水アセトン100mlを加えて−30℃で一晩冷却したところ褐色物が析出した。この析出物を、脱水アセトン(80ml)で洗浄、冷却、デカンテーションを3回繰り返し、遠心分離、デカンテーションの後、減圧乾燥して白色結晶物4.3gを得た(収率14%)
【0050】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(300MHz in D2O):δ(ppm)=1.89(s;−CH36H),3.25(s;−N+(CH3)2−6H),3.74(m;−CH2−2H),3.86(m;−CH2−2H),4.15(m;−CH2−2H),4.32(m;−CH2−2H),4.38(m;−CH2−2H),4.65(m;−CH2−2H),5.74(m;−CH=1H),5.77(m;−CH=1H),6.15(m;−CH=1H),6.16(m;−CH=1H)
内部基準物質として3−(トリメチルシリル)−1−プロパンスルホン酸ナトリウムを用いた。
(2)FT−IR(cm−1):1718(C=O),1637(C=C),1321(C=C),1298(C=C),1242(O=P−O−),1078(P−O−C),966(−N+(CH3)2−)
測定にはKBr錠剤法を用いた。
【0051】
以上の結果から、得られた化合物は一般式[1]に対応する架橋剤であることを確認した。
【化19】
ここで、R1、R4、R5,R7はメチル基、R2、R3、R6はエチレン基、A、Bは−(C=O)−O−である。
【0052】
実施例2−1
実施例1−1の2−ヒドロキシエチルメタクリレートの代りに2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を用いて、同じ条件でCOPと反応し、2−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホロイルオキシ)エチルアクリレート(OPEA)を収率78%で得た。
【0053】
各種スペクトル測定から下記一般式[2]に相当する中間体を確認した。ここで,OPEAは、R1は水素、R2はエチレン基、Aは−(C=O)−O−、nは1である。
【0054】
【化20】
【0055】
実施例1−2
実施例1−2の反応でOPEMAの代りに実施例2−1で得られたOPEA(11.5g)を用いて、反応温度を25℃、反応時間を48時間にした以外は同様の反応操作で、反応物を得た。これを、脱水アセトン(80ml)で洗浄、冷却、デカンテーションを3回繰り返し、遠心分離、デカンテーションの後、減圧乾燥して白色結晶物6.5gを得た(収率27%)
【0050】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(300MHz in D2O):δ(ppm)=3.25(s;−N+(CH3)2−6H),3.74(m;−CH2−2H),3.86(m;−CH2−2H),4.15(m;−CH2−2H),4.32(m;−CH2−2H),4.38(m;−CH2−2H),4.65(m;−CH2−2H)
(2)FT−IR(cm−1):1718(C=O),1637(C=C),1321(C=C),1298(C=C),1242(O=P−O−),1078(P−O−C),966(−N+(CH3)2−)
【0051】
以上の結果から、得られた化合物は一般式[1]に対応する架橋剤であることを確認した。
【化21】
ここで、R1、R7は水素、R4、R5はメチル基、R2、R3、R6はエチレン基、A、Bは−(C=O)−O−である。
【0052】
実施例3−1
実施例1−1の2−ヒドロキシエチルメタクリレートの代りに6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート(HHMA)を用いて、同じ条件でCOPと反応し、6−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホロイルオキシ)エチルアクリレート(OPHMA)を収率89%で得た。
【0053】
各種スペクトル測定から下記一般式[2]に相当する中間体を確認した。ここで,OPHMAは、R1はメチル基、R2はブチレン基、Aは−(C=O)−O−、nは1である。
【0054】
【化22】
【0055】
実施例3−2
実施例1−2の反応でOPEMAの代りに実施例3−1で得られたOPHMA(31.5g),DMAEMAの代りに、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリルアミド(14.8g)を用いて、反応温度を35℃、反応時間を40時間にした以外は同様の反応操作で、反応物を得た。これを、脱水アセトン(100ml)で洗浄、冷却、デカンテーションを3回繰り返し、遠心分離、デカンテーションの後、減圧乾燥して白色結晶物8.5gを得た(収率18%)
【0056】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(300MHz in D2O):δ(ppm)=1.89(s;−CH36H),3.25(s;−N+(CH2CH3)2−10H),3.74(m;−CH2−2H),3.86(m;−CH2−2H),4.15(m;−CH2−2H),4.32(m;−CH2−2H),4.38(m;−CH2−2H),4.65(m;−CH2−2H)
(2)FT−IR(cm−1):1718(C=O),1637(C=C),1321(C=C),1298(C=C),1242(O=P−O−),1078(P−O−C),966(−N(CH2CH3)2−)
【0057】
以上の結果から、得られた化合物は一般式[1]に対応する架橋剤であることを確認した。
【化23】
ここで、R1、R7はメチル基、R4、R5はメチル基、R2、はブチレン基、R3、R6はエチレン基、Aは−(C=O)−O−、Bは−(C=O)−NH−である。
【0058】
実施例4−1
実施例1−1の2−ヒドロキシエチルメタクリレートの代りに2−ヒドロキシエトキシエチルメタクリレート(HEOEMA)を用いて、同じ条件でCOPと反応し、2−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホロイルオキシ)エトキシエチルアクリレート(OPEOEMA)を収率68%で得た。
