JP3647840B2 - ホスホリルコリン基含有改質粉体及びその製造方法 - Google Patents

ホスホリルコリン基含有改質粉体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はホスホリルコリン基を粉体表面に有する改質粉体及びその製造方法に関する。本発明の改質粉体は、生体適合性、保湿性に優れ、化粧料、医用材料、クロマト用充填剤等として有用である。
【0002】
【従来の技術】
ホスホリルコリン基を有する重合体は生体適合性高分子として検討されており、この重合体を各種基剤に被覆させた生体適合性材料が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体及び共重合体で被覆した粉末を、化粧料用粉末として利用して保湿性や皮膚密着性を改善した化粧料が開示されている。
また、特許文献2及び特許文献3には、ホスホリルコリン基を有する重合体で被覆した医療用材料や分離剤が開示されている。
【0004】
上記の材料は、主に水酸基を有するアクリル系モノマーと2−クロロ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オキシドを反応させ、更にトリメチルアミンにより4級アンモニウムとすることによりホスホリルコリン構造を有するモノマーを合成しこれを重合して得られる重合体により、その表面が被覆されたものである(重合体の製造方法に関しては特許文献4及び5を参照)。
【0005】
特許文献4には、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸エステルの共重合体が製造され、特許文献5には2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体が製造されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−118123号公報
【特許文献2】
特開2000−279512号公報
【特許文献3】
特開2002−98676号公報
【特許文献4】
特開平9−3132号公報
【特許文献5】
特開平10−298240号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ホスホリルコリン基を有する重合体により粉末を被覆する方法では、粉末粒子の表面全体を効果的に被覆することは難しい。また、被覆した重合体が粉末から剥離するため、耐久性に問題が生じる場合がある。さらには、粉末表面が重合体により被覆されるため、ホスホリルコリン基による生体適合性を付与する目的から逸脱して、粉末自体に要求されている基本的性質が失われる場合もある。
また、被覆に用いる重合体の上記製造方法は厳密な無水条件下にて行う必要があり、手法が煩雑という問題もある。さらに、重合条件により被覆重合体に結合しているホスホリルコリン基の安定性にも問題が生じる。
【0008】
本発明者らは、上述の観点から、ホスホリルコリン基を有する各種材料について鋭意研究した結果、重合体を粉体表面に被覆する方法ではなく、ホスホリルコリン基を含有する化合物とこの化合物と反応する官能基を有する粉体とを反応させると、粉体の表面における結合形成反応により、簡便かつ高い汎用性をもってホスホリルコリン基を粉体表面に直接有する改質粉体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、プロトン性溶媒中に分散させた平均粒径0.01〜10μmのア
ミノ基を有する無機粉体に、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られる
アルデヒド体を含有する化合物を付加することにより得られる、下記式(1)で示される
ホスホリルコリン基を無機粉体表面に共有結合により直接的に有する改質粉体を提供する
ものである。
【化2】
(1)
Figure 0003647840
【0010】
また、本発明は、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体を含有する化合物を、プロトン性溶媒中に分散させた平均粒径0.01〜10μmのアミノ基を有する無機粉体に付加することによる、上記改質粉体の製造方法を提供するものである。
【0011】
さらに、本発明は、平均粒径0.01〜10μmの無機粉体表面にアミノ基を導入するステップと、次にグリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体を含有する化合物をプロトン性溶媒中に分散させた該粉体に付加するステップとからなる、上記改質粉体の製造方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳述する。
【0013】
本発明の改質粉体は以下の方法にて製造される。なお、ホスホリルコリン基を粉体表面に直接的に有するとは、ホスホリルコリン基が粉体表面に化学的な結合にて導入されていることを意味し、ホスホリルコリン基を有する重合体で被覆することによりホスホリルコリン基を導入した粉体は含まないという意味である。
【0014】
本発明の改質粉体は下記のステップにより製造される。すでに粉体表面にアミノ基を有しており、それ以上のアミノ基を導入する必要がない場合は、ステップ1は省略される。
