JP5844929B1 - カンデサルタンシレキセチル及びヒドロクロロチアジドを含む錠剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】カンデサルタンシレキセチル及びヒドロクロロチアジドを含む配合錠において、類縁物質の生成の抑制と、錠剤硬度の向上とを実現すること。【解決手段】カンデサルタンシレキセチルと、ヒドロクロロチアジドと、水溶性高分子またはエステル化合物と、を含む錠剤を、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒とヒドロクロロチアジド含有顆粒とを含む顆粒組成物との混合物を打錠成形して得る。あるいは、当該錠剤において、水溶性高分子またはエステル化合物の含有量を、前記錠剤の質量に対して2wt/wt%未満とする。【選択図】なし
Description
本発明は、医薬錠剤に関する。
カンデサルタンは、アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有するベンズイミダゾール化合物であり、シレキセチルエステル(カンデサルタンシレキセチル)として高血圧症の治療剤として利用されている。一方、ヒドロクロロチアジドはサイアザイド系の利尿剤であり広く利用されている。また、ヒドロクロロチアジドなどの利尿剤は降圧作用を有し、他の高血圧症治療剤とともに併用することも広く行われている。
具体的に、カンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドとを併用投与することで、降圧作用が高まることが報告されている(特許文献1)。また、カンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドとを共配合した錠剤が上市されている(非特許文献1)。
特許文献1の実施例(本文献の実施例における錠剤5,17,21を参照)には、カンデサルタンシレキセチルと、ヒドロクロロチアジドと、ポリエチレングリコールと、賦形剤などとを混和し、混和物を顆粒化し、顆粒を打錠成形することで得た配合錠が記載されている。
エカード 医薬品添付文書
従来のカンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドとを含む錠剤では、両有効成分の安定性が十分でないこと、典型的には類縁物質を発生させることがあった。これに対して、カンデサルタンシレキセチル組成物に安定化剤として低融点油脂状物質(例えば、ポリエチレングリコールなど)を添加して、類縁物質の発生を抑制させることが知られている(特許文献2)。ところが、本発明者は、ヒドロクロロチアジドと低融点油脂状物質とを錠剤中で共存させると、ヒドロクロロチアジドの類縁物質を増加させることがあることを明らかにした。これは、低融点油脂状物質によって錠剤中の水分含有量が高まり、水分がヒドロクロロチアジドの類縁物質の生成を促進していると考えられた。
また、カンデサルタンシレキセチル錠剤に低融点油脂状物質を添加すると、カンデサルタンの一定の安定化効果が得られることがある一方で、錠剤硬度が低下することがあった。錠剤は、顆粒組成物を打錠により成形して得ることが一般的であるが、顆粒に低融点油脂状物質が含まれていると、顆粒同士が互いにすべりやすくなり、打錠圧が被成形物に成形圧力として伝わりにくく、結果として錠剤硬度が低下するものと考えられた。
そこで、本発明の第一の課題は、カンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドとを含む錠剤において、両成分の安定性を高めて類縁物質の生成を抑制することである。また、本発明の第二の課題は、カンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドとを含む錠剤において、錠剤硬度を高めることである。
本発明は、以下に示す通りである。
[1]カンデサルタンシレキセチルと、ヒドロクロロチアジドと、水溶性高分子またはエステル化合物と、を含む錠剤であって、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒と、ヒドロクロロチアジド含有顆粒とを含む顆粒組成物を打錠成形して得られる錠剤。
[2]前記カンデサルタンシレキセチル含有顆粒は前記水溶性高分子またはエステル化合物を含み、かつ前記ヒドロクロロチアジド含有顆粒は前記水溶性高分子またはエステル化合物を含まない、[1]に記載の錠剤。
[3]前記水溶性高分子またはエステル化合物は、ポリエチレングリコールである、[1]または[2]に記載の錠剤。
[4]前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記錠剤の質量に対して2wt/wt%未満である、[3]に記載の錠剤。
[5]カンデサルタンシレキセチルと、ヒドロクロロチアジドと、ポリエチレングリコールと、を含む錠剤であって、前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記錠剤の質量に対して2wt/wt%未満である、錠剤。
[1]カンデサルタンシレキセチルと、ヒドロクロロチアジドと、水溶性高分子またはエステル化合物と、を含む錠剤であって、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒と、ヒドロクロロチアジド含有顆粒とを含む顆粒組成物を打錠成形して得られる錠剤。
[2]前記カンデサルタンシレキセチル含有顆粒は前記水溶性高分子またはエステル化合物を含み、かつ前記ヒドロクロロチアジド含有顆粒は前記水溶性高分子またはエステル化合物を含まない、[1]に記載の錠剤。