【0059】
各種スペクトル測定から下記一般式[2]に相当する中間体を確認した。ここで,OPEOEMAは、R1はメチル基、R2はエチレンオキシエチレン基、Aは−(C=O)−O−、nは1である。
【0060】
【化24】
【0061】
実施例4−2
実施例1−2の反応でOPEMAの代りに実施例4−1で得られたOPEOEMA(22.6g)を用いて、反応温度を50℃、反応時間を24時間にした以外は同様の反応操作で、反応物を得た。これを、脱水アセトン(150ml)で洗浄、冷却、デカンテーションを3回繰り返し、遠心分離、デカンテーションの後、減圧乾燥して白色結晶物7.8gを得た(収率22%)
【0062】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(300MHz in D2O):δ(ppm)=1.89(s;−CH36H),3.25(s;−N+(CH3)2−6H),3.74(m;−CH2−2H),3.86(m;−CH2−2H),4.15(m;−CH2−2H),4.32(m;−CH2−2H),4.38(m;−CH2−2H),4.65(m;−CH2−2H)
(2)FT−IR(cm−1):1718(C=O),1637(C=C),1321(C=C),1298(C=C),1242(O=P−O−),1078(P−O−C),966(−N+(CH3)2−)
【0063】
以上の結果から、得られた化合物は一般式[1]に対応する架橋剤であることを確認した。
【化25】
ここで、R1、R4、R5、R7はメチル基、R2はエチレンオキシエチレン基、R3、R6はエチレン基、A、Bは−(C=O)−O−である。
【0064】
実施例5
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)を0.23g(0.79mmol)と実施例1−2、2−2、3−2、4−2で得られた二官能性の架橋剤モノマーをMPCに対し二官能性の架橋剤モノマーの重合性官能基が0.1、1.0、1.5、2.0モル%の割合になるようエタノール(0.32mL)に溶解した。この溶液に、アゾビスイソブチロニトリル1.31mgを加え、十分に脱気した。この溶液をアルゴン雰囲気下で反応容器に移し、密閉後60℃に加熱した。6時間反応させた後、得られた架橋体をエタノールに3日間浸漬し、未反応の化合物を除去し、目的の架橋体を得た。
【0065】
目的の架橋体を凍結乾燥し、FT−IRにより、メタクリル酸エステルが有する炭素−炭素間二重結合に由来する1300、1320ならびに1640cm−1のピークの消失が認められたことから、乾燥試料中に未反応モノマーの残留物がないことを確認した。
【0066】
比較例として,架橋剤をエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)及びトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)とした以外は実施例5と同様の操作を行い、MPC架橋体を作製した。
【0067】
凍結乾燥した後、再度、一晩含水させた架橋体の含水率を下記の式より算出
した。表1に結果を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
以上の様に架橋剤モノマーの割合を変化させることにより、含水率の異なる架橋体を得ることができた。また、比較例に比べて、含水率を低値にすることができた。
【0070】
実施例6
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を水に溶解して2.5mol/Lの水溶液を調製し、HEMA水溶液1.0mLに、HEMAモノマーに対して所定量の架橋剤を加え、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)水溶液(0.22mol/L、0.06mL)を加えて30分間攪拌した。次に溶液中に重合促進剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.02mLを加えて30秒間攪拌した後、プラスチック板(10cm x 10cm)上に展開し、スペーサーとして0.3mm厚の金属板を置き、上からもう一枚のプラスチック板で押さえつけ、そのまま架橋反応させた。一晩架橋反応化させた後、純水中で膨潤させ、未反応物を除去した。
【0071】
比較例として,架橋剤をEGDMA及びTEGDMAとした以外は実施例6と同様の操作を行い、HEMA架橋体を作製した
【0072】
目的の架橋体を凍結乾燥し、FT−IRにより、メタクリル酸エステルが有する炭素−炭素間二重結合に由来する1300、1318ならびに1641cm−1のピークの消失が認められたことから、乾燥試料中に未反応モノマーの残留物がないことを確認した。
【0073】
凍結乾燥した後、再度、一晩含水させた架橋体の含水率を下記の式より算出した。表2に結果を示す。
【0074】
【表2】
【0075】
HEMAポリマーは親水性が低いため、調製方法によっては作成された架橋体が白濁・不透明化し、例えばソフトコンタクトレンズなどの医療用光学デバイスとしての機能を発揮し得ない。そのため、現状では架橋体調製時に希釈剤を添加したり、他の親水性モノマーとの共重合体にしたりすることにより、この問題を回避している。しかしながら、前者の場合、架橋体内の残存希釈剤の溶出が避けられず、ソフトコンタクトレンズとして生体に接触させて用いる場合に問題となる。また後者の場合、膨潤度が高くなりすぎると、架橋体の材料としての脆さが現れる。
【0076】
本発明の架橋剤モノマーはHEMAなどの低親水性モノマーと組み合わせて、架橋体内の組成として相当量用いることで、高い膨潤度を有し、かつ高い強度を併せ持つ材料を得た。