ステップ1:任意の粉体に、公知の方法若しくは今後開発される方法にてアミノ基を導入する。アミノ基は粉体表面に直接的に導入される。直接的とは、アミノ基を有する重合体で被覆する方法は含まないことを意味する。アミノ基は一級アミン若しくは二級アミンである。
ステップ2:アミノ基を有する粉体に対し、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られたアルデヒド体あるいはハイドレート体を、還元的アミノ化反応によって、ホスホリルコリン基を粉体表面に直接的に付加させる。
【0015】
用いる粉体は一般に平均粒径0.01〜10μm程度の無機粉体である。具体的な粉体としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母 ( セリサイト ) 、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム ( 焼セッコウ ) 、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸 ( 例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム ) 、窒化ホウ素、酸化セリウム等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄 ( ベンガラ ) 、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等)等が挙げられる。
【0016】
これらの粉体にアミノ基を導入する公知の方法(ステップ1)としては、下記が挙げられる。
1.プラズマ処理の表面反応によるアミノ基の導入
窒素ガス雰囲気下で低温プラズマにより粉体表面にアミノ基を導入する。具体的には粉体をプラズマ反応容器内に収容し、反応容器内を真空ポンプで真空にした後、窒素ガスを導入する。続いてグロー放電により、粉体表面にアミノ基を導入できる。この方法は、粉体以外の材料にも適用できる。例えば、フッ素樹脂、各種金属(ステンレス、チタン合金、アルミニウム、鉄等)、セラミックス、カーボン系素材、各種ポリマー(ウレタン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル系、ビニル系、多糖類、ポリアルキルシロキサン)、有機−無機複合系素材、各種無機物(マイカ、タルク、カオリン、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、各種無機顔料)等の材料に適用可能である。プラズマ処理した材料を機械的に粉体化することも可能である。プラズマ処理に関する文献を下記に示す。1. M. Muller, C. oehr
Plasma aminofunctionalisation of PVDF microfiltration membranes: comparison of the in plasma modifications with a grafting method using ESCA and an amino−selective fluorescent probe
Surface and Coatings Technology 116−119 (1999) 802−807
2. Lidija Tusek, Mirko Nitschke, Carsten Werner, Karin Stana−Kleinschek, Volker Ribitsch
Surface characterization of NH3 plasma treated polyamide 6 foils
Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 195 (2001) 81−95
3. Fabienne Poncin−Epaillard, Jean−Claude Brosse, Thierry Falher
Reactivity of surface groups formed onto a plasma treated poly (propylene) film
Macromol. Chem. Phys. 200. 989−996 (1999)
【0017】
2.表面改質剤によるアミノ基の導入
アミノ基を有するアルコキシシラン、クロロシラン、シラザンなどの表面改質剤を用いて、シラノール含有粉体、酸化チタン粉体等の表面を処理する。
例えば、1級アミノ基を有する3−アミノプロピルトリメトキシシランにより、シリカ粉体を処理してアミノ基を導入する。具体的には、シリカを水−2−プロパノール混合液中に浸し、3−アミノプロピルトリメトキシシランを添加後、100℃に加熱し6時間反応させる。室温に冷却後、シリカをメタノールで洗浄し、乾燥してアミノ基がシリカ表面に直接導入された粉体が得られる。本法において好ましく処理される粉体としては、シリカ以外に、ガラス、アルミナ、タルク、クレー、アルミニウム、鉄、マイカ、アスベスト、酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄等の粉体が挙げられる。
【0018】
3.シリコーン気相処理によるアミノ基の導入(特公平1−54379号公報、特公平1−54380号公報、特公平1−54381号公報参照)