[3]前記水溶性高分子またはエステル化合物は、ポリエチレングリコールである、[1]または[2]に記載の錠剤。
[4]前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記錠剤の質量に対して2wt/wt%未満である、[3]に記載の錠剤。
[5]カンデサルタンシレキセチルと、ヒドロクロロチアジドと、ポリエチレングリコールと、を含む錠剤であって、前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記錠剤の質量に対して2wt/wt%未満である、錠剤。
本発明は、カンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドとを含む錠剤において、両有効成分を安定化させ、類縁物質の生成を抑制することができる。さらに、本発明の好ましい態様においては、当該錠剤の錠剤硬度を高めることができる。
本発明の錠剤は、カンデサルタンシレキセチルと、ヒドロクロロチアジドと、水溶性高分子またはエステル化合物と、任意の添加剤とを含む。
1.カンデサルタンシレキセチルについて
カンデサルタンシレキセチルは、以下に示す構造を有する化合物である。カンデサルタンシレキセチルは、従来公知の方法によって製造されればよく、例えば特開2010−116409にその製法が開示されている。本発明の錠剤におけるカンデサルタンシレキセチルの含有量は5〜10mg、典型的には8mgである。
カンデサルタンシレキセチルは、以下に示す構造を有する化合物である。カンデサルタンシレキセチルは、従来公知の方法によって製造されればよく、例えば特開2010−116409にその製法が開示されている。本発明の錠剤におけるカンデサルタンシレキセチルの含有量は5〜10mg、典型的には8mgである。
2.ヒドロクロロチアジドについて
ヒドロクロロチアジドは、以下に示す構造を有する化合物である。ヒドロクロロチアジドは、利尿剤として広く知られた薬剤であり、市場から入手することができる。本発明の錠剤におけるヒドロクロロチアジドの含有量は、4〜8mg、典型的には6.25mgである。
ヒドロクロロチアジドは、以下に示す構造を有する化合物である。ヒドロクロロチアジドは、利尿剤として広く知られた薬剤であり、市場から入手することができる。本発明の錠剤におけるヒドロクロロチアジドの含有量は、4〜8mg、典型的には6.25mgである。
3.水溶性高分子またはエステル化合物について
本発明における水溶性高分子またはエステル化合物は、好ましくは、可溶(化)剤、界面活性剤または可塑剤としても作用しうるものであり、カンデサルタンシレキセチルを安定化させる効果を有しうる。つまり、本発明における水溶性高分子またはエステル化合物は、医薬品添加物として、可溶(化)剤、界面活性剤、可塑剤に分類され得る成分である。カンデサルタンシレキセチルは、乾燥条件下において圧力を加えられると分解しやすい性質があるため、水溶性高分子またはエステル化合物は親水性を有する医薬品添加物であることが好ましい。
本発明における水溶性高分子またはエステル化合物は、好ましくは、可溶(化)剤、界面活性剤または可塑剤としても作用しうるものであり、カンデサルタンシレキセチルを安定化させる効果を有しうる。つまり、本発明における水溶性高分子またはエステル化合物は、医薬品添加物として、可溶(化)剤、界面活性剤、可塑剤に分類され得る成分である。カンデサルタンシレキセチルは、乾燥条件下において圧力を加えられると分解しやすい性質があるため、水溶性高分子またはエステル化合物は親水性を有する医薬品添加物であることが好ましい。
水溶性高分子の例には、ポリエチレングリコール(マクロゴールと称されることがある);オキシエチレンとオキシプロピレンのブロック共重合体(ポロクサマーと称されることがある);ラウロマクロゴール;ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコールグラフトコポリマーなどが含まれる。
水溶性高分子の好ましい例にはポリエチレングリコールが含まれるが、その分子量は特に限定されない。ポリエチレングリコール(マクロゴール)の例には、マクロゴール200,マクロゴール300,マクロゴール400,マクロゴール600,マクロゴール1000,マクロゴール1500,マクロゴール1540,マクロゴール4000,マクロゴール6000,マクロゴール20000,マクロゴール35000などが含まれる。より好ましいポリエチレングリコールの例は、マクロゴール6000などが含まれる。
また、水溶性高分子の好ましい例には、オキシエチレンとオキシプロピレンのブロック共重合体(ポロクサマー)が含まれるが、その分子量や共重合比などは特に限定されない。ポロクサマーの例には、ポロクサマー403、ポロクサマー235、ポロクサマー188、ポロクサマー407などが含まれるが、特に限定されない。
エステル化合物の好ましい例には、クエン酸トリエチルなどが含まれる。
本発明の錠剤における水溶性高分子またはエステル化合物の含有量は、カンデサルタンシレキセチルを安定化させつつ、ヒドロクロロチアジドの不安定化を抑制するように設定する。例えば、ポリエチレングリコールであれば、錠剤質量に対して2質量%未満であることが好ましく、1.5質量%未満であることがより好ましい。含有量の下限は特に限定されないが、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、本発明の錠剤におけるポリエチレングリコールの含有量は、カンデサルタンシレキセチルの質量に対して、50質量%未満であることが好ましく、40質量%未満であることがより好ましく、30質量%未満であることがさらに好ましく、20質量%未満であることが特に好ましい。