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた生体適合性と力学的特性を併せ持つポリマー架橋体を容易に製造する上で重要なホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する架橋剤モノマー及びそれを用いたポリマー架橋体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、親水性のポリマー架橋体はコンタクトレンズなどの医療用具や生理活性分子の分離分析をする分子ふるい媒体としてバイオ工学用器具の材料として用いられている。しかし、ポリマー架橋体は水により膨潤し、その機械的強度は膨潤度に対して急激に低下する。そこで水に対する膨潤性に優れ、しかも高い機械的強度を併せ持つとともに、タンパク質吸着汚れや細胞成分の粘着が起こりにくいなど生体適合性を有する新しいポリマー架橋体が望まれている。
【0003】
この様な背景の中から、親水性モノマーを一般の二官能性モノマーで高密度に架橋すると、機械的強度は高くなるものの、水に対する膨潤性が著しく低下し、コンタクトレンズの酸素透過性の低下や眼球組織に対する適合性の低下,あるいは薬物やタンパク質を精製しようとしたときにこれらのポリマー架橋体の物質透過性は乏しく、タンパク質が分離できないばかりか変性、失活してしまうという問題があった。
【0004】
また、水溶性かつ生体適合性が優れていると言われている高分子であるポリエチレングリコールの両末端に重合性の官能基を導入したマクロ架橋剤が用いられ、そのポリマー架橋体が報告されている。しかしながら、末端に導入した重合性官能基が確実に重合反応に関与しないために、確実にポリマー架橋体を形成できず、ポリマー架橋体の機械的強度の低下を招いた。
【0005】
【発明者が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、生体適合性に優れたポリマー架橋体を製造する上で重要な材料となる、ホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する二官能性の重合性架橋剤モノマーを提供することにある。
本発明の第2の目的は、ホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する二官能性の重合性架橋剤モノマーを環状リン酸エステル基を有する化合物と三級アミノ化合物との反応により製造する方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、ホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する二官能性の重合性架橋剤モノマーを用いて、生体適合性と機械的強度に優れた親水性ポリマー架橋体を提供することにある。
【0006】
【課題を決定するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、親水性かつ生体適合性を発現するホスホリルコリン基を分子内に担持させる重合性架橋剤を着想した。そこで種々のアルキル鎖を有する環状リン酸エステル重合性化合物と三級アミノ基を有する重合性基化合物の反応を試み、反応条件と反応系を詳細に検討し、その結果、反応系内にわずかに存在する酸素及び水を完全に除去した環境下において反応させることが必須であるとの結論から、ホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する二官能性の重合性架橋剤モノマーが生成し結晶体で得られるとの独自の知見を得て、またさらに、得られる架橋剤モノマーが容易に単独重合、架橋反応、あるいは他のビニル化合物と共重合、架橋反応し、結果としてポリマー架橋体が得られるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)である。
【0007】
(1)下記式[1]
【0008】
【化8】
【0009】
(式中A、Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1、R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R2、R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R3は直鎖の炭素数1から4のアルキル鎖である。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示す。)で表わされる二官能性の架橋剤モノマー。
【0010】
(2)下記式[2]
【0011】
【化9】
【0012】
(式中Aは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R2は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。nは1から3の整数。)で表わされる環状リン酸エステル化合物と、
【0013】
下記式[3]
【0014】
【化10】
(式中Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示す。)で表される三級アミノ化合物のカップリング反応により生成する一般式[1]で示される二官能性架橋剤モノマー。
【0015】
(3)前記式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーを用いて架橋して得られるポリマー架橋体。
【0016】
【発明実施の形態】
第一の発明の二官能性架橋剤モノマーは下記式[1]
【0017】
【化14】
【0018】
で表される基を有するモノマーである。
ここで式中A、Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1、R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R2、R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R3は直鎖の炭素数1から4のアルキル鎖である。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示される。
【0019】
第2の発明の二官能性架橋剤モノマーの製造方法については、
下記式[2]
【0020】
【化15】
【0021】