粉体表面をまず1.3.5.7−テトラメチルシクロテトラシロキサンにより処理し、表面に導入されたSi−H基と、アミノ基を有するモノマーを反応させてアミノ化された表面を得る。例えば、マイカと1.3.5.7−テトラメチルシクロテトラシロキサンをデシケーター中に入れ、アスピレーターで脱気する。80℃で16時間反応させた後、マイカを取り出し、120℃で乾燥させる。得られたマイカをエタノール中に分散し、アリルアミンを添加、続いて塩化白金酸のエタノール溶液を添加し、60℃で2時間攪拌する。反応終了後、濾過、エタノール洗浄、減圧乾燥してアミノ化マイカを得る。本法により好ましく処理可能な粉体として、フッ素樹脂、各種金属(ステンレス、チタン合金、アルミニウム、鉄等)、セラミックス、カーボン系素材、各種ポリマー(ウレタン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル系、ビニル系、多糖類、ポリアルキルシロキサン)、有機−無機複合系素材、各種無機物(マイカ、タルク、カオリン、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、各種無機顔料)などの粉体が挙げられる。本法に用いるモノマーは、アミン系モノマーを用いることが出来る。アミン系モノマーとは、アリルアミンに限られず、アミノ基及び重合可能なビニル、アクリル等の反応性部位を有していれば良い。アミノ基は、ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基などにより保護されていても良い。
また、アミン系モノマーでなくても、エポキシ基のように、例えばジアミンとの反応により簡単にアミノ基を導入可能な官能基を有するモノマーでも良い。
【0019】
次に、アミノ化された粉体表面にホスホリルコリン基を導入する方法(ステップ2)を以下に示す。
粉体をメタノール中に漬し、ホスファチジルグリセロアルデヒドを添加し、室温で6時間放置する。そして、シアノホウ素酸ナトリウムを0℃で添加、一晩加熱攪拌し、アミノ基にホスホリルコリン基を付加させる。粉体をメタノールで洗浄後、乾燥し、ホスホリルコリン基を表面に直接有する粉体が得られる。反応溶媒はメタノール以外にも水、エタノール、2−プロパノール等プロトン性溶媒であれば使用可能であるが、メタノールを用いた場合の導入率が高い傾向にある。
【0020】
表面改質剤に3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いて、ホスホリルコリン基(PCと略す)を導入する方法のスキームを下記に示す。
【化3】
Figure 0003647840
【0021】
上記で説明したように、アミノ基を有する粉体を調製し、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られたアルデヒド体あるいはハイドレート体との還元的アミノ化反応によりホスホリルコリン基が粉体表面に直接付加した粉体を製造する方法より、本発明の改質粉体が容易に得られる。本発明の製造方法は、ホスホリルコリン基の導入率が高く、また、様々な粉体の表面を修飾できるという大きな利点がある。
【0022】
本発明の方法において、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体を含有する化合物は、公知のグリセロホスホリルコリン基を、公知の方法により酸化的解裂を行わせるもので、極めて簡単なステップである。この反応は、1,2−ジオールを過ヨウ素酸、或いは過ヨウ素酸塩を用いて酸化することにより結合を開裂させ、2つのアルデヒド体を得るものであり、本法の場合、ホスホリルコリンアルデヒド体とホルムアルデヒドを生成する。反応は通常水中または水を含む有機溶媒中で行われる。反応温度は0度から室温である。アルデヒド体は水中で平衡反応を経てハイドレートとなることもあるが、続くアミンとの反応には影響しない。下記にホスホリルコリン基を含有する一官能のアルデヒド体を調製するスキームを示す。
【化4】
Figure 0003647840
【0023】
アミノ基を有する粉体は特に限定されない。粉体の表面、場合によっては多孔質の粉体の内部表面にグリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体が反応できるアミノ基があればよい。
【0024】
グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体(若しくはハイドレート体)を粉体のアミノ基に結合させる還元的アミノ化反応は、両者を溶媒中にて攪拌することにより容易に行うことが出来る。この反応は両者を水或いはアルコール中に溶解または分散し(第三成分の有機溶媒を混合しても良い)、イミンを形成させた後、これを還元剤により還元して2級アミンを得るものである。還元剤としてはシアノホウ素酸ナトリウム等マイルドな還元剤が好ましいが、ホスホリルコリンが安定な限り、他の還元剤を用いることも可能である。反応は通常0度から室温で行われるが、場合により加熱することもある。
【0025】