本発明の錠剤における水溶性高分子またはエステル化合物の含有量が少なすぎると、カンデサルタンシレキセチルが不安定化し、類縁物質の生成が促進されることがある。一方で本発明者は、水溶性高分子またはエステル化合物の量が多すぎると、例えば、錠剤質量に対するポリエチレングリコールの含有量が2質量%を超えると、ヒドロクロロチアジドが不安定化して類縁物質を生成させやすくなること、さらには、カンデサルタンシレキセチルまでもが不安定化し、類縁物質が生成しやすくなることを見出した。そのため、ポリエチレングリコールの含有量は、錠剤質量に対して2質量%未満とすることが好ましい。
4.任意の添加剤について
本発明の錠剤には、カンデサルタンシレキセチル、ヒドロクロロチアジド及び水溶性高分子またはエステル化合物とともに、他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤の例には、賦形剤、崩壊剤、結合剤、着色剤、滑沢剤などが含まれるが、特に限定されるわけではない。
本発明の錠剤には、カンデサルタンシレキセチル、ヒドロクロロチアジド及び水溶性高分子またはエステル化合物とともに、他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤の例には、賦形剤、崩壊剤、結合剤、着色剤、滑沢剤などが含まれるが、特に限定されるわけではない。
(賦形剤)本発明の錠剤に含まれる賦形剤の例には、ラクトース、好ましくはラクトース一水和物;トウモロコシ・デンプン等のデンプン;粉末セルロース、微結晶性セルロース、マイクロ細粒セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩などのセルロース誘導体;α化デンプン;タルク;ワックス;糖;マンニトールやソルビトール等の糖アルコール;アクリラート重合体及び共重合体;デキストレート;デキストリン;デキストロース;マルトデキストリン;ペクチン;ゼラチン;炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。好ましい賦形剤の例には、ラクトース一水和物、デンプンなどが挙げられる。賦形剤の含有量は、特に限定されないが、錠剤重量に対して例えば60〜90質量%、好ましくは70〜80質量%である。
(崩壊剤)本発明の錠剤に含まれる崩壊剤の例には、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンなどが含まれる。崩壊剤の含有量は、特に限定されないが、錠剤重量に対して例えば2〜10質量%、好ましくは4〜8質量%である。
(結合剤)本発明の錠剤に含まれる結合剤の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが含まれる。結合剤の含有量は、特に限定されないが、錠剤重量に対して例えば1〜8質量%、好ましくは2〜6質量%である。
(滑沢剤)本発明の錠剤に含まれる滑沢剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、硬化ヒマシ油、硬化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛などが含まれる。
(着色剤)本発明の錠剤に含まれる着色剤の例には、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄などの酸化鉄系の着色剤、酸化チタンなどが含まれる。着色剤の含有量は、通常、錠剤重量に対して0.1質量%未満である。
5.錠剤の形態について
本発明の錠剤の重量は、特に限定されないが、100mg〜200mgの間に設定され得る。錠剤の形状は特に制限されず、丸錠、異形錠など、任意に選択される。錠剤の錠剤硬度は、特に限定されないが、5kgf以上とすることができる。錠剤硬度の測定は、本願明細書の実施例の手法に基づいて行えばよい。
本発明の錠剤の重量は、特に限定されないが、100mg〜200mgの間に設定され得る。錠剤の形状は特に制限されず、丸錠、異形錠など、任意に選択される。錠剤の錠剤硬度は、特に限定されないが、5kgf以上とすることができる。錠剤硬度の測定は、本願明細書の実施例の手法に基づいて行えばよい。
本発明の錠剤は、市販のカンデサルタンシレキセチル/ヒドロクロロチアジド配合錠と同様に、高血圧症治療剤として用いられる。その用法・用量も、市販品と同様にすることができ、例えば、成人であれば1日1回1錠を経口投与すればよい。
6.錠剤の製造方法について
本発明の錠剤の製造プロセスは、特に限定されないが、顆粒を含む組成物(顆粒組成物)を準備する工程と、顆粒組成物を打錠成形(圧縮成型)して錠剤とする工程とが含まれる。
本発明の錠剤の製造プロセスは、特に限定されないが、顆粒を含む組成物(顆粒組成物)を準備する工程と、顆粒組成物を打錠成形(圧縮成型)して錠剤とする工程とが含まれる。
顆粒組成物に含まれる顆粒は、1種類(カンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドの両方を含む顆粒)であってもよいし、2種類(カンデサルタンシレキセチル含有顆粒と、ヒドロクロロチアジド含有顆粒の2種類の顆粒)であってもよい。1種類の顆粒から製造される錠剤を1顆粒錠剤といい、2種類の顆粒から製造される錠剤を2顆粒錠剤ということがある。本発明の錠剤は、2顆粒錠剤であることが好ましい。理由は後述するが、2顆粒錠剤とすることで、類縁物質の生成を抑制することができ、錠剤硬度を高めることができるからである。