(式中Aは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1は水素または炭素数1,2のアルキル基を示す。R2は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。nは1から3の整数。)で表わされる環状リン酸エステル化合物と、
【0022】
下記一般式[3]
【0023】
【化16】
【0024】
(式中Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示す。R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示す。)で表される三級アミノ化合物のカップリング反応により生成する。
【0025】
第3の発明の二官能性架橋剤からなるポリマー架橋体の製造方法については、前記式[1]で表される本発明の二官能性架橋剤モノマーを単体もしくは他の重合性化合物とラジカル重合することにより製造することができる。
【0025】
さらに、本発明を詳細に説明する。式[1]において式中A、Bは−(C=O)−O−、−N(−H)−C(=O)−、−N(−H)−C(=O)−O−、−O−からなる群より選択される二価の有機基である。R1、R7は水素または炭素数1、2のアルキル基を示すが,好ましくは水素及びメチル基である。R2、R6は炭素数1から18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル鎖または1から10の繰り返し単位を有するオキシエチレン鎖を示す。R3は直鎖の炭素数1から4のアルキル鎖であるが、好ましくはエチレン基,プロピレン基である。R4、R5は炭素数1から3のアルキル基を示すが、好ましくはメチル基あるいはエチル基である。
【0026】
式[2]で表される環状リン酸エステル化合物は、水酸基を有する重合性化合物に、
【0027】
下記式[4]
【化17】
【0028】
(式中、Xはハロゲン原子を示し、nは1から3の整数。)
で示される環状リン酸エステル化合物を公知の方法などにより反応させて製造する(K.Ishihara,et al.,Polym.J,,22,355(1990),K.Ishihara,et al.,J.Biomater.Sci.Polym.Edn,6,455(1994),K.Ishihara,J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,34,199(1996)(非特許文献))。
【0029】
ここで水酸基を有する重合性化合物としてはヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシメチルエタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルエタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルエタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルエタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンメタクリレート、5−ヒドロキシペンエタクリレート、6−ヒドロキヘキシルアクリレート、6−ヒドロキヘキシルメタクリレート、6−ヒドロキヘキシルエタクリレート、7−ヒドロキシヘプチルアクリレート、7−ヒドロキシヘプチルメタクリレート、7−ヒドロキシヘプチルエタクリレート、8−ヒドロキシオクチルアクリレート、8−ヒドロキシオクチルメタクリレート、8−ヒドロキシオクチルエタクリレート、9−ヒドロキシノニルアクリレート、9−ヒドロキシノニルメタクリレート、9−ヒドロキシノニルエタクリレート、10−ヒドロキデシルアクリレート、10−ヒドロキデシルメタクリレート、10−ヒドロキデシルエチルエタクリレート、2−ヒドロキシエトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエトキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエトキシエチルエタクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート(n=3〜10)、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート(n=3〜10)、ポリ(エチレングリコール)エタクリレート(n=3〜10)、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリルアミド、6−ヒドロキシヘキシルアクリルアミド、6−ヒドロキシヘキシルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルウレタン、2−ヒドロキシエチルメタクリルウレタン、4−ヒドロキシブチルアクリルウレタン、4−ヒドロキシブチルメタクリルウレタン、6−ヒドロキシヘキシルアクリルウレタン、6−ヒドロキシヘキシルメタクリルウレタンが挙げられる。
【0030】
これらの1個の水酸基を有する重合性化合物と反応させる式[4]の化合物のXは、Br、Cl、I等のハロゲン原子である。nは1から3の整数であり、好ましくは1である。
【0031】
XがClでnが1の場合、式[4]の化合物は2−クロロ−2−オキソ−1、3、2−ジオキサホスホランであり、公知の方法(R.S.Edmundson,Chem.Ind.(London),1962,1828(1962)(非特許文献))により製造することができる。
【0032】
水酸基を有する重合性化合物と式[4]の化合物との反応の際には、有機塩基を脱ハロゲン化水素剤として用いる。
ここで使用される有機塩基は、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。より好ましくは、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミンである。
【0033】
脱ハロゲン化水素剤として用いる有機塩基の仕込み割合は、式[4]の化合物の1モルに対して1から10モル、好ましくは1〜2モルである。また、この有機塩基を反応溶媒として用いても良い。