上記の製造方法により、親水性のホスホリルコリン基を任意の量で含有する粉体が簡単に得られる。また、粉体が合成ポリマーの場合、その親水部として、カルボン酸基、水酸基、1級〜3級アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、ポリオキシエチレン基、アンモニウム基、アミド、カルボキシベタイン、糖類等を含有してもよく、これらの種類及び含有量で、粉体の機能を設計できる。さらに、その疎水部として、炭素原子数2〜22の直鎖状または分岐アルキル、コレステロール等の環状アルキル、オレイル等不飽和結合を含むアルキル基、ベンゼン環、ナフタレン環、ピレンをはじめとする炭化水素系芳香族、ピリジン環、イミダゾール、チアゾール、インドール等のヘテロ系芳香族、パーフルオロアルキル、ポリアルキルシロキサン等の疎水基を含有してもよく、粉体の用途に応じて選択し、設計できる。合成ポリマー粉体の疎水基の結合形態は、エステル、エーテル、アミド、ウレタン、尿素結合等により直接ポリマー主鎖と結合されていても良いし、スペーサーを介して主鎖と結合されていても良い。スペーサーの種類としては、親水性のポリエチレンオキサイド、疎水性のポリプロピレンオキサイド、直鎖状アルキル(炭素原子数2〜22)等が挙げられる。
また、粉体表面に存在するアミノ基の1部をホスホリルコリン基により修飾し、残部を他の官能基で修飾することで、新たな機能を発現する改質粉体を設計できる。粉体に導入されたアミノ基を元素分析等により定量し、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体を含有する化合物を、付加させたい量だけ使用することにより製造される。そして、残りのアミノ基に任意の官能基を付加させることが出来る。この手法は全ての粉体に一般的に適用できる。
【0026】
本発明の改質粉体は、親水性及び保湿性に優れた粉体である。生体適合性を有する粉体として、化粧料、医用材料、クロマト用充填剤、塗料等の幅広い用途に応用可能である。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は下記の実施例のみに限定されない。粉体表面に導入されたホスホリルコリン基はFT−IR及び元素分析により確認されて定量出来る。
【0028】
合成例1 ホスホリルコリン基を含有するアルデヒド体
L−α−グリセロホスホリルコリン(450mg)を蒸留水15mlに溶解し、氷水浴中で冷却する。過ヨウ素酸ナトリウム(750mg)を添加し、2時間攪拌する。更にエチレングリコール(150mg)を添加して1晩攪拌する。反応液を減圧濃縮、減圧乾燥し、メタノールにより目的物を抽出する。
構造式及びNMRスペクトルを図1に示す。
【0029】
実施例1 ホスホリルコリン基含有シリカゲル
平均粒子径5μmのシリカゲル(ポアサイズ80Å)10gを水(15ml)−2−プロパノール(15ml)に分散、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(5g)を添加後、100℃に加熱し6時間反応させる。室温に冷却後、シリカゲルを濾過、洗浄し、減圧乾燥してアミノ基の導入されたシリカを得る。このシリカの透過型FT−IRスペクトルを図2に示す。
このシリカゲルをメタノール100mlに分散し、合成例1により得られた化合物10gと混合、室温で6時間攪拌する。続いてこの混合液を氷浴中で冷却し、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム3gを添加し、室温で一晩攪拌した後、シリカゲルを濾過し、メタノールで洗浄し、減圧乾燥して、目的とするホスホリルコリン基を表面に直接有するシリカゲル10.6gを得る。このシリカゲルのFT−IRスペクトルを図3に示す。
図3から、1250cm-1付近にリン酸基由来のピークが出現しており、ホスホリルコリン基が粉体表面に導入されたことがわかる。
【0030】
また、粉体の元素分析値を示す。
【表1】
Figure 0003647840
上記元素分析値より、実施例1の改質粉体には、ホスホリルコリン基がシリカゲル表面にほぼ定量的に導入されたことが分る。
【0031】
得られた本発明の改質シリカ粉体はアセトンなどの極性溶媒中に長時間保持してもホスホリルコリン基が安定して粉体表面に保持されるという優れた効果を有している。これに対して、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体及び共重合体で被覆しシリカは、被覆された重合体が粉体表面から溶出し、ホスホリルコリン基を安定的に粉体に結合させておくことが出来ない。また、シリカ表面は重合体で被覆されているため、シリカ表面の本来の性質も重合体自体の性質により変化してしまう。
【0032】
実施例2 ホスホリルコリン基含有N−イソプロピルアクリルアミド−アクリル酸共重合体粒子