(カンデサルタンシレキセチル含有顆粒)2顆粒錠剤におけるカンデサルタンシレキセチル含有顆粒には、カンデサルタンシレキセチルとともに、水溶性高分子またはエステル化合物(好ましくは、水溶性高分子;特に、ポリエチレングリコール)が含まれることが好ましく、また任意の添加剤(例えば、結合剤)が含まれていてもよい。一方、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒にはヒドロクロロチアジドが含まれないことが好ましい。カンデサルタンシレキセチル含有顆粒に、任意の添加剤のうちの崩壊剤を添加すれば、錠剤からのカンデサルタンシレキセチルの溶出性を好適化することができる場合がある。
カンデサルタンシレキセチル含有顆粒は、特に限定されないが、湿式により造粒されることが好ましい。より具体的には、カンデサルタンシレキセチルと賦形剤などの添加物との混合物を、水溶性高分子またはエステル化合物を含む水溶液を造粒液として造粒し、造粒物を乾燥することでカンデサルタンシレキセチル含有顆粒を得ることができる。カンデサルタンシレキセチルは、乾燥状態おいて圧力を加えられると不安定化し、類縁物質を生成しやすい場合がある。そのため、造粒液の存在下で造粒することで、カンデサルタンシレキセチルを安定化させることが好ましい。
(ヒドロクロロチアジド含有顆粒)2顆粒錠剤におけるヒドロクロロチアジド含有顆粒には、ヒドロクロロチアジドとともに、任意の添加剤(例えば、結合剤)が含まれる。但し、ヒドロクロロチアジド含有顆粒には、水溶性高分子またはエステル化合物(特に、ポリエチレングリコール)が含まれないことが好ましい。また、ヒドロクロロチアジド含有顆粒には、カンデサルタンシレキセチルが含まれないことが好ましい。
ヒドロクロロチアジド含有顆粒は、湿式または乾式により造粒されることが好ましい。また、造粒前のヒドロクロロチアジド混合物の調製は、分散法(溶媒中での混合)よりも、倍散法(溶媒無存在下での混合)によって行うことが好ましい場合がある。ヒドロクロロチアジドは、水分によって分解されやすい傾向があるため、分散法による混合工程中に、類縁物質を発生させることがあるからである。
(カンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドの両方を含む顆粒)なお、1顆粒錠剤を得る場合には、以下のように顆粒を得ることができる。まず、カンデサルタンシレキセチルと、ヒドロクロロチアジドと、賦形剤などの添加剤との混合物を得て;混合物を、水溶性高分子またはエステル化合物を含む水溶液を造粒液として湿式造粒し、造粒物を乾燥することで、顆粒を得ることができる。
(顆粒組成物)本発明の2顆粒錠剤を得る場合は、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒と、ヒドロクロロチアジド含有顆粒とを含む顆粒組成物を得る。顆粒組成物には、さらに任意の添加剤が含まれていてもよく、例えば崩壊剤や滑沢剤が含まれることが好ましい。まず、顆粒と崩壊剤とを混合(一次混合)して、その後、さらに滑沢剤とを混合(二次混合)してもよい。顆粒組成物における、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒とヒドロクロロチアジド含有顆粒との質量比率は、特に限定されないものの、5:1〜1:5、例えば1:1とすることができる。また、本発明の1顆粒錠剤を得る場合は、カンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドの両方を含む顆粒と、崩壊剤や滑沢剤などの添加剤とを混合して、顆粒組成物を得ればよい。
(打錠)錠剤は、顆粒組成物を打錠成形することによって得られる。顆粒組成物の打錠成形の圧力は、所望の錠剤硬度(例えば、3kgf以上、好ましくは4kgf以上、より好ましくは5kgf以上、さらに好ましくは6kgf以上)が得られるように調整すればよい。通常の打錠圧力は約1000kgf/cm2以上であり、2000kgf/cm2以上としてもよい。本発明の錠剤は、コーティング被覆されていてもいなくてもよい。
本発明の錠剤を2顆粒錠剤とすると、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒に含まれるカンデサルタンシレキセチルを水溶性高分子またはエステル化合物で安定化させるとともに、ヒドロクロロチアジド含有顆粒に含まれるヒドロクロロチアジドの安定性も維持できる。水溶性高分子またはエステル化合物をカンデサルタンシレキセチル含有顆粒にのみ配合し、ヒドロクロロチアジド含有顆粒に配合しないことができるからである。つまり、顆粒段階(打錠成形によって錠剤として一体化されるまでの間)まで、水溶性高分子またはエステル化合物はカンデサルタンシレキセチルにのみ接触し、ヒドロクロロチアジドには接触せず;錠剤となった後も、水溶性高分子またはエステル化合物がカンデサルタンシレキセチルに優先的に接触することになる。その結果、カンデサルタンシレキセチル及びヒドロクロロチアジドのいずれもが安定化されることとなる。
さらに、本発明の錠剤を二顆粒錠剤とすると、錠剤硬度を向上させることもできる。カンデサルタンシレキセチル含有顆粒にのみ水溶性高分子またはエステル化合物を配合し、ヒドロクロロチアジド含有顆粒に水溶性高分子またはエステル化合物を配合しないこととすれば、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒とヒドロクロロチアジド含有顆粒とが互いに滑りにくくなる。そうすると、顆粒組成物を打錠成形するときに、打錠圧力がより確実に成形圧として被成形物に印加され、その結果、得られる錠剤の硬度が高まる。