この反応の際に用いられる溶媒は、非プロトン性の溶媒であれば特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、クロロルム、塩化メチレン、アセトニトリル等が使用できる。
その使用量に特に限定はないが、水酸基を有する重合性化合物の濃度が0.002〜3g/mlとなるように添加する。
【0034】
反応に際しては、式[4]の化合物と溶媒を冷却しながらかき混ぜ、その中に水酸基を有する重合性化合物、有機塩基および溶媒を混合した溶液を滴下して反応させる方法も良いし、あるいは水酸基を有する重合性化合物と有機塩基と溶媒を冷却しながらかき混ぜ、その中に式[4]の化合物を添加しても良い。
反応温度は−50℃から100℃、好ましくは−20℃から30℃である。
滴下が進むにつれて、副生成物である有機塩基のハロゲン化水素塩が沈澱してくる場合もあるが、これは濾過や抽出操作により容易に除去することができる。
【0035】
このようにして得られた式[2]を含む反応溶液は、そのまま次の反応に用いることができるが、式[2]の化合物を含む反応溶液中に、式[2]の化合物が沈澱している場合は、濾別、精製した後、次の反応に用いても良い。また、式[2]の化合物が沈澱しない場合は溶媒の留去や抽出精製した後、次の反応に用いても良い。
【0036】
式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーは、式[2]で表される重合性基を有する環状リン化合物と、式[3]で表される三級アミノ基を有する重合性化合物を反応させて製造できる。
【0037】
式[3]の三級アミノ基を有する重合性化合物としては、N、N−ジメチルアミノメチルアクリレート、N、N−ジメチルアミノメチルメタクリレート、N−メチル−N−エチルアミノメチルメタクリレート、N、N−ジメチルアミノメチルエタクリレート、2−N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−N、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−N、N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、3−N−メチル−N−エチルアミノプロピルアクリレート、3−N、N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3−N、N−ジエチルアミノプロピルメタクリレート、4−N、N−ジメチルアミノブチルアクリレート、4−N、N−ジメチルアミノブチルメタクリレート、4−N、N−ジメチルアミノブチルメタクリレート、5−N−メチル−N−エチルアミノペンチルアクリレート、5−N、N−ジメチルアミノペンメタクリレート、5−ヒドロキシペンエタクリレート、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルアクリレート、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルメタクリレート、6−ヒドロキヘキシルエタクリレート、7−N、N−ジメチルアミノヘプチルアクリレート、7−N、N−ジメチルアミノプチルメタクリレート、7−N、N−ジメチルアミノヘプチルエタクリレート、8−N、N−ジメチルアミノオクチルアクリレート、8−N、N−ジメチルアミノオクチルメタクリレート、8−N、N−ジメチルアミノオクチルエタクリレート、9−N、N−ジメチルアミノノニルアクリレート、9−N、N−ジメチルアミノノニルメタクリレート、9−N、N−ジメチルアミノノニルエタクリレート、10−N、N−ジメチルアミノデシルアクリレート、10−N、N−ジメチルアミノデシルメタクリレート、10−N、N−ジメチルアミノデシルエチルエタクリレート、2−N、N−ジメチルアミノエトキシエチルアクリレート、2−N、N−ジメチルアミノエトキシエチルメタクリレート、2−N、N−ジメチルアミノエトキシエチルエタクリレート、N、N−ジメチルアミノポリ(エチレングリコール)アクリレート(n=3〜10)、N、N−ジメチルアミノポリ(エチレングリコール)メタクリレート(n=3〜10)、N、N−ジメチルアミノポリ(エチレングリコール)エタクリレート(n=3〜10)、2−N、N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、2−N、N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、4−N、N−ジメチルアミノブチルアクリルアミド、4−N、N−ジメチルアミノブチルメタクリルアミド、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルアクリルアミド、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルメタクリルアミド、2−N、N−ジメチルアミノエチルアクリルウレタン、2−N、N−ジメチルアミノエチルメタクリルウレタン、2−N−メチル−N−エチルアミノエチルメタクリルウレタン、4−N、N−ジメチルアミノブチルアクリルウレタン、4−N、N−ジメチルアミノブチルメタクリルウレタン、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルアクリルウレタン、6−N、N−ジメチルアミノヘキシルメタクリルウレタン、N、N−ジメチルアミノエチルメタクリルエーテル等が挙げられる。
【0038】
式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーを製造する際には、式[2]で示される化合物の水分による自己開環反応と、式[3]の三級アミノ基を有する重合性化合物の酸素による酸化反応を防ぐことが重要で、本発明においては十分に脱水、脱気し、反応させることにより初めて式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーを製造に成功した。
【0039】