水200ml中に、ドデシル硫酸ナトリウム(20mg)、N−イソプロピルアクリルアミド(2.7g)、アクリル酸(172mg)、メチレンビスアクリルアミド(121mg)を溶解、窒素雰囲気下70℃で30分間攪拌した後、重合開始剤(過硫酸カリウム 9.2mg)を添加し、4時間攪拌する。得られた粒子(実施例2前駆体)を水中で透析により精製し、凍結乾燥する。更にこの粒子(700mg)をテトラヒドロフラン(30ml)−ジメチルホルムアミド(10ml)に分散し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(800mg)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(500mg)、2、2‘−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)(1.14g)のテトラヒドロフラン(10ml)−ジメチルホルムアミド(50ml)溶液を室温で添加、一晩攪拌する。粒子を水中で透析し、凍結乾燥する。更にこれをメタノール(70ml)に分散、合成例1の化合物1gを添加し、室温で6時間攪拌した後、この混合液を氷浴中で冷却し、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム2.8gを添加、室温で一晩攪拌する。得られた粒子を水中で透析し、目的のホスホリルコリン基を粒子表面に直接有するN−イソプロピルアクリルアミド−アクリル酸共重合体粒子(620mg)を得る。
【0033】
実施例3 ホスホリルコリン基含有N−イソプロピルアクリルアミド−アクリル酸共重合体粒子
水200ml中に、ドデシル硫酸ナトリウム(20mg)、N−イソプロピルアクリルアミド(2.4g)、アクリル酸(382mg)、メチレンビスアクリルアミド(121mg)を溶解、窒素雰囲気下70℃で30分間攪拌した後、重合開始剤(過硫酸カリウム 9.2mg)を添加し、4時間攪拌する。得られた粒子(実施例3前駆体)を水中で透析により精製し、凍結乾燥する。更にこの粒子(700mg)をテトラヒドロフラン(30ml)−ジメチルホルムアミド(10ml)に分散し、ジシクロヘキシルカルボジイミド(800mg)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(500mg)、2、2‘−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)(1.14g)のテトラヒドロフラン(10ml)−ジメチルホルムアミド(50ml)溶液を室温で添加、一晩攪拌する。粒子を水中で透析し、凍結乾燥する。更にこれをメタノール(70ml)に分散、合成例1の化合物1.2gを添加し、室温で6時間攪拌した後、この混合液を氷浴中で冷却し、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム3gを添加、室温で一晩攪拌する。得られた粒子を水中で透析し、目的とするホスホリルコリン含有N−イソプロピルアクリルアミド−アクリル酸共重合体粒子(650mg)を得る。
【0034】
次に、実施例2及び3で得られた各粒子2mgをウシ血清アルブミン(BSA)の2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸バッファー5mmol溶液(pH5)2ml中に分散、一晩放置後、遠心分離により粒子を除去し、上澄みのBSA濃度をUV吸収(λ=280nm)により定量した。結果を図4に示す。
ホスホリルコリン基のない実施例2前駆体及び実施例3前駆体は、多くのBSAを吸着するが、ホスホリルコリンを付加した実施例2及び3はその吸着量に減少が見られた。また、ホスホリルコリン基の導入率が高い実施例3が、より効果的にBSAの吸着を阻害した。
【0035】
【発明の効果】
本発明の改質粉体は、ホスホリルコリン基を粉体表面に安定して有する粉体であり、生体適合性及び保湿性が高く、化粧料配合成分、カラムクロマトグラフィー用充填剤、医療用微粒子の様々な応用分野がある。
本発明の製造方法は、具体的用途に最適な量のホスホリルコリン基を粉体表面に容易に導入でき、改質粉体を容易に設計できるという大きな利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1の構造式及びNMRスペクトルである。
【図2】実施例1のアミノ基の導入されたシリカゲルの透過型FT−IRスペクトルである。
【図3】実施例1のホスホリルコリン基含有シリカゲルの透過型FT−IRスペクトルである。
【図4】BSA吸着量を表すグラフである。

Claims (3)

  1. プロトン性溶媒中に分散させた平均粒径0.01〜10μmのアミノ
    基を有する無機粉体に、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアル
    デヒド体を含有する化合物を付加することにより得られる、下記式(1)で示されるホス
    ホリルコリン基を無機粉体表面に共有結合により直接的に有する改質粉体。
    【化1】
    (1)
    Figure 0003647840
  2. グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒ
    ド体を含有する化合物を、プロトン性溶媒中に分散させた平均粒径0.01〜10μmの
    アミノ基を有する無機粉体に付加することによる、請求項1記載の改質粉体の製造方法。
  3. 平均粒径0.01〜10μmの無機粉体表面にアミノ基を導入するス
    テップと、次にグリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体
    を含有する化合物をプロトン性溶媒中に分散させた該粉体に付加するステップとからなる
    、請求項1記載の改質粉体の製造方法。
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