以下において、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが;本発明は、実施例の記載によって何ら限定されない。
以下の表1に示される組成の錠剤(実施例、比較例)を調製した。表1中の単位はmgである。
実施例1〜4の錠剤はいずれも、2顆粒錠剤(ヒドロクロロチアジド含有顆粒とカンデサルタンシレキセチル含有顆粒とを含む顆粒組成物を打錠して製造した錠剤)である。一方、比較例1〜3及び実施例5の錠剤はいずれも、1顆粒錠剤(ヒドロクロロチアジドとカンデサルタンシレキセチルとを含有する顆粒を含む顆粒組成物を打錠して製造した錠剤)である。
表1に示されるように、比較例4を除く各錠剤の組成は、マクロゴール6000と乳糖水和物の量以外は同様である。マクロゴール6000の量を、6mg(実施例1と比較例1)、2.6mg(実施例2と比較例2,3)、1mg(実施例3)、0.5mg(実施例4,5)とし;乳糖水和物の量を調整して、錠剤質量が130mgとなるようにした。
比較例4は、市販のエカード配合錠HD(武田薬品工業株式会社)とした。エカード配合錠HDには、カンデサルタンシレキセチル8mg及びヒドロクロロチアジド6.25mgを含み、添加剤として、乳糖水和物、トウモロコシデンプン、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール6000、ステアリン酸マグネシウム、及び三二酸化鉄を含むが、各添加剤の量は未知である。
以下、例として、実施例4(2顆粒錠剤)と比較例1(1顆粒錠剤)の具体的製造フローを説明する。
[実施例4]
(1) ヒドロクロロチアジド含有顆粒の製造
ヒドロクロロチアジド16.25gと、乳糖水和物52gとを倍散により混合し、さらに得られた混合末のうちの60.38gと、乳糖水和物77.63gとを混合してヒドロクロロチアジド混合物を得た。一方、三二酸化鉄0.01gを精製水11.50gに溶解させた水溶液と、ヒドロキシプロピルセルロース4.60gを精製水55.20gに溶解させた水溶液と、をそれぞれ用意し、両水溶液を混合して混合水溶液を得た。ヒドロクロロチアジド混合物を、混合水溶液を造粒液として造粒して造粒物を得た。造粒物を20Meshフィルタに通して整粒して、ヒドロクロロチアジド含有顆粒142.60gを得た。
(1) ヒドロクロロチアジド含有顆粒の製造
ヒドロクロロチアジド16.25gと、乳糖水和物52gとを倍散により混合し、さらに得られた混合末のうちの60.38gと、乳糖水和物77.63gとを混合してヒドロクロロチアジド混合物を得た。一方、三二酸化鉄0.01gを精製水11.50gに溶解させた水溶液と、ヒドロキシプロピルセルロース4.60gを精製水55.20gに溶解させた水溶液と、をそれぞれ用意し、両水溶液を混合して混合水溶液を得た。ヒドロクロロチアジド混合物を、混合水溶液を造粒液として造粒して造粒物を得た。造粒物を20Meshフィルタに通して整粒して、ヒドロクロロチアジド含有顆粒142.60gを得た。
(2) カンデサルタンシレキセチル含有顆粒の造粒
カンデサルタンシレキセチル18.40gと、乳糖水和物72.45gと、トウモロコシデンプン46.00gとを倍散により混合してカンデサルタンシレキセチル混合物をえた。一方、三二酸化鉄0.01gを精製水11.50gに溶解させた水溶液と、ヒドロキシプロピルセルロース4.60g及びポリエチレングリコール(マクロゴール6000)1.15gを精製水55.20gに溶解させた水溶液と、をそれぞれ用意し、両水溶液を混合して混合水溶液を得た。カンデサルタンシレキセチル混合物を、混合水溶液を造粒液として造粒して造粒物を得た。造粒物を20Meshフィルタに通して整粒して、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒142.60gを得た。
カンデサルタンシレキセチル18.40gと、乳糖水和物72.45gと、トウモロコシデンプン46.00gとを倍散により混合してカンデサルタンシレキセチル混合物をえた。一方、三二酸化鉄0.01gを精製水11.50gに溶解させた水溶液と、ヒドロキシプロピルセルロース4.60g及びポリエチレングリコール(マクロゴール6000)1.15gを精製水55.20gに溶解させた水溶液と、をそれぞれ用意し、両水溶液を混合して混合水溶液を得た。カンデサルタンシレキセチル混合物を、混合水溶液を造粒液として造粒して造粒物を得た。造粒物を20Meshフィルタに通して整粒して、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒142.60gを得た。
(3) 打錠成形
ヒドロクロロチアジド含有顆粒62gと、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒62gと、カルメロースカルシウム5.60gとを一次混合した。一次混合物と、ステアリン酸マグネシウム0.40gとを二次混合した。二次混合物を、ロータリー式打錠機にて打錠し、一錠剤あたりの質量が130mgの錠剤を得た。打錠圧を2500kgf/cm2〜2700kgf/cm2の範囲内に設定した。
ヒドロクロロチアジド含有顆粒62gと、カンデサルタンシレキセチル含有顆粒62gと、カルメロースカルシウム5.60gとを一次混合した。一次混合物と、ステアリン酸マグネシウム0.40gとを二次混合した。二次混合物を、ロータリー式打錠機にて打錠し、一錠剤あたりの質量が130mgの錠剤を得た。打錠圧を2500kgf/cm2〜2700kgf/cm2の範囲内に設定した。