式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーを一成分とするポリマー架橋体は、式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーにラジカル発生剤と他のビニル化合物を添加し、加熱、光照射することにより製造することができる。
【0040】
重合反応に用いるラジカル発生剤であれば特に限定されず、熱重合開始剤、光重合開始剤、レドックス開始剤が使用でき、望ましくは、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、ベンゾフェノンなどが挙げられる。アミノ化合物と過酸化物の混合物を利用して、ラジカルを発生させて重合反応を行い、ポリマー架橋体を製造することもできる。
【0041】
ラジカル発生剤の添加濃度は0.001〜1.0g/mlが好ましい。重合の際に使用される溶媒は、モノマーが溶解し、重合を阻害しない溶媒であれば特に限定されず、例えば、水、アルコール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、アセトニトリル等が使用できる。これらの溶媒は、単独あるいは二〜数種類を混合して使用することも可能である。
また、溶媒を使用せず、式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーと他のビニル化合物の混合体にラジカル発生剤を添加しても良い。
【0042】
ポリマー架橋体を製造する式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーに添加する他のモノマーとしては、重合性基を持つ化合物であれば特に限定されないが、望ましくは、親水的の観点から2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、N−イソプロピルアクリルアミド、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられる。さらに、生体適合性を考慮した場合、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが望ましい。
【0043】
共重合する際の本発明の式[1]で表される二官能性架橋剤モノマーの割合は、製造されたポリマー架橋体の特性から、100〜0.0001%の範囲である。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、式[1]で表されるホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する架橋剤モノマーが得られる。この架橋剤モノマーは、それ生体適合性に優れ、また、架橋剤としても有用である。
本発明によれば、式[1]で表されるホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する架橋剤モノマーを高効率、高純度で製造する方法が得られる。
本発明の式[1]で表されるホスホリルコリン類似官能基を分子内に有する架橋剤モノマーを利用すれば、含水性、生体適合性に優れ、さらに機械的強度にも優れたポリマー架橋体を、容易効率よく、しかも選択的に製造できる。
【0045】
【実施例】
以下の実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。化合物の分析、同定には、1H−NMR,赤外分光スペクトル(FT−IR)を用いた。
実施例1−1
温度計、滴下漏斗、撹拌機を付した200ml三口フラスコを加熱・減圧乾燥した後、系内をアルゴン雰囲気下においた。テトラヒドロフラン(THF)100mlを溶媒として加え、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)6.7g、トリエチルアミン(TEA)5.5gを加えて、−20℃以下に保持しながら攪拌した。2−クロロ−2−オキソ−ジオキサホスホラン(COP)7.6gを滴下漏斗に計り取り、数秒に一滴の割合で滴下した。滴下終了後、2時間以上反応させ、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾別した。さらにジエチルエーテル100mlを加えて冷却し、溶液内の溶存アミン塩酸塩を析出させた。この後、減圧濾過、エバポレートを繰り返して2−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホロイルオキシ)エチルメタクリレート(OPEMA)11.5gを得た(収率94.2%)。
【0046】
分析結果は以下のとおりである。
(1)1H−NMR(300MHz in CDCl3):δ(ppm)=2.00(−CH33H),4.00−4.68(−CH2−8H),5.60(−CH=1H),6.20(−CH=1H)
(2)FT−IR(cm−1):1720(C=O),1640(C=C),1300,1240 1160,and 1080((PO−CH2−)
【0047】
以上の結果から下記一般式[2]に相当する中間体を確認した。ここで,OPEMAは、R1はメチル基、R2はエチレン基、Aは−(C=O)−O−、nは1である。
【0048】
【化18】
【0049】
実施例1−2
滴下漏斗、撹拌機を付した100ml三口フラスコを加熱・減圧乾燥した後、系を密栓してアルゴン雰囲気下においた。溶媒としてアセトニトリル100mlをシュレンク管に取り、液体窒素によって凍結した後、減圧脱気、加熱融解を数回繰り返し、溶存酸素を除去したものを三口フラスコに加えた。ここに実施例1−1で得られたOPEMA(19.0g)を加え、さらに完全に脱気,脱水したN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)12.6gを加えて撹拌し、オイルバス上で系を60℃まで加熱・昇温して反応させた。この際、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて反応を追跡した。TLC展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン(2/1 v/v)を用い、Rf値=0.4に見られるOPEMAのスポットの消失をもって反応終了とした。反応終了後、溶液を減圧濾過した後、エバポレータで濃縮し、脱水アセトン100mlを加えて−30℃で一晩冷却したところ褐色物が析出した。この析出物を、脱水アセトン(80ml)で洗浄、冷却、デカンテーションを3回繰り返し、遠心分離、デカンテーションの後、減圧乾燥して白色結晶物4.3gを得た(収率14%)