[比較例1]
(1) ヒドロクロロチアジド及びカンデサルタンシレキセチル含有顆粒の製造
カンデサルタンシレキセチル20.80gと、乳糖水和物52.00gを倍散により混合して、カンデサルタンシレキセチル混合末を得た。ヒドロクロロチアジド16.25gと、乳糖水和物52.00gを倍散により混合して、ヒドロクロロチアジド混合末を得た。一方、三二酸化鉄0.02gを精製水23.00gに溶解させた水溶液と、ヒドロキシプロピルセルロース9.20g及びポリエチレングリコール(マクロゴール6000)13.80gを精製水110.40gに溶解させた水溶液と、をそれぞれ用意し、両水溶液を混合して混合水溶液を得た。カンデサルタンシレキセチル混合末64.40gと、ヒドロクロロチアジド混合末60.38gと、乳糖水和物91.43gと、トウモロコシデンプン46.00gを、混合水溶液を造粒液として造粒して造粒物を得た。造粒物を20Meshフィルタに通して整粒して、ヒドロクロロチアジド及びカンデサルタンシレキセチル含有顆粒285.20gを得た。
(1) ヒドロクロロチアジド及びカンデサルタンシレキセチル含有顆粒の製造
カンデサルタンシレキセチル20.80gと、乳糖水和物52.00gを倍散により混合して、カンデサルタンシレキセチル混合末を得た。ヒドロクロロチアジド16.25gと、乳糖水和物52.00gを倍散により混合して、ヒドロクロロチアジド混合末を得た。一方、三二酸化鉄0.02gを精製水23.00gに溶解させた水溶液と、ヒドロキシプロピルセルロース9.20g及びポリエチレングリコール(マクロゴール6000)13.80gを精製水110.40gに溶解させた水溶液と、をそれぞれ用意し、両水溶液を混合して混合水溶液を得た。カンデサルタンシレキセチル混合末64.40gと、ヒドロクロロチアジド混合末60.38gと、乳糖水和物91.43gと、トウモロコシデンプン46.00gを、混合水溶液を造粒液として造粒して造粒物を得た。造粒物を20Meshフィルタに通して整粒して、ヒドロクロロチアジド及びカンデサルタンシレキセチル含有顆粒285.20gを得た。
(2) 打錠成形
ヒドロクロロチアジド及びカンデサルタンシレキセチル含有顆粒124.00gと、カルメロースカルシウム5.60gとを一次混合した。一次混合物と、ステアリン酸マグネシウム0.40gとを二次混合した。二次混合物を、ロータリー式打錠機にて打錠し、一錠剤あたりの質量が130mgの錠剤を得た。打錠圧を2500kgf/cm2〜2700kgf/cm2の範囲内に設定した。
ヒドロクロロチアジド及びカンデサルタンシレキセチル含有顆粒124.00gと、カルメロースカルシウム5.60gとを一次混合した。一次混合物と、ステアリン酸マグネシウム0.40gとを二次混合した。二次混合物を、ロータリー式打錠機にて打錠し、一錠剤あたりの質量が130mgの錠剤を得た。打錠圧を2500kgf/cm2〜2700kgf/cm2の範囲内に設定した。
(類縁物質)各実施例及び比較例の錠剤に含まれる類縁物質の量を測定した。測定した類縁物質は以下の通りである。
カンデサルタンシレキセチル類縁物質(6つ)
類縁I: 2-エトキシ-1-{[2´-(2H-テトラゾール -5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸エチルエステル
類縁II: 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-3-{[2´-(2H-テトラゾール-5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]メチル} -1H-ベンズイミダゾール-4-カルボン酸1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}-エチルエステル
類縁III: 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-3-[2´-(1-エチル-1H-テトラゾール-5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]-1H-ベンズイミダゾール-4-カルボン酸1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}-エチルエステル
類縁IV: 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-3-[2´-(2-エチル-2H-テトラゾール-5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]-1H-ベンズイミダゾール-4-カルボン酸1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}-エチルエステル
類縁V: 2-エトキシ-1-{[2´-(1-エチル-1H-テトラゾール-5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}-エチルエステル
類縁VI: 2-エトキシ -1-{[2´-(2-エチル-2H-テトラゾール-5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}-エチルエステル
類縁I: 2-エトキシ-1-{[2´-(2H-テトラゾール -5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸エチルエステル
類縁II: 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-3-{[2´-(2H-テトラゾール-5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]メチル} -1H-ベンズイミダゾール-4-カルボン酸1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}-エチルエステル
類縁III: 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-3-[2´-(1-エチル-1H-テトラゾール-5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]-1H-ベンズイミダゾール-4-カルボン酸1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}-エチルエステル
類縁IV: 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-3-[2´-(2-エチル-2H-テトラゾール-5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]-1H-ベンズイミダゾール-4-カルボン酸1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}-エチルエステル
類縁V: 2-エトキシ-1-{[2´-(1-エチル-1H-テトラゾール-5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}-エチルエステル
類縁VI: 2-エトキシ -1-{[2´-(2-エチル-2H-テトラゾール-5-イル)-1,1´-ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸1-{[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ}-エチルエステル
(類縁物質量の測定)
各実施例または比較例の錠剤を1錠とり、アセトニトリル/水混液(3:2)を約10mL加えて振とう、崩壊させた後、アセトニトリル/水混液(3:2)を加えて正確に20mLとし,孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、ろ液を試料溶液とした。
一方、定量用カンデサルタンシレキセチル 20mgを精密に量りとり、アセトニトリルに溶解し、アセトニトリルを加えて正確に100mLとした。同様にヒドロクロロチアジド標準品25mgを精密に量りとり、アセトニトリルに溶解し、アセトニトリルを加えて正確に200mLとした。各標準原液2mL及び2.5mLを量りとり、アセトニトリル/水混液(3:2)を加えて正確に100mLとし、標準原液とした。
各実施例または比較例の錠剤を1錠とり、アセトニトリル/水混液(3:2)を約10mL加えて振とう、崩壊させた後、アセトニトリル/水混液(3:2)を加えて正確に20mLとし,孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し、ろ液を試料溶液とした。
一方、定量用カンデサルタンシレキセチル 20mgを精密に量りとり、アセトニトリルに溶解し、アセトニトリルを加えて正確に100mLとした。同様にヒドロクロロチアジド標準品25mgを精密に量りとり、アセトニトリルに溶解し、アセトニトリルを加えて正確に200mLとした。各標準原液2mL及び2.5mLを量りとり、アセトニトリル/水混液(3:2)を加えて正確に100mLとし、標準原液とした。
次いで、試料溶液及び各標準溶液10μLを正確にはかりとり、下記の測定条件で液体クロマトグラフィーにより定量試験を行った。
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
・カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする。
・カラム温度:25℃付近の一定温度
・移動相A:薄めたリン酸(1→1000)
・移動相B:アセトニトリル
・流量:毎分1.2 mL
・面積測定範囲:30分
・検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
・カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする。
・カラム温度:25℃付近の一定温度
・移動相A:薄めたリン酸(1→1000)
・移動相B:アセトニトリル
・流量:毎分1.2 mL
・面積測定範囲:30分
勾配スケジュールを以下の表2に示す。
類縁物質に対応するピーク面積を自動積分法により測定した結果から、各錠剤における類縁物質の含有量を求めた。各類縁物質の測定結果を以下の表3に示す。表3中の数値の単位は、ヒドロクロロチアジドまたはカンデサルタンシレキセチルの含有量 (6.25mg または 8mg) を分母としたときの質量%である。
(ヒドロクロロチアジド類縁物質の生成抑制効果)実施例1と比較例1の錠剤は、マクロゴール6000を6.0mg含有し;実施例2と比較例2及び3の錠剤は、マクロゴール6000を2.6mg含有し;実施例4と比較例4の錠剤は、マクロゴール6000を0.5mg含有する。実施例1と比較例1を対比すると、実施例1では、DSA及びRRT1.9のいずれの類縁物質の含有量が低減されていることがわかる。同様に、実施例2と比較例2及び3とを対比すると、実施例2では、DSA及びRRT1.9のいずれの類縁物質の含有量が低減されていることがわかる。さらに、実施例4と実施例5とを対比すると、DSA及びRRT1.9のいずれの類縁物質の含有量とも同様のレベルに低減されていることがわかる。