【0050】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(300MHz in D2O):δ(ppm)=1.89(s;−CH36H),3.25(s;−N+(CH3)2−6H),3.74(m;−CH2−2H),3.86(m;−CH2−2H),4.15(m;−CH2−2H),4.32(m;−CH2−2H),4.38(m;−CH2−2H),4.65(m;−CH2−2H),5.74(m;−CH=1H),5.77(m;−CH=1H),6.15(m;−CH=1H),6.16(m;−CH=1H)
内部基準物質として3−(トリメチルシリル)−1−プロパンスルホン酸ナトリウムを用いた。
(2)FT−IR(cm−1):1718(C=O),1637(C=C),1321(C=C),1298(C=C),1242(O=P−O−),1078(P−O−C),966(−N+(CH3)2−)
測定にはKBr錠剤法を用いた。
【0051】
以上の結果から、得られた化合物は一般式[1]に対応する架橋剤であることを確認した。
【化19】
ここで、R1、R4、R5,R7はメチル基、R2、R3、R6はエチレン基、A、Bは−(C=O)−O−である。
【0052】
実施例2−1
実施例1−1の2−ヒドロキシエチルメタクリレートの代りに2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を用いて、同じ条件でCOPと反応し、2−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホロイルオキシ)エチルアクリレート(OPEA)を収率78%で得た。
【0053】
各種スペクトル測定から下記一般式[2]に相当する中間体を確認した。ここで,OPEAは、R1は水素、R2はエチレン基、Aは−(C=O)−O−、nは1である。
【0054】
【化20】
【0055】
実施例1−2
実施例1−2の反応でOPEMAの代りに実施例2−1で得られたOPEA(11.5g)を用いて、反応温度を25℃、反応時間を48時間にした以外は同様の反応操作で、反応物を得た。これを、脱水アセトン(80ml)で洗浄、冷却、デカンテーションを3回繰り返し、遠心分離、デカンテーションの後、減圧乾燥して白色結晶物6.5gを得た(収率27%)
【0050】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(300MHz in D2O):δ(ppm)=3.25(s;−N+(CH3)2−6H),3.74(m;−CH2−2H),3.86(m;−CH2−2H),4.15(m;−CH2−2H),4.32(m;−CH2−2H),4.38(m;−CH2−2H),4.65(m;−CH2−2H)
(2)FT−IR(cm−1):1718(C=O),1637(C=C),1321(C=C),1298(C=C),1242(O=P−O−),1078(P−O−C),966(−N+(CH3)2−)
【0051】
以上の結果から、得られた化合物は一般式[1]に対応する架橋剤であることを確認した。
【化21】
ここで、R1、R7は水素、R4、R5はメチル基、R2、R3、R6はエチレン基、A、Bは−(C=O)−O−である。
【0052】
実施例3−1
実施例1−1の2−ヒドロキシエチルメタクリレートの代りに6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート(HHMA)を用いて、同じ条件でCOPと反応し、6−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホロイルオキシ)エチルアクリレート(OPHMA)を収率89%で得た。
【0053】
各種スペクトル測定から下記一般式[2]に相当する中間体を確認した。ここで,OPHMAは、R1はメチル基、R2はブチレン基、Aは−(C=O)−O−、nは1である。
【0054】
【化22】
【0055】
実施例3−2
実施例1−2の反応でOPEMAの代りに実施例3−1で得られたOPHMA(31.5g),DMAEMAの代りに、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリルアミド(14.8g)を用いて、反応温度を35℃、反応時間を40時間にした以外は同様の反応操作で、反応物を得た。これを、脱水アセトン(100ml)で洗浄、冷却、デカンテーションを3回繰り返し、遠心分離、デカンテーションの後、減圧乾燥して白色結晶物8.5gを得た(収率18%)
【0056】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(300MHz in D2O):δ(ppm)=1.89(s;−CH36H),3.25(s;−N+(CH2CH3)2−10H),3.74(m;−CH2−2H),3.86(m;−CH2−2H),4.15(m;−CH2−2H),4.32(m;−CH2−2H),4.38(m;−CH2−2H),4.65(m;−CH2−2H)
(2)FT−IR(cm−1):1718(C=O),1637(C=C),1321(C=C),1298(C=C),1242(O=P−O−),1078(P−O−C),966(−N(CH2CH3)2−)
【0057】
以上の結果から、得られた化合物は一般式[1]に対応する架橋剤であることを確認した。
【化23】
ここで、R1、R7はメチル基、R4、R5はメチル基、R2、はブチレン基、R3、R6はエチレン基、Aは−(C=O)−O−、Bは−(C=O)−NH−である。
【0058】
実施例4−1