次に、比較例4を除く実施例および比較例について、マクロゴール量とDSA及びRRT1.9の含有量との関係をプロットしたグラフを、図1及び図2に示す。図1及び図2から、何れの類縁物質の含有量も、マクロゴール量の高まりとともに増加していることがわかる。また、実施例2〜5で、市販されているエカード配合錠HD(比較例4)よりも、DSA及びRRT1.9の含有量が少ないことがわかる。
以上のように、ヒドロクロロチアジド類縁物質の生成は、2顆粒錠剤を採用することによって、あるいはマクロゴールなどの水溶性高分子またはエステル化合物の含有量を減らすことによって、抑制することができることがわかる。これは、ヒドロクロロチアジドが水分によって分解しやすいところ、以下の理由でヒドロクロロチアジドと水との接触が抑制されているためであると考えられる。第1に、ヒドロクロロチアジド含有顆粒に水溶性高分子またはエステル化合物が含まれないため、顆粒に取り込まれる水分量が少なくなり、ヒドロクロロチアジドと水とが接触しにくくなったと考えられる。第2に、錠剤中の水溶性高分子またはエステル化合物の含有量が低減すれば、錠剤に取り込まれる水分量が少なくなり、ヒドロクロロチアジドと水とが接触しにくくなったと考えられる。
(カンデサルタンシレキセチル類縁物質の生成抑制効果)図3〜7は、各実施例及び比較例の錠剤に含まれるカンデサルタンシレキセチル類縁物質の含有量を示すグラフである。より具体的に、図3は類縁IIの含有量を、図4は類縁IIIの含有量を、図5は類縁IVの含有量を、図6は類縁Vの含有量を、図7は類縁VIの含有量を、それぞれプロットしたグラフである。
まず、同一のマクロゴール量を含む錠剤どうしを比較すると、類縁II〜VIのいずれの含有量も、2顆粒錠剤の方が、1顆粒錠剤よりも低減されていることがわかる(図3〜7を参照)。また、類縁II〜VIのいずれの含有量も、マクロゴール量の低減とともに、減少する傾向がある。とりわけ、6mgのマクロゴールを含む錠剤(実施例1及び比較例1)と他の錠剤(実施例2〜5、比較例1〜3)とを比較すると、何れの類縁物質の含有量も顕著に減少していることがわかる。
また、表3から、実施例2〜5の錠剤で、市販されているエカード配合錠HD(比較例4)よりも、各類縁物質の含有量が減少していることがわかる。
以上のように、カンデサルタンシレキセチルの類縁物質の生成は、2顆粒錠剤を採用することによって、あるいはマクロゴールなどの水溶性高分子またはエステル化合物の含有量を減らすことによって、抑制することができることがわかる。従来、マクロゴールなどの水溶性高分子またはエステル化合物は、カンデサルタンシレキセチルを安定化させ、類縁物質の生成を抑制するものと考えられていた。しかしながら、カンデサルタンシレキセチルを安定化させるために必要な水溶性高分子またはエステル化合物の量は限られた範囲であり、水溶性高分子またはエステル化合物の量が過剰となると、逆にカンデサルタンシレキセチルの類縁物資値が生成しやすくなることが分かった。
各実施例及び比較例の錠剤の硬度を測定した。錠剤硬度の測定は、硬度計:TOYAMA TABLET HARDNESS TESTER(富山産業株式会社製、TH-203CP)を用い行った。測定結果を以下の表4に示す。
表4に示されるように、2顆粒製法で製造した実施例1〜4の錠剤の錠剤硬度は、いずれも6kgf以上となった、一方で、1顆粒製法で製造した比較例1〜3と実施例5の錠剤の錠剤硬度は、いずれも5kgf未満にとどまった。また、市販のエカード配合錠HD(比較例4)の錠剤硬度も4.6kgfであった。
このように、2顆粒製法で製造した錠剤は、1顆粒処方で製造した錠剤よりも錠剤硬度が高くなることが明らかである。1顆粒製法のように、圧縮成型(打錠)される顆粒の全てにポリエチレングリコールが含まれていると、顆粒同士が互いに滑りあってしまい、圧縮圧力(打錠圧)が効率的に成形圧力として被成形物に伝わりにくくなると考えられる。これに対して、2顆粒製法では、2つの顆粒のうちの一方のみに水溶性高分子またはエステル化合物を配合することができるため、顆粒同士が互いに滑りにくくなり、被成形物に十分に圧力が加わり、錠剤硬度が高まったと考えられる。
本発明は、カンデサルタンシレキセチルとヒドロクロロチアジドとの配合錠の物性を改善することができる。
Claims (4)
- カンデサルタンシレキセチルと、ヒドロクロロチアジドと、前記カンデサルタンシレキセチルに対して50質量%未満のポリエチレングリコールと、を含む錠剤であって、
カンデサルタンシレキセチル含有顆粒と、ヒドロクロロチアジド含有顆粒とを含む顆粒組成物を打錠成形して得られる錠剤。 - 前記カンデサルタンシレキセチル含有顆粒は前記ポリエチレングリコールを含み、かつ前記ヒドロクロロチアジド含有顆粒は前記ポリエチレングリコールを含まない、請求項1に記載の錠剤。
- 前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記錠剤の質量に対して2wt/wt%未満である、請求項3に記載の錠剤。
- 前記カンデサルタンシレキセチルに対して30質量%未満のポリエチレングリコールを含む、請求項1に記載の錠剤。
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