実施例1−1の2−ヒドロキシエチルメタクリレートの代りに2−ヒドロキシエトキシエチルメタクリレート(HEOEMA)を用いて、同じ条件でCOPと反応し、2−(2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホロイルオキシ)エトキシエチルアクリレート(OPEOEMA)を収率68%で得た。
【0059】
各種スペクトル測定から下記一般式[2]に相当する中間体を確認した。ここで,OPEOEMAは、R1はメチル基、R2はエチレンオキシエチレン基、Aは−(C=O)−O−、nは1である。
【0060】
【化24】
【0061】
実施例4−2
実施例1−2の反応でOPEMAの代りに実施例4−1で得られたOPEOEMA(22.6g)を用いて、反応温度を50℃、反応時間を24時間にした以外は同様の反応操作で、反応物を得た。これを、脱水アセトン(150ml)で洗浄、冷却、デカンテーションを3回繰り返し、遠心分離、デカンテーションの後、減圧乾燥して白色結晶物7.8gを得た(収率22%)
【0062】
分析結果を次に示す。
(1)1H−NMR(300MHz in D2O):δ(ppm)=1.89(s;−CH36H),3.25(s;−N+(CH3)2−6H),3.74(m;−CH2−2H),3.86(m;−CH2−2H),4.15(m;−CH2−2H),4.32(m;−CH2−2H),4.38(m;−CH2−2H),4.65(m;−CH2−2H)
(2)FT−IR(cm−1):1718(C=O),1637(C=C),1321(C=C),1298(C=C),1242(O=P−O−),1078(P−O−C),966(−N+(CH3)2−)
【0063】
以上の結果から、得られた化合物は一般式[1]に対応する架橋剤であることを確認した。
【化25】
ここで、R1、R4、R5、R7はメチル基、R2はエチレンオキシエチレン基、R3、R6はエチレン基、A、Bは−(C=O)−O−である。
【0064】
実施例5
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)を0.23g(0.79mmol)と実施例1−2、2−2、3−2、4−2で得られた二官能性の架橋剤モノマーをMPCに対し二官能性の架橋剤モノマーの重合性官能基が0.1、1.0、1.5、2.0モル%の割合になるようエタノール(0.32mL)に溶解した。この溶液に、アゾビスイソブチロニトリル1.31mgを加え、十分に脱気した。この溶液をアルゴン雰囲気下で反応容器に移し、密閉後60℃に加熱した。6時間反応させた後、得られた架橋体をエタノールに3日間浸漬し、未反応の化合物を除去し、目的の架橋体を得た。
【0065】
目的の架橋体を凍結乾燥し、FT−IRにより、メタクリル酸エステルが有する炭素−炭素間二重結合に由来する1300、1320ならびに1640cm−1のピークの消失が認められたことから、乾燥試料中に未反応モノマーの残留物がないことを確認した。
【0066】
比較例として,架橋剤をエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)及びトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)とした以外は実施例5と同様の操作を行い、MPC架橋体を作製した。
【0067】
凍結乾燥した後、再度、一晩含水させた架橋体の含水率を下記の式より算出
した。表1に結果を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
以上の様に架橋剤モノマーの割合を変化させることにより、含水率の異なる架橋体を得ることができた。また、比較例に比べて、含水率を低値にすることができた。
【0070】
実施例6
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を水に溶解して2.5mol/Lの水溶液を調製し、HEMA水溶液1.0mLに、HEMAモノマーに対して所定量の架橋剤を加え、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)水溶液(0.22mol/L、0.06mL)を加えて30分間攪拌した。次に溶液中に重合促進剤としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.02mLを加えて30秒間攪拌した後、プラスチック板(10cm x 10cm)上に展開し、スペーサーとして0.3mm厚の金属板を置き、上からもう一枚のプラスチック板で押さえつけ、そのまま架橋反応させた。一晩架橋反応化させた後、純水中で膨潤させ、未反応物を除去した。
【0071】
比較例として,架橋剤をEGDMA及びTEGDMAとした以外は実施例6と同様の操作を行い、HEMA架橋体を作製した
【0072】
目的の架橋体を凍結乾燥し、FT−IRにより、メタクリル酸エステルが有する炭素−炭素間二重結合に由来する1300、1318ならびに1641cm−1のピークの消失が認められたことから、乾燥試料中に未反応モノマーの残留物がないことを確認した。
【0073】
凍結乾燥した後、再度、一晩含水させた架橋体の含水率を下記の式より算出した。表2に結果を示す。
【0074】
【表2】
【0075】
HEMAポリマーは親水性が低いため、調製方法によっては作成された架橋体が白濁・不透明化し、例えばソフトコンタクトレンズなどの医療用光学デバイスとしての機能を発揮し得ない。そのため、現状では架橋体調製時に希釈剤を添加したり、他の親水性モノマーとの共重合体にしたりすることにより、この問題を回避している。しかしながら、前者の場合、架橋体内の残存希釈剤の溶出が避けられず、ソフトコンタクトレンズとして生体に接触させて用いる場合に問題となる。また後者の場合、膨潤度が高くなりすぎると、架橋体の材料としての脆さが現れる。
【0076】
本発明の架橋剤モノマーはHEMAなどの低親水性モノマーと組み合わせて、架橋体内の組成として相当量用いることで、高い膨潤度を有し、かつ高い強度を併せ持つ材料を得た。
Claims (3)
- 下記一般式[2]
- 前記式[1]で表される架橋剤を用いてなるポリマー架橋体。